♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.388 ベートーヴェン:「交響曲第2番」(ピアノ三重奏曲版) by ボザール・トリオ

昨年の年明け早々に求めたボザール・トリオのBox は今でも時々ディスクを
取り出しては聴いているお気に入りの Box になっています。
入手して1年半近くが経つのにも拘らず未だに収録曲が把握できていませんが。
今回はブログ仲間の御方が以前、ベートーヴェン交響曲第2番の
ピアノ三重奏曲に編曲されたものも収録されている、と教えてくださり
聴きたい、聴きたい、と思いつつ・・・とうとう今日に至ってしまいました。

ベートーベンの交響曲第2番。
聴くことを楽しみにしていたベートーヴェン自身の編曲によるピアノ三重奏曲を。

           ベートーヴェン交響曲第2番(ピアノ三重奏曲版)
         ボザール・トリオ~フィリップス録音全集1956-1995 より

             (HMV) ボザール.トリオ~フィリップス録音全集
                         (収録曲)

         ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲ニ長調(原曲、交響曲第2番)
         アレグレット 変ホ長調 Hess.48
         ピアノ三重奏曲第4番 変ロ長調 Op.11「街の歌」

                      ボザール・トリオ
                   メヘナム・プレスラー(P)
                   イシドア・コーエン(Vn)
                   バーナード・グリーンハウス(Vc)
                 (録音:ピアノ三重奏曲ニ長調 1982年)

              第1楽章:Adagio molto ニ長調 4分の3拍子 ―
                    Allegro con brio ニ長調 4分の4拍子
              第2楽章:Larghetto イ長調 8分の3拍子
              第3楽章: ScherzoAllegro ニ長調 4分の3拍子
              第4楽章:Allegro molto ニ長調 2分の2拍子


交響曲第2番は1801年に着手され曲の完成は正確には不明とのことですが
1802年10月には完成していたと言われているとのことです。
1800年のベートーヴェンのスケッチ帳には交響曲第2番の第1楽章の序奏と
主要部の覚書が記されており1802年の夏と初秋に本格的に
交響曲第2番の作曲に取り掛かったようです。

作曲された場所は1802年5月から10月まで保養にために滞在をしていた
ハイリゲンシュタットだそうです。
その年の10月6日に「ハイリゲンシュタットの遺書」を記した後
再起をし芸術のために立ちあがったベートーヴェン
その直後に完成されたのがこの交響曲第2番とのことです。
曲が完成されたのはハイリゲンシュタット或いはウィーンに帰り間もなく、と
推測されるそうです。

ベートーヴェンの生活はこの曲のスケッチを始めた頃
1800年以降、カール・リヒノフスキー侯爵から年金を受け取るようになったことや
楽譜の出版の見通しも付き経済的には安定をしてきた時期だったそうです。

ハイリゲンシュタットの静かでベートーヴェンが好んだ自然の美しさにも恵まれた地で
この第2番と並行、或いは前後して書かれた曲は明るい長調のものが
主体になっているそうです。
ハイリゲンシュタットで芸術への強い意欲、生きるということが
頭を持ち上げた32歳前のベートーヴェンは次のように綴ったとのことです。
「不幸について考えないようにする一番良いことは、仕事に熱中することだ」
そして作曲に精を出し、不幸に対する反作用を見せた、そうです。

初演は1803年4月5日、ウィーン、アン・デア・ウィーン劇場に於いて
ベートーヴェン自身の指揮により行われたそうです。
因みにこの演奏会はベートーヴェンノ作品だけの演奏会だったとのことです。
交響曲第2番の初演の他にオラトリオ「オリーヴ山上のキリスト」初演、及び
ピアノ協奏曲第3番の初演も行われ独奏はベートーヴェン自身だったそうです。
この日のプログラムで他に演奏されたのは交響曲第1番の再演。
この演奏会で大きな成功を収め好評を博したのは「オリーヴ山上のキリスト」
とのこと。

交響曲第2番の出版は1804年。
献呈はリヒノフスキー侯爵に。
ピアノ三重奏曲用編曲版は1805年に刊行されたそうです。


ピアノ三重奏曲編曲版で聴くベートーヴェンの交響曲第2番


ピアノの力強い和音の打鍵で始まる第1楽章の序奏。
ピアノは静かな弱音になりヴァイオリン、チェロとの三重奏。
抒情的な雰囲気の中にも力強さが感じられるようです。
明るく軽快な第1主題。
第2主題も明朗な雰囲気。
この楽章では目立つことなく時折姿を見せるチェロ。
「ヴァイオリンの助奏を伴ったピアノ・ソナタ」という感じがします。
深刻な趣とは無縁で明るい喜びに満たされた旋律の数々。
五線紙に向かい心を躍らせ楽しみつつ音符を書き込んでいるベートーヴェンの
姿が想い浮かぶようです。
溌剌とした、明るい喜びに溢れた楽章。
喜びの内に閉じられる第1楽章。

第2楽章の美しい旋律は後に歌詞が付けられ歌曲に編曲されたことも
あるそうです。
ピアノが優しいタッチで穏やかな調べを奏し始まる第2楽章。
ヴァイオリンに旋律が移りピアノは伴奏に。
抒情的な美しさを湛えた調べ。
ピアノとヴァイオリンが交互に奏される美しい歌。
ピアノを伴奏にヴァイオリンとチェロがともに歌う旋律は
殊更に美しく印象に残ります。
展開部では一時的に激しくなるものの一貫して穏やか。 
久しく聴くことがなかった第2番ですが、この楽章を聴き記憶が甦りました。
第1楽章は明るい希望と喜びを
第2楽章は夢、憧れを感じさせるようです。

歯切れ良くリズミカルに始まる第3楽章。
明るく活発に奏されるピアノ。
ピアノの主導でヴァイオリン、チェロは控え目に
弾むような趣で進められる曲。 
トリオでは生き生きとした活気。そして激しい動きも。
このトリオ以降、影の薄かったチェロの存在がピアノ、ヴァイオリンと対等になるような。
ピアノの低域での力強い響き。プレスラーの打鍵に魅了されます。
曲が終わりに近付きピアノの跳ねるような伴奏に
チェロとヴァイオリンの対話が印象的です。 
速く力強い3つの楽器が奏され、応酬となり力強く閉じられる第3楽章。

ピアノの主導で弦が補助をするように奏され始まる第4楽章。
柔和な曲の開始。
オーケストラ演奏よりも激しさが軽減されているようにも感じられます。
この楽章ではチェロも最初から存在感を示し3つの楽器が対等に奏されるよう。
意気込みや決意を感じさせるような楽章のように感じます。
大らかな雰囲気で迎える曲の終わり。


ベートーヴェンの交響曲第2番はあまり聴かない曲でした。
「どのような曲だった?」と想いつつこのディスクを聴き、曲を想い出した次第。

交響曲をピアノ版に編曲をしたものには関心があり
他作品でもいろいろと聴いたものでしたが
ピアノ三重奏曲への編曲は初めて耳にするものです。

聴き始めると原曲のオーケストラ演奏以上に興味をそそられました。
曲全体の見通しが良く、旋律も克明に感じられるようです。
曲を主導し大活躍のピアノからは曲想がストレートに伝わってくるようにも
感じられます。
ボザール・トリオのこのBox ではいつも耳を奪われてしまうプレスラーのピアノ。
特に第1楽章のプレスラーのピアニズム
またコーエンのヴァイオリンにも惹き付けられます。
明るい希望、喜びを抱きつつ前進をするような
歯切れの良いピアノとヴァイオリン。
個人的にはオーケストラ演奏で聴くよりもこちらのトリオの方が愛着を感じます。 
リフレッシュ作用のある曲でしょうか。
聴いていて明るい喜びに包まれるようでした。


蛇足。いつものオバサンの井戸端会議。
ボザール・トリオの こちらのB ox に問題があるようなのです。
CD27 とCD30 の2枚です。
今回、ベートーヴェンの交響曲第2番のピアノ三重奏曲版を取り出す時に
シューベルトの作品で大好きな「ノットゥルノ」D.897が2種収録されていることに
初めて気が付きました。
「ノットゥルノ」が収録されているCD27 と CD28 を取り出しました。
CD28 は問題がありませんでした。
CD27 のジャケットに入っていたディスクにはCD30の番号が書かれています。
収録曲を確認するとCD30 に収録されている曲。
CD30と書かれたジャケットに入っているディスクのCD番号は30で
問題がないものと想いましたが。
ジャケットとブックレットに記載されている曲と実際に収録されている曲が違うのです。
こうなると、もう・・・アレ???になってしまいました。
CD30 の同じディスクが2枚。
それに加え収録曲、演奏者の違い。
CD30 の収録曲 はブックレット、ジャケット、ショップ・サイトの収録曲情報も同じで
以下の2曲。(ショップ・サイトよりコピーを)

「Disc30
● シューベルト:ピアノ五重奏曲イ長調『ます』
 サミュエル・ローズ(Va) ゲオルク・マキシミリアン・ヘルトナーゲル(Cb)
● クララ・シューマン:ピアノ三重奏曲ト短調Op.17 」

手元のCD30 に収録をされているのは
シューベルト「ピアノ五重奏曲」D.667
同じくシューベルトの「弦楽四重奏曲第14番」D.810 の2曲。
実際に聴いてみても確かにこの2曲でした。
ピアノ五重奏曲の方の演奏は自分なりに調べたところ
クリフォード・カーゾンと(多分)ウィーン・フィルハーモニアSQ らしいのです。
お気に入りの Box だけに・・・残念な想いです。
 
この Box をお持ちの方
お手元の Box はいかかでしょうか? 問題ありませんか?

