2017.11/18(Sat)

Op.414 モーツァルト:「弦楽五重奏曲第5番」 by ウィーン弦楽五重奏団

テンプレートを一時、変更をしての約1週間の仮住まい。
気に入ったテンプレートに出合うことができて新居(?)に引越しをしてきた気分です。
今まで8年以上お世話になってきたテンプレートは自分でとても気に入リ愛着もあります。
大家さん(テンプレートの作者さん)のご都合での引越しには多々の想い出、愛着のある「家」との別れのようでもあり、寂しさを感じつつ、新居からの初発信です。


小塩節著「モーツァルトへの旅」を読んでいて聴きたくなった弦楽五重奏曲
と言うと曲に熟知をしているようですがモーツァルトの6曲の弦楽五重奏曲のすべてを聴いた訳でもなく、私にとってはどの曲も初めて聴くようなものです。
CDラックで長年、眠り続けていたディスクを出して聴いてみました。
ウィーン弦楽五重奏団の演奏で第5番を。


             モーツァルト弦楽五重奏曲第5番
     ウィーン弦楽五重奏団モーツァルト 弦楽五重奏曲全集より


           414モーツァルト 弦楽五週奏曲第3番&5番 ウィーン弦楽五重奏団 モーツァルト弦楽五重奏曲全集よりウィーン弦楽五重奏団
                   ↑
手持ちの全集は20年程前に求めたもので現在発売されている全集とはジャケットデザインが違いますが一応、貼ってみました。

                 (収録曲)
                 モーツァルト

             弦楽五重奏曲第3番 ハ長調 K.516
             弦楽五重奏曲第5番 ニ長調 k.583

               ウィーン弦楽五重奏団
 トーマス・クリスティアン(1st.Vn);ペーター・ヴェヒター(2nd.vn)
 ハインリヒ・コル(1st.Vla);ハンス・ペーター・オクセンホファー(2nd.Vla)
 ミヒャエル・ヘル(Vc)
               (録音:1992年4月)



        第1楽章:Larghetto 3/4拍子―Allegro 2/2拍子
        第2楽章:Andante ト長調          
        第3楽章:Menuetto Allegretto ニ長調 3/4拍子
        第4楽章:Allegro ニ長調 6/8拍子


作曲されたのは1790年12月、モーツァルトが亡くなる1年前だそうです。
弦楽五重奏曲第3番を書いてから3年程後にモーツァルトは再び弦楽五重奏曲に取り掛かったそうです。
翌1791年に作曲された 第6番変ホ長調K.614 とともに、この2曲はモーツァルトの室内楽作品における最後を飾る曲とのことです。

第5番は最も古典的とも言えるニ長調で書かれており
規模は抑えられ、純化された形式と楽想において優美様式と厳格様式の2つの書法が見事に融合しているそうです。

1783年5月にアルタリア社から第6番とともに出版されたそうです。
尚、「ハンガリーの音楽愛好家のための作品」との添え書きがあるとのこと。
同年5月18日付けのウィーン新聞に掲載された広告には或る音楽愛好家に促され曲が書かれた、との趣旨が伝えられているそうです。
このハンガリー出身の音楽愛好家でモーツァルトの支援者でもある人物が誰なのかは不明とのことですが、メーレン地方出身の富裕な大商人、ヨーハン・トスト(1755年頃-1831年)ではないかとされているそうです。
ヨーハン・トストは自身、優れたヴァイオリニストだったとのことです。
ハイドンはトストに1789年及び1790年に各6曲の弦楽四重奏曲を献呈しているそうです。


ウィーン弦楽五重奏団で聴くモーツァルトの弦楽五重奏曲第5番

チェロが奏する ラーラララ と上行する和音で語りかけ
ヴァイオリンが応答する弱音の静かな序奏で始まる第1楽章。
序奏に漂う瞑想的な雰囲気。印象的な調べとして感じられます。 
主部に入ると一転して明朗な趣に。
弾むように奏される各楽器の溌剌さ。
ヴァイオリンの愉しげに舞うかのような軽やかさに優雅な舞を連想していると
緊張を帯びた雰囲気に。
楽章が進み終わり近くに姿を表す冒頭の静かな瞑想的な趣に。
力強さを伴い閉じられる第1楽章。

第2楽章は声部のグループ分けと応答を特徴としているそうです。
5声部は3声部づつに分けられ、協奏風の華やかなものではなく「16世紀の5声マドリガルに見られるような3声の応答」をみせているとのこと。
交響曲第41番の「ジュピター」の緩徐楽章に比されることが多い楽章だそうです。

伸びやかに始まる第2楽章。
歌うかのような清澄な調べの第1主題。
翳りを帯びたような第2主題。
再び静かな趣になり冒頭の旋律も現れ、軽やかな趣のメヌエットも現れた後に
チェロが力強く奏され緊張が感じられるよう。
活躍する第1ヴァイオリン。
各々の楽器たちがカノンで奏され静かに閉じられる第2楽章。

歌うような調べで始まる第3楽章
素朴な愛らしさをも漂うメヌエット。
徐々に音量が上がり優雅さと力強さが融合したような調べ。
カノンを見せる楽器たち。
トリオになり第1ヴァイオリンとチェロの応答には力強さも。
再び第1主題が顔を出し歌うような趣を漂わせつつ力強く閉じられる第3楽章。

素早い動きを感じさせる活き活きと始まる第4楽章。
この第1主題の生き生きとした躍動感。飛翔をするような息吹。
溢れるような快活さは、一つの光明に向かって突進をするかのような快活さ。
第2主題ではヴァイオリンとともにチェロも活躍。
展開部で現れるフーガでもたらされる高揚感が印象的。
速い動きで力強く迎える曲の終わり。


聴き応えのある曲。
演奏も溌剌として各楽器が音符を言語化しているよかのような明晰な演奏に感じられます。
各楽器の音色自体も明るく、明朗な旋律を奏しつつ緊張感も醸し出し好演のように想われます。
この曲だけでなく全集の一曲一曲が好感を抱かせる演奏。
第5番以外は超スピードで聴いてきた曲たちですので、改めてじっくりと耳を傾けたいと思います。
目下、お気に入りの演奏です。

ウィーン弦楽五重奏団は第1ヴァイオリンのトーマス・クリスティアンを中心にウィーン・フィルハーモニー首席ヴィオラ奏者のハインツ・コルたち、各々ウィーン・フィルの首席奏者たちにより1988年に結成されたそうです。
ミヒャエル・ヘルはミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団のチェロ奏者とのこと。
このモーツァルトの弦楽五重奏曲全集は1991年から1993年、丸2年をかけて録音された演奏をまとめたものだそうです。


               
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2017.11/11(Sat)

Op.413 J.S.バッハ:「イタリア協奏曲」 by レオンハルト

先日、レオンハルトの演奏するJ.S.バッハ鍵盤作品集成より
チェンバロ協奏曲第1番を聴いた同じディスクから今日はイタリア協奏曲を。

                     J.S.バッハイタリア協奏曲
               レオンハルトJ.S.バッハ鍵盤作品集成より

           411チェンバロ協奏曲第1番 レオンハルト~J.S.バッハ鍵盤作品集成
                        (収録曲)

                        J.S.バッハ
              チェンバロ協奏曲第1番 ニ短調 BWV1052
              イタリア協奏曲 へ長調 BWV971
              トッカータ ニ長調 BWV912
              トッカータ ニ短調 BWV913
              フーガ イ短調 BWV944
              幻想曲 ハ短調 BWV906
              半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903

                 グスタフ・レオンハルト(Cem.)
               (録音:1976年12月
              1728年製クリスティアン・ツェル使用)


               第1楽章:(速度指定はなし )ヘ長調
               第2楽章:Andante ニ短調
               第3楽章:Presto ヘ長調


この作品は1735年に「クラヴィーア練習曲集 第2巻」としてバッハの第2の出版曲集
として書き上げられたとのこと。
「クラヴィーア練習曲 第2巻」は2つの作品、「イタリア協奏曲」と「フランス風序曲」
から成り出版されたそうです。
作曲されたのは前年、ライプツィヒに於いて、ということになっているとのこと。

「クラヴィーア練習曲集 第2巻」でバッハが目指したのは当時の音楽先進国
イタリアとフランスの代表的なオーケストラ曲の様式に従いチェンバロ協奏曲を
作曲することだったそうです。

バッハはこの曲に「イタリア趣味による協奏曲」“Concerto nach Italienischem Gusto”との題を付けたそうですが、簡単に「イタリア協奏曲」と呼ばれているとのこと。
バッハの代表作の一つに数えられ演奏される機会も多いそうです。

バッハは青年時代から音楽の先進国イタリアの音楽を研究しいろいろに
編曲していたそうです。
また、当時、イタリアではヴィヴァルディが完成し流行していた協奏曲の様式を
取り入れ協奏曲を作曲したり書き直したりしたとのことです。
ライプツィヒ時代になり、イタリアの協奏曲の在り方を一つの楽器で生かそうという
ことになり、この「イタリア協奏曲」が誕生したそうです。

