2017.07/01(Sat)

Op.394 ブルックナー:「交響曲第7番」 by ザンデルリング&シュトゥットガルト放送交響楽団

いつもお邪魔をさせていただいているブログでブルックナー交響曲第7番を
お取り挙げになられていらっしゃいました。
シュトゥットガルト放送交響楽団の2枚組です。
第7番がザンデルリングの指揮
第9番がジュリーニでした。
第9番をジュリーニの演奏で聴きたいと思っていた矢先に
こちらのディスクを知り早速、購入をしてみました。

ブルックナー交響曲入門一年生の私にとっては
第7番もじっくりと聴くのは初めてです。

                    ブルックナー交響曲第7番
                             by
            ザンデルリングシュトゥットガルト放送交響楽団


              393:ブルックナー交響曲第7番ザンデルリング&シュトゥットガルト放送響 
                           (収録曲)

                 ●ブルックナー交響曲第7番ホ長調
                      クルト・ザンデルリング指揮
                      シュトゥットガルト放送交響楽団
                 ●ブルックナー交響曲第9番ニ短調
                      カルロ・マリア・ジュリーニ指揮
                      シュトゥットガルト放送交響楽団
         (録音:第7番 1999年 シュトゥットガルト リーダー・ハレ ライヴ)
            

           第1楽章:Allegro moderato 「適度な快活さで 」
           第2楽章:Adagio. Sehr feierlich und sehr langsam 
                  「非常に荘厳にかつ緩徐に」と指定
           第3楽章:Scherzo: Sehr schnell 「非常に速く」
           第4楽章:Finale: Bewegt, doch nicht schnell
                  「快活にあまり速くなく」

交響曲第7番は第6番が完成してから20日後の1881年9月23日に着手し
1883年9月5日に完成したそうです。
ブルックナーは1883年8月にバイロイトにワーグナーの墓参をして向かった
ザンクト・フローリアンでこの作品を書き上げたとのことです。
この作品で交響曲作曲家のブルックナーの名声を国際的に高めたそうです。

第2楽章の作曲中にブルックナーが最も敬愛するワーグナーが危篤状態だったそうです。
第2楽章のアダージョについてブルックナーは指揮者のフェリックス・モットル宛ての
書簡に次のように記しているそうです。

 「ある日、家に戻る途中、大変悲しい気持ちに襲われた。ワーグナーは
 もう長くは生きていられないのではないか、と私は考えていた。
 その時、嬰ハ短調のアダージョの楽想が浮かんできたのだ」

作曲中の1883年2月13日にワーグナー死去。
第3楽章はワーグナーの死去の約3週間前、1月22日に着手をしていたそうです。

初演は曲が完成した翌年、1884年12月30日にライプツィヒ市立劇場に於いて
アルトゥール・ニキシュの指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団により
行われたそうです。
このライプツィヒの新劇場での初演はブルックナーの芸術家としての生涯にとって
記念すべきものとなったとのこと。
この初演の大成功でブルックナーの名声は上がり、やがて作品はミュンヘン他でも
取り上げられることになったそうです。
ミュンヘンでは1885年3月10日にヘルマン・レーヴィが指揮し、大成功を収めたとのこと。
指揮者レーヴィはこの第7番に対し「ベートーヴェンの死後の最も重要な交響曲」と
評したそうです。
余談になりますが、レーヴィはブルックナーのため、その作品のために多大な
尽力をしたそうです。
レーヴィはこの第7番の楽譜を出版するべく奔走し、ウィーンの出版社から1885年に
出版されることになったとのこと。
この出版を契機とし、この交響曲は急速に多くの都市で取り上げられ、それに伴い
ブルックナーは文字通り国際的な有名人となったそうです。
またこの作品をバイエルン国王ルートヴィヒ2世に献呈することに一役買ったり
バイエルンの貴族たちをブルックナーに紹介もしたとのことです。
ブルックナーは自分より年下にも拘らずレーヴィのことを自分の「芸術の親」と
常に呼ぶようになったそうです。

