♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.393 ベートーヴェン:「弦楽四重奏曲第7番『ラズモフスキー第1番』」 by エマーソン弦楽四重奏団

最近、私にとっての作曲家3Bはベートーヴェン、ブラームスそしてブルックナーに
なってきているようです。
今日はベートーヴェンです。
弦楽四重奏曲から
久し振りに昔々から好きだった「ラズモフスキー」を聴いてみました。
今日は「ラズモフスキー第1番」を。
聴いてみたいと願っていたエマーソン弦楽四重奏団です。


        ベートーヴェン弦楽四重奏曲第7番「ラズモフスキー第1番」
      エマーソン弦楽四重奏団ベートーヴェンン、弦楽四重奏曲全集より


            392:ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番 全集エマーソンSQ
                         (収録曲)

         弦楽四重奏曲第7番 ヘ長調 Op.59-1「ラズモフスキー第1番」
         弦楽四重奏曲第8番 ホ短調 Op.59-2「ラズモフスキー第2番」

                    エマーソン弦楽四重奏団
                  (録音:1994-95年 ニューヨーク)
    
      第1楽章:Allegro ヘ長調 4/4拍子
      第2楽章:Allegretto vivace e sempre scherzando 変ロ長調 3/8拍子
      第3楽章:Adagio molto e mesto ヘ短調 2/4拍子
      第4楽章:Theme Russe, Allegro ヘ長調 2/4拍子



1年半ほど前に登場したベートーヴェンの弦楽四重奏曲第9番
ラズモフスキー第3番」。当時と重複をしますが覚書として。

ベートーヴェンの作品59の3曲の「ラズモフスキー」はベートーヴェンが
35-6歳の時、1805年から翌1806年にかけて作曲されたそうです。
着手については「ラズモフスキー第1番」の草稿に「1806年5月26日着手」と
記されているとのことです。

この作品59-1、「ラズモフスキー第1番は」3曲の「ラズモフスキー」の中で
特に雄大な作品で手法も各所に革新的なものが見られ
当時の評判は悪かったそうです。
弟子のチェルニーは曲の初演の際に
居並ぶ人々がベートーヴェンが戯れにこのような作品を書いたのだ、と
笑っていたと伝えているとのことです。

曲が書かれた1805-6年のベートーヴェンの足跡他をメモとして。

1805年:前年の1804年初頭からベートーヴェンの関心はオペラ創作に集中。
     1805年も初夏から郊外のヘッツェンドルフに引きこもり「レオノーレ」
     (後の改題「フィデリオ」))の作曲に没頭。
     11月、フランス軍のウィーン占領。
     11月15日、「レオノーレ」初演の5日前、ナポレオンがシェーンブルク宮殿を
     占領し軍司令部に。
     11月20日にオペラ「レオノーレ」(第1稿)初演。大失敗。
     12月、関係者がベートーヴェンに「レオノーレ」の短縮改訂版を承諾させる。
1806年:3月25日「レオノーレ」(第2稿)に第3番序曲を付けて上演されるが失敗。
     12月23日クレメント主催の音楽会でヴァイオリン協奏曲の初演。
     この年、1806年から始まるベートーヴェンの傑作の森。


              319ラズモフスキー伯爵
               Andrei Kirillowitsch Rasumowski
               (1752年11月2日-1836年9月23日)

作品59の3曲はウィーン駐在のロシア大使ラズモフスキー伯爵の私設弦楽四重奏団
のために伯爵の依頼により作曲されたそうです。
少し寄り道を。改めて備忘録として。
伯爵の私設四重奏団はオーストリアのヴァイオリニストでベートーヴェンの
師であり友人でもあったイグナーツ・シュパンツィヒが率いる四重奏団で
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の多くを初演しているそうです。
シュパンツィヒが1808年暮れに創設したラズモフスキー四重奏団は
プロとしては初めての四重奏団と考えられているとのこと。
このラズモフスキー四重奏団が誕生するまで、四重奏曲はアマチュアや
プロの音楽家が必要に応じ集まり演奏されるのが主だったそうです。

曲の献呈はラズモフスキー伯爵に。


エマーソン弦楽四重奏団で聴くベートーヴェン「ラズモフスキー第1番」

第1楽章は400章節で展開部だけでも163小節の長大な楽章だそうです。
ヴィオラの小刻みな伴奏に乗り第2ヴァイオリンが緊張感を伴いつつ
奏する第1主題で始まる第1楽章。
すぐに現れるチェロ。繰り返す第1ヴァイオリン。
冒頭から小刻みな伴奏を続けるヴィオラは緊張感を煽り立てるようにも感じられます。
力強く奏される第1ヴァイオリン。
第2主題になり第1ヴァイオリンが奏する柔和な優しい歌。
展開部での第1主題をモティーフのようにして
4つの楽器たちの語り合いは多様に変容をする変奏のようにも。
第1主題が各楽器で生き生きと奏され力強く閉じられる第1楽章。
各楽器の生き生きとした対話。
克明なリズムから感じられる躍動感。
活き活きとした溌剌さに満ちている楽章。

第2楽章はソナタ形式で書かれているそうですが、実質的にはスケルツォとのこと。
前述と重複しますが、この楽章の構造は変わったものであり、また複雑さや
新奇さのゆえに当時の人々には評判が悪かったそうです。

チェロが奏する独特な趣のリズムと第2ヴァイオリンで奏され始まる第2楽章。
印象に残る第1主題です。
この主題のチェロの開始動機は曲の全曲の至るところに現れるとのこと。
チェロのこの動機がこの第1番を印象的な曲としているように感ます。
ヴィオラと第1ヴァイオリンで繰り返される主題。
曲の中間を過ぎ展開部以降のエマーソン弦楽四重奏団の演奏からは
奔放さのような、荒々しさも感じられるようです。
コーダでは冒頭部分が力強く奏され終わる第2楽章。

前楽章から一転して静かにゆっくりと奏される第1ヴァイオリンで始まる第3楽章。
この第1主題を繰り返すチェロ。
美しさの中に悲哀感、悲嘆が漂うような第1主題。
心に残る調べの主題です。
チェロが歌う第2主題に。
静かに詠嘆の調べが続くこの楽章。
再現部で奏し続けられるチェロのピッツィカートを伴奏に
第1ヴァイオリンの調べが印象的。
コーダでは第1ヴァイオリンが奏する素早い動きのカデンツァを経てトリルに。
途切れることなくアタッカで第4楽章に。

前楽章の第1ヴァイオリンのトリルからこの楽章に移るパートを聴いていると
心が踊るようです。
チェロが奏するロシア民謡を主題とした旋律で始まる第4楽章。
この第1主題の明朗なリズミカルさ。躍動感が溢れる趣。
この曲で一番の盛り上がりを感じさせるようです。
第2主題になり第2ヴァイオリンが奏する柔和な歌。
第2主題の調べに寛いで耳を傾けていると、再び戻る躍動感。
展開部に入り一層の躍動と力強い生命力を感じるようです。
一気呵成に進む喜ばしげな力強さ。
コーダで静かに楽器たちが奏するのも束の間
すぐに音力を強め雄々しく力強く迎える曲の終わり。


曲が終わると、つい出てしまう溜め息。
溜め息にも2種。
美しさに感動した時に出る溜め息。
一気呵成に息もつかせない演奏を聴き終えた時の溜め息。
この演奏は後者。

久し振りに聴いた「ラズモフスキー」の第1番。
昔々、初めて聴いた時の感動が鮮明に甦るエマーソン弦楽四重奏団の演奏。
昨今、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲をいろいろな演奏で聴くことが
趣味の中でも一番の趣味になってきたようです。

兼ねてからベートーヴェンの弦楽四重奏曲では一番のお気に入りだった
「ラズモフスキー」の3曲。特に第2番。
ですが、作品59への熱が下火になり・・・・。
エマーソン弦楽四重奏団で「ラズモフスキー第1番」を聴き
「ラズモフスキー」から久し振りに受けた感動と歓び。
私にとっては目が覚めるような演奏です。
印象に残るのは第2楽章での精緻な演奏に加味された奔放な趣。
第4楽章のリズムの刻みの鋭角的な趣。
快速、快演、精緻。
4つの楽器が繰り広げる四重奏の域を脱したようね大きなスケール感。
大のお気に入りの「ラズモフスキー第2番」がますます楽しみになってきました。
エマーソン弦楽四重奏団の演奏を聴き
ラズモフスキー熱が再燃してきたようです。


                   
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Op.392 ブルックナー:「交響曲第6番」 by カイルベルト&ベルリン・フィル

ブルックナー交響曲を聴きつつ次第に多々の関心が芽生えてきている昨今です。
先日、第9番を聴き、何気なく次に6番を聴いてみました。
ブルックナー交響曲の中ではあまり話題に上がることが少ない曲でしょうか。

本来、ブルックナーの作品を目当てにディスクを求めることが少なかった長い年月。
第6番の手持ちのディスクを探しても3種しか見つかりませんでした。
今はブルックナーという人物への関心が強く、楽しさも感じている最中です。
肝心の音楽鑑賞は二の次になってしまいそうですが。

さて、第6番は改訂をされることもなかったそうで
ブルックナー交響曲に対する最大の悩みの種である第○稿、○版に
悩まされることもなさそうで・・・ホッとしています。

第6番をカイルベルトベルリン・フィルの演奏で聴いてみました。

                  ブルックナー交響曲第6番
               ヨーゼフ・カイルベルト・コレクションより

           392ブルックナー:交響曲第6番カイルベルト&ベルリン・フィル ヨーゼフ・カイルベルト・コレクション
                        (収録曲)

                ブルックナー:交響曲第6番イ長調
                R.シュトラウ:交響詩「ドン・ファン」Op.20

                 ヨーゼフ・カイルベルト指揮
                 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
                       (録音:1963年)

         第1楽章 Maestoso イ長調 2/2拍子
         第2楽章 Adagio (Sehr feierlich) ヘ長調 4/4拍子
         第3楽章 Scherzo (Nicht schnell) イ短調 3/4拍子
         第4楽章 Bewegt,doch nicht zu schnell イ短調 2/2拍子


