2018.05/19(Sat)

Op.440 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第4番」 by アラウ(旧録音)

ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」。
初期のピアノ・ソナタより作品2-2の第2番 そして 作品2-3の第3番と聴いてきました。
今回は第4番をアラウの1960年代の旧録音より。

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第4番
アラウベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集(1960年代、旧録音)より

416ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第10番 アラウピアノ・ソナタ全集(1962~66)
(収録曲)
ベートーヴェン

ピアノ・ソナタ:第3番 ハ長調 Op.2-3(録音:1964年4月)
ピアノ・ソナタ:第4番 変ホ長調 Op.7(録音:1964年4月)
ピアノ・ソナタ:第19番 ト短調 Op.49-1

クラウディオ・アラウ(P)


第1楽章:Allegro molto e brio 変ホ長調 6/8拍子
第2楽章:Largo con gran espressione ハ長調 3/4拍子
第3楽章:Allegro 変ホ長調 3/4拍子
第4楽章:Rondo:Poco allegretto e grazioso 変ホ長調 2/4拍子



作曲年代についてははっきり分かっていないそうでが、文献を総合し1796年から翌97年にかけて作曲されたという結論とのことです。
ベートーヴェンは26-7歳でしょうか。
このソナタ第4番では作品2よりも形が一層大きくなり、内容も力感を供えてきているそうです。
楽章構成は作品2と同じく4楽章構成とのこと。

献呈はケグレヴィッチ伯爵令嬢アンナ・ルイーズ・バルバラに。
ケグレヴィッチ伯爵はハンガリー出身だそうです。
令嬢バルバラは才能豊かなピアニストであり、当時ベートーヴェンの弟子だったそうです。
ベートーヴェンはこのソナタの他にピアノ協奏曲第1番、1802年に書かれた作品34の「6つの変奏曲」(ヘ長調)等の作品を彼女に捧げているとのこと。
このソナタは当時「Die Verliebte:愛する女」と呼ばれたそうですが、ベートーヴェンの恋愛とは無関係で、この形容は曲の優雅な気分が当時の人々にとっては相応しいものと思われた、と推測ができるようです。
バルバラは1801年2月にオデスカルキ侯爵と結婚し1813年に他界したそうです。

出版は1797年10月 ウィーンのアルタリア社から。
自筆譜は紛失したとのことです。


アラウで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第4番(旧録音より)

第1楽章:ソナタ形式
この楽章は若いベートーヴェンの大きな感情の振幅を表した雄大な音楽とのことです。
この第4番では劇的な生命感を吹き込もうとする意図が明瞭に現れてきているそうです。
しかし中期のようなはっきりとした効果を生むところまでは行っていないそうですが、曲の底に流れる熱いものを感じることができるとのこと。

第1主題の左手が刻む速いリズムが奏され始まる第1楽章。
この第1主題の動機、右手による調べには流麗な趣が。
弾力を感じさせる第2主題。
この主題がフォルティシモの力強い盛り上がりになり情熱的な高揚を感じるようです。
ピアニシモで静かに奏され始める新しい動機が印象的。
小結尾でのアルペッジョの美しさもまた印象的。
短い展開部では第1主題が展開され、そして第1主題第2主題を扱う再現部を経てコーダ に。
コーダでは第1主題と第2主題が現れ華々しい活力を感じさせつつ閉じられる第1楽章。

第2楽章:三部形式。
充実した響き、多様な色彩感、深い情緒を備えた楽章だそうです。
作品2の緩徐楽章よりも更に一層成熟したものになっているとのこと。

しっとりと静かな歩みの主題で始まる第2楽章。
物想うかのような内省的な雰囲気も織り込まれているよう。
中間部では左手のスタッカートに乗り現れる主題。
闊歩し前進するようなスタッカートの伴奏が印象的。
一貫して左手はスタッカートの伴奏、右手が刻む歯切れの良い旋律。
ピアニッシモで初めの主題が右手の高音で美しく奏される調べが印象的に耳に響きます。
第2部の重厚さ、重々しさ。
コーダでは中間部の主題と第1部の主題が現れ静かに消え入るように終わる第2楽章。

愛らしさを湛えた優しい調べの主題で始まる第3楽章。
第1部の愛らしく優しい主題。
柔和で平和な趣に溢れているような調べ。心に残る主題です。
トリオでは趣が変わり活発に。激しさも感じるようです。
トリオが終わり第1部の反復を経てカノン風の旋律で閉じられる第3楽章。

第4楽章:ロンド
優美なロンド主題で始まる第4楽章。
左手が力を感じさせる低音を切れ味良く奏し、短く音を刻む右手。
左手と右手の活発な応答。
現れる第2主題では活躍するトリルと低音域の動きの対照に耳を惹かれます。
第3の主題は漲る力を感じさせるよう。
コーダで現れるロンド主題。
盛り上がりを経て静かに平穏に迎える曲の終わり。


前回、作品2-3の第3番を聴き、音楽が一回り大きくなっているように感じました。
この第4番では、第3番よりも更に一層拡大された音楽として感じられます。
新しい作品の誕生とともに大きな成長を感じさせるベートーヴェンのピアノ・ソナタ。
そのような変化、変貌が初期のピアノ・ソナタに耳を傾ける時の「期待」「楽しみ」のようになってきました。
このソナタ第4番のダイナミズム、雄大さ。対する抒情性や愛らしさ。
耳を傾けつつ初期のピアノ・ソナタであることを忘れてしまうようです。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴く時、迷う折にはシュナーベルで聴き
他にはアラウとソロモンが鑑賞の主流となってきている昨今です。
今回は時間の制約にてアラウの旧録音のみを聴いてみました。
このソナタを聴き終え、新録音の方も聴きたいとの想い、他の演奏者でも聴きたくなってきました。

アラウのタッチ。
随所に煌めいているように感じられるピアニズムはいつものことでしょうか。
第1楽章では特に小結尾でのアルペッジョの美しさに耳を奪われておりました。
解説書の活字を通して想い描く曲よりも、アラウの演奏にはいつもの落ち着きがあり、過度な感情表現はなく、端正で穏やかな楽想になっているように感じられます。
アラウの演奏に魅力を感じる要素の一つを感じます。
第2楽章での主題を奏するアラウのピアノからは静かな楽想ながら一音一音のタッチから堅固な意思を感じさせるような強さ。
第3楽章では愛らしく優しい主題を愛でるかのように優しさの溢れたピアニズム。
第4楽章での勇壮さ、雄大な趣を感じさせるタッチ。
生き生きとしたアラウのタッチはこのソナタの溢れ出る楽想を感じさせるようです。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第4作目、作品番号7 を与えられてた第4番のソナタ。
新たに生み出されるベートーヴェンのピアノ音楽への前進。
そして新たな光彩を放つ第4番。
楽想とともにアラウの演奏にも魅了されている今日です。

                
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2018.05/12(Sat)

Op.439 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第3番」 by ソロモン

ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」。
前回の作品2-2、第2番に続き、今回は作品2-3、第3番を聴いてみました。
演奏はソロモン
ソロモンの廉価盤Boxからです。

前置きが長いこのブログ。今日は殊更に長い前置きになりそうです。
今週に入りベートーヴェンの作品、と言うよりクラシック音楽にじっくりと耳を傾けることができたのは、やっと昨夜になってからでした。
ふとしたキッカケでイージー・リスニングばかりを聴いていた日々。
急にベートーヴェンを聴きたくなった昨夜。
そのような時には必ず弦楽四重奏曲。
ハンガリー四重奏団の演奏で第5番を聴き、続いて第6番。
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を聴きつつ久々振りに感涙の心境に陥ってしまいました。
心底「やはりベートーヴェンは良いなぁ」と痛感をした昨夜。
ベートーヴェンの音楽に委ねるひと時の安心感、安堵感。
大げさな言い方ですが生き返ったようでした。
まったく別のジャンルの音楽に接し、改めてベートーヴェンの素晴らしさ
自分にとって絶対に切り離すことができない音楽は何なのかを痛感しました。
生きていることの素晴らしさを感じさせてくれるベートーヴェンの音楽、クラッシック音楽。
このような経験は初めて。
今までは、当たり前、当然のように聴いていたクラシック音楽。
今回は感慨深く、感無量の心持ちでベートーヴェンのピアノ・ソナタ第3番に耳を傾け始めました。
かなり長い前置きになってしまいましたが、自分の心の軌跡として。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第3番
ソロモンソロモン名演集より


439 ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第3番 ソロモン ソロモン名演集より
(収録曲)
ベートーヴェン

ピアノ協奏曲第1番 Op.15(ハーバート・メンゲス&フィルハーモニアO.1956年録音)
ピアノ・ソナタ第3番 Op2-3(1951年録音)


第1楽章:Allegro con brio ハ長調 4/4拍子
第2楽章:Adagio ホ長調 2/4拍子
第3楽章:Scherzo Trio::Allegro ハ長調 3/4拍子
第4楽章:Allegro assai ハ長調 6/8拍子


