2013.03/16(Sat)

Op.185 ヴェルディ:歌劇「オテロ」 by ドミンゴ、ステューダー; ミュンフン&パリ・バスティーユ歌劇場OR.

以前、聴いてお気に入りになっていたヴェルディのオペラ「エルナー二」。
パヴァロッティ、リチャード・ボ二ング&ウェールズ・ナショナル・オペラ管弦楽団。
また聴いてみようとしてウッカリのアクシデントに。
自分の手落ちでディスクがCDトレイに巻き込まれ・・・取り出し不可能に。
ヴェルディ・エディションからの2枚組のうちの一枚でした。
CDプレーヤーは購入して1カ月も経たずディスクと心中をさせてしまい愕然。
諦めきれないのはディスクの方。
どうしよう?
同じ演奏の「エルナーニ」が諦めきれません。
2010年発売のヴェルディ・エディションはすでに廃盤の憂き目に。
購入を迷っていた今年ヴェルディ生誕200年のアニーバーサリー・イヤーに
発売されたヴェルディ全集に同じ演奏の「エルナー二」がありました。
ヴェルディ・エディションから11作品入れ替えがされているそうで
「エルナー二」の買い替え、及びドミンゴで多くのヴェルディ・オペラを
聴くことができるので入手の決意が付きました。
災い転じて福となす、の心境です。
前置きが長くなりすぎました。

ヴェルディ全集から初めて聴いたのが「オテロ」です。
オテロ役はドミンゴ。
ヴェルディ・エディションのほうではオテロ役がデル・モナコ
アルベルト・エレーデ&ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団。
デル・モナコのオテロ役も評判は良いようなのですが。
あまり聴く気をそそられずでした。
今回、ドミンゴで聴き関心を抱いた「オテロ」。
エレーデ盤も聴いてみたくなりました。


          ヴェルディ全集
                          ↓
                    (HMVへのリンクです)


               オテロ:プラシド・ドミンゴ(T)
               デズデモナ:シェリル・ステューダー(S)
               イヤーゴ:セルゲイ・レイフェルクス(Br)
               カッシオ:ラモン・バルガス(T)
               エミリア:デニス・グレイヴズ(Ms)
               ロドリーゴ:ミヒャエル・シャーデ(T)

                チョン・ミュンフン指揮
                パリ・バステューユ歌劇場管弦楽団&合唱団

              (録音:1993年5月 パリ・バスティーユ劇場)


ヴェルディの26あるオペラ作品の25番目に当たるのが「オテロ」だそうです。
1806年に初演されたシェイクスピアの『オセロ』をオペラ化したもので
ヴェルディの最も円熟した時期の作品とのこと。
イタリア歌劇の中で最も音楽的で且つ力強い作品であり
バーナード・ショウは次のように評価、賞賛をしているそうです。
「『オテロ』はシェイクスピアによってイタリア・オペラ風に書かれた戯曲だ」

作曲の経過ですが
1874年以来ヴェルディは長い沈黙の生活を送り訪問者さえも謝絶したそうです。
すでに歌劇「メフィストフェーレ」で世に知られていた作曲家のアリゴ・ボイトは
例外だったとのことです。
パドヴァ生まれの覇気満々たる青年理論家の論説にヴェルディは
傾聴を惜しまなかったそうです。
ボイトは信奉するワーグナーの楽劇的な作風をもって
シェイクスピアの悲劇「オセロ」を脚色したものの
自己の作曲能力では充分表現し得ないと1880年に隠棲中のヴェルディのもとに持参。
当時67歳を迎えたヴェルディは台本を手にして異常な霊感に襲われ
その作曲を決意し74歳の時に完成したそうです。


                     アリゴ・ボイト
             (Wikiイタリア)Boito intorno al 1868 
                    Arrigo Boito
               (1842年2月24日-1918年6月10日)

ボイトはパリを中心にドイツ、イギリスと音楽遍歴を続け
作曲とともに文筆をもってイタリア音楽のシンフォニズムとオペラの改良に
力を傾倒したとのことです。
ドイツに留学中知ったワーグナーの楽劇理論には深く共鳴し
後に作曲家としてより寧ろ理論家、オペラ台本作家として知られるようになったそうです。


初演は1887年2月5日、ミラノ・スカラ座。
この新作の上演にはヴェルディ自らが監修して慎重な練習が重ねられたそうです。
終演後、感激をした聴衆はヴェルディが宿泊していたホテルにまで押しかけ
深夜まで彼をバルコニーに呼び出さずにはおかなかったとも。

新聞評でも。
 「ヴェルディはまったく新しい形式をもたらした。
  それにも拘らず脈々として波打つイタリア・オペラの伝統的な息吹は、
  この作品に接する者の心を完全に捉えずにはおかない。
  構成は一見、ワーグナー的であるけれども、示導動機の姿はさして見当たらず、
  あくまでイタリア・オペラとして貫いている」
と絶賛だったそうです 

日本での初演ははカービ・イタリア歌劇団が帝劇で大正14年3月とのことです。


ヴェルディがこのオテロの役を
当時その声の素晴らしさにおいて最高と讃えられていたテノールの
フランチェスコ・タマーニョ(Ⅰ851-1905年)に当てて書いたとのことで
タマーニョに好奇心が湧いてきてしまいました。

                   フランチェスコ・タマーニョ
              Francesco Tamagno
                    Francesco Tamagno
             (1850または51年10月28日-1905年8月31日)

              Francesco Tamagno as Otello 1887
             1887年ミラノ・スカラ座 オテロ役のタマーニョ


【作曲】1880-86年秋に完成
【初演】1887年2月5日 ミラノ・スカラ座
【原作】シェイクスピアの戯曲「オテロ」
【台本】アリーゴ・ボイド
【時と場所】15世紀の末期
      地中海東部のキプロス島の海岸と総督邸内
      因みに15世紀頃キプロス島はヴェネツィアの領地で
      本国から総督が派遣され統治されていたそうです。
【構成】4幕 
【主な登場人物】
 オテロ:ムーア人 ヴェネツィア共和国の将軍
 デズデモーナ:オテロの妻
 イアーゴ:オテロの旗手
 カッシオ:オテロの副官
 ロドリーゴ:ヴェネツィアの若い紳士
 エミリア:イヤーゴの妻、デズデモーナの侍女

【あらすじ】

   第1幕

嵐のキプロス港で人々はヴェネツィア軍艦の帰還を待っている。
時刻は夕方、前総督モンターノ、ヴェネツィアの紳士ロドリーゴ、副官カッシオ
旗手イヤーゴが多くの島民たちとともに荒れ狂う沖合を眺めている。
ムーア人の将軍でキプロス島総督のオテロはトルコ艦隊を撃破し嵐の中を帰還する。
オテロは颯爽と姿を現し「喜べ、敵はすべて海の藻屑となってしまった」と
勝利を宣言する。
(ヴェルディはこのオテロの一声で力強いオテロの人間像を描きだし
また、オテロ歌手としてもこの一声が聴かせどころとのことです)
オテロが城に入るとイヤーゴとロドリーゴが残る。
イヤーゴは後輩のカッシオが副官になったことを
一方、ロドリーゴは想いを寄せていたデズデモーナが
オテロと結婚したのを恨んでいた。

勝利の祝宴が始まりオテロに悪意を抱く士官イアーゴは副官カッシオに
祝いの酒席で失態を演じさせる。
騒ぎを聞きつけたオテロが現れその場を鎮め即座にカッシオの副官の任を解く。