1879年に作曲された前作の弦楽五重奏曲の作曲を終える頃には
交響曲第6番の構想を練っていたそうです。
この曲には1879年9月24日に着手し1881年9月3日に聖フローリアンで
完成したとのことです。
第1楽章は1879年9月24日に書き始められ1880年9月27日に完了。
第2楽章、1880年11月22日に完了。
第3楽章、1880年12月27日から翌1881年1月17日までに書き上げられ
第4楽章は1881年6月28日にスケッチが完了
1881年9月3日に総譜に仕上げられたそうです。

第6番を書き上げるまでに2ヵ年の年月をかけて慎重に筆を進め
また弦楽五重奏曲で体得した弦楽器の扱い形を生かすことができたこの作品は
ブルックナーとしては自信作となったそうで
細部の手直しをしただけで、改訂稿を残していないとのことです。
この曲に年月を費やした他の理由には
交響曲第4番の改訂で中断、スイス他への旅行、ウィーンの宮廷礼拝堂の仕事で
多忙な生活が2年程続いていたとのことです。

第6番は内容的には第4番以前の短調的世界の悲痛な面や諦観、内省的な
思考を追及したものから
第4番の人生の明るい面や自然のロマン的な情感に向けられた作品の延長線上に
位置する曲だそうです。
第5番で交響曲の一つの頂点を形成し
更に第6番では一層の明快さや簡明な構成を志向している、とのことです。
1870年代後半より行われた一連の作品の改訂活動から交響曲第7番以降の
後期の交響曲へと進む転換期に位置する作品だそうです。

初演は1883年2月11日にウィーン・フィルハーモニー演奏会に於いて
中間の2つの楽章のみがマーラーの先任者ヴィルヘルム・ヤーンの指揮により
行われたそうです。
この2楽章のみの演奏は全曲が長大なことと、聴衆に理解されやすいところだけ
という身勝手な配慮だったとのこと。
聴衆からは温かく迎えられたそうですが、ハンスリックを中心とするウィーンの
批評家からは冷遇をされたとのこと。

全曲の初演はマーラーに委ねられることになったそうですが
マーラーはなかなか実行しなかったとのことです。
ようやく実現に至ったのはブルックナーが死去し2年程経った
1899年2月26日のウィーン・フィルハーモニーの演奏会だったそうです。
指揮をした当時、気鋭の39歳のマーラーは完全な全曲ではなく
聴衆の支持を獲得するべく作品をかなりカット、短縮し
管弦楽法も変更をして演奏したとのことです。
ブルックナーは交響曲第6番の全曲のまともな演奏を聴くことなく
世を去ってしまったそうです。

カットも変更もない全曲の初演は1901年3月14日
ヴィルヘルム・ポーリッヒ指揮、シュトゥットガルト宮廷楽団により
行われたとのことです。

曲はブルックナーの面倒をよく見た「親切な家主」と常にブルックナーから
感謝をされていたアントン・フォン・エルツェルト=ネーヴィン夫妻に
献呈されたそうです。


カイルベルト&ベルリン・フィルで聴くブルックナーの交響曲第6番

ヴァイオリンが高音で小刻みにリズムを奏して始まる第1楽章。
第1主題を奏する低弦。重低音の奥深い響き。
重低音の響きを耳に驚愕に近い想いを感じてしまいます。
第2主題は柔らかな印象。
第3主題では一転して音量が上がり力強く奏する管楽器たちの
雄大、勇壮な趣。
速度を落とし静かな雰囲気に。
展開部では柔和な雰囲気。流れるような旋律。
瞑想的な趣も感じられるようです。
耳を傾けていると心に解放感のようなものが・・・。
コーダで力強さが戻り管楽器たちが奏し
加わる力強いティンパニの響きがもたらす高揚感。
長く続く第1主題のヴァイオリンの小刻みなリズムが印象的。
喜ばしさを歌いあげつつ閉じられる第1楽章。
明るさや優しさ、平和、喜ばしさが漂っているような楽章でしょうか。

弦の低音域で重々しく荘重に奏されて始まる第2楽章。
第1主題を奏するヴァイオリン、そして加わるオーボエ。
美しさを感じる主題です。
第2主題になり奏するヴァイオリンとチェロ。
ヴァイオリンが奏する清楚で美しい旋律。幻想的な趣も。
速度が落ち弦の重低音で奏されゆったりとした雰囲気に。
静かに奏される旋律に現れる第3主題。
第1ヴァイオリンが静かに奏する葬送を想わせる旋律は
ゆったりと歩を進めるかのよう。
展開部でのオーボエとクラリネットが奏する静かな調べも印象的。
前楽章同様に美しさを感じる旋律。
この楽章の美しさは悲歌を想わせるような趣が感じられるようです。
コーダもゆったりと美しく。
静かに奏される弦の調べで閉じられる楽章。

弦が低音で刻むリズム。
すぐに加わるヴァイオリンと木管楽器が奏する主題で始まる第3楽章。
間もなく力量を強め高揚するように。
躍動を感じさせる第1部。
休止のあとに続くトリオは
躍動感のある勇壮なリズムで生き生きとした趣。
速度が落ち各楽器たちに受け継がれる主題。
第3部は第1部のそのままの再現とのこと。
トランペットが尾を引くように奏され勇壮に終わる第3楽章。

低音弦のピッツィカーに乗り滑らかに奏されるヴァイオリンで始まる第4楽章。
第1主題では金管楽器たちが力強い華々しさを伴い吹奏され
覇気が漂っているようです。
第2主題では柔和で優しげな旋律に。
明るく喜ばしげな雰囲気。和やかさも漂っているような。
喜ばしい雰囲気の調べから次第に音力を強めて現れる第3主題。
雄大さと軽快さが入り混じっているような主題。
展開部の終わりの方に聴かれるリズムは印象的。
穏やかな木管で始まるコーダ。
暫し続く和みの美しい旋律に魅了をされていると
金管楽器たちの登場で高揚し熱情的な趣に。
力強く喜ばしい雰囲気で迎える曲の終わり。


ブルックナーがこのような交響曲を?と思ってしまうような
喜ばしく平和な楽想にブルックナーの交響曲に抱いていたイメージに
少し変化が。
第1楽章の喜ばしさを歌いあげつつ閉じられる旋律
また第4楽章の力強い喜ばしさの内に曲が閉じられ
聴いていて感動すら覚えます。

カイルベルト&ベルリン・フィルの金管楽器に耳触りな響きが感じられず
温かさを感じさせる演奏で好感を抱きます。
抑揚を抑え気味の地味(?)な演奏でしょうか。
穏やかな温もりのようなものが感じられる演奏のように思います。
手元にある3種のディスクの演奏を聴き印象に残ったのが
カイルベルト&ベルリン・フィルのこの一枚。
第6番の素晴らしさを伝えてくれた演奏。
もっと陽の目を見ても良い曲・・・と感じ入っています。

ブルックナーの第6番の次にR.シュトラウスの交響詩「ドン・ファン」が
収録されていました。
あまり耳を傾けることをしないR.シュトラウス。
第6番が終了し、自然に耳に入ってきた初めて聴く「ドン・ファン」。
想像をしていたよりも魅力が・・・改めて聴いてみることにしました。

今まで、ラックで眠っていることが多かったカイルベルトの Box でした。
Box から一枚一枚を取り出して聴き始めています。

                  
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Op.391 ブラームス:「ワルツ集」 by アルフォンス&アロイス・コンタルスキー

深夜にラジオから流れてきた音楽。
ブラームスワルツ集より第15番とのことでした。
作曲者名も曲名もすっかり忘却の彼方に。
旋律だけが鮮明に心に刻まれていた曲です。

遥か昔、弾くことができないピアノを弾くことができる振りをして
いつも弾いていた懐かしい曲です。
16曲の中での一番のお気に入りの第15番。
云十年経ってもこの曲への親しみは変わらず、大好きな曲。
ブラームスのワルツ全曲に耳を傾けるのは今回が初めてです。
コンタルスキー兄弟のピアノで聴いてみました。

                   ブラームスワルツ集
             ブラームス・コンプリート・エディションより


           391:ブラームス:ワルツ集~ブラームス・コンプリート・エディションより
                        (収録曲)
                  
                     4手用ピアノ連弾曲集
                 ワルツ集 Op.39(全16曲)
                 シューマンの主題による変奏曲 Op.23
                 ハイドンの主題による変奏曲 Op.56b
                 
                   アルフォンソ・コンタルスキー
                          &
                   アイロス・コンタルスキー(P)
               (録音:1980年 ベルリン、イエス・キリスト教会)


作曲されたのは1865年冬。
ブラームス32歳の時にウィーンで書かれそうです。
ピアノ4手用に書かれた16曲のワルツからなるワルツ集
この曲集には本来、4手用をフラベリー姉妹のために2手用に直したもの
また、簡易に編曲した2手用もあるとのことです。

原曲の4手用では第2ピアノ奏者は簡単な伴奏をするようになっているそうです。
各曲の多くは、8小節を繰り返し
同じように続く16小節も繰り返され、前の8小節の旋律が現れるとのことです。
速度、調や様式は決まっていないとのこと。
各曲とも簡潔にまとめられ親しみ易さを感じます。

作曲をしたワルツについてのブラームスの言。
 「シューベルト風な形の無邪気な小さいワルツ」
16曲の中の多くはワルツ以前のワルツとも言える古いレントラーの
名残りがあるとのことです。
このレントラー風のワルツは温もりがあり愛らしく
優しさに満ち溢れているように感じます。

ワルツ集作曲の前後を年表風にメモを。
この曲が書かれる前年、1864年。
2月6日:ワーグナーに会う
4月:ジングアカデミーの指揮者辞任
6月:両親の不和でハンブルクへ帰郷
夏:クララのいるバーデン・バーデンで過ごし
ヨハン・シュトラウス2世他と知り合う。
この年の作品「ピアノ五重奏曲」