作品2の3つのソナタについては前回のコピーになりますが再度。

作品2の3つのソナタが作曲されたのは1793年から1795年にかけてだそうです。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ32曲の最初に位置する作品2。
ベートーヴェン、23歳から25歳にかけてでしょうか。
作品2の3曲が書かれる前年、1792年にベートーヴェンはハイドンに弟子入りを
するために11月10日にウィーンに到着したそうです。

作品2にはすでにベートーヴェンの個性が深く刻印され
当時のピアノ・ソナタの一般様式を踏み越えた音楽になっているそうです。
作品2の3曲は4つの楽章からなり形式的には定型通りのピアノ・ソナタとのことですが
音楽としてはそれぞれが性格的であり3曲はまったく異なった趣を持っているとのこと。
これらの曲は音楽が類型的な枠の中で書かれることが普通だった時代に於いては 常識を破っている、と言えるそうです。

3つのソナタの特徴、性格
第1番は作品2の3つのソナタの中では一番悲劇的な情緒
第2番、3つのソナタのうちでは最も晴れやかな明るい美しさ
第3番、規模が大きく、ピアノ技巧も華麗な曲
とのことです。
       (以上、前回の引用)

さて、今回の作品2-3、第3番は
作品2の中では一番規模が大きく、ピアノ技巧も華麗で、当時のベートーヴェンの意気揚々とした気概が映し出されているそうです。
これまでに蓄積されたきたベートーヴェンのピアノ音楽の技巧もこの第3番のソナタの中に盛られ尽くされているような作品とのこと。
大木正興氏によると
「このソナタ第3番は1795年頃のベートーヴェンの最も張りきった姿であり、音楽には前進的な気分が脈々と流れ続けており、それを遮るような暗い運命の声はどこにも聴かれない」とのことです。
聴いていても確かに前途のベートーヴェンを待つ運命の暗い影はまったく感じられません。
ベートーヴェンがこの後、辿ることになる年月、事象を想うと、この曲の明るさ、軽快さが痛さを伴い感じられてしまうことも。

ベートーヴェンの創作精神は対照的な2つのものを生む出すように働いていたそうです。
ピアノ・ソナタに於いては対照的な2つのものとして「悲愴」と「熱情」に対し「ワルトシュタイン」。
作品2-1の第1番のソナタが後の「悲愴」や「熱情」に通じるのに対し
このソナタ第3番は「ワルトシュタイン」の方向を示唆している
ということがしばしば指摘されているそうです。


ソロモンで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第3番

第1楽章、ソナタ形式。
溌剌とした躍動を感じさせる第1主題で始まる第1楽章。
前進あるのみ、という趣。力強い躍動で進む第1主題。
華やかな経過部を経て現れる新しい旋律。
盛り上がりを経て現れるもう一つの優美な趣の旋律。
経過部の後に現れるこれら新しい2つの旋律は前者がト短調
後者がト長調の優美な旋律とのこと。
後者の旋律は規則通りに言えば第2主題だそうですが、実質的には2つの旋律はともに並んで主題的なはっきりとした性格を持っているとのことです。
(脱線をしてしまいますが、この2つの旋律について。
1785年、ベートーヴェン15歳。宮廷オルガ二ストに就任した年にボンでベートーヴェンが作曲したピアノ四重奏曲ハ長調WoO.36。
WoO.36-1、2、3 の3曲があるようですが、ハ長調はWoO.36-3 のようです。
このピアノ四重奏曲の第1楽章からの転用とのことです。
ピアノ・ソナタへ短調作品2-1にも、ピアノ四重奏曲の第2楽章の主題を使用しているとのことです。)
第1楽章の続きです。
華麗な小結尾を経て展開部に。
展開部も華やかな趣のアルペッジョが奏され
展開される第1主題には凛とした雰囲気とともにユーモラスさも感じてしまいます。
再現部を経て迎えるコーダ。
このコーダは非常に長いものになっているそうです。
華麗なコーダ。
始めにアルペッジョが奏され、カデンツァもまた華麗に。
次に現れる第1主題を経てドラマティックに力強く。
ソロモンのピアノは一歩一歩を力強く踏みしめるかのように奏され強い意志のようなものを感じます。
力強く閉じられる第1楽章。

第2楽章、自由なロンド形式。
ゆったりと優しく柔和な調べのロンド主題で始まる第2楽章。
美しい歌を感じさせる主題。
この主題の旋律が耳に入った途端に惹き込まれてしまいます。
続く第2主題は左手と右手の親密な対話のよう。
左手が細やかに奏される中、現れる高音域の美しい調べ。
瞑想的な美しさを感じて聴き入っていると、フォルティシモで現れるロンド主題の冒頭動機。
そして現れる第2主題。
抒情的、詩情豊かな雰囲気が漂い魅了されます。
コーダも静かな調べ奏され閉じられる第2楽章。
詩情豊かな美しさと静かな佇まいの印象的な楽章でこのソナタの中ではもっとも心に残ります。

第3楽章、スケルツォ。
軽やかな主題で始まる第3楽章。
軽やかに闊歩するようなソロモンのピアノ。
時折、響く左手の低音域がスパイスのよう。
中間楽節では左手が奏する響きに右手の高音域が伸びやかな動きを。
トリオでは目まぐるしい動きに。
アルペッジョの3連音で忙しげでありつつも生き生きとした趣。
静かなコーダで消えるように閉じられる第3楽章。

第4楽章、ロンド形式。
小刻みな動きで上昇するようにそしてスタッカートを交え軽やかなロンド主題で始まる第4楽章。
行く手に微塵の暗雲も漂うことのない明朗で軽快なロンド主題。
前途洋々な明るさに彩られている主題のように感じます。
現れる第2主題の美しい調べ。
第3主題も軽やかな明るさ。
曲の終わり近くになりトリルを伴い奏されるロンド主題の華やかさ。
華麗さの中にも力強さを湛え迎える曲の終わり。


第3番のソナタは2年程前に聴いた筈ですが、すっかり忘れていた旋律。
今回、再び聴き以前とはまったく違った曲として感じられるようです。
「第3番、こんなに良い曲だった?」と、これまたいつものパターンに。

第1楽章冒頭から惹き込まれてしまいます。
初期の曲とは感じられない充実したソナタ(と、断言できるような知識はないのですが)。
耳を傾けていると充実感を抱きます。
第4楽章の緊密に織り込まれた旋律からは気迫すら感じられるようです。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴きソロモンがお気に入りのピアニストの一人になりましたが、この第3番の演奏を聴き
今まで気付くことがなかったソロモンの新たな魅力にも触れることができたようにも感じています。
ソロモンのピアニズムがこれ程華麗に感じられるのも初めてのような気もしています。

前回、そして今回と作品2のソナタを聴き続け
今日に至るまで後回しになってしまった初期のピアノ・ソナタに
「もっと早く耳を傾けたかった」との想いを抱きました。

前書きにも綴りましたが、今週に入りクラシック音楽とは隔絶状態に鳴っていた時間に感謝しています。
ベートーヴェンが、クラシック音楽が、ソロモン他の演奏家が
すべてが新しい「音楽」として感じられる今日です。

               
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21:03  |  ベートーヴェン  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2018.05/05(Sat)

Op.438 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第2番」 by シュナーベル

ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」。
今回はベートーヴェンの初期のピアノ・ソナタより聴いてみました。
前回、作品49-1、ピアノ・ソナタ第19番を聴いた際に
作品2の3つのソナタが作曲された1795年、ベートーヴェンはハイドンの前でそれら3つのピアノ・ソナタを演奏したとのことで作品2を聴いてみたくなりました。
作品2の3つのソナタのうち作品2-1、第1番は当拙ブログに約2年程前にアシュケナージの演奏で登場していたようです。
今回は作品2-2、第2番を。
演奏は迷った末にシュナーべルで聴いてみました。

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第2番
シュナーベルベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集より

438:ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第19番 シュナーベル ソナタ全集
(収録曲)
ベートーヴェン 

ピアノ・ソナタ第2番 イ長調 Op.2-2
ピアノ・ソナタ第5番 ハ短調 Op.10-1
ピアノ・ソナタ第6番 ヘ長調 Op.10-2
ピアノ・ソナタ第7番 ニ長調 Op.10-3
(録音:1933年4月9日 アビー・ロード)


第1楽章:Allegro vivace
第2楽章:Largo appassionato
第3楽章:Scherzo:Minore: Allegretto
第4楽章:Rondo: Grazioso 


2年程前のピアノ・ソナタ第1番の時に綴ったもののコピー同様になりますが
自分のメモとして以下に。

作品2の3つのソナタが作曲されたのは1793年から1795年にかけてだそうです。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ32曲の最初に位置する作品2。
ベートーヴェン、23歳から25歳にかけてでしょうか。
作品2の3曲が書かれる前年、1792年にベートーヴェンはハイドンに弟子入りを
するために11月10日にウィーンに到着したそうです。