この作品では一つのチェンバロという楽器で協奏曲の総奏と独奏の効果を出すように
工夫をされているそうです。
演奏からすると現在のピアノで演奏をするよりもチェンバロの方が適しているとのこと。
チェンバロは2列の鍵盤で音質の対比感、及び ピアノとフォルテの創意も
出すことができるとのことです、。
鍵盤の使用法のためにバッハは特にピアノとかフォルテを他のクラヴィーア曲の
時よりも入念に記入しているそうです。
ピアノとフォルテのバッハの指示は、協奏曲における楽器群の対比表現に
なっているそうです。

この作品はバッハの存命中から大評判になったとのことです。

レオンハルトの演奏で聴くJ.S.バッハのイタリア協奏曲

第1楽章は速度の指定がなく、アレグレット程度ということになっているそうです。
耳に馴染みのある溌剌とした旋律の主題で始まる第1楽章。
主題の動機が曲を統一しているとのことで終始、明朗、軽快な趣に溢れているよう。
独奏と総奏とが交互に現れて進む楽章。
楽章の終わり頃の主題の総奏では右手の装飾が醸し出す優雅な雰囲気。
多彩に姿を変える主題動機を耳に
「次はどのような展開に?」「どのように変容を?」と、推理小説を読むかのような
楽しみな心境に。
楽章の終りの総奏で活き活きと閉じられる第1楽章。

ゆっくりと歩み始めるように始まる第2楽章。
右手から紡ぎ出される歌うかのような旋律。
伴奏をする左手で印象的なのは低域音。楽章にスパイスのような味付けを。
右手が歌う調べは煌めき輝くように。
歌う楽章、歌の楽章と表現したくなる美しさを感じる第2楽章。
心に残る楽章です。

第3楽章、構成はロンド風になっているとのことです。
楽章の始めに現れる総奏でのロンド主題の軽快さ。
滞ることなく前進あるのみ、という感じで進む楽章。
鍵盤が織りなす素晴らしい芸術。
次々と続く第1副主題、第2副主題、第3副主題の活き活きとした趣。
ロンド主題には第1楽章の主題動機も顔を出しているのでしょうか。
楽章冒頭、総奏のロンド主題が現れて明朗軽快に力強く迎える曲の終わり。


この曲は以前、ピアノで聴いた時には最後まで聴き通すことに苦痛すら感じた
苦い想い出があります。
あれから云年が経過し、今回レオンハルトで聴くイタリア協奏曲。
第1楽章が鳴り出した瞬間に耳に馴染みの旋律・・・と、初めて気が付く有様。
嘗ては苦痛を感じた作品が、今回は吸い込まれるように惹かれ
繰り返し聴いたほどです。

チェンバロの音色に魅了され、明朗軽快な旋律は心を躍らせるようです。
レオンハルトを集中的に聴き始めたキッカケになった「ゴルドベルク変奏曲」。
昔求めた「ゴルドベルク」(1964年頃の録音との表記)に比べ
このBoxに収録されている1976年録音の「ゴルドベルク」の何という軽快さ、明るさ。
この数年、いろいろな「ゴルドベルク」を聴いてきました(聴いてきたつもり)が
こんなに明朗で軽快な「ゴルドベルク」は初めて、とつい先頃感じ入り耳を傾けておりました。

明朗、軽快な雰囲気に溢れた、この「イタリア協奏曲」も
レオンハルトの演奏を聴き初めて好感を抱きました。

昨今、当拙ブログに姿を現さなかったJ.S.バッハ。
こうして綴っていると改めて「バッハは良いなぁ」・・・。
そのように感じさせてくれたレオンハルト。
このレオンハルトのBox、これからも共に歩み続けたい大切なBoxになりました。


                 
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19:58  |  J.S.バッハ  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2017.11/04(Sat)

Op.412 ベートーヴェン:「弦楽四重奏曲第15番」 by ターリヒ四重奏団

ベートーヴェン弦楽四重奏曲第15番。
ハンガリー四重奏団の演奏を聴き、すっかりこの曲がお気に入りになりました。
第15番に惹かれ手持ちの四重奏団以外の演奏で聴きたくなり
ターリヒ四重奏団のディスクを求めてみました。

               ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第15番
        ターリヒ四重奏団ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集より

           412:)ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第15番 ターリヒ四重奏団 全集より
                        (収録曲)
                       
                      ベートーヴェン
              弦楽四重奏曲第15番 イ短調 Op.132
              弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 Op.135

                    ターリヒ四重奏団
                  ペーテル・メッシェレウル(Vn)
                  ヤン・クヴァピル(Vn)
                  ヤン・ターリヒ(Vla)
                  エヴゼン・ラッタイ(Vc)
                    (録音:1977年-81年)

     第1楽章:Assai sostenuto(序奏) - Allegro(主部)イ短調 2/2拍子
     第2楽章:Allegro ma non tanto イ長調 3/4拍子
     第3楽章:Molto Adagio - Andante 4/4拍子
     第4楽章:Alla Marcia, assai vivace イ長調 4/4拍子
     第5楽章:Allegro appassionato イ短調 3/4拍子


作曲されたのは1824年から25年にかけてだそうです。
ガリツィン侯爵のために書かれた3曲の弦楽四重奏曲
第12番作品127;第13番作品130;第15番作品132 のうちの2番目に作曲されたとのこと。
実際には13番目の弦楽四重奏曲になるそうです。

ガリツィン侯爵に献呈された3曲の弦楽四重奏曲については以前綴ったことと
重複しますが、自分のメモとして。
第12番変ホ長調作品127
第13番変ロ長調作品130
第15番イ短調作品132
作品127の初演の後、作品130と作品132の作曲がほぼ平行して進められた。
1825年7月に作品132が一足先に完成し続いて作品132が11月に書き上げられた。
作曲順で作品127が通常の4楽章構成、作品130が5楽章構成、作品132が6楽章構成で楽章の数が1つづつ増えてゆく形になっている。

第15番に戻ります。
第1楽章とフィナーレの構想はすでに1824年末に芽生えていたらしいとのことですが
途中で病気になり中間の楽章は初めの計画にはまったくなかった形で書かれることに
なったそうです。

この曲が書かれた1824年、25年のベートーヴェンの年譜を自分のメモとして。
1824年(ベートーヴェン54歳)
3月、4月:交響曲第9番の初演の条件をめぐり問題が起こる
4月7日:「ミサ・ソレムニス」、ペテルブルクで初演
5月7日:ケルントナートーア劇場において「ミサ・ソレムニス」の一部、ウィーン初演
及び、交響曲第9番初演

1825年(55歳)
4月:体調いを崩し病床に就く
5月7日から初秋:バーデンで静養
9月9日:弦楽四重奏曲作品132がウィーン市街のレストランでシュパンツィヒ四重奏団により初演
11月29日:ウィーン楽友協会の名誉会員に選ばれる

1826年(56歳)
1月末:激しい腹痛を訴える。視力も低下。
3月頃:弦楽四重奏曲作品130をガリツィン侯爵に送る
3月21日:弦楽四重奏曲作品130、シュパンツィヒ四重奏団により初演するが
終楽章(フーガ)の難解さ、長大さのために失敗。


第15番に戻り
初演は1825年11月6日にウィーンでシュパンツィヒ弦楽四重奏団により
行われたそうです。
初演は好評を得、ベートーヴェンの死の年の秋に出版されたとのことです。
献呈はガリツィン侯爵に。


ターリヒ四重奏団で聴くベートーヴェンの弦楽四重奏曲第15番

チェロがゆっくりと深奥の仄暗さを感じさせるように奏される序奏で始まる第1楽章。
チェロから高音へと楽器が移り現れる序奏の主題。
主部に入り序奏の内省的な趣から明るさを感じさせる第1主題に。
第2主題を奏し始める第2ヴァイオリン。
短い展開部ではチェロが奏する序奏の主題が顔を出し今までの
明るい雰囲気が再び仄暗さのように。
再現部を経てコーダに。
今まで現れた動機たちが発展して再登場。
前進をするような力強さと明るさの内に閉じられる第1楽章。

穏やかな流れのように始まる第2楽章。
第1主題は初めの2小節の動機と第5,6小節の動機が独立しているとのことです。
この2つの動機が明るく、時に穏やかに対話をしているようです。
対話に耳を傾けるうちにトリオに。
トリオの第2主題が印象的です。
ヴィオラとヴァイオリンが奏する8分音符はまるで楽器たちが闊歩するかのように。
第1主題が再び姿を現し明るい穏やかさのうちに終わる第2楽章。 

第3楽章の始めにベートーヴェン自身により
"Heiliger Dankgesang eines Genesenen an die Gottheit, in der lydischen Tonart"
「病癒えた者の神に対する聖なる感謝の歌。リディア旋法による」と
書き入れられているそうです。
そしてアンダンテ部分には "Neue Kraft fühlend"「新しき力を感じつつ」と
書き込まれているとのことです。
ベートーヴェンが作曲当時の生活体験がそのまま反映され
病気を克服して再び仕事に戻ることができた喜びと感謝が刻印されているそうです。

