2015.06/06(Sat)

Op.287 フランク;「弦楽四重奏曲」 by プラハ弦楽四重奏団

先月よりフランクの作品を聴くことがシリーズ化していましたが
今回で一区切りを。
一区切りの曲は関心を抱いていた弦楽四重奏曲です。
プラハ四重奏団の演奏です。


                 287フランク:弦楽四重奏曲 プラハSQ

                 フランク弦楽四重奏曲 ニ長調

                     プラハ弦楽四重奏団

                  (録音:1980年6月10、11、13日 
                        プラハ 芸術家の家)


          第1楽章:ポーコ・レント―アレグロ ニ長調 4/4拍子
          第2楽章:スケルツォ ヴィヴァーチェ 嬰へ短調 3/8拍子
          第3楽章:ラルゲット ロ長調 3/4拍子
          第4楽章:フィナーレ アレグロ・モルト ニ長調 2/2拍子


1889年の春ごろから草稿や覚書を記し始め
完成は翌年、1890年1月15日だそうです。
1889年10月29日に第1楽章が完成し、11月9日に第2楽章の完成
全曲の完成は翌年1890年1月15日とのことです。

フランクが遺した唯一の弦楽四重奏曲になるそうです。
フランクの室内楽の最後の重要な作品とのことです。
この作品の後には、数曲のオルガンのための曲を書いたのみだそうです。

                         ダンディ
               287:フランク;Paul Marie Théodore Vincent d’Indy
               Paul Marie Théodore Vincent d’Indy
               (1851年3月27日-1931年12月2日)

フランクの高弟でフランスの作曲家、音楽理論家であったヴァンサン・ダンディによる
伝記「セザール・フランク」によると
フランクが初めて弦楽四重奏曲を作曲しようと思い立ったのは
1878年、56歳の時に「ピアノ五重奏曲」を書いていた頃に当たるとの
ことだそうです。
当時、フランクの高弟であるダンディはしばしばフランクのピアノの上
にベートーヴェンやシューベルトの弦楽四重奏曲の楽譜が散在していたのを
目にしたそうです。
四重奏曲を作曲する計画を抱いてから10年間は胸にしまい込んでいたとのこと。

初演は1890年4月19日にサル・プレイエルの国民音楽協会の演奏会で
メッス四重奏団により行われたそうです。
蛇足ながら当時、国民音楽協会の会長を務めていたのがフランクだったそうです。
フランクの逝去に伴い後任はダンディだったとのことです。
初演は大成功でフランクは何回かステージに呼び出されるほどに
一般聴衆から熱狂的に歓迎されとのことです。
フランクは「自分の音楽をやっと皆が理解してくれるようになった」と
喜んだそうです。
この初演の7カ月後、11月8日にフランクは68歳で逝去したとのことです。


第1楽章の始まりは歌うように調べを奏する第1ヴァイオリンの序奏で。
悠として重々しい響きで奏する他の弦楽器。
チェロが現れゆったりと歌い
歌い続けているヴァイオリンの美しい調べ。
展開部では速度も上がり忙しげな印象を受けるものの
再び戻る穏やかさ。
静かに終わる第1楽章。
抒情性を感じる楽章で淡々とした趣も魅力。
特に序奏部が印象的に感じられます。

駆け巡るような音符たちの導入で始まる第2楽章。
落ち着きを取り戻したように主題が穏やかに。
弦のピッツィカートで楽章の終わりに。

抒情的で美しい旋律で始まる第3楽章。
中間部で情熱的な趣を感じる以外は
全体として美しさと瞑想的な雰囲気が漂っているように感じられます。
耳を傾けつつ、いつしか無心の心境に。
束の間の高揚感を経て閉じられる楽章。

第4楽章は従来のソナタ形式を超越した楽章とのことです。
表面的な特徴は881小節からなる長大さ
そして各楽章の主題を原型で回想する点、だそうです。
劇的な「動」と穏やかな「静」を繰り返して始まる楽章。
躍動的でありエネルギッシュさに溢れているようです。
楽章を通して4つの楽器が活き活きと感じられます。
大きなスケール感を伴いつつ終曲。


聴く前には演奏時間が約50分との表記を目にして
「長いなぁ」と感じ躊躇もしてしまいました。
耳を傾けているうちに、時間を忘れ曲に惹き込まれていました。
音楽を聴いていながら可笑しな表現になりますが
視覚的な面白さを感じさせられるような曲。
フランクの曲を聴き始めてから一曲ごとにその想いが強くなるようです。

プラハ四重奏団の演奏で聴いた弦楽四重奏曲。
聴いていてホッとしたり、緊迫感も。
曲自体が惹き込む魅力があるとともに
演奏も如実に曲想を再現しているように感じられました。