   
    第2幕: 城内の大広間

イアーゴはデズデモナに仲裁を頼むようカッシオに入り知恵し
イヤーゴは悪の信条≪無慈悲な神を信ず≫と屈折した心情を歌う。
奥でカッシオがデズデモーナに仲裁を頼んでいるところにオテロが入って来る。
イヤーゴはオテロに置くの二人のことを意味ありげに囁き
オテロにカッシオと妻の仲への疑いを抱かせる。
何も知らないデズデモーナがオテロにカッシオの許しを乞うので
オテロは疑念を抱き始める。
イヤーゴの妻エミーリアはオテロがデズデモーナに贈ったハンカチを拾うが
夫に取り上げられる。

一人になったオテロ≪永遠にさらば、清らかな思い出よ≫と
過去の栄光と現在の寂しさを歌う。
オテロがイヤーゴに不義の証拠を見せるように迫ると
イヤーゴはカッシオが夢でデズデモーナの名を口にしたことと
彼女のハンカチを持っていたことを話す。
オテロの怒りは爆発し≪神かけて誓う≫とイヤーゴとの二重唱で復讐を誓う。


    第3幕 城内の大広間

オテロはイヤーゴと不義の罪の証拠を確かめることにする。
入れ替わりにデズデモーナがやって来て再度カッシオの赦免を願うので
オテロは疑念を募らせ、結婚をした時に初めて贈り物としたハンカチの行方を責める。
デズデモーナは勿論持ち合わせていないが自分の潔白なことを誓う。
デズデモーナを追いやったオテロは一人苦悩をして≪恥と悲しみに満ちて≫と歌う。
そこへイヤーゴがカッシオを連れてくる。
カッシオがあのハンカチを取り出したので、オテロは二人の不義を信じてしまう。

ヴェネツィアの大使ロドヴィーコを乗せた船が到着する。
書状には「オテロの後任にカッシオをあて、オテロは本国へ召還する」と。
デズデモーナの悲しげな表情をオテロはカッシオとの別れが辛いからだと誤解し
逆上して人々の前でデズデモーナを罵倒するオテロ。
人々は驚き、イヤーゴはオテロに復讐を迫る。
オテロはすべての人々を去らせると気絶してしまう。


    第4幕: 夜更けのデズデモーナの寝室

その晩、不吉な予感がするデズデモーナはエミーリアに髪をとかせながら
愛に死んだ娘を≪柳の歌≫に託して歌い、祈りを捧げる。
オテロが入って来て妻の不貞を激しく責め首を絞めてしまう。
エミーリアがカッシオがロドリーゴを殺したことを告げにやってくると
ベッドの上で虫の息のデズデモーナは「誰のせいでもない」と言い残して息絶える。
オテロの問い詰めに、エミーリアはイヤーゴがハンカチを取り上げたことを話し
モン他のーのはロドリーゴがイヤーゴの陰謀を白状したと告げる。
すべてはイアーゴの策略と判明する。
オテロは妻の潔白をさ鳥担当で自らの胸を突き死後の口づけをしながら死んでいく。
                                    (幕)


とにかくオーケストラも歌手陣も素晴らしい演奏です。
指揮のミュンフンは初めてその演奏を聴きました。
体当たりと言うか緊張に次ぐ緊張でグイグイと引っ張り
まるで推理小説を読んでいる気分で、次は?と期待と緊張の連続です。
ヴェルディのオペラで、これほどドラマティックな演奏に出合ったことが
あったのかと記憶を辿ってしまいます。

オテロ役のドミンゴが目的で聴き始めましたので大満足です。
デズデモーナ役のシェリル・ステューダーも惹きつける声質で耳を奪われます。

オテロ役はイタリア歌劇テノールでは最難役だそうで
最も劇的な表現を必要とするドラマティック・テノールの役とか。
一握りの最高のテノールにしか歌いこなすことができないとされている。
マリオ・デル・モナコ、最近ではドミンゴが得意としていたそうです。
現在はホセ・クーラが人気のようです。



全幕、どの場面も印象に残る演奏であり歌なのですが
特に印象に残る場面での歌は第4幕の2曲です。
デズデモーナが歌う≪柳の歌≫
そして最後の有名な≪オテロの死≫。
感想としては≪柳の歌≫だけに。



第4幕:デズデモーナが歌う≪柳の歌≫

この歌は愛する夫オテロから疑いをかけられ侮辱を受けて傷ついたデズデモーナが
就寝前に侍女エミーリアに
「もし私が死んでしまったら、婚礼の夜使った敷布に包んでくれ」と頼み
髪をすかせながら、昔自分の母親の召使で男に捨てられたバルバラが歌っていた
悲しい歌≪柳の歌≫を思い出し
「バルバラはこの歌を歌いながら死んでいった」とエミーリアに語りかけつつ
聴かせる歌。
この曲と次の≪アヴェ・マリア≫はこのオペラの代表的な曲として知られているそうで
リサイタルでもこの2曲はしばしば続けて歌われるとのことです。

デズデモーナ役のシェリル・ステューダーは初めて聴くソプラノです。
愁いを帯びた奥深い声 且つ 高域音での透明な美しさ
そして繊細な表現力には感嘆してしまいました。

≪柳の歌≫を歌い終えエミーリアが部屋を去って行き
そしてオテロが入って来てデズデモーナは首を絞められてしまうので
悲しい話の思い出から自分自身の死の予感が悲痛な叫びとして
この歌に込められていることに想いを馳せます。
心に沁みる歌詞とステューダーの声。
物語、歌劇・・・とは思えない切実な想いに浸ってしまいます。
旋律も寂寥の美しさを湛えているようです。

最後に相澤敬三著より歌詞の引用を。

「歌って泣いた、寂しい里で、哀れな女。
 おお 柳の木 、柳の木。
 うずくまって 丸くなっていた。
 おお 柳の木 柳の木 
 歌いましょう 葬式柳は いつか私の花飾り」

 急いでね、すぐオテロが来ますから。

「お花畑に小川は流れ
 破れた胸が呻いていた。
 睫毛からはとめどなく 苦い涙が流れ出た。
 おお 柳の木、柳の木 
 歌いましょう、葬式柳はいつか私の花飾り。
 小鳥も枝の繁みから 
 優しい歌へと舞い下りた。
 目を泣きはらし、泣きはらし、
 岩も哀れを催すほどに」

 この指輪をしまってね。

 かわいそうなバルバラ。この話はいつも
 解りきった言葉で終わるものなの。
 
 「生まれながら彼は栄光のために、
  私は愛のために・・・」
 
 聞いてごらん。だれか泣いてる。
 静かに。あの戸を叩くのは誰かしら?