静かに厳かなな雰囲気で始まる第3楽章。
リディア旋法の素朴、清楚な美しさを感じる旋律です。
また深い瞑想の調べとして耳に響きます。 

アンダンテの部分に入り主題の溌剌とした趣。
ベートーヴェンが書き入れた「新しき力を感じつつ」という心情が伝わってきます。
このアンダンテに入るパートに惹かれます。
溌剌とした明るさ。喜びに弾むような趣。
ターリヒ四重奏団は控え目な表現なのでしょうか。
静かに喜びを噛みしめるかのように奏されているように感じます。
最後に3回目として楽章冒頭のモルト・アダージョが現れ、
この3回目のモルト・アダージョの部分には
「最も深い情緒を持って」と特に記されているそうです。
心に染み入るように奏されるターリヒ四重奏団のメンバーたち。、
演奏に耳を傾けつつ感謝の喜びが涙として流れ
涙の煌めきまでもが目に映るかのよう。
病が癒えたベートーヴェンの感謝の涙。
静かに深々と頭を垂れ祈るベートーヴェンの感謝の祈りのうた。
この調べは感涙を誘われそうです。
静かに消え入るように終わる崇高な「感謝の祈りのうた」第3楽章。

前楽章から一転して軽快に始まる第4楽章。
喜びを湛え奏される楽器たちは行進曲風な趣で。
楽想は第1ヴァイオリンの歌のよう。
行進曲風の旋律も耳に。
この部分がとても印象的。
速度を速め、活き活きとした雰囲気に。
力を増して閉じられる第4楽章。

第5楽章、この楽章の主想は初め交響曲第9番の終曲にするよう計画されていたそうです。
計画は変更され今更、綴る必要もないのですが交響曲の方はシラーの「歓喜に寄す」による終曲になったとのこと。
この弦楽四重奏曲では最初に予定された素材により完成したそうです。

短い2小節の序奏で始まる第5楽章。
第1ヴァイオリンが奏する第1主題。
切れ味良く奏される楽器たちからは活発さが。
各楽器が単一の旋律を順に奏した後に見せる熱情的な趣。
第2主題では多彩な旋律が顔を見せつつ進み。
コーダでは第1主題が用いられ明るく迎える曲の終わり。


ターリヒ四重奏団の創設者、ヤン・ターリヒは指揮者ヴァーツラフ・ターリヒの
甥ということを今回、初めて知りました。

最近のお気に入りになっているのはハンガリー四重奏団の演奏で
第3楽章はストレートに心に伝わり好感を抱いていました。
初めのうちはターリヒ四重奏団の演奏に耳を傾けていても・・・「???」の
連続に。
昔から耳に馴染み深いお気に入りの「ラズモフスキー第2番」を試しに聴き
またもや・・・「???」に。
ターリヒ四重奏団のベートーヴェンの弦楽四重奏曲は自分には合わないのかと
幾度も想いつつ、一時は鑑賞を諦めようとの心境になっていました。
曲を聴き、即「良い演奏」と感じられる四重奏団。
はたまた、何回か聴くうちに演奏に目覚める四重奏団。
拒絶反応が強過ぎ「もう二度とこの四重奏団のベートーヴェンは聴きたくない」。
この3つに分かれてしまいますが
どうもターリヒ四重奏団は私にとっては2番目の スルメ型 の四重奏団に該当するようです。

全曲を聴き直し、特に第3楽章を繰り返し聴き直し
気が付けば演奏に惹かれておりました。
第3楽章からベートーヴェンの当時の心持ちが手に取るように(あくまでも想像ですが)伝わってくるようでした。
感謝の祈りの喜びが涙としてターリヒ四重奏団の演奏から感じられるようです。

彼らの演奏は他の作品においても控え目なようにも感じられます。
感情、楽想を吟味した後に音として紡ぎ出しているのでしょうか。
曲によっては精彩を欠いた演奏とも感じてしまいますが・・・。
味わい深さを感じさせるようにも感じています。

最近のお気に入りはハンガリー四重奏団のベートーヴェンですが
ターリヒ四重奏団のディスクも手放せなくなりそうな気配です。

                  
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20:30  |  ベートーヴェン  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

2017.10/28(Sat)

Op.411 J.S.バッハ:「チェンバロ協奏曲第1番」 by レオンハルト&レオンハルト・コンソート

たまたまCDラックに並べてあるディスクを見ていて聴きたくなったディスク。
15以上前に求めたレオンハルトの「ゴルドベルク」(録音、1964年頃)です。
嘗て聴いた筈ですがあまり・・・そのまままたラックに。
今回、聴き直してみて、いつものパターンです。
「あれ?!こんなに良い演奏だった?」。
レオンハルトが演奏するバッハの多くの作品を聴いてみたくなりました。
ショップで探し出合ったのがレオンハルトの20枚組Box、J.S.バッハ鍵盤作品集成。
限定盤とのことで既に完売。他のショップでも取り扱い終了の表示にガッカリ。
やっと中古に出合い・・・目下、喜々として耳を傾けています。
今日はこのBoxよりチェンバロ協奏曲第1番を。

              J.S.バッハチェンバロ協奏曲第1番
            レオンハルト~J.S.バッハ鍵盤作品集成より

          411チェンバロ協奏曲第1番 レオンハルト~J.S.バッハ鍵盤作品集成
                        (収録曲)
                       J.S.バッハ
  
              チェンバロ協奏曲第1番 ニ短調 BWV1052
              イタリア協奏曲 へ長調 BWV971
              トッカータ ニ長調 BWV912
              トッカータ ニ短調 BWV913
              フーガ イ短調 BWV944
              幻想曲 ハ短調 BWV906
              半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903

                 グスタフ・レオンハルト(Cem.)
                 レオンハルト・コンソート
            (録音:19781年11月 ハーレム ルーテル教会)
        (使用チェンバロ:1728年製 ハンブルク クリスティアン・ツェル)

               第1楽章:Allegro ニ短調 2/2拍子
               第2楽章:Adagio ト短調 3/4拍子
               第3楽章:Allegro ニ短調 3/4拍子


作曲されたのは1738年から1739年頃にかけてと推定されているそうです。
楽器構成は独奏部がチェンバロ、合奏部が第1、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、通奏低音。

ブックレットの解説を参照しつつ。
チェンバロ協奏曲というジャンルはJ.S.バッハによって成立したそうです。
その成立にはチェンバロを通しイタリア音楽に学んだバッハの創作によるものとのことです。
新しいジャンルとしてのチェンバロ協奏曲はバッハの息子たちによって継承されたそうです。
次男のカール・フィリップ・エマヌエル・バッハは60曲近い優れた作品を残しているとのこと。
18世紀後半には新しい楽器、ピアノがチェンバロを駆逐するようになり
チェンバロ協奏曲は50年程で命脈を終え古典派のピアノ協奏曲に引き継がれたとのことです。
因みにメンデルスゾーンは1832年にピアノ協奏曲として演奏し
シューマンもこの作品を評価する文章を残しているそうです。

チェンバロ協奏曲の形式発展に関し、バッハの創作を3つの段階として区分されるそうです。
1)他の作曲家のヴァイオリン協奏曲を無伴奏の鍵盤楽器に移した時期
2)自作のヴァイオリン協奏曲を無伴奏の鍵盤協奏曲とした時期
3)オリジナル協奏曲の創作
現存する伴奏つきチェンバロ協奏曲は大半が第2期、ライプツィヒ時代の1730年代に
作曲されたそうです。

バッハは1729年から40年にかけ、テレマンが創設したライプツィヒの学生の
演奏団体であるコレギウム・ムジクムを指揮していたそうです。
コーヒー店を借りての演奏会の呼びものはバッハが独奏する協奏曲だったとのこと。
バッハはその演奏会のためにヴァイオリン協奏曲を編曲して用いたそうです。
このチェンバロ協奏曲第1番もヴァイオリン協奏曲からの編曲とのことですが
原曲が何時、誰により作曲されたかについては諸説が対立しているそうです。

バッハはこの原曲を1720年代末に2つのカンタータに転用
1735年以降にチェンバロ独奏用の稿を作成したそうです。
解説の執筆者、磯山雅氏は次の文章でこのチェンバロ協奏曲第1番についての
記述を閉じられています。
「バッハが原曲をいかに高く評価していたかを示すものであろう。独奏部の巨匠性、単一楽想に基づく緻密な構成、明確な個性美を示す主題など、バッハの代表作の一つとして指を指を屈するに恥じない、まことに印象的な協奏曲である」


レオンハルト&レオンハルト・コンソートで聴く
バッハのチェンバロ協奏曲第1番


弦楽器たちが奏する力動的な主題で始まる第1楽章。
チェンバロが登場し弦楽器たちとの対話。
弦が奏する主動機はしばしば耳にする機会があり馴じみの旋律のようです。
弦との対話でチェンバロは装飾的な演奏を。
主役がチェンバロに。
チェンバロのアルペッジョの煌めくような華麗さ。
主役が交代しつつも対等な存在として奏されるチェンバロと弦楽器たち。
楽章中、チェンバロの長い独奏演奏には力強さ、殊に左手が印象的。
弦が奏する主題で閉じられる第1楽章。

弦楽器たちが思索をしつつ歩を進めるかのように奏され始まる第2楽章。
弦の旋律を装飾するかのようなチェンバロ。
途切れることのない低く落ち着いた弦の調べ。
弦が紡ぎ出す歌。
チェンバロに移る歌。
穏やかな歌でもあるかのように奏される調べに惹かれます。
冒頭の旋律が再び奏され終わる楽章。