フランクの作品では「ミサ曲」も気になっているのですが
いつか聴くことができたら、と願いつつ。

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20:04  |  フランク  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2015.05/23(Sat)

Op.285 フランク:「ピアノ五重奏曲」 by リヒテル&ボロディン四重奏団

フランクの曲を聴くシリーズ(?)も今回で第4回目になりました。
今日は「ピアノ五重奏曲」です。
この作品もまた、初めて耳を傾ける曲です。
リヒテルは今年2015年に生誕100年を迎えたそうで
その記念BOXからリヒテルのピアノとボロディン四重奏団の演奏で聴いてみました。

      スヴィヤトスラフ・リヒテル~デッカ、フィリップス、DG録音全集より
                    フランクピアノ五重奏曲


                 285:フランク:ピアノ五重奏曲スヴィヤトスラフ・リヒテル/デッカ、フィリップス、DG録音全集(51CD)

                         (収録曲)

            フランクピアノ五重奏曲 ヘ短調
            リスト:「詩的で宗教的な調べ」より S173 第4&9番
            リスト:アヴェ・マリア S182

                     スヴャトスラフ・リヒテル(P)
                     ボロディン四重奏団

                 (録音:フランク 1986年 モスクワ)


       第1楽章:モルト・モデラート・クアジ・レント ヘ短調 4/4拍子
       第2楽章:レント・コン・モルト・センティメント イ短調 12/8拍子
       第3楽章:アレグロ・ノン・トロッポ・マ・コン・フォーコ ヘ長調 3/4拍子


作曲されたのは1878年から翌年、1879年にかけてだそうです。
フランクの傑作曲の中で最も早く作曲されたのがこのピアノ五重奏曲とのこと。
フランクにとって室内楽作品としては約40年振りに作曲されたものだそうです。

20歳頃から創作活動を始めていたフランクの創作期は
3つに分けられるとのことです。
第1期は、1841年から始まり
第2期が1858年から
そして第3期が1876年から1890年まで、になるそうです。

室内楽で傑出した曲は第3期の作品で
ピアノ五重奏曲」「ヴァイオリン・ソナタ」そして「弦楽四重奏曲」の3曲とのことです。
尚、第3期での傑出した他の作品では「交響的変奏曲」「交響曲ニ短調」。

初演は1880年1月17日に国民音楽協会(Societe Nationale de Musique)の
演奏会に於いて。
サン=サーンスのピアノ、マルシック四重奏団の演奏で行われたそうです。

曲は初演の際にステージ上でサン=サーンスに献呈されたそうです。
が、サン=サーンスはフランクから渡された自筆譜を
ピアノの上に放り出して帰ってしまったそうです。
献呈辞「わが友、サン=サーンスへ」と付けられたその自筆譜は
その後、ピアノ製作者プレイエルの使用人により紙屑の山から発見されたとのこと。


第1楽章は情熱的に奏される第1ヴァイオリンでの始まり。
これは序奏主題になっているそうです。
ヴァイオリンに替わりピアノが登場して奏でる幻想的な調べ。
この序奏は44小節とのことです。
第1主題でのピアノとヴァイオリンの対話。
ピアノの小刻みな伴奏でヴィオラが歌う第2主題が印象的です。
曲が進みピアノの流麗な伴奏にヴァイオリンが歌う穏やかな調べは
束の間の憩いのようです。
ヴァイオリン・ソナタからも感じたものと同種の
其処此処に漂う幻想的な美しさと寂寥が混合されたような調べには
魅了されるものがあります。
穏やかさが次第に激情的な雰囲気にと転じ
穏やかさと激情が現れては消えるようです。
静かに終わりを迎える楽章。

柔和な調べで始まる第2楽章。
静かに穏やかに第1ヴァイオリンが歌う調べ。
ヴァイオリンに寄り添うピアノも穏やかな趣を感じさせます。
第1ヴァイオリンとピアノの対話が印象的です。
ピアノとヴァイオリンが朴訥と呟いているような楽章でしょうか。

第3楽章は全528小節中、序奏部は70小節余りとのことですが
調性は確定されていないそうです。
尚、楽章全体も明確な調整は長く保たれることがなく
多彩な転調が繰り広げられているそうです。
ヴァイオリン(第2)の忙しげな動きで始まる第3楽章。
ピアノと弦楽器の跳躍感。
ピアノに愛らしい調べが現れ耳をそばだててしまいます。
展開部での重厚な趣。
ピアノの力強い打鍵と跳躍するような弦楽器の高揚する旋律。
圧倒されるような壮大な趣。
速度を上げて力強く駆け抜けるように迎える曲の終わり。


