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2019.04/13(Sat)

Op.469 ベートーヴェン:「弦楽四重奏曲第16番」 by パスカル弦楽四重奏団

ブログの更新が2ヶ月以上停滞をしてしまったようで、自分なりに書くコツ(?)を
忘れかけてしまっています。
とにかく纏まらない。文章が脳内で散乱。
まぁ、これは以前からいつものことですが。

生活パターンがだいぶ変わってきた昨今です。
PCに向かう時間の激減。
音楽に集中をして耳を傾けられる時間も激減。
聴く音楽のジャンルも変化。

クラシック音楽で聴きたくなるのは必ずベートーヴェン弦楽四重奏曲です。
四重奏曲では第15番と第16番を聴くことが多くなりました。
今年1月から自分への宿題になっていたパスカル弦楽四重奏団を主として
第15番、第16番を手持ちのディスクを取り出し多々の四重奏団で聴いています。
こちらのパスカル弦楽四重奏団のBoxはいつもお邪魔をさせていただいているブログを拝読し聴いてみたくなり求めたのが今年の初頭。
聴いてみたい作品が多く収録されているのですが4ヶ月を経ても未だBoxを聴き終えていない有様です。
さて、今日はパスカル弦楽四重奏団の演奏で第16番を。


ベートーヴェン弦楽四重奏曲第16番
パスカル弦楽四重奏団の芸術より

469:ベートーヴェン弦楽四重奏曲第16番 パスカル四重奏団
(収録曲)
ベートーヴェン
弦楽四重奏曲第15番イ短調 Op.132
弦楽四重奏曲第16番ヘ長調 Op.135
パスカル弦楽四重奏団
(録音:1952年 モノラル)

パスカル弦楽四重奏団のメンバー
ジャック・デュモン(1st.Vn)
モーリス・クリュー(2nd.Vn)
レオン・パスカル(Vla)
ロベール・サル(Vc)

 第1楽章:Allegretto ヘ長調 2/4拍子
 第2楽章:Vivace ヘ長調 3/4拍子
 第3楽章:Lento assai, cantante e tranquillo 変ニ長調 6/8拍子
 第4楽章:(標題)Der schwer gefasste Entschluss
      (序奏)Grave, ma non troppo tratto ヘ短調 3/2拍子
      (主部)Allegro ヘ長調 2/2拍子(主部)


第16番は一昨年、ハンガリー四重奏団の演奏で綴っていたようです。
いつものように復習を兼ねて当時の記事より引用をしつつ。

作曲されたのは1826年10月、ベートーヴェンの死の5ヶ月前に弟ヨハンの家に於いて完成。
この年の秋にベートーヴェンは深い心痛と蝕まれた肉体を抱え
自殺未遂事件を起こした甥のカールを連れグナイセンドルフの弟ヨハンの家に赴いたそうです。
纏まった作品としてはベートーヴェンの最後の作品になるとのこと。
この作品を完成した後に弦楽四重奏曲第13番の終楽章が完成され
それがベートーヴェンの絶筆になったとのことです。

第16番が作曲された時のベートーヴェンの状況、状態は次のようだったそうです。
カールはベートーヴェンの愛情を受け、治癒をしてからは軍人になりたいと
言い出したそうです。
カールの希望を叶えるためにベートーヴェンが奔走をしたお陰で
カールは希望通りに軍隊勤務に就くことになったとのこと。
ベートーヴェンとカールは12月末に弟ヨハンの家からウィーンに帰ったそうですが
帰途の寒さも影響しベートーヴェンの健康は悪化したとのことです。
カールが軍籍に入るために出発した翌日にベートーヴェンが 弁護士バッハ宛てに
綴った1月3日付けの書簡には死を覚悟した、と受け取られる文字が 連ねられていたそうです。
こような状態、状況の中でこの弦楽四重奏曲第16番は作曲されたとのことです。

初演はベートーヴェンの死後1年目の1828年3月。
ウィーンで シュパンツィヒ弦楽四重奏団により行われたそうです。
献呈は友人のJ.K.ヴォルフマイアーに。


パスカル弦楽四重奏団で聴くベートーヴェンの弦楽四重奏曲第16番

第1楽章の明るさ。ユーモラスな趣さえ感じられます。
伸び伸びとした心境で、ベートーヴェン自身が愉しみつつ書かれたような印象を受ける楽章。

第2楽章では前楽章の趣が更に発展をし明るく弾むような雰囲気。
チェロの雄大さを感じさせる波打つ強さが印象的。

主題と4つの自由な変奏で構成されている第3楽章。
前の2つの楽章の明るさを恰も否定するかのように
静かで幻想的な雰囲気。
「抒情的で穏やか」と表される楽章のようですが・・・。
パスカル弦楽四重奏団の演奏で聴いていると
まるで呻きでもあるかのように感じてしまうことも。
「悲歌」のような印象を受けてしまいます。
心に残る楽章。