活気のある弦の主題で始まる第3楽章。
加わるチェンバロも弦とともに奏する活力を湛えた旋律。
活き活きとした息吹に満ているよう。
チェンバロとオーケストラとの対話は次第に荘厳な趣が漂うように。
チェンバロの独奏パートでは雄弁な語りを。
間もなく弦も現れ復活する活力ある弦とチェンバロの対話。
楽章の終わりに近付きチェンバロの独奏には気迫に近いものを感じます。
弦とチェンバロの活力の溢れる雰囲気で迎える曲の終わり。


前述したことに重複しますが
こちらのBoxを求める契機になったレオンハルトの演奏する「ゴルドベルク変奏曲」(録音、1964年頃)。
このBoxが届き一番先に聴いたのが「ゴルドベルク」(録音、1976年)です。
このチェンバロ協奏曲第1番に耳を傾けつつ昔求めた「ゴルドベルク」から受けた印象に似たものを感じていました。
チェンバロの音は一粒一粒克明でありながらも
流れる歌のように感じるレオンハルトのタッチ。
この協奏曲でも第2楽章の歌謡性を感じさせるチェンバロがとても印象に残ります。

チェンバロ協奏曲第1番は他に1965年、キルヒハイム、フッガー城の糸杉の間で
録音された他のチェンバロ(1730年頃、パリ ブランシェのモデルによるウイリアム・ダウト製)の演奏も収録されていました。
まだ聴いていませんが楽しみです。

チェンバロに対する認識を新たにされたレオンハルト。
遅まきながら今頃になりレオンハルトに目覚めたようです。

                 
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21:21  |  J.S.バッハ  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2017.10/21(Sat)

Op.410 ベートーヴェン:「ピアノ協奏曲第5番≪皇帝≫」 by ゼルキン;モントゥ―&ニューヨーク・フィルハーモニック

ベートーヴェンピアノ協奏曲第5番「皇帝」。
今日は想い出深いベートーヴェンの「皇帝」を。
いつもお邪魔をさせていただいているブログでベートーヴェンピアノ協奏曲第5番
皇帝」をゼルキンとモントゥ―&ニューヨーク・フィルハーモニックの記事を拝読しました。
「凄い演奏」とのことで是非、是非聴いてみたくなり求めて聴いてみました。

               ベートーヴェンピアノ協奏曲第5番
     R.ゼルキン;ピエール・モントゥー&ニューヨーク・フィルハーモ二ック

             
                        (収録曲)
                      ベートーヴェン

               交響曲 第7番 イ長調 Op.92
                       (NBC交響楽団)
               ピアノ協奏曲 第5番「皇帝」変ホ長調 Op.73
                       (ニューヨーク・フィルハーモニック
                   
                  ルドルフ・ゼルキン(P)
                  ピエール・モントゥ―指揮
        (録音:「皇帝」1959年2月26日  カーネギー・ホール ライヴ)                  


           第1楽章:Allegro変ホ長調 4/4拍子 
           第2楽章:Adagio un poco mosso ロ長調 4/4拍子 
           第3楽章: Rondo Allegro変ホ長調 6/8拍子 


曲についていつものように以前の「皇帝」の記事と重複しますが自分の覚書として。
作曲されたのは1809年。ベートーヴェン39歳頃でしょうか。
この曲が完成した前年1808年にはロマン・ロランが「傑作の森」と呼んだ
中期作品群の交響曲第5番、交響曲第6番が完成。
年末12月に両交響曲が初演されたそうです。
また「合唱幻想曲」も初演されたとのことです。

「皇帝」の初演は1811年11月28日、ライプツィヒのゲヴァントハウスに於いて
ドイツの作曲家兼オルガ二スト、ヨハン・フリードリヒ・シュナイダーのピアノ独奏
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏で行われたそうです。
ウィーンでの初演は翌1812年2月15日にチェル二ーのピアノ独奏で行われたとのこと。
以降、この作品がベートーヴェンの存命中に演奏されたとの記録はないそうです。
献呈はルドルフ大公に。


ルドルフ・ゼルキン;モントゥ―&ニューヨーク・フィルハーモニックで聴く
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」

力強く雄大に奏されるオーケストラで始まる第1楽章。
ピアノの登場でカデンツァのようなピアノは華麗な趣。
鍵盤の上を滑らかに流れるようなタッチのゼルキンのピアノ。
風格を感じさせる豪快なオーケストラ。
ゼルキンが紡ぎ出す音には優しさと温もりが感じられるよう。
ピアノからは活力。
オーケストラからは豪壮さが伝わってきます。
生き生きと華々しく閉じられる第1楽章。

第2楽章は自由な変奏の形をとっているそうです。
年齢を重ねるにつれてお気に入りになってきた楽章です。

低弦の豊かな響きでゆったりと始まる第2楽章。
夢想的に奏されるオーケストラの旋律。
弱音で穏やかに現れるピアノ。
和音を愛でるかのようなタッチ。
内省的な趣、美しい旋律。
朴訥とも感じられるように呟くピアノ。
ピアノが奏される中、暫し続く木管が奏する主旋律。
穏やかな雰囲気を助長するようなホッとする雰囲気。
速度を落とし、低弦が静かに消えるかのように奏され
ピアノが第3楽章の主題を静かに、ゆっくりと暗示しつつ第3楽章に。

第3楽章へなだれ込むピアノ。
嘗て聴いたことのないような楽章の主題の始まり。
とにかく速い。力強いです。
はち切れんばかりのピアノは特別に印象に残ります。
前楽章から生き返ったかのようなピアノ。
ゼルキンの指は鍵盤の上を闊歩しているかのよう。
精彩のあるピアノ。
オーケストラは一貫して勇壮に。
豪快に凛として迎える曲の終わり。


こちらの演奏はゼルキンが50歳頃の録音になるのでしょうか。
第3楽章冒頭の主要主題を奏するゼルキンのピアノのスピード感と
漲る気迫に驚愕します。
このような演奏は初めて耳にするものです。
今まで聴いてきた「皇帝」の中では例のない速さと気迫。

手元にあるゼルキンの他の演奏を聴いても
こちらのモントゥ―盤からは尋常ならないものを感じます。

他の楽章で感じるゼルキンのピアノの弱音が印象に残ります。
弱音での優しい柔和なタッチ。
時には煌めきのように感じられるニュアンスも。
力強さの中にも鍵盤の上を滑らかに流れるようなピアノ・タッチ。
まだまだゼルキンのピアニズムを分かってはいないのですが
今は、そのように感じています。

モントゥーニューヨーク・フィルの雄大な演奏と
ゼルキンの鍵盤を叩くのではなく、舞うように、弾むようなタッチのピアニズムは
優雅な趣が漂う精彩豊かな「皇帝」を生み出しているように感じられます。

                  
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20:33  |  ベートーヴェン  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

2017.10/14(Sat)

Op.409 シューベルト:「ピアノ・ソナタ第15番≪レリーク≫」(補作完成版) パウル・バドゥラ=スコダ

先日聴いた、シューベルトピアノ・ソナタ第15番「レリーク」。
手持ちのディスクは第2楽章までの未完の演奏ばかりでした。
いつか補作完成された演奏で聴きたいと思っていたところ
お寄せいただいたコメントにてパウル・バドゥラ=スコダのシューベルトピアノ・ソナタ全集に第15番の第3,第4楽章をスコダが補作完成した演奏で収録されていると教えてくださいました。
早速、注文を。
1927年10月6日生まれのパウル・バドゥラ=スコダは今年10月6日が
90歳の誕生日だったそうです。
偶然にも10月6日に届いたスコダのシューベルトピアノ・ソナタ全集。
シューベルトピアノ・ソナタ第15番をパウル・バドゥラ=スコダ補作完成版
聴いてみました。

                シューベルトピアノ・ソナタ第15番
       パウル・バドゥラ=スコダシューベルトピアノ・ソナタ全集より


            408シューベルト:ピアノソナタ第15番 ピアノ・ソナタ全集 パウル・バドゥラ=スコダ
                        (収録曲)
                       シューベルト

         ピアノ・ソナタ第15番:ハ長調 D.840(スコダ補作完成 ヘンレ版)
         ピアノ・ソナタ第16番:イ短調 D.845
                  (録音:第15番 1968年 ウィーン)


           第1楽章:Moderato ハ長調 4/4拍子
           第2楽章;Andante ハ短調 6/8拍子
           第3楽章:Allegretto - Minuetto 変イ長調 3/4拍子
           第4楽章:Rondo Allegro ハ長調 2/4拍子


先日のシューベルト、ピアノ・ソナタ第15番は未完の第1、2楽章まででしたが
今回は補作完成された第3、4楽章を中心に。
第1、2楽章は先日、綴ったことを手抜きをしてコピーで。
以下も先日綴ったことと重複しますが、忘れっぽい自分の復習 として再度。

作曲されたのは1825年4月だそうです。
最初の2つの楽章は完成し、第3、4楽章は未完のまま放置されたとのことです。

ソナタ第15番の「レリーク」は「聖遺物」という意味だそうです。
この呼称は1861年に初版が刊行された際に出版社が最後の作品であると
誤認して付けられた名称とのことです。
1859年2月10日に曲は部分的にシューマンが刊行する「音楽新時報」に
第2楽章だけが楽譜で紹介されているそうです。

パウル・バドゥラ=スコダが補作した第3、4楽章について平野昭氏の解説を
参照させていただきました。

第3楽章。シューベルトはメヌエット主部の第80小節とトリオ部の第28小節までを
書きそのまま未完になっていたそうです。
中間部は完成しているとのこと。
パウル・バドゥラ=スコダの補作部はメヌエット主部第80小節から
終止の第94小節までの14小節になるそうです。