曲が終わり、いつもの癖で出る溜め息。
曲に惹き込まれて耳を傾け
集中すればするほどに曲が終わった時に出てしまう溜め息です。

緊張に包みこまれるような曲に感じられ
憩い、寛ぎとは無縁の曲でしょうか。
3つの楽章は3兄弟のように似通っているような印象も受けてしまいました。
リヒテルのピアノの存在感は際立っているように感じられます。
ボロディン四重奏団は第1、2楽章では影の薄さを感じてしまいました。
ピアノ五重奏曲を聴いているというより
ヴァイオリン・ソナタを鑑賞しているような錯覚を抱いたり。
ですが、全曲が終了して大曲を聴き終えたような気分に満たされました。

さて、今月の第1週から始まったフランクの作品を聴くシリーズも
そろそろ終盤に。
弦楽四重奏曲を聴くのが楽しみになっている今日この頃です。

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19:55  |  フランク  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2015.05/16(Sat)

Op.284 フランク:「天使の糧」 by カレーラス

フランクの作品を聴くシリーズのようになってきました。
フランクの「ヴァイオリン・ソナタ」から始まり
前回の「交響曲 ニ短調」と続いてきました。
そして、今回は
“Panis angelicum” 邦題「天使の糧」あるいは「天使のパン」です。

この曲を初めて耳にしたのは一昔前頃に求めたディスクで
ホセ・カレーラスの歌でした。
手持ちのカレーラスのディスクの中で
最も気に入っているディスク「passion」に収録されています。
美しい旋律でとても気に入っている曲。
ですが、当時、この曲の作曲者名を確認することもなく
フランクの作曲と気付くこともなく耳を傾けていました。
今回、フランクのディスクを探していて初めて気付いた有様です。
久々振りに「天使の糧」に耳を傾けてみました。

               ホセ・カレーラス「passion」より
                     フランク:「天使の糧


                284カレーラスPassion~フランク「天使の糧」

                 ホセ・カレーラス(T)
                 ロンドン・エンジェル・オーケストラ 他

                       (録音:1995年)


作曲されたのは1872年だそうです。
「ミサ曲」イ長調作品12の中の曲とのことです。
1860年に「3声のミサ曲」の中の合唱曲として作曲し
すでに1858年に作曲されていた「荘厳ミサ曲」を1872年に改作した際に
独唱曲として追加されたのがこの「天使の糧」だそうです。
テノール独唱でオルガン、ハープ、チェロとコントラバスが伴奏とのこと。
「ミサ曲」は典礼ミサの
Kyrie ; Gloria ; Credo ; Sanctus ;Panis angelicus ; Agnus Dei
6曲から構成されているそうです。

歌詞は中世の神学者、聖人のトマス・アクィナスが聖体祝日のために書いた
讃美歌 “Sacris Solemniis”の最後の2節から取られているそうです。
この最後の2節のうちフランクは1節目だけに付曲をし2回繰り返されるとのこと。
フランクの声楽曲の中では最もよく歌われるもので
普通、シャルル・スコットの編曲により歌われるそうです。

この曲はカトリック聖歌集第527番「パニス・アンジエリクス」であることを
知りました。
すでに無縁となったカトリック教会で30余年以上使用していた
カトリック聖歌集を手にしてみました。
聖歌集ではラテン語の原題がカタカナ表記されているだけでした。
聖体賛美の曲として聖体拝領の時に歌われるものだそうです。

久々振りに聴き旋律の美しさ・・・言葉を見失ってしまいそうな美しさ。

カレーラスのこちらのディスクには
ブラームスやドヴォルザークの交響曲、ショパン、リストのピアノ曲や
アルビノーニ、モーツァルト、ベートーヴェンなどの馴染み深い旋律を
集めた歌が収録されています。
どの曲もカレーラスの歌唱で聴くと胸に迫るものを感じてしまいます。
さて、「天使の糧」ですがカレーラスの歌唱でしか聴いたことがないのです。

1節目最後の “Pauper, servus et humilis” を繰り返して歌っています。
リピートして歌われることで心に響き感銘も深まるようです。
美しく荘厳な趣が漂う調べ。
静かに奏される弦楽器の伴奏とカレーラスの真摯な歌声、歌唱。
耳を傾けていると心が浄化されるようです。
素朴で清楚な趣を湛えた心に沁み入る曲です。

フランク作曲の「ミサ曲」作品12 の一部の「天使の糧」だけでなく
「ミサ曲」の全曲を聴いてみたくなりました。
発売されているディスクを探したのですが極端に少ないようで。
いつか聴いてみたいものです。


You Tube から拝借。一応、貼ってみます。

  
      カレーラス:1995年12月クリスマス、ウィーン。ウィーン交響楽団他


  

     わんぱぐさん:小鳥と

 
              フランク「天使の糧」:Panis angelicum
                        (詩:Thomas Aquinas)

                (原詩引用)

                Panis angelicus
                fit panis hominum;
                Dat panis cœlicus
                figuris terminum:
                O res mirabilis!
                Manducat Dominum
                Pauper, servus et humilis.

