2016.12/17(Sat)

Op.366 シューマン:「弦楽四重奏曲第3番」 by メロス四重奏団

ふとした時に、ふと聴きたくなる曲。
その時々によって聴きたくなる曲は違いますが
今回はシューマン弦楽四重奏曲を、ふと聴いてみたくなりました。
初めてシューマン弦楽四重奏曲に耳を傾けたのは2年前になるかと思います。
その当時のお気に入り順は第2番、1番、3番 だったようです。
今回、じっくりと耳を傾け第3番がお気に入りの筆頭になりました。
演奏はいつものメロス四重奏団で聴いてみました。

弦楽四重奏曲シューマン、ブラームスともに3曲遺し
ともにベートーヴェンの弦楽四重奏曲からの影響を受けたそうで。
ブラームスの弦楽四重奏曲では第3番がお気に入りでした。
今回、シューマンの第3番を聴きシューマン弦楽四重奏曲もまた第3番が
お気に入りになりました。
私にとっては何故か符合するブラームスとシューマン

                 シューマン:弦楽四重奏曲第3番  
      メロス四重奏団~ブラームス、シューマン弦楽四重奏曲全集より


            230シューマン弦楽四重奏曲第2番
                        (収録曲)
              
           シューマン:弦楽四重奏曲第3番イ長調 Op.41-3
           ブラームス: 弦楽四重奏曲第3番 変ロ長調 Op.67
                   
                      メロス四重奏団
                 ヴィルヘルム・メルヒャー(1st.Vn)
                 ゲルハルト・フォス(2nd.Vn)
                 ヘルマン・フォス(Vla)
                 ペーター・ブック(Vc)
                 (録音:第2番 1986年5月 
                     バンベルク ツェントラルザール)

  第1楽章:Andante espressivo - Allegro molt modeerato イ長調 4/4拍子
  第2楽章:Assai agitato - un poko adagio - Tempo risoluto
                                  嬰へ短調 3/8拍子
  第3楽章:Adagio molt ニ長調 4/4拍子
  第4楽章:Allegro molt vivace イ長調 2 /2拍子


シューマンが遺した3曲の弦楽四重奏曲 作品41。
これらの3曲は1842年6月から7月にかけ相次いで短時日のうちに
書き上げられたそうです。
3曲は各々の特徴を持ちながらもベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲からの
影響を受けているとのこと。
この第3番は3曲の中で最もしばしば演奏される曲だそうです。
そのわりには発売されているディスクが少ないみたいで・・・。

シューマンの日記には弦楽四重奏曲の作曲経過について
1842年6月から7月にかけ記述されているそうです。
門馬直美氏が四重奏曲についてのシューマンの日記を整理されて
いましたので簡略し一部分を引用させていただきます。

1842年:シューマン32歳(1810年6月8日生)
6月2日   四重奏曲を試み始める。
6月4日   イ短調(第1番)に着手。
6月11日  第2の四重奏曲に着手。
6月24日  第1の四重奏曲完成。
7月5日   第2の四重奏曲を書き上げる。
7月8日   第3の四重奏曲に着手。
7月22日  第3の四重奏曲完成―歓喜。

楽譜が出版されるまでの間にシューマンは更に多々、修正を施したそうです。

非公開の初演は同年9月8日、3曲はシューマン宅で行われたそうです。
第3番の公開初演は1848年1月18日に、第1・2番(公開初演1843年1月8日
ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサート・マスター、フェルディナント・ダヴィッドを
中心とする四重奏曲によって)と同様にゲヴァントハウスに於いて
行われたとのことです。


ゆっくりとした序奏で始まる第1楽章。
短い序奏ながら印象に残ります。
各楽器たちは溜め息をついているようにも感じられるようです。
主部に入り第1ヴァイオリンが奏する第1主題。
流麗な明るさを感じさせる旋律。
主題に続く新たな旋律は伸びやかに流れる歌のように。
第2主題ではチェロの歌が。
終始、華麗な歌を聴いているような楽章でしょうか。