曲の献呈はバイエルン国王ルートヴィヒ2世に。


ザンデルリングシュトゥットガルト放送交響楽団で聴くブルックナーの第7番

ヴァイオリンの弱音で微かなトレモロを伴奏に奏され始まる第1楽章。
ヴァイオリンのトレモロを伴奏にチェロが壮大で悠とした調べの主題。
第2主題も壮大な調べを奏する管楽器たち。
第3主題では明るさも。
続くオーケストラの響きは重厚に。
音力を上げ力強く高揚を。
金管楽器が登場したり、急にリズミカルな雰囲気を経て入る展開部。
展開部で印象に残るのは第1主題の麗しい旋律と木管の響き。
後半では荘重に奏されるオーケストラの静かな調べも印象的です。
コーダで弱音でティンパニが加わり、低弦の響きが静かに続き
そして壮大にティンパニの連打の中、吹奏されるトランペット。
この楽章ではコーダが最も心に残ります。
コーダは輝きを放っているように感じます。

第2楽章はこの交響曲中で最も有名な楽章だそうです。
主要主題には「テ・デウム」の一部が使用されているとのことです。

重々しく荘重な調べで始まる第2楽章。
ブルックナーがモットル宛てに綴った書簡を想い出しつつ耳を傾けてしまいます。
「テ・デウム・」での慰めのような雰囲気。それに反して顔を出す悲痛な調べ。
悲痛な調べは暗い奈落のような暗澹たる趣。
第2主題では伸びやかに。
曲が進み「葬送音楽」と呼ばれる調べに。
弦で美しいく奏される調べ。
静かに奏されるヴァイオリンとテューバ。
再び奏される主要主題。
トランペットも加わり漂う厳粛で荘重な雰囲気。
静かに消え入るように閉じられる第2楽章。
   
弦楽器で力強く奏し始められる第3楽章。
すぐに現れるトランペット。
この主要主題は駆動するような動き。
奏されるトランペット、ティンパニからは豪壮な雰囲気が。
トリオになり一転して嵐の後の静けさでしょうか。
穏やかに奏される調べ。漂う田園的な雰囲気。
主要主題が反復され力動感をもって閉じられる第3楽章。

弦のトレモロを背景にヴァイオリンが奏され始まる第4楽章。
リズミカルな雰囲気を感じる第1主題です。
静かな流れのように歌われる第2主題。
展開でのヴァイオリンとクラリネットが愛らしく感じられるのが印象的です。
続いて管楽器が静かに奏され平和な雰囲気を感じます。
コーダでは主要動機が静かに奏され、
曲の終わりはトゥッティで華やかにそして豪壮に。


ブルックナーの交響曲シリーズ(?)が開始したようなこの頃になりました。
第9番を筆頭に、先日は第6番、そして今日は第7番に耳を傾けてみました。
ザンデルリングの他に次の2種の演奏を聴いてみました。
クレンペラー&フィルハーモニアO.(1960年録音)
クレンペラー&バイエルン放送交響楽団(1956年、ライヴ)
ともに 1885年、ノヴァーク版 と記載されています。

ブルックナーの交響曲を聴き初め第○稿、○版というものが
悩みの種でした。
こうして聴いているうちに次第に第○稿、○版は以前のように気にならなくなって
きましたが、それでも演奏を聴きつつ「?」になったりしています。

ザンデルリングの演奏を聴きつつ、7番の美しさ、荘重さに感じ入っています。
ザンデルリングは健康が衰えたクレンペラーの補佐を要請されたこともあったそうで。
私のお気に入りの指揮者クレンペラーとは無縁の指揮者ではなかったことを知りました。

こうしてブルックナーの交響曲を聴いていて感じるのは
「響きの音楽」のように思われてきました。

さて、カプリングの第9番。
ブルックナーの交響曲ではお気に入りの第9番を
クレンペラーとともにお気に入りの指揮者ジュリーニの演奏で
これから楽しみに聴いてみます。

                

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21:31  |  ブルックナー  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

2017.06/17(Sat)

Op.392 ブルックナー:「交響曲第6番」 by カイルベルト&ベルリン・フィル

ブルックナー交響曲を聴きつつ次第に多々の関心が芽生えてきている昨今です。
先日、第9番を聴き、何気なく次に6番を聴いてみました。
ブルックナー交響曲の中ではあまり話題に上がることが少ない曲でしょうか。

本来、ブルックナーの作品を目当てにディスクを求めることが少なかった長い年月。
第6番の手持ちのディスクを探しても3種しか見つかりませんでした。
今はブルックナーという人物への関心が強く、楽しさも感じている最中です。
肝心の音楽鑑賞は二の次になってしまいそうですが。