曲が書かれた1865年。
2月2日にブラームスの母クリスティーネ死去。
夏:バーデン・バーデンで。
秋からドイツ、スイスを演奏旅行。
生涯の友となる医学者テオドール・ビルロートと知り合う。
この年に作曲された他の作品「弦楽六重奏曲第2番」「チェロ・ソナタ第1番」
「ホルン三重奏曲」。

翌、1866年。
父の再婚。
ドイツ、スイスの演奏旅行。
8月:亡き母への想いを込めた「ドイツ・レクィエム」の作曲。

「ドイツ・レクィエム」を挟み書かれた「ワルツ集」。
「ドイツ・レクィエム」の構想の契機となったシューマンの死。
そしてブラームスの母の死。
勝手な思い入れですが「ワルツ集」には悲痛な心に芽生える
優しさ、慈愛のようなものを感じてしまいます。

初演は1886年3月17日にウィーンのレドゥテンザールに於いて
フラベリー姉妹により行われたそうです。

曲は音楽批評家エドゥアルト・ハンスリックに捧げられたそうです。
ブラームスの良き理解者のハンスリックは
ピアノ4手曲の愛好家でもあったとのことです。
ブラームスからこの曲を捧げられたハンスリックは次のように言ったとのこと。

 「真面目で無口なブラームス、純粋のシューマンの弟子で、北ドイツ風で
  プロテスタントで、シューマンのように非世俗的な男がワルツを書いた」


コンタルスキー兄弟のピアノで聴くブラームスの「ワルツ集」

第1曲は弾むように明るい軽快さと愛らしさに親しみを感じます。

第2曲は柔らかなレントラー風とのこと。
優しい感じで軽快さの中にも心に沁みる旋律。
いかにもブラームスらしい調べのように感じます。

第3曲もレントラー風でシューベルトを想わせるところがあり
広く知られている曲だそうです。
寂寥感が漂う旋律。明るさよりも抒情的で落ち着いた雰囲気です。
お気に入りの一曲になりました。

第4曲。微妙に感じられる情熱的(荒々しさ?)な趣と溌剌とした力強さ。

第5曲。柔らかなレントラー的なところがあるそうです。
第2曲に似て、優しく柔和な旋律。明るい希望、憧れのようなものも感じます。
お気に入りになりました。

第6曲。速く軽快に奏され、高音域からは茶目っ気が感じられるよう。
悪戯っぽい子供をイメージしていしまいます。

第7曲。憂愁の雰囲気が漂う優しい調べ。
途中で情熱的な高揚と穏やかな旋律が交互に現れ、ゆっくりと終わりに。
この曲も心に残ります。

第8曲もレントラー風とのこと。
軽快で無邪気に飛翔をする音符たち。軽やかな雰囲気。

第9曲は独特なリズムと朴訥な雰囲気が印象的です。

第10曲は軽快なワルツ。16曲の中では影の薄い感じもしてしまいます。

第11曲。ジプシー風なところがありこの曲もよく知られているとのことです。
弾む軽快さ。個人的には印象が薄い曲です。

第12曲。穏やかな速度で優雅にも感じられる旋律。
低音域が主になっていて落ち着いた雰囲気でしょうか。

第13曲。前曲の落ち着いた雰囲気から強音での始まり。
力強い躍動感のある旋律。生き生きとしたピアニズム。

第14曲。速くて軽快。溌剌として自由な雰囲気が漂っているようです。
軽快さとともに力強さも印象的。

第15曲。16曲中では最も知られているものだそうです。
歌詞を付けて歌われることもあるとのこと。
静かな優しさ。慈しみ感じさせる柔和さ。
純粋無垢な調べ。
自分の「心の歌」にしたいほど惹かれ、心に染み入る曲。
16曲中では一番、好きな曲。

第16曲。レントラー風で、二重対位法もありブラームスらしい技巧もあるとのことです。
味わいのある旋律。じっくりと耳を傾けたくなる曲です。

一曲一曲の感想を綴っていたら長くなってしまいました。


16曲、各曲とも1分前後の短い曲で、うっかりしていると次曲に。
「ワルツ集」とのことで華麗で軽快なものと想い聴き始めたのですが・・・。
聴いていると、どの曲にも魅力が散りばめられています。
優しく、温もりがあり愛らしくて・・・。
1曲の時間の短さに反比例をして曲の中に多くの「言葉」が
込められているようにも感じます。

このワルツ集は某音楽評論家の解説によると「通俗的」と評されていますが
ブラームスのワルツ集の一曲一曲が「通俗的」の文字を完全否定。

アルフォンス&アイロス・コンタルスキー兄弟の演奏。
明るく生き生きとした息吹で奏され
また、心が寛ぐような演奏を聴かせてくれるようです。
華麗さとは程遠いブラームスのワルツ。
素朴で可憐さが漂うワルツの数々。
演奏の「上手」「下手」などという評価とは一線を引いているように思います。
ブラームスのワルツは心を込めて無心になり演奏をすれば
それが一番素晴らしい演奏かも・・・と思います。
それが例え素人であったとしても。
このワルツ集の魅力はそのようなところにもあるようにも思います。

                  
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Op.390 ブルックナー「交響曲第9番」 by クレンペラー&ニュー・フィルハーモニアO.

滅多にブログに登場をしないブルックナー
第○稿やら第○版という違いが鑑賞をする前から苦手意識を持ってしまいます。
今回は思い切ってブルックナー交響曲第9番を。
ブルックナーの交響曲を聴き最初に気に入った作品です。
いざ、登場をしてもらったものの・・・どうなることやら、の心境。
お気に入りの指揮者クレンペラー&ニュー・フィルハーモニアO. です。

                  ブルックナー交響曲第9番
       ブルックナー交響曲集~クレンペラー&フィルハーモニアO.より


             390:ブルックナー:交響曲第9番(交響曲選集より) クレンペラー&フィルハーモニアO,
                        (収録曲)

              ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調 WAB.109

                 オットー・クレンペラー指揮
                 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
             (録音:1970年2月 ロンドン キングズウェイ・ホール) 


         第1楽章:Feierlich, misterioso「静かに、神秘的に」
         第2楽章:Scherzo. Bewegt, lebhaft - Trio. Schnell
               「動きをもって、生き生きと」
         第3楽章:Adagio. Langsam, feierlich「ゆっくりと、厳かに」


交響曲第9番に着手したのは第8番の初稿を完成した2日後だったそうです。
ブルックナーは譜面に「(愛する神に捧ぐ)Dem lieben Gott」と記したとのことです。
ポーランドのクラクフに所在が確認されている第1楽章のスケッチには
「1887年8月2日」との日付が記されているとのことです。
フェルディナント・レーヴェから交響曲第8番を拒絶されたブルックナーは
この新曲の創作に積極的に筆を進めることなく中断をし
数多くの旧作の改訂に取り組んだそうです。

第9番に本格的に着手をしたのは1891年に入ってからとのこと。
第1楽章は1893年12月に完成。
第2楽章は翌1894年2月、完成。
第3楽章は病気のために思うように書き進めることができなかったそうです。
1894年11月30日に総譜の完成に至ったとのこと。
1895年5月24日に終楽章に着手。11月30日まで補筆にかかったとのこと。
ブルックナーは余生を第4楽章の完成に捧げ、熟考を重ね、6種類もの総案を作り
総譜で再現部の終わり、コーダに入るところまで筆を進め体力が尽き中断。
翌1896年10月11日、午前中にこの曲に取り組んだ後
午後3時過ぎに死去をしたそうです。
曲は第3楽章の未完成作となったとのことです。

ブルックナーは生前に第9番の終楽章を完成できなかった場合
自作に「テ・デウム」を代用して使って良いと語っていたそうです。
第3楽章の後に「テ・デウム」を演奏されることもあるとのこと。

初演は1903年2月11日、フェルディナント・レーヴェの指揮で行われたそうですが
レーヴェにより大幅な書き換えがある形によるものだったとのこと。
原典稿による初演は1931年4月2日、ジークムント・フォン・ハウゼッガ―指揮
ミュンヘン・フィルハーモニーにより行われたとのことです。

出版:1903年に曲の初演の指揮をしたレーヴェが自分の名を明記せず
楽譜に相当に手を加えた総譜を出版したそうです。
その際、レーヴェは第4楽章の草稿が存在することを明らかにしなかったとのこと。
1934年に音楽学者のアルフレート・オーレルが曲の2種の版の楽譜を出版したそうです。
1種は草稿に忠実な原典版、もう1種は各楽章のスケッチと終楽章の75枚のスケッチを含むものであり、この2種は国際ブルックナー協会の全集版に収められているとのことです。
1951年にノヴァーク版、1963年にシェンフェラー版が発表されたとのこと。


クレンペラー&ニュー・フィルハーモニアO. で聴くブルックナー、交響曲第9番

弱く奏される弦を伴奏にホルンが静かに弱音で奏され第1楽章の始まり。
神秘的な雰囲気が漂う導入部です。
トゥッティでオーケストラの力強い高揚感。
第1主題では威厳を感じさせるトランペットの響きが印象的です。
ヴァイオリンのチェロのピッツィカートに続いて現れる第2主題。
弦が悠然とした趣で奏する穏やかで美しい旋律。
長く続くこの調べの美しさに哀愁も感じられるような。
いつまでも聴いていたい安らぎの歌として心に響くようです。
弦の弱いトレモロを伴奏に奏されるオーボエで始まる第3主題。
暫く続く雄大な趣。弦の重厚な響き。
ゆったりとオーケストラが歩を進めるかのように奏され
次第に音量を上げ力強く。
劇的な強烈さで叫ぶような金管楽器。
叫びが消えティンパニが弱音で響く中を重々しく奏される弦楽器たち。
再び第2主題の美しい調べが現れホッとした気分に。
ティンパニが連打し力強く閉じられる第1楽章。