                  
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Op.387 ブラームス;「交響曲第3番」 by クレンペラー&ニュー・フィルハーモニアO. ~クレンペラー ラスト・コンサート

クレンペラーのラスト・コンサートということで是非、聴いてみたかったディスクです。
このディスクは1972年に引退表明をしたクレンペラーの事実上
最後のコンサートになった1971年9月26日のライヴ録音だそうです。
2枚組の収録曲の中で一番聴いてみたく思っていたブラームス交響曲第3番を。

                  ブラームス交響曲第3番
               クレンペラー ラスト・コンサートより

            クレンペラー・ラスト・コンサート
                        (収録曲)


              ブラームス交響曲第3番 ヘ長調 Op.90

                オットー・クレンペラー指揮
                ニュー・フィルハーモ二ア管弦楽団
        (録音:1971年9月26日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール
                                  モノラル ライヴ)

             第1楽章:Allegro con brio ヘ長調 6/4拍子
             第2楽章:Andante ハ長調 4/4拍子
             第3楽章:Poco allegretto ハ短調. 3/8拍子
             第4楽章:Allegroヘ短調―ヘ長調 2/2拍子


作曲されたのは1883年、ブラームスが50歳の時、夏から秋にかけて
書かれたそうです。
交響曲第2番を完成してから6年振りに書かれた曲とのことです。
ウィーンで生活をしていたブラームスは1883年の5月にウィースバーデンに避暑をし
10月2日にウィーンに帰ったそうです。
ウィースバーデン滞在中の数ヶ月間にほとんど作曲がされていたそうで
ブラームスとしては珍しく速く書き上げられたとのこと。
尚、ウィースバーデンではアルト歌手を志すヘルミーネ・シュピースに惹かれ
恋愛にも似た感情を抱き朗らかで愉しい生活を送ることができたとのことです。

              387ブラームス交響曲第3番 Hans Richter 188年
                     Hans Richter
               (1843年4月4日-1916年12月5日)

初演は1883年12月2日にウィーンの音楽協会ホールで
ウィーン・フィルハーモニーO. の第2回演奏会に於いて
ハンス・リヒターの指揮により行われたそうです。
結果は大成功だったとのこと。
因みに初演された際、聴衆の中にドヴォルザークもいたそうです。

初演を指揮したリヒターはベートーヴェンの交響曲第3番になぞらえ
この曲をブラームスの『英雄』と呼んだそうです。

自分のメモとして寄り道を。Wikipediaを参照しつつ。
ハンス・リヒターは19世紀から20世紀初頭を代表する指揮者。
ウィーン音楽院に学び当初はホルン奏者として活躍した後指揮者に転向。
ハンス・フォン・ビューローに代わりワーグナーの助手を務める。
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」初演の合唱指揮者として参加。
1876年、第1回バイロイト音楽祭において「ニュルンべルグの指輪」全曲を初演。
ブラームスの交響曲第2番、3番を初演しブラームスの作品にも造詣が深かった。
ブラームス自身はイン・テンポ気味で音楽を運んでいくリヒターの解釈を
かなり味気なく感じていたとも言われる。
視覚障害により1911年引退。


本題に戻り、この交響曲第3番はブラームスの4つの交響曲の中では
最も男性的で逞しく最も壮大で最も重々しく、英雄的なもの、とのこと。
演奏時間は4曲中、最も短く約36-7分。
この曲で初めてブラームスは交響曲作者として世界的な名声を確保したそうです。



管楽器が上昇する和音を奏し始まる第1楽章。
すぐ続いて悠然と奏されるオーケストラの雄々しい旋律。
これは全曲の基本動機になっているとのこと。基本動機は第1楽章224章節のなかで60回現れるそうです。大きく上昇しているので迫力があり英雄的に感じられることにより、この基本動機は英雄動機と言われているとのことです。

冒頭の基本動機に続いて力強い第1主題が現れ伴奏のトロンボーンが印象的。
ヴァイオリンが奏する穏やかな調べを経て現れる第2主題。
主題を奏するクラリネットの愛らしさ。
展開部に入り開始のトゥッティは楽章中でも印象的に感じます。
コーダでは基本動機と第1主題が姿を見せ悠然と閉じられる第1楽章。
勇壮、雄大 且つ 生き生きとした明るさ
基本動機の多様な変化、変容を興味深く感じる楽章です。

クラリネットとバス―ンが奏する穏やかな第1主題で始まる第2楽章。
平和な穏やかさが満ち溢れているような旋律。
次にヴィオラが奏する基本動機も静かで穏やか。
主題の変奏パートになり音力が上がり穏やかさから雄大さに転じるような趣に。
現れる第2主題は冒頭の第1主題と同様にクラリネットとバス―ンで。
この主題に漂う暗い寂寥感。
寂しげな旋律を奏するヴァイオリンに呼応する木管楽器。
印象的な主題です。
曲想が変わり活気を帯びた旋律に。そして現れる基本動機。
コーダでは束の間の高揚感も。
穏やかに静かに閉じられる第2楽章。
美しい抒情性をも感じる楽章です。

チェロが主奏する美しい調べで始まる第3楽章。
第1部での耳に馴染み深い有名な旋律。甘美な調べ。
第2部では明るさを見せる調べ。
第3部で再び戻る美しい調べ。歌うホルン、繰り返すオーボエ、バス―ン。
弦は豊かな響きを伴いピッツィカートでの伴奏。
美しい調べで終わる第3楽章。

弦楽器とバス―ンが奏する第1主題で始ま第1楽章。
弱音で奏し始められ不安、緊張が漂うような主題。
現れるトロンボーンはあたかも悲劇の始まりの序曲でもあるかのよう。
トゥッティになり闘争的な雰囲気に。
第2主題が現れ闘争的な雰囲気は消え去り明るい旋律に。
闊歩をするような喜ばしい趣に満ち溢れているように感じます。
トランペットも現れ喜びを告げるかのよう。
トゥッティになり激しい曲想に。
重々しさを伴いゆっくりと静か迎える曲の終わり。


じっくりと繰り返し聴くうちに益々お気に入りになった曲。
ショップ・サイトに、ディスクは音源的にあまり良いものではなく・・・ご了承のうえ、お求めくださるようお願いいたします。
との記載がありました。
クレンペラー・ファン(?になってしまったような)の自分にとっては
音質は二の次、とにかく最後に指揮をされた作品を聴くことができると
感慨深い想いを抱きつつ耳を傾けてみました。
音質は・・・音の分離が悪く感じられ確かに音質は良いとは言えず残念に想われます。
ですが、音質を超越し収録当時86歳のクレンペラーが
指揮棒に託したこの曲への想いは伝わってくるように感じます。
演奏が終わった時、聴衆の「ブラボー」という声と拍手。
ディスクが終了し私自身も心の中で「ブラボー」と拍手を。

手元にある他のディスクでクレンペラーがフィラデルフィアO. に客演した際の
クレンペラー&フィラデルフィアO.
1962年10月28日、ステレオ ライヴ録音 も並行して聴いてみました。
「ラスト・コンサート」の方は音の分離の悪さ他が幸いとなり?曲の美しさが
主として印象に残ります。
フィラデルフィアとの演奏では曲想がしっかりと伝わり、生き生きとした明るさや
叙情的な美しさ、寂寥感などが雄弁とした語りの『英雄』として伝わってくるようです。
どちらの演奏も私にとってはかけがえのないクレンペラーの演奏です。


いつもの蛇足。オバサンの井戸端会議。自分のメモとして。

ディスにの収録された1971年9月26日のクレンペラーのコンサート。
当時、86歳の高齢でもクレンペラーの活動は充実し、新しいものに挑戦する姿勢は
若々しい、と形容したいほどだったとのこと。
この1971年はクレンペラーにとって多忙な年だったそうです。
2月にはエルサレムへの客演に備え、ヘブライ語の学習を始める。
5月、恩師マーラーの没後60年記念公演としてロンドンで演奏時間約99分の
マーラーの交響曲第2番「復活」を指揮。
この公演後にエルサレムに向かいコンサート。
9月にロンドンに戻り、9月18日、19日。20日と21日にはレコーディング。
このディスクに収録された9月26日に迎えたコンサート。
このコンサート後には指揮をしていないので、事実上のラスト・コンサート。
この時の演奏曲目。
ベートーヴェン:「シュテファン王」序曲、ピアノ協奏曲第4番
ブラームス:交響曲第3番  とのこと。

多くのレコーディング計画、コンサートもスケジュールが入っていたとのこと。
1972年1月、ロンドンでのブルックナーの交響曲第7番をキャンセルした後に
演奏活動からの引退表明。
同年末にはレコーディング活動からも引退する。
翌1973年にスイス・チューリッヒの自宅で死去。
以上。

                    
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Op.386 ブラームス:「ヴァイオリン協奏曲」 by ジネット・ヌヴ―;ドヴロウェン&フィルハーモニアO.