「私は彼を愛して死ぬために、歌いましょう。
 柳の木、柳の木」

 エミーリア、さようなら、睫毛が熱くなっている。
 涙が出る知らせね。お休みなさい。
 おお、エミーリア、エミーリア、さようなら。
 エミーリア、さようなら。
        

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20:10  |  ヴェルディ  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2013.01/12(Sat)

Op.176 ヴェルディ:歌劇「エルナー二」全曲 by ボ二ング&ウェールズ・ナショナル・オペラOr. ;パヴァロッティ、ヌッチ、サザーランド 

先月よりヴェルディオペラを聴くことが多くなっています。
「トロヴァトーレ」「リゴレット」に続いて今日は「エルナー二」を。
ヴェルディ30歳頃の熱情的な第5作目のオペラだそうです。
また、この作品においてヴェルディが主役に初めてドラマティックなテノールを使い
男声の性格表現が明確になった傑作だとのことです。

いつものヴェルディ・エディションからです。
過日の「トロヴァトーレ」「リゴレット」に引き続き
パヴァロッティとレオ・ヌッチの共演です。

「リゴレット」と同じく
原作はヴィクトル・ユーゴー
台本がフランチェスコ・マリア・ピアーヴェ。
私が勝手にヴェルディに抱いているイメージから遠いものを感じつつも
聴き始めたら惹き込まれてしまいます。
どの部分から聴いても耳を奪われ
惹き込まれてしまうほど魅力的な作品との思いを強くしました。
全4幕がとても短く感じられます。
繰り返し続けて聴いてしまうオペラの一つになりました。   

特にカルロのアリアはどれも気に入っています。
「トロヴァトーレ」「リゴレット」では存在感が薄かったレオ・ヌッチでしたが
エルナー二」では圧倒的な存在感を抱かせられました。
また、エルヴィーラ役のサザーランドの声質、歌唱にも魅せられ虜になりました。

             ヴェルディ・エディションより

             ヴェルディ・エディション

           エルナー二:ルチアーノ・パヴァロッティ
           ドンナ・エルヴィーラ:ジョン・サザーランド
           ドン・カルロ:レオ・ヌッチ
           ディ・シルヴァ:パータ・ブルチュラーゼ (他)

           リチャード・ボ二ング指揮
           ウェールズ・ナショナル・オペラ管弦楽団&合唱団

               (録音:1987年5月 ロンドン)


フィニーチェ座からの新作の依頼で作曲されたそうです。
他の台本を考えていたヴェルディにフィニーチェ座の支配人から
ヴィクトル・ユーゴーの「エルナー二」はどうかと勧められ
ヴェルディは喜んで取り上げることを承諾。
台本は詩人でフィニーチェ座の舞台監督兼台本作家のピアーヴェが受け持つ。
ピアーヴェが舞台上の劇的効果や作劇法などに精通していたとのことで
ヴェルディは彼の台本が気に入るようになり
この「エルナー二」の以後、ヴェルディとピアーヴェのコンビは長く続くことになったそうです。

初演に漕ぎつけるまでのは多くの障害があったとのことです。
急進的な自由主義者として有名なユーゴーの原作に加えて
内容が君主に対する陰謀事件であるだけに警察の嫌疑を引き起こし
リブレットに手を加えざるを得なかったそうです。

次の障害は、遠くから響く角笛の効果を出すため
舞台にホルン奏者を登場させるというヴェルディの前代未聞のアイデアだったそうで。
これはヴェルディが強引に支配人の反対を押し切り解決をしたとか。

三つ目の最大の難関はプリマ・ドンナのレーヴェだったとのこと。
彼女は最後の三重唱を自分のためのアリアに書き換えてくれるように
ピアーヴェに頼み込んだそうです。
これは当時のプリマ・ドンナ・オペラの時代には当然の要求だったそうですが
ヴェルディは激怒して断り一時は上演が危ぶまれたとか。
彼女は折れてヴェルディと和解し上演に漕ぎ付くことができたものの
和解したとは言え初演時に主役のレーヴェの不満は収まらずに
少々調子っぱずれ、テノールのグアスコは声がお粗末で
お世辞にも褒められたものではなかったそうです。
しかし他の部分は人々の称賛を受け特に第3幕の陰謀の合唱は
人々の愛国心を煽り興奮を巻き起こしたそうです。
エルナー二」は国内での人気を高めたばかりでなく
国際的な名声をもヴェルディにもたらしたとのことです。


              「エルナー二」
              「エルナー二」:1890年のドイツのテキスト


【作曲】1843-44年
【初演】1844年3月9日 ヴェネツィア、フィニーチェ座
【原作】ヴィクトル・ユゴーの同名の戯曲:“Hernani”(1830年初演)
【台本】フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ
【時と場所】1519年 スペイン
【構成】4幕  約2時間10分

【主な登場人物】 
エルナー二:山賊の首領、アラゴンの貴族
ドンナ・エルヴィーラ:デ・シルヴァの姪で婚約者
ドン・カルロ:スペイン国王
ドン・ルイ・ゴメス・デ・シルヴァ:スペイン大公

【あらすじ】

    第1幕「山賊」

    第1場:アラゴンの山塞
  
愉快そうに山賊たちが酒を飲み歌っているところに首領のエルナー二がやって来る。
エルナー二の父親がカスティーリアの王ドン・カルロと戦って敗れ殺されたので
彼は山賊の首領となっていた。
彼は恋人エルヴィーラが彼女の後見人であるシルヴァに結婚を迫られていることに悩む。


    第2場:シルヴァ城のエルヴィーラの部屋
 
エルヴィーラはシルヴァに結婚を迫られるがエルナー二を愛しているので悩む。
そのエルヴィーラの部屋に突然、国王ドン・カルロが現れる。
王は国王の愛人となって宮廷に来るようにと口説くがエルヴィーラは断る。
王は強引に彼女を連れて行こうとした時
エルナー二が秘密の扉から現れ彼女を庇う。
恋仇であり、父の仇でもある国王に決闘を挑む。
そこにシルヴァが突然帰って来る。
彼はエルヴィーラの部屋に国王カルロとエルナー二の二人の誘惑者がいるのを見て驚き悲しむ。
シルヴァは二人を外に出して剣で決着をつけようとする。


    第2幕「客人」 シルヴァ城の大広間

シルヴァとエルヴィーラの婚礼の祝宴が催されている。
そこに巡礼の僧に変装をしたエルナー二が現れ
シルヴァは慣習(当時は巡礼の僧を客人として厚くもてなすことは
その家に幸福をもたらすと信じられていたそうです)に
従い丁重に客人として迎える。

エルヴィーラが現れシルヴァが花嫁を紹介すると
巡礼に姿を変えたエルナー二が正体を現す。
シルヴァは客人はすべて兄弟と言い、彼を守るために城の守りを固めるよう命じ退場。
エルナー二は彼女の不実を責める。
彼女は最後には祭壇で自殺するつもりだったと彼に短剣を出して見せ
エルナー二の誤解は解かれる。
そこに戻ってきたシルヴァはエルナー二の裏切りに怒る。
その時国王の来訪が告げられる。
シルヴァは復讐は後だとエルナー二を秘密の扉に匿う。
現れた国王はエルナー二を引き渡せと命じるがシルヴァは応じない。
王は人質にエルヴィーラを連れて立ち去る。

秘密の扉からエルナー二を出して決闘を迫るシルヴァに
エルナー二は自分の角笛を差し出し
この音を聞いた時エルナー二は死ぬと誓い
王に復讐をするまで命を預けてくれるよう頼む。
シルヴァは彼の願いを受け二人は共に王に復讐することを誓う。


    第3幕「慈悲」カルロ大帝の墓廟

反逆者たちが集まり始め、直接王の殺害をする男の選出をする。
くじ引きでエルナー二が指名される。
シルヴァはその権利を譲ってくれれば命の角笛を返すと言うが
エルナー二は父の復讐は是非自分の手でしたいと言って譲らない。