弦楽器たちのリズミカルなピッツィカートの導入部で始まる第2楽章。
主題の野性味を帯びたリズムが印象的で惹かれるリズムです。
オーケストラは大胆に生き生きと奏されつつクレッシェンドで勇壮な趣に。
野性的な雰囲気が漂うこの主題は特に印象に残ります。
中間部でも軽やかなリズムに乗って奏される木管たち。
再び導入部の旋律を奏するオーケストラ。
この緊張感が伴うリズムは脳裏に刻まれ幾度聴いても新鮮。
リズムは途切れ総休止に。
現れる第2主題は美しく抒情的な調べ。
交互に現れる第1主題と第2主題。
主題が変わるたびに緊張感を抱いたり
伸びやかな弦楽器たちの調べにホッとしてみたり。 
再び現れる冒頭導入部のピッツィカート。
ティンパニの響きは緊張感を高めるよう。
野性的な趣を添えるトランペット。
勇壮で野性的な雰囲気で力強く奏され終わる第2楽章。

第3楽章の終わりには交響曲第8番のアダージョ、第7番の冒頭主題が
浄化された形で現れるそうです。

ゆったりとした旋律で重々しく始まる第3楽章。
暫し続く重厚な旋律。
緩やかに荘厳な趣で奏される金管楽器。
このパートをブルックナーは「この世からの別れ」と呼んだとのことです。
続く第2主題。
弱音で小刻みを奏されるヴァイオリンを伴奏に伸びやかに奏される金管楽器。
平安の調べのよう。
弦楽器たちの悠とした流れを想わせる調べは美しい歌。
弦のピッツィカートに静かに呼応する管楽器たち。
混沌とした雰囲。相反して光明のようなものを感じたり。
曲は回想をするかのように流れて行くように感じられます。
深々として重厚なオーケストラの響きに
あたかも天国の門が開かれたような明るさも感じます。
音量が落ち静かに奏される調べの清澄さは俗世とは隔絶され
すべてが澄み渡っているかのよう。
オーケストラが一体となり清明な世界を音として紡ぎだしているような印象を受けます。
ゆったりと奏され旋律は時の流れに終わりがなく永遠に続く時間のよう。
永遠の命の象徴のようにも想われます。
頭の回路が次第に宗教的な思考になってしまったようで・・・。
耳を傾けつつ、ブルックナーはどのような心情でこの楽章の筆を進めたのか
想いあぐねてしまいます。
気が付くと曲の終わりに。


今回聴いたディスクはクレンペラー没後40周年記念の
アニヴァーサリー・エディション(2012年発売)だそうです。
クレンペラーがEMIに遺したブルックナーの交響曲より6曲(第4,5、6、7,8、9番)を
まとめて収録したものだそうです。

以前は冗長としか感じられなかったブルックナーの作品。
第9番の第1楽章に耳を奪われ
第2楽章ではブルックナーの音楽に抱いているイメージに意外性を感じます。
好ましい意外性であり魅力を感じます。
第3楽章では耳を傾けているうちに次第に連想、想像が脳裏を占めるようになったり。
冗長と感じる間もなく惹かれつつ聴いた第9番。

ブルックナーの交響曲はあまり聴く機会がないのですが
数種、聴いた中でのお気に入りになりました。
重厚な響き、そしてテンポは遅いように感じる部分もありましたが
それもプラス因子になっているようです。
求めてから既に1年が経過してしまうこちらのディスクたち。
気長に耳を傾けて行きたいものです。

ところで、クレンペラーのこの演奏は原典稿なのでしょうか?それとも?
ご教示いただけると幸いです。
ブルックナーの交響曲はできれば原典稿で聴きたいと望んでおります。

                
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Op.389 ベートーヴェン:「弦楽四重奏曲第16番」 by ハンガリー四重奏団

年々、ベートーヴェン弦楽四重奏曲に惹かれつつある昨今。
ハンガリー四重奏団ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集が目に付き
求めて聴いてみました。
今日は第16番を。

               ベートーヴェン弦楽四重奏曲第16番
       ハンガリー四重奏団ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集より

                 
            389:ベートーヴェン弦楽四重奏曲第16番ハンガリー四重奏団(1953)全集
                        (収録曲)
     
              弦楽四重奏曲第15番 イ短調 Op.132
               弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 Op.135

                    ハンガリー四重奏団
                  ゾルターン・セーケイ(Vn)
                  アレクサンドル・モシュコフスキ(Vn)
                  デーネシュ・コロムサイ(Vla)
                  ヴィルモシュ・パロタイ(Vc
                    (録音:1953年 モノラル)

 第1楽章:Allegretto ヘ長調 2/4拍子
 第2楽章:Vivace ヘ長調 3/4拍子
 第3楽章:Lento assai, cantante e tranquillo 変ニ長調 6/8拍子
 第4楽章:(標題)Der schwer gefasste Entschluss
     (序奏)Grave, ma non troppo tratto(Muss es sein?) ヘ短調 3/2拍子
     (主部)Allegro(Es muss sein!)ヘ長調 2/2拍子(主部)
       

作曲は1826年10月、ベートーヴェンの死の5ヶ月に
弟ヨハンの家で完成したそうです。
まとまった作品としてはベートーヴェンの最後の作品になるとのことです。
曲が書き上げられたグナイクセンドルフの弟のヨハンの家に
ベートーヴェンは深い心痛と蝕まれた肉体を抱えこの年の秋に
自殺未遂事件を起こした甥のカールを連れ赴いたそうです。
この作品を書き上げた後にベートーヴェンの絶筆となった
弦楽四重奏曲第13番作品130の終楽章が完成されたとのこと。

カールはベートーヴェンの愛情を受け、治癒をしてからは軍人になりたいと
言い出したそうです。
カールの希望を叶えるためにベートーヴェンが奔走をしたお陰で
カールは希望通りに軍隊勤務に就くことになったとのこと。
ベートーヴェンとカールは12月末にヨハネの家からウィーンに帰ったそうですが
帰途の寒さも影響しベートーヴェンの健康は悪化したとのことです。
カールが軍籍に入るために出発した翌日、1月3日付けのベートーヴェンが
弁護士バッハ宛てに綴った書簡には死を覚悟したと受け取られる文字が
連ねられていたそうです。
このような状態、状況の中でこの弦楽四重奏曲第16番は作曲されたとのことです。

初演はベートーヴェンの死後1年目の1828年3月、ウィーンで
シュパンツィヒ弦楽四重奏団により行われたそうです。
献呈は友人のJ.K.ヴォルフマイアーに。


ハンガリー四重奏団で聴くベートーヴェン、弦楽四重奏曲第16番

リズミカルな中にも厳しさを感じるような第1主題で始まる第1楽章。
間もなく現れる新しい旋律は明るく軽やかに会話をする楽器たち。
第2主題も軽やかなスタッカートで楽器たちは楽しげな語らいを。
展開部で悠然と奏されるチェロの重々しさ。
すぐに元の軽快なリズミカルに。
生き生きとした会話を始める楽器たち。
コーダで第1主題が奏されつつ終わる第1楽章。

前楽章に続き4つの楽器たちが奏する主題で始まる第2楽章。
楽器たちが奏する異なるリズム、躍動感に溢れる主題。
中間部でヴィオラとチェロが奏する主題は波打つような雄大さで
弾き進められるパートは圧巻。
突如として終わるこの楽章。

第3楽章は主題と自由な4つの変奏で構成されているそうですが
各変奏に主題の姿がほとんど見られず即興的な幻想曲とも言えるとのこと。
尚、変奏には変奏番号は付いていないそうです。

静かに幻想的な雰囲気で始まる第3楽章。
第1の変奏は第1ヴァイオリンが奏する瞑想するように奏される主題。
次の第2の変奏も静かに奏され前変奏のような主題は見られないような。
第3の変奏でチェロが美しさをともない思索するように奏され
第4の変奏では第1ヴァイオリンンの美しい旋律を交えて
他の楽器たちとの静かな語らい。
第1ヴァイオリンが歌いつつ静かに閉じられる第3楽章。
幻想的、瞑想的な雰囲気の楽章でしょうか。

第4楽章には「Der schwer gefasste Entschluss(ようやく付いた決心)」との標題が付いているそうです。
重々しい序奏で始まる第4楽章。
強音で荒々しさを感じさせる和音には不安感を覚えるようです。
主部に入り一転して明朗な第1主題。
そして第2主題ではチェロが茶目っ気を感じさせる明るさで奏されるのが印象的。
懐かしさ、親しみを感じる第2主題。
コーダでの全楽器によるピッツィカートで奏される第2主題が印象に残ります。
明朗で戯れるかのような明るさ。
力強く迎える曲の終わり。


ハンガリー四重奏団はあまり耳にすることがなかった四重奏団です。
ショップ・サイトの解説よりメモを。
1935年にシャーンドル・べ―グによってブダペストで結成。
2年後にゾルターン・セーケイが加わり、1940年にヴェーグが退団し
ヴェーグ四重奏団を結成して活動。
セーケイをリーダーとするハンガリー四重奏団は戦後、アメリカに拠点を移し
1972年まで活躍。

ハンガリー四重奏団とヴェーグ四重奏団の繋がり(?)を初めて知りました。
昨年頃、ヴェーグ四重奏団でベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲を聴き
大らかな演奏だったような記憶がありますが・・・。
改めてゆっくりと聴き直してみたくなりました。

さて、ハンガリー四重奏団。
しっとり系、さっぱり系・・・化粧品の分別のようになってしまいますが。
ハンガリー四重奏団はの演奏を初めて耳にした時に
さっぱり系 のように感じられました。

繰り返し聴いているうちに演奏に透明感(具体的に?表現できないのですが)を
感じるようになりました。
4人の奏者たちが真摯に作品に対峙し綿密に紡ぎ出される音楽のようにも感じます。
私にとってハンガリー四重奏団の演奏する第16番は
ベートーヴェンの初期の弦楽四重奏曲、特に第4番や5番のように
軽快な明るさが印象に残ります。
また、繰り返し聴く毎に味わい深く感じられる演奏でしょうか。
じっくり、ゆっくり、長く付き合ってゆきたい全集の一つになりました。

                  
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Op.388 ベートーヴェン:「交響曲第2番」(ピアノ三重奏曲版) by ボザール・トリオ