この数年来、相も変わらずにブラームスヴァイオリン協奏曲に嵌り込んでいます。
嵌り込む契機になったのは約4年程前に聴いた
オイストラフ;クレンペラー&フランス国立放送O. の演奏でした。
クレンペラーの指揮に目覚め惹かれるようになったのもこの演奏を聴いた時からです。
この演奏を聴く以前の私にとってヴァイオリン協奏曲で一番のお気に入りは
ベートーヴェン。次がブラームスでした。

昔々から大好きだった第3楽章。
今は第2楽章冒頭に惹かれ、以来すっかりこの曲に嵌り込んでしまいました。
と同時に大好きだったベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲に入れ替わり
座を占めるようになったブラームス
以来、多々の演奏で聴いてみたくディスクを求め続けています。

いつもお邪魔をさせていただいているブログでジネット・ヌヴ―の演奏による
ブラームスヴァイオリン協奏曲の記事を拝読しました。
ジネット・ヌヴ―は私にとっては未知のヴァイオリ二スト。
ヌヴ―の7枚組 Box にはラームスのヴァイオリン協奏曲が4種収録されて
いるとのことで嬉々として入手をしてみました。
4種のブラームスヴァイオリン協奏曲を聴くことができると想うだけで
聴く前から喜びとドキドキの有様。
Box が届き落ち着いて収録曲を見るとベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲が
2種収録されていました。
心がときめく出合いの Box です。

                 ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
                 ジネット・ヌヴ―・コレクションより

             386:ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ジネット・ヌヴー・コレクション
                        (収録曲)

             ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.77
             シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調 Op.47

                     ジネット・ヌヴ―(Vn)
       (ブラームス)イザイ・ドヴロウェン&フィルハーモニア管弦楽団
       (シベリウス) ワルター・ジュスキント&フィルハーモニア管弦楽団
                (録音:ブラーム 1946年8月16-18日)
                     シベリウス 1945年11月21日)


こちらのヌヴ―・コレクションには1939-49年に録音されたものだそうです。
収録されている4種のブラームスのヴァイオリン協奏曲をメモとして。
ディスク1:上記のもの。
ディスク2:ロジェ・デゾルミエール&フランス国立放送管弦楽団(1948年) 
ディスク3:ハンス・シュミット=イッセルシュテット&北西ドイツ放送交響楽団(1948年)
ディスク4:アンタル・ドラティ&ハーグ・レジデンティ管弦楽団(1949年)


この曲の復習を兼ね以前の記事と重複しますがメモとして。
作曲に着手したのは1878年7月頃だったそうです。
この年の前後はブラームスの創作力が充実していた時期で
大きなスケールの作品が次々と書き上げられていたそうです。
翌1877年には交響曲第2番。
その翌年、1877年にこのヴァイオリン協奏曲が完成したとのこと。

初演は1879年1月1日、ライプツィヒのゲヴァントハウスに於いて
ヴァイオリンがヨーゼフ・ヨアヒム、ブラームスの指揮で行われたそうです。

献呈はヨアヒムに。
ブラームスは終生続いたヨアヒムの友情に報いるために
立派なヴァイオリン協奏曲を作曲して贈りたい、という考えを
抱いていたそうです。

この曲が発表された時にハンスリックが評した有名な言葉。
 「ブラームスとヨアヒムの友情の樹になった良く熟した果実」

この曲を聴いていて思い出すのはサラ=サーテ。
ヴァイオリン独奏部に華やかさを持たせることがなく
苦労をして弾く割りには面白みがない曲、との評価もあるそうです。
曲が発表された当時からだいぶ後になるまで敬遠をされていたとのこと。
サラ=サーテに関するエピソード。
「サラサーテは第2楽章で独奏ヴァイオリンが美しい主題を奏する前に
 オーボエが前もってたっぷりとこの旋律を奏することにクレームを付け
 そんなに長々と待たされるのは我慢できないと言って この曲を弾きたがらなかった」  
とのことです。


さて、今回ヌーヴで4種の演奏、特に第2楽章を主として聴いてみました。
印象に残っているのは4種の中では一番古い1946年録音
イザイ・ドヴロウェン&フィルハーモニア管弦楽団 との演奏です。
気迫や勢い、強靭さ、スケールの大きさが最も強く感じられるようです。
録音年代順にディスク1から4までに収録されているようです。
年代が新しくなるほどにヌヴ―のヴァイオリンに柔らかさや大らかさが
感じられるように思いました。

第2楽章では長い冒頭のオーボエの調べが続いた後に
奏し出される独奏ヴァイオリン。
ソット・ヴォーチェそのもののように、弱く小さく静かに歌い始めるヴァイオリン。
ヌヴォ―は哀感のある美しい調べを客観的な感覚で捉えているように感じられます。
ヌヴ―のヴァイオリンはブラームスの心情(自分で勝手に想像)に迫るかのように
静かに美しく歌い上げているように耳に、心に響きます。

ブラームスでハッとしたもの束の間。
次曲のシベリウスでもまた、ヌヴ―のヴァイオリンにハッとするものがありました。
「シベリウスのヴァイオリン協奏曲って、こんなに良かった?」と自問を。
シベリウスのヴァイオリン協奏曲は特に好きと言える作品の仲間には
入らなかったのですが・・・・。
この曲に初めて好感を抱き他のいろいいろな演奏を聴いてみたい
との想いを抱くキッカケを与えてくれたヌヴ―です。

ブラームスからシベリウスへ、ヴァイオリン協奏曲からソナタへと話が逸れますが。
ディスク2 に収録されているブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番。
ブラームスのヴァイオリン・ソナタでは一番のお気に入りの曲。
ピアノのジャン=ポール・ヌヴーはジネットの兄上だそうです。
ヌヴ―で聴く第3番の所為でしょうか
それともお気に入りの曲だからでしょうか
心に染み入るソナタ第3番に久しぶりに出合うことができたように想います。

先日、ブラームスのヴァイオリン協奏曲がお目当てで求めた
フランチェスカッティの超廉価盤Box。
楽しみにしていたフランチェスカッティ&ユージン・オーマンディ&フィラデルフィアO.
のブラームス。
安堵感を抱いて耳を傾けていられるフランチェスカッティ。
冒険心(?)を感じさせるようなヌヴ―。
対照的なヴァイオリニストのようにも感じます。

ヌヴ―の Box を駆け足のように聴いてきましたので
これからゆっくりと耳を傾けたく思います。


蛇足。いつものオバサンの井戸端会議。メモとして。
未知のヌヴ―でしたがショップ・サイトの記事他を参照しつつ。
ジネット・ヌヴ― 1919年8月11日-1949年10月28日 
大西洋アゾレス諸島で飛行機事故により逝去。29歳。

ヌヴ―は母親がヴァイオリン教師、父親もヴァイオリンを嗜む音楽一家に生まれたそうです。
1930年(11歳)。パリ音楽院卒業
1931年、ウィーンのコンクールに参加。ヴァイオリニストのカール・フレッシュ教授に才能を見いだされ、4年間、フレッシュの指導を受ける。
1935年(15歳)。ワルシャワでのヴィエニヤフスキー国際ヴァイオリン・コンクールに出場。
第1位入賞。因みにこの時のコンクールでダヴィッド・オイストラフ(当時26歳)は2位入賞とのこと。
1936年にニューヨーク、1938年にベルリンでデビュー。一躍スターに。
ヴァイオリニストとしてのキャリアの最初に演奏をしたのがハンブルクに於いてのブラームスのヴァイオリン協奏曲だったそうです。
その後、第二次世界大戦の勃発。 大戦中は演奏活動を中断。
フランスに平和が戻り1歳年上の兄ジャン=ポール・ヌヴ―のピアノ伴奏にて演奏活動を開始。
1949年10月20日、パリでのリサイタルがヌヴーの最後の演奏会に。
1949年10月27日、兄のジャンと共に3度目のアメリカ演奏旅行に向けて旅立つ。
搭乗していた飛行機が大西洋アゾレス諸島の主島サンミゲル島の山中に墜落。
乗員と48名の乗客全員死亡。
ヌヴーの遺体は、発見された時に愛器ストラディヴァリウスを両腕に抱え込むようにしていたと伝えられる、そうです。


                  
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Op.385 フォーレ:「ヴァイオリン・ソナタ第1番」 by フェラス&バルビゼ

フォーレのヴァイオリン・ソナタを聴いたことがないと思っていたのですが
ソナタ第2番は一年ほど前に既に聴いていたようです。
聴いた曲も忘れてしまったりetc.・・・年齢的に憂慮すべき兆候でしょうか。

昨年の春、第1番、2番を聴き気に入った第2番を拙ブログで云々していました。
第1番の方は当時、1回聴いただけで今日に至ってしまいました。
第1番を聴きつつ、一年ほどの時の経過とともに
フォーレの音楽に対する感じ方に変化が起きてきたように感じます。
本来の自分に戻ったと言うべきかも知れませんが。

昔々のLP時代に聴いたクリスティアン・フェラス。
懐かしさで求めた廉価盤Box から聴いてみました。

                フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番
                クリスティアン・フェラス名演集より


                385:フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 フェラス&バルビゼ
                         (収録曲)
            フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 Op.13
                  ヴァイオリン・ソナタ第2番 ホ短調 Op.108

                    クリスティアン・フェラス(Vn)
                    ピエール・バルビゼ(P)
                (録音:第1番 1957年;第2番 1953年)


               第1楽章:Allegro molto イ長調 2/2拍子
               第2楽章:Andante ニ短調 9/8拍子
               第3楽章:Allegro vivo イ長調 2/8拍子
               第4楽章:Allegro quasi presto 6/8拍子


作曲されたのは1876年
フォーレの作品では最初期に属するそうです。
このソナタが作曲される年までにフォーレは「夢のあとに」などの歌曲を
33曲、作品番号にして13、合唱曲を3曲、ピアノ曲を14曲、作曲出版を
していたそうです.
声楽とピアノ以外の領域での作曲はこの曲が最初だったとのことです。
曲が書かれたのはサン=トレノの教会オルガ二ストとして在職中の31歳頃に。
この第1番の作曲の後、40年を経て第2番が作曲されたとのこと。

