2018.06/16(Sat)

Op.444 ベートーヴェン:「ピアノ三重奏曲第7番<大公>」 by ソロモン、ホルスト&ピーニ

ベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴くシリーズ」は終了しましたが
またベートーヴェンです。
ベートーヴェンピアノ三重奏曲の中で一番好きな第7番をソロモン他で。
ソロモンの演奏でベートーヴェンのピアノ・ソナタのディスクをショップで探していた頃、偶然目に付き入手をした副産物のディスク。
ソロモンのピアノで「大公トリオ」を聴くことができるなんて、まるで夢みたい・・・と、膨れ上がる期待で手にしたディスク。
ソロモン、HMV初期録音集1942-43」に収録されている一曲です。
演奏者でヴァイオリンのヘンリー・ホルスト及びチェロのアンソニー・ピーニは初めてです。

ベートーヴェンピアノ三重奏曲第7番「大公
ソロモン~HMV初期録音集1942-43 より


(HMV)444ベートーヴェン ピアノ三重奏曲第7番 ソロモン Solomon The First Hmv Recordings 1942-3
(収録曲)

ショパン:練習曲Op.10-9
ショパン:練習曲Op.25-2
ショパン:練習曲Op.25-3
ショパン:夜想曲第8番
ショパン:舟歌
ブラームス:ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ
ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第7番Op.97「大公

 ソロモン・カットナー(P)
 ヘンリー・ホルスト(Vn)
 アンソニー・ピーニ(Vc)
(録音:1942年-43年 モノラル 
     ベートーヴェン:1943年9月9-11日) 


第1楽章:Allegro moderato 変ロ長調 4/4拍子
第2楽章:Scherzo: Allegro 変ロ長調 3/4拍子
第3楽章:Andante cantabile ma pero con moto ニ長調 3/4拍子
第4楽章:Allegro moderato - Presto 変ロ長調 2/4拍子


大公トリオ」は3年程前に、ルービンシュタイン、ハイフェッツ&フォイアマンの演奏で登場していたようです。
いつものように当時の記事を参照、コピーのようになりますが自分のメモとして

作品が完成したのは1811年だそうです。
曲の草稿にはベートーヴェンの自筆で最初の部分に「1811年3月3日」の日付。
また最後の部分には「1811年3月2日完成」の日付が記されているそうです。
ノッテポームによると1810年にすでにこの曲のスケッチが幾つかあり
実際には草稿に記された日付けより以前に構想されたものであることが実証されているとのことです。

初演は1814年4月11日にウィーンのホテル「ローマ皇帝」にて行われたと伝えられているとのこと。
ピアノはベートーヴェン自身、ヴァイオリンはシュパンツィヒ弦楽四重奏団のイグナーツ・シュパンツィヒ、チェロがヨーゼフ・リンケの3人による演奏だったそうです。
初演当時、ベートーヴェンの聴力はかなり低下をしており、この初演がピアニストとしてのベートーヴェンの最後の公開音楽会になったとのことです。

出版は作品の完成後かなり年が経過した1816年9月。ウィーンのシュタイナー社より。
自筆譜はベルリン国立図書館に保存。
献呈はルドルフ大公に。


ソロモン、ヘンリー・ホルスト&アンソニー・ピーニで聴くベートーヴェンの
ピアノ三重奏曲第7番(簡単な感想で)

1942年から1943年に当時の英グラモフォンに録音されたものだそうです。
ソロモンは40歳頃の演奏でしょうか。

大好きな「大公トリオ」ですが、今まで聴いてきた演奏とは違うように感じられ妙に印象に残っています。
初めて聴いた時に落ち着かない状態でしたので改めてじっくりと。
初めて聴いた時と同様に印象に残る「大公トリオ」です。

この曲の躍動感や堂々とした趣が気に入っています。
今まで出合った演奏は躍動感があり聴いていて心がときめくようなものが伝わってきました。
そのような耳に馴染んでいる「大公トリオ」。
が、ソロモン、ホルストピーニによる演奏は今まで聴いてきた演奏よりも「静」を感じるようです。
落ち着きがあり静かな印象を受ける演奏でしょうか。
最初、聴いた時には物足りなさを感じてしまったものです。

ソロモンの淀みのないピアニズム。
録音の所為でしょうか、ヴァイオリンとチェロの存在感が弱く感じられてしまいます。
ヴァイオリンのヘンリー・ホルスト(1899-1991年)はデンマークのヴァイオリニストとのこと。ベルリン・フィルのコンサート・マスター(1922-31年)や他のオーケストラのコンサート・マスター等々、音楽大学などの教授も歴任したそうです。
ホルストのヴァイオリンは地味な音色でしょうか。温か味を感じるヴァイオリン。
チェロは控え目すぎ(?)のようにも。