第2楽章は変奏曲になっているそうです。
主題は動的な趣で第1ヴァイオリンに始まりヴィオラに。
第1変奏は主題よりも一層動的な雰囲気。
第2変奏は第1変奏とはっきり区別できなかったのですが
力強さが加わったような動的な趣に。
第3変奏になり速度を落とし、ゆっくりと静かに奏される主題。
穏やかな旋律に哀感が漂うようで美しい調べ。
第4変奏で一転して活発、躍動的に。
各楽器の存在が拡大されるかのように飛翔をするような雰囲気。
高揚感と生命力を感じます。
コーダになり再び穏やかに。
音を引き延ばし静かに名残惜しそうに閉じられる第2楽章。

第1ヴァイオリンが奏する第1主題で始まる第3楽章。
平穏な趣を感じさせる第1主題。
ゆったりと語り合う他の楽器たち。
第2主題になり第2ヴァイオリンの刻むリズムにのって
対話をする第1ヴァイオリンとヴィオラ。
旋律は流れのように進み第1ヴァイオリンが歌い続ける間
悠然とした調べを聴かせる他の楽器たち。
しばしば現れる第2ヴァイオリンの付点リズムが印象に残ります。
終わりの方で豊かに響くチェロのピッツィカートと
対照的な第1ヴァイオリンの歌も印象的。
落ち着いた趣で閉じられる第3楽章。
第2楽章同様に歌を感じる楽章。

明朗で躍動的な旋律で始まる第4楽章。
始まりのロンド主題の弾力のある明るさ、溌剌さ、活気。
口ずさみたくなる親しみ易さ。
一度耳にすると記憶に刻み込まれるようです。
続く第1、第2副主題の合間を縫い顔を出すロンド主題。
喜々とした明るさ、溌剌さ、活発さに満ちたロンド主題。
ロンド主題とともに心に刻まれるのが第2副主題。
明るい旋律を耳にステップを踏みたくなるような愉しさ、親しみ
そして愛らしさを感じます。
ロンド主題以上に心に刻まれる第2副主題の調べ。
活発に勇壮ささえ感じさせつつ力強く迎える曲の終わり。


この曲にもっと早く出会いたかった・・・と感じる曲の一つになりました。
特に第4楽章のロンド主題と第2副主題は心に刻み込まれます。
シューマンの作品の中でこのような明朗な旋律をもった曲は
他にあるのか思い付かないのですが。
とても気に入った曲になりました。

作曲された前々年、1840年9月12日にシューマンはクララと結婚。
そして翌1841年9月にはメンデルスゾーンが名付け親となった長女の
マリエの誕生等が思い浮かびます。
この曲に漂う明るさと温かさ。
シューマンの幸せな日々がこの曲にも反映されいるように思ってしまいます。

メロス四重奏団の演奏もも活き活きとして明るく
持ち前の歌を感じさせる演奏に切れ味の良さが加わり
耳を傾けていて爽快さを感じるようです。

聴き終えても第4楽章のロンド主題と第2副主題は
脳裏に焼き付き歌い続けているようです。
   
                 

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2016.09/24(Sat)

Op.354 シューマン:「おとぎの絵本」 by バシュメット&ムンチャン

今まで気にかけることもなかったシューマンの「おとぎの絵本」。
バシュメットの演奏でシューベルトの「アルペジョーネ・ソナタ」を聴き終え
次に流れてきた曲にハッと惹かれるものがありました。
タイトルを見るとシューマンの「おとぎの絵本」と記載されていました。

                 シューマン:「おとぎの絵本
        ユーリ・バシュメット~コンプリートRCAレコーディングより


         338シューマン「おとぎの絵本」ユーリ・バシュメット/コンプリートRCAレコーディング
                          (収録曲)

     シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ イ短調 D.821
     シューマン:「おとぎの絵本」 ピアノとヴィオラのための4つの作品 Op.113
     シューマン:アダージョとアレグロ 変イ長調 Op.70
     ブルッフ:コル・ニドライ Op.47
     エネスコ:演奏会用小品

                     ユーリ・バシュメット(Vla)
                    ミハイル・ムンチャン(P)
                       (録音: 1990年)