初演は1877年1月27日、国民音楽協会の演奏会において
マリー・タヨーのヴァイオリン、フォーレ自身のピアノにより行われたそうです。

フェラス&バルビゼで聴くフォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番

ピアノが奏する美しい第1主題で始まる第1楽章。
旋律を繰り返すヴァイオリン。
優しく美しい調べです。
次にヴァイオリンで奏し始められる第2主題。
夢見るように、そして憧れを感じさせるようです。
ヴァイオリンに呼応するピアノ。
ピアノはヴァイオリンにしっかりと寄り添うように。
フェラスとバルビゼの温もり、柔らかさを感じさせるように奏される旋律。
ヴァイオリンとピアノが流麗な調べを奏しつつ閉じられる第1楽章。

低音でゆっくりと奏されるピアノで始まる第2楽章。
すぐにヴァイオリンの主奏に。
ピアノが奏するリズムを伴奏に歌うヴァイオリン。
甘美な歌です。
気が付くと第2主題に。
ヴァイオリンの歌に加わるピアノは積極的な趣で。
中間部で第1主題をゆったりと歌うヴァイオリン。
ピアノは呟きのような伴奏を。
第1主題から第2主題へと奏される旋律。
ヴァイオリンとピアノが名残惜しそうに奏され終わる第2楽章。
前楽章と同じように美しく、憧れ、夢を感じる楽章でしょうか。 

ヴァイオリンとピアノ、2つの楽器の目まぐるしい動きで始まる第3楽章。
ピアノの駆け抜けるような伴奏に
ピッツィカートを織り交ぜつつ奏されるヴァイオリン。
2つの楽器からはユーモラスな雰囲気も感じられるようです。
トリオでは落ち着きを感じさせるもの
再び目まぐるしく駆け巡りつつ奏され閉じられる楽章。

ヴァイオリンが軽やかに奏され始まる第4楽章。
ピアノが軽快に伴奏を。
軽やかで美しいこの主題。
音力が強くなり熱情的な雰囲気へと変化する2つの楽器。
活気のあるヴァイオリンとピアノは力強く応酬をしているかのよう。
華麗に力強く迎える曲の終わり。


美しい曲。
フォーレのヴァイオリン・ソナタ第2番を聴いてから1年程が経ち
当時は旋律の美しさに魅了をされ感銘を受けたものでした。
この作品でもフォーレの音楽の美しさを堪能をさせてくれるようです。
美しい・・・ですが、その美しさがシャボン玉のように想うようになりました。
耳には快いのですが、残ることなく消え去ってしまうような美しさ。
少なくとも個人的には心を打つ美しさではないように感じられてしまいます。

フェラスのヴァイオリンが素直な雰囲気で耳に伝わってくるようです。
昔々、耳にしたフェラスの演奏に懐かしさを感じつつ耳を傾けておりました。
フェラスの共演者として名高いバルビゼのピアノは初めて聴くものです。
第2楽章でのバルビゼのピアノが奏するリズムが印象的です。
ヴァイオリンとのバランスを保ち良きパートナー的存在のように感じられます。
ショップ・サイトの解説で知ったのですが
バルビゼは1963年から亡くなるまでマルセイユ音楽院の院長も務めたとのことです。
この曲の録音当時、フェラスェは華々しく活躍し
バルビゼはマルセイユ音楽院院長として駆け出した頃でしょうか。

前途洋々な若い日のフェラスとバルビゼの
美しくも生き生きとしたフォーレのように感じられました。

                  
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Op.384 ベートーヴェン:「ヴァイオリン・ソナタ第7番」 by フランチェスカッティ&カサドシュ

ベートーヴェンヴァイオリン・ソナタは好みのジャンルでもあり
一応全10曲を聴いた・・・つもりでいました。
「こんなに良い曲だった?いままで何を聴いていたのか」と思うことが
多くなっている昨今です。
今回ソナタ第7番の第2楽章に耳を傾けつつ同じ問いかけを。
「この曲の何を聴いていたのか?」

待ち焦がれていたディスクが届きました。
いつもお邪魔をさせていただいているブログでブラームスのヴァイオリン協奏曲
フランチェスカッティ;オーマンディ&フィラデルフィアO.の演奏の記事を拝読しました。
ブラームスのヴァイオリン協奏曲ともなると・・・相変わらず惹かれ続けています。
フランチェスカッティの演奏では2種のディスクで聴いておりました。
オーマンディ&フィラデルフィアO. の演奏も是非、聴いてみたく求めたのが
こちらの Box 「フランチェスカッティ名演集」。
10枚組の廉価盤でとても助かります。
収録曲にベートーヴェンヴァイオリン・ソナタ第7番が目に付き
ブラームスをさて置いて早速、聴いてみました。
フランチェスカッティ&カサドシュの演奏です。

             ベートーヴェンヴァイオリン・ソナタ第7番
                 フランチェスカッティ名演集より

           384:ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第7番フランチェスカッティMilestones of a legend
                        (収録曲)

         ベートーヴェンヴァイオリン・ソナタ第7番 ハ短調 Op.30-2
                   ヴァイオリン・ソナタ第8番 ト長調 Op.30-3

                  ジノ・フランチェスカッティ(Vn)
                  ロベール・カサドシュ(P)
                      (録音:1953年)

           第1楽章:Allegro con brio ハ短調 4/4拍子
           第2楽章:Allegro con brio 変ニ長調 2/2拍子
           第3楽章:Scherzo. Allegro ハ長調 3/4拍子
           第4楽章: Finale. Allegro – Presto ハ短調 2/2拍子



作品30の3曲のヴァイオリン・ソナタ
 第6番 作品30-1
 第7番 作品30-2
 第8番 作品30-3
は1801-02年にかけて書かれたそうです。

この年1802年に交響曲第2番のスケッチをほとんど済ませたベートーヴェン
5月からウィーンの郊外ハイリゲンシュタットに半年の間滞在したそうです。
この滞在中に交響曲第2番、この作品30の3つのヴァイオリン・ソナタそして
作品31の3つのピアノ・ソナタを次々と完成させていったとのことです。
ベートーヴェン31歳-32歳の頃でしょうか。

1798年頃から自覚されていた難聴の兆候がハイリゲンシュタット滞在の頃には
一層悪化した時期だったそうです。
そして10月に書かれたのが「ハイリゲンシュタットの遺書」。
余談になりますが「ハイリゲンシュタットの遺書」についての平野昭氏の記述を引用。

 「『遺書』が伝えているのは死にゆく者の言葉ではない。
  あらゆる苦難を克服した者の精神的清算と力強い決意に燃えた
  新しい生への宣言である。
  『遺書』を認めた彼はこの後、すぐに分厚いスケッチ帳を抱えてウィーンに戻り
  これまでにない充実した筆致で次々と傑作を完成させてゆくのである。」


               384ベートーヴェン ヴァイオリン.ソナタ第7番 ロシア皇帝アレキサンドル1世
                Aleksandr Pavlovich Romanov
             (1777年12月23日 - 1825年12月1日)

ヴァイオリン・ソナタ作品30の3曲はロマノフ朝第10代ロシア皇帝
アレキサンドル1世に献呈されたとのことです。


フランチェスカッティ&カサドシュで聴く
ベートーヴェン、ヴァイオリン・ソナタ第7番

ピアノで奏される緊張した趣の第1主題で始まる第1楽章。
すぐに同じ旋律を繰り返し奏されるヴァイオリンからも厳しさのような雰囲気が。
伴奏のピアノの左手は荒々しさを感じさせる力強さ。
激しく熱情的な経過部を経て現れる第2主題。
付点リズムで軽快に奏されるヴァイオリンとピアノ。
2つの楽器は弱音から強音へのクレッシェンドを繰り返し
ドラマティックな雰囲気に。
強音のまま展開部に。
漂う熱気から穏やかな旋律がヴァイオリンに奏されるのも束の間の一息。
再現部での明るく弾むようなヴァイオリンとピアノの第2主題も印象的です。
コーダに入りここでも弱音から強音へのクレッシェンドが
激しい熱気を醸し出しているよう。
盛り上がりの中でドラマティックに閉じられる第1楽章。
息を付かせないような気迫を感じる楽章でしょうか。

ピアノがゆっくりと思索をするかのように奏されて始まる第2楽章。
美しく柔和な旋律を奏するピアノ
ヴァイオリンも優しく悲しげに奏され
美しい旋律です。素朴な調べです。
美しさの中に悲しみの影が漂い染み入るような調べです。
同じ旋律を奏するヴァイオリン。
より一層、強い感銘を受けます。
ピアノとヴァイオリンの優しい対話のように続く調べ。
フランチェスカッティとカサドシュが各々に
一音一音を慈しむように紡ぎ出す旋律。
ヴァイオリンが奏する美しい歌には魅了されます。
昔はこの旋律の美しさに気付くことがなかったにも拘らず
昔から聴き馴染んでいる旋律のように感じられます。
長年、心の中に根を張っているような調べで親しみ、懐かしさに似た感覚。
不思議な感覚を抱きつつ飽くことなく耳を傾けてしまいます。
静かに閉じられる第2楽章。
ピアノとヴァイオリンの美しく平和な歌の楽章でしょうか。

溌剌とした明るいピアノの旋律で始まる第3楽章。
明朗、軽快なピアノとヴァイオリン。
この主部に漂う明るく愉しげな雰囲気。
ヴァイオリンとピアノが愉しげに小躍りをしている情景を思い描いてしまいます。
カサドシュのピアノの軽やかでリズミカルなタッチが印象的。
トリオではピアノとヴァイオリンが聴かせてくれる穏やかな歌。
溌剌とした明るさでり閉じられる第3楽章。