この3人の演奏で印象に残るのは第3楽章でしょうか。
第3楽章で主題をピアノが静かに奏し、続くヴァイオリン。
落ち着きのある響きでヴァイオリンのしっとりとした歌は胸に染み入るようです。
変奏の部分でもヴァイオリンの美しい歌に寄り添うソロモンのピアノも印象的。

初めは躍動感があまり伝わらず物足りなく感じた演奏でしたが、
何回か耳を傾けるうちに味わいのある「大公トリオ」のように感じられてきました。
躍動感に満ちたパートでも落ち着きがあり、高貴な美しさが漂う「大公トリオ」でしょうか。
耳に馴染んでいる心躍らせる演奏も好きですが
この3人が生み出す「静」の「大公トリオ」に新たな魅力を見い出したように感じています。

このディスクを求めたお目当ては「大公トリオ」でしたが・・・。
ソロモンが紡ぎ出すショパンの「練習曲」に耳を傾け
初めてショパンの「練習曲」に好感を抱くことができたように思います。
抜粋ではなく「練習曲」全曲を聴きたくなりショップ・サイトでディスク探しをするほど気に入ってしまいました。
そして「夜奏曲」の何と美しいこと!
「舟歌」の心に沁みる調べ。
ソロモンが紡ぎ出すショパンの虜に。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタのお陰で出合うことができたソロモン。
今でも、いつまでも、ソロモンはお気に入りのピアニストの一人に。


蛇足。いつものオバサンの井戸端会議。
ソロモンについてWikipediaを参照しつつ、自分のメモとして。

本名はソロモン・カットナー(1902年8月6日-1988年2月2日)
ロンドンのイーストエンドに7人兄弟の末っ子として誕生
5歳でクララ・シューマンの弟子、マチルダ・ヴェルンに師事
1912年、10歳でデビュー(プログラムはベートーヴェン、ピアノ協奏曲第3番。指揮ヘンリー・ウッド)
その後、ロンドンにデヴュー(チャイコフスキー、ピアノ協奏曲第1番)
これらのコンサートの成功から「神童ソロモン」と呼ばれ、以後ファースト・ネームの「ソロモン」で活動。
演奏活動での成功にも拘らず、ソロモンは演奏活動を中断。
パリに渡り、マルセル・デュプレ 及びクララ・ハスキルの師でもあるラザール・レヴィに学ぶ。
19歳、演奏活動の開始。
1929年、初めてのレコーディング。
1953年、来日。あまり話題にならなかったとのこと。但し、音楽評論家の吉田秀和氏は彼を高く評価。最高のベートーヴェン弾きとして著作にて言及。
ソロモン、EMIと契約を結ぶ。
1951年からベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集の録音に取り組む。
1956年夏、脳梗塞。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集は未完。
引退を余儀なくされる。
           (以上)

                  

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20:56  |  ベートーヴェン  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

2018.06/09(Sat)

Op.443 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第32番」 by アラウ(新旧2種の録音で)

ベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴くシリーズ」。
今回でこのシリーズも何とか無事に最終回を迎えることになりました。
ソナタ全32曲のうちベートーヴェンの最後のピアノ・ソナタ第32番を。
シリーズの締め括りは、やはりアラウで。
1980年代の新録音を主として、1960年代の旧録音の2種で聴いてみました。

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第32番
アラウ~デッカ録音全集より

437ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第32番クラウディオ・アラウ~デッカ録音全集

ベートーヴェン
ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 Op.111

クラウディオ・アラウ(P)
(旧録音:1965年10月)
(新録音:1985年6月)

第1楽章:Maestoso – Allegro con brio ed appassionato
      ハ短調4/4拍子 ソナタ形式
第2楽章:Arietta: Adagio molto, semplice e cantabile
      ハ長調   


作曲されたのは1821年から22年にかけてだそうです。
先に書かれた作品109の第30番、作品110、第31番と同様に「ミサ・ソレムニス」と並行をして作曲されたとのことです。
スケッチは1819年に始まり1822年の初めに完成。
浄書された原稿には1822年1月13日の日付けがあるそうですがこれは浄書を始めた日と考えられ、書き上がったのはその直後のことと推測されるようです。

ピアノ音楽としては翌年に大作「ディアべりのワルツによる33の変奏曲」Op.120 を始め
この後に幾つか作曲されたそうですがソナタとしてはこれが最後の曲になるとのこと。
曲の楽章構成はベートーヴェンが幾度か試みた2楽章構成に圧縮されているそうです。

ベートーヴェンは1822年6月5日付けでライプツィヒの楽譜出版者ペータース宛ての書簡にて、ピアノ・ソナタを近いうちに渡すことができる旨を書いているそうです。
第30番から第32番までのソナタの他に更に一曲のソナタが着想されていたようですが、痕跡はスケッチにもまったく残っていないとのことです。

