2017.11/11(Sat)

Op.413 J.S.バッハ:「イタリア協奏曲」 by レオンハルト

先日、レオンハルトの演奏するJ.S.バッハ鍵盤作品集成より
チェンバロ協奏曲第1番を聴いた同じディスクから今日はイタリア協奏曲を。

                     J.S.バッハイタリア協奏曲
               レオンハルトJ.S.バッハ鍵盤作品集成より

           411チェンバロ協奏曲第1番 レオンハルト~J.S.バッハ鍵盤作品集成
                        (収録曲)

                        J.S.バッハ
              チェンバロ協奏曲第1番 ニ短調 BWV1052
              イタリア協奏曲 へ長調 BWV971
              トッカータ ニ長調 BWV912
              トッカータ ニ短調 BWV913
              フーガ イ短調 BWV944
              幻想曲 ハ短調 BWV906
              半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903

                 グスタフ・レオンハルト(Cem.)
               (録音:1976年12月
              1728年製クリスティアン・ツェル使用)


               第1楽章:(速度指定はなし )ヘ長調
               第2楽章:Andante ニ短調
               第3楽章:Presto ヘ長調


この作品は1735年に「クラヴィーア練習曲集 第2巻」としてバッハの第2の出版曲集
として書き上げられたとのこと。
「クラヴィーア練習曲 第2巻」は2つの作品、「イタリア協奏曲」と「フランス風序曲」
から成り出版されたそうです。
作曲されたのは前年、ライプツィヒに於いて、ということになっているとのこと。

「クラヴィーア練習曲集 第2巻」でバッハが目指したのは当時の音楽先進国
イタリアとフランスの代表的なオーケストラ曲の様式に従いチェンバロ協奏曲を
作曲することだったそうです。

バッハはこの曲に「イタリア趣味による協奏曲」“Concerto nach Italienischem Gusto”との題を付けたそうですが、簡単に「イタリア協奏曲」と呼ばれているとのこと。
バッハの代表作の一つに数えられ演奏される機会も多いそうです。

バッハは青年時代から音楽の先進国イタリアの音楽を研究しいろいろに
編曲していたそうです。
また、当時、イタリアではヴィヴァルディが完成し流行していた協奏曲の様式を
取り入れ協奏曲を作曲したり書き直したりしたとのことです。
ライプツィヒ時代になり、イタリアの協奏曲の在り方を一つの楽器で生かそうという
ことになり、この「イタリア協奏曲」が誕生したそうです。

この作品では一つのチェンバロという楽器で協奏曲の総奏と独奏の効果を出すように
工夫をされているそうです。
演奏からすると現在のピアノで演奏をするよりもチェンバロの方が適しているとのこと。
チェンバロは2列の鍵盤で音質の対比感、及び ピアノとフォルテの創意も
出すことができるとのことです、。
鍵盤の使用法のためにバッハは特にピアノとかフォルテを他のクラヴィーア曲の
時よりも入念に記入しているそうです。
ピアノとフォルテのバッハの指示は、協奏曲における楽器群の対比表現に
なっているそうです。

この作品はバッハの存命中から大評判になったとのことです。

レオンハルトの演奏で聴くJ.S.バッハのイタリア協奏曲

第1楽章は速度の指定がなく、アレグレット程度ということになっているそうです。
耳に馴染みのある溌剌とした旋律の主題で始まる第1楽章。
主題の動機が曲を統一しているとのことで終始、明朗、軽快な趣に溢れているよう。
独奏と総奏とが交互に現れて進む楽章。
楽章の終わり頃の主題の総奏では右手の装飾が醸し出す優雅な雰囲気。
多彩に姿を変える主題動機を耳に
「次はどのような展開に?」「どのように変容を?」と、推理小説を読むかのような
楽しみな心境に。
楽章の終りの総奏で活き活きと閉じられる第1楽章。

ゆっくりと歩み始めるように始まる第2楽章。
右手から紡ぎ出される歌うかのような旋律。
伴奏をする左手で印象的なのは低域音。楽章にスパイスのような味付けを。
右手が歌う調べは煌めき輝くように。
歌う楽章、歌の楽章と表現したくなる美しさを感じる第2楽章。
心に残る楽章です。