ピアノの低音域で素早く奏され始まる第4楽章。
第1楽章と同じような緊張感が漂っているようです。
すぐに強音になり気迫が迸るよう。
切れ味鋭く奏されるピアノとヴァイオリン。
束の間、顏を見せる流麗な美しい調べ。
再び溌剌と漲る活気。
ヴァイオリンとピアノの迫力のある峻烈な応答。
力強く激しい気迫のうちに迎える曲の終わり。


緊張感溢れる第1楽章。
美しく平和の歌の調べの第2楽章。
溌剌と明朗な第3楽章。
そして終楽章の迫力、気迫。

フランチェスカッティ&カサドシュ。
第2楽章に惹かれ聴き始めたものの・・・・。
第4楽章での気迫、迫力には圧倒されます。
カサドシュのピアノには馴染み薄でしたが
第3楽章のメリハリの効いたピアノ・タッチを耳にして
ピアノ・パートにも目が覚めるようです。

曲が終わり、第1楽章と第4楽章は息を呑む想い。
対照的に第2楽章の穏やかで平和な美しさを湛えた第2楽章には
すっかり魅了されます。
第2楽章では他の演奏からはあまり感じられなかった悲しげな表情が
この2人の演奏からはハッとするように感じられるようです。
第5番の柔和な長閑さと、第9番の気迫がこの曲に凝縮されているようにも
感じます。

フランチェスカッティ&カサドシュの演奏で
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集をいつか・・・と夢を抱き始めました。

ブラームスのヴァイオリン協奏曲がお目当てで求めた Box ですが
早々とベートーヴェンに寄り道をしてしまいました。
お目当てのブラームスをこれから楽しみにしつつ。

                  
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Op.383 メンデルスゾーン:「交響曲第2番『讃歌』」 by マズア&ゲヴァントハウスO. ボ二ー、ウィーンズ&シュライアー

前回のメンデルスゾーン交響曲第1番に引き続いて第2番を聴いてみました。
第1番と同じく第2番も初めて聴く曲です。
カラヤン&ベルリンフィル、サヴァリッシュ&ニュー・フィルハーモニO. そして
マズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO. 3種の演奏を聴いてみました。

キリスト教では4月9日の受難の主日からの聖週間、今日は復活徹夜祭。
そして明日4月16日は復活祭。
この時期に耳を傾けるメンデルスゾーン交響曲第2番「讃歌」は
心の中で復活祭と密接に結びついてしまいます。
カンタータの歌詞で旧約聖書からの詩篇他の一句一句が
メンデルスゾーンの音楽とともに心に染み入ります。

                メンデルスゾーン交響曲第1番
                クルト・マズア&ゲヴァントハウスO.
       メンデルスゾーン交響曲全集、弦楽のための交響曲全集より

             382:交響曲全集、弦楽のための交響曲全集 クルト・マズア&ゲヴァントハウス管弦楽団
                         (収録曲)
          メンデルスゾーン: 交響曲第2番変ロ長調 Op.52「讃歌

                 クルト・マズア指揮
                 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
                 ライプツィヒ放送合唱団

                 バーバラ・ボニー(S Ⅰ)
                 イーディス・ウィーンズ(S Ⅱ)
                 ペーター・シュライアー(T)
                 ミヒャエル・ショーンハイト(Org)
                     (録音:1988年4月)


作曲された時期について門馬直美氏によると
メンデルスゾーンの1839年1月1日付け書簡を根拠とし
その前年、1838年末には作曲に取り掛かっていたと推定されるようです。

メンデルスゾーンはこの曲に「讃歌ー聖書の言葉による交響カンタータ」
“Sinfonie-Cantate Lobgesang” とのタイトルを付けたそうです。
讃歌」というのはメンデルスゾーン自身が考察した題名で
「交響カンタータ」というのはイギリス在住のメンデルスゾーンの友人の
カール・クリンゲマンが考えついたものだそうです。

曲は1部と2部、10曲で構成されているそうです。
第1部はシンフォニアで3楽章構成。
第2部がカンタータになっているとのこととのことです。
カンタータの歌詞はルターによるドイツ語訳聖書から選び出したとのこと。

1840年6月に印刷術の発明者ヨハネス・グーテンベルク400年記念祭が
ライプツィヒで開催される祝祭のためにライプツィヒ市からの依頼で
メンデルスゾーンは2つの曲を書いたそうです。
一つは男声合唱と吹奏楽団のための「祝典歌(Festgesang)」
通称「グーテンベルク・カンタータ」。
そしてもう一つがこの曲、交響曲第2番「讃歌」とのことです。
メンデルスゾーンは本来このような形態の曲を書き上げるつもりはなく
器楽用の交響曲の構想とカンタータ風の構想とが一体になり出来上がったそうです。
「祝典歌」の方はメンデルスゾーンがを気に入らずに
生前には出版しなかったとのことです。

讃歌」の総譜にメンデルスゾーンは作品のモットーとして
マルティン・ルターの次の言葉を書き記したそうです。
 「私は芸術を与え、贈られた主への奉仕の中で、あらゆる芸術を
 特に音楽を見たいのだ」

ベートーヴェンの交響曲第9番に似た構成のものとなったこの曲。
メンデルスゾーン自身はベートーヴェンの第9交響曲の模倣と見なされることを案じ
合唱の部分を拡大し、第1から第3楽章までを完全に単なる祝典的な序奏のものに
なるようにしたそうです。

初演は1840年6月25日にグーテンベルク400年記念行事の
一つとしてメンデルスゾーン自身の指揮により
ライプツィヒの聖トーマス教会で行われたそうです。
この初演の後、同年に更に3回演奏されたとのこと。
そのうちの2回はザクセン王フリードリヒ・アウグスト2世の希望だったそうです。

尚、初演には友人のシューマンも出席していたそうです。
この初演を聴いたシューマンの次のような批評を書いたとのこと。
「全体の形式は、この目的のためにはこれ以上に効果的になるとは思えないほどのものであった。全曲には情熱が溢れていて、確かに作品は、特に合唱の楽章はメンデルスゾーンのもっとも新鮮でもっとも魅力ある創作に数え入れられるべきものとなっている。・・・われわれは細部については述べないが、それにしても合唱に中断される二重唱『私は主を待ち焦がれ』のあとでは、演奏会場の大きな拍手よりもずっと教会では価値があることなのだが、ざわめきが聴衆の間に広まっていたのだ。」

この初演の後にメンデルスゾーンは声楽部分の改訂をし
第6曲、第8曲、第10曲が追加され原典版とは異なっているそうです。
改訂版は同年11月に完成し、12月3日にライプツィヒのゲヴァントハウスで
初演されたとのことです。
曲の献呈はフリードリヒ・アウグスト2世に。


初めて聴くメンデルスゾーンの交響曲第2番「讃歌」。

厳かなトロンボーンで奏される序奏で始まる第1楽章。
このトロンポーンが奏する旋律は曲全体の主題となる基本主題になっているそうです。
厳かな中にも祝祭的な喜びの雰囲気が漂っているよう。
簡潔で覚え易い主題を耳にして第1楽章から曲に親しみを感じます。
主部に入り第1主題の明るい躍動感。
第2主題での穏やかな雰囲気。
そして再び躍動的に。
活気を感じさせるリズムが進行役のように曲は進み
楽章の終わり頃に静かに吹奏されるクラリネット。
そのまま第2楽章に。

前楽章から一転してリズミカルに始まる第2楽章。
トリオでは流麗で美しい旋律が。
オーボエが奏する基本動機の変形に懐かしさのような心情に。
終始伴奏のように、あたかも通奏低音を連想させるかのように
奏されるピッツィカートはチェロでしょうか。
典雅な趣を湛えた楽章。
流麗な雰囲気を漂わせつつ楽章の終わり。

荘厳で重厚な響きで始まる第3楽章。
弦の重厚さとは対照的に明朗な木管たちが印象的です。
この楽章にも前楽章と似たような優雅な雰囲気が漂っているよう。
ゆったりと閉じられる第3楽章。


一番目に聴いたカラヤン&ベルリン・フィルの演奏に聴き応えを感じました。
が、声楽のソリストが個人的には・・・。
声楽のソリスト重視でマズア&ゲヴァントハウスO. がお気に入りになりました。
祝祭的な雰囲気よりも地味な趣の演奏のように感じられます。
オーケストラ部分をカラヤン盤から、声楽部分をマズア盤からピックアップを
した演奏が個人的な理想かも。

マズア盤でのシュライアーボ二ーは大のお気に入りです。
ソプラノのイーディス・ウィーンズは初めて耳にしました
ボ二ーとは対照的な声質、歌唱で・・・。
シュライアーは想像していたよりもオペラティックな歌唱でしょうか。
歌詞を、心で捉え、心で歌っているような感情の豊かさ。

第2部で印象に残り圧巻と感じられたのは
第5番から第8番。そして最後の第10番です。

第10番の力強く歌い始められる男声合唱の歌詞を
この曲から受けた感動を噛みしめつつ引用を。
「お前たちの種族よ、王よ、大地よ、天よ、主に栄光と権力を与えよ。
すべての者は主に感謝し、栄光を褒め称えよ」

                  
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Op.382 メンデルスゾーン:「交響曲第1番」 by マズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

メンデルスゾーン交響曲第1番、聴くことがないまま年月が過ぎ去ってしまいました。
メンデルスゾーン交響曲全集を求めると交響曲第3番以降は聴くのですが
第1番、第2番は未聴のままです。

先日、ブログ仲間の御方がメンデルスゾーン交響曲第1番を
お取り挙げになられていらっしゃいました記事を拝読し
関心が湧いてきました。
早速、手持ちの全集からアバド&ベルリン・フィルで聴き好感を抱きました。
メンデルスゾーンとは縁の深いライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
マズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の全集も見つかりました。