昨年の年明け早々に求めたボザール・トリオのBox は今でも時々ディスクを
取り出しては聴いているお気に入りの Box になっています。
入手して1年半近くが経つのにも拘らず未だに収録曲が把握できていませんが。
今回はブログ仲間の御方が以前、ベートーヴェン交響曲第2番の
ピアノ三重奏曲に編曲されたものも収録されている、と教えてくださり
聴きたい、聴きたい、と思いつつ・・・とうとう今日に至ってしまいました。

ベートーベンの交響曲第2番。
聴くことを楽しみにしていたベートーヴェン自身の編曲によるピアノ三重奏曲を。

           ベートーヴェン交響曲第2番(ピアノ三重奏曲版)
         ボザール・トリオ~フィリップス録音全集1956-1995 より

             (HMV) ボザール.トリオ~フィリップス録音全集
                         (収録曲)

         ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲ニ長調(原曲、交響曲第2番)
         アレグレット 変ホ長調 Hess.48
         ピアノ三重奏曲第4番 変ロ長調 Op.11「街の歌」

                      ボザール・トリオ
                   メヘナム・プレスラー(P)
                   イシドア・コーエン(Vn)
                   バーナード・グリーンハウス(Vc)
                 (録音:ピアノ三重奏曲ニ長調 1982年)

              第1楽章:Adagio molto ニ長調 4分の3拍子 ―
                    Allegro con brio ニ長調 4分の4拍子
              第2楽章:Larghetto イ長調 8分の3拍子
              第3楽章: ScherzoAllegro ニ長調 4分の3拍子
              第4楽章:Allegro molto ニ長調 2分の2拍子


交響曲第2番は1801年に着手され曲の完成は正確には不明とのことですが
1802年10月には完成していたと言われているとのことです。
1800年のベートーヴェンのスケッチ帳には交響曲第2番の第1楽章の序奏と
主要部の覚書が記されており1802年の夏と初秋に本格的に
交響曲第2番の作曲に取り掛かったようです。

作曲された場所は1802年5月から10月まで保養にために滞在をしていた
ハイリゲンシュタットだそうです。
その年の10月6日に「ハイリゲンシュタットの遺書」を記した後
再起をし芸術のために立ちあがったベートーヴェン
その直後に完成されたのがこの交響曲第2番とのことです。
曲が完成されたのはハイリゲンシュタット或いはウィーンに帰り間もなく、と
推測されるそうです。

ベートーヴェンの生活はこの曲のスケッチを始めた頃
1800年以降、カール・リヒノフスキー侯爵から年金を受け取るようになったことや
楽譜の出版の見通しも付き経済的には安定をしてきた時期だったそうです。

ハイリゲンシュタットの静かでベートーヴェンが好んだ自然の美しさにも恵まれた地で
この第2番と並行、或いは前後して書かれた曲は明るい長調のものが
主体になっているそうです。
ハイリゲンシュタットで芸術への強い意欲、生きるということが
頭を持ち上げた32歳前のベートーヴェンは次のように綴ったとのことです。
「不幸について考えないようにする一番良いことは、仕事に熱中することだ」
そして作曲に精を出し、不幸に対する反作用を見せた、そうです。

初演は1803年4月5日、ウィーン、アン・デア・ウィーン劇場に於いて
ベートーヴェン自身の指揮により行われたそうです。
因みにこの演奏会はベートーヴェンノ作品だけの演奏会だったとのことです。
交響曲第2番の初演の他にオラトリオ「オリーヴ山上のキリスト」初演、及び
ピアノ協奏曲第3番の初演も行われ独奏はベートーヴェン自身だったそうです。
この日のプログラムで他に演奏されたのは交響曲第1番の再演。
この演奏会で大きな成功を収め好評を博したのは「オリーヴ山上のキリスト」
とのこと。

交響曲第2番の出版は1804年。
献呈はリヒノフスキー侯爵に。
ピアノ三重奏曲用編曲版は1805年に刊行されたそうです。


ピアノ三重奏曲編曲版で聴くベートーヴェンの交響曲第2番


ピアノの力強い和音の打鍵で始まる第1楽章の序奏。
ピアノは静かな弱音になりヴァイオリン、チェロとの三重奏。
抒情的な雰囲気の中にも力強さが感じられるようです。
明るく軽快な第1主題。
第2主題も明朗な雰囲気。
この楽章では目立つことなく時折姿を見せるチェロ。
「ヴァイオリンの助奏を伴ったピアノ・ソナタ」という感じがします。
深刻な趣とは無縁で明るい喜びに満たされた旋律の数々。
五線紙に向かい心を躍らせ楽しみつつ音符を書き込んでいるベートーヴェンの
姿が想い浮かぶようです。
溌剌とした、明るい喜びに溢れた楽章。
喜びの内に閉じられる第1楽章。

第2楽章の美しい旋律は後に歌詞が付けられ歌曲に編曲されたことも
あるそうです。
ピアノが優しいタッチで穏やかな調べを奏し始まる第2楽章。
ヴァイオリンに旋律が移りピアノは伴奏に。
抒情的な美しさを湛えた調べ。
ピアノとヴァイオリンが交互に奏される美しい歌。
ピアノを伴奏にヴァイオリンとチェロがともに歌う旋律は
殊更に美しく印象に残ります。
展開部では一時的に激しくなるものの一貫して穏やか。 
久しく聴くことがなかった第2番ですが、この楽章を聴き記憶が甦りました。
第1楽章は明るい希望と喜びを
第2楽章は夢、憧れを感じさせるようです。

歯切れ良くリズミカルに始まる第3楽章。
明るく活発に奏されるピアノ。
ピアノの主導でヴァイオリン、チェロは控え目に
弾むような趣で進められる曲。 
トリオでは生き生きとした活気。そして激しい動きも。
このトリオ以降、影の薄かったチェロの存在がピアノ、ヴァイオリンと対等になるような。
ピアノの低域での力強い響き。プレスラーの打鍵に魅了されます。
曲が終わりに近付きピアノの跳ねるような伴奏に
チェロとヴァイオリンの対話が印象的です。 
速く力強い3つの楽器が奏され、応酬となり力強く閉じられる第3楽章。

ピアノの主導で弦が補助をするように奏され始まる第4楽章。
柔和な曲の開始。
オーケストラ演奏よりも激しさが軽減されているようにも感じられます。
この楽章ではチェロも最初から存在感を示し3つの楽器が対等に奏されるよう。
意気込みや決意を感じさせるような楽章のように感じます。
大らかな雰囲気で迎える曲の終わり。


ベートーヴェンの交響曲第2番はあまり聴かない曲でした。
「どのような曲だった?」と想いつつこのディスクを聴き、曲を想い出した次第。

交響曲をピアノ版に編曲をしたものには関心があり
他作品でもいろいろと聴いたものでしたが
ピアノ三重奏曲への編曲は初めて耳にするものです。

聴き始めると原曲のオーケストラ演奏以上に興味をそそられました。
曲全体の見通しが良く、旋律も克明に感じられるようです。
曲を主導し大活躍のピアノからは曲想がストレートに伝わってくるようにも
感じられます。
ボザール・トリオのこのBox ではいつも耳を奪われてしまうプレスラーのピアノ。
特に第1楽章のプレスラーのピアニズム
またコーエンのヴァイオリンにも惹き付けられます。
明るい希望、喜びを抱きつつ前進をするような
歯切れの良いピアノとヴァイオリン。
個人的にはオーケストラ演奏で聴くよりもこちらのトリオの方が愛着を感じます。 
リフレッシュ作用のある曲でしょうか。
聴いていて明るい喜びに包まれるようでした。


蛇足。いつものオバサンの井戸端会議。
ボザール・トリオの こちらのB ox に問題があるようなのです。
CD27 とCD30 の2枚です。
今回、ベートーヴェンの交響曲第2番のピアノ三重奏曲版を取り出す時に
シューベルトの作品で大好きな「ノットゥルノ」D.897が2種収録されていることに
初めて気が付きました。
「ノットゥルノ」が収録されているCD27 と CD28 を取り出しました。
CD28 は問題がありませんでした。
CD27 のジャケットに入っていたディスクにはCD30の番号が書かれています。
収録曲を確認するとCD30 に収録されている曲。
CD30と書かれたジャケットに入っているディスクのCD番号は30で
問題がないものと想いましたが。
ジャケットとブックレットに記載されている曲と実際に収録されている曲が違うのです。
こうなると、もう・・・アレ???になってしまいました。
CD30 の同じディスクが2枚。
それに加え収録曲、演奏者の違い。
CD30 の収録曲 はブックレット、ジャケット、ショップ・サイトの収録曲情報も同じで
以下の2曲。(ショップ・サイトよりコピーを)

「Disc30
● シューベルト:ピアノ五重奏曲イ長調『ます』
 サミュエル・ローズ(Va) ゲオルク・マキシミリアン・ヘルトナーゲル(Cb)
● クララ・シューマン:ピアノ三重奏曲ト短調Op.17 」

手元のCD30 に収録をされているのは
シューベルト「ピアノ五重奏曲」D.667
同じくシューベルトの「弦楽四重奏曲第14番」D.810 の2曲。
実際に聴いてみても確かにこの2曲でした。
ピアノ五重奏曲の方の演奏は自分なりに調べたところ
クリフォード・カーゾンと(多分)ウィーン・フィルハーモニアSQ らしいのです。
お気に入りの Box だけに・・・残念な想いです。
 
この Box をお持ちの方
お手元の Box はいかかでしょうか? 問題ありませんか?