第3楽章、構成はロンド風になっているとのことです。
楽章の始めに現れる総奏でのロンド主題の軽快さ。
滞ることなく前進あるのみ、という感じで進む楽章。
鍵盤が織りなす素晴らしい芸術。
次々と続く第1副主題、第2副主題、第3副主題の活き活きとした趣。
ロンド主題には第1楽章の主題動機も顔を出しているのでしょうか。
楽章冒頭、総奏のロンド主題が現れて明朗軽快に力強く迎える曲の終わり。


この曲は以前、ピアノで聴いた時には最後まで聴き通すことに苦痛すら感じた
苦い想い出があります。
あれから云年が経過し、今回レオンハルトで聴くイタリア協奏曲。
第1楽章が鳴り出した瞬間に耳に馴染みの旋律・・・と、初めて気が付く有様。
嘗ては苦痛を感じた作品が、今回は吸い込まれるように惹かれ
繰り返し聴いたほどです。

チェンバロの音色に魅了され、明朗軽快な旋律は心を躍らせるようです。
レオンハルトを集中的に聴き始めたキッカケになった「ゴルドベルク変奏曲」。
昔求めた「ゴルドベルク」(1964年頃の録音との表記)に比べ
このBoxに収録されている1976年録音の「ゴルドベルク」の何という軽快さ、明るさ。
この数年、いろいろな「ゴルドベルク」を聴いてきました(聴いてきたつもり)が
こんなに明朗で軽快な「ゴルドベルク」は初めて、とつい先頃感じ入り耳を傾けておりました。

明朗、軽快な雰囲気に溢れた、この「イタリア協奏曲」も
レオンハルトの演奏を聴き初めて好感を抱きました。

昨今、当拙ブログに姿を現さなかったJ.S.バッハ。
こうして綴っていると改めて「バッハは良いなぁ」・・・。
そのように感じさせてくれたレオンハルト。
このレオンハルトのBox、これからも共に歩み続けたい大切なBoxになりました。


                 

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19:58  |  J.S.バッハ  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2017.10/28(Sat)

Op.411 J.S.バッハ:「チェンバロ協奏曲第1番」 by レオンハルト&レオンハルト・コンソート

たまたまCDラックに並べてあるディスクを見ていて聴きたくなったディスク。
15以上前に求めたレオンハルトの「ゴルドベルク」(録音、1964年頃)です。
嘗て聴いた筈ですがあまり・・・そのまままたラックに。
今回、聴き直してみて、いつものパターンです。
「あれ?!こんなに良い演奏だった?」。
レオンハルトが演奏するバッハの多くの作品を聴いてみたくなりました。
ショップで探し出合ったのがレオンハルトの20枚組Box、J.S.バッハ鍵盤作品集成。
限定盤とのことで既に完売。他のショップでも取り扱い終了の表示にガッカリ。
やっと中古に出合い・・・目下、喜々として耳を傾けています。
今日はこのBoxよりチェンバロ協奏曲第1番を。

              J.S.バッハチェンバロ協奏曲第1番
            レオンハルト~J.S.バッハ鍵盤作品集成より

          411チェンバロ協奏曲第1番 レオンハルト~J.S.バッハ鍵盤作品集成
                        (収録曲)
                       J.S.バッハ
  
              チェンバロ協奏曲第1番 ニ短調 BWV1052
              イタリア協奏曲 へ長調 BWV971
              トッカータ ニ長調 BWV912
              トッカータ ニ短調 BWV913
              フーガ イ短調 BWV944
              幻想曲 ハ短調 BWV906
              半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903

                 グスタフ・レオンハルト(Cem.)
                 レオンハルト・コンソート
            (録音:19781年11月 ハーレム ルーテル教会)
        (使用チェンバロ:1728年製 ハンブルク クリスティアン・ツェル)

               第1楽章:Allegro ニ短調 2/2拍子
               第2楽章:Adagio ト短調 3/4拍子
               第3楽章:Allegro ニ短調 3/4拍子