第4楽章。ソナタ形式だそうですが、シューベルトが作曲しているのは
主題部部と展開部のごく一部の第272小節までだそうです。
第271-272小節はソプラノ旋律だけが書かれているとのこと。
パウル・バドゥラ=スコダによる補作は展開部の第271-272小節の左手声部から
第556小節までの長大な量だそうです。
この部分は第347小節以降を含むロンド・ソナタ形式的構成の再現部に相当するとのことです。
この再現部はほぼ型通りになっているとのこと。
シューベルトの晩年の他のソナタ同様に長い展開部を補筆した後に
主題を省略することなく再現させているそうです。

パウル・バドゥラ=スコダによるこの補作完成版
ヘンレ社のピアノ・ソナタ全集(全3巻)の第3巻「初期及び未完のソナタ集」に
収録されているそうです。


パウル・バドゥラ=スコダ補作完成のヘンレ版で聴く
シューベルトのピアノ・ソナタ第15番

(改めて、第1、第2楽章は先日シフの演奏で聴いた時のコピーになります)

第1楽章は318小節からなる大規模なソナタ形式だそうです。
オクターヴ・ユニゾンで始まる第1楽章。
色彩感豊かな雰囲気が漂っているようです。
第1主題の前半と後半の対比が印象的。
簡潔な第1主題の前半に対し
後半では力強いピアノの響きの重厚さ、そして動的なリズム。
第2主題になり柔和な趣に。
右手のソプラノと左手のバスの伴奏で美しい郷愁のような趣。
心惹かれる第2主題です。
この主題の調べに耳を傾けていると、いかにもシューベルト特有な趣を感じます。
展開部を経て奏される調べは幻想的、夢想的な
ピアノの自由な独り言のよう。
終わりは力強く奏された後に弱音で閉じられる第1楽章。

第2楽章は121小節からなり、極めて自由な構成で既存の形式を当てはめることが
できないそうです。
平野昭氏によると強いて形式原理を考えると「展開部を省略し、第1主題により
コーダを作った緩徐ソナタ形式が下敷きになっていると思われる」とのことです。

優しげに静かに始まる第2楽章。
内省的な印象を受ける主題。
楽章内で幾度か顔を見せるこの主題、聴くうちに親しみを抱きます。
第1の主題が終わりオクターヴ・ユニゾンで音量を強めて始まる次の主題。 
左手のバスは力強い歩みを刻むかのように。
右手のソプラノは愛らしげな趣を。
この楽章も第1楽章同様にオクターヴ・ユニゾンが効果的な演出をしているように感じられます。
コーダでは冒頭主題が弱音、強音が鮮明に対比、演奏され閉じられる曲。


第1楽章と同じようにオクターブ・ユニゾンでの始まる第3楽章。
素朴な雰囲気が漂っているように感じられます。
呈示が終わると一転して軽快な旋律に。
次第に音量を上げ力強く。
荒々しさを感じさせるような力強さ。
この力強さは精彩に富むようで印象的。
トリオでも主題はユニゾンでの始まり。
覇気のある旋律、激しさが支配しているよう。
一息入れるかのように速度を落として閉じられる第3楽章。

活気を感じさせる3連音符が駆け足で音階を踏み上がるように始まる第4楽章。
軽快なロンド主題。
リズミカルで活発さに溢れているよう。
第2主題になり華やかな趣に。
左手の力強さ。右手の華麗さ。
主題後半の第155小節からは変奏展開になっているとのこと。
次々と姿を現す力強さと華麗な旋律。
再度現れる主題の軽快な旋律。
活き活きとして華麗さに彩られた活気のある楽章でしょうか。
コーダの激しく高揚するような趣で力強い打鍵で迎える曲の終わり。

ショップの記事によるとこちらの全集は1927年10月6日にウィーンで誕生した
パウル・バドゥラ=スコダの90歳を記念し、1970年にRCAから発売された
シューベルトのピアノ・ソナタ全集が初CD化されての発売になるそうです。
1967年5月から1971年5月にかけてウィーン及びローマでの録音とのこと。


バドゥラ=スコダにより完成された第3、第4楽章を聴き
この曲に抱いてた印象がガラリと変わりました。

第3、4楽章での生き生きとした活気が漲る旋律。
屈託を感じさせない明朗な旋律。
印象に残るのは第3楽章のメヌエット主題の素朴な趣です。

バドゥラ=スコダの演奏に、これほどじっくりと耳を傾けたのは初めてのように
思います。
第1楽章冒頭のスコダの優しいピアノタッチも印象的ながら
克明なタッチが生み出す精彩、力強さには気迫を感じてしまいます。
全楽章を通し左手の伴奏も右手同様に克明な打鍵で音を刻み
曲に生き生きとした息吹を感じさせるようなピアニズムのように感じます。

先日、聴いたシフの演奏とは一味も二味も違うような
バドゥラ=スコダの精彩さ、スケールの大きさ、剛健な趣の
ソナタ第15番に出合ったような気がしています。

                 
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20:11  |  シューベルト  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2017.10/07(Sat)

Op.408 ドヴォルザーク:「交響曲第9番≪新世界より≫」 by カイルベルト&バンベルク交響楽団

いろいろな意味で記憶に残るドヴォルザーク交響曲第9番新世界より」。
お気に入りの交響曲です。
好きな割合には、お気に入りの演奏が想い付きません。
と言うか、どの演奏を聴いてもこの曲には惹かれるものがあります。
特に第4楽章。

初めて求めたCDが「新世界」。カプリングはシューベルトの「未完成」でした。
カラヤン&ベルリン・フィルの演奏です。
LPからCD時代に変わる頃から多々の事情にて音楽を聴く時間、心の余裕もなく
今想うと人生の暗黒時代(?)のようなドタバタ生活。
やっと1990年代初頭に初めてCDを購入するという音楽愛好家の一人としては
10年近く遅れて初めてのCD購入の幕開けになった「新世界より」でした。

最近、良く聴いているカイルベルトのBoxに「「新世界より」が収録されており
聴く前から演奏を想像して期待満々で耳を傾けてみました。
カイルベルトバンベルク交響楽団の演奏です。
期待以上の演奏でした。

              ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界」
                 カイルベルト・コレクションより

           392ブルックナー:交響曲第6番カイルベルト&ベルリン・フィル ヨーゼフ・カイルベルト・コレクション
                        (収録曲)

                     ドヴォルザーク
             交響曲第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より
             序曲「謝肉祭」 Op.92
                     レーガー
             バレエ組曲 Op.130

                 ヨーゼフ・カイルベルト指揮
                 バンベルク交響楽団
                     (録音:1961年)

            第1楽章:Adagio – Allegro molto ホ短調 4/8拍子
            第2楽章:Largo 変ニ長調 4/4拍子
            第3楽章:Scherzo. Molto vivace ホ短調 3/4拍子
            第4楽章:Allegro con fuoco ホ短調 4 /4拍子


作曲は1893年1月10日に着手し5月24日に完成したそうです。
副題の「新世界より」は、曲の初演を指揮したアントン・ザイドルの示唆により
ドヴォルザークが与えた、と言われているとのことです。
曲の中で使われている黒人霊歌やアメリカ・インディアンの民謡を想わせる旋律は
ドヴォルザークがそれらを自分流に充分に咀嚼して用いたとのこと。

ドボルザークは次のように語っているそうです。
「わたしがこの曲にアメリカ・インディアンや黒人霊歌の旋律を原曲のまま用いているというのはナンセンスである。
わたしはこうした旋律の精神を生かして、国民的なものを書こうとしただけである。」
曲の材料はアメリカから得たものの、曲の支柱となっているのはあくまでもボヘミアの精神。
ドヴォルザークはこの曲をアメリカから故郷のボヘミアに送る音楽による望郷の手紙のようなもの、として作曲されたそうです。

         (wikiドイツ)408ドヴォルザーク:交響曲第9番 Titelblatt der Partitur von Dvořáks 9. Sinfonie
         ドヴォルザーク 交響曲第9番 自筆譜のタイトルページ

アメリカ滞在中のドヴォルザークの大作が交響曲「新世界より」。
その後に弦楽四重奏曲作品96「アメリカ」、弦楽五重奏曲作品97
そしてチェロ協奏曲が続くそうです。
チェロ協奏曲はチェコに戻ってから完成したとのこと。

作曲をする前年、1892年9月15日にドヴォルザークは故国チェコを旅立ち
9月26日にニューヨークに到着したそうです。
ニューヨークのジャネット・サーバー夫人から彼女が1885年以来経営してきた
ナショナル音楽院の院長になって欲しいと丁重な依頼状が1891年春にドヴォルザークの元に届いたそうです。
ドヴォルザークは当時プラハ音楽院の作曲家の教授として就任したばかりの折りであり郷里ボヘミアの自然を深く愛していたドヴォルザークは2年間半も祖国を離れて暮らすという気にはなれなかったそうです。
が、再三のサーバー夫人からの要請にて故国を暫くの間、後にする決心をしたとのことです。
ドヴォルザークは2年間の休暇を取り、愛妻と6人の子供ののうちの2人、長女のオティリエと長男のアントンを伴いアメリカへと旅立ったそうです。
因みに長女オティリエは後にドヴォルザークの弟子のスークと結婚をし、チェコのヴァイオリニスト、ヨーゼフ・スークはオティリエの孫になるとのこと。