作曲は1851年3月にデュッセルドルフで書かれたそうです。
作品は4つの曲からなりヴィオラの代わりにヴァイオリンでも可とのこと。


            338Wilhelm Joseph von Wasielewski
             Wilhelm Joseph von Wasielewski
             (1822年6月17日-1896年12月13日)

曲はドイツのヴァイオリニストで音楽学者の
ヴィルヘルム・ヴァシエレフスキーに献呈されたそうです。
シューマンはこの曲のヴィオラ声部についての助言をヴァシエレフスキーから
受けたそうです。
尚、1950年秋にシューマンはデュッセルドルフ市の音楽監督として赴任し
この時デュッセルドルフの管弦楽団のコンサート・マスターとして招聘
されたのがヴァシエレフスキーだったとのこと。
また彼は最初のシューマンの伝記を書いたそうです。

私的初演は1853年3月25日にシューマン家に於いて
クララのピアノ、ベッカーのヴィオラで。
公式初演は1853年11月21日にボンに於いて
ピアノはクララ、ヴィオラはヴァシレフスキーで行われたそうです。  

1849年頃からシューマンは家庭音楽としての室内楽に
関心が向けられていたそうです。
当時作曲された作品には楽器の変更が可とされているものも多くあるそうで
おとぎの絵本」もヴィオラ譜とヴァイオリン譜が添付されているとのことです。


第1曲:Nicht schnell
寄りそうピアノの伴奏にヴィオラが哀愁を帯びた調べを歌って始まる第1曲。
ヴィオラの旋律を繰り返すピアノ。
そして、ともに同じ旋律を歌うヴィオラとピアノ。
曲の終わり頃にピアノのトリルが耳を惹きます。
が、華々しさを感じさせるようなものではなく
この曲から感じられる唯一の装飾のようにも。
ヴィオラとピアノが醸し出す静かで柔和な歌。
歌の底流には哀愁が漂っているようにも。
淡々と流れる旋律には心に染み入るものがあります。

第2曲:Lebhaft  
ヴィオラが切れの良い音を刻み闊達に奏され
追うようにピアノも。
ギャロップで進む馬の足音を表しているようです。
行進でもするかのような闊達な趣のギャロップ音形。
ピアノとヴィオラの早いパセージには華やかさや
高揚し飛翔をするような雰囲気も。
後半には舞踏を想わせるような雰囲気も漂い明朗な感じがするようです。
第1曲と同様にこの曲でもヴィオラが弦を指で弾くようにキリッとした終わりに。

第3曲:Rasch     
早い動きをで奏されるヴィオラとピアノでの始まる第3曲。
相変わらず素早く動き回るヴィオラ。
対照的にピアノは落ち着いた伴奏を。
束の間、曲が穏やかに。速度を落とすヴィオラ。
再び素早い動きが戻りヴィオラからは感情を駆り立てるような
情熱的な趣が。
闊達に終わる第3曲。

第4曲:.Langsam, mit melancholischem Ausdruck
夢見るようなヴィオラの甘美な調べと
静かに寄り添うピアノでの始まり。
印象的な曲の始まりです。
静かに思索をするようなヴィオラ。
ヴィオラとピアノがしみじみと語り合っているかのよう。
淡々と独白をするようなヴィオラにそっと寄り添うピアノ。
漂う静穏な雰囲気。
2つの楽器の静かな語らいに心が解されるようです。
この曲もまた最後はヴィオラが弦を指で弾くように静かに終わる。


タイトルを目にした時に子供のための作品かと思っていました。
が、どうしてどうして、まったくの見当違いの思い込み。
4曲のうち第1曲と第4曲には心に沁み入るものがあり
その調べにはいつまでも耳を傾けていたくなります。
お気に入りになりました。

バシュメットはこの曲の録音当時は37歳頃でしょうか。
RCAへの録音で初期のものになるそうです。
過日、バシュメットのヴィオラではシューベルトの「魔王」の
ヴァイオリンとヴィオラ版を聴きました。
今回の「おとぎの絵本」を聴き改めてヴィオラに惹かれるようになりました。

バシュメットのヴィオラの味わいのある音色。
爽やかに舞う風のような趣で奏されるヴィオラに好感を抱きます。
バシュメットが使用しているヴィオラは1758年製のパウロ・アントニオ・テストーレ
とのことです。
ピアノのミハイル・ムンチャンは初耳でした。
バシュメットを控え目に支えつつもバランスの良い演奏を聴かせてくれるようです。