お気に入りのマズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏で
「弦楽のための交響曲全集」が目的で求めてあったものです。
交響曲第1番をマズアゲヴァントハウス管弦楽団で。

                メンデルスゾーン:交響曲第1番
                クルト・マズア&ゲヴァントハウスO.
       メンデルスゾーン:交響曲全集、弦楽のための交響曲全集より

             382:交響曲全集、弦楽のための交響曲全集 クルト・マズア&ゲヴァントハウス管弦楽団
                         (収録曲)
             メンデルスゾーン:交響曲第1番ハ短調 Op.11
                         交響曲第5番ニ短調 Op.107「宗教改革」

                   クルト・マズア指揮
                   ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
                    (録音:1989年4月 ライプツィヒ)

            第1楽章:Allegro di molto ハ短調 4/4拍子
            第2楽章:Andante 変ホ長調 3/4拍子
            第3楽章:Menuetto:Allegro molto ハ短調 6/4拍
            第4楽章:Allegro con fuocoハ短調 4/4拍子


曲は1824年に入り間もなく着手され、同年前半には書き上げられたそうです。
メンデルスゾーンが15歳の誕生日を迎えた前後に書かれた作品とのこと。
この当時のメンデルスゾーンは後年とは違い
作風を積極的に変化させていたそうです。

「交響曲第1番」とされているこの曲、実際には13番目の曲に当たるそうです。
長くなりますが・・・・。
メンデルスゾーンの最初に出版された交響曲は
この曲、ハ短調作品11だったそうです。
その際には草稿に「交響曲第13番」と記されていたとのことです。
19世紀後半にメンデルスゾーン作品全集が刊行される際に
ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社は
メンデルスゾーンが初期に作曲した12曲、現在「弦楽のための交響曲」と
呼ばれている12曲に対し草稿の紛失、習作、或いは試作的なものとの観点から
それら12曲は無視され作品11に「交響曲第1番」と記されたとのことです。

初演は1827年2月1日、ライプツィヒにおいて
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団により行われたそうです。
指揮は1810年から1827年にかけて、このオーケストラの常任指揮者を務めた
ヨハン・フィリップ・クリスティアン・シュルツとのこと。
尚、この初演の後1829年5月25日にメンデルスゾーンは初めて訪英をし
ロンドンのフィルハーモニック協会の演奏会でこの曲を指揮し
大成功を収めたそうです。
この時の演奏では第3楽章のメヌエットの代わりに1825年作曲の
「八重奏曲」からのスケルツォを自身が管弦楽に編曲したものを
挿入したとのことです。
以来、このスケルツォ楽章を持つ形で演奏されることも多かったそうですが
やがて元来のメヌエットを置く演奏が普通になったとのことです。

曲はロンドンのフィルハーモニック会に献呈。
この事由もありメンデルスゾーンは1829年に協会の名誉会員に選出されたそうです。 
曲の草稿も協会の図書館に保存されているとのこと。


初めてマズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハウスO. で聴く
メンデルスゾーンの交響曲第1番

颯爽とした雰囲気の第1主題で始まる第1楽章。
ティンパニも加わり覇気に溢れ活力を感じる主題。
第2主題ではヴァイオリンと木管の軽やかな美しい調べ。
この楽章を聴いていると希望に溢れた前途洋々な気持ちになります。
輝くばかりの明るさ、溌剌とした活発さ。
意気揚々と歩むような雰囲気で。
力強く覇気を感じさせつつ閉じられる第1楽章。

穏やかに厳かな趣で始まる第2楽章。
柔和で美しい旋律が印象深い第1主題。
木管が主体となり奏される田園の穏やかさを想わせる第2主題。
柔和で美しい調べ。
弦と木管が優しく応答をする楽章でしょうか。
木管で穏やかに閉じられる第2楽章。
お気に入りの楽章になりました。

第1楽章と似たような趣の主題で始まる第3楽章。
中間部で主奏をする木管、弦は伴奏のように。
厳かな雰囲気に包まれているよう。
中間部を経て弦と木管が克明に刻むリズムが溌剌とした感じ。
悠然とした趣で閉じられる第3楽章。

流動的な旋律の第1主題で始まる第4楽章。
ティンパニやトランペットが加わり勇壮な趣を醸し出しているよう。
突然、静かになり終える展開部。
弦のピッツィカート、奏する木管たちに加わるティンパニ。
炸裂するような明朗感でしょうか。
ティンパニの連打、吹奏されるトランペット。
華やかに活力を伴い閉じられる曲。


溌剌と、活き活きとして15歳のメンデルスゾーンの
意気込みを感じるような曲でしょうか。
この曲から受ける印象とは隔絶な状況を迎える後年のメンデルスゾーン。
メンデルスゾーンに降りかかる多々の出来事が脳裏に浮かんでしまいますが。
それはさて置き、清々しい気分で曲に耳を傾けていました。
この曲に出合うことができ足取りが軽くなるような気分。

マズア&ゲヴァントハウスO. の演奏を聴きつつ
旋律に垣間見る美しさ。
メンデルスゾーン特有の(「具体的にどのような?」と尋ねられると返答ができないのですが)美しさに惹かれます。
予想をしていた以上に気に入った第1番。
未聴の第2番も楽しみになってきました。

                 
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Op.381 ベートーヴェン;「弦楽四重奏曲第12番」 by ズスケ四重奏団

冬に逆戻りをしたような今日一日でした。
明日からは春が戻ってくるようです。
明るい日差しの春に似つかわしい曲。
ベートーヴェン弦楽四重奏曲第12番。
ズスケ四重奏団の演奏で聴いてみました。

               ベートーヴェン弦楽四重奏曲第12番
                       ズスケ四重奏団
                ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集より

            381:ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第12番 ズスケ四重奏団
                        (収録曲)
        
         ベートーヴェン弦楽四重奏曲第12番 変ホ長調 Op.127
                   弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 Op.133」
 
                     ズスケ四重奏団
           Karl Suske(Vn. 1) ; Klaus Peters(Vn.2)
           Karl-Heinz Dommus(Vla.) ; Matthias Pfaender(Vc.)
             (録音:1978年11月 ドレスデン ルカ教会)

       第1楽章:Maestoso - Allegro 変ホ長調 2/4拍子
       第2楽章:Adagio ma non troppo e molto cantabile
             変イ長調 12/8拍子
       第3楽章:Scherzando vivace 変ホ長調 3/4拍子
       第4楽章:(原譜には速度記号の記述がなく通常はPresto 或いは
              Allegro で演奏とのこと) 変ホ長調2/2拍子


作曲されたのは1822年から25年にかけてだそうです。
ベートーヴェンは30代の終わりに弦楽四重奏曲第10番「ハープ」と
第11番「セリオーソ」を書いて以降、10年余の間は弦楽四重奏曲を書くことは
なかったとのことです。
再び弦楽四重奏曲を書き始める頃には50歳を過ぎていたそうです。
当時のベートーヴェンはピアノ・ソナタの創作はすべて終わり
交響曲第9番と「ミサ・ソレムニス」の時代だったとのこと。
弦楽四重奏曲を再び書き始めた契機の一つは
1824年の暮れ頃にペテルブルクの音楽愛好家の貴族ガリツィン侯爵から
数曲の弦楽四重奏曲の依頼があったことだそうです。
伯爵自身、熟練したチェロ奏者でもあったとのこと。

ガリツィン侯爵の依頼により1826年までに3曲の弦楽四重奏曲
第12番 作品127
第13番作品130
第15番作品132
が書かれたそうです。
3曲の中で作品130は最後に完成したそうですが出版順に従い
第13番となっているとのことです。

これらの3曲のうち1曲は1822年のうちにだいたいの構想が
まとまっていたそうです。
1822年6月5日付けの出版社宛ての書簡で
ベートーヴェンは、近いうちに弦楽四重奏曲を渡すことができる、との主旨を
伝えていたそうです。
しかし、交響曲第9番の仕上げに忙殺されるようになり
弦楽四重奏曲の作曲に本腰を入れることができたのは
1824年5月に交響曲第9番の初演の終了後になったそうです。
そのような折に舞い込んだガリツィン侯爵から弦楽四重奏曲の作曲依頼。

             132ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 ガリツィン侯爵
               Nikolai Borissowitsch Golizyn
             (1794年12月19日-1886年11月3日)

ガリツィン侯爵の依頼により書かれた第1作目に当たるこの第12番は
1925年2月(10月の説も)に完成。
3月6日にシュパンツィヒ弦楽四重団により初演されたそうです。


荘厳で重厚な弦の響きの序奏で始まる第1楽章。
序奏から主部への橋渡しをする第1ヴァイオリン。
第1主題が現れチェロを伴奏にリズミカルでありながらも
力強い旋律を奏する第1ヴァイオリン。
度々、顔を出すこの主題は印象的。
再び、第1ヴァイオリンが奏する第2主題に。
序奏の重厚な調べを経て展開部に。
展開部は第1主題の自由な展開とのこと。
展開部の中で繰り返される序奏が印象的。
再現部では明るく軽やかな雰囲気に。
現れる第1主題も明るく。
終始、この楽章で活躍をする第1ヴァイオリン。
コーダでは第1ヴァイオリンが流麗さを感じさせる調べを奏しつつ終わる第1楽章。