初演は1893年12月158日にカーネギー・ホールに於いてアントン・ザイドル指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック協会演奏会に於いて行われたそうです。
この初演はドヴォルザークがこれまで経験したことのないほどの
また、カーネギー・ホールでも類例を見ないほどの大成功を収めたとのことです。
因みに指揮のザイドルはドイツでワーグナーの助手を務めていたことがあるとのこと。

出版は1894年にベルリンの出版商ジムロックから初めて出版。
楽譜の出版ではドヴォルザークがアメリカに滞在していたためブラームスが校正を
引き受けるという友情物語も生まれたそうです。

少々長い寄り道になりますが、第2楽章と第3楽章についてのメモを。
この2つの楽章の元になっているのはアメリカ合衆国の詩人
ヘンリー・ワーズワース・ロングフェロー(1807-1882年)が1855年に
発表した叙事詩「ハイアワサの歌」だそうです。
この叙事詩はインディアンの英雄を謳った英雄譚とのこと。

             408:ドヴォルザーク「新世界より」ハイアワサの歌
                  ハイワサとミネハハの彫刻
             (ミネソタ州 ミネアポリス ミネハハ滝近く)

ミネハハ(Minnehaha)は架空のネイティブアメリカンで、ロングフェローの「ハイアワサの歌」の中にも書かれているそうです。
ミネハハは主役のハイアワサ(Hiawatha)の恋人で悲惨な終末を迎えるとのことです。
彼女の姿は、絵画、彫刻、音楽などの芸術作品に影響を与えたそうです。
このミネハハの死のシーンをドヴォルザークは「新世界より」の第2楽章に。
第3楽章には「ハイアワサの歌」の結婚の祭典でインディアンたちが踊っているシーン
が元になっているそうです。


カイルベルト&バンベルク交響楽団で聴くドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」

静かに荘重な趣で奏されるチェロの序奏で始まる第1楽章。
木管楽器も加わり盛り上がる旋律。
低弦の重厚な響きに加わるティンパニの力強さ。
ホルンが吹奏し始まる第1主題
耳に馴染んだ力強いシンコペーション・リズムの躍動感のある印象的な主題。 
第2主題になり木管が奏する哀愁の調べ。
第1主題の活躍の影になるかのように楽章中に時々現れ印象的です。
力強い気迫が弱まることなく閉じられる第1楽章。

第2楽章、前述したことと重複しますが「ハイワサの歌」のミネハハの死の
シーンから受けた暗示により書かれたそうです。。
また主題にはドヴォルザークの弟子フィッシャーが“Goin'home” という
英語の歌詞を付け1922年に歌曲として発表したものが「家路」として日本にも伝播し
誰もが知る有名な旋律ですね。

管楽器が静かに吹奏される序奏で始まる第2楽章。
続いて馴染み深い有名な旋律を奏するイングリッシュ・ホルン。
イングリッシュ・ホルンの素朴な響き、調べにも魅了されます。
情感を込めて奏されるイングリッシュ・ホルンが歌うこの調べは
万人の心に染み入るような不思議な力を持つ旋律でしょうか。
木管たちが紡ぎ出す新しい旋律も郷愁の趣で。
弦の小刻みな伴奏に歌うオーボエ、木管たちに歌い紡がれ。
ゆったりと長閑に、郷愁の調べに心惹かれていると楽章は中間部に。
中間部で速度が少し上がり愛らしく、茶目っ気を感じさせるようなクラリネットの響きは
一抹の光明のようにも。
トゥッティになり盛り上がった後、再びイングリッシュ・ホルンが奏する冒頭の旋律。
オーケストラも一体となり静かに奏され、名残惜しむかのように閉じられる第2楽章。

第3楽章、「ハイアワサの歌」の結婚の祭典のシーンから受けたインスピレーションにより書かれたそうです。

華やかで活気のある短い序奏で始まる第3楽章。
主題を奏する重厚な響きに続き
舞曲を想わせるような雰囲気と躍動的感のある旋律。
木管が奏する哀愁を帯びた旋律も顔を見せ。
第1楽章の力強い旋律が現れ
中間部で活躍する木管たち。
コーダでは再び第1楽章の旋律が現れ、高揚し盛り上がりのうちに
閉じられる第3楽章。

蓄えられたエネルギーが徐々に発散されるような序奏で始まる第4楽章。
先行する序奏が終わり第1主題に。
トランペットが力強く壮大に奏される第1主題。
オーケストラも切れ味良く奏する旋律。
ティンパニも加わり力動的な雰囲気に。
第2主題になりクラリネットが奏する優美な歌。
再びオーケストラの力強い響き。
曲のこの部分に来ると、心を震撼させられます。
展開部では今まで登場した楽章の主題が総出に。
各楽章の主題が次々と現れ、楽想の豊かさに改めて気付かされます。
壮大にオーケストラが奏された後、管楽器が和音を尾を引くよう静かに奏して
迎える曲の終わり。


壮大で気迫を感じさせる演奏のなかにも情感が豊かに漂っているようです。
第4楽章はいつ聴いても感動、感動の渦になってしまいます。

バンベルク交響楽団は第2次大戦後、1949年(或いは50年)にチェコスロヴァキアを
脱出したドイツ・フィルハーモ二ーの団員を主体に結成された楽団とのことで
カイルベルトが首席指揮者として就任したそうです。
カイルベルト&バンベルク交響楽団は来日をしたこともあったそうですが。
今までバンベルク交響楽団はあまり聴くことがありませんでしたが
「新世界より」を聴きカイルベルトの良きパートナー的交響楽団のように感じられ
固唾を呑み演奏に聴き入ってしまいました。

折に触れ、時に触れ耳にしてきた「新世界より」ですが心に残る演奏になりました。
「新世界より」の愛聴盤は特になかったのですが
やっと愛聴盤と呼べるディスク、演奏に出合うことができたように想います。

                   
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2017.09/30(Sat)

Op.407 シューベルト:「ピアノ・ソナタ第15番≪レリーク≫」 by アンドラーシュ・シフ

前回、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第29番のオーケストラ版を聴き
ふと、シューベルトピアノ・ソナタを聴いてみたくなりました。
ベートーヴェンにしてもシューベルトにしてもピアノ・ソナタは疎遠、苦手なジャンル。
聴いてみると・・・気が付けば耳をそばだてていました。
初めて「聴く」に等しい曲、シューベルトピアノ・ソナタ第15番。
3人の演奏を聴き代表になってもらったのはシフです。

           シューベルトピアノ・ソナタ第15番「レリーク
       シフシューベルトピアノ・ソナタ全集、即興曲集他より


             407:シューベルト;ピアノ・ソナタ第15番 ソナタ全集 シフ
                         (収録曲)
                       シューベルト

              ピアノ・ソナタ第15番ハ長調D.840「レリーク
              ピアノ・ソナタ第16番イ短調D.845
              ピアノ・ソナタ第8番嬰へ短調D.571
                (録音:1993年ウィーン・コンツェルトハウス)


                第1楽章:Moderato ハ長調 4/4拍子
                第2楽章;Andante ハ短調 6/8拍子

作曲されたのは1825年4月だそうです。
シューベルト28歳頃でしょうか。
1825年にシューベルトはピアノ・ソナタイ短調D.845の第16番を作曲しているそうです。
第16番の作曲に着手されたのは5月に入ってから、と推定されているようで
完成は5月31日以前だったとのこと。
第16番の直前の4月に、この第15番に着手していたそうです。
最初の2つの楽章は完成し、第3、第4楽章は未完のまま放置されたそうです。
第3楽章のトリオ部は完成しているそうですが、メヌエット部は僅かなところで
筆が断たれているとのことです。
第4楽章は272小節以降が空白とのこと。
軽快で愉しいエピソードに溢れた楽章だそうです。

作曲の途中で放棄された理由については解明されていないとのこと。
この第15番の直後に作曲された第16番の筆頭主題の楽想は
第15番と本質的に同じ発想から生まれているとのことです。
平野昭氏の推測では第15番が未完のまま放棄された理由として
「どちらか1曲を犠牲にするという芸術家としての衝動が働き第15番を犠牲として
第1、第2楽章の未完のまま放棄された」と。

ソナタ第15番の「レリーク」は「聖遺物」と言う意味で
この呼称は1861年に初版が刊行された際、出版社が最後の作品と誤認し
付けられた名称だそうです。
曲は部分的には1859年2月10日にシューマンが1834年にライプツィヒで創刊した
「音楽新時報」で第2楽章だけが楽譜で紹介されているとのことです。

今日、この第15番はヘンレ社のピアノ・ソナタ全集(全3巻)の第3巻「初期及び未完のソナタ集」にパウル・パトゥラ・スコダが補作完成した形で収録されているそうです。


シフのピアノで聴くシューベルトのピアノ・ソナタ第15番

第1楽章は318小節からなる大規模なソナタ形式だそうです。

オクターヴ・ユニゾンで始まる第1楽章。
色彩感豊かな雰囲気が漂っているようです。
第1主題の前半と後半の対比が印象的。
簡潔な第1主題の前半に対し
後半では力強いピアノの響きの重厚さ、そして動的なリズム。
第2主題になり柔和な趣に。
右手のソプラノと左手のバスの伴奏で美しい郷愁のような趣。
心惹かれる第2主題です。
この主題の調べに耳を傾けていると、いかにもシューベルトらしい特有な(言葉として表現ができないのですが)趣を感じます。
展開部を経て奏される調べは幻想的、夢想的な
ピアノの自由な独り言のよう。
終わりは力強く奏された後に弱音で閉じられる第1楽章。