さて、第6番は改訂をされることもなかったそうで
ブルックナー交響曲に対する最大の悩みの種である第○稿、○版に
悩まされることもなさそうで・・・ホッとしています。

第6番をカイルベルトベルリン・フィルの演奏で聴いてみました。

                  ブルックナー交響曲第6番
               ヨーゼフ・カイルベルト・コレクションより

           392ブルックナー:交響曲第6番カイルベルト&ベルリン・フィル ヨーゼフ・カイルベルト・コレクション
                        (収録曲)

                ブルックナー:交響曲第6番イ長調
                R.シュトラウ:交響詩「ドン・ファン」Op.20

                 ヨーゼフ・カイルベルト指揮
                 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
                       (録音:1963年)

         第1楽章 Maestoso イ長調 2/2拍子
         第2楽章 Adagio (Sehr feierlich) ヘ長調 4/4拍子
         第3楽章 Scherzo (Nicht schnell) イ短調 3/4拍子
         第4楽章 Bewegt,doch nicht zu schnell イ短調 2/2拍子


1879年に作曲された前作の弦楽五重奏曲の作曲を終える頃には
交響曲第6番の構想を練っていたそうです。
この曲には1879年9月24日に着手し1881年9月3日に聖フローリアンで
完成したとのことです。
第1楽章は1879年9月24日に書き始められ1880年9月27日に完了。
第2楽章、1880年11月22日に完了。
第3楽章、1880年12月27日から翌1881年1月17日までに書き上げられ
第4楽章は1881年6月28日にスケッチが完了
1881年9月3日に総譜に仕上げられたそうです。

第6番を書き上げるまでに2ヵ年の年月をかけて慎重に筆を進め
また弦楽五重奏曲で体得した弦楽器の扱い形を生かすことができたこの作品は
ブルックナーとしては自信作となったそうで
細部の手直しをしただけで、改訂稿を残していないとのことです。
この曲に年月を費やした他の理由には
交響曲第4番の改訂で中断、スイス他への旅行、ウィーンの宮廷礼拝堂の仕事で
多忙な生活が2年程続いていたとのことです。

第6番は内容的には第4番以前の短調的世界の悲痛な面や諦観、内省的な
思考を追及したものから
第4番の人生の明るい面や自然のロマン的な情感に向けられた作品の延長線上に
位置する曲だそうです。
第5番で交響曲の一つの頂点を形成し
更に第6番では一層の明快さや簡明な構成を志向している、とのことです。
1870年代後半より行われた一連の作品の改訂活動から交響曲第7番以降の
後期の交響曲へと進む転換期に位置する作品だそうです。

初演は1883年2月11日にウィーン・フィルハーモニー演奏会に於いて
中間の2つの楽章のみがマーラーの先任者ヴィルヘルム・ヤーンの指揮により
行われたそうです。
この2楽章のみの演奏は全曲が長大なことと、聴衆に理解されやすいところだけ
という身勝手な配慮だったとのこと。
聴衆からは温かく迎えられたそうですが、ハンスリックを中心とするウィーンの
批評家からは冷遇をされたとのこと。

全曲の初演はマーラーに委ねられることになったそうですが
マーラーはなかなか実行しなかったとのことです。
ようやく実現に至ったのはブルックナーが死去し2年程経った
1899年2月26日のウィーン・フィルハーモニーの演奏会だったそうです。
指揮をした当時、気鋭の39歳のマーラーは完全な全曲ではなく
聴衆の支持を獲得するべく作品をかなりカット、短縮し
管弦楽法も変更をして演奏したとのことです。
ブルックナーは交響曲第6番の全曲のまともな演奏を聴くことなく
世を去ってしまったそうです。