作曲されたのは1738年から1739年頃にかけてと推定されているそうです。
楽器構成は独奏部がチェンバロ、合奏部が第1、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、通奏低音。

ブックレットの解説を参照しつつ。
チェンバロ協奏曲というジャンルはJ.S.バッハによって成立したそうです。
その成立にはチェンバロを通しイタリア音楽に学んだバッハの創作によるものとのことです。
新しいジャンルとしてのチェンバロ協奏曲はバッハの息子たちによって継承されたそうです。
次男のカール・フィリップ・エマヌエル・バッハは60曲近い優れた作品を残しているとのこと。
18世紀後半には新しい楽器、ピアノがチェンバロを駆逐するようになり
チェンバロ協奏曲は50年程で命脈を終え古典派のピアノ協奏曲に引き継がれたとのことです。
因みにメンデルスゾーンは1832年にピアノ協奏曲として演奏し
シューマンもこの作品を評価する文章を残しているそうです。

チェンバロ協奏曲の形式発展に関し、バッハの創作を3つの段階として区分されるそうです。
1)他の作曲家のヴァイオリン協奏曲を無伴奏の鍵盤楽器に移した時期
2)自作のヴァイオリン協奏曲を無伴奏の鍵盤協奏曲とした時期
3)オリジナル協奏曲の創作
現存する伴奏つきチェンバロ協奏曲は大半が第2期、ライプツィヒ時代の1730年代に
作曲されたそうです。

バッハは1729年から40年にかけ、テレマンが創設したライプツィヒの学生の
演奏団体であるコレギウム・ムジクムを指揮していたそうです。
コーヒー店を借りての演奏会の呼びものはバッハが独奏する協奏曲だったとのこと。
バッハはその演奏会のためにヴァイオリン協奏曲を編曲して用いたそうです。
このチェンバロ協奏曲第1番もヴァイオリン協奏曲からの編曲とのことですが
原曲が何時、誰により作曲されたかについては諸説が対立しているそうです。

バッハはこの原曲を1720年代末に2つのカンタータに転用
1735年以降にチェンバロ独奏用の稿を作成したそうです。
解説の執筆者、磯山雅氏は次の文章でこのチェンバロ協奏曲第1番についての
記述を閉じられています。
「バッハが原曲をいかに高く評価していたかを示すものであろう。独奏部の巨匠性、単一楽想に基づく緻密な構成、明確な個性美を示す主題など、バッハの代表作の一つとして指を指を屈するに恥じない、まことに印象的な協奏曲である」


レオンハルト&レオンハルト・コンソートで聴く
バッハのチェンバロ協奏曲第1番


弦楽器たちが奏する力動的な主題で始まる第1楽章。
チェンバロが登場し弦楽器たちとの対話。
弦が奏する主動機はしばしば耳にする機会があり馴じみの旋律のようです。
弦との対話でチェンバロは装飾的な演奏を。
主役がチェンバロに。
チェンバロのアルペッジョの煌めくような華麗さ。
主役が交代しつつも対等な存在として奏されるチェンバロと弦楽器たち。
楽章中、チェンバロの長い独奏演奏には力強さ、殊に左手が印象的。
弦が奏する主題で閉じられる第1楽章。

弦楽器たちが思索をしつつ歩を進めるかのように奏され始まる第2楽章。
弦の旋律を装飾するかのようなチェンバロ。
途切れることのない低く落ち着いた弦の調べ。
弦が紡ぎ出す歌。
チェンバロに移る歌。
穏やかな歌でもあるかのように奏される調べに惹かれます。
冒頭の旋律が再び奏され終わる楽章。

活気のある弦の主題で始まる第3楽章。
加わるチェンバロも弦とともに奏する活力を湛えた旋律。
活き活きとした息吹に満ているよう。
チェンバロとオーケストラとの対話は次第に荘厳な趣が漂うように。
チェンバロの独奏パートでは雄弁な語りを。
間もなく弦も現れ復活する活力ある弦とチェンバロの対話。
楽章の終わりに近付きチェンバロの独奏には気迫に近いものを感じます。
弦とチェンバロの活力の溢れる雰囲気で迎える曲の終わり。