作品2にはすでにベートーヴェンの個性が深く刻印され
当時のピアノ・ソナタの一般様式を踏み越えた音楽になっているそうです。
作品2の3曲は4つの楽章からなり形式的には定型通りのピアノ・ソナタとのことですが
音楽としてはそれぞれが性格的であり3曲はまったく異なった趣を持っているとのこと。
これらの曲は音楽が類型的な枠の中で書かれることが普通だった時代に於いては 常識を破っている、と言えるそうです。

3つのソナタの特徴、性格
第1番は作品2の3つのソナタの中では一番悲劇的な情緒
第2番、3つのソナタのうちでは最も晴れやかな明るい美しさ
第3番、規模が大きく、ピアノ技巧も華麗な曲
とのことです。

今回の主人公、作品2-2 ソナタ第2番は
作品2の3つのソナタの中では最も晴れやかな明るい美しさを持ち
全曲を通じ青年らしい希望と素直な感情に溢れている、そうです。

献呈はハイドンに。
1795年8月にリヒノフスキー侯爵邸の演奏会でベートーヴェンは完成した作品2の3つのピアノ・ソナタをイギリスからウィーンに帰ったハイドンに弾いて聴かせたそうです。

出版は1796年、ウィーンのアルタリア社から刊行。
作品2の3つのソナタの自筆譜は紛失したとのこと。


シュナーベルで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第2番

細やかで軽妙な主題で始まる第1楽章。
主題冒頭で断片的に始まる部分ではコミカルな趣も。
快晴の空のように明るく闊達な雰囲気で進む第1主題。
印象に残る主題です。
第2主題は流麗な美しさ。
展開部で活躍する第1主題の生き生きとしつつも華麗な雰囲気。
コーダでは闊達な趣から静かになり閉じられる第1楽章。

第2楽章は発想記号に「アパッショナート」と記されていますが、激しい感情の盛り上がりはなく優美な音楽だそうです。
その頃の一般的な「アパッショナート」の概念を察することができるとのことです。

一歩一歩、歩みを進めるような主題旋律で始まる第2楽章。
ゆったりと静かな雰囲気の主題。
左手、低音のスタッカートの伴奏に乗り奏される主題の調べの美しさ。
旋律にトリルが入り美しい調べが奏された後に中間部に。
主題の展開での美しい調べには寂寥の雰囲気が漂い
内省的な趣を秘めているよう。
「アパッショナート」がこの楽章で感じられるとすると
スタカートの低音の伴奏に乗り奏される調べが一時フォルテになり
感情の高まりを感じさせるパートでしょうか。
第3部を経てコーダに。
主題による長いコーダ。
ゆっくりと、静かに、名残を惜しむかのように閉じられる第2楽章。

右手の高音が素早く軽妙に奏される主題動機で始まる第3楽章。
無邪気な戯れを想わせるような主題。
主題の後に顔を出す新たな旋律。
短く音を叩き出しているような生き生きとした趣。
再び主題が戻り、愛嬌を感じさせる戯れに。
思い切りよくスッキリと閉じられる第3楽章。

第4楽章はピアノ音楽の表現力を拡大しようとしているように
かなり高いピアノ技巧が織り込まれているとのこと。

優雅で伸びやかなロンド主題で始まる第4楽章。
華やかな調べを経て現れる第2主題も美しく。
第3主題ではリズミカルで生き生きとして躍動感のある力強さ。
最後にロンド主題が現れ明朗華麗に迎える曲の終わり。


久し振りに耳を傾けたシュナーベルの演奏。
聴きたいピアニストは多々、在り過ぎて・・・。
ディスクを前に「誰の演奏で聴こう?」と迷うときには自然にシュナーベルのディスクに伸びる手。
シュナーベルの演奏には自分自身が冷静に耳を傾けていられる気がするようです。

作品49の3つのソナタを聴いた2年程前。
当時、第2番が気に入っていました。
今も第2番の明朗で、希望を感じさせる趣が好きです。

第1楽章では輪郭の克明なピアノ・タッチ。闊達さに希望と前進をする趣を感じます。
第2楽章での優しく美しいタッチから紡ぎ出される調べには感無量に。
第3楽章の生き生きとした無邪気な音の戯れでは虜にさせるようなタッチで。
第4楽章、優雅なロンド主題を奏するシュナーベルの流麗なピアニズム。

嘗てのお気に入りは第3楽章でした。
未来への明るい希望、憧れ等々、前途洋々で人生のプラスの要素だけが感じられました。
すべてが明るい光に包まれている第3楽章に魅力を感じました。
月日が流れ幾度か聴いているうちに一番のお気に入りは第2楽章に。
以後のベートーヴェンの中期、後期のピアノ・ソナタに通じる「美」の面影がすでに感じられるようです。

曲の解説を読み、このような曲にはシュナーベルは不向き(と言っては語弊があるかと思いますが)かと思いつつ聴き始めました。
単なる自分の勝手な憂慮に過ぎないことを確認した次第。
シュナーベルのピアニズムに対する認識が改められたように思います。
やはり素晴らしいピアニスト。

嘗てシュナーベルの演奏で聴いた時に綴ったかと思いますが
シュナーベルの演奏を聴いていると常に想い出すシュナーベルの言葉があります。
史上初のベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集の録音が行われた1932年から1937年。
録音のエンジニアとの間で試行錯誤が続いたそうです。
シュナーベルはこの録音当時のことを後に
「苦悩を経験し、絶望的な状態」、その「苦しみのために死んでしまうのではないか」と思う程だった、とのことです。
演奏を耳にする度にシュナーベルのこの言葉が想い出されます。

                
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2018.04/28(Sat)

Op.437 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第19番」 by アラウ(1960年代、1980年代 2種の録音で)

ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」。
中期のピアノ・ソナタ、作品21-90、第12番から第27番。
中期のソナタでは作品49の2曲のソナタのうち作品49-1、第19番が残ってしまったようです。
第19番にじっくりと耳を傾けるのは初めてかも知れません。

前置きが長くなりますが。
作品49の2、第20番の方は「ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」を始める以前、約2年程前の当拙ブログに登場しておりました。
ベートーヴェンの作品でお気に入りの一つ「七重奏曲」の旋律が使用されているとのことで聴きたくなった第20番でした。
当時はまだまだベートーヴェンピアノ・ソナタは私にとっては遥か遠い存在。
ディスクも全集ではシュナーベルとアルフレート・Bしか手持ちになかった頃です。
いつかアラウの演奏で聴きたいと願っていた当時。
アラウベートーヴェンの全集を入手したいと望んでいた当時。
そして現在、アラウで新旧の2種の録音で聴くことができる日が訪れ
念願の夢が実現したような嬉しさです。
第20番の方は当時シュナーベルのピアノで聴き好印象を抱いたものでした。

第19番を念願のアラウのピアノで。
脳裏から離れることのないソロモン。
ソロモンのピアノで第19番を探してみました。
作品49の2つのソナタ、第19番と第20番ともに未録音だったようです。
未練を残しつつソロモンで聴くのは諦めました。

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第19番 
アラウ~デッカ録音全集よりベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集

437ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第19番クラウディオ・アラウ~デッカ録音全集

クラウディオ・アラウ(P)
(録音:旧録音 1966年; 新録音 1989年)

第1楽章:Andante ト短調 2/4拍子
第2楽章:Rondo: Allegro ト長調 6/8拍子


第20番について綴った2年程前と重複すると思いますが。

作品49の2つのソナタは1795年から1797年にかけて作曲されたそうです。
ベートーヴェン、25歳頃から27歳頃でしょうか。
ベートーヴェンのスケッチ・ブックにより、曲が着想されたのは1795年から翌年にかけてと推定されるとのことです。
曲の完成は1796年に作品49-2、第20番が先に書き上げられ
作品49-1、第19番は遅れて1797年に完成、と推定されるとのことです。
2つのソナタの献呈はないとのこと。

ベートーヴェン研究者のセイヤーなどは、曲が簡素なことや演奏の容易な点から見て
弟子の練習曲として作曲されたものと考えられているそうです。
今日でも、作品49の2つのソナタは初心者の練習用として用いられているとのこと。
練習用とは言え、大木正興氏は次のように記述しています。
「音楽としての美しさは並々ならぬもので、芸術的な馥郁とした香りを持つ佳作である」。

作品49の2つのソナタの出版は1805年1月にウィーンの美術工芸社より。
初版のタイトルは「2つのやさしいソナタ Deux Sonates faciles」とのこと。
自筆譜は紛失。