出版は1822年、パリとベルリンのシュレジンガーから。
自筆譜はボンのベートーヴェン・ハウス、ベルリンの国立図書館
チューリッヒのボドマー・コレクションに異なる草稿が分散しているとのこと。

            (wikiドイツ)443ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第32番Die erste Ausgabe
             (ピアノ・ソナタ第32番の初版)

献呈はルドルフ大公に。
このソナタは最初の予定ではブレンターノ夫人であるアントーニエ・ブレンターノに献呈される筈だったそうです。
献呈についてはアントーニエ・ブレンターノ 或いは ルドルフ大公の両者間でベートーヴェン自身、かなり迷い二転三転をしたとのこと。
1822年7月1日、ルドルフ大公宛ての書簡にベートーヴェンは次のように記述しているそうです。
「殿下はソナタ <ハ短調> がお気に入られたようにお見受けしましたので、それを突然献呈しましても無作法ではないと考えました。」
因みにアントーニエ・ブレンターノにはベートーヴェンが変奏技法を集大成し、バッハの「ゴルドベルク変奏曲」と並び変奏曲の最高傑作とされる「ディアヴェリのワルツによる33の変奏曲」(1819-1823年作曲)が献呈されたとのことです。


アラウで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第32番

力強く厳かな序奏で始まる第1楽章。
荘重で暗さが漂う序奏。
低音域の重厚な響きと余韻が重厚で荘重な趣を更に増加させているようです。
弱音になり奏される左手の低音域を轟かせつつ主部に。
主部に入り低音域の轟きが激しくクレッシェンド。
フォルティシモで力を込め奏される第1主題の冒頭動機。
緊張感が漂い気迫を感じる雰囲気の第1主題。
第2主題が現れ右手で奏される高音の調べは清楚で可憐な趣。
コーダでの新しい旋律が静かに奏され閉じられる第1楽章。
この楽章では気を抜いて耳を傾けること許さない(?)ような、第1主題の魔力の虜に。

第2楽章は主題と5つの変奏からなっているそうです。変奏番号は付いていないとのこと。

静かで柔和な雰囲気の主題で始まる第2楽章。
夢幻的な世界に足を踏み入れたような雰囲気。
ゆったりと静かな佇まいの調べ。
低音域の響き、高音域の清澄な音色が醸し出す調べ。
気が付くと第1番目の変奏に。
主題が簡素で素朴な雰囲気を醸し出しつつ変奏され惹かれるものがあります。
5つの変奏を聴きつつ各変奏で印象に残るのは
楽しげな雰囲気も漂っているような3番目の変奏。
4つ目の変奏の活発な趣。右手は戯れを連想されるような。
最後の5つ目の変奏では低音域の細かい伴奏に右手の流麗な動きが印象的。
続くトリルがからコーダに。
クレッシェンドの盛り上がり、そして現れる主題。
一音一音を噛みしめるかのように奏され静かに迎える曲の終わり。


曲が終わっても第1楽章の第1主題の旋律が脳裏で響き続けるかのような強い印象を受けます。
対照的な第2楽章。
繰り返し聴きたくなる楽章です。

今回、主として聴いたアラウの演奏は1985年の録音とのことですので、82歳頃でしょうか。
旧録音は1965年だそうですので、ちょうど20年の月日を経ての録音。
このソナタも新旧で聴きつつも明瞭に区別することは私にはできそうもありません。

新旧の2種の演奏の間の20年の時間の差が先入観となり感想に紛れ込む可能性を案じつつ以下に。
新録音では音の輪郭がスッキリしていて聴き易く感じるようです。
旧録音では伸びやかさを感じる演奏。
第1楽章、第1主題の気迫と精力的なタッチ。
アラウはこのソナタでもフォルティシモを強く叩き付けるタッチではなく丁寧な音作りが心に残ります。
第1主題と第2主題の対比も素晴らしいタッチで、一音一音から表情が感じられるよう。
耳を傾けつつ、旧録音でも闊達に楽想を生き生きと再現する精力的なピアニズム。
聴いている最中にふと「新、旧、どちらの演奏を聴ているのだった?」となることも。
第2楽章での静かで穏やかな優しい歌。温か味を感じるピアニズム。
旧録音より20年を経た新録音では深みも増しているような(先入観?)。

ベートーヴェンの最後のソナタ。
アラウにとっては年齢的にも「最後の録音」となることを内心意識しつつ演奏をしていたのだろうか、と考えてしまうことも。
アラウの紡ぎ出すソナタ第32番。
新旧ともに、アラウの真摯で誠実な語りかけを聴く想いで耳を傾けていました。
今日は6月9日。1991年6月9日、アラウ逝去。
偶然にもアラウの祥月命日のようです。