第2楽章は121小節からなり、極めて自由な構成で既存の形式を当てはめることが
できないそうです。
平野昭氏によると強いて形式原理を考えると「展開部を省略し、第1主題により
コーダを作った緩徐ソナタ形式が下敷きになっていると思われる」とのことです。

優しげに静かに始まる第2楽章。
内省的な印象を受ける主題。
楽章内で幾度か顔を見せるこの主題、聴くうちに親しみを抱きます。
第1の主題が終わりオクターヴ・ユニゾンで音量を強めて始まる次の主題。 
左手のバスは力強い歩みを刻むかのように。
右手のソプラノは愛らしげな趣を。
この楽章も第1楽章同様にオクターヴ・ユニゾンが効果的な演出をしているように感じられます。
コーダでは冒頭主題が弱音、強音が鮮明に対比、演奏され閉じられる曲。


このソナタ第15番をじっくりと聴くのは初めてであり
初めて聴く、と言った方が適切かもしれません。
今回聴いたシフの全集も眠っていることが多いまま年月が過ぎてしまいました。
嘗て聴いた時には心に残るものがなく素通りをしてしまった曲。
今回、じっくりと聴いてみると其処彼処にシューベルト特有の魅力が
散りばめられているのを感じます。

多用されているオクターヴ・ユニゾンがこの曲に
精彩で愉しげな雰囲気を醸し出しているように感じたりしています。

今回、第15番を手持ちのディスクで3種だけ聴いてみました。
一番先に聴いたのが「巨匠」と呼ばれる一人の某ピアニストの演奏。
良さも悪さも感じることができず・・・・この曲に好印象を抱くことができませんでした。
次に聴いたゼルキンとシフの演奏。
ゼルキンは自ら愉しんで弾いているかのような印象を受け
「微笑むソナタ第15番」のように感じられたり・・・安堵感を抱くホッとする演奏でしょうか。
そしてシフからは生真面目に曲に取り組み、少々、堅苦しさを感じてしまう
「端正なソナタ第15番」との印象を受けました。
後者の2人のピアニスト、それぞれ惹かれるものを感じています。

手持ちのディスクは未完の第2楽章までの演奏ですので
機会があれば補筆完成された演奏も聴いてみたいものです。

                   
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2017.09/23(Sat)

Op.406 ベーヴェン:「ピアノ・ソナタ第29番≪ハンマークラヴィーア≫」(オーケストラ編曲版) by ワインガルトナー&ロイヤル・フィルハーモニーO.

先日、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の編曲版の演奏に惹かれ聴いていた日々。
その折りに、ベートーヴェンピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」の
オーケストラ編曲版の演奏があるとのコメントをお寄せいただきました。
初めて知ったピアノ・ソナタ第29番のオーケストラ版です。
第29番はベートーヴェンピアノ・ソナタの中でも苦手な類の曲でしたが
オーケストラ編曲版を聴き苦手意識が払拭されたようにも思っています。

ピアノ・ソナタ第29番、ワインガルトナー編曲、指揮&ロイヤル・フィルハーモニーO. の演奏です。

        ベートーヴェンピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア
                                (オーケストラ編曲版)
         ワインガルトナー&ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団


            406:ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番(管弦楽版) ワインガルトナー&ロイヤル・フィル
                        (収録曲)
                      ベートーヴェン
     
         ピアノ・ソナタ第29番 変ロ長調 Op.106「ハンマークラヴィーア
                           (ワインガルトナー編曲 オーケストラ版
         交響曲第8番 ヘ長調 Op.93

             フェリックス・ワインガルトナー指揮
             ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(ソナタ第29番)
             ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(交響曲第8番)
                   (録音:1930年 モノラル)

      第1楽章:Allegro 変ロ長調 2/2拍子
      第2楽章:Scherzo Assai vivace 変ロ長調 3/4拍子
      第3楽章:Adagio sostenuto 嬰へ短調 6/8拍子
      第4楽章:Largo (序奏) 4/4拍子 - Allegro risoluto 3/4拍子 変ロ長調


この曲が書かれたのは1817年から18年にかけてだそうです。
ベートーヴェン47歳頃から48歳頃にかけてでしょうか。
ベートーヴェンのスケッチ・ブックによると1817年11月に作曲に着手
翌1818年初めには第2楽章までが完成。
第3,4楽章は夏にメードリングの「ハフナ―ハウス」に滞在をしていた間に
ほぼ完成したようです。
1819年の3月には作曲も浄書もすべて終わっていたとのことです。

この曲の「ハンマークラヴィーア」という呼称の由来は
ベートーヴェンがシュタイナー社宛ての手紙に“Große Sonate für das Hammerklavier” とドイツ語で記すように指定したことによるそうです。

自筆譜楽譜は紛失したとのことです。

このソナタが書かれた時期のベートーヴェンについて
シンドラーは次のように表現しているそうです。
「われわれの作曲家は前のようにたくさん音符を書く代わりに、この2,3年は手紙をおびただしく書いた。
或るものは家事について、或るものは訴訟について、或るものは甥の教育についてである。
しかもその大部分は心の中の激しい感情のあまり好ましくない、悲しむべき表現であり、そしてそれらの事柄にたいするベートーヴェンの熱心さを表すもの」と。
訴訟は甥のカールをカールの母親と奪い合った事件のことだそうです。

尚、曲を書き終える頃の1818年から聴覚の衰えが激しくなり
また、甥カールの件では神経を擦り減らす煩雑な人間関係に引き摺り回され
会話もまったく不自由になり筆談帳を使用するようになった時期だったそうです。
こベートーヴェンのような苦渋に満ちた時期。
「底の方に秘められた芸術の泉は枯れるどころか
最後の光彩を発揮するための充分な養分を蓄えていた」そうです。

曲の献呈はルドルフ大公に。


ワインガルトナーロイヤル・フィルハーモニーO. で聴く
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第29番、オーケストラ編曲版

力強く大らかな雰囲気でオーケストラが奏する第1主題で始まる第1楽章。
壮大な趣の第1主題。
主題の前半と後半(各4小節とのこと)の対照的な趣。
前半は力強さに溢れ、後半は穏やかに。
楽章は冒頭動機が中心素材になって構成されているとのことです。
この冒頭動機がとにかく印象に残ります。
原曲のピアノで聴いても強い印象を与えられる動機ですが
オーケストラ編曲版で聴くと一層の印象深さを感じるようです。
力強く、明るい旋律でありながら、一抹の寂寥感を秘めているように感じられます。
第2主題には優しい雰囲気が。
展開部になり応答するような弦楽器と管楽器たち。
聴いているうちに交響曲を聴いているかのような気分に。
力強さの中にも美しい調べが感じられるようです。  
壮大に閉じられる第1楽章。

第2楽章は3部形式とのことです。
ベートーヴェンがピアノ・ソナタにスケルツォを入れたのは第18番以来のことで
ピアノ・ソナタではこれが最後になるそうです。
舞踏を連想するような旋律で始まる第1部。
スケルツォでは途中でプレストになったり目まぐるしく忙しげな印象。
コーダでもトリオ部分のプレストが入り忙しげに奏されつつ
突如として切れるように閉じられる第2楽章。

第3楽章は187小節の長大なアダージョだそうです。
未曽有の規模を持ち、また表している世界の深い事さで特異な音楽とのこと。
ベートーヴェンがロンドン在住のリース宛て、1819年4月19日付けの書簡には
現在第3楽章に置かれているこのアダージョを第2楽章として、スケルツォが第3楽章になることを容認し、さらに「このソナタは苦しい事情の下で書かれた。パンのために
書くのはまったく辛いことだ」と記しているそうです。

静かな導入で始まる第1楽章。
続く第1主題は管楽器で奏される哀愁や暗い感じに覆われた暗澹とした旋律。
暫く続く第1主題から中間楽節では弦が奏する柔和な明るさを感じさせる調べが。
静かで美しい哀愁を帯びた「悲歌」の調べに心を洗われるような。
この曲の中で私にとっては最も心に染み入る旋律です。
低弦でゆったりと奏されはじまる第2主題。
展開部では細やかに歌う弦楽器たち。
大らかに静かな調べが奏され消え入るように閉じられる第3楽章。
深く心に残る楽章です。

管楽器が活躍する荘重な雰囲気の序奏で始まる第4楽章。
フーガ主題の開始の部分に「幾分自由な3声のフーガ」と書き込まれているそうです。
序奏の後、380小節の巨大なフーガとのこと。
力強く壮大な趣で奏され進行をするフーガ。
穏やかな雰囲気が漂うカノン風の間奏の部分では
フーガの緊張感からホッとする気分に。
延々と続くフーガには焼き尽くすような雰囲気や緊張感が漂っているよう。
解説を読むと、3声のフーガやら二重フーガ等々、混乱状態になってしまいますが
聴いているうちに次第に惹き込まれてしまうフーガ。
この楽章に現れる幾つかのフーガの中に時には燃え滾るような音楽として
言葉にはできない感情の激しさ、葛藤が込められているのかと
多々勝手に想像しつつ耳を傾けてしまいます。
曲の終わりには進行するフーガが高揚するかのように奏され
凛とした趣で力強く迎える曲の終わり。