反逆者たちは勇壮な≪陰謀の合唱≫を歌う。
その時、大砲の音が三発して王が現れる。
侍従長いが選帝侯会議でカルロが神聖ローマ帝国皇帝に選ばれたことを告げる。
反逆者たちは捕えられ、首謀者は即、死罪を申し渡される。
この時エルヴィーラが王の足元に身を投げ出し
「皇帝となられた今、皆にお慈悲を」と願う。
王は皆を許し、小さな私欲も捨て、エルヴィーラをエルナー二の花嫁として与える。
名誉を傷つけられ、なお一層復讐を誓うシルヴァを除き
一同の新皇帝カルロ5世を讃える合唱。


     第4幕「仮面」エルナー二の宮殿

婚礼の祝宴が華やかに繰り広げられている。
エルナー二とエルヴィーラはやっと二人が結ばれたことを喜び合う。
その時、遠くから角笛が聞える。
仮面を付けたシルヴァが角笛を示しながら命を要求しに来る。
エルナー二は幼い時から放浪と不幸の中に育ち
やっと恋の幸せを得た自分に一夜の猶予をと願うがシルヴァは許さない。
エルヴィーラも駆け付け命乞いをするが無駄であった。
エルナー二は誓いを守って短剣で胸を刺し
後を追おうとするエルヴィーラを止め
私を愛し続けて生きてくれ、と言い残し息絶える。
                             (幕)


一曲一曲が印象に残るものばかりでしたが
特に印象深かったものを第1幕より順を追って。

●第1幕第1場の初めから惹き込まれる合唱≪さあ、飲もう!飲もう!≫です。
力強くも華麗で軽快な調べの男声合唱で聴いているだけで元気になります。
初めて耳にしたウェールズ・ナショナル・オペラ合唱団ですが好感を抱きました。

●同じく第1幕第1場のエルナー二のアリア
≪ありがとう 愛する友だち≫~≪萎れた花の枝葉に≫
エルナー二のアリアが全幕を通じ多くはない中で
エルナー二役のパヴァロッティの歌声を満喫できる魅力的なアリアかと思います。

●同じく第1幕のシルヴァのアリア
≪何たることだ!≫…≪不幸なお前!この美しくて無垢な百合を≫
シルヴァ役のパータ・ブルチュラーゼは今迄、聴く機会がありませんでした。
ブルチュラーゼがゆっくりとしたテンポで朗々と歌い上げるこのアリアも
彼の声質ともに魅力溢れるものとして心に伝わります。

●第2幕での合唱≪歓喜の声を上げよう!≫
シルヴァとエルヴィーラの婚礼の祝宴の情景を彷彿とさせられる合唱。
活気漲るオーケストラと明快な混声合唱が歓びの歌声を聴かせてくれるようです。

●第3幕では先ず、カルロのアリア≪若き日々よ≫
反逆者たちが集まって陰謀が企てられていることを察知した国王が
先回りをしてやって来て祖先の墓の前で歌うこの曲。
回想を呼ぶ静かな調べに乗せてカルロ役のヌッチが想いを込めて歌われ
全幕中でもお気に入りの曲です。

●そして続く有名な合唱で反逆者たちが歌う≪陰謀の合唱≫。
1844年のフィニーチェ座での初演時にこの合唱は
人々の愛国心を煽り、興奮を巻き起こしたとのこと。
荘重さが漂う男声合唱に力強さも加わり高揚する気分。
この合唱も印象深いものがあります。

●第3幕、カルロのアリア≪ああ、至高のカルロ、私は貴方の名より≫
静かなハープの伴奏に美しくも荘重、抒情的な旋律のアリアで
この曲もお気に入りです。

●第4幕の合唱≪ああ、新郎新婦は何と幸せに酔っていることか≫
オーケストラは躍るような喜びを奏で
合唱は軽快で楽しい気分に満ち溢れ聴いていてもウキウキするようです。

●最後のエルヴィーラ、エルナー二、シルヴァの三重唱で
≪止めて、何とむごい人、どうして≫。
サザーランドの声の素晴らしさ、そして明瞭な発音のお陰で
このオペラを心ゆくまで堪能できるようにも思います。
この三重唱で「何故?何故?」と歌い始めるエルヴィーラ。
胸を打たれるものがあります。

シルヴァにエルナー二の命乞いをするエルヴィーラ。
エルナー二が自決をする前にエルヴィーラに歌いかけ
それに応えるエルヴィーラの悲愴な歌声。
「エルヴィーラ、アディオ」とエルナー二の最後の言葉に
ティンパ二が止めを刺すかのように鳴り響き、終幕。


全幕が終了した時には素晴らしいオペラを聴いたとの思いに満たされました。
ヴェルディのオペラには聴いたことがあるか否かを問わず
耳にする作品一つ一つに新しい発見があるようです。


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2012.12/08(Sat)

Op,171 ヴェルディ:歌劇「リゴレット」全曲 by シャイー&ボローニャ市立劇場管弦楽団;パヴァロッティ;ヌッチ 他

前回のヴェルディ・エディションより「トロヴァトーレ」に続いて
ヴェルディ中期オペラの三大傑作の一つ
16作目になる「リゴレット」を聴いてみました。

今迄、有名なアリア≪風の中の羽根のように≫や
≪あれか、これか≫しか聴いたことがなく全曲は初めて聴きました。
有名なアリアだけを聴くよりも全曲を聴いてみて
新たな面白さなどを感じ始めました。
悲劇とのことなのですが筋書きは別として
音楽として聴いていて喜劇を聴いているような楽しいひと時でした。


原作であるヴィクトル・ユーゴーの「王はお楽しみ」は
1832年パリ、コメディ・フランセーズで初演されたそうです。
16世紀、フランス王として1515年に即位をしたフランソワ1世(1494年9月12日~1547年3月31日)を題材とした実話とのこと。
初演翌日には上演禁止になったそうです。
ヴェルディは場所をパリからイタリアのマントヴァに
タイトルを「リゴレット」に変更したりして上演の許可を取り付けたそうです。
ヴェルディの名声を全世界に高めた傑作とのことです。


前回同様、ヴェルディ・エディションからです。

            ヴェルディ:歌劇「リゴレット」全曲

            ヴェルディ・エディション

           マントーヴァ公爵:ルチアーノ・パヴァロッティ(T)
           リゴレット:レオ・ヌッチ(Br)
           ジルダ:ジューン・アンダーソン(S)
           スパラフチーレ:ニコライ・ギャウロフ(Br)
           マッダレーナ:シャーリー・ヴァーレット(Ms) 他

              リッカルド・シャイー指揮
              ボローニャ市立歌劇場管弦楽団
              ボローニャ市立歌劇場合唱団

             (録音:1989年6-7月 ボローニャ)




声楽陣は「トロヴァトーレ」でのパヴァロッティとヌッチが重複し
マントヴァ公爵役がパヴァロッティ
リゴレット役はレオ・ヌッチです。
ソリストは他の御方で聴きたい、というのが正直なところですが。


【作曲】1850-1年
【初演】1851年3月1日 ヴェネツィア・フィニーチェ座
    日本での初演は大正7年に東京浅草駒形劇場とのこと。
【原作】ヴィクトル・ユーゴーの戯曲「逸楽の王」又は「王はお楽しみ」
【台本】フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ(1810年5月18日-1876年3月5日)
【時と場所】16世紀頃 イタリアのマントヴァおよびその近郊
【構成】3幕の悲劇
【上演時間】約2時間
【主な登場人物】
 リゴレット:マントヴァ公爵の寵臣である道化師
 ジルダ:リゴレットの娘
 マントヴァ公爵:好色な領主
 スパラフチーレ:殺し屋
 マッダレーナ:スパラフチーレの妹