カットも変更もない全曲の初演は1901年3月14日
ヴィルヘルム・ポーリッヒ指揮、シュトゥットガルト宮廷楽団により
行われたとのことです。

曲はブルックナーの面倒をよく見た「親切な家主」と常にブルックナーから
感謝をされていたアントン・フォン・エルツェルト=ネーヴィン夫妻に
献呈されたそうです。


カイルベルト&ベルリン・フィルで聴くブルックナーの交響曲第6番

ヴァイオリンが高音で小刻みにリズムを奏して始まる第1楽章。
第1主題を奏する低弦。重低音の奥深い響き。
重低音の響きを耳に驚愕に近い想いを感じてしまいます。
第2主題は柔らかな印象。
第3主題では一転して音量が上がり力強く奏する管楽器たちの
雄大、勇壮な趣。
速度を落とし静かな雰囲気に。
展開部では柔和な雰囲気。流れるような旋律。
瞑想的な趣も感じられるようです。
耳を傾けていると心に解放感のようなものが・・・。
コーダで力強さが戻り管楽器たちが奏し
加わる力強いティンパニの響きがもたらす高揚感。
長く続く第1主題のヴァイオリンの小刻みなリズムが印象的。
喜ばしさを歌いあげつつ閉じられる第1楽章。
明るさや優しさ、平和、喜ばしさが漂っているような楽章でしょうか。

弦の低音域で重々しく荘重に奏されて始まる第2楽章。
第1主題を奏するヴァイオリン、そして加わるオーボエ。
美しさを感じる主題です。
第2主題になり奏するヴァイオリンとチェロ。
ヴァイオリンが奏する清楚で美しい旋律。幻想的な趣も。
速度が落ち弦の重低音で奏されゆったりとした雰囲気に。
静かに奏される旋律に現れる第3主題。
第1ヴァイオリンが静かに奏する葬送を想わせる旋律は
ゆったりと歩を進めるかのよう。
展開部でのオーボエとクラリネットが奏する静かな調べも印象的。
前楽章同様に美しさを感じる旋律。
この楽章の美しさは悲歌を想わせるような趣が感じられるようです。
コーダもゆったりと美しく。
静かに奏される弦の調べで閉じられる楽章。

弦が低音で刻むリズム。
すぐに加わるヴァイオリンと木管楽器が奏する主題で始まる第3楽章。
間もなく力量を強め高揚するように。
躍動を感じさせる第1部。
休止のあとに続くトリオは
躍動感のある勇壮なリズムで生き生きとした趣。
速度が落ち各楽器たちに受け継がれる主題。
第3部は第1部のそのままの再現とのこと。
トランペットが尾を引くように奏され勇壮に終わる第3楽章。

低音弦のピッツィカーに乗り滑らかに奏されるヴァイオリンで始まる第4楽章。
第1主題では金管楽器たちが力強い華々しさを伴い吹奏され
覇気が漂っているようです。
第2主題では柔和で優しげな旋律に。
明るく喜ばしげな雰囲気。和やかさも漂っているような。
喜ばしい雰囲気の調べから次第に音力を強めて現れる第3主題。
雄大さと軽快さが入り混じっているような主題。
展開部の終わりの方に聴かれるリズムは印象的。
穏やかな木管で始まるコーダ。
暫し続く和みの美しい旋律に魅了をされていると
金管楽器たちの登場で高揚し熱情的な趣に。
力強く喜ばしい雰囲気で迎える曲の終わり。


ブルックナーがこのような交響曲を?と思ってしまうような
喜ばしく平和な楽想にブルックナーの交響曲に抱いていたイメージに
少し変化が。
第1楽章の喜ばしさを歌いあげつつ閉じられる旋律
また第4楽章の力強い喜ばしさの内に曲が閉じられ
聴いていて感動すら覚えます。

カイルベルト&ベルリン・フィルの金管楽器に耳触りな響きが感じられず
温かさを感じさせる演奏で好感を抱きます。
抑揚を抑え気味の地味(?)な演奏でしょうか。
穏やかな温もりのようなものが感じられる演奏のように思います。
手元にある3種のディスクの演奏を聴き印象に残ったのが
カイルベルト&ベルリン・フィルのこの一枚。
第6番の素晴らしさを伝えてくれた演奏。
もっと陽の目を見ても良い曲・・・と感じ入っています。

ブルックナーの第6番の次にR.シュトラウスの交響詩「ドン・ファン」が
収録されていました。
あまり耳を傾けることをしないR.シュトラウス。
第6番が終了し、自然に耳に入ってきた初めて聴く「ドン・ファン」。
想像をしていたよりも魅力が・・・改めて聴いてみることにしました。

今まで、ラックで眠っていることが多かったカイルベルトの Box でした。
Box から一枚一枚を取り出して聴き始めています。

                  

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20:30  |  ブルックナー  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

2017.06/03(Sat)

Op.390 ブルックナー「交響曲第9番」 by クレンペラー&ニュー・フィルハーモニアO.