前述したことに重複しますが
こちらのBoxを求める契機になったレオンハルトの演奏する「ゴルドベルク変奏曲」(録音、1964年頃)。
このBoxが届き一番先に聴いたのが「ゴルドベルク」(録音、1976年)です。
このチェンバロ協奏曲第1番に耳を傾けつつ昔求めた「ゴルドベルク」から受けた印象に似たものを感じていました。
チェンバロの音は一粒一粒克明でありながらも
流れる歌のように感じるレオンハルトのタッチ。
この協奏曲でも第2楽章の歌謡性を感じさせるチェンバロがとても印象に残ります。

チェンバロ協奏曲第1番は他に1965年、キルヒハイム、フッガー城の糸杉の間で
録音された他のチェンバロ(1730年頃、パリ ブランシェのモデルによるウイリアム・ダウト製)の演奏も収録されていました。
まだ聴いていませんが楽しみです。

チェンバロに対する認識を新たにされたレオンハルト。
遅まきながら今頃になりレオンハルトに目覚めたようです。

                 

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2016.05/07(Sat)

Op.334 バッハ:「インヴェンションとシンフォニア」by シフ

J.S.バッハの作品は耳を傾けているととても落ち着いた気分になります。
昨年、バッハの作品をシフの演奏で聴きたいと思い求めたディスクからです。
12枚組のディスクのうちで未聴の「インヴェンションシンフォニア」。
穏やかな雰囲気が漂い親しみを感じつつ耳を傾けています。
気に入った作品になり繰り返し繰り返し、飽きもせずに聴いている数日来です。

              J.S.バッハインヴェンションシンフォニア
        アンドラーシュ・シフ~J.S.バッハ鍵盤楽器のための作品集より


                J.S.バッハ:鍵盤楽器のための作品集byアンドラーシュ・シフ
                        (収録曲)

             インヴェンションシンフォニア BWV.772-801
             4つのデュエット BWV.802-805
             半音階的幻想曲とフーガ BWV.903

                   アンドラーシュ・シフ(P)
                    (録音: 1982-83年)   


タイトルの「インヴェンション」と「シンフォニア」についてですが
インヴェンションは2声部、シンフォニアは3声部の対位法的に
書かれた様々な性格を持つ小曲だそうです。
シンフォニアは3声部のインヴェンションと呼ばれることもあるそうです。

「インヴェンションとシンフォニア」は共に15曲から構成され
作曲技法的には主題以外の素材をまったく使わずに
ひとつの主題だけで曲全体を展開し曲集全体を貫いているとのことです。

                334:バッハ フリーデマン・バッハ
                 Wilhelm Friedemann Bach
               (1710年11月22日-1784年7月1日)

「インヴェンションとシンフォニア」はバッハが長男フリーデマンの音楽教育のために
フリーデマンが9歳2カ月だった1720年1月22日に書き始めたそうです。
バッハは最初から組織的な曲集を考えたのではなく
折々の必要に応じて曲を書き込んでいったそうです。

初稿は「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」(Klavierbüchlein für Wilhelm Friedemann Bach)の
後半部に含まれているそうです。
フリーデマン曲集では「2声のインヴェンション」は「プレアンブルム;Preambulum」
「3声のインヴェンション」は「ファンタジア;Fantasia」と題されていたそうです。
因みに1722年にまとめられた「平均律クラヴィーア集第1巻」の初稿は
前半部に含まれているとのこと。
その翌年、1723年に「インヴェンションとシンフォニア」の自筆浄書譜が完成。
最終自筆稿には次のような表題が記されているそうです。

「率直な手引き、これによってクラヴィーアの愛好家、とりわけその学習希望者たちに対し
(1)2声部をきれいに演奏することのみならず、さらに上達して
(2)3つのオブリガート声部を正確かつ快適に処理することを学び、
それにあわせて同時に良い着想(インヴェンツィオーレ)を得ることだけではなしに、
それを快適に展開できるようになる。
しかし何よりもカンタービレの奏法を会得し、あわせて作曲することの喜びを強く予感することようになるための、はっきりとした方法が示される。
アンハルト=ケーテン領主殿下の楽長たるヨハン・セバスティアン・バッハ作。
1723年」