 【あらすじ】

  第1幕:マントーヴァ公爵家の豪華な広間

 マントーヴァ公爵の宮廷では舞踏会が開かれている。
 公爵はアリア≪あれか、これか≫を歌いチュプラーノ伯爵夫人を誘惑する。
 公爵に仕える道化師リゴレットは毒舌を吐いては周りの人の顰蹙を買っている。
 そこに公爵に娘を弄ばれて激怒したモンテローネ伯爵が現れ
 リゴレットは伯爵をからかう。
 伯爵は「父親の怒りというものがお前にも解るようになる」と呪いをかける。

 リゴレットはモンテローネ伯爵の呪いを気にしながら
 帰路途中に殺し屋スパラフチーレに出会う。
 リゴレットが家に帰ると一人娘ジルダが待っている。
 彼は人目を避けて郊外でひっそりと美しい娘を育ててきた。
 ジルダの母はすでにこの世にはいない。

 リゴレットが外に出ると、公爵が中庭に忍び込んでくる。
 そしてジルダに愛を打ち明ける。
 ジルダは彼が教会で出会う若者であることに気付く。
 公爵は自分の名はグァルティエル・マルデで貧しい学生
 だと名乗り立ち去る。
 世間知らずのジルダはそれを信用する。
 彼が帰った後、すっかり公爵に恋をしてしまったジルダ。

 一人になったジルダが歌うアリア≪慕わしい人の名は≫。
 そこに宮廷の廷臣たちが現れリゴレットをからかうつもりで
 彼の娘とは知らずにジルダを誘拐してしまう。


  第2幕:公爵家の宮廷の中

 公爵はジルダが誘拐されたと聞き落胆する。
 そこに廷臣たちがジルダを連れてきたという知らせに公爵は喜び別室に行く。
 ジルダの行方を追ってリゴレットが放心状態で現れる。
 娘が宮廷に拉致されていると考えたリゴレット。
 娘を思う悲痛なアリア≪悪魔め、鬼め≫を歌う。

 やがてジルダが泣きながら部屋に入って来る。
 ジルダは父リゴレットに教会で会った若者への恋心を告白し
 昨夜の出来事を話す。
 リゴレットは娘を凌辱した公爵への復讐を誓う。

  
   第3幕:ミンチョにある殺し屋スパラフチーレのあばら屋、あいまい宿

 リゴレットは未だに公爵を愛しているジルダに彼を諦めさせようと
 宿の中を覗かせる。
 宿の中では公爵がアリア≪女心の歌≫を歌い
 殺し屋スパラフチーレの妹マッダレーナを誘惑し始める。
 ジルダは公爵の本性を知るが恋心は消えない。
 リゴレットはジルダに男装をして逃げるように命じ
 スパラフチーレに公爵の殺害を依頼する。
 殺し屋が準備を始めると妹マッダレーナは公爵を殺さないよう願い
 身代わりに宿を訪ねてきた男を殺そうと相談する。
 それを覗いて見ていたジルダは自分が身代わりになることを決意して
 宿に入り犠牲となる。

 死体を収めた袋を取りに来たリゴレットだが
 宿の中から公爵の鼻歌が聞こえるので
 袋を開けてみると、それは男装をした瀕死のジルダだった。
 ジルダは父より先に死ぬ不孝を詫び、短い生涯を終える。
                           (幕)


印象に残った曲は、またもや有名な曲の羅列になりますが。

●第1幕第1場でのマントヴァ公爵のバラード≪あれか、これか≫
馴染み深い歌です。
或る評論家先生によると
「アリア集では小唄調のために敬遠されがち」とのことですが。

マントヴァ公爵がリゴレットを相手に宮廷に集まった女性たちを品定めする歌。

 「あれも、これも私を取り巻く女性たちな皆よく見える
  だが私はみんなに私の心を与える。
  今日の頬笑みは明日は他の人。
  一人に心中立てなど馬鹿げたこと
  自由を欲しないものなど愛せるものか。
  亭主がどんなに妬こうと だれが何と言おうと
  私は美しい人さえ見ればやめない」

マントバ伯爵役のパヴァロッティが歌うこの曲。
輝がやかしく、豊かな抑揚をもって軽快に弾むように歌われ
パヴァロッティのための歌のようにも感じてしまいます。
明るく楽しい、ご機嫌な歌ですね。


●第1幕第2場でのジルダのアリア≪慕わしい人の名≫
感動をして印象に残ったアリアというよりは
正反対の意味で印象に残ってしまいました。

中庭に忍び込んできたマントヴァ公爵が
「私の名はグァルティエル・マルデ、貧しい学生です」と名乗って立ち去った後
一人になり、純情な少女ジルダが次に逢うときを夢見て初恋の想いを歌うアリア。
有名なアリアだそうですが初めて聴きました。
ジルダ役のジューン・アンダーソンも初めてです。

全曲を通して一度聴いた時には美しい調べに
美しいアンダーソンの声で歌われ
このオペラでは一番、美しいアリアとの印象を抱きましたが。

このアリアが気になり繰り返し聴いているうちに
喜劇での滑稽なアリアのように感じてきました。
ソプラノが笑いを誘う場面でコロラトゥーラの真似をして
歌っている姿を連想してしまいました。
ましてや神経を集中して耳を傾けても言葉はまったく聴き取ることができないのですから
歌詞など、有っても無くても同様の歌唱・・・。
美しい歌との初めての印象は何処へやら
不可思議なアリアの思いを強くしました。


●第2幕のリゴレットのアリア≪悪魔よ、鬼め≫
「トロヴァトーレ」でのルーナ伯爵役のレオ・ヌッチは存在感が薄く
また歌唱も抑揚に乏しい平坦さを感じてしまいました。
現役のヴェルディ・バリトンの第一人者と評する専門家(?)もいるようですが
このアリア≪悪魔よ、鬼め≫でも少し物足りなさも・・・。
歌唱は立派かと思うのですが感情が伝わってこないのです。
アリア自体は気に入りました。

誘拐された娘のジルダの行方を捜し宮中に現れたリゴレットが
廷臣たちへの怒り、憤りを込めて歌うこの曲。
娘を思い案じる窮極の父性愛を感じさせられるようです。


●第3幕、マントヴァ公爵≪風の中の羽根のように≫
「リゴレット」の初演翌日には街中に広まったという有名な歌ですね。
日本でも浅草オペラの昔にバラエティ・ショウのように改編上演されたとのことで
人気があり流行り親しまれたものだったそうです。

兵隊に変装をしてスパラフチーレの宿に彼の妹のマッダレーナを
目当てにやって来たマントヴァ公爵が歌うこの曲。
第1幕の≪あれか、これか≫と同様にパヴァロッティの声質等が生かされる歌でしょうか。
聴いているだけで心楽しくなります。
多くのテノールが歌っているので機会があれば聴き比べをしてみたく思います。


声楽陣よりもオーケストラ・パートが面白く感じられ
オーケストラに耳が行ってしまう「リゴレット」でした。


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19:57  |  ヴェルディ  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2012.12/01(Sat)