通常ならこの作曲家名と作品名を目にしてもじっくりと耳を傾けることを
しない曲の類です。
こうして立ち止まって耳を傾け思いもかけない素敵な出合いになりました。

                 

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2016.05/21(Sat)

Op.336 シューマン:「子供の情景」 by エッシェンバッハ

昔々、初めてシューベルトのピアノ五重奏曲「ます」を聴いたのは
エッシェンバッハ&ケッケルト四重奏団でした。
彼らの名前に懐かしさを感じて過日求めたディスクからです。
お目当てはシューベルトでシューマンの「子供の情景」はオマケ的に
思っていました。
が、第1曲の「見知らぬ国」が流れてきた瞬間から耳を奪われてしまいました。
子供の情景」にじっくりと耳を傾けるのは初めてです。
この曲集で知っているのは有名な「トロイメライ」だけでしたが
13曲には多種多様な趣があり一曲一曲に耳を奪われてしまいました。


                  シューマン:「子供の情景
                         by
                     エッシェンバッハ


            336シューマン「子供の情景」エッシェンバッハ(シューベルト「ます」)
                        (収録曲)

           シューベルト:ピアノ五重奏曲 イ長調 D.667「ます」
                   ノットゥルノ 変ホ長調 D.897
           シューマン子供の情景 Op.15
                   アベック変奏曲 Op.1

                クリストフ・エッシェンバッハ(P)
            (録音:「子供の情景」1966年4月
                  ハノーファー ベートーヴェン・ザール)


この曲集は13曲からなり、各曲に標題が付けられているそうです。

              336シューマン:(wikiドイツ)Schumann Kinderszenen Op15 Score 1st page
               「子供の情景」初版のタイトルページ


              第1曲:見知らぬ国から ト長調 2/4拍子 
              第2曲:珍しいお話 ニ長調 3/4拍子 
              第3曲:鬼ごっこ ロ短調 2/4拍子 
              第4曲:おねだり ニ長調 2/4拍子 
              第5曲:幸せいっぱい ニ長調 2/4拍子 
              第6曲:重大なでき事 イ長調 3/4拍子 
              第7曲:トロイメライ ヘ長調 4/4拍子 
              第8曲:炉辺にて ヘ長調 2/4拍子 
              第9曲:木馬の騎士 ハ長調 3/4拍子 
              第10曲:むきになって 嬰ト短調2/8拍子 
              第11曲:怖がらせ ト長調 2/4拍子 
              第12曲:子供は眠る ホ短調 2/4拍子 
              第13曲:詩人は語る ト長調 4/4拍子


童心に帰り子どもの世界を幻想的にピアノで描き出したこのピアノ曲集は
1838年に書き上げられたそうです。
全13曲からなり各曲には標題が付けられているとのことです。
標題についてシューマンの言は次のように。
「各曲ができあがってから付けられたもので、演奏や理解がし易いように
与えた指示にほかならない」

クララ宛の書簡の日付により1838年3月18日には曲の30点ほどのスケッチから
12点が選び出され、4月には曲集に入念な手入れがされたそうです。
尚、13番目に書かれた曲はどの曲であるかは不明とのこと。

この曲集はシューマンの最も充実した創作力の時期に作曲されたそうです。
K.H.ヴェルナーはこの曲集について次のように表現しているとのこと。
「『子供の情景』は、若い心を保った大人たちのための曲集である」
シューマン自身は「子供の情景」や「クライスレリアーナ」を自分の最高傑作の
中に入れていたそうです。

クララとまだ結婚をする前の1838年3月18日付けクララ宛の書簡で
シューマンは次のように綴っているそうです。

「今、僕は音楽一杯で張り裂けそうな気がすることがよくあります。何を作曲したのか
忘れないうちに書いておきますと――いつか君は僕に書いたでしょう、『時々あなたは子供のように思えます』って。
この言葉の余韻の中で作曲したのです。つまり、これがまるで魔法の筆のような働き
をして、30ものちっちゃな可愛いやつが書けました。そこから13曲選び出して、『子供の情景』と名付けた訳です。
ピアノの大家からみると大して面白くはないかも知れませんが、あなたはきっと興味を持ってくれるでしょう。
私はこの曲集を誇りに思っていますし、私がこれを演奏すると、特に私自身に大きな感銘を与えられるのです」