第4楽章には「Der schwer gefasste Entschluss(ようやく付いた決心)」との標題が付いているそうです。
前楽章の延長のような重々しく緊張を帯びた序奏での始まり。
主部に入り再び第1、第2楽章に漂う明るさが戻ってくるかのようです。
明朗なコーダ。
力強く迎える曲の終わり。


この作品が作曲されたベートーヴェンの当時の状況、背景を知るにつれ
曲に漂う明るさ、現れては消えてしまうような希望の光を想わせるような調べが
印象的に心に残ります。

嘗てはあまり惹かれることがなかった後期の弦楽四重奏曲。
今では、最も惹かれる作品たちが後期の弦楽四重奏曲。
第15番と第16番を繰り返し聴いているうちに
この2作品が「姉妹曲」のように感じられるようになってきました。
両曲に漂っている見え隠れする希望の光。
調べの中に垣間見る希望が核となっているような楽想。
聴くほどに惹き込まれてゆく2曲になってきました。

パスカル弦楽四重奏団の演奏に耳を傾けていると
こじんまりとした演奏、恰も感情表現が縮小されたかのようです。
と言うと語弊がありそうですが、誇張のない演奏でしょうか。
客観的に作品と対峙し真摯に演奏されているように感じられるようです。

パスカル弦楽四重奏団が演奏するベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集についての
ショップの解説を読んでみると、「メリハリが効いた」「攻撃的」「表情豊か」などの
文字が目に付きます。
自分が抱いている印象とはかけ離れすぎで、自分の耳、感性に疑いの念を抱いてしまう程。

嘗てベートーヴェンの弦楽四重奏曲を全集として聴き始めた頃に求め
最も好みの演奏で、すぐに取り出せる一等地(?)の場所に数年来置いてありました。
久し振りに聴いてみたところ・・・。
「う~ん?この演奏のどこが良かったのかな?」と・・・。
当時とは正反対の印象を受け、我ながらビックリしています。
このようなことは、よくあることですが。

さて、Boxにはベートーヴェンが15歳の時に作曲をしたピアノ四重奏曲第1番-3番、WoO.36の3曲も収録されているとのことで、楽しみにしつつも未聴のまま4ヶ月が経ってしまいました。
ベートーヴェンの作品ではお気に入りの一曲である七重奏曲も収録されているそうですので、そちらも楽しみです。
今度こそは聴いてみたいものです。


音楽以外の家族の話。
コザクラインコの2羽のキョウダイ、チャロとピーチェのデュオ・チャッピーズは今月で生後半年を迎えました。
先住鳥のピッコ(通称ピコリン)は今月、6歳の誕生日を迎えます。
チャッピーズは元気でワンパク。驚くほどの大食漢。
チャロ(通称チャロッピー)はお兄ちゃんのようで、ピーチェの方はまだ不明。
チビの頃はピーチェはチャロの後を付いて行っては一緒に悪戯をしていましたが
今では、チャロを追い出しては餌もオモチャも何でも独り占めをしています。
同じオモチャを一緒に齧っていてもピーチェの方がチャロを足で押し出したり。
ピーチェが近付いて来ただけで、その場から離れてしまうチャロ。
「チャロッピー、逃げてばかりいないでガツンと怒ってごらん」と言う、とんでもないお世話係です。
2羽一緒のケージではチャロのストレスになるかと案じることもあり、別々に引き離すと2羽で呼び鳴きをする騒ぎに。
同じケージに戻すと安心をするような2羽。
先住鳥のピッコはチャッピーズが気になりケージの中でパーチから身を乗り出し過ぎ、落下寸前になることもしばしばです。
ピッコは大人しく手に乗っているのでヤンチャなチャッピーズの教育係担当。
ピッコを頼りにしているお世話係です。
3羽のコザクラインコと一人の日々は漫画になりかけているようです。

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タグ : ベートーヴェン 弦楽四重奏曲 第16番 パスカル弦楽四重奏団 コザクラインコ

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2019.02/02(Sat)

Op.468 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第29番 <ハンマークラヴィーア> 」 (弦楽四重奏版) by ライプツィヒ弦楽四重奏団

週一回の更新が、月一回の更新になりつつあるような昨今です。
ゆっくり、のんびりペースで・・・。
さて、年が明けて初買いのディスクは2種。
ライプツィヒ弦楽四重奏団とパスカル四重奏団でした。

今日は先ずライプツィヒ弦楽四重奏団のディスクからです。
ベートーヴェンピアノ・ソナタ第29番弦楽四重奏版
こちらのディスクはブログ仲間の御方が昨年、印象に残ったディスクとして
お取り挙げになられているブログ記事を拝読し是非、聴きたくなりました。
ブログを拝読するまで弦楽四重奏版の存在すら知らなかった自分。
オーケストラ版は嘗てワインガルトナーのオーケストラ編曲版で聴き
気に入りブログに登場していました。