Op.170 ヴェルディ:歌劇「トロヴァトーレ」全曲 by メータ&フィレンツェ五月祭管弦楽団;パヴァロッティ;バナウディ他   

すっかりオペラを聴く機会がないままに月日が過ぎてしまいました。
聴きたいオペラは多々ある中から馴染み深いヴェルディを。
ヴェルディ・エディションのBOXセットから「トロヴァトーレ」です。

トロヴァトーレとは吟遊詩人のことだそうでタイトルに惹かれます。
勿論、作品も気に入っているものです。
云十年前に求めたLP(カラヤン&ベルリン・フィル;カプチルリ、プライス)のみが
久しい間、唯一所有しているものでした。
このカラヤンの全曲盤に出合って以来「トロヴァトーレ」はお気に入りのオペラです。
すっかり鑑賞することにご無沙汰をしてしまっている作品。
今回はカラヤン盤ではなくメータ盤ですが久々振りに聴いてみて
初めてこのオペラに出合った当時を思い出し懐かしさに浸ってしまいました。


              ヴェルディ・エディションより
             歌劇:『トロヴァトーレ』全曲

             ヴェルディ・エディション

          マンリーコ:ルチアーノ・パヴァロッティ(T)
          レオノーラ:アントネッラ・バナウディ(S)
          ルーナ伯爵:レオ・ヌッチ(Br)
          アズチェーナ:シャーリー・ヴァーレット(Ms)
          フェルナンド:フランチェスコ・エレロ・ダルテーニャ(B)他
        
             ズービン・メータ指揮
             フィレンツェ五月祭管弦楽団&合唱団

            (録音:1990年6-7月 フィレンツェ市立劇場)


オペラの内容を要約すると
中世のアラゴン王国(スペインの東北部だそうです)を舞台にして
男女3人の三角関係に一人のジプシー女の復讐が絡み合い
4人の立場の違う人物がそれぞれに愛憎の情念も持って対峙する
という、まさに愛の不条理を得に描いたようなドラマとのことです。

いつもの解説書、虎の巻を参考にして。

【作曲】1852年
【初演】1853年1月9日 ローマ・アポロ劇場
【原作】スペインの詩人アントニオ・ガルシア・グティエレスの戯曲
    「エル・トロヴァトーレ」(吟遊詩人)
【台本】サルヴァトーレ・カンマラーノ
    その死後、レオ―ネ・アマヌエーレ・バールダレにより補作完成
【時と場所】15世紀初頭。アラゴン王国(スペイン東北部)
【構成】全4幕 上演時間:約2時間10分
【主な登場人物】
 レオノーラ(S):アラゴン侯爵夫人付きの女官
 マンリーコ(T):トロヴァトーレ(吟遊詩人)
 ルーナ伯爵(Br):アラゴン地方の貴族
 アズチェーナ(Ms):ビスカイヤ生まれのジプシーの老女(マンリーコの母)

【あらすじ】
   第1幕:「決闘」 
 
 ルーナ伯爵の従卒フェルランドが衛兵たちに主家にまつわる忌まわしい話をする。
 あるジプシーの老婆が先代伯爵の二人の息子のうち弟を呪い殺そうとして
 伯爵に火焙りにされ、その晩に弟の方が行方不明になり老婆を焼いた灰の中から
 幼児の骨が発見された。
 先代は弟の生存を信じ、兄のルーナ伯爵は今も犯人とされる老婆の娘を探している
 という恐ろしい話だった。
 女官のレオノーラはトロヴァトーレ(吟遊詩人)となった騎士マンリーコを慕っている。
 一方、ルーナ伯爵はレオノーラへの想いを抱いている。
 伯爵はマンリーコへの嫉妬でマンリーコと決闘になる。

 
   第2幕:「ジプシー」

 ジプシーの老女は伯爵の子供を奪い炎の中へ夢中で投げ込んだが
 気が付くと過って自分の子を投げ入れてしまったという。
 それを聞いた息子マンリーコは自分の出生を疑う。
 そこにレオノーラが修道院に入るという知らせが届き
 マンリーコは彼女のもとへ急ぐ。
 レオノーラが修道院に入ろうとすると伯爵が出てきて連れ去ろうとする。
 伯爵を阻止しレオノーラを奪うマンリーコに伯爵は復讐を誓う。
 ところが、アズチェーナが伯爵に捕まる。

 
   第3幕:「ジプシーの子」

 ルーナ伯爵の野営地で、兵士たちが援軍を迎え明日の総攻撃の勝利を確信して
 勇ましい合唱「兵士のラッパは高鳴り」を歌う。
 兵士たちが去り、伯爵が一人陣営の中から出てくる。
 そこへフェルナンドらが怪しいジプシーの老婆を見つけたと
 アズチェーナを伯爵の前に引き立ててくる。
 伯爵はアズチェーナに、昔城から先代の伯爵の息子が盗まれた話をし
 その消息を知らないかと尋ねる。
 伯爵は誘拐された子供の兄だと答える。
 伯爵は恋敵マンリーコの母であることを知り弟の仇をとれると喜ぶ。
 マンリーコはアズチェーナが伯爵に捕えられ処刑されるとの知らせを受け
 激怒し、母の救出のために急いで出てゆく。


   第4幕:「処刑」

 マンリーコは敗れ、アズチェーナとともに城内の塔に幽閉されている。
 塔のそばにレオノーラが現れ、マンリーコへの想いを切々と歌う。
 (アリア≪恋はバラ色の翼に乗って>)
 ルーナ伯爵が出てきて家来にマンリーコとアズチェーナの処刑を命じる。
 レオノーラが現れ伯爵に自分を捧げてマンリーコの助命を嘆願する。
 その時レオノーラは毒を飲む。
 捕らわれているアズチェーナとマンリーコのもとへレオノーラが現れるが
 彼女は毒がまわり倒れる。
 マンリーコの腕の中でレオノーラは息絶える。
 そこへ登場した伯爵はレオノーラの裏切りに怒り
 取りすがるアズチェーナの制止を振り切りマンリーコを処刑する。
 アズチェーナは「マンリーコこそ、お前の弟、母さん復讐を果たした」
 と叫んで息絶える。
 一人残される伯爵。   (幕)
   


この作品は
「リゴレット」「椿姫」と並びヴェルディ中期を代表する傑作だそうです。
イタリア・オペラの中で最も声楽的に充実した作品とのこと。
聴いていても「次はどうなる?その次は?・・・」と
まるで推理小説を読む楽しさ、面白さを感じつつ耳を奪われます。
特に第3,4幕では全神経を集中させられ虜になってしまいます。

聴き始めは声楽陣にばかり気を取られていましたが
オーケストラのダイナミックな演奏にも惹き込まれてしまいます。
スケールの大きさを感じさせる作品、演奏でしょうか。

ヴェルディのこのようなオペラを聴いていると
台本に関係なく、人間がとても愛おしく感じられてきます。
愛おしい、と言っても「愛」(或る宗教が説く愛のように不確実、偽善的なもの)ではなく
人間の中に潜む邪悪さのようなものは幻想であるかのように昇華され
真に純粋な人間を感じるのです。
私にとってのヴェルディ・オペラの不思議さであり魅力です。


以下、印象的だった部分だけの感想になりますが。

●序曲
開始のティンパ二が轟きのような響き緊張感を抱きます。
この響きを耳にしつつ連想をしたのは、日本の怪談話です。
トロヴァトーレに怪談話を連想するのも可笑しいのですが。
怪談話の始まりに ドロドロドロ~ と連続をして太鼓(?)が不気味に鳴りますよね。
そのような、不気味な太鼓を連想してしまいました。
緊張感から始まり、活気漲る、高揚する旋律も馴染み深いもので親しみを抱きます。
ヴェルディのオペラの中でも印象的な序曲のように感じられます。