この曲集に携わっていた1720年にバッハは最初の妻、マリア・バルバラと死別。
バッハがカールスバートに発つ時には元気に見送ってくれたバルバラの急死。
カールスバートから帰ると既に彼女は埋葬されていたとのことです。
バッハ35歳。
作品では「無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ」の自筆楽譜が書かれ
自筆譜が消失している「無伴奏チェロ組曲」もこの頃に書かれたと
考えられているそうです。
翌1721年12月にツァイツの宮廷トランペット奏者ヨハン・カスパル・ヴィルケの娘
アンナ・マグダレーナと再婚したそうです。


さて、この曲集を初めて耳にした時には
バッハが作曲した練習曲集の一つ、と感じただけでした。
幾度か聴いているうちに印象がガラリと変わってしまいました。
2声のインヴェンションは15曲のほとんどが1分少々。
シンフォニア、15曲も1-2分の曲が多く短い曲ばかりです。
繰り返し聴いているうちに次第に惹き込まれしまいました。
一つの主題だけで他の素材をまったく使用せず、ということですが
一曲、一曲が個性的。
新鮮な調べとして耳に響いてきます。
穏やかで愛らしく可憐な趣の曲集。

シフはこの曲を1977年、及び1982年から83にかけて録音しているようですが
私が聴いたディスクは後者の録音。
いつもながらのシフの演奏。
自然体、端正、緩やかに流れるようなピアニズム。
弱音での優しいタッチ。
装飾音の一音一音にも心根を注ぎ込むように。
聴く毎に新たな印象を受け魅力を感じる演奏です。
シフのピアノで聴くバッハ・・・私にとってのベスト盤です。

このBOXに収録されている「平均律」第1、第2の全曲、「フランス組曲」
「ゴルドベルク」、いずれもお気に入りになっています。
「インヴェンションとシンフォニア」もお気に入りになりました。


いつもの蛇足になります。井戸端会議のオバサン話。自分のメモとして。
インヴェンションの研究で有名なランツホフ(1874-1941年)という人がいるそうです。
ランツホフはバッハのインヴェンションについて次のように述べているとのこと。

「バッハはインヴェンションによって芸術的にも歴史的にもきわめて重要な
新形式を達成した。
ここに見られる手法、つまり数音の小さなモティーフの胚胞主題が成長する。
そしてその主題があちこちに向きを変え、分割、変形され、その内容がくまなく汲みつくされるまで、対位法のありとあらゆる技法によって展開されてゆき、そしてついに全体が部分部分の完全に釣り合った楽曲に仕上げられる。
といった手法はバッハ独自の発見であり業績である。
今日までの器楽すべてが、この有機的なモティーフ展開に負うている。
ヘルマン・クレッチマー(1848-1924年)の言うように
『ドイツ音楽の優越はまさにこの原則に基づくのであり
それはバッハのインヴェンションに始まる』のである。」


                 

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2015.02/22(Sun)

Op.275 J.S.バッハ:「パルティータ」 by アンドラーシュ・シフ

J.S.バッハの音楽に暫く耳を傾けることのないままに
日々が過ぎてしまうこの頃です。
バッハが恋しくなり聴いてみたのが初めて耳にする曲「パルティータ」です。

アンドラーシュ・シフのピアノが気に入っていた当時(今でもお気に入りですが)に
求めてあった「バッハ、鍵盤楽器のための作品集」からです。

今のところ6曲のパルティータのうち第4番がお気に入りになっています。
いつものようにゆっくりと聴き込む時間がなくなってしまい
初めて耳を傾けた時に感性を揺り動かされたのが第4番でした。

                バッハ:鍵盤楽器のための作品集
                          by
                     アンドラーシュ・シフ


                275:鍵盤楽器のための作品集 アンドラーシュ・シフ

                   第1番 変ロ長調 BWV 825
                   第2番 ハ短調 BWV826
                   第3番 イ短調 BWV827
                   第4番 ニ長調 BWV828
                   第5番 ト長調 BWV829
                    第6番 ホ短調 BWV830