この「子供の情景」や「クライスレリアーナ」においてシューマンが
子どもの世界を取り上げたのは当時のドイツのロマン主義の文学からの
強い影響を受けたことが考えられるそうです。
当時のドイツ文学界では子供の世界に目を向けた作品が多く現れ
始めていたとのことです。
それと関連して18世紀から19世紀にかけての作曲家たちには
子どもの世界を扱ったサロン向きの小品も好まれていたそうです。


第7曲目の有名な「トロイメライ」しか記憶にないのですが
もっと早くこの曲集に耳を傾けていればよかった、との後悔の念も。
暖かな温もりが伝わってくるような曲集。

13曲のなかで特にお気に入りは第1、4、8、10、12、13曲です。
抜粋になりますが各曲の感想を。

第1曲の「見知らぬ国から」
穏やかな曲で初めて耳にしたのですが親しみを感じます。
嘗て聴いたことがあるような懐かしさも。

第2曲「珍しいお話」は弾むような軽快で楽しげな旋律。

第4曲「おねだり」では夢見るような甘い感じが漂っているようです。
この曲について前田昭雄氏は次のように記述されています。
「おねだりする子供は可愛い。そういう可愛い子供のポートレートを、ロベルトお兄さんは慈しんで描いている。一つには子供好きなので、一つには彼自身子供のようなところがあったから。ロマンティカーとして、このお兄さんん自身、可愛く甘えるところがあったから」

第5曲「幸せいっぱい」、伸びやかな歌のようです。
再び前田氏の記述によると「幸せいっぱいの子供を見るお兄さんの喜びでもあるのだが、ここにシューマン自身の喜びの時を投影させてもいる」

第7曲は有名な「トロイメライ」。2月24日に作曲されているそうです。
可愛い夢というような意味だそうです。
いつもこの旋律が耳に入ると悲しい気分になってしまうのですが。

第8曲「炉辺にて」
自筆譜からこの曲は「トロイメライ」の翌日に作曲されたそうです。
第7曲の「トロイメライ」とは変奏関係にあるとのこと。
柔和で穏やかな調べで心が解されるようです。

第10曲「むきになって」。原題の直訳は「ほとんど真面目すぎるくらい」とのこと。
静かに淡々と紡がれる調べ。ホッと寛ぎを感じる調べです。

第11曲「嫌がらせ」は茶目っ気を感じさせる曲。
前田昭雄氏は次のような一つのエピソードを挙げています。
「若いシューマンはピアノを弾きながら子供に話しを聞かせるのが好きだったそうです。クララの少女時代に大学生のお兄さんロベルトは、お化けの話をしてクララを怖がらせたこともよくあった」とか。

第12曲「子どもは眠る」
眠っている子供ではなく、うつらうつらとまどろむ子供の状態を表しているそうです。
ゆったりと穏やかな調べで曲集では一番のお気に入りです。

第13曲「詩人は語る」
夢幻的な趣が漂う静かな曲。


曲集の一曲一曲に魅力が溢れているようです。
温かく包みこんでくれるような曲集。
エッシェンバッハのピアノからも子供の世界を垣間見る想いがするようです。
エッシェンバッハは1940年生まれだそうですのでこの曲集を録音した時は
26歳頃でしょうか。
現在76歳。
録音当時から50年が経ち、もし今エッシェンバッハがこの曲集を録音するとしたら
どのような演奏になるのでしょうか。

自分にとっては遠い遠い子供時代。
この曲集を聴きつつ過ぎ去った子供時代への回顧の想いが懐かしく
心に浮かぶとともに
シューマンの心の温もりが伝わってくるようで共鳴し感慨深く耳を傾けていました。

最後もまた、前田昭雄氏で。
この曲集についての氏の記述で心に残った一言です。
「シューマンは夢を音楽する詩人だった」

                  