●第3幕第1場の合唱<兵士のラッパは高鳴り>
ルーナ伯爵の野営地で兵士たちが援軍を迎えて
翌日の総攻撃の勝利を確信して歌う有名な<兵士のラッパは高鳴り>。
力強く、覇気に満ち、また明るさも漂う勇壮な合唱でお気に入りです。
人生の紆余曲折にも耐えられるかのような力を与えられるようです。

  
●第3幕でマンリーコが歌う<見よ、恐ろしい炎を>

  
     (You Tubeより拝借。1988年メトロポリタン・オペラの映像のようです)

有名なこの曲ですが、マンリーコのシェーナ、アリア、カバレッタから成るそうで
カバレッタの部分に当たるものとのことです。

マンリーコが愛するレオノーラと結ばれようとした時
捕えられた母アズチェーナをルーナ伯爵は火刑にしようとするのを知って
駆け出して行く時のマンリーコの歌。

  あの火刑台の恐ろしい火が
  俺の五体を焼き焦がす。
  消せ、悪党め、消さないとすぐ
  こちらがお前らの血で消してやる。
  貴女への愛より先に彼女の息子。
  彼女に身を捧げてもこれは止めようがない。
  不幸な母上、助けに飛んで行きます。
  せめて一緒に死ぬためにでも。

歌詞も歌も勇壮の極みでしょうか。
母を思う気持ちがすべての恐れを吹き飛ばし
自らの命を賭け母を救い出そうとするマンリーコの歌。
この歌に心を動かされずにはいられません。

嘗ては、特にお気に入りの曲ではなかったのですが
パヴァロッティのテノール・リリコ・スピントで聴くこの曲に
魅了されてしまいました。

この曲についての面白い記述がありました。
部分的には否定をしたい個所もありますが引用をさせていただきます。

 「<見よ、恐ろしい炎>は典型的なヴェルディ節の
  ズンラカジャチャで滅法調子が良く、「トロヴァトーレ」では
  一番大向こうに受けて、アレーナ・ディ・ヴェローナのような
  砕けた雰囲気の公演では円錐形の安い席に陣取った地元の人たちが
  アンコールを要求して大騒ぎするところです。」
               (相澤敬三 編著:「オペラ・アリア・ベスト101」より)


●有名なアリアばかりが続いていますが
最後に第4幕第1場のレオノーラのアリア<恋はバラ色の翼に乗って>。

戦いに敗れ、城の塔に幽閉されているマンリーコを慕って
忍んで来たレオノーラがマンリーコへの愛の証として自分の命を代償に
彼の命を救うことを決意し城壁の下で歌うアリアです。

前半は穏やかなカヴァティーナで後半はテンポの速いカバレッタだそうです。
歌唱技巧の難しいものとのことです。
技巧的なことはまったく解りませんが聴き惚れてしまうアリアです。

レオノーラ役のアントネッラ・バナウディは初めて歌唱を耳にしました。
深く落ち着いた声、はっきりとした発音など好感を抱きました。
旋律の美しさ、また劇的な表現においても
感情優先にはならず、声質、歌唱ともに格調の高さを感じさせられます。


全曲を聴き終えて
歌手陣を始め、メータとフィレンツェ五月祭管弦楽団の演奏は
充実感をもたらしてくれました。
ヴェルディのオペラの素晴らしさを改めて認識させられたように思います。

来る年、2013年はヴェルディとワグナーの生誕200年とのことで
楽しみな年になりそうです。

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2011.10/31(Mon)

Op.116 ヴェルディ:歌劇「シチリアの晩鐘」 by レヴァイン&ニューフィルハーモニアOR.;ドミンゴ、ライモンディ、ミルンズ

久々振りに聴いたオペラ、ヴェルディの「シチリアの晩鐘」。
このオペラは史実のシチリア晩鐘事件を元にした作品であることを初めて知りました。
シチリア晩鐘事件??・・・鑑賞と同時に苦手な歴史の勉強をする羽目に。
史実のシチリア晩鐘事件とオペラの内容と照らし合わせつつ何度も頷く有様です。
フィクションのオペラであっても真に迫るに迫るものを感じました。

私自身、シチリア晩鐘事件には強い関心を抱きました。
覚書として以下に。

イタリア政策をめぐって神聖ローマ帝国とローマ教皇間(教皇ウルバヌ4世)で勃発した紛争。
イタリアでは都市単位、貴族単位にはゲルフ(教皇党)とギベリン(皇帝党)をそれぞれ結成して対立を深めた由。
ローマ教皇(ウルバヌス4世、在位1261-64)に支持されたアンジュー伯シャルル=ダンジューは、当時シチリア王だったフリードリヒ2世の庶子マンフレートを南イタリアのベネヴェントで破りマンフレートを戦死させたとのこと。
1266年にシャルルはシチリア王カルロ1世(在位1266-1285)として王位に就いたことで、
フランス支配下におけるシチリア王国の誕生。

惨事、シチリア晩鐘事件が起こったのは復活祭の翌日にあたる月曜日、1282年3月30日。
教会の晩鐘の鐘が鳴った瞬間にシチリアのパレルモで島民によるフランス兵虐殺が始まる。
この事件の直接の原因は教会の晩祷に集まっていた地元の女性にフランス兵が手を出したことにより、
女性の夫が怒り兵士を刺し殺したことだった。
フランス統治下でフランスに反感を抱いていたシチリア人。
晩鐘の鐘が鳴ると同時に、他の島民も暴徒化し、フランス兵の一団に襲いかかり全員を虐殺。
この暴動は瞬時にシチリア全土に拡大、フランス系住民と分かるとすぐにその場で殺された。
フランス系住民、約4000人が亡くなったそうです。
シチリア晩鐘事件につきましては以上で。


ヴェルディはイタリア統一と外国支配からの独立を支持していたと言われます。
オペラでは同じ民族間で敵味方に別れた父モンフォルテと
その息子アッリーゴの愛憎が和解に達した時に殺害をされる悲劇。
暴力による解放がもたらす悲劇、不幸がオペラからも痛切に伝わります。

解説書に依りますとこのオペラは1855年、パリ開催の第1回万国博覧会のために
18525年春、ヴェルディはパリ、オペラ座の支配人とオペラの作曲契約をしたとのこと。
ヴェルディはスクリーブの原作をデュヴェイリエが脚色したフランス語の「シチリア島の晩鐘」を受け取ったそうです。


レヴァイン盤で全曲を聴き、ヴェルディのオペラの中でも叙情性豊かな旋律を随所に感じました。
全5幕の中で一番惹かれましたのが
モンフォルテ総督とアッリーゴが実の親子であることを互いに知る第3幕です。

        
     ヴェルディ歌劇「シチリア島の晩鐘」全5幕


    アッリーゴ:プラシド・ドミンゴ(T)
    ジョヴァン二・ダ・プロチダ:ルッジェーロ・ライモンディ(B)
    グイド・ディ・モンフォルテ:シェリル・ミルンズ(Br)
    エレナオ:マーティナ・アーロヨ(S)
 
    ジェイムズ・レヴァイン(指揮)
    ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
    ジョン・オールディス合唱団