第2楽章は自由な変奏曲形式で5つの変奏からなっているそうです。
低弦のゆっくりとした重々しさを感じさせる導入部で始まる第2楽章。
主題を奏する第1ヴァイオリンとチェロ。静かな調べです。
柔和な雰囲気が漂いホッとする主題。
変奏に移りチェロと第1ヴァイオリンが奏する第1変奏。
第2変奏ではヴィオラとチェロで静かに奏されるなかで歌うヴァイオリン。
美しい調べとして耳に響きます。    
第3変奏は一転して明るく。ユーモアを感じるような雰囲気でしょうか。
始めは第1ヴァイオリンが奏し、後半はチェロで。
第4変奏、ヴァイオリンとチェロは前変奏の面影を残し
明るい雰囲気を感じさせるようです。   
第5変奏、重厚な雰囲気。思索するような趣の変奏でしょうか。
趣を変えて光が射すような明るさに。
再び静かな調ベが戻り、上行、下降を繰り返すヴァイオリン。
変奏のうちに閉じられる第2楽章。

4つの和音がピッツィカートで奏され始まる第3楽章。
すぐに現れるチェロが奏する主題の躍動感。
トリオの部分ではリズミカルな軽やかさ、舞うような雰囲気を醸し出し楽器たち。
活発に奏される楽器たちの活き活きとした会話。
活発に生き生きとして閉じられる第3楽章。

力強く始まる第4楽章。
第1ヴァイオリンの奏する流動的な第1主題。
第2主題も活気を感じさせる雰囲気。
展開部での4つの楽器たちの力強い対話。
雄弁な楽器たち。
コーダで速度を速め力強く閉じられる曲。


「第12番はどのような曲だった?」とすぐには旋律が未だに想起できない有様です。
第1楽章の序奏を耳にした瞬間に甦る記憶。
この序奏が殊更、印象深い曲。
旋律が停滞することなく終始、歌心を感じさせる曲。
第2楽章の主題には惹かれます。
5つの変奏の中で第2変奏の美しく静かな調べ。
この調べを奏するズスケのヴァイオリンは心に残ります。
穏やかで、安らぎの調べでしょうか。

第2楽章の変奏の後に続く第3楽章の軽やかさ、活発さ
第4楽章の活気ある趣。
曲から受ける明るく生き生きとした趣が気に入り
この数日来、聴き続けています。

                   
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Op.380 ドヴォルザーク:ピアノ三重奏曲第4番「ドゥムキー」 by ボザール・トリオ

3月も末日。年度替わりの時期。
例年は 他人事 でしたが今年は、そうも行かなくなりました。
4月からの新年度を目前に気忙しさだけが先立っています。

しばしば耳にする曲名、ドヴォルザークピアノ三重奏曲第4番「ドゥムキー」。
お気に入りの Box から今回もボザール・トリオの演奏です。
この曲は1969年と1985年の2種の録音が収録されているようですが
1969年の録音の方を聴いてみました。

            ドヴォルザークピアノ三重奏曲第4番「ドゥムキー
              ボザール・トリオ~フリップス録音全集より


               380:ドヴォルザークピアノ三重奏曲 ボザール・トリオ
                         (収録曲)

         ドヴォルザークピアノ三重奏曲第3番 へ短調 Op.65
                   ピアノ三重奏曲第4番 ホ短調 「ドゥムキー」 Op.90

                      ボザール・トリオ
                   メヘナム・プレスラー(P)
                   イシドア・コーエン(Vn)
                   バーナード・グリーンハウス(Vc)
                       (録音:1969年)

    第1楽章:Lento maestoso - Allegro quasi doppio movimento-
           Lento maestoso - Allegro ホ短調 6/8拍子
    第2楽章:.Poco adagio - Vivace non troppo - Poco adagio - Vivace
           嬰ハ短調 4/8拍子
    第3楽章:Andante - Vivace non troppo - Andante - Allegretto
          イ長調 4/4拍子
    第4楽章:Andante moderato,quasi tempo di marcia -
          Allegretto scherzando - Meno mosso - Allegro - Moderato
          ニ短調 2/4拍子
    第5楽章:Allegro 変ホ長調 6/8拍子
    第6楽章:.Lento maestoso - Vivace - Lento - Vivace ハ短調 4/8拍子
              (ブックレット記載の速度記号を参照)

作曲に着手したのは1890年11月。翌1891年2月12日に完成したそうです。
ドヴォルザークピアノ三重奏曲を6曲書いたそうですが
そのうち2曲は失われたとのことです。
この第4番「ドゥムキー」はピアノ三重奏曲として作曲された6曲目の
最終作になるそうです。

ドヴォルザークの最盛期は1892年にアメリアに渡る直前の4、5年間で
40歳代半ばから50歳頃にかけてだったそうですのでこの曲は
ドヴォルザークの最盛期の作品ということに。

ドヴォルザークが作曲し完成された形で現存する多楽章の室内楽は
32曲あるそうです。
それらの作品の中で最もユニークな傑作とのこと。

曲名の「ドゥムキー:dumky」は本来ウクライナのバンドゥラやゴブザなどの
民族楽器の伴奏を持ったバラード風の民謡形式『ドゥムカ:dumuka』の
複数形だそうです。
“dumuka”はチェコ語で「回想」「瞑想」を意味するとのことです。
ドヴォルザークはこの民謡形式に厳密に従ったドゥムカを書いたことは
なかったとのことです。

初演は1891年4月11日にプラハの市民クラブ会館における記念の夕べで
ヴァイオリン、フェルディナント・ラフナー、チェロがハヌシュ・ヴィハン
ピアノがドヴォルザーク自身の演奏で行われたそうです。
彼らはプラハ音楽院の教授仲間とのこと。


第1楽章は対照的な2つの部分が交互に現れる2部形式とのことです。
ピアノとヴァイオリンで華やかに始まる第1楽章。
主題は「悩みと憧れ」とのこと。
ヴァイオリンは翳りを感じさせる雰囲気の調べ。
ピアノが加わり相変わらず憂愁の調べを歌うヴァイオリン。
一転して始めの明るい雰囲気が再び。
明るく軽快に奏されるピアノと弦楽器。
弾むような明るいリズムで奏されるピアノとヴァイオリン。
チェロもヴァオリンに呼応をして。
力強くなり主奏をするチェロ。
ピアノの美しい弱音にのりヴァイオリンが奏する歌。
呼吸を合わせるヴァイオリン、ピアノ、チェロが明朗に。
3つの楽器で明るくリズミカルに閉じられる第1楽章。
この楽章の明るさには一緒に口ずさみたくなる親しみを感じます。

第1楽章同様に対照的な部分が交互に現れる2部形式とのこと。
ピアノがゆっくりと奏され始まる第2楽章。
加わるチェロ。チェロの調べは「ドゥムカ」そのものの雰囲気に感じられます。
哀愁の趣も漂っているように。
ヴァイオリンはそっと寄り添っているよう。
主奏はピアノに移り右手が郷愁を感じさせるような懐かしさを感じさせる調べ
左手は静かな伴奏を。
チェロが現れ主奏を。ピアノとヴァイオリンが寄り添うように伴奏を。
チェロの調べも郷愁、哀愁のような趣。ピアノもまた。
一転してヴァイオリンが明るく奏されピアノも弾むようなリズムを。
チェロも加わり舞踏風に奏される3つの楽器たち。
速度、音量を上げ陽気で情熱的な雰囲気に。
主奏のヴァイオリンの明るく速いリズム。
ピアノは素早い動き。チェロはピツィカートで。
ピアノだけの主奏からチェロのゆっくりとした主奏に。
3つの楽器たちはそれぞれも想いを囁くかのよう。
瞑想的な雰囲気。
ヴァイオリンが奏する歌が印象的。
ピアノはアルペッジョのように、チェロは同一音を奏し。
主奏がピアノに替わり続く瞑想的な雰囲気。
終わりは陽気に。

ピアノの抒情的な旋律で始まる第3楽章。
すぐにヴァイオリン、チェロも加わり
静かにゆっくりとピアノが独り言のように。
チェロ、ピアノ、そしてヴァイオリンと続き
再びピアノの主奏で瞑想的な調べを。
ヴァイオリンが歌い、チェロも歌い、2つの楽器に寄り添うピアノ。
瞑想的な雰囲気から活発な雰囲気に。
曲の終わり頃から再び抒情的な雰囲気を醸し出すヴァイオリンとチェロ。
次第に音域を低くし重厚な雰囲気
静かに終わる第3楽章。

ピアノで始まる第4楽章。
ヴァイオリンとチェロが奏する郷愁の感じられる主題。
ヴァイオリンとチェロを伴奏として躍動的に奏されるピアノ。
ヴァイオリンの主奏を経て主奏はチェロに。
ピアノとヴァイオリンが切れの良いリズムを。
まるで歩みを感じさせるようなリズム。
一瞬舞踏風の華やかさ。激しさも。
再び郷愁を感じさせる主題に。
チェロの調べが心に響きます。
ゆっくりと閉じられる第4楽章。

明朗に始まる第5楽章。
チェロの主導でヴァイオリン。ピアノはアルペッジョで。
溌剌と、活き活きと奏される3つの楽器たち。
一時、静かに奏されるヴァイオリンとピアノ。
再び軽快な明るさに。
陽気に力強く閉じられる第5楽章。

第1、第2楽章と同様に対照的な2つの部分が交互に現れる2部形式とのこと。
3つの楽器の深刻そうな雰囲気で始まる第6楽章。
次にピアノが力強く刻むリズム。
この繰り返しのあとに現れるヴァイオリンが奏する悲哀を感じさせるような調べ。
郷愁や抒情性、活気さが混合しているよいうな楽章でしょうか。
明るく力強いピアノの打鍵で閉じらる曲。