タグ : シューマン 子供の情景 エッシェンバッハ

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2016.03/12(Sat)

Op.326 シューマン:「弦楽四重奏曲第1番」 by メロス四重奏団

過日、いつもお邪魔をさせていただくブログでシューマン弦楽四重奏曲の記事を
拝読しました。
忘れかけていた手持ちのシューマン弦楽四重奏曲全集を思い出しました。
第2番はブログに綴ったのですが・・・第1,3番は「そのうちに」と思いつつ
早くも2年が経ってしまったようです。
残りの2曲、第1、3番にも今度はじっくりと耳を傾けてみました。
今回は第1番。メロス四重奏団です。

                 シューマン弦楽四重奏曲第1番  
      メロス四重奏団シューマン、ブラームス弦楽四重奏曲全集より


                230シューマン弦楽四重奏曲第2番
                        (収録曲)

                        シューマン
                弦楽四重奏曲第1番イ短調op.41-1
                弦楽四重奏曲第2番ヘ長調op.41-2
                        
                      メロス四重奏団

                ヴィルヘルム・メルヒャー(1st.Vn)
                ゲルハルト・フォス(2nd.Vn)
                ヘルマン・フォス(Vla)
                ペーター・ブック(Vc)

                (録音:第1番、1987年6月
                  バンベルク、ツェントラルザール)

       第1楽章:序奏 アンダンテ・エスプレッシーヴォ イ短調 2/4拍子
       第2楽章:スケルツォ プレスト イ短調 6/8拍子
       第3楽章:アダージョ ヘ長調 4/4拍子
       第4楽章:プレストイ短調 2/2拍子


嘗て第2番の時に綴ったことと重複する点もあると思いますが
自分自身の復習も兼ねて。

シューマンは3曲の弦楽四重奏曲を残したそうです。
1842年に入り四重奏曲に対する情熱が本格的に燃えてきて
ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲の研究を始めたとのことです。
そして、書き上げられた3つの曲にシューマンは自信を持っていたそうです。
3曲とも1842年6月から7月にかけて短時日に書き上げられとのこと。

シューマンの日記には四重奏曲についての記述が散見されるそうです。
以下、シューマンの日記より主に第1番に関して抜粋引用を。

1842年 6月2日:四重奏曲を試み始める   
      6月4日:イ短調四重奏曲(第1番)に着手する
      6月6日:四重奏曲のアダージョ完成
      6月8日:我が四重奏曲かなり仕上がる
      6月10日:なおも四重奏曲に精を出す
      6月11日:第2の四重奏曲(第2番)に着手。
      6月20日:第1の弦楽四重奏曲に精を出して記入する
      6月24日:第1の四重奏曲完成。

尚、楽譜の出版までの間にシューマンは多々、修正をしたとのことです。

曲が書かれた1842年。シューマンは32歳頃でしょうか。
この年は「室内楽の年」と呼ばれているそうで
3曲の弦楽四重奏曲の他にピアノ五重奏曲変ホ長調作品44
ピアノ四重奏曲変ホ長調作品47などが作曲されたそうです。
因みに1840年「歌曲の年」、1841年「交響曲の年」とのこと。

曲の第2楽章について。

                326シューマン:弦楽四重奏曲Heinrich August Marschner
                Heinrich August Marschner
              (1795年8月16日-1861年12月14日)

シューマン家での室内楽演奏会でドイツの作曲家ハインリッヒ・マルシュナー
ピアノ三重奏曲ト短調作品112が演奏されシューマンは感銘を受けたそうです。
シューマンの弦楽四重奏曲第1番第2楽章はマルシュナーの曲の
スケルツォ楽章に刺激を受けて書かれたと言われているとのことです。
マルシュナーのものと近似しているそうです。

初演は非公開では1842年9月8日にシューマン宅で行われたそうです。
公開初演は第1、第2番が1843年1月8日にゲヴァントハウス管弦楽団の
コンサート・マスター、フェルディナント・ダヴィッドを中心とする
四重奏団によって行われたとのことです。