作品49の2つのソナタを作曲した前後年のベートーヴェンの状況。自分のメモとして。
1794年 24歳 J.G.アルブレヒツベルガーに作曲を師事(1月)。
         ヴァイオリンをシュパンツィヒに師事。
         エステルハージ侯やリヒノフスキー侯爵との親交が深まり
         貴族サークルにベートーヴェンの名が拡がる。
1795年 25歳 ブルク劇場の慈善音楽会でピアノ協奏曲第2番等で公開デヴュー(3月) 
         ハイドンの前で3つのピアノ・ソナタ作品2を演奏(8月)
         ハイドン主催演奏会でピアノ協奏曲第1番を演奏(12月)
         第1回プラハ旅行、リヒノフスキー候と(年末)
1796年 26歳 第2回プラハ旅行(2月)。プラハからはリヒノフスキーと別れ単独で
         ドレスデン、ライプツィヒ、ベルリンへ足を延ばし約半年に渡る大旅行。
         3つのピアノ・ソナタ作品2の出版



アラウで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第19番

親しみを感じる第1主題で始まる第1楽章。
この主題に耳を傾けていると翳りを感じるよう。
寂しげな雰囲気を奏するピアノの歌のように感じられます。
妙に親しみを抱く旋律。
第2主題も同じような趣。
展開部は第2主題で形作られているとのこと。
再現部を経てのコーダで落ち着いた趣で静かに終わる楽章。

お茶目で愛らしいロンド主題で始まる第2楽章。
第2主題も愛らしさに華やかさが加わったよう。
ロンド主題が軽やかに奏されて切れ味のよい打鍵で迎える曲の終わりに。


作品49の2つのソナタともに演奏時間は約8分程の短いものですが
印象深い調べが心に刻まれるソナタのように感じています。

アラウは旧録音時の1966年は63歳頃、新録音時は87歳頃でしょうか。
演奏時間。ブックレットより。
旧録音:1966年  4分36秒/3分42秒
新録音:1989年  4分36秒/3分52秒

新旧2種の演奏を聴きつつ
その瞬間、瞬間に演奏家は最善を尽くしていることを想い、聴き比べ的に感想を綴ることに対し自分の僭越さ、アラウに対する失礼な気持ちを拭いきれません。
が、敢えて綴らせていただくことに。

新録音では旧録音に比べ
第1楽章では表情付けがさらに豊かになっているように感じられます。
寂寥感と明るさの対比が大きく、フォルテとピアノの差も拡がり、思索をするような雰囲気を感じます。
第2楽章ではロンド主題の愛らしさに力強さが加味されたように感じられます。
第2主題は旧録音よりも優雅な雰囲気が強く漂っているようにも。
楽章全体が活き活きとしているようです。
新旧ともに大きな違いを感じたのは
新録音では低音域が強く響きに重厚感が出ているように感じます。
そして第2楽章のコーダでしょうか。
旧録音では切れ味が鋭い終わり方。新録音では力強い打鍵での終わり。

前回、ソナタ第25番を聴いた時には新旧の演奏の相違はほとんど分かりませんでした。
この第19番では新録音では愛らしくも風格のある堂々としたアラウのピアニズムのように感じられました。

有名作品の陰になり陽の当らないような作品49の2つのソナタ。
今回、2種の演奏による第19番に耳を傾けつつ
新旧の演奏はともに有名な作品、無名(?)な作品を問うことなく
一つの作品に対するアラウの真摯さ、誠実さ。
作曲家とその音楽に対する畏敬の念を強く感じました。

               
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2018.04/21(Sat)

Op.436 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第25番」 by アラウ(1960年代、1980年代 2種の録音で)

中期、後期のソナタ作品を行きつ戻りつをしながらの「ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」。
後期のソナタから再び中期に戻ってきました。
第25番のソナタを聴いて以来、今でも印象に残っている第2楽章。
今日は第25番をアラウのピアノで。
アラウベートーヴェンピアノ・ソナタ全集から1960年代の録音と
兼ねてから聴いてみたいと願っていた1980年代(1988年-1990年)に録音された2種の演奏で聴いてみました。

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第25番
アラウベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集(1960年代録音)より

416ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第10番 アラウピアノ・ソナタ全集(1962~66)
(収録曲)
ベートーヴェン
ピアノ・ソナタ
第10番 ト長調 Op.14-2
第11番 変ロ長調 Op.22
第12番 変イ長調 Op.26「葬送」
第25番 ト長調 Op.79
(録音:1962-66年)

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第25番
アラウ~ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集 デッカ録音全集より

435 ベートーヴェン ピアノソナタ第29番 アラウComplete Philips Recordings
(収録曲)
ベートーヴェン
ピアノ・ソナタ
第24番 ヘ長調 Op.78 「テレーゼ」 (1990年)
第25番 ト長調 Op.79 (1990年 ライヴ)
第26番 変ホ長調 Op.81a「告別」 (1982年)
第27番 ホ短調 Op.90 (1989年)
第28番 イ長調 Op.101 (1989年)
(録音:1988年-1990年)


第1楽章:Presto alla tedesca ト長調3 /4拍子
第2楽章:Andante ト短調 9/8拍子
第3楽章:Vivace ト長調 2/4拍子


作曲されたのは1809年。
この同じ年に作曲された第24番作品78 のスケッチ・ブックに
この第25番の主題が書かれているそうです。

この2曲のソナタは雰囲気が似通っているように感じますが
第25番の第2楽章には後期のソナタから受ける美しい調べが感じられるようです。

このソナタはベートーヴェン自信が “Sonarine” と呼んだ唯一の作品とのことです。
ベートーヴェンは1810年7月21日付けのブライトコプフ&ヘルテルに送った書簡に
「ソナタ2曲(作品78と79)は別々に出版していただきたい。もし一緒に出すのだったら、ト長調(作品79)には≪やさしいソナタ Sonata fecile≫または≪ソナチネ≫と付けてください」と書き記しているそうです。
1810年11月に出版された初版のタイトルはベートーヴェンの希望通りに、このソナタ第25番は≪ソナチネ≫となっていたとのことです。
レントラー風の楽しげな第1楽章いの中で、カッコーの鳴き声のように聴こえるところから「カッコー・ソナタ Kuckou SOnate」とも呼ばれるそうです。

曲の献呈はなし。
自筆譜はチューリッヒのボドマー・コレクションに保存されているとのこと。


アラウで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第25番(新旧、2種の録音)

明朗で軽快な第1主題で始まる第1楽章。
澄み渡る青空を連想するような明るく心躍る主題。
アラウの運指は踊るような軽やかさ。
経過部のアルペッジョを終え現れる第2主題。
こちらも明るい旋律の主題。
展開部では第1主題を奏する左手の低音域からは力強さが感じられるようです。
このソナタは「カッコー・ソナタ」とも呼ばれるそうですが
耳を傾けていても私にはカッコーの鳴き声には感じられず、でした。
再現部を経てコーダでも顔を出す第1主題。
楽章の終わりも軽やかに踊るように。

第2楽章は「無言歌」になぞらえることができるそうです。
メンデルスゾーンの「ヴェネツィアの舟歌」(ト短調Op.19-6)を連想させるとのこと。
34小節の短い小品的性格の音楽とのことです。

ゆったりと静かに歌い出され始まる第2楽章。
静かで優しい主題の調べ。妙に心惹かれる調べ。印象に残ります。
中間部になり左手の伴奏するアルペッジョに乗り、奏される中間主題も穏やかな表情。
第3部を経て迎えるコーダ。
このコーダには感銘を受けます。
中間部で現れた左手のアルペッジョの伴奏と第1部で現れた主題が織りなす調べのコーダ。
ジーンと心に伝わります。
美しく、哀愁を帯びた調べ。
正に美しい歌の楽章。
お気入りの楽章になりました。

愛嬌のあるロンド主題で始まる第3楽章。
すぐ現れる第2主題。
この主題はロンド主題を材料にしたものとのこと。
経過部を経てのロンド主題の愛らしい趣。
第3主題が現れ活気のある雰囲気に。
愛嬌のある楽しげな雰囲気の楽章。
スッキリと迎える曲の終わり。


今回聴いたアラウの2種の録音ですが。
1960年代の旧録音は1962年-66年。
1980年代の新録音は1988年-1990年の録音とのことです。
アラウは1903年2月16日生まれだそうですので
旧録音当時は59-63歳。
新録音当時は85-87歳頃だったのでしょうか。

演奏時間ですがブックレットによると。
旧録音: 4分54秒/3分05秒/2分04秒  10.06   
新録音: 4分57秒/3分11秒/2分07秒  10.15
以上のように記載されていました。

この第25番の2種の演奏を聴き
大きな相違を私には感じられませんでした。
強いて挙げれば第1楽章の冒頭だけが、新録音の方が旧録音よりも若干、速く感じられた点でしょうか。
全体的に感じたのは旧録音では一音一音が克明に感じられるようにも。
特に速いパッセージやアルペッジョではその傾向を感じることもありました。
アラウの年齢を先入観として抱いてしまい、以上のように感じたようにも思います。
録音年代を知らずに耳を傾ければ、私には新旧録音の区別は付かないような気もします。