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第29番ハンマークラヴィーア弦楽四重奏版
by
ライプツィヒ弦楽四重奏団

468 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番『ハンマークラヴィーア』(弦楽四重奏版) ライプツィヒ弦楽四重奏団
(収録曲)
ベートーヴェン

ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調 Op.106「ハンマークラヴィーア」(弦楽四重奏版
「レオノーレ」序曲第3番 Op.72b(弦楽四重奏版
「フィデリオ」序曲 Op.72c(弦楽四重奏版)

ライプツィヒ弦楽四重奏団 のメンバー
  コンラッド・マック、ティルマン・ビューニング(Vn)
  イーヴォ・バウアー(Vla)
  マティアス・モースドルフ(Vc)
(録音:2017年)

  第1楽章:Allegro 変ロ長調 2/2拍子
  第2楽章:Scherzo Assai vivace 変ロ長調 3/4拍子
  第3楽章:Adagio sostenuto 嬰へ短調 6/8拍子
  第4楽章:Largo 4/4拍子 - Allegro risoluto 3/4拍子 変ロ長調


弦楽四重奏への編曲者はデイヴィッド・プライラーとのことです。

ピアノ・ソナタ第29番について、いつものように自分の復習を兼ねて過去の記事からコピーなどを以下に。

ベートーヴェンのスケッチ・ブックによると1817年11月に作曲に着手。
翌1818年初めには第2楽章までが完成。
第3,4楽章は夏にメードリングの「ハフナ―ハウス」に滞在をしていた間に
ほぼ完成したようです。
ベートーヴェン47歳頃から48歳頃でしょうか。
1819年の3月には作曲も浄書もすべて終わっていたとのことです。

この曲の「ハンマークラヴィーア」という呼称の由来は
ベートーヴェンがシュタイナー社宛ての手紙に “Große Sonate für das Hammerklavier” とドイツ語で記すように指定したことによるそうです。

ベートーヴェンは1818年の夏、ロンドンのピアノ製造者ブロードウッドから優秀なピアノを贈られたそうです。
当時、英国製のピアノは性能では他を圧し優れた機構と音質を持っていたとのこと。
このソナタの第1、第2楽章はピアノを贈与される以前に作曲されており
第3,4楽章だけがブロードウッドのピアノで作曲されたようです。
因みに、ベートーヴェンは1787年にヴァルトシュタイン伯からシュタイン製のピアノフォルテを贈与されて以来、1825年に最後のものとなるC.グラーフ製のピアノを手にするまでに10種類以上のピアノを使用したとのこと。

第3楽章の導入の1小節は、すでにロンドンで印刷にかかっている頃にベートーヴェンが付加したものだそうです。
ベートーヴェンがロンドンに住むリース宛ての1819年4月16日付けの手紙に、各楽章のテンポをメトロノームで指示した折に、第3楽章の導入の1小節を挿入するように依頼をしたとのこと。
また、同じくリース宛ての4月19日付けの手紙には、ベートーヴェンは次のようにも記しているそうです。
「このソナタは苦しい事情のもとで書かれた。パンのために書くのはまったく辛いことだ」

出版は1819年9月、ウィーンのアルタリアから。
曲の献呈はルドルフ大公。
自筆譜は紛失したとのことです。


ライプツィヒ弦楽四重奏団で聴くベートーヴェン、ピアノ・ソナタ第29番弦楽四重奏版

通常はスピーカで聴ているのですが極力集中をして鑑賞をする時はヘッドフォンを使用。
と言うか、ヘッドフォンで聴くことが大好き。
スピーカとヘッドフォンではかなり違った印象を受けてしまうのですが。
このディスクも さに非ず で、今回初めてヘッドフォンで聴いてみて魅力が倍増したようです。

第1楽章の第1主題は印象に残りますのでこの主題を聴くと第29番だと分かるのですが
他のベートーヴェンのピアノ・ソナタ作品になると相変わらず今でも「???第何番なのか?」になってしまいます。
第1楽章からこの弦楽四重奏版及び四重奏団に惹き込まれてしまいます。
ライプツィヒ弦楽四重奏団の演奏は初めて聴くものです。
4者一体化した緻密なアンサンブル。
理屈っぽくない演奏・・・と言う表現は変かも知れませんが
じっくりと音楽に向き合わせてくれ、情感が豊かに伝わってくるような演奏でしょうか。
往年の演奏家ばかりに惹かれることが多いのですが
このディスクを聴き、現在の演奏家の素晴らしさを認識させる魅力ある四重奏団のように感じます。

第1楽章の流麗な美しさ。
第1楽章がこのよう美しさを湛えていることを初めて感じたように思います。
息を呑みつつ耳を傾けてしまいます。
今まで、この曲に楽しさに似た想いを抱いて聴いたことがあった?と自問をしつつ。
情感、表情豊かな演奏。
素晴らしい弦楽四重奏版。