                  
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Op.387 ブラームス;「交響曲第3番」 by クレンペラー&ニュー・フィルハーモニアO. ~クレンペラー ラスト・コンサート

クレンペラーのラスト・コンサートということで是非、聴いてみたかったディスクです。
このディスクは1972年に引退表明をしたクレンペラーの事実上
最後のコンサートになった1971年9月26日のライヴ録音だそうです。
2枚組の収録曲の中で一番聴いてみたく思っていたブラームス交響曲第3番を。

                  ブラームス交響曲第3番
               クレンペラー ラスト・コンサートより

            クレンペラー・ラスト・コンサート
                        (収録曲)


              ブラームス交響曲第3番 ヘ長調 Op.90

                オットー・クレンペラー指揮
                ニュー・フィルハーモ二ア管弦楽団
        (録音:1971年9月26日 ロイヤル・フェスティヴァル・ホール
                                  モノラル ライヴ)

             第1楽章:Allegro con brio ヘ長調 6/4拍子
             第2楽章:Andante ハ長調 4/4拍子
             第3楽章:Poco allegretto ハ短調. 3/8拍子
             第4楽章:Allegroヘ短調―ヘ長調 2/2拍子


作曲されたのは1883年、ブラームスが50歳の時、夏から秋にかけて
書かれたそうです。
交響曲第2番を完成してから6年振りに書かれた曲とのことです。
ウィーンで生活をしていたブラームスは1883年の5月にウィースバーデンに避暑をし
10月2日にウィーンに帰ったそうです。
ウィースバーデン滞在中の数ヶ月間にほとんど作曲がされていたそうで
ブラームスとしては珍しく速く書き上げられたとのこと。
尚、ウィースバーデンではアルト歌手を志すヘルミーネ・シュピースに惹かれ
恋愛にも似た感情を抱き朗らかで愉しい生活を送ることができたとのことです。

              387ブラームス交響曲第3番 Hans Richter 188年
                     Hans Richter
               (1843年4月4日-1916年12月5日)

初演は1883年12月2日にウィーンの音楽協会ホールで
ウィーン・フィルハーモニーO. の第2回演奏会に於いて
ハンス・リヒターの指揮により行われたそうです。
結果は大成功だったとのこと。
因みに初演された際、聴衆の中にドヴォルザークもいたそうです。

初演を指揮したリヒターはベートーヴェンの交響曲第3番になぞらえ
この曲をブラームスの『英雄』と呼んだそうです。

自分のメモとして寄り道を。Wikipediaを参照しつつ。
ハンス・リヒターは19世紀から20世紀初頭を代表する指揮者。
ウィーン音楽院に学び当初はホルン奏者として活躍した後指揮者に転向。
ハンス・フォン・ビューローに代わりワーグナーの助手を務める。
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」初演の合唱指揮者として参加。
1876年、第1回バイロイト音楽祭において「ニュルンべルグの指輪」全曲を初演。
ブラームスの交響曲第2番、3番を初演しブラームスの作品にも造詣が深かった。
ブラームス自身はイン・テンポ気味で音楽を運んでいくリヒターの解釈を
かなり味気なく感じていたとも言われる。
視覚障害により1911年引退。


本題に戻り、この交響曲第3番はブラームスの4つの交響曲の中では
最も男性的で逞しく最も壮大で最も重々しく、英雄的なもの、とのこと。
演奏時間は4曲中、最も短く約36-7分。
この曲で初めてブラームスは交響曲作者として世界的な名声を確保したそうです。



管楽器が上昇する和音を奏し始まる第1楽章。
すぐ続いて悠然と奏されるオーケストラの雄々しい旋律。
これは全曲の基本動機になっているとのこと。基本動機は第1楽章224章節のなかで60回現れるそうです。大きく上昇しているので迫力があり英雄的に感じられることにより、この基本動機は英雄動機と言われているとのことです。

冒頭の基本動機に続いて力強い第1主題が現れ伴奏のトロンボーンが印象的。
ヴァイオリンが奏する穏やかな調べを経て現れる第2主題。
主題を奏するクラリネットの愛らしさ。
展開部に入り開始のトゥッティは楽章中でも印象的に感じます。
コーダでは基本動機と第1主題が姿を見せ悠然と閉じられる第1楽章。
勇壮、雄大 且つ 生き生きとした明るさ
基本動機の多様な変化、変容を興味深く感じる楽章です。

クラリネットとバス―ンが奏する穏やかな第1主題で始まる第2楽章。
平和な穏やかさが満ち溢れているような旋律。
次にヴィオラが奏する基本動機も静かで穏やか。
主題の変奏パートになり音力が上がり穏やかさから雄大さに転じるような趣に。
現れる第2主題は冒頭の第1主題と同様にクラリネットとバス―ンで。
この主題に漂う暗い寂寥感。
寂しげな旋律を奏するヴァイオリンに呼応する木管楽器。
印象的な主題です。
曲想が変わり活気を帯びた旋律に。そして現れる基本動機。
コーダでは束の間の高揚感も。
穏やかに静かに閉じられる第2楽章。
美しい抒情性をも感じる楽章です。

チェロが主奏する美しい調べで始まる第3楽章。
第1部での耳に馴染み深い有名な旋律。甘美な調べ。
第2部では明るさを見せる調べ。
第3部で再び戻る美しい調べ。歌うホルン、繰り返すオーボエ、バス―ン。
弦は豊かな響きを伴いピッツィカートでの伴奏。
美しい調べで終わる第3楽章。

弦楽器とバス―ンが奏する第1主題で始ま第1楽章。
弱音で奏し始められ不安、緊張が漂うような主題。
現れるトロンボーンはあたかも悲劇の始まりの序曲でもあるかのよう。
トゥッティになり闘争的な雰囲気に。
第2主題が現れ闘争的な雰囲気は消え去り明るい旋律に。
闊歩をするような喜ばしい趣に満ち溢れているように感じます。
トランペットも現れ喜びを告げるかのよう。
トゥッティになり激しい曲想に。
重々しさを伴いゆっくりと静か迎える曲の終わり。


じっくりと繰り返し聴くうちに益々お気に入りになった曲。
ショップ・サイトに、ディスクは音源的にあまり良いものではなく・・・ご了承のうえ、お求めくださるようお願いいたします。
との記載がありました。
クレンペラー・ファン(?になってしまったような)の自分にとっては
音質は二の次、とにかく最後に指揮をされた作品を聴くことができると
感慨深い想いを抱きつつ耳を傾けてみました。
音質は・・・音の分離が悪く感じられ確かに音質は良いとは言えず残念に想われます。
ですが、音質を超越し収録当時86歳のクレンペラーが
指揮棒に託したこの曲への想いは伝わってくるように感じます。
演奏が終わった時、聴衆の「ブラボー」という声と拍手。
ディスクが終了し私自身も心の中で「ブラボー」と拍手を。

手元にある他のディスクでクレンペラーがフィラデルフィアO. に客演した際の
クレンペラー&フィラデルフィアO.
1962年10月28日、ステレオ ライヴ録音 も並行して聴いてみました。
「ラスト・コンサート」の方は音の分離の悪さ他が幸いとなり?曲の美しさが
主として印象に残ります。
フィラデルフィアとの演奏では曲想がしっかりと伝わり、生き生きとした明るさや
叙情的な美しさ、寂寥感などが雄弁とした語りの『英雄』として伝わってくるようです。
どちらの演奏も私にとってはかけがえのないクレンペラーの演奏です。


いつもの蛇足。オバサンの井戸端会議。自分のメモとして。

ディスにの収録された1971年9月26日のクレンペラーのコンサート。
当時、86歳の高齢でもクレンペラーの活動は充実し、新しいものに挑戦する姿勢は
若々しい、と形容したいほどだったとのこと。
この1971年はクレンペラーにとって多忙な年だったそうです。
2月にはエルサレムへの客演に備え、ヘブライ語の学習を始める。
5月、恩師マーラーの没後60年記念公演としてロンドンで演奏時間約99分の
マーラーの交響曲第2番「復活」を指揮。
この公演後にエルサレムに向かいコンサート。
9月にロンドンに戻り、9月18日、19日。20日と21日にはレコーディング。
このディスクに収録された9月26日に迎えたコンサート。
このコンサート後には指揮をしていないので、事実上のラスト・コンサート。
この時の演奏曲目。
ベートーヴェン:「シュテファン王」序曲、ピアノ協奏曲第4番
ブラームス:交響曲第3番  とのこと。

多くのレコーディング計画、コンサートもスケジュールが入っていたとのこと。
1972年1月、ロンドンでのブルックナーの交響曲第7番をキャンセルした後に
演奏活動からの引退表明。
同年末にはレコーディング活動からも引退する。
翌1973年にスイス・チューリッヒの自宅で死去。
以上。

                    
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Op.386 ブラームス:「ヴァイオリン協奏曲」 by ジネット・ヌヴ―;ドヴロウェン&フィルハーモニアO.

この数年来、相も変わらずにブラームスヴァイオリン協奏曲に嵌り込んでいます。
嵌り込む契機になったのは約4年程前に聴いた
オイストラフ;クレンペラー&フランス国立放送O. の演奏でした。
クレンペラーの指揮に目覚め惹かれるようになったのもこの演奏を聴いた時からです。
この演奏を聴く以前の私にとってヴァイオリン協奏曲で一番のお気に入りは
ベートーヴェン。次がブラームスでした。

昔々から大好きだった第3楽章。
今は第2楽章冒頭に惹かれ、以来すっかりこの曲に嵌り込んでしまいました。
と同時に大好きだったベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲に入れ替わり
座を占めるようになったブラームス
以来、多々の演奏で聴いてみたくディスクを求め続けています。

いつもお邪魔をさせていただいているブログでジネット・ヌヴ―の演奏による
ブラームスヴァイオリン協奏曲の記事を拝読しました。
ジネット・ヌヴ―は私にとっては未知のヴァイオリ二スト。
ヌヴ―の7枚組 Box にはラームスのヴァイオリン協奏曲が4種収録されて
いるとのことで嬉々として入手をしてみました。
4種のブラームスヴァイオリン協奏曲を聴くことができると想うだけで
聴く前から喜びとドキドキの有様。
Box が届き落ち着いて収録曲を見るとベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲が
2種収録されていました。
心がときめく出合いの Box です。

                 ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
                 ジネット・ヌヴ―・コレクションより

             386:ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ジネット・ヌヴー・コレクション
                        (収録曲)

             ブラームス:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.77
             シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調 Op.47