新録音の第25番は1990年のライヴ録音とのことです。
1991年6月に88歳で逝去したそうですので、死の前年の録音。
ショップ・サイトの記載によると
アラウは最後まで精力的に演奏活動を続けていたそうです。
また録音も死の直前まで行っていたとのことです。
5歳でコンサート・デビューしたのち、83年間ピアニストとして生きてきたそうです。

こちらのBoxはとても気に入っています。
ディスクが作曲家ごとに分かり易く分別され、まとめてられているので一目瞭然に探しているディスクが見つかります。
Boxの画像は所有している旧ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集と同じ。
Boxのデザインは(どうでもよい事なのですが)ダイヤ柄。それが何とアラウが着用しているジャケットの色とダイヤ柄の模様とまったく同じ。

新録音の全集では第14番と第29番が未録音だったことを知り
この2つのソナタは是非聴いてみたかったと思います。
残念です。
が、例え新録音全集が未完であっても、2つの全集を遺してくれたアラウには感謝をしています。

こちらのBoxに収録されているベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集、新録音の方はまだ聴き始めたばかりです。
他の作品共々、アラウの足跡を時間をかけてじっくりと辿ってみたいと思っています。
長く楽しみなお付き合いになりそうです。

                
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20:44  |  ベートーヴェン  |  TB(0)  |  CM(6)  |  EDIT  |  Top↑

2018.04/14(Sat)

Op.435 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第29番≪ハンマークラヴィーア≫」 by アラウ

ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」。
嘗ては大の苦手だった第29番。
現在はお気に入りになった第29番です。
アラウで聴き、その後にソロモンも聴いてみました。
第29番をアラウで。

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア
アラウベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集より

416ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第10番 アラウピアノ・ソナタ全集(1962~66)
(収録曲)
ベートーヴェン

ピアノ・ソナタ第20番ト長調Op.49-2
ピアノ・ソナタ第28番イ長調Op.101
ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調Op.106「ハンマークラヴィーア

クラウディオ・アラウ(P)
(録音:1962-66年)

  第1楽章:Allegro 変ロ長調 2/2拍子
  第2楽章:Scherzo Assai vivace 変ロ長調 3/4拍子
  第3楽章:Adagio sostenuto 嬰へ短調 6/8拍子
  第4楽章:Largo 4/4拍子 - Allegro risoluto 3/4拍子 変ロ長調


半年ほど前にワインガルトナー編曲のオーケストラ版でこの第29番を聴いた時に綴ったこと等を以下、引用しつつ。

ベートーヴェンのスケッチ・ブックによると1817年11月に作曲に着手
翌1818年初めには第2楽章までが完成。
第3,4楽章は夏にメードリングの「ハフナ―ハウス」に滞在をしていた間に
ほぼ完成したようです。
ベートーヴェン47歳頃から48歳頃でしょうか。
1819年の3月には作曲も浄書もすべて終わっていたとのことです。

この曲の「ハンマークラヴィーア」という呼称の由来は
ベートーヴェンがシュタイナー社宛ての手紙に “Große Sonate für das Hammerklavier” とドイツ語で記すように指定したことによるそうです。

ベートーヴェンは1818年の夏、ロンドンのピアノ製造者ブロードウッドから優秀なピアノを贈られたそうです。
当時、英国製のピアノは性能では他を圧し優れた機構と音質を持っていたとのことです。
このソナタの第1、第2楽章はピアノを贈与される以前に作曲されており
第3,4楽章だけがブロードウッドのピアノで作曲されたようです。
因みに、ベートーヴェンは1787年にヴァルトシュタイン伯からシュタイン製のピアノフォルテを贈与されて以来、1825年に最後のものとなるC.グラーフ製のピアノを手にするまでに10種類以上のピアノを使用したとのこと。

(wikiドイツ)435ベートーヴェン ピアノソナタ第29番 August von Kloeber  Beethoven (Skizze  1818)
1818年のベートーヴェン オーガスト・フォン・クレーバー作(鉛筆画)

ソナタ第29番を作曲した当時のベートーヴェンのクレーバーによるスケッチは、メ―ドリングの自然を背景に樹下に横たわる甥カールを加えた、失われてしまった全身像の一部のためのものだそうです。
クレーバーは1818年にメ―ドリングを訪ね、数日間にわたり肖像画を描いたとのこと。
彼はまた、当時のベートーヴェンの暮らしぶりや難聴の具合についても記述を残しているそうです。

第3楽章の導入の1小節は、すでにロンドンで印刷にかかっている頃にベートーヴェンが付加したものだそうです。
ベートーヴェンがロンドンに住むリース宛ての1819年4月16日付けの手紙に、各楽章のテンポをメトロノームで指示した折に、第3楽章の導入の1小節を挿入するように依頼をしたとのことです。
また、同じくリース宛ての4月19日付けの手紙には、この曲の件の他にベートーヴェンは次のように記しているそうです。
「このソナタは苦しい事情のもとで書かれた。パンのために書くのはまったく辛いことだ」

出版は1819年9月、ウィーンのアルタリアから。
曲の献呈はルドルフ大公に。
自筆譜は紛失したとのことです。


アラウで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア

力強く壮大なスケールの冒頭の動機で始まる第1楽章。
この第1主題の前半の明快さ、力強さには希望が溢れ、確固とした自信、揺るぎない決意のようなものが感じられるようです。
アラウのピアノも雄大な趣で響き渡るかのようです。
次に続く後半では穏やかな雰囲気に。
暫く続くこの第1主題の後半。
愛らしさ、柔和さが漂っているようにも感じられます。
力強くクレッシェンドをして再び現れる冒頭の動機。
冒頭動機の力強さと楽章中の強いリズムから活き活きとしたエネルギーが伝わってくるようです。
第1主題が現れ高揚すしドラマティックな趣を経て優しい歌の旋律に。
暫し続く優しい調べも第1主題が現れ勢いを伴いつつ再現部を経てコーダに。
第1主題を素材としているとのこと。素晴らしいコーダ。
息を付かせないほどの気迫。迸るエネルギー。
この楽章の交響的壮大さを総括するように閉じられる第1楽章。

第2楽章はベートーヴェンがピアノ・ソナタにスケルツォを入れたのは第18番作品31-3以来のことだそうです。
またピアノ・ソナタではスケルツォを入れたのはこの曲が最後とのこと。

活気のある明るく弾むリズムで始まる第2楽章。
トリオでは荒々しさを感じるような。
第3部を経てコーダの半ばで速度を上げ激しい雰囲気も。
スケルツォ主題が弱く奏され閉じられる第2楽章。

第3楽章は187小節に及ぶ長大なアダージョだそうです。
その大きさ、表している世界の深いことでも未曽有の規模を持つ特異な音楽とのこと。
導入部の1小節は前述と重複しますが、印刷が始まってからベートーヴェンが付加したそうです。

荘重な趣で重々しくゆっくりとした導入で始まる第3楽章。
すぐ第1主題に。
静かに奏される物想うような寂寥感。
消え入るかのようなピアノの呟き。
静かに進む調べは葬送の雰囲気のようにも。
束の間、一抹の光明が射すように。
再び、いつ果てるともなく続くピアノの呟き。
展開部では重厚な趣も。
ピアノの哀歌、悲歌のように感じられる楽章。
静かに消え入るように閉じられる第3楽章。
印象深い楽章として心に残ります。

ピアノの独り言のような序奏で始まる第4楽章。
速度の変化が多い序奏。
早いテンポの勢いで主部に。
右手と左手の呼応で始まる主部。
すぐに音力を上げ力強く。
フーガ主題開始の部分には「幾分自由な3声のフーガ」と書き込まれているそうです。
フーガは380小節に及ぶ巨大なフーガとのこと。
力強く、活き活きとしたフーガ。
エネルギーの迸りのようなフーガ。
楽章全体が迸りの音楽の印象。
コーダも壮大さを感じさせつつ力強く結ばれ曲の終わりに。


第1楽章を聴き終えて出る溜め息。
第4楽章を聴き終えて再び溜め息。
「素晴らしい」と表現するよりも「凄い」曲。
止まらない溜め息。
音楽が終わり、尚、印象の強さに溜め息は止まらず、の状態。
嘗てはベートーヴェンのピアノ・ソナタ中、このソナタには最も強い苦手意識を抱いていたことが嘘のようです。

印象的な第1楽章。
アラウは力強いパートでの渾身の力での打鍵。そして激しさ。
アラウの指先からは持ち前(?)の朴訥さも感じられ好感を抱きます。
第2楽章、コーダでのアラウの力強い打鍵から怒りの感情のようなものも。
第3楽章から受ける深い感銘を与えるアラウのピアニズム。
第4楽章のフーガもアラウのピアノを通し惹き付ける魔力のようなものを感じます。