                Te trina Deitas
                unaque poscimus:
                Sic nos tu visita,
                sicut te colimus;
                Per tuas semitas
                duc nos quo tendimus,
                Ad lucem quam inhabitas.
                Amen.


                天使のパンは
                人のパンとなった、
                天のパンであって 
                旧約の前表を全うした。
                ああ感嘆すべきことよ、
                貧しい者、しもべ、
                および卑しい者が 
                主を食しまつるとは。

                三位一体の神よ、
                私たちは主を奉ずる者ですから、
                願わくは私たちを
                訪れ給え。
                また主の道によって
                私たちの仰ぐところ、
                すなわち主の住み給う光に
                導き給え。
                            (カトリック聖歌集より引用)


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19:39  |  フランク  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2015.05/12(Tue)

Op.283 フランク:「交響曲 ニ短調」 by クレンペラー&ニュー・フィルハーモニアO.

前回、フランクのヴァイオリン・ソナタを聴きすっかり魅了をされ
フランクの人柄にも関心を抱き始めました。

前回、お寄せいただきましたコメントを拝読し
フランクの「交響曲ニ短調」を聴いてみることにしました。
手持ちのディスクの中に収録されていないかと、またもや、ディスク探しです。
CDリストを作成しておけばよかった、と後悔しつつも
最早、手も足も出ない状況になってしまい、諦めました。
探す、探す・・独りごとをしつつ、ひたすら・・・探す、探す、の作業。
やっと見つかりました。
クレンペラー&ニューフィルハーモニアO.
そしてトスカニーニ&NBC響 のディスクです。
ディスク探し中に聴いてみたかったフランクのピアノ五重奏曲も見つかり
後日の楽しみになってきました。

フランクの人となり、について関心を抱き
人柄を知るにつれ、共鳴することが多い作曲家になりました。
作品に共感、共鳴することは多々あっても
その作曲家に対して共鳴することは多くはないのですが。
私にとっては強く惹かれる人柄のフランクです。

早々に寄り道をして、志鳥英八郎氏 他の記述を参考に自分のメモとして。

フランクは1822年12月10日にベルギーのリエージュにおいて
裕福な銀行家の息子として誕生したそうです。
父親はフランクを立派なピアニストにしたいという希望を持っていたとのことで
父の希望でフランクは15歳の時にパリ音楽院に入学。
ところが、オルガンの魅力に取り付かれしまったそうです。
父親の期待を裏切り、オルガ二ストとしての道を歩むようになったフランク。
オルガンの腕は、後に「バッハの再来」と讃えられたほど
素晴らしいものだったそうです。
38歳の時に、サン・クロティルド教会(有名な教会だそうですが)の
オルガ二ストに迎えられ、終生この教会のパイプ・オルガンの響きを愛し続け
オルガンとともに生き抜いたそうです。
オルガ二ストを務める傍らツコツと作品を書いていたそうです。
それらの作品は長い間、世に認められなかったとのこと。
また、彼には世間一般の出世欲というものが、まったくと言ってよいほど
なかったそうです。
静かにバッハとベートーヴェンを研究し、それを祖先として
自分の音楽を築いていったとのことです。
それは、世代の時流に対する無言の、そして厳しい抗議だったと。
そのようなフランクの真摯な態度は真剣に音楽を考える若い作曲家たちを
惹きつけたとのことです。
フランクの周囲には真の芸術家が集まり、自然に一つの楽派
フランク・ダンディ楽派が形成されたそうです。
衰亡に瀕していた古典主義的な純粋音楽をフランスに復興することを
理想としていたとのこと。
フランクは宗教的感動や哲学的思索を音楽によって表現しようとした、そうです。
また、音楽で思索する人であったそうです。

華々しい世俗的成功を求めることがなかったフランクは
自分の作品が評判にならなくても一向に気を止めることなく
断固として我が道を歩んで行ったとのことです。
この交響曲が初演された時も評判は良くなかったそうですが
家族に「演奏はいかがでしたか」と尋ねられてもフランク自身は超然として
「私の考えていたとおり、とても良い曲だったよ・・・・」
と答えたそうです。