滅多にブログに登場をしないブルックナー
第○稿やら第○版という違いが鑑賞をする前から苦手意識を持ってしまいます。
今回は思い切ってブルックナー交響曲第9番を。
ブルックナーの交響曲を聴き最初に気に入った作品です。
いざ、登場をしてもらったものの・・・どうなることやら、の心境。
お気に入りの指揮者クレンペラー&ニュー・フィルハーモニアO. です。

                  ブルックナー交響曲第9番
       ブルックナー交響曲集~クレンペラー&フィルハーモニアO.より


             390:ブルックナー:交響曲第9番(交響曲選集より) クレンペラー&フィルハーモニアO,
                        (収録曲)

              ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調 WAB.109

                 オットー・クレンペラー指揮
                 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
             (録音:1970年2月 ロンドン キングズウェイ・ホール) 


         第1楽章:Feierlich, misterioso「静かに、神秘的に」
         第2楽章:Scherzo. Bewegt, lebhaft - Trio. Schnell
               「動きをもって、生き生きと」
         第3楽章:Adagio. Langsam, feierlich「ゆっくりと、厳かに」


交響曲第9番に着手したのは第8番の初稿を完成した2日後だったそうです。
ブルックナーは譜面に「(愛する神に捧ぐ)Dem lieben Gott」と記したとのことです。
ポーランドのクラクフに所在が確認されている第1楽章のスケッチには
「1887年8月2日」との日付が記されているとのことです。
フェルディナント・レーヴェから交響曲第8番を拒絶されたブルックナーは
この新曲の創作に積極的に筆を進めることなく中断をし
数多くの旧作の改訂に取り組んだそうです。

第9番に本格的に着手をしたのは1891年に入ってからとのこと。
第1楽章は1893年12月に完成。
第2楽章は翌1894年2月、完成。
第3楽章は病気のために思うように書き進めることができなかったそうです。
1894年11月30日に総譜の完成に至ったとのこと。
1895年5月24日に終楽章に着手。11月30日まで補筆にかかったとのこと。
ブルックナーは余生を第4楽章の完成に捧げ、熟考を重ね、6種類もの総案を作り
総譜で再現部の終わり、コーダに入るところまで筆を進め体力が尽き中断。
翌1896年10月11日、午前中にこの曲に取り組んだ後
午後3時過ぎに死去をしたそうです。
曲は第3楽章の未完成作となったとのことです。

ブルックナーは生前に第9番の終楽章を完成できなかった場合
自作に「テ・デウム」を代用して使って良いと語っていたそうです。
第3楽章の後に「テ・デウム」を演奏されることもあるとのこと。

初演は1903年2月11日、フェルディナント・レーヴェの指揮で行われたそうですが
レーヴェにより大幅な書き換えがある形によるものだったとのこと。
原典稿による初演は1931年4月2日、ジークムント・フォン・ハウゼッガ―指揮
ミュンヘン・フィルハーモニーにより行われたとのことです。

出版:1903年に曲の初演の指揮をしたレーヴェが自分の名を明記せず
楽譜に相当に手を加えた総譜を出版したそうです。
その際、レーヴェは第4楽章の草稿が存在することを明らかにしなかったとのこと。
1934年に音楽学者のアルフレート・オーレルが曲の2種の版の楽譜を出版したそうです。
1種は草稿に忠実な原典版、もう1種は各楽章のスケッチと終楽章の75枚のスケッチを含むものであり、この2種は国際ブルックナー協会の全集版に収められているとのことです。
1951年にノヴァーク版、1963年にシェンフェラー版が発表されたとのこと。


クレンペラー&ニュー・フィルハーモニアO. で聴くブルックナー、交響曲第9番

弱く奏される弦を伴奏にホルンが静かに弱音で奏され第1楽章の始まり。
神秘的な雰囲気が漂う導入部です。
トゥッティでオーケストラの力強い高揚感。
第1主題では威厳を感じさせるトランペットの響きが印象的です。
ヴァイオリンのチェロのピッツィカートに続いて現れる第2主題。
弦が悠然とした趣で奏する穏やかで美しい旋律。
長く続くこの調べの美しさに哀愁も感じられるような。
いつまでも聴いていたい安らぎの歌として心に響くようです。
弦の弱いトレモロを伴奏に奏されるオーボエで始まる第3主題。
暫く続く雄大な趣。弦の重厚な響き。
ゆったりとオーケストラが歩を進めるかのように奏され
次第に音量を上げ力強く。
劇的な強烈さで叫ぶような金管楽器。
叫びが消えティンパニが弱音で響く中を重々しく奏される弦楽器たち。
再び第2主題の美しい調べが現れホッとした気分に。
ティンパニが連打し力強く閉じられる第1楽章。