この曲を聴きながら頭の中から終始離れることがなかったのは
リース宛てへの手紙のベートーヴェンの記述。
「このソナタは苦しい事情のもとで書かれた。パンのために書くのはまったく辛いことだ」

集中的に聴いたのはアラウとソロモンでした。
両手のバランスの良いタッチ。
殊更に力強さを強調することなく、あくまでも鍵盤を労わるかのような優しいタッチ。
優しさと流麗さ。
ソロモンからは端正に紡ぎ出された美しい第29番として伝わってきます。
特に第3楽章の悲歌、哀歌 はソロモンの演奏では胸に突き刺さるものがあります。

               
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21:01  |  ベートーヴェン  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

2018.04/07(Sat)

Op.434 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第27番」 by イヴ・ナット

ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」。
前回は後期の最初のピアノ・ソナタ第28番でしたので
今回は逆戻りをして、中期の最期のソナタ第27番を。

ブログ仲間の御方がお寄せくださいましたコメントにベートーヴェンピアノ・ソナタで最近のお気に入りになっているのがイヴ・ナットとのことでした。
イヴ・ナットは名前しか知らず、私にとっては未知のピアニスト。
ショップ・サイトで探したところナットの15枚組 Box が目に付きました。
ベートーヴェンピアノ・ソナタ全曲他が収録されておりました。
今まで耳にすることのなかった演奏者によるベートーヴェンピアノ・ソナタ
関心と興味の虜になりつつ耳を傾けている日々です。

今回の第27番をイヴ・ナットで。

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第27番
イーヴ・ナット~ザ・フレンチ・ピアノ・レジェンドより

434ベートーヴェン:ピアノソナタ第27番イーヴ・ナット~ザ・フレンチ・ピアノ・レジェンド
(収録曲)

ベートーヴェン
ピアノ・ソナタ第26番 変ホ長調 Op81a 告別」(1954年5月)
ピアノ・ソナタ第27番 ホ短調 Op90(1954年6月)
ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調Op.106「ハンマークラヴィーア」(1954年10月)

イヴ・ナット(P)


第1楽章:Mit Lebhaftigkeit und durchaus mit Empfindung und Ausdruck
      ホ短調3/4拍子  速く、そして終始感情と表情とをもって 
第2楽章:Nicht zu geschwind und sehr singbar vorzutragen
      ホ長調2/4拍子  速過ぎないように、そして十分歌うように演奏すること 



作曲されたのは1814年だそうです。
1813年にライプツィヒでフランス軍が惨敗を喫しヨーロッパは大きな転換期を迎えたそうです。
ベートーヴェンは前年には交響曲第7番や第8番など充実をした大作を作曲していたそうですが、1813年(43歳)このころからベートーヴェンにも大きな変化が起きてきたとのことです。
見せかけの平和とその陰に隠れた反動勢力の中でベートーヴェンは大芸術家として祭り上げられ押しも押されない名士になったそうです。
1814年にウィーン会議が開かれる頃には各国の代表や貴族たちに取り巻かれ、ベートーヴェンの名はヨーロッパの権力者たちの間に深く浸透していったとのこと。
しかし、作曲については社会的光栄に反比例し沈滞をしたそうです。
戦争による多々の意味での打撃、最期の結婚への努力の失敗による絶望的な孤独感をくぐり抜け、もう一度、しかも前よりももっと高い所にと復活をする1816年に至るまでベートーヴェンはスランプとも呼べる時期に入ったとのこと。

このソナタ第27番は丁度その危機の最中に作曲されたそうです。
浄書された原稿には1814年8月16日と記されているとのこと。

シンドラーの伝えるところによると(シンドラーのことですので信憑性については疑問を抱きつつ)、リヒノフスキー伯爵がベートーヴェンにこのソナタの意味について尋ねたそうです。
ベートーヴェンは笑って
第1楽章は「理性と感情の戦い」、第2楽章は「恋人との会話」と答えたとのことです。

曲の出版は1815年、ウィーンのシュタイナーにより。
自筆譜はロンドンの個人が所有。
献呈はモーリツ・フォン・リヒノフスキー伯爵に。
伯爵とベートーヴェンは音楽上の友人であったそうです。
イギリスの摂政ジョージに捧げた「戦争交響曲」の報酬につき、リヒノフスキー伯爵がウィーン会議のイギリス代表に取りなしてくれたお礼として、この第27番のソナタを伯爵に献呈されたとのことです。


イヴ・ナットで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第27番

力強く躍動感のあるリズム。生き生きとした第1主題で始まる第1楽章。
穏やかな旋律に転じるのも束の間
オクターブでの上昇では空中を駆け抜けるかのような軽やかさ。そして華麗な趣。
経過句での音階風な下降のパートでは激しさも。
和音の連打に続いて現れる第2主題。
穏やかな趣の主題。
小結尾で現れる短く美しい旋律には耳を奪われてしまいます。
展開部では右手の細やかな16分音符の動きからは華麗さも。
再現部を経てのコーダでは沈み込むような雰囲気。
弱音で消え入るように静かに閉じられる第1楽章。

優美なロンド主題の調べで始まる第2楽章。
歌心に溢れたロンド主題。
第2主題も穏やかな歌。
懐かしさを感じる歌の調べです。
この楽章では終始、歌を聴いている気分に。
歌心に溢れた調べの数々。
コーダでも流れる歌。そして静かに迎える曲の終わりに。


イヴ・ナットは1951年から1956年にかけてベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲を録音したそうです。
第27番も初めて耳にする曲かも知れません。
印象的な第2楽章。
懐かしさのような親しみを感じる素朴な歌の楽章のようにも感じられます。

イヴ・ナットでベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴いている途中ですが
数曲を聴き感じたこと。
感情よりも作品の構築性を重視したような演奏でしょうか。
直截的で見通しの良い演奏。
地道、地味でありながらもタッチの明晰さ。
真摯にわが道を行く、そのようなものを感じます。
耳を傾ける毎に味わい深さが増してくるようにも感じています。

               
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20:20  |  ベートーヴェン  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2018.03/31(Sat)

Op433 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第28番」 by ギレリス

ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」
今回は中期のソナタから後期のソナタに飛びます。
後期作品の始めの曲、第28番を。
有名な第29番が Grosse Sonate fur das Hammmereklavier と呼ばれるのに対し
第28番は Kleine Sonate für das Hammerklavier と呼ばれるようです。
ギレリスの演奏を主として聴いてみました。 

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第28番
ギレリスベートーヴェン ピアノ・ソナタ選集より


483:ベートーヴェン:ピアノソナタ第17番「テンペスト」ギレリス~ベートーヴェン・ピアノソナタ集より
(収録曲)
ベートーヴェン

ピアノ・ソナタ第28番 イ長調 Op.101
ピアノ・ソナタ第29番 変ロ長調 Op.106「ハンマークラヴィーア」

エミール・ギレリス(P)
(選集録音:1972ー1985年)


第1楽章:Allegretto, ma non troppo(Etwas lebhaft und mit der innigsten Empfindung)
      イ長調8/6拍子
第2楽章:Vivace alla Marcia(Lebhaft. Marschmäßig)
      ヘ長調4/4拍子
第3楽章:Adagio, ma non troppo, con affetto(Langsam und sehnsuchtsvoll)
      イ短調2/4拍子
第4楽章:Allegro(Geschwind, doch nicht zu sehr, und mit Entschlossenheit)

尚、曲の楽章構成については統一されていないようですが。
第3楽章の序奏と主部の部分を一つの楽章とした3楽章構成と
第3楽章の序奏の後の主部アレグロの部分を第4楽章として扱い4楽章構成になっているものの2つがあるようです。
ここでは一応、ギレリスのディスクが4楽章構成になっていましたので準拠して4楽章構成として綴りました。
実際に数種の演奏を聴き、4楽章構成で録音されたものが聴き易く思いました。         


作品に着手されたのは1815年。
第1楽章のスケッチは今日、明らかになっていないため着手よりもだいぶ以前に楽想が蓄積されていたのではないかとも考えられているそうです。
翌1816年の夏に大部分が書かれ秋に完成されたとのことです。
完成は自筆譜によると1816年11月と記されてるそうです。
後期様式に最初に作曲されたソナタとのこと。

1815年以降のベートーヴェンは新しい創作力でチェロ・ソナタ2曲を書き
翌1816年4月には歌曲集「遥かな恋人に」
そしてピアノ・ソナタではこの第28番が続いて作曲されたそうです。

この時期、後期に相当する時期には音楽の質、内容、外観のすべてが前の時期とは変わり、深い心情が限りなく細やかなニュアンスを持ち、広大な拡がりを感じさせつつ現れてきたとのことです。
中期の作品の人間的な力と闘いの様相の激しさ。
そのような激しささえ包括する豊かな深味のある世界がベートーヴェンの内面に開けてきたそうです。
作品の表現の手法もいろいろに拡張され、きめ細やかになり、形式は自由になってきたとのこと。