                     ジネット・ヌヴ―(Vn)
       (ブラームス)イザイ・ドヴロウェン&フィルハーモニア管弦楽団
       (シベリウス) ワルター・ジュスキント&フィルハーモニア管弦楽団
                (録音:ブラーム 1946年8月16-18日)
                     シベリウス 1945年11月21日)


こちらのヌヴ―・コレクションには1939-49年に録音されたものだそうです。
収録されている4種のブラームスのヴァイオリン協奏曲をメモとして。
ディスク1:上記のもの。
ディスク2:ロジェ・デゾルミエール&フランス国立放送管弦楽団(1948年) 
ディスク3:ハンス・シュミット=イッセルシュテット&北西ドイツ放送交響楽団(1948年)
ディスク4:アンタル・ドラティ&ハーグ・レジデンティ管弦楽団(1949年)


この曲の復習を兼ね以前の記事と重複しますがメモとして。
作曲に着手したのは1878年7月頃だったそうです。
この年の前後はブラームスの創作力が充実していた時期で
大きなスケールの作品が次々と書き上げられていたそうです。
翌1877年には交響曲第2番。
その翌年、1877年にこのヴァイオリン協奏曲が完成したとのこと。

初演は1879年1月1日、ライプツィヒのゲヴァントハウスに於いて
ヴァイオリンがヨーゼフ・ヨアヒム、ブラームスの指揮で行われたそうです。

献呈はヨアヒムに。
ブラームスは終生続いたヨアヒムの友情に報いるために
立派なヴァイオリン協奏曲を作曲して贈りたい、という考えを
抱いていたそうです。

この曲が発表された時にハンスリックが評した有名な言葉。
 「ブラームスとヨアヒムの友情の樹になった良く熟した果実」

この曲を聴いていて思い出すのはサラ=サーテ。
ヴァイオリン独奏部に華やかさを持たせることがなく
苦労をして弾く割りには面白みがない曲、との評価もあるそうです。
曲が発表された当時からだいぶ後になるまで敬遠をされていたとのこと。
サラ=サーテに関するエピソード。
「サラサーテは第2楽章で独奏ヴァイオリンが美しい主題を奏する前に
 オーボエが前もってたっぷりとこの旋律を奏することにクレームを付け
 そんなに長々と待たされるのは我慢できないと言って この曲を弾きたがらなかった」  
とのことです。


さて、今回ヌーヴで4種の演奏、特に第2楽章を主として聴いてみました。
印象に残っているのは4種の中では一番古い1946年録音
イザイ・ドヴロウェン&フィルハーモニア管弦楽団 との演奏です。
気迫や勢い、強靭さ、スケールの大きさが最も強く感じられるようです。
録音年代順にディスク1から4までに収録されているようです。
年代が新しくなるほどにヌヴ―のヴァイオリンに柔らかさや大らかさが
感じられるように思いました。

第2楽章では長い冒頭のオーボエの調べが続いた後に
奏し出される独奏ヴァイオリン。
ソット・ヴォーチェそのもののように、弱く小さく静かに歌い始めるヴァイオリン。
ヌヴォ―は哀感のある美しい調べを客観的な感覚で捉えているように感じられます。
ヌヴ―のヴァイオリンはブラームスの心情(自分で勝手に想像)に迫るかのように
静かに美しく歌い上げているように耳に、心に響きます。

ブラームスでハッとしたもの束の間。
次曲のシベリウスでもまた、ヌヴ―のヴァイオリンにハッとするものがありました。
「シベリウスのヴァイオリン協奏曲って、こんなに良かった?」と自問を。
シベリウスのヴァイオリン協奏曲は特に好きと言える作品の仲間には
入らなかったのですが・・・・。
この曲に初めて好感を抱き他のいろいいろな演奏を聴いてみたい
との想いを抱くキッカケを与えてくれたヌヴ―です。

ブラームスからシベリウスへ、ヴァイオリン協奏曲からソナタへと話が逸れますが。
ディスク2 に収録されているブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番。
ブラームスのヴァイオリン・ソナタでは一番のお気に入りの曲。
ピアノのジャン=ポール・ヌヴーはジネットの兄上だそうです。
ヌヴ―で聴く第3番の所為でしょうか
それともお気に入りの曲だからでしょうか
心に染み入るソナタ第3番に久しぶりに出合うことができたように想います。

先日、ブラームスのヴァイオリン協奏曲がお目当てで求めた
フランチェスカッティの超廉価盤Box。
楽しみにしていたフランチェスカッティ&ユージン・オーマンディ&フィラデルフィアO.
のブラームス。
安堵感を抱いて耳を傾けていられるフランチェスカッティ。
冒険心(?)を感じさせるようなヌヴ―。
対照的なヴァイオリニストのようにも感じます。

ヌヴ―の Box を駆け足のように聴いてきましたので
これからゆっくりと耳を傾けたく思います。


蛇足。いつものオバサンの井戸端会議。メモとして。
未知のヌヴ―でしたがショップ・サイトの記事他を参照しつつ。
ジネット・ヌヴ― 1919年8月11日-1949年10月28日 
大西洋アゾレス諸島で飛行機事故により逝去。29歳。

ヌヴ―は母親がヴァイオリン教師、父親もヴァイオリンを嗜む音楽一家に生まれたそうです。
1930年(11歳)。パリ音楽院卒業
1931年、ウィーンのコンクールに参加。ヴァイオリニストのカール・フレッシュ教授に才能を見いだされ、4年間、フレッシュの指導を受ける。
1935年(15歳)。ワルシャワでのヴィエニヤフスキー国際ヴァイオリン・コンクールに出場。
第1位入賞。因みにこの時のコンクールでダヴィッド・オイストラフ(当時26歳)は2位入賞とのこと。
1936年にニューヨーク、1938年にベルリンでデビュー。一躍スターに。
ヴァイオリニストとしてのキャリアの最初に演奏をしたのがハンブルクに於いてのブラームスのヴァイオリン協奏曲だったそうです。
その後、第二次世界大戦の勃発。 大戦中は演奏活動を中断。
フランスに平和が戻り1歳年上の兄ジャン=ポール・ヌヴ―のピアノ伴奏にて演奏活動を開始。
1949年10月20日、パリでのリサイタルがヌヴーの最後の演奏会に。
1949年10月27日、兄のジャンと共に3度目のアメリカ演奏旅行に向けて旅立つ。
搭乗していた飛行機が大西洋アゾレス諸島の主島サンミゲル島の山中に墜落。
乗員と48名の乗客全員死亡。
ヌヴーの遺体は、発見された時に愛器ストラディヴァリウスを両腕に抱え込むようにしていたと伝えられる、そうです。


                  
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Op.385 フォーレ:「ヴァイオリン・ソナタ第1番」 by フェラス&バルビゼ

フォーレのヴァイオリン・ソナタを聴いたことがないと思っていたのですが
ソナタ第2番は一年ほど前に既に聴いていたようです。
聴いた曲も忘れてしまったりetc.・・・年齢的に憂慮すべき兆候でしょうか。

昨年の春、第1番、2番を聴き気に入った第2番を拙ブログで云々していました。
第1番の方は当時、1回聴いただけで今日に至ってしまいました。
第1番を聴きつつ、一年ほどの時の経過とともに
フォーレの音楽に対する感じ方に変化が起きてきたように感じます。
本来の自分に戻ったと言うべきかも知れませんが。

昔々のLP時代に聴いたクリスティアン・フェラス。
懐かしさで求めた廉価盤Box から聴いてみました。

                フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番
                クリスティアン・フェラス名演集より


                385:フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 フェラス&バルビゼ
                         (収録曲)
            フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 Op.13
                  ヴァイオリン・ソナタ第2番 ホ短調 Op.108

                    クリスティアン・フェラス(Vn)
                    ピエール・バルビゼ(P)
                (録音:第1番 1957年;第2番 1953年)


               第1楽章:Allegro molto イ長調 2/2拍子
               第2楽章:Andante ニ短調 9/8拍子
               第3楽章:Allegro vivo イ長調 2/8拍子
               第4楽章:Allegro quasi presto 6/8拍子


作曲されたのは1876年
フォーレの作品では最初期に属するそうです。
このソナタが作曲される年までにフォーレは「夢のあとに」などの歌曲を
33曲、作品番号にして13、合唱曲を3曲、ピアノ曲を14曲、作曲出版を
していたそうです.
声楽とピアノ以外の領域での作曲はこの曲が最初だったとのことです。
曲が書かれたのはサン=トレノの教会オルガ二ストとして在職中の31歳頃に。
この第1番の作曲の後、40年を経て第2番が作曲されたとのこと。

初演は1877年1月27日、国民音楽協会の演奏会において
マリー・タヨーのヴァイオリン、フォーレ自身のピアノにより行われたそうです。

フェラス&バルビゼで聴くフォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番

ピアノが奏する美しい第1主題で始まる第1楽章。
旋律を繰り返すヴァイオリン。
優しく美しい調べです。
次にヴァイオリンで奏し始められる第2主題。
夢見るように、そして憧れを感じさせるようです。
ヴァイオリンに呼応するピアノ。
ピアノはヴァイオリンにしっかりと寄り添うように。
フェラスとバルビゼの温もり、柔らかさを感じさせるように奏される旋律。
ヴァイオリンとピアノが流麗な調べを奏しつつ閉じられる第1楽章。

低音でゆっくりと奏されるピアノで始まる第2楽章。
すぐにヴァイオリンの主奏に。
ピアノが奏するリズムを伴奏に歌うヴァイオリン。
甘美な歌です。
気が付くと第2主題に。
ヴァイオリンの歌に加わるピアノは積極的な趣で。
中間部で第1主題をゆったりと歌うヴァイオリン。
ピアノは呟きのような伴奏を。
第1主題から第2主題へと奏される旋律。
ヴァイオリンとピアノが名残惜しそうに奏され終わる第2楽章。
前楽章と同じように美しく、憧れ、夢を感じる楽章でしょうか。 

ヴァイオリンとピアノ、2つの楽器の目まぐるしい動きで始まる第3楽章。
ピアノの駆け抜けるような伴奏に
ピッツィカートを織り交ぜつつ奏されるヴァイオリン。
2つの楽器からはユーモラスな雰囲気も感じられるようです。
トリオでは落ち着きを感じさせるもの
再び目まぐるしく駆け巡りつつ奏され閉じられる楽章。