第2楽章のスケルツォでは楽章中終始奏される同一のリズム。
弦楽四重奏版ではそのリズムが一層、簡潔な趣、歯切れの良さとして感じられるようです。
またこの編曲で聴くと見通しが良く、曲が分かり易く感じられるようです。
原曲のピアノ演奏よりも多様な変化を楽しみつつ耳を傾けてしまいます。

第3楽章はピアノで聴いていた時にはあまり印象に残らない楽章でした。
この編曲版で聴き、とても惹き込まれ大のお気に入りになった楽章。
愁いを帯びた調べで始まる第3楽章。
まるで悲歌のような調べの第1主題。
ピアノで聴く以上に哀愁、哀感が伝わり胸を締め付けられるようです。
深い悲哀感。
救いようのない悲哀でありながら、相反するような穏やかさ。
複雑に絡み合う心情が美しい悲歌として歌われているように感じられ聴き入ってしまいます。
悲哀は大らかにゆったりとした「美」として浄化、昇華された「悲歌」でしょうか。
窮極の「美」の姿でとも言うべきでしょうか。
この楽章は聴く折々の心を反映するように感じつつ耳を傾けています。
多々の想いを心にしつつ聴く時にはそっと寄り添い慰めてくれるような楽章。
ホッと安堵をした気分で聴く時には、限りない優しさで包み込んでくれるような楽章。
そして今日、数日振りに聴くこの楽章は
太陽が顔を出し外気は寒くても、暖かな温もりで包んでくれるような。
耳を傾ける毎に七変化をするかのような不思議さを感じる楽章。
ライプツィヒ弦楽四重奏団のメンバー、一人一人の楽器から生み出される調べは
恰も子守歌のように心に伝わる時もあります。

第4楽章の序奏を聴き、ピアノ・ソナタの弦楽四重奏版ということを忘れてしまうようです。
主部に入り活き活きと伝わる躍動感。
フーガも分かり易い形で耳に伝わって来るようです。


ディスクが到着してから約3週間程が経ちましたが
繰り返し聴く毎に好感度が増してゆくようです。
毎日、聴いていても飽くことがありません。
特に第3楽章。
聴く度に新たに気付くことや発見、感動があります。
興味深い編曲であり演奏。
原曲のピアノで聴くよりもじっくり耳を傾け曲に対峙できるようにも感じます。
弦楽四重奏という編成が好みの所為もあるかも知れませんが
原曲のピアノ演奏よりも気に入っています。

耳を傾けていると「ハンマークラヴィーア」の弦楽四重奏版ということを忘れ
ベートーヴェン作曲のもう一つの新たな「弦楽四重奏曲」に出合ったような。
第1楽章から終楽章に聴き進み、素晴らしい編曲、編曲者そして演奏者。
感嘆の想いばかり。

収録されている2つの序曲、「レオノーレ」第3番、「フィデリオ」序曲も素晴らしいもの。
できれば「コリオラン」序曲もこの編曲者、この弦楽四重奏団で聴きたいと切望を。

このディスクを聴きライプツィヒ弦楽四重奏団でベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集を聴きたいとの想いが募ってきました。
う~ん。私には価格が少々・・・ですが、是非、聴いてみたい全集。
今年の抱負、その一。
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集をライプツィヒ弦楽四重奏団で聴くこと。

素晴らしいディスクとの出合いに感謝です。
久々振りに感銘を受けた愛聴盤になりました。

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タグ : ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第29番 ハンマークラヴィーア 弦楽四重奏版 ライプツィヒ弦楽四重奏団

20:59  |  ベートーヴェン  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

2018.11/03(Sat)

Op.464 ベートーヴェン:「弦楽四重奏曲全集」 by エンデリオン弦楽四重奏団

ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集でこの約2ヶ月来、大のお気に入り且つ
虜になっているのはエンデリオン弦楽四重奏団の演奏です。
今夏、ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集、弦楽五重奏曲集他が収録されている
エンデリオン弦楽四重奏団の Box が目に留まり入手をしてみました。
当時、ハンガリー四重奏団で弦楽四重奏曲第15番を聴きつつ
他の演奏で聴きたいとの気持ちがエスカレート。
たまたま目に付いたのがエンデリオン弦楽四重奏団でした。
軽い気持ちで、取り敢えず聴いてみる・・・・の筈で聴き始めたのが8月下旬。
お気に入りの作品から聴き始め1週間ほどで全曲を聴き終えたのは
鑑賞の遅い私としては新記録かも知れません。
また、エンデリオンSQ の演奏ばかりを中心に聴いていたので
他のディスクの購入が月当たり、ゼロ、という近年では珍しい新記録も達成。

8月下旬以降、来る日も来る日もエンデリオンSQ の演奏の虜になっておりました。
今現在もベートーヴェン弦楽四重奏曲を聴きたくなるとエンデリオンSQ です。
ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集ではハンガリー四重奏団と
エンデリオン弦楽四重奏団が私の世界でトップ争いをしているようです。
強いて言えばエンデリオン弦楽四重奏団に軍配が上がりそうです。
(前置きの長さで記事が終わりそう)

ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集、
エンデリオン弦楽四重奏団ベートーヴェン:弦楽四重奏曲全集、弦楽五重奏集他より

弦楽四重奏曲全集、弦楽五重奏曲集、フラグメンツ エンデリオン弦楽四重奏団(10CD)

エンデリオン弦楽四重奏団
Andrew Watkinson(1st.Vn)
Ralph De Souza (2nd.Vn)
Garfield Jackson(Vla)
David Waterman(Vc)
(録音:2004年よりのデジタル録音のようです)


今回は通常のパターンを変え一曲に絞り込まずに全集としての簡単な感想になります。
エンデリオンSQ の演奏に出合い感銘を受け記事にしたかったのですが
どのように纏めれば良いのかも分からず(今も、ですが)、とうとう今日に至ってしまいました。
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲をいろいろな演奏で聴き続けてきた昨今。
お気に入りの演奏にも変化が起きています。
多分に私自身のその時々の心情が鑑賞をする上で大きな要素になっているようです。
少なくとも、今現在はエンデリオSQ の演奏が私の心にスンナリと入り込んで来てくれます。

ショップ・サイトのこの演奏の紹介記事の一部を引用。

「イギリスの名門エンデリオン弦楽四重奏団によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集。同時にこのアルバムは彼らがレジデンス・クァルテットを勤めるケンブリッジ大学の創立800年をも記念しています。
この録音は、現在ベ-レンライターから順次出版中のジョナサン・デル・マーによる校訂譜による初の全集となり、その校訂作業にはエンデリオン弦楽四重奏団も参加して共同でおこなっています。特に後期の作品には今までの版で見られなかった音の違いなども含まれているとのことです」

ジョナサン・デル・マーの校訂譜によるベーレンライター版、初の全集、とのことですが
今まで聴いてきた数ある演奏との違いを的確に把握、指摘をする力量の無い私です。

エンデリオンSQ の演奏では15番から聴き始め
次に「ラズモフスキー」の3曲、そして初期の作品の第5番。
いずれもお気に入りの作品ばかりから順に聴いてきました。

上記のお気に入りの作品だけに留まらず、全16曲から新たな印象を受ける演奏です。
全曲を聴き終えた時には、すべての曲が愛聴盤に。

エンデリオンSQ の演奏は整然と区画整備をされような造形美のように感じられます。
彼らの弦から生み出される調べ。
殊に美しい旋律の中には胸を打つ悲哀感が漂っているかのように感じられます。

抑制のある表現の中に見事に花開く楽想の豊かさも感じます。
音色は軽やか。響きの美しさ。
透明感のある美しさを湛えた音楽として甦るベートーヴェンの弦楽四重奏曲の一つ一つ。

この全集で最初めに聴いた第15番。
お気に入りの曲ながら、改めて「この曲はこんなに良かった?」と
いつものパターンで妙に惹き付けられる演奏。
この曲に関連をして、特別に記す事でもないかと思いますが
他の四重奏団の演奏では聴き取れるアンプのヴォリュームに設定をして聴き始めました。
ですが演奏の開始すら分からなく、録音レベルが低いのか、と思ったほどでした。
この曲に限らずフォルテとピアノの差異を強調しない演奏のように感じられます。
総体的に柔和で気品のある演奏を聴かせてくれる全集でしょうか。
何回も同じ事を書いてしまうようですが、作品によっては他の演奏者からは感じることができない美しい悲哀感に目の覚めるような想いを抱いてしまいます。

例えば、ラズモフスキー第1番の全楽章やラズモフスキー第2番の第2楽章。
今まで聴いてきた演奏から受ける印象が大いに違うように感じます。
ラズモフスキー第1番の第1楽章を聴きつつ、「これほどまでに美しい楽章だった?」と自問を。
第2楽章も力強さを控え気味に柔らかい印象。
第3楽章冒頭では、これ程しんみりした心情になる演奏には出合った記憶がないようにも。
軽快に転じる第4楽章では気品すら感じます。

一つ一つの作品から新たな目覚めを感じる全集です。
透明感があり、爽やかさが漂う、美しい気品に満ちた全集のように思います。
あくまでも今現在の独断ですが。

この Box で興味深いのが最後の10枚目のディスクに収録されている
ピアノ・ソナタ第9番作品14-1の編曲。
未だに飽くことなく弦楽四重奏曲を聴く日々で他の収録曲まで辿り着かずの状態です。
ピアノ・ソナタ第9番の編曲もこのBox の楽しみになっています。

                

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21:08  |  ベートーヴェン  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

2018.10/20(Sat)

Op.462 ベートーヴェン:「交響曲第7番」 by クレンペラー&フィルハーモニアO.