シリーズとしては今回で一旦、終了しますが、苦手だったベートーヴェンのピアノ・ソナタがお気に入りのジャンルになりました。
これからも顔を出すことになりそうです。
シリーズ中にお寄せ下さいましたコメントの一つ一つに心から感謝をしています。
お寄せくださいましたコメントにより他のピアニストの演奏を知りディスクを求めることもできました。
ソロモン、ギレリス、イヴ・ナット、そして最近のニコラーエワとの出合いもコメント、ブログのお陰です。
ありがとうございました。
これからもベートーヴェンのピアノ・ソナタは弦楽四重奏曲とともに聴き続けてゆきたいと思っています。

                 

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2018.06/02(Sat)

Op.442 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第11番」 by ニコラーエワ

ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」を続けている間にすでに6月になってしまいました。
今年も半分が過ぎようとしている時間の経過の速さ。
私の脳内カレンダーでは、現在はまだ2月か3月頃。
現実の時間は2-3倍の速さで進み驚き、慌てるばかりです。

ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」
今回は第11番、作品22を。
タチアナ・ニコラーエワのピアノです。
初期のピアノ・ソナタでは最後の曲であり、当拙ブログで初期のソナタの中では唯一未登場かと思います。

ニコラーエワのBox を知ったのは、いつもお邪魔をさせていただいているブログです。
ベートーヴェンピアノ・ソナタ全集だけの再発売を待つつもりでいましたが
やはりニコラーエワの演奏を聴きたいとの想いは募るばかりの月日。
手元に届き、初めて耳にするニコラーエワのピアノ。
最初に聴いたのはお目当てのベートーヴェンピアノ・ソナタではなく
収録曲の中で最も耳に馴染みのあるバッハの「ゴルドベルク」。
今まで聴いてきた「ゴルドベルク」からは受けることがなかった感銘。
一音、一音がまるで噴水の滴が陽光を受け煌めいているような美しい音色。
惹き込まれるピアニズム。美しさを感じる「ゴルドベルク」。
求めて本当に良かったと思っています。
さて、お目当てだったベートーヴェン
今回の第11番から聴いてみました。
ベートーヴェンの初期のピアノ・ソナタの締め括りの第11番はニコラーエワで。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第11番
ニコラーエワ~The Art Of Tatiana Nikolayevaより

442ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第11番 ニコラーエワ The Art Of Tatiana Nikolayeva
(収録曲)
ベートーヴェン
ピアノ・ソナタ第11番 変ロ長調 Op.22
ピアノ・ソナタ第12番 変イ長調 Op.26
ピアノ・ソナタ第13番 変ホ長調 Op.27-1
ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調月光」 Op.27-2

タチアーナ・ニコラーエワ(P)
(録音:1984年1月 モスクワ音楽院大ホール ライヴ)


第1楽章:Allegro con brio 変ロ長調 4/4拍子
第2楽章:Adagio con molta espressione 変ホ長調 9/8拍子 
第3楽章:Minuetto 変ロ長調 3/47拍子
第4楽章:Rondo: Allegretto 変ロ長調 2/4拍子


作曲されたのは1799年から翌1800年に完成したそうです。
1800年の夏、ウンターデ―プリングで纏められたと推測されるとのこと。
このソナタは作品18の弦楽四重奏曲などと並行して書かれたそうです。
ベートーヴェン、29歳から30歳頃でしょうか。
このソナタ第11番は出版に際しベートーヴェン自身により「大ソナタ:Grande Sonate」と名付けられていたそうです。

ベートーヴェンはライプツィヒの出版業者ホフマイスター宛ての1800年12月25日付けの書簡で新作を列記し、その一番最後にこのソナタ第11番が記されていたそうです。
曲の出来栄えについてはベートーヴェン自身は満足をしていたそうで、同じくホフマイスター宛ての翌1801年1月15日付けの書簡で新作に各々値段を付けた折に「このソナタは素晴らしいものです」と書き加えていたとのことです。

出版は1802年3月、ホフマイスターにより行われたそうです。
献呈はヨハン・ゲオルグ・フォン・ブラウン伯爵に。
自筆譜は紛失したとのこと。


ニコラーエワで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第11番

躍動感のある第1主題の冒頭で始まる第1楽章。
第1主題は冒頭に明快な動機をもち、後半楽節は対照的な快いながれと冒頭動機によってできているとのこと。
克明に刻まれるリズムは鍵盤のダンスのような。
躍動的であり溌剌とした主題。
第2主題では柔和な雰囲気も。
コーダを置くことなく楽章は終わっているとのこと。
終始、生き生きとした躍動感に溢れたエネルギッシュな楽章でしょうか。