                   アンドラーシュ・シフ(P)
                    (録音:1982-91年)


J.S.バッハが作曲した全4巻のクラヴィーア練習曲集のうち
第1巻に含まれているのが「パルティータ」BWV825-830 だそうです。
パルティータは7曲残っているそうです。
第7番ロ短調は第2番ハ短調が原曲になっているとのことです。
尚、第7番は1735年完成のクラヴィーア練習曲集第2巻に
「イタリア協奏曲」ともに含まれているとのこと。

最初の6曲のうち
第1番が1726年に完成し
他の曲も1731年までにすべてライプツィヒにおいて完成したそうです。
第3番と第6番は1725年のアンナ・マグダレーナ・バッハのための楽譜第2巻に
原型的なものが認められるとのことです。

この「パルティータ」の特徴は
当時の普通の組曲と比べ、個々の曲の配列法を自由にしており
また、舞曲だけでできているとは限らない、とのことです。
今までバッハが組曲で使わなかった狂詩曲、スケルツォや
ブルレスカなどの曲も含まれているそうです。

初めて聴いた「パルティータ」。
第4番中心になってしまいますが。
第4番は全パルティータの中で最もスケールの大きなものに属するとのことです。
とても気に入ったアルマンド。
優しく穏やかに夢想するような部分と、朴訥に呟くような回想的な部分が
混じり合い惹かれます。
このアルマンドを聴いて第4番が大好きになりました。
続くクーラントの快活で弾むような美しさ。
そしてアリアでは軽快で楽しげなピアノの歌。
メヌエットの愛らしさ。
心に残る曲です。

前後しますが
第3番ではJ.S.バッハが組曲としては初めて取り入れたという
ブルレスカとスケルツォに興味を抱き聴いてみました。
ゆったりとしたサラバンドに魅了されていると突如ブルレスカに。
愉しげなブルレスカ、そして続くスケルツォ。
この曲も印象的です。


6曲のパルティータ。
音楽を流していても存在感を強調して心の邪魔をすることなく
音符たちは自由に室内を舞っているようです。
これらの曲に包まれているとリフレッシュされるようです。
森林浴ならぬ、音楽浴?でしょうか。

シフのピアノは聴いていてホッとさせてくれるものがあります。
ありふれた?・・・特に主張をすることのない演奏のようにも。
シフ愛用(?)のベーゼンドルファーの音色も
落ち着いた美しさを醸し出しているようで
私にとっては魅力いっぱいの演奏になっています。

忘れていましたが
グールドのコンプリート・バッハ・コレクションを思い出しました。
「パルティータ」を取り出し第4番のみですが聴いてみました。
例の特徴あるグールドの演奏で聴くと
とても生き生きとした音楽に変身をしているようです。
愛らしく、またお茶目な趣をも感じてしまいます。

繰り返し聴いてみたい気分になるのはシフの演奏になりそうです。
駆け足で聴いただけですが
いずれ、じっくり、ゆっくりと聴いてみたいものです。
末長く聴いてゆきたい愛聴曲、愛聴盤になったように思います。

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2014.12/20(Sat)

Op.268 J.S.バッハ:「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帖」より by アメリンク;レオンハルト他

J.S.バッハの「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帖」。
バッハ一家の団欒のひと時を彷彿とさせるバッハ家の音楽帖とのことで
初めて耳にしてみました。
レオンハルトのチェンバロとアメリンクの歌声には完全に魅了されてしまいました。
収録曲だけでブログが終わってしまいそうですが・・・一応。 

                         J.S.バッハ
           「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帖」より


                268Notenbuchlein Fur Anna Magdalena Bach

                        (収録曲)