「春眠暁を覚えず」とは言うものの、「秋眠暁を覚えず」という言葉はないのにも拘らず
「秋眠暁を覚えず」のこの頃。
あの酷暑の日々を何とか生き抜いた・・・大げさな表現ですが、実感でもあります。
秋らしさを感じるこの頃。
ホッとした気分になり陥ってしまう「秋眠暁を覚えず」。
ブログもお休みを、などと怠け心が芽生えてしまった今日。
ですが、この曲を聴くうちに今の処は怠け心が消えたようです。

ベートーヴェン交響曲第7番。
クレンペラー&フィルハーモニアO. の演奏で聴いてみました。
お気に入りのクレンペラーのBox。
手持ちのディスクと重複するものが多々ありながらも昨年、夏に予約注文をしたもの。
入手してからすでに一年以上が経ってしまいました。
ほとんど未聴のまま眠らせてしまっていた Box からです。

ベートーヴェン交響曲第7番
クレンペラー~オットー・クレンペラー・ザ・コレクションより

462 ベートーヴェン 交響曲第7番 オットー・クレンペラー・コレクションより
(収録曲)
ベートーヴェン

交響曲第1番ハ長調 op.21(録音:1960年6月7日)
交響曲第7番イ長調 op.92(録音:1960年6月2日)
「プロメテウスの創造物」序曲 Op.43(録音:1960年6月2日)

オットー・クレンペラー指揮
フィルハーモニア管弦楽団


第1楽章:Poco sostenuto 4/4拍子 – Vivace イ長調 6/8拍子
第2楽章:Allegretto イ短調 2/4拍子
第3楽章:Presto - Assai meno presto ヘ長調 3/4拍子
第4楽章:Allegro con brio イ長調 2/4拍子


曲の断片的なスケッチは1806年頃のノートに見られるそうです。
「ラズモフスキー四重奏曲」や「交響曲第4番」が書かれた時期とのこと。
本格的に作曲が始められたのは1811年秋。
完成は1813年5月13日だそうです。
前作の交響曲第6番の作曲以来、3年以上交響曲から離れていたとのことです。

以前、綴ったことと重複しますが。
この3年間にベートーヴェンは多々の苦労を味わったそうです。
1809年4月9日にオーストリアとフランスが交戦状態に入り
5月21日にナポレオン軍はウィーンに侵入。
ベートーヴェンのパトロン達はウィーンから逃れ、ベートーヴェンは財政的な保護を受けられなくなったとのこと。
また精神的には落ち着かず、健康状態も良好ではなく創作も思うようにはかどらなかったそうです。

1809年に戦争の終結。11月にはフランス軍は退去したそうです。
戦禍から逃れていた貴族たちは翌1810年1月にウィーンに戻ってきたとのこと。
この時期の心境を反映して書かれたのがピアノ・ソナタ第26番「告別」。
このソナタが作曲され、戦争の終結とともにベートーヴェンの創作力は次第に回復したそうです。
その創作は空白期間を取り戻すかのようであったとのこと。

1811年から12年にかけて作曲されたものは明るい長調のものばかりだそうです。
その中で誕生した交響曲第7番はディオニソス的な歓びを持ち、明快なリズムにより人々の心を浮き立たせるこの曲をワーグナーは「舞踏の聖化」と呼んだ、とのこと。

非公開初演は1813年4月20日にルドルフ大公の私邸にて行われ
公開初演は1813年12月8日に、ベートーヴェン自身の指揮により
ウィーン大学講堂に於ける戦争傷病兵のための慈善演奏会にて。
この公開初演では「ウェリントンの勝利」も取り上げられ、愛国的な雰囲気が高まっていた時期で、この2曲は大成功を収めたとのこと。
アンコールでは交響曲第7番の第2楽章だったそうです。

出版は1816年。

献呈はフリース伯爵に。
462:ベートーヴェン交響曲第7番Graf Moritz von Fries
(フリース伯爵夫妻 1801年)
Moritz Christian Johann Reichsgraf von Fries
(1777年5月6日-1826年12月26日)


クレンペラー&フィルハーモニアO.で聴くベートーヴェンの交響曲第7番

力強く重厚な響きで始まる第1楽章の序奏。
序奏を聴き即、クレンペラーの「音」と感じ入ってしまう。
ゆったりとしたテンポで堂々と。
トゥッティでの高揚するドラマティックさ。
轟くティンパニの、はち切れんばかり、とはこのこと?
躍動的なリズム。
堅固な足踏みで前進する音楽。
グイグイと押しまくる演奏ではなく、しかりと地に足の着いた演奏。
コーダの堅牢で覇気を持って閉じられる第1楽章。
改めてこの曲の素晴らしさ、クレンペラーのタクトに魅了を。

荘重に重々しく始まる第2楽章。
次第に増加する楽器たち。
分厚くなる響きに並行するかのような抒情性漂う調べ。
嘗ては退屈をしてしまったこの楽章。
いつの頃からかこの曲では最もお気に入りの楽章に。
自由な三部形式とのことで第2部での穏やかな明るさには寛ぎの気分に。
変奏風な第3部も印象的。
悠然とした雰囲気で終わる第2楽章。