「明」と「暗」で構成されているような
はたまた気分がコロコロと変わるようなドヴォルザーク流のドゥムカでしょうか。
聴き終えて「ドゥムキー」の「回想」「瞑想」の雰囲気よりも
「明」の部分が記憶に残り愉しい曲として感じられるようです。
ピアノ、ヴァイオリン、チェロがそれぞれ主役のように活躍をし
3人の息の合った演奏。
曲想からも活き活きとした印象を強く受けるとともに
プレスラーのピアノの溌剌さ、表情の豊かさに
この曲でも耳を奪われてしまいます。

                  
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Op.379 グラズノフ:「ヴァイオリン協奏曲」 by ヴェンゲーロフ;アバド&ベルリン・フィル

今日もまた初めて聴く作曲家グラズノフの作品です。
先日お寄せいただいたコメントにグラズノフの名前があり
作品を聴いてみたいと思ったのですが,何と作品が一つも思い浮かばないのです。
作品を調べてみると各ジャンルにおいて多く作曲をしていることを知りました。

やはり関心を抱くのはヴァイオリン協奏曲。
初めて聴くグラズノフの作品。
ヴェンゲーロフのテルデック&EMI録音集よりヴァイオリン協奏曲を。
演奏はヴェンゲーロフ、アバド&ベルリン・フィルです。


                 グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲
               ヴェンゲーロフ;アバド&ベルリン・フィル
          マキシム・ヴェンゲーロフ~テルデック&EMI録音集より

           379:グラズノフ:マキシム・ヴェンゲーロフ テルデック&EMI録音集
                           (収録曲)

             チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
             グラズノフ:ヴァイオリン協奏曲 Op.82
 
                    マキシム・ヴェンゲーロフ(Vn)
                    クラウディオ・アバド(指揮)
                    べルフィン・フィルハーモニー管弦楽団
                     (録音;1995年5月 ベルリン)


                 第1楽章:Moderato イ短調 4/4拍子
                 第2楽章:Cadenza : Andante sostenuto
                 第3楽章:Allegro イ長調 6/8拍子


作曲されたのは1904年だそうです。
手持ちの解説書によると曲の構成は2楽章構成となっており
カデンツァを第1楽章に含めてあります。
3楽章構成、2楽章構成の考え方があるようですね。
ディスクには3楽章になっていますので一応、3楽章構成として。
楽章間に切れ目がなく連続して演奏されるのでウッカリと楽章が変わったことに
気付かないこともありました。
曲の主要主題は民族音楽から取り入れられているとのことです。

この曲はグラズノフの円熟期の代表作だそうです。
作曲したヴァイオリン協奏曲はこの曲のみとのこと。
グラズノフを「ロシアのブラームス」とする人もいるそうです。

             216
                    Leopold von Auer
               (1845年6月日-1930年7月15日)

初演は1905年2月(4月との説も)15日、サンクトペテルブルクに於いて
ロシア音楽協会のコンサートでレオポルト・アウアーをヴァイオリン独奏者とし
グラズノフ自身の指揮で行われたそうです。
曲はアウアーの協力のもとで作曲されアウアーに捧げられているとのことです。


独奏ヴァイオリンが奏する第1主題で始まる第1楽章。
夢見るような、幻想的な趣も感じられる主題。
独奏ヴァイオリンが奏する三連音符の上行及び下降音階では
ヴェンゲーロフが奏する滑らかさに耳を奪われます。
第2主題の穏やかなヴァイオリンの歌。
清明な調べで惹かれます。
オーケストラの深い響きのある演奏を経て現れる新しい主題。
この主題もまた独奏ヴァイオリンの夢見るような、美しい調べ。印象的です。
伴奏のハープも印象に残ります。
ヴァイオリンとハープの夢見心地な美しい調べ。
甘美な歌を歌うヴァイオリン。 
聴き惚れてしまい気が付くと第2楽章に。

緩徐楽章とは言えオーケストラの力強さで始まる第2楽章。
前半ではヴァイオリンは情熱的な雰囲気で。    
後半になり優雅な趣に。
そして続くカデンツァ。
幻想的な美しさ。
ピッツィカートを境に重音奏法とトリルでは耳を奪われ
鑑賞する立場でありながら緊張感に。
カデンツァを終え、チェロとコントラバスが奏されつつ第3楽章に。

今までの夢見るような雰囲気から一転して始まる第3楽章。
ファンファーレのように勢いよく奏されれるトランペット。
颯爽とした管楽器と溌剌とした独奏ヴァイオリンが奏する第1主題。
ロシア民族舞踏風のリズムとのことで聴いていても親しみを感じるようです。
第2主題でも生気を感じさせる独奏ヴァオリン。
ヴァイオリンとオーケストラの活き活きとした趣には壮麗さも。
明るく愉しげに奏される独奏ヴァイオリン。
曲は燦々とした煌めきを感じさせるような雰囲気。
次第に生気に満ちた曲想に。
トライアングルも加わり独奏ヴァイオリンのフラジョレットも面白く。
祝祭でもあるかのような明るいく陽気な雰囲気。
力強く溌剌と奏され華やかさとともに閉じられる曲。


曲が終わり、いつもの溜め息が出ました。
第1、第2楽章には夢見心地に耳を傾け
第3楽章になり気分はすっかり覚醒。

初めて耳にしたグラズノフの曲。
音楽に漂う美しさ。
静寂の中にキラリと光るような美しさ。
清明な美しさのように感じられ好感を抱きます。

ヴェンゲーロフの演奏を初めて聴いたのはブラームスの
ヴァイオリン協奏曲だったように思います。
特別、印象に残る演奏と感じることもなく・・・この Boxも 暫く手にすることもなく
月日が流れました。
グラズノフのヴァイオリン協奏曲のお陰でヴェンゲーロフのヴァイオリンに
目覚めた(?)ような気がしています。
この曲ではヴァイオリンの音色は繊細な柔らかさを感じます。
第3楽章では力強さも発揮。
ヴェンゲーロフが使用しているヴァイオリンは1727年製の
ストラディヴァリウス『ル・レーニェ』とのことです。
未聴のディスクが多いのですが、この Box を改めて聴き直してみたくなりました。


いつもの蛇足です。オバサンの井戸端会議。自分のメモ。
伊熊よし子著「ヴェンゲーロフの奇跡」(共同通信社刊)から
このディスク、アバド&ベルリン・フィルとのグラズノフのヴァイオリン協奏曲に関する記述がありましたので、他の記述ともども引用をさせていただきつつ。

先ずはこのディスクに関する記述から。
1995年、マキシムはアバドの指揮、ベルリン・フィルとの共演でチャイコフスキーとグラズノフのヴァイオリン協奏曲の録音を行ったそうです。
この時にマキシムが使用していたヴァイオリンはストラデイヴァリウス『ル・レーニェ』(1727年製)とのこと。
この『ル・レーニョ』は後述のパリ公演で貸与されたものだそうです。
コンサートの前日に『ル・レーニェ』を受け取り、その足でリハーサル会場へ行ったそうです。
『ル・レーニェ』に出合いマキシムは本当に自分を理解してくれる親友を得たような気持ちで胸が熱くなったそうです。
『ル・レーニェ』はすっかりマキシムに馴染み楽器と一体となった演奏が可能になったとのことです。
マキシムはこの2曲の録音を『ロシア・アルバム』と呼び、その後何度も聴き直しているとのこと。

アバドとマキシムは初めて会った時から気が合い、ジョークを言い合う仲だったそうです。
アバドは「マキシム、マエストロなんて絶対呼ばないでくれよ。クラウディオでいいからね。」
マキシムはアバドには何でも素直に話すことができたそうです。
いつも2人は冗談を言い合っていたため、ステージで目が合うと笑い出しそうになったとか。
マキシムは本番ではできる限りアバドのタクトだけを見て、顔を見ないようにし、アバドもマキシムのヴァイオリンと弓に目線を合わせていたそうです。
そして演奏が終わると二人は顏を見合わせて、思い切り笑う、そのような状態が続いたそうです。

ヴェンゲーロフは17歳の時にパリの公演でアバド&ベルリン・フィルと共演する機会に恵まれたそうです。
その時の演奏曲はブラームスのヴァイオリン協奏曲だったとのこと。
マキシムは初めて取り組む曲だと知ったアバドは半年前に電話をしてきて「もう練習を始めたんだろうね」と。
マキシムは「いいえ、まだです」との返事。
当時、マキシムはコンサート活動が多く、遊びたい気持ちもあり、公演のギリギリになり新しい作品に取り掛かるのが常だったとのこと。
それを察知したアバドは定期的にマキシムに電話をしたそうです。
コンサートの一ヶ月前にマキシムに電話をしたアバドはマキシムが練習を始めたばかりだと知りアバドの声には焦りがあったそうです。
「急がないと時間がないよ、急いで。それで、どんなカデンツァをやるんだい?」
「いえ、まだカデンツァまでいっていないんですよ。第1楽章だけで・・・・」(略)
公演の一週間前になりアバドからの電話。
「カデンツァは選んだかい?」。 まだ、決まっていなかったマキシムに「すぐにカデンツァを決めなさい。もう、一週間しかないんだよ」とアバド。
「では、自分で書きます」とマのキシムの返事に絶句するアバド。
マキシムは部屋に籠って2時間でカデンツァを書き上げたそうです。
   (まとまりのない長い井戸端会議になってしまいました)

                 
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音楽が日々の活力源になっています。
特に音楽知識のないクラシック・ビギナーに等しいのですが、「ただ、ひたすらに」をモットーに鑑賞をしています。
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また2羽の小桜インコの兄弟は大切な家族です。

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