この曲が書かれた前後の年はシューマンにとっては「幸」な時期だったのでしょうか。
1839年にはクララと初めてのクリスマスを過ごし幸福な時を過ごしたそうです。
1840年9月12日、クララと結婚。「歌曲の年」と呼ばれる。
そして「交響曲の年」と呼ばれる1841年。
「室内楽の年」と呼ばれる1842年。
翌1843年にはメンデルスゾーンがシューマン夫妻を訪問
12月にはシューマンは指揮者としてデビュー。
シューマンの年表を見ていると順風満帆で幸せな時期だったように思われます。


第1ヴァイオリンが悲哀を込めた美しく静かな調べを奏する序奏で
始まる第1楽章。
しみじみとした旋律。耳を傾けていてジーンとするものがあります。
序奏が終わると一転して明朗な第1主題を奏する第1ヴァイオリン。
明朗さから変わってゆったりと歌うような旋律に。
希望を感じさせるような調べに心惹かれます。
再び第1主題の始めの部分が軽やかなリズムで。
展開部になり活躍する第1主題。
4つの楽器が優雅に歌うような雰囲気も感じられます。
楽器たちは楽しみつつ伸びやかに歌っているかのようです。
第1主題の調べと共に静かに閉じられる第1楽章。
歌心が溢れた美しい楽章。お気に入りになりました。

覇気、活力を感じさせるリズムで始まる第2楽章。
緊張感や勇壮な趣もある独特なリズム。
間奏曲と題された第2部の穏やかな旋律。
第3部で再び現れる冒頭のリズム。
次第に高揚感を漂わせつつ楽章の終わりに。

第3楽章は自由な変奏曲形式になっているそうです。
静かな序奏で始まる第3楽章。
序奏が終わり第1ヴァイオリンが奏する主題。
瞑想しているかのような調べです。
第1変奏でチェロが奏する主題。荘重な趣も感じます。
第1ヴァイオリンのアルペッジョのピッツィカートが印象的です。
第2変奏になり力強さが加わるようです。
第3変奏で再び現れる主題。優雅な雰囲気が漂っているようにも。
冒頭の調べで静かに閉じられる第3楽章。

力強く始まる第4楽章。
第1主題の活力を感じさせる旋律。
生き生きと奏される楽器たち。
第2主題も活力が漲るような跳躍感。
4つの楽器たちは溌剌として弾むようです。
高揚し跳躍しつつ一気に迎える曲の終わり。
生き生きとした活力が漲る楽章。


メロス四重奏団の4人が奏する楽器の一つ一つに耳を惹かれ
聴き入ってしまいます。
第1楽章の美しさ、第2楽章での印象的なリズム
第3楽章の力強さ、第4楽章での跳躍するような明るさ。
各楽章に込められた曲想が豊かに伝わってくるようです。
精彩と歌心に溢れた演奏のように感じられます。

この四重奏団名の由来を初めて知りました。
第1ヴァイオリンのMelcher の「Mel」
第2ヴァイオリンGerhard Voss と ヴィオラの Hermann voss、 Voss兄弟の
「os」の組み合わせ「Melos」に。
ラテン語で「歌」「音色」「旋律」を意味するそうです。
シューマンの弦楽四重奏曲第2番を聴いた時以上に
第1番を聴きメロス四重奏団に魅力を感じるようになってきました。

                  

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2015.06/13(Sat)

Op.288 シューマン:「チェロ協奏曲」 by シュタルケル:ジュリーニ&フィルハーモニアO.

シューマンの作品にまた疎遠になっている月日です。
「聴いてみたいなぁ」と思うのはいつもシューベルトやベートーヴェンそして
J.S.バッハ。
滅多に聴いてみたいとの思いを抱くことのないシューマンですが
1年数ヶ月振りにシューマンを。
有名曲でありながら耳を傾けることがなかったチェロ協奏曲です。

手元にあるディスクを聴いてみて親しみ(?)を感じたのが
シュタルケルジュリーニフィルハーモニアO. の演奏でした。
今日はこのディスクを聴きつつ。

           ヤーノシュ・シュタルケル EMI&エラート録音集より
                    シューマンチェロ協奏曲


                288シューマン:チェロ協奏曲ヤーノシュ・シュタルケル 

                       (収録曲)