第3楽章はスケルツォに相当するとのこと。
軽快に始まる第3楽章。
跳躍をするような明朗な趣。
トリオの長閑な雰囲気が漂う民謡風な旋律は低部オーストリア地方の巡礼の歌によるものと言われているとのこと。
管楽器が奏する正に長閑な調べ。
楽章の締め括りは凛として。

力強く奏される和音に続き現れる第1主題で始まる第4楽章。
明るい力強さを感じさせる主題。
第2主題のユーモアのある躍動感。トゥッティでの高揚感。
重厚な響きで力強い高揚感のうちに迎える曲の終わり。


クレンペラーの第7番はこちらのBoxには4種の録音が収録されています。
1)フィルハーモニアO.  1960年6月2日
2)フィラデルフィアO. に客演 1962年11月3日
3)コンセルトヘボウO. 1956年
4)コンセルトヘボウO. 1951年
この4種の録音から 1)の1960年、フィルハーモニアO. との演奏を聴いてみました。

因みにショップの解説記事によると
クレンペラーはウィーン芸術週間に出演のためにフィルハーモニアO.を率いてウィーンを訪れ、ムジークフェラインザールでベートーヴェンの連続演奏会を行い大成功だったとのことです。


演奏が終わりすぐに飛び交う「ブラボー」と拍手。
感激の渦でブラボーの言葉すら失う自分。
嘗てこの第7番はベートーヴェンの交響曲の中では
聴いていて疲労感を抱いてしまい、あまり好みではなかった曲。
最近になり遅まきながらやっと目覚めたところです。
個人的には第2楽章がやはり一番魅力的。

好みではないと言いつつも人気曲でもあり
かなり多くの演奏に出合ってきた云十年。
最近出合ったチェリビダッケの演奏を機に意識的に聴くようになった作品。
クレンペラーがお気に入りとの先入観もあるのでしょうか
クレンペラー&フィルハーモニアO. は今の処一番のお気に入りの演奏です。

クレンペラーは各楽器に十分歌わせつつ奏され、生み出される音楽。
旋律線の克明さ。
推進力、気迫を前面に打ち出した演奏とは一線を画するものを感じます。
悠然とした中にも見事に表現される高揚感。
一つ一つの楽器を大切に生かし扱うクレンペラーのタクト。
クレンペラーのタクトが生み出す重厚でガッチリとした音楽。
やはり私にとっては魅力的な第7番です。
まだ、この1960年の録音しかじっくりと耳を傾けていないのですが
他の3種の演奏も楽しみです。

                 

テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : ベートーヴェン 交響曲 クレンペラー フィルハーモニア管弦楽団

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2018.10/13(Sat)

Op461 ベートーヴェン:「ディアベリのワルツによる33の変奏曲」 by バックハウス

ベートーヴェン変奏曲を聴くシリーズ」。
シリーズの締め括りとしてベートーヴェンの変奏技法が駆使された集大成の
「ディアベリのワルツによる33の変奏曲」を。

この「ディアベリ変奏曲」は数ある変奏曲のうちでも圧倒的にディスクが多いですね。
手持ちのディスクで探したところ次々と「ディアベリ変奏曲」が出てきます。
どのディスクにするか迷った末にバックハウスの演奏で聴くことに。
私の大好きな10枚組の廉価盤からです。

ベートーヴェン:ディアベリのワルツによる33の変奏曲
バックハウスベートーヴェン名演集より


461:べートーヴェン:ディアベリ変奏曲 バックハウス、ベートーヴェン名演集
(収録曲)

ベートーヴェン:ディアベリの主題による33の変奏曲 Op.120
ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲 より

ヴィルヘルム・バックハウス(P)
(録音:ベートーヴェン 1954年)


作曲されたのは1819年から23年にかけてだそうです。
「ミサ・ソレムニス」と並行して書かれ、1822年に交響曲第9番第1楽章とともにその大半を創作。
1823年3月から4月にかけて最終的にまとめられたとのことです。

この作品はベートーヴェンの変奏技法を集大成した作品であり
バッハの「ゴルドベルク変奏曲」と並び変奏曲の最高傑作として称えられているそうです。

ベートーヴェンは「ディアベリ変奏曲」に “ Variationen ” ではなく“Veränderungen” と記しているそうです。
後者の語が採られているのは様態を移し替えていく「変容」が意図されている、と考えられるようです。
因みにバッハの「ゴルドベルク変奏曲」にもバッハの自作の表題には “Clavier Ubung bestehend in einer ARIA mit verschiedenen Veränderungen vors Clavicimbal mit 2 Manualen” と記されているとのこと。


(wikiドイツ)462 ベートーヴェン ディアベリ変奏曲 アントン.ディアべリ
Anton Diabelli
(1781年9月5日-1858年4月8日)