第2楽章について音楽評論家のパウル・ベッカーは「ロマン派のノクターン」を連想しているとのことです。
左手で奏される和音に乗り右手の歌うような旋律で始まる第2楽章。
穏やかな抒情性を湛えた旋律。
ロマンティックな趣でベートーヴェンの作品を聴いていることを忘れてしまいそう。
第2主題も同様の趣。
装飾的で華麗な雰囲気が漂う主題。 
寂寥感を帯びたような夢想的なピアノの歌のような楽章でしょうか。
夢見つつ、速度を緩め静かに閉じられる第2楽章。

軽やかなメヌエット主題で始まる第3楽章。
中間楽節では低音域が力強く現れ、再びメヌエット主題に。
親しみやすい主題。 
トリオになり力強く活気を帯びて。
左手は音を刻みつつ流れるように。
再びメヌエットに戻り奏され閉じられる第3楽章。

優しげで軽やかなロンド主題の調べで始まる第4楽章。
第2主題の幻想曲風な趣。
左手が奏するスタッカートが合図(?)のようになり
新しい主題の出現。
経過部以降は楽章の頂点が築かれるようなドラマティックな趣。
軽やかな内にも力が込められ迎える曲の終わり。


この第11番がベートーヴェンの初期のソナタの締め括りになる曲だそうです。
初期のソナタはいずれも翳りがなく、若々しい感情、生気に溢れているようです。
このソナタからもまた若いベートーヴェンの明るく、生き生きとしたエネルギッシュさを感じるようです。
曲が書き始められたのはベートーヴェンが郷里のボンからウィーンに移り住むようになってから約7年後でしょうか。
初期のピアノ・ソナタの一曲一曲に将来への希望に満ち溢れる青年ベートーヴェンの心を垣間見るようです。

初めて耳にするニコラーエワの演奏によるベートーヴェンのピアノ・ソナタ。
第1楽章の生き生きとしたエネルギッシュな躍動感を奏するニコラーエワの右手と左手の生気溢れる対話。
明晰なピア二ズムに息を呑む想いがします。
他の楽章とは異質のような第2楽章の内省的、微妙な感情を織りなすニコラーエワのタッチは自身への語りかけのようにも。
第3楽章のメヌエット主題の優しい調べを滋味溢れるタッチで歌うニコラ―エワ。
第4楽章では特にロンド主題を奏するニコラーエワに第1楽章と同じように息呑んでしまいます。
このソナタに耳を傾けつつ、楽想とニコラーエワのピアニズムの虜に。
途中で曲を止めることのできない惹きつけるものを感じていました。
演奏から伝わる「熱気」はライヴ故のものでしょうか。
楽想を超えるような熱気のある第11番のように感じられます。

前置きと重複しますが、このBoxより最初に聴いた「ゴルドベルク」。
ニコラーエワが紡ぎ出す美しいピアノの音色に感嘆をしたほどです。
ベートーヴェンでもソナタ全集はライヴとのことですが、セッションと変わらない音色の美しさに感じ入ってしまいます

こちらのBoxに収録されているベートーヴェンのソナタ全曲は
9枚のディスクに後期作品以外は番号順に収録がされており
曲が探し易く、また聴き易く感じます。
ベートーヴェンの他にバッハの「平均律」の第1巻、第2巻、そして「フランス組曲」「イギリス組曲」「ゴルドベルク」等々、曲名を見ては喜々としています。
最初に聴いた「ゴルドベルク」は末永く印象に残る演奏になりそうです。
私にとっては苦手で、ほとんど聴くことのないショスターコヴィッチ。
5枚のディスクに収録されている「24の前奏曲とフーガ」はニコラーエワが初演をしたとのことですが・・・耳を傾ける日は来ないような予感も・・・。

ニコラーエワの演奏をするベートーヴェン、バッハをじっくり、ゆっくりと。
ニコラーエワに出合うことができ感謝です。


蛇足。いつものオバサンの井戸端会議。
ニコラーエワについて自分のメモとして。ショップ・サイトの記述を参照しつつ。

タチアーナ・ニコラーエワ(Tatyana Nikolayeva 1924年-1993年)
1924年5月4日、ロシア東部、ブリャンスクにて誕生。
母親からの手ほどきを受け、13歳でモスクワ音楽院ピアノ科に入学。
アレクサンドル・ゴリデンヴェイゼルに師事。
卒業後には同音楽院教授エフゲニー・ゴルブレフから作曲を学ぶ。
1950年 ライプツィヒでの第1回バッハ国際コンクールで優勝。
      世界各国で本格的な演奏活動を開始。
1955年 ソビィエト連邦国家賞受賞。
1959年からモスクワ音楽院で教鞭を執る
1965年 モスクワ音楽院教授に就任。後にロシア共和国功労芸術家の称号を授与される。
1993年 サン・フランシスコでのリサイタル中に脳動脈瘤破裂により収容先の病院にて死去。
     69歳。
                                  (以上です)