出版は1817年2月にウィーン、シュタイアーより。
自筆譜はスイスのルイス・コッホ・コレクションに保存されているとのこと。

献呈はエルトマン男爵夫人ドロテアに。

(bingリンク)433ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第28番Baroness Dorothea von Ertmann
Dorothea von Ertmann
( 1781年5月3日-1849年3月16日)

ドロテアは当時一流のピアニストだったそうです。
また1803年からベートーヴェンの弟子だったとのこと。
その演奏はたいへん美しいものであったそうでシンドラー、メンデルスゾーンも賛辞を贈ったそうです。
ベートーヴェンは彼女を敬愛していたとのことで、殉教をした音楽の聖女チェチーリアに因み、「ドロテア・チェチーリア」と呼んでいたそうです。
181年2月23日付けドロテア宛ての書簡にベートーヴェンはこのソナタ第28番を彼女に捧げるにあたり次のように記しているそうです。
「兼々、あなたに差し上げようと思っていたもので、あなたの芸術的天分とあなたの人柄に対する敬愛の表明になるでしょう」
一説によると、当時愛児を失い悲しみに暮れていたドロテアにベートーヴェンがこのソナタを演奏して聴かせたとのことです。


ギレリスで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第28番

第1楽章:速度記号とともに「幾分速く、そして非常に深い感情をもって」と記されているそうです。
美しい調べの第1主題で始まる第1楽章。
ゆったりと優しく柔和な雰囲気の主題。
第2主題も第1主題と同じような趣。
第2主題では感情の起伏が豊かに表現されているようにも感じられます。
展開部そして再現部も冒頭からの楽想が一つの流れゆく旋律のようです。
再現部の終わの部分のフォルティシモはこの楽章で唯一現れるそうです。
このフォルティシモが一回奏され温和で夢見るような調べのコーダに。
静かに閉じられる第1楽章。

第2楽章:速度記号とともに「生き生きと行進曲風に」 の記。
一般的な行進曲という意味ではなく、弾むリズムに乗った幻想曲のような楽章だそうです。

軽快に弾むリズムで始まる第2楽章。
飛び跳ねるかのようなギレリスのタッチ。
幼い子供が嬉しさ、喜びを飛び跳ねて身体で表現しているような雰囲気を感じます。
高音域の弾みと左手の応答からは愉しげな雰囲気も。
耳を傾けつつ、つい口ずさんでみたい気分に。
中間部では静かな趣で始まり、暫し続くカノン。
トリルが奏され現れる主題の行進曲風なリズムで弾む躍動感に。
第3部を経て活発に弾みつつに閉じられる第2楽章。

第3楽章:「ゆっくりと、そして憧れに満ちて」との記。
第3楽章は終始弱音ペダルを使用して演奏されるとのことです。 

ゆったりと静かに奏し始められる第3楽章。
寂寥感が強く漂う調べ。
ギレリスの優しいタッチからは寂寥感が殊更、胸に響くようです。
左手に応えるかのような右手はポツリポツリと物想うような朴訥な呟きを。
その響きの美しさ。
カデンツァに入り奏される第1楽章の主題。
このカデンツァは第1楽章のテンポAllegretto, ma non troppo イ長調6/8拍子で回想されるとのこと。
トリルで奏されそのまま第4楽章に。

第4楽章:「 速く、しかし速すぎないように、そして断固として」
一転する趣。
速度が上がり切れ味鋭く凛とした趣の第1主題で始まる第4楽章。
活気のある雰囲気。
現れる第2主題は優しい雰囲気で。
再び現れる第1主題の活発さ。
展開部では第1主題によるフーガ主題の出現。
弱音を挟みつつも力強く奏されるフーガ。
このフーガに耳を傾けていると感動的な想いに。
再現部を経て迎えるコーダ。
コーダではピアニッシモで奏される愛らしい調べに和みを感じるようです。
活力が漲る力強い和音の連打。
固い意志力、気迫を感じさせつつ迎える曲の終わり。


この曲も「第28番」ということを意識してじっくりと耳を傾けるのは初めてかも知れません。
最も惹かれるのは第3楽章。
ギレリスはこのソナタでも優しく温和な打鍵。
ただただ、耳を奪われます。
第1楽章での夢見るような想いが込められた優しいタッチ。
次のキーに移る時、瞬間的に音との間の空気が感じられ印象に残るピアニズム。
第3楽章では楽想の美しさとともに
ギレリスが紡ぎ出す調べに思わずホロりと。
深く心に刻まれる第3楽章です。

端正に奏される一音一音。音の輪郭の克明さ。
不純物のない清明な音色の美しさ。
優しさ、愛らしさ。柔和、温和。
繊細な表現。
奥深さを湛えた抒情性。
ギレリスの演奏を聴いていると、ソロモンの演奏と重なるものを感じてしまいます。

第28番は幸いにもソロモンの録音が残っていましたので聴くことができました。
お気に入りになった第3楽章ではソロモンの演奏から寂寥感とともに打ちひしがれるような表情も伝わってくるようです。
録音の影響かとも思いますが、ギレリスよりも仄暗さを感じる音色。
微かに渋い趣もまた魅力の一つに。

今回はこのソナタをシュナーベルに始まり、ギレリス、アラウ、ソロモン、グード、コワセヴィッチと聴き進んできました。
この中で異例(?)に感じたのはコワセヴィッチ。
抒情性を排し、剛健さが印象として残りました。
一つ一つの演奏が魅力を感じさせるようです。
特にギレリス、ソロモンは ともに心に残る第28番になりました。

               
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2018.03/24(Sat)

Op.432 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第24番≪テレーゼ≫」 by アシュケナージ;シュナーベル

毎週、毎週「ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」。
いつまで続くのでしょうか。
さて、今日は第24番を。
久し振りにアシュケナージのピアノを聴いてみたくなりました。
アシュケナージで聴いた後、改めて他の演奏で聴きたく思い
シュナーベルの演奏も聴いてみました。
ソナタ第24番をアシュケナージシュナーベルの二人の演奏で。
一応、代表は始めに聴いたシュケナージに。

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第24番「テレーズ
アシュケナージベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集より

372(345) ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第16番 全集 アシュケナージ
(収録曲)
ベートーヴェン
ピアノ・ソナタ第21番ハ長調op.53『ワルトシュタイン』
ピアノ・ソナタ第22番ヘ長調op.54
ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調op.57『熱情』
ピアノ・ソナタ第24番嬰ヘ長調op.78

ウラディミール・アシュケナージ(P)
(録音:第24番 1979年)

第1楽章:(導入)Adagio cantabile 2/4拍子 – Allegro ma non troppo 嬰へ長調 4/4拍子
第2楽章:Allegro vivace 嬰ヘ長調 2/4拍子


作曲されたのは1809年。
伯爵令嬢のテレーゼ・ブルンスヴィックに献呈されたことに因み
「テレーゼ・ソナタTheresen Sonate」とも呼ばれるそうです。

第23番「熱情」が作曲された1805年、この時期からの数年、ベートーヴェンの創作力は豊かで、あらゆるジャンルにわたり幾つもの大作が書かれたとのことです。
前年の1808年には交響曲第5番、第6番、そしてこの1809年にはピアノ協奏曲第5番の作曲。
ピアノ・ソナタだけは第23番以来、手が付けられることなく4年を経た1809年になり、このソナタ第24番が書かれたそうです。

着手された時期については不明だそうですが、当時ベートーヴェンは新しい曲を自分で別に写し取りルドルフ大公に贈呈していたそうです。
そのルドルフ大公の蔵書目録の1809年10月の個所にこのソナタ第24番が書き込まれているとのことです。

1805年作のソナタ第23番を書いた頃からベートーヴェンの作品から激情さが消えつつあり、温か味のある和やかさを持つ作品が現れてきているそうです。
この第24番も愛らしく美しい音楽。

この曲が作曲された1809年にはナポレオン軍のウィーン攻撃があり、ベートーヴェンは精神的にも経済的には大打撃を受けたそうす。
ベートーヴェンは人間の強さと弱さを身に沁みて感じ、翌年には精神的安定を求めて結婚への最後の努力を試みたとのことです。
このようなベートーヴェンの内面が豪壮な趣のピアノ協奏曲第5番の傍らに、この第24番のような細やかなソナタが並んでいることも不思議ではないようです。

出版は1810年9月、ブライトコプフ&ヘルテルから。
自筆譜はチューリッヒのボドマー・コレクションに保存されているとのこと。


432ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第24番「テレーゼ」Büste von Therese Brunsvik
Therese Brunsvik
(1775年7月27日-1861年9月23日)