ワインガルトナーがピアノ・ソナタ第29番をオーケストラ用に編曲をしたのは
1926年のことだそうです。
1930年の録音とのことですがまったく支障を感じることなく鑑賞をしています。

第1楽章の冒頭の力強くシンフォニックな壮大さ。
力強さ、壮大さの中にも哀愁が美しさを伴って漂っているのを感じます。
ピアノで聴く以上に記憶に刻まれる冒頭の動機です。

原曲のピアノ演奏とオーケストラ編曲版を聴いてみると・・・。
ピアノ演奏の方が曲に力強さ、激しさを感じます。
オーケストラ編曲版は力強さは感じるものの突出した強さではなく
あくまで全体がバランスよく調和がとれた「強さ」であり
「優しさ」が加味されているような好印象を受けます。
特に第3楽章。「悲歌」。静かに奏される深い哀愁。
心を捉えて離すことがなく惹かれてしまいます。
駆使される管楽器も印象的です。
繊細で豊かな表情を見せてくれるオーケストラ版でしょうか。
ピアノ演奏では1回聴くのが精一杯ですが
オーケストラ版は繰り返し聴いてしまう魅力を感じています。

ワインガルトナーはベートーヴェンの交響曲全曲録音をした最初の
指揮者ということで演奏を是非聴きたく交響曲全集を求めたのは近年のことでした。
肝心な演奏は特に印象に残っていなかったのですが・・・。
このディスクのカプリングになっている交響曲第8番を聴き
改めて聴き直してみたくなり交響曲全集を取り出してみました。

ピアノ・ソナタ第29番の素晴らしいオーケストラ版に出合うことができ
心の中で ありがとう を連発しています。

                   
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2017.09/16(Sat)

Op.405 ベートーヴェン:「ヴァイオリン・ソナタ第4番」 by オイストラフ&オボーリン

最近、またベートーヴェンに戻ってきているような・・・。
ベートーヴェン(そしてシューベルトも)の作品を聴いていると古巣に帰って来たようで
ホッとした気分になります。
何となく聴いてみたくなったのがベートーヴェンヴァイオリン・ソナタ
今回はベートーヴェンヴァイオリン・ソナタ第4番を。
オイストラフオボーリンの演奏で聴いてみました。

             ベートーヴェンヴァイオリン・ソナタ第4番
    オイストラフオボーリンベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全集より


          405ベートーヴェン:ヴァイオリン.ソナタ第4番 オイストラフ&オボーリン ヴァイオリン・ソナタ全集
                        (収録曲)
                      ベートーヴェン
              ヴァイオリン・ソナタ 第4番 ハ短調 Op.23
              ヴァイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調 Op.24「春」
              ヴァイオリン・ソナタ 第6番 イ長調 Op.30-1

                  ダヴィッド・オイストラフ(Vn)
                  レフ・オボーリン(P)
                    (録音:1962年 パリ)


       第1楽章:Presto イ短調 6/8拍子
       第2楽章:Andante scherzoso più allegretto イ長調 2/4拍子
       第3楽章・Allegro molto イ短調 2/2拍子


作曲に着手されたのはヴァイオリン・ソナタ第5番とほぼ同じ頃の1800年。
完成は翌1801年だそうです。
曲のスケッチは1800年にピアノ・ソナタ第11番 作品22 と並行して
行われたとのことです。
このソナタ第4番と第5番は当初、2曲とも 作品23 の番号が付けられていたそうです。
1802年に第4番は作品23、第5番は作品24 の異なる番号が与えられたとのことです。
出版は1801年10月に第4番、第5番は連作としてウィーンのモロ社から刊行。


             405 ベートーヴェン Beethoven-Porträt von Carl Traugott Riedel aus dem Jahr 1801.
          ソナタ第4、5番が作曲された頃のベートーヴェン 
            (1801年 カール・トラゴット・リーデル作)

ヴァイオリン・ソナタ作品12の3曲、第1番から第3番が作曲されたのは
1798年と推定されるそうです。
それ以降、このヴァイオリン・ソナタ第4番に着手する約2年程の間に
ベートーヴェンは数多くの経験を経てきたとのこと。
ヴァイオリン・ソナタ第4番に着手する前の1799年には
ピアノ・ソナタ「悲愴」作品13が書かれ
1800年には初期の総決算としての意気込みを抱いて書いた弦楽四重奏曲作品18の
6曲が作曲されたそうです。

作曲が順調に為される一方、ベートーヴェン自身の耳疾患は悪化していった時期
とのことです。
ベートーヴェンは練れたものを作曲できるようになってきた歓びと
耳疾患への不安とで精神的にはかなり波の多い日々を送っていた時期でもあった
そうです。
また、貴族の力が弱まり、ナポレオンは勢力を拡大しつつあった当時の社会情勢の
変化もベートーヴェンに少なからずの影響を与えたようです。


             405:ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第4番Graf Moritz von Fries
                モーリツ・フォン・フリース夫妻

曲の献呈は第4番、第5番ともにモーリツ・フォン・フリース伯爵に。
伯爵はウィーンの銀行経営者であり有名な音楽愛好家でもあったそうです。
伯爵のサロンは音楽中心の社交で賑わっていたとのこと。
ベートーヴェンはこのヴァイオリン・ソナタ第4番と第5番や交響曲第7番などを
伯爵に捧げ、他の作曲家も作品を献呈したそうです。
ハイドンは最後の弦楽四重奏曲を。
シューベルトは歌曲「糸を紡ぐグレートヒェン」を。


オイストラフオボーリンで聴くベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第4番

ヴァイオリンのスフォルツァンドが緊張感を煽るように奏される第1主題で始まる
第1楽章。
すぐ続くピアノも緊張を帯びているように。
この主題のスフォルツァンドは恰も一定のリズムのようにも感じられます。
この第1主題は耳に馴染み深く印象に残る旋律。
第2主題では一転してレガートで奏される旋律に。
ヴァイオリンとピアノが紡ぎ出す調べには穏やかさが漂っているようです。
静かに語り合うヴァイオリンとピアノの調べに耳を傾けていると
姿を現す第1主題に夢心地から覚めるようです。
展開部では冒頭の第1主題が激しさ増すような。
間もなく呟くように奏されるヴァイオリンとピアノ。
再び第1主題のスフォルツァンドが緊張を感じさせつつ閉じられる第1楽章。

ピアノが奏され始まる第2楽章。
加わるヴァイオリンが繰り返す第1主題。
臆するように奏される雰囲気の中にも
明るく茶目っ気を感じさせる主題。
たどたどしく語りかけるように奏される2つの楽器が印象的。
奏される2つの楽器から想い描いてしまうのは
新入生、新入社員が新しい環境の中で、はにかんでいるような面持ち。
ピアノの低音で始まる第2主題。フーガも愉しく耳に響くようです。 
口ずさみたくなるような親しみを感じる調べが静かに奏され閉じられる第2楽章。
臆するような朴訥とした語り合いが印象に残る楽章でしょうか。
嘗ては変哲のない楽章に感じていましたが
じっくり耳を傾けていると味味わい深い趣の2つの楽器の語り合いには
耳をそばだててしまいます。

ピアノが奏する流麗な調べのロンド主題で始まる第3楽章。
第2主題に入りヴァイオリンとピアノの音域が相反するような様相に。
ピアノは低音域へ、ヴァイオリンは高音域へと。 
再び現れるロンド主題を経て、現れる第3主題。
ヴァイオリンが奏する静かで澄んだ調べ
ヴァイオリンに静かに寄り添うピアノ。
幻想的な雰囲気が漂っているような主題です。
静かに第3主題が終わり再びロンド主題に。
ピアノが主題を奏しつつヴァイオリンも活発に奏された後
静かに迎える曲の終わり。


ヴァイオリン・ソナタ第5番の明朗な雰囲気に比べ
この第4番では翳りを感じるようです。
第5番もお気に入りのソナタですが味わい深さでは第4番に軍配が上がるようにも・・・。
殊に印象に残るのは第1楽章の第1主題と第2楽章です。
今まで幾回ともなく聴いていた第2楽章ですが
今回、じっくりと耳を傾け新鮮なものを感じるようでした。

手持ちのベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集の中で
最も聴く機会が多いのがこのオイストラフオボーリンの演奏です。
LP時代に初めて聴いたベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタが
オイストラフ&オボーリンの演奏でした。
分売になっていましたので一枚一枚求めた懐かしさを
この2人の演奏を聴く度に想い出してしまいます。

やはり聴いていてホッとします。
今回、、この曲を聴きオイストラフのヴァイオリンの柔らかさ、特に第2楽章での
優しさのような響き。
オボーリンの表立つことなくヴァイオリンと対等、控え目なほどの演奏にも
好感を抱きます。
自然で端正な演奏。
オイストラフとオボーリンが紡ぎ出す音楽はベートーヴェンのソナタの
どの曲であってもすぐに作品の素晴らしさを伝え
その世界に誘ってくれるようです。
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタでは常に立ち帰る演奏になっています。

                  
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