                

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2018.05/26(Sat)

Op.441 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第6番」 by ギレリス

ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」。
初期のピアノ・ソナタ作品10の3つのソナタのうち
作品10-1、第5番は1昨年の10月にシュナーベルで
作品10-3、第7番は2カ月ほど前にソロモンの演奏で当拙ブログに登場をしていました。
今回は作品10-2、第6番をギレリスのピアノで聴いてみました。

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第6番
ギレリスベートーヴェン ピアノ・ソナタ選集より

483:ベートーヴェン:ピアノソナタ第17番「テンペスト」ギレリス~ベートーヴェン・ピアノソナタ集より
(収録曲)
ベートーヴェン

ピアノ・ソナタ第5番 ハ短調 Op.10-1
ピアノ・ソナタ第6番 ヘ長調O p.10-2
ピアノ・ソナタ第7番 ニ長調 Op.10-3

エミール・ギレリス(P)
(録音:第6番 1973年)


第1楽章:Allegro ヘ長調 2/4拍子 
第2楽章:Allegretto へ短調 3/4拍子
第3楽章:Presto ヘ長調 2/4拍子


作品10の3つのソナタについて以前の記事のコピーのようになりますが
いつものように自分の復習を兼ねて。

作品10の3つのソナタの作曲時期についての明確な年代は不明だそうです。
ノッテポームはソナタの主題のスケッチから判断をして1796年から98年夏までの間に
3曲が完成されたと推定をしているとのことです。
近年の研究では異説もあるとのこと。

作品10-1、第5番と作品10-2、第6番はベートーヴェンとしては初めての3楽章構成であり
作品10-3、第7番は4楽章構成に戻り大きな音楽になっているそうです。
各曲、内容的には
第5番、6番はきびきびとした楽想
第7番は劇的でロマンティックな曲とのこと。
ベートーヴェンがいろいろなソナタを古典的簡潔さと内容に充実を考え合わせながら既成の様式を抜け出して行こうとする姿勢が現れているそうです。

ソナタ第5番が第3楽章に相当する部分を省略した3楽章構成になっているのに対し
このソナタ第6番は第2楽章に相当する緩徐楽章が省略され3楽章構成になっているとのことです。
この曲のように独立した緩徐楽章のないソナタの形は、工夫をされ以降のピアノ・ソナタやチェロ・ソナタで素晴らしい傑作を生むことになったそうです。

作品10の3つのソナタはブラウン伯爵夫人アンナ・マルガレーテに献呈されているそうです。
夫人は夫のヨハン・ゲオルク・ブラウン伯爵ともども、若いベートーヴェンの熱心な支持者だったとのこと。
尚、ベートーヴェンは伯爵に弦楽三重奏曲(作品9の3曲)を献呈しているそうです。
伯爵夫人は1803年5月13日にウィーンで他界。
ベートーヴェンはその死を悼み歌曲集「ゲレルトによる6つの歌」を作曲し 伯爵に贈ったとのことです。

出版は1798年9月、ウィーンのエーダーにより行われたそうです。
自筆譜は紛失したとのこと。


ギレリスで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第6番

第1楽章。ソナタ形式。
跳躍をするような明朗で軽快な第1主題で始まる第1楽章。
第2主題は第1主題の延長のような趣。
続いて現れる新しい主題。
この主題の調べの美しさ。惹かれます。
この主題の変奏を経て現れる第1主題。
小結尾は穏やかに。
展開部での流麗な調べ。生き生き、溌剌とした雰囲気。
再現部を経て現れる第2主題。
この楽章はコーダを置いていないとのこと。
リズミカルで軽やかに、明るく、流麗な旋律が流れつつ
力を加えて閉じられる第1楽章。
楽章に流れる明るく軽妙な旋律の数々を耳に、「この曲はベートーヴェンの?」と感じてしまいました。

第2楽章は通常の緩徐楽章を省き、事実上のスケルツォ楽章になっているとのこと。
ユニゾンで奏される第1部の主題で始まる第2楽章。
低音域の響きに内省的な雰囲気が漂っているかのようです。
中間楽節で現れるスフォルツァンドは楽想のスパイスのよう。
このスフォルツァンドをギレリスは殊更に強いアクセント付けのタッチではなく(と感じられるます)、バランスの良い響き。
カノンで進む右手と左手が奏する主題に内省的なものを感じるようです。
第1部の終わりは和音を弾くようなタッチで終えてトリオに。
トリオでの柔和な調べの主題。
この主題のリピートでのスフォルツァンドは第1部とは違い強いアクセント付けをするギレリス。
緊張が走るような趣に。
第3部での第1部の再現で現れる多彩な変容。
力強いタッチで閉じられる第2楽章。