               ハイドン:チェロ協奏曲第2番 ニ長調
               シューマンチェロ協奏曲 イ短調 Op.129
               サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番イ短調 Op. 33

                 カルロ・マリア・ジュリーニ指揮
                 フィルハーモニア管弦楽団

                (録音:1957年 ロンドン
                     キングズウェイ・ホール)

           第1楽章:あまり速すぎないように イ短調 4/4拍子
           第2楽章:緩やかに ヘ長調 4/4拍子
           第3楽章:きわめて溌剌と イ短調 2/4拍子


              288:シューマン:チェロ協奏曲Robert Schumann (Daguerreotypie, um 1850)
                    シューマン 1850年

作曲時期は1850年頃と推定されるそうです。
シューマン40歳頃でしょうか。
この年の作品には他に「交響曲第3番」があるとのことです。
晩年のシューマンが創作に意欲を向けたのは
協奏曲的作品と室内楽作品であったそうです。
チェロ協奏曲は「ピアノ協奏曲」Op.54 に続いて書かれたとのこと。
尚、曲はシューマン自身により ヴァイオリン協奏曲 イ短調 Op.129 として
編曲されたとのことです。

3楽章構成で各楽章は切れ目のない単一楽章で書かれているそうです。
独奏チェロが休止する部分が少なく
管弦楽部は伴奏の役割を持っているこの曲の原稿には
シューマン自身により「管弦楽の伴奏を持つ」、と記されているとのことです。

初演は作曲から10年を経て、シューマンの死後4年、1860年6月9日に
ライプツィヒ音楽院の演奏会において行われたそうです。
チェロ独奏はルートヴィッヒ・エーベルトとのこと。
この初演時の楽譜はマックス・ホッホコフラーにより部分的に加筆修正され
今日もこの楽譜が用いられているとのことです。


独奏チェロが奏する哀愁の漂う旋律で始まる第1楽章。
早々に顔を見せる第1主題の歌うようなチェロの調べ。
この主題は哀愁や夢見るような優しげな趣も感じられ
子守歌を連想してしまいます。
表情豊かに歌うチェロの音色と調べが琴線に触れます。
チェロで静かに奏されつつ楽章が閉じられ
静けさが維持されたまま第2楽章に。

静かに穏やかに始まる第2楽章。
弦が弱音でピッツィカートを奏するのが耳に入ります。
まるで通奏低音ででもあるかのように楽章を通じて奏されているようです。
美しくゆったりと歌い続けるチェロ。
チェロとオーケストラが情熱的に奏でられ・・・そのまま第3楽章に。

第3楽章は「きわめて溌剌に」との指定で
溌剌としてまた愉しげな雰囲気を感じる楽章です。
穏やかな第2楽章から移行したことを告げるかのように音量を上げ
活力を感じさせるオーケストラ。
オーケストラが静まるとリズミカルに奏し始めるチェロ。
チェロとオーケストラの対話も愉しげに感じられます。
コーダでのチェロのカデンツァは伸びやかで雄弁な語らいでしょうか。
弾むような愉しさや活力に満たされた楽章。
独奏チェロとオーケストラが力強く活き活きと奏されて曲の終わりに。


今回、3種の演奏でこの曲を聴いてみました。
初めに耳を傾けたのは
レナード・ローズバーンスタイン&ニューヨーク・フィルハーモニックの演奏です。
優美な曲・・・と、感嘆の想いを抱きました。
次に聴いたのが今回の主人公、シュタルケルジュリーニフィルハーモニアO.
そして最後にフルニエサージェントフィルハーモニアO. を聴いてみました。
優しい趣に・・・聴いていて夢見心地に。

冷静(?)に、また集中をして耳を傾けることができたのがシュタルケルでした。
各楽章の変化が克明に感じられ
全楽章を通じてシュタルケルのチェロから生命の息吹のようなものが
感じられるようでした。
特に第3楽章はオーケストラと共に「生」の賛歌でも聴いているようでした。
チェロに主導を与えつつも時にジュリーニフィルハーモニアO.
主導し曲を盛り上げ、控えるところでは控えめに。
好感を抱くことができる独奏者とオーケストラのように感じます。
目下のお気に入りの演奏になっています。

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