ヴァイオリンが軽やかに奏され始まる第4楽章。
ピアノが軽快に伴奏を。
軽やかで美しいこの主題。
音力が強くなり熱情的な雰囲気へと変化する2つの楽器。
活気のあるヴァイオリンとピアノは力強く応酬をしているかのよう。
華麗に力強く迎える曲の終わり。


美しい曲。
フォーレのヴァイオリン・ソナタ第2番を聴いてから1年程が経ち
当時は旋律の美しさに魅了をされ感銘を受けたものでした。
この作品でもフォーレの音楽の美しさを堪能をさせてくれるようです。
美しい・・・ですが、その美しさがシャボン玉のように想うようになりました。
耳には快いのですが、残ることなく消え去ってしまうような美しさ。
少なくとも個人的には心を打つ美しさではないように感じられてしまいます。

フェラスのヴァイオリンが素直な雰囲気で耳に伝わってくるようです。
昔々、耳にしたフェラスの演奏に懐かしさを感じつつ耳を傾けておりました。
フェラスの共演者として名高いバルビゼのピアノは初めて聴くものです。
第2楽章でのバルビゼのピアノが奏するリズムが印象的です。
ヴァイオリンとのバランスを保ち良きパートナー的存在のように感じられます。
ショップ・サイトの解説で知ったのですが
バルビゼは1963年から亡くなるまでマルセイユ音楽院の院長も務めたとのことです。
この曲の録音当時、フェラスェは華々しく活躍し
バルビゼはマルセイユ音楽院院長として駆け出した頃でしょうか。

前途洋々な若い日のフェラスとバルビゼの
美しくも生き生きとしたフォーレのように感じられました。

                  
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Op.384 ベートーヴェン:「ヴァイオリン・ソナタ第7番」 by フランチェスカッティ&カサドシュ

ベートーヴェンヴァイオリン・ソナタは好みのジャンルでもあり
一応全10曲を聴いた・・・つもりでいました。
「こんなに良い曲だった?いままで何を聴いていたのか」と思うことが
多くなっている昨今です。
今回ソナタ第7番の第2楽章に耳を傾けつつ同じ問いかけを。
「この曲の何を聴いていたのか?」

待ち焦がれていたディスクが届きました。
いつもお邪魔をさせていただいているブログでブラームスのヴァイオリン協奏曲
フランチェスカッティ;オーマンディ&フィラデルフィアO.の演奏の記事を拝読しました。
ブラームスのヴァイオリン協奏曲ともなると・・・相変わらず惹かれ続けています。
フランチェスカッティの演奏では2種のディスクで聴いておりました。
オーマンディ&フィラデルフィアO. の演奏も是非、聴いてみたく求めたのが
こちらの Box 「フランチェスカッティ名演集」。
10枚組の廉価盤でとても助かります。
収録曲にベートーヴェンヴァイオリン・ソナタ第7番が目に付き
ブラームスをさて置いて早速、聴いてみました。
フランチェスカッティ&カサドシュの演奏です。

             ベートーヴェンヴァイオリン・ソナタ第7番
                 フランチェスカッティ名演集より

           384:ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第7番フランチェスカッティMilestones of a legend
                        (収録曲)

         ベートーヴェンヴァイオリン・ソナタ第7番 ハ短調 Op.30-2
                   ヴァイオリン・ソナタ第8番 ト長調 Op.30-3

                  ジノ・フランチェスカッティ(Vn)
                  ロベール・カサドシュ(P)
                      (録音:1953年)

           第1楽章:Allegro con brio ハ短調 4/4拍子
           第2楽章:Allegro con brio 変ニ長調 2/2拍子
           第3楽章:Scherzo. Allegro ハ長調 3/4拍子
           第4楽章: Finale. Allegro – Presto ハ短調 2/2拍子



作品30の3曲のヴァイオリン・ソナタ
 第6番 作品30-1
 第7番 作品30-2
 第8番 作品30-3
は1801-02年にかけて書かれたそうです。

この年1802年に交響曲第2番のスケッチをほとんど済ませたベートーヴェン
5月からウィーンの郊外ハイリゲンシュタットに半年の間滞在したそうです。
この滞在中に交響曲第2番、この作品30の3つのヴァイオリン・ソナタそして
作品31の3つのピアノ・ソナタを次々と完成させていったとのことです。
ベートーヴェン31歳-32歳の頃でしょうか。

1798年頃から自覚されていた難聴の兆候がハイリゲンシュタット滞在の頃には
一層悪化した時期だったそうです。
そして10月に書かれたのが「ハイリゲンシュタットの遺書」。
余談になりますが「ハイリゲンシュタットの遺書」についての平野昭氏の記述を引用。

 「『遺書』が伝えているのは死にゆく者の言葉ではない。
  あらゆる苦難を克服した者の精神的清算と力強い決意に燃えた
  新しい生への宣言である。
  『遺書』を認めた彼はこの後、すぐに分厚いスケッチ帳を抱えてウィーンに戻り
  これまでにない充実した筆致で次々と傑作を完成させてゆくのである。」


               384ベートーヴェン ヴァイオリン.ソナタ第7番 ロシア皇帝アレキサンドル1世
                Aleksandr Pavlovich Romanov
             (1777年12月23日 - 1825年12月1日)

ヴァイオリン・ソナタ作品30の3曲はロマノフ朝第10代ロシア皇帝
アレキサンドル1世に献呈されたとのことです。


フランチェスカッティ&カサドシュで聴く
ベートーヴェン、ヴァイオリン・ソナタ第7番

ピアノで奏される緊張した趣の第1主題で始まる第1楽章。
すぐに同じ旋律を繰り返し奏されるヴァイオリンからも厳しさのような雰囲気が。
伴奏のピアノの左手は荒々しさを感じさせる力強さ。
激しく熱情的な経過部を経て現れる第2主題。
付点リズムで軽快に奏されるヴァイオリンとピアノ。
2つの楽器は弱音から強音へのクレッシェンドを繰り返し
ドラマティックな雰囲気に。
強音のまま展開部に。
漂う熱気から穏やかな旋律がヴァイオリンに奏されるのも束の間の一息。
再現部での明るく弾むようなヴァイオリンとピアノの第2主題も印象的です。
コーダに入りここでも弱音から強音へのクレッシェンドが
激しい熱気を醸し出しているよう。
盛り上がりの中でドラマティックに閉じられる第1楽章。
息を付かせないような気迫を感じる楽章でしょうか。

ピアノがゆっくりと思索をするかのように奏されて始まる第2楽章。
美しく柔和な旋律を奏するピアノ
ヴァイオリンも優しく悲しげに奏され
美しい旋律です。素朴な調べです。
美しさの中に悲しみの影が漂い染み入るような調べです。
同じ旋律を奏するヴァイオリン。
より一層、強い感銘を受けます。
ピアノとヴァイオリンの優しい対話のように続く調べ。
フランチェスカッティとカサドシュが各々に
一音一音を慈しむように紡ぎ出す旋律。
ヴァイオリンが奏する美しい歌には魅了されます。
昔はこの旋律の美しさに気付くことがなかったにも拘らず
昔から聴き馴染んでいる旋律のように感じられます。
長年、心の中に根を張っているような調べで親しみ、懐かしさに似た感覚。
不思議な感覚を抱きつつ飽くことなく耳を傾けてしまいます。
静かに閉じられる第2楽章。
ピアノとヴァイオリンの美しく平和な歌の楽章でしょうか。

溌剌とした明るいピアノの旋律で始まる第3楽章。
明朗、軽快なピアノとヴァイオリン。
この主部に漂う明るく愉しげな雰囲気。
ヴァイオリンとピアノが愉しげに小躍りをしている情景を思い描いてしまいます。
カサドシュのピアノの軽やかでリズミカルなタッチが印象的。
トリオではピアノとヴァイオリンが聴かせてくれる穏やかな歌。
溌剌とした明るさでり閉じられる第3楽章。

ピアノの低音域で素早く奏され始まる第4楽章。
第1楽章と同じような緊張感が漂っているようです。
すぐに強音になり気迫が迸るよう。
切れ味鋭く奏されるピアノとヴァイオリン。
束の間、顏を見せる流麗な美しい調べ。
再び溌剌と漲る活気。
ヴァイオリンとピアノの迫力のある峻烈な応答。
力強く激しい気迫のうちに迎える曲の終わり。


緊張感溢れる第1楽章。
美しく平和の歌の調べの第2楽章。
溌剌と明朗な第3楽章。
そして終楽章の迫力、気迫。

フランチェスカッティ&カサドシュ。
第2楽章に惹かれ聴き始めたものの・・・・。
第4楽章での気迫、迫力には圧倒されます。
カサドシュのピアノには馴染み薄でしたが
第3楽章のメリハリの効いたピアノ・タッチを耳にして
ピアノ・パートにも目が覚めるようです。

曲が終わり、第1楽章と第4楽章は息を呑む想い。
対照的に第2楽章の穏やかで平和な美しさを湛えた第2楽章には
すっかり魅了されます。
第2楽章では他の演奏からはあまり感じられなかった悲しげな表情が
この2人の演奏からはハッとするように感じられるようです。
第5番の柔和な長閑さと、第9番の気迫がこの曲に凝縮されているようにも
感じます。

フランチェスカッティ&カサドシュの演奏で
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集をいつか・・・と夢を抱き始めました。

ブラームスのヴァイオリン協奏曲がお目当てで求めた Box ですが
早々とベートーヴェンに寄り道をしてしまいました。
お目当てのブラームスをこれから楽しみにしつつ。

                  
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Author:lumino
音楽が日々の活力源になっています。
特に音楽知識のないクラシック・ビギナーに等しいのですが、「ただ、ひたすらに」をモットーに鑑賞をしています。
日々の生活に無くてはならないのが音楽と本です。
また2羽の小桜インコの兄弟は大切な家族です。

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