忙しげな趣の主題で始まる第3楽章。
活発で動的な趣の主題。
展開される主題は華麗な雰囲気に。
そして現れる第2主題。
この主題は第1主題を材料とし独立性はなく、また小結尾の役割を兼ねているとのこと。
跳躍感満点。
動的でエネルギッシュな旋律。
展開部、再現部も終始、休むことなく動き続ける音符たち。
この楽章も前楽章同様にコーダを置くことなく再現部がコーダを兼ねているとのこと。
華麗な趣のうちにクレッシェンドし力強く迎える曲の終わり。


第6番は初めて聴いたような・・・これまた記憶が定かではありません。
第1楽章には初めて耳を傾けたのにも関わらず、懐かしさのようなものを感じてしまいます。
始めは何気なく耳を傾けていた第2楽章。
改めて聴き込み魅力を感じる楽章になっていました。

この曲に耳を傾けつつ第2楽章の緩徐楽章はスケルツォに。
コーダを置かない第2、第3楽章。
曲の構成に戸惑いを感じつつ聴いていましたが第3楽章に至り、気が付けば曲に惹き込まれていました。

ギレリスのピアニズムにはこの曲でも魅了されるばかり。
第1楽章では明朗な軽快さの旋律を、強弱の微妙な変化を克明なタッチで奏される表情の豊かさ。
軽やかで愛らしさを感じさせるピアニズム。
第2楽章で関心を抱いたスフォルツァンドの扱い。
同じ楽章内でもスフォルツァンドのアクセントの強さの違いが楽想を豊かにしているかのよう。
また強いタッチの個所でも、単に力強いタッチで表現をするのではなく、キーを軽く弾くような切れの良いタッチ。
第3楽章の動的でエネルギッシュさを奏するタッチにはため息が出るほど。
動的、軽やか、淀みなく進むギレリスのピアニズムに魅了されるのみです。

ギレリスへの形容「鋼鉄のピアニスト」、と嘗て耳にしたイメージはこの曲でもまったく感じることはありませんでした。
一曲、一曲、ベートーヴェンのソナタを聴いているうちに
ギレリスのタッチの繊細な動き。キーを操る自在な運指。
特に第3楽章では息を呑むような想いに。
改めてギレリスのピアニズムに惹かれるばかりです。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴き続ける昨今。
私にとってのお気に入りの三大(?)ピアニストはアラウ、ソロモンそしてギレリスになったようです。

ベートーヴェン独特(具体的にどのような?と自問をしても答えられないのですが)のピアノ・ソナタの魅力は、既にこの第6番でも豊かに花開いているように感じられます。

                 

テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : ベートーヴェン ピアノ・ソナタ ギレリス

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2018.05/19(Sat)

Op.440 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第4番」 by アラウ(旧録音)

ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」。
初期のピアノ・ソナタより作品2-2の第2番 そして 作品2-3の第3番と聴いてきました。
今回は第4番をアラウの1960年代の旧録音より。

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第4番
アラウベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集(1960年代、旧録音)より

416ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第10番 アラウピアノ・ソナタ全集(1962~66)
(収録曲)
ベートーヴェン

ピアノ・ソナタ:第3番 ハ長調 Op.2-3(録音:1964年4月)
ピアノ・ソナタ:第4番 変ホ長調 Op.7(録音:1964年4月)
ピアノ・ソナタ:第19番 ト短調 Op.49-1

クラウディオ・アラウ(P)


第1楽章:Allegro molto e brio 変ホ長調 6/8拍子
第2楽章:Largo con gran espressione ハ長調 3/4拍子
第3楽章:Allegro 変ホ長調 3/4拍子
第4楽章:Rondo:Poco allegretto e grazioso 変ホ長調 2/4拍子



作曲年代についてははっきり分かっていないそうでが、文献を総合し1796年から翌97年にかけて作曲されたという結論とのことです。
ベートーヴェンは26-7歳でしょうか。
このソナタ第4番では作品2よりも形が一層大きくなり、内容も力感を供えてきているそうです。
楽章構成は作品2と同じく4楽章構成とのこと。

献呈はケグレヴィッチ伯爵令嬢アンナ・ルイーズ・バルバラに。
ケグレヴィッチ伯爵はハンガリー出身だそうです。
令嬢バルバラは才能豊かなピアニストであり、当時ベートーヴェンの弟子だったそうです。
ベートーヴェンはこのソナタの他にピアノ協奏曲第1番、1802年に書かれた作品34の「6つの変奏曲」(ヘ長調)等の作品を彼女に捧げているとのこと。
このソナタは当時「Die Verliebte:愛する女」と呼ばれたそうですが、ベートーヴェンの恋愛とは無関係で、この形容は曲の優雅な気分が当時の人々にとっては相応しいものと思われた、と推測ができるようです。
バルバラは1801年2月にオデスカルキ侯爵と結婚し1813年に他界したそうです。