弦楽器たちのリズミカルなピッツィカートの導入部で始まる第2楽章。
主題の野性味を帯びたリズムが印象的で惹かれるリズムです。
オーケストラは大胆に生き生きと奏されつつクレッシェンドで勇壮な趣に。
野性的な雰囲気が漂うこの主題は特に印象に残ります。
中間部でも軽やかなリズムに乗って奏される木管たち。
再び導入部の旋律を奏するオーケストラ。
この緊張感が伴うリズムは脳裏に刻まれ幾度聴いても新鮮。
リズムは途切れ総休止に。
現れる第2主題は美しく抒情的な調べ。
交互に現れる第1主題と第2主題。
主題が変わるたびに緊張感を抱いたり
伸びやかな弦楽器たちの調べにホッとしてみたり。 
再び現れる冒頭導入部のピッツィカート。
ティンパニの響きは緊張感を高めるよう。
野性的な趣を添えるトランペット。
勇壮で野性的な雰囲気で力強く奏され終わる第2楽章。

第3楽章の終わりには交響曲第8番のアダージョ、第7番の冒頭主題が
浄化された形で現れるそうです。

ゆったりとした旋律で重々しく始まる第3楽章。
暫し続く重厚な旋律。
緩やかに荘厳な趣で奏される金管楽器。
このパートをブルックナーは「この世からの別れ」と呼んだとのことです。
続く第2主題。
弱音で小刻みを奏されるヴァイオリンを伴奏に伸びやかに奏される金管楽器。
平安の調べのよう。
弦楽器たちの悠とした流れを想わせる調べは美しい歌。
弦のピッツィカートに静かに呼応する管楽器たち。
混沌とした雰囲。相反して光明のようなものを感じたり。
曲は回想をするかのように流れて行くように感じられます。
深々として重厚なオーケストラの響きに
あたかも天国の門が開かれたような明るさも感じます。
音量が落ち静かに奏される調べの清澄さは俗世とは隔絶され
すべてが澄み渡っているかのよう。
オーケストラが一体となり清明な世界を音として紡ぎだしているような印象を受けます。
ゆったりと奏され旋律は時の流れに終わりがなく永遠に続く時間のよう。
永遠の命の象徴のようにも想われます。
頭の回路が次第に宗教的な思考になってしまったようで・・・。
耳を傾けつつ、ブルックナーはどのような心情でこの楽章の筆を進めたのか
想いあぐねてしまいます。
気が付くと曲の終わりに。


今回聴いたディスクはクレンペラー没後40周年記念の
アニヴァーサリー・エディション(2012年発売)だそうです。
クレンペラーがEMIに遺したブルックナーの交響曲より6曲(第4,5、6、7,8、9番)を
まとめて収録したものだそうです。

以前は冗長としか感じられなかったブルックナーの作品。
第9番の第1楽章に耳を奪われ
第2楽章ではブルックナーの音楽に抱いているイメージに意外性を感じます。
好ましい意外性であり魅力を感じます。
第3楽章では耳を傾けているうちに次第に連想、想像が脳裏を占めるようになったり。
冗長と感じる間もなく惹かれつつ聴いた第9番。

ブルックナーの交響曲はあまり聴く機会がないのですが
数種、聴いた中でのお気に入りになりました。
重厚な響き、そしてテンポは遅いように感じる部分もありましたが
それもプラス因子になっているようです。
求めてから既に1年が経過してしまうこちらのディスクたち。
気長に耳を傾けて行きたいものです。

ところで、クレンペラーのこの演奏は原典稿なのでしょうか?それとも?
ご教示いただけると幸いです。
ブルックナーの交響曲はできれば原典稿で聴きたいと望んでおります。

                

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タグ : ブルックナー 交響曲第9番 クレンペラー ニュー・フィルハーモニアO.

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