曲の献呈はブルンスヴィック伯爵令嬢テレーゼに。
ベートーヴェンがピアノ・ソナタ第23番「熱情」を献呈した音楽好きなブルンスヴィック伯爵の3人子供たち(Therese、Josephine とFranz )の一人であるテレーゼはベートーヴェンを取り巻く女性のうちでも重要な人物の一人だそうです。
テレーゼはベートーヴェンとはピアノの師弟関係の他、一家でベートーヴェンを快く家庭に迎え入れていたとのことです。
彼女はベートーヴェンが死去した翌年にハンガリーで託児所を創り、生涯独身のまま託児所の仕事を続けたそうです。
ベートーヴェンは最期まで彼女の肖像を秘蔵していたとのこと。


アシュケナージで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第24番「テレーゼ」

ゆっくりと穏やかに歌うような調べの導入で始まる第1楽章。
この短い導入に続いて主部に。
右手の16分音符の軽やかな伴奏で歌われる第1主題。
アシュケナージではこの16分音符の伴奏は星の煌めきのような趣を湛え印象に残ります。
第1主題の親しみを感じさせる美しい歌の調べ。
歌の後の経過部では湧き上がるような高揚感に。
第2主題が現れ第1主題と同じような美しく柔和な調べ。
展開部で再び現れる第1主題。
華麗にピアノが歌い続け凛とした趣で閉じられる第1楽章。

第2楽章は形式的にはソナタ形式とも見られ、またロンド形式にも近く独創的な形式になっているとのことです。
フォルテとピアノの対比が克明で切れ味の良い第1主題で始まる第2楽章。
右手が素早く勢いのある動きで上昇。
明るい熱気を感じさせられるようです。
再び力強く奏される第1主題。
コーダに至るまで続く力強い躍動感に満ちた高揚するような楽想。
コーダで冷静さを取り戻すかのように弱音になるのも束の間
アルペッジョになり華麗に力強く迎える曲の終わり。


第1楽章のピアノにより歌われる美しい歌。
第2楽章の躍動感溢れる活発な楽想。

久し振りに耳を傾けたアシュケナージ。
明るい音色で軽やかに舞い続けるピアニズム。
瞬発的なタッチ、軽やかで素早い運指が目に浮かぶようです。
切れ味良く颯爽と楽想を歌い上げているよう。
アシュケナージの演奏では第1楽章の導入部のみが
アダージョで緩やかに美しく歌われる以外は
終曲までヴィヴァーチェのみの快速の勢いを感じます。

次に聴いたシュナーベル
収録曲順ともアシュケナージと同じですが、シュナーベルの方は同じディスクに第25番も収録されています。

アルトゥール・シュナーベル~ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集より
)432ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第24番「テレーズ」シュナーベル ピアノ・ソナタ全集
(収録曲)
ベートーヴェン
ピアノ・ソナタ第21, 22, 23,24番
ピアノ・ソナタ第25番 ト長調 Op.79

アルトゥール・シュナーベル(P)
(全集録音:1932年~1938年)

第1楽章の冒頭、導入部のシュナーベルのピアノから紡ぎ出される歌の美しさに
ただただ、聴き入ってしまいます。
雑念は消え、この曲の美しさだけが心を占領。
導入部以降も落ち着いた雰囲気のピアニズム。
表情の豊かさ。
じっくりと耳を傾け心を奪われてしまいます。
次曲の第25番は前回お寄せいただいたコメントを拝読して聴いていたソナタです。
24番、25番ともに惹かれるものを感じます。
第25番もお気に入りになりシュナーベルで繰り返し聴いておりました。

久し振りに聴いてみたくなったアシュケナージ。
たまたま思い立ち耳を傾けててみたシュナーベル。
対照的な24番でしょうか。

「テレ―ズ」の肖像画をピアノで描写するとしたら・・・。
アシュケナージの演奏からは完全無欠で「華美な趣を湛えたテレーズ」。
伯爵令嬢としての華麗なテレーズでしょうか。
シュナーベルでは「誠実で美しいテレーズ」。
ベートーヴェンの死の翌年に託児所を創設し、独身を貫き託児所の仕事を続けたというテレーズの面影を見るような想いを抱きます。

対比的な2人の演奏。
演奏の好みは各人各様と思いますが、個人的にはシュナーベルの演奏が気に入っています。

               
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2018.03/17(Sat)

OP.431 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第22番」 by ソロモン

ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ』
今日はソナタ第22番を。

いつものように聴いた記憶がなかったのですが、第1楽章の第1主題が耳に入り微かに過去に聴いた記憶が戻ってきました。
前回と同じソロモンのディスクからです。
私が所持しているディスクは第1楽章の終わり頃,、コーダの部分に再生不良個所がありますが、やはりソロモンは外せませんので。

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第22番
ソロモンベートーヴェン ピアノ・ソナタ集より

430:ベートーヴェン Piano Sonatas 17 18 21 & 22ソロモン ソロモン
(収録曲)
ベートーヴェン 
ピアノ・ソナタ第17番ニ短調「テンペスト」Op.31-2(1954年録音)
ピアノ・ソナタ第18番変ホ長調Op.31-3(1954年録音)
ピアノ・ソナタ第21番ニ長調「ワルトシュタイン」Op.53(1952年録音)
ピアノ・ソナタ第22番ヘ長調Op.54(1951年録音)
ソロモン・カットナー(P)

第1楽章:In Tempo d’un Menuetto ヘ長調 3/4拍子
第2楽章:Allegretto ヘ長調 2/4拍子


作曲されたのは前作「ワルトシュタイン」に引き続き1804年に書かれたそうです。
2楽章構成で第1楽章はロンド形式に似通い、第2楽章は自由な三部形式で
形式的にかなり自由になっているとのこと。

このソナタは「ワルトシュタイン」と「熱情」の間に挟まれた作品とは言え
その2曲のソナタとの比較を抜きにしても目立たない作品とのこと。
昔から好意のある評価をあまり受けることがなかったそうです。

大木正興、正純両氏の記述によると
「何故、このような風変りな作品が突然生み出されることになったのか理解し難い」とのこと。
氏の推測では第2楽章構成のソナタへの積極的な試み
或いは、ソナタそのものの構成と内容に新風を送りこもうとする意図
この2点を挙げて居られます。

出版は1806年にウィーンの美術工芸社より「ソナタ第51番」作品54 として出版されたそうです。
作品番号に問題はないものの、「第51番」が何を意味するのかが大問題になったとのことです。
リーマンやノッテポーム等が、ボン時代に作曲された作品を加えてみたり、或いはソナタの形式で書かれた作品全てを数えたりして、「第51番」の数字を合わせることに苦労をしたとのこと。
しかし、確かな事は不明とのことです。

曲の献呈はなし。
自筆譜の行方も不明とのことです。


ソロモンで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第22番

第1楽章は形式としてはロンド形式に似ているそうです。
愛らしく優しい調べの第1主題で始まる第1楽章。
優しさが溢れる主題に親しみを感じ、ホッと寛ぎを覚えます。
第1主題が数回繰り返された後現れる第2主題。
第1主題とは対照的。
動的で激しさを感じさせる第2主題。
左手の動きを追う右手がカノンのよう。
聴いていると優雅な趣も。
経過部では静かに囁くように奏され
続いて左手が3連音の低音域を奏するのが相図でもあるかのように再現部に。
コーダになりお気に入りの第1主題が現れ耳を傾けていると、私が所持しているディスクでは再生不良個所が。
何とか意地で耳を傾けていると第1主題での盛り上がりの後に穏やかに閉じられる楽章。

第2楽章は自由な三部形式で、16分音符で流れ続ける無窮動的性格の楽章とのことです。
低音で流れるように始まる第3楽章。
奏される低音を少し遅れて追いかける高音。
常動曲の性格の楽章らしく忙しげで目まぐるしい動き。
右手と左手の徒競走を連想してしまいます。
活力、推進力、満点。
コーダも今までの延長で主題だけが用いられ
ゴールをするかのように速度を変えずに迎える曲の終わり。


このソロモンのディスクはお気に入りの一枚になっています。
ただ、残念なのは所持しているディスクには、冒頭にも書きましたが第1楽章のコーダの部分、4分20秒前後から再生不良個所があること。
楽章が閉じられる寸前になり再び再生が正常に戻るのですが・・・何か中途半端な気分。

気を取り直し再生不良個所を忘れソロモンの演奏。
やはり第1楽章の第1主題を奏するソロモンが好印象です。
愛らしく優しい趣の主題を優しいタッチで。
いかにも壊れ物にでも触るかのような、微妙なタッチ。
音を愛でるように生み出される優しさ。
対して第2楽章での終始一貫した16分音符を淀みのない闊達なタッチ。
ソロモンの指はキーの一部に化しているような。

第1楽章の第1主題を除きこのソナタもまた、前回聴いた第18と同じように
特に印象深く心に残るものがないような気がしてします。
が、ソナタ第18番と同様に耳を傾けている最中には
惹き込まれてしまう不思議な魅力を感じています。

                
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