    (録音:1974年、ロンドン)

こちらのディスクは廃盤になっているようです。
手持ちの「ヴェルディ・エディション」の中にレヴァイン盤がありましたので聴くことができました。
レヴァイン以外で聴きたい・・・というのが正直なところですが歌手陣に惹かれました。

さて、いつもの解説書、虎の巻を参照しつつ以下に。

【作曲】1854年
【初演】1855年6月30日(又は13日) 
【台本】原作:ウジェーヌ・スクリーブ 脚色:シャルル・デュヴェイリエ
【登場人物】
   アッリーゴ:シチリアの青年
   ジョヴァン二・ダ・プロチダ:身分の高いシチリア人医師で独立運動の志士
   グイド・ディ・モンフォルテ:シチリア総督
   エレナ公女:オーストリアの公爵フェデリーゴ(暗殺された前シチリア王)の妹
【時と場所】1282年 シチリア島の首都パレルモ
【物語】

   第1幕:パレルモの城壁のほとりの広場
 
暗殺された前シチリア王フェデリーゴの妹であるエレナ公女は、パレルモの宮殿でフランスの人質になっている。
亡き兄の冥福を祈るために教会を訪れようとして広場に姿を見せたエレナ公女。
兵士たちや島民からも恐れられているモンフォルテ総督が現れる。
内乱の陰謀を企てた嫌疑で捉えられていたシチリアの青年アッリーゴが釈放されて姿を見せる。
アッリーゴと旧知の間柄であるエレナ公女。
モンフォルテ総督はアッリーゴにシチリア人たちが冷静になり憎悪感を拭い去るようにと手を差し伸べる。
アッリーゴは敵であるモンフォルテの手を振り払う。


   第2幕:パレルモに近い風光明媚な谷間

一方、亡命していた独立運動の志士プロチダが帰って来る。
プロチダは教会から出てきたアッリーゴとエレナ公女に祖国のために奮起することを誓って去る。
そこへフランス兵がアッリーゴにモンフォルテ総督からの招待状を持って現れる。
が、応じないアッリーゴを連れ去る。
親仏主義者を装ったプロチダはフランス兵たちを扇動。
娘たちの略奪を始めるフランス兵。
エレナ公女が一人のフランス兵に押さえられようとする騒ぎの中
フランス兵に連れ去られようとする娘を取り返そうとした一人のシチリア人が剣で刺される。
それを見たシチリア人たちは独立のために戦おうと固く心に決める。


   第3幕第1場:モンフォルテ総督の宮殿の一室

実子であるアッリーゴと共に暮らせれば、と心の中で願っているモンフォルテ総督。
アッリーゴが部下に連れられて現れる。
モンフォルテは亡き妻の手紙を示し、アッリーゴに二人が真実の親子であることを告げる。
父親に巡り合えた歓びを抑え、エレナ公女との誓いのためにモンフォルテの手を振り切って立ち去るアッリーゴ。

   第3幕第2場:モンフォルテの宮殿の舞踏会場

仮面舞踏会が開かれ、フランス人に変装したプロチダはアッリーゴに
モンフォルテは刺客に殺されるだろう、と告げる。
アッリーゴは悩む。
モンフォルテに呼び止められたアッリーゴは「危険が迫っているから早く席を外すように」と知らせる。
その時、プロチダやエレナ公女がモンフォルテに短刀で襲いかかる。
彼らの味方である筈のアッリーゴがモンフォルテを庇い救う。
嬉しさにアッリーゴの手を取るモンフォルテ総督。


   第4幕:城内の中庭、一方に牢屋がある

アッリーゴは牢屋に入れられたエレナ公女のことを思う。
牢屋から出てきたエレナ公女にアッリーゴはモンフォルテとの関係を告白する。
そこへ、鎖で縛られたプロチダが現れる。
エレナが事情を話しているとべテューネを率いてモンフォルテが現れ
暴動が拡大しない前にプロチダとエレナ公女を死刑に処するように命じる。
アッリーゴは、人々を助けて下されば子として仕える、と叫ぶ。
モンフォルテは「フランスとシチリアは友好的であるべき」と述べて
公女エレナとアッリーゴを夕べの鐘の鳴り渡るときに結婚させよう、と宣言する。


   第5幕:モンフォルテの宮殿の大広間

アッリーゴとエレナ公女の結婚祝賀の宴が催されている。
エレナ公女が歌う≪ありがとう、皆さん≫。
プロチダは襲撃の計画をエレナに密かに告げる。
同志との盟約とアッリーゴとの板挟みになるエレナ公女はアッリーゴに従うことを決める。
プロチダはエレナ公女に近付き、鐘を合図に暴動が勃発することを告げる。
モンフォルテが現れアッリーゴとエレナが手を取って結び合わせた瞬間
プロチダは「鐘よ鳴り響け」と叫ぶ。
夕べの鐘を合図に乱入したシチリア人たちが手に手に剣と松明を持ってフランス人に打ちかかる。
                                   (終幕)


全曲を聴き終え特に印象に残ったのは以下です。

●序曲「シンフォニア」で耳を奪われるのは叙情的な旋律です。
有名な曲で単独で演奏されるとのことですが。
全曲をレヴァイン盤で聴きました後に気になる指揮者トスカニーニの演奏で。
序曲のみですが幸い聴くことができました。

             トスカニーニ:ヴェルディ録音集

1942年1月24日 ニューヨーク、NBCスタジオでの録音。
録音の古さは拭い去れないものの演奏の素晴らしさは録音の古さを忘れさせます。
オペラの内容を見事に表現しているように感じました。
登場人物が抱く、心の葛藤、哀切等々が織り込まれ心奪われる演奏です。
全曲をトスカニーニで聴くことができたら・・・渇望する思いを抱きます。
 
●第2幕のプロチダが歌う≪ああ、パレルモ≫
亡命をしていて久し振りに故郷に戻ったプロチダの感激の思いが伝わります。
感激を込め、また何か親しみを抱かせる旋律は和みを与えてくれるようです。
プロチダ役のライモンディも落ち着いた歌唱でじっくりと聴かせてくれます。
ライモンディは、このオペラのプロチダ役の成功が契機となったそうで。
温かみのある柔らな声質で歌われる≪ああ、パレルモ≫には耳を奪われるばかりです。

●第3幕モンフォルテ総督が歌う≪喜びのうちに≫
実子であるアッリーゴと共に暮らせればと心の中で願っているモンフォルテ総督。
長い間別れていた我が子に思いを馳せ歌われるこの≪喜びのうちに≫。
モンフォルテ役、シェリル・ミルンズは、心奥の望みを切々と歌い上げているようで印象的でした。
幾度も繰り返し聴いてしまいます。

●第5幕のエレナ公女のアリア≪ありがとう、愛する友よ≫
アッリーゴとの結婚式が始まる前に花束を捧げられたエレナが歌うこのアリア。
歌の前半は喜び、シチリアの運命を憂慮する後半。
エレナの複雑な心境を思い聴く所為でしょうか
心なしかアーロヨの歌が翳を伴い耳に響くようです。


全曲を聴きましてヴェルディのオペラの中でも叙情的な旋律を随所に感じました。
内容的にも惹かれるものが多いオペラです。
現在、お気に入りのオペラのベスト3に入るものになりました。


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タグ : ヴェルディ 歌劇 シチリアの晩鐘 レヴァイン ドミンゴ ライモンディ ミルンズ アーロヨ

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