作曲の動機となったのは、オーストリアの作曲家兼音楽出版業のアントン・ディアベリの依頼だったそうです。
彼は自作のワルツ主題による変奏曲の作曲を何人かの作曲家(ツェル二ー、シューベルト、リストも含まれていたとか)に依頼をし
それを取りまとめ「祖国芸術家同盟」として出版する予定であったそうです。
ベートーヴェンはその案を嫌い自分だけで33の変奏曲を書き作品120として出版したのがこの曲とのこと。
初版の翌年1824年6月には「祖国芸術家同盟」第1部として再刊されたそうです。

献呈はブレンターノ夫人アントーニエに。
自筆譜は個人蔵(ドイツ)。
自筆譜のフォトコピーはボンのベートーヴェン・ハウスに。


バックハウスで聴くベートーヴェンの「ディアベリ変奏曲
いつもの自分のメモを兼ねつつ。

主題は単調だが構造的には豊かな可能性を内包したもので、外見の単調さと内実の複雑性がベートーヴェンの創作意欲を掻き立てたものと推測されるそうです。
この主題の以上の性格はベートーヴェン晩年の諸作の主題に共通する特徴でもあるとのこと。

ワルツのリズムに乗り弾みをもって主題を奏するピアノでの始まり。
明朗な主題。
バックハウスのピアノも軽やかに指が鍵盤上を飛び跳ねているかのよう。

続く変奏。
変奏は幾つかのグループに分かれるそうです。
ユルゲン・ウーデのグループ分けによると次のようになるとのこと。
1)発展群     第1変奏-第10変奏
2)コントラスト群 第11変奏-第20変奏
3)スケルツォ群   第21変奏-第28変奏(第24変奏はトリオ)
4)フィナーレ群  第29変奏-第33変奏

変奏は飛び飛びの感想等になります。

第1変奏(Alla marcia ,maestoso) は力強さを感じさせるタッチでの始まり。
行進曲風で力強い足踏みを感じさせるピアノ。
バックハウスの堅固なタッチが曲想にぴったりのよう。
第2変奏で趣は一転。

いつものように変奏の面白さ、楽しさを感じつつ耳を傾け・・・。
33の変奏を聴きつつ耳を奪われたのが第22変奏。
グループ分けによると 3)のスケルツォ群(21-28変奏)に属する変奏。
前変奏までとは一味、趣を異にするような雰囲気。
明朗な雰囲気の変奏。
この第22変奏はモーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」冒頭のレポレロのアリア<夜も昼も休む間もなく>の旋律が採られているそうです。
このアリアの一部も和声構造的に「ディアベリ」主題と重なるもので、変容の一例であると言えるとのこと。

次の第23変奏では素早いアルペッジョを奏するバックハウスのタッチに、またもや耳が釘付けに。

第24変奏(Fugato:Andante )はお気に入りに。
嬉しい事に変奏の中では長い演奏時間で2分54秒。
穏やかな瞑想的な調べのフガート。
優しい雰囲気に満ちているよう。

グループ分けの 4 )フィナーレ群、第29変奏から最終変奏がこの曲のグループ分けではお気に入りで魅力を感じる変奏です。
第30変奏(Andante sempre cantabile)の悲歌のような趣の調べ。
しんみりする優しさを感じる変奏。

第32変奏(Fuga:Allegro) は二重フーガの形がとられ晩年のベートーヴェンの作品を特徴づけるフーガ様式への傾斜を示す一例になっているとのこと。

第33変奏(Tempo di Menuetto moderato grazioso e dolce)もまた印象に残ります。
この変奏ではワルツの主題がメヌエットに変容され、ピアノ・ソナタ第32番の第2楽章主題との関連性を明確に窺わせる形を採り顕れているとのこと。
愛らしい調べの変奏。
愛らしさの根底に感じる素朴さが何ともいえずに魅力的。
左手の厳かに響く低音と右手の愛らしい響きのうちに力強く閉じられる曲。


この曲のディスクを出し、眺めては迷い・・・バックハウスにして正解?
今までのように各変奏にじっくりと耳を傾けることができずに
一度、流し聴きをしてこの曲に対して抱いた印象は、優しさに溢れた曲。
改めて約50分近いこの長い変奏曲を部分的にじっくりと聴き直し
やはり曲の全体に流れる優しい雰囲気に魅力を感じます。

バックハウスの演奏ではキツイかとも想いつつ。
まったくの杞憂でした。
バックハウスの演奏から優しさが滲み出ているような。
感傷に陥ることなく整然とした演奏。
その優しさ。

以前は「ディアヴェリ変奏曲」の曲名を目にしても
余り関心を抱くことがなかったのですが
バックハウスのこの演奏を聴き俄然、この曲の虜になってしまったようです。

                

テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : ベートーヴェン 変奏曲 ディアベリ変奏曲 バックハウス

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