       1 ポロネーズ ト短調
       2. マーチ変ホ長調
       3. メヌエット ト長調;ト短調
       4. ジョヴァンニーニのアリア「あなたの心を下さるのなら」変ホ長調
       5. ロンド 変ロ長調
       6. アリア「御身がそばにあるならば」変ホ長調
       7. クラヴィーアのためのアリア ト長調BWV988
       8. アリア「喫煙者の教訓」ト短調
       9. マーチ ト長調
      10. アルマンド ニ短調BWV812
      11. コラール「汝に向って、エホバよ、私は歌おう」変ロ長調BWV299
      12. 前奏曲ハ長調BWV846
      13. メヌエット ト長調
      14. マーチ ニ長調
      15. ミュゼット ニ長調
      16 レチタティーヴォ「私は満ち足りている」と
        アリア「眠れ、疲れし眼よ」BWV82
      17 コラール「ただ神の御心に委ねる者は」イ短調BWV691
      18 コラール「おお永遠よ、汝おそろしき言葉」ヘ長調BWV513

               エリー・アメリング(S) 
               ハンス=マルティン・リンデ(Br) 
               テルツ少年合唱団 
               グスタフ・レオンハルト(cem) 
               ヨハネス・コッホ(Gamba) 
               アンゲリカ・マイ(Vc) 
               ルドルフ・エヴァーハルト(Org)

              (録音:1986年 キルヒハイム 
                      フッカー城 糸杉の間)

               
              Johann Sebastian und seine Frau Anna Magdalena, 1736 ? [
            1736年頃、J.S.バッハと妻アンナ・マグダレーナ


1721年12月3日にバッハは以前からの知り合いだったヴァイセンフェルスの
宮廷トランペット奏者J.カスパール・ビュルケンの末娘のアンナ・マグダレーナと
再婚したそうです。

彼女は美しいソプラノを持ち、バッハの創作活動を理解する音楽的才能もあり
バッハがこの頃から始めていた家族音楽会に積極的に参加したそうです。
バッハは友人のエールトマンに1730年10月28日付けで次のように
書き送っているとのことです。
 「子供たちは皆、生まれつき音楽の才能に恵まれまして、今では一家一同声楽
及び器楽の音楽会がやれます。ことに現在の妻はまことに綺麗なソプラノを
歌いますし(以下、略)」

              (wikiドイツ)268Clavier-Büchlein vor Anna Magdalena Bachin Anno 1722, Deckblatt
                    1722年、音楽帖の表紙

アンナ・マグダレーナ・バッハ音楽帖」はバッハが妻アンナに贈った
2冊の曲集だそうです。
第1巻には「1722年」、第2巻には「1725年」の年号が記されているとのことです。

第1巻は11曲からなるそうですが、その大半は紛失し現存するのは
3分の1程度と推定されるそうです。
第2巻には45曲があるそうです。
クラヴィーア曲やアリアやコラールのような声楽曲
バッハ自身の作と思われる詩や通奏低音の規則などが書かれているとのこと。
アンナはこの曲集に特別の愛着を持ったようで
その一部を第2巻にも自分で記入しているそうです。

原典は最初にあるパルティータだけがバッハの自筆譜とのことで
その他はほとんどがマグダレーナの写譜であり
またエマヌエル・バッハの筆跡も認められるそうです。
この曲集は バッハ一家の寄せ書き音楽帖 との性格が強いとのことです。

アンナ・マグダレーナ・バッハの「バッハの思い出」
(原著はEsther Meynell著 "The Little Chronicle of Magdalena Bach") 
から引用をさせていただきます。

 「結婚して間もない頃、彼はわたくしのために自分でこしらえた一冊の音楽帖をくれました。
今でもそれは持っています。どんなに貧しくなっても、これだけは、わたくしの生きている限り、肌身離さずもっております。
ある晩のこと、わたくしは4人の小さい者たちを寝ませてから、階下の居間の卓上蝋燭のもとに腰をおろして、とある楽譜から符を書き抜いておりますと、彼がこっそりわたくしの背後に歩み寄って、背と隅が皮になっている美しい緑色の装丁の、長方形の小冊子を目の前に置きました。その第1頁にはこう書いてありました。
    妻アンナ・マグダレーナ・バッハに贈る
    クラヴィーア小曲集
      1772年に。
そこで、夢中な指先で頁を繰ってみますと、その間彼はわたくしの後ろに佇んで優しく微笑みながら見守っておりましたが、この本の中にはわたくしのために易しいクラヴィーア曲が書き込んであることがわかりました。
つまり、彼はわたくしにクラヴィーアを教え始めていたのです。
結婚当時、わたくしは少しは弾けましたけれど、まだたいして進歩しておりませんでした。
そこで彼は、わたくしを喜ばせ、元気づけ、一番楽しい方法でわたくしの未熟な技量を高めるために、旋律の美しい小曲を書き込んでくれたのでした。
その中には、荘重でとりわけ美しいサラバンドが一つ  ― 組曲とパルティータの中のゼバスティアンのサラバンドはいつも際立って魅力のあるものに思われ、特によく彼の本質を現しているように見えました―と、わたくしのよく知っているとても明るい小さなメヌエットがありました。
とは言え、どの曲もみな、どんなピアノでも勉強せずにはいられなくなるような魅力を持っておりました(略)」
ドイツ盛期バロック音楽のオルガニスト・作曲家