出版は1797年10月 ウィーンのアルタリア社から。
自筆譜は紛失したとのことです。


アラウで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第4番(旧録音より)

第1楽章:ソナタ形式
この楽章は若いベートーヴェンの大きな感情の振幅を表した雄大な音楽とのことです。
この第4番では劇的な生命感を吹き込もうとする意図が明瞭に現れてきているそうです。
しかし中期のようなはっきりとした効果を生むところまでは行っていないそうですが、曲の底に流れる熱いものを感じることができるとのこと。

第1主題の左手が刻む速いリズムが奏され始まる第1楽章。
この第1主題の動機、右手による調べには流麗な趣が。
弾力を感じさせる第2主題。
この主題がフォルティシモの力強い盛り上がりになり情熱的な高揚を感じるようです。
ピアニシモで静かに奏され始める新しい動機が印象的。
小結尾でのアルペッジョの美しさもまた印象的。
短い展開部では第1主題が展開され、そして第1主題第2主題を扱う再現部を経てコーダ に。
コーダでは第1主題と第2主題が現れ華々しい活力を感じさせつつ閉じられる第1楽章。

第2楽章:三部形式。
充実した響き、多様な色彩感、深い情緒を備えた楽章だそうです。
作品2の緩徐楽章よりも更に一層成熟したものになっているとのこと。

しっとりと静かな歩みの主題で始まる第2楽章。
物想うかのような内省的な雰囲気も織り込まれているよう。
中間部では左手のスタッカートに乗り現れる主題。
闊歩し前進するようなスタッカートの伴奏が印象的。
一貫して左手はスタッカートの伴奏、右手が刻む歯切れの良い旋律。
ピアニッシモで初めの主題が右手の高音で美しく奏される調べが印象的に耳に響きます。
第2部の重厚さ、重々しさ。
コーダでは中間部の主題と第1部の主題が現れ静かに消え入るように終わる第2楽章。

愛らしさを湛えた優しい調べの主題で始まる第3楽章。
第1部の愛らしく優しい主題。
柔和で平和な趣に溢れているような調べ。心に残る主題です。
トリオでは趣が変わり活発に。激しさも感じるようです。
トリオが終わり第1部の反復を経てカノン風の旋律で閉じられる第3楽章。

第4楽章:ロンド
優美なロンド主題で始まる第4楽章。
左手が力を感じさせる低音を切れ味良く奏し、短く音を刻む右手。
左手と右手の活発な応答。
現れる第2主題では活躍するトリルと低音域の動きの対照に耳を惹かれます。
第3の主題は漲る力を感じさせるよう。
コーダで現れるロンド主題。
盛り上がりを経て静かに平穏に迎える曲の終わり。


前回、作品2-3の第3番を聴き、音楽が一回り大きくなっているように感じました。
この第4番では、第3番よりも更に一層拡大された音楽として感じられます。
新しい作品の誕生とともに大きな成長を感じさせるベートーヴェンのピアノ・ソナタ。
そのような変化、変貌が初期のピアノ・ソナタに耳を傾ける時の「期待」「楽しみ」のようになってきました。
このソナタ第4番のダイナミズム、雄大さ。対する抒情性や愛らしさ。
耳を傾けつつ初期のピアノ・ソナタであることを忘れてしまうようです。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴く時、迷う折にはシュナーベルで聴き
他にはアラウとソロモンが鑑賞の主流となってきている昨今です。
今回は時間の制約にてアラウの旧録音のみを聴いてみました。
このソナタを聴き終え、新録音の方も聴きたいとの想い、他の演奏者でも聴きたくなってきました。

アラウのタッチ。
随所に煌めいているように感じられるピアニズムはいつものことでしょうか。
第1楽章では特に小結尾でのアルペッジョの美しさに耳を奪われておりました。
解説書の活字を通して想い描く曲よりも、アラウの演奏にはいつもの落ち着きがあり、過度な感情表現はなく、端正で穏やかな楽想になっているように感じられます。
アラウの演奏に魅力を感じる要素の一つを感じます。
第2楽章での主題を奏するアラウのピアノからは静かな楽想ながら一音一音のタッチから堅固な意思を感じさせるような強さ。
第3楽章では愛らしく優しい主題を愛でるかのように優しさの溢れたピアニズム。
第4楽章での勇壮さ、雄大な趣を感じさせるタッチ。
生き生きとしたアラウのタッチはこのソナタの溢れ出る楽想を感じさせるようです。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第4作目、作品番号7 を与えられてた第4番のソナタ。
新たに生み出されるベートーヴェンのピアノ音楽への前進。
そして新たな光彩を放つ第4番。
楽想とともにアラウの演奏にも魅了されている今日です。

                

テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : ベートーヴェン ピアノ・ソナタ アラウ

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