「音楽帖」を聴きとても印象に残ったのは
3曲目に収録されている有名な「メヌエット」です。
オルガ二スト兼作曲家のクリスティアン・ぺツォールトが
作曲したクラビーア曲だそうです。
この曲が耳に入った瞬間に昔ヒットをした「ラヴァーズ・コンツェルト」を
思い出しました。
ザ・シュプリームスのコーラスでしたでしょうか。
次のような歌詞で始まる明るく爽やか、好きな曲です。
How gentle is the rain
That falls softly on the meadow
Birds high up in the trees
Serenade the flowers with their melodies

レオンハルトのチェンバロで聴くこのメヌエット。
愛らしさに満ち溢れて親しみ易い旋律で心和みます。
レオンハルトの演奏は当時のフランスに特有な習慣に従い
連続する8分音符を付点リズムに近く演奏しているとのことです。
無邪気に子供が喜び飛び跳ねているような情景が思い浮かぶようです。
最近はモダン・ピアノがお気に入りになっていますが
嘗てはチェンバロの音色が好みでした。
久し振りに耳にするチェンバロに「こんなに魅力的だった?」と
再認識をする機会にもなりました。
この曲に限らずレオンハルトのチェンバロには温かさのようなものが
感じさせられるようです。

次の4曲目の収録曲「ジョヴァン二ーニのアリア」。
作曲者も音楽帖への記入者も不明とのこと。
曲の開始と同時に耳に飛び込んでくるアメリンクの歌声。
優しく柔和、清楚で瑞々しい声質で歌われるアリアには虜になります。
ソプラノとチェンバロのための曲とのことで
バッハの家庭音楽会ではバッハの伴奏に合わせて
ソプラ二ストのアンナが歌ったのでしょうか。
アンナはどのようなソプラノで歌ったのかしら?と
多々の想いを馳せつつ耳を傾けています。
何とも愛らしい旋律のアリア。
収録されている他の曲でもアメリンクの歌声には聴き惚れるばかりです。
 
次曲、5曲目の「ロンド」。
クープランの作曲で「クラヴサン曲集第2巻」より。
音楽帖への記入はアンナとのことです。
チェンバロが奏する明瞭な旋律。
この曲を聴き、ほとんど縁のなかったクープランの他の作品も
聴いてみたくなりました。

収録曲8曲目のアリア「喫煙者の教訓」。
バッハとアンナの長男、ゴットフリート・ハインリヒの作とも言われているそうです。
バリトンのハンス=マルティン・リンデがユーモアを込めて
和やかな雰囲気を醸し出すかのように歌い聴かせてくれます。
バッハの家族音楽会では歌詞の面白さ?に
皆が微笑みを浮かべて耳を傾けたのでしょうか。

特に印象が深かった曲のみの感想で
肝心のバッハの作品についても飛ばしてしまいました。

バッハ家の家庭音楽会の様子を思い描きつつ
一曲一曲に耳を傾けホッとした時を過ごすことができるようです。
親しみを感じる曲たちが演奏され歌われ
ディスクを通して素晴らしい家族団欒の音楽会の雰囲気を
味わうことができた気分です。

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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : J.S.バッハ アンナ・マグダレーナ・バッハ 音楽帖 アメリング レオンハルト

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