前置きで終わってしまうくらいに長くなりましたが
初めて耳を傾けてみたフランクの交響曲。
クレンペラー&ニュー・フィルハーモニアO. とトスカニーニ&NBC響で聴いてみました。
最初はトスカニーニの演奏が気に入っていたのですが
繰り返し聴くうちに手に取るディスクはクレンペラーになっていました。

            クレンペラー ロマン派交響曲集、序曲集より
                   フランク:交響曲ニ短調


                 283フランク:クレンペラー ロマン派交響曲集、序曲集 

                 オットー・クレンペラー指揮
                 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

           (録音:1966年2月 ロンドン アビー・ロードスタジオ)


            第1楽章 レント―アレグロ・ノン・トロッポ 2/2拍子
            第2楽章 アレグレット 3/4拍子
            第3楽章 アレグロ・ノン・トロッポ 2/2拍子


作曲されたのは1885年から1886年(1888年8月22日完成、との記述も)にかけて。
初演は1887年1月9日(1889年2月17日との記述もあるようですが)に
パリ音楽院に於いて行われたそうです。
初演の評判は良くなかったとのこと。
オペラ「ファウスト」で名声を上げたグノーは
「この曲は、作曲者が無能であるということを肯定し、且つ、それを教義のように引き延ばしたものである」と酷評したとのことです。
総譜はフランクにピアノと作曲を師事した最初の弟子で
フランス後期ロマン派の作曲家アンリ・デュパルクに捧げられたそうです。


第1楽章全体はニ短調とヘ短調の2つの調性の共存という形で
構成されているそうです。
ゆったりと重厚な響きで始まる序奏。
ヴィオラ、チェロ、コントラバスの重々しい響きには荘厳さも感じられるようです。
これが循環動機になっているとのこと。
印象に刻まれる序奏であり循環動機です。
そしてヴァイオリンたちの奏する熱情的な旋律が現れ
これはギイ・ロパルツにより<希望の動機>と名付けられたとのこと。
この動機の旋律の美しさに耳を奪われます。
旋律が進み高揚感を漂わせるオーケストラ。
トゥッティでの第2主題をギイ・ロパルツは<信仰の動機>と名付けたそうです。
力強い壮大さを感じさせ悠として閉じられる第1楽章。

第2楽章は4つの主題からなっているそうです。
このように幾つかの異なる主題を組み合わせる手法は
フランクが最も得意とするものだそうです。
弦のピッツィカートとハープが奏する始まり。
これが循環動機からなる主題になっているそうです。
弦とハープが一歩、一歩、慎重に歩みを刻み進んでいるかのようです。
漂う幻想的な趣。
懐古するような美しい哀切の調べも漂っているよう。
3つの楽章のうちでは一番、歌心を感じる楽章でしょうか。
流麗な歌、美しい歌、哀切を感じさせる歌、多彩な歌の変容のようです。
いずれも静かな歌として耳に伝わってきます。
ハープの音色で静かに閉じられる第2楽章。
悠然とした雰囲気が漂いお気に入りの楽章になりました。

力強く壮大に始まる第3楽章。
循環動機にロパルツが名付けた動機たちが集合するような楽章。
第1主題でチェロとバス―ンが奏する歓喜に満ちた旋律<歓喜の動機>を。
流麗な旋律が現れ第2主題の<勝利の動機>
弱音で静かに旋律が奏される<苦悩の動機>
再び現れ力強く高揚する<歓喜の動機>
続く<勝利の主題>の勇壮さ。
劇的な趣が去り、戻る静かな旋律。
そして再度現れる<信仰の動機>と<歓喜の動機>
最後に<歓喜の動機>で力強く勇壮に曲の終結に。


               283:フランク:交響曲ニ短調Joseph Guy Marie Ropartz
                   Joseph Guy Marie Ropartz
                (1864年6月15日-1955年11月22日)

この曲の中で<・・・の動機>と名付けたギイ・ロパルツは
フランスの作曲家でフランク・ダンディ楽派の伝統に則り作曲をしたそうです。
第1楽章での<希望の動機><信仰の動機>
第3楽章<歓喜の主題><勝利の主題>そして新しく加わった<苦悩の動機>
ロパルツによる <…の動機> との名付け方は
曲をより一層身近に感じさせる手助けになるようです。
印象に残るのは<歓喜の動機>です。
また、この曲に耳を傾けているうちに物語性のようなものが感じられるようでした。

クレンペラーの演奏は
フランクの泰然自若とした人柄を偲ばせるかのように感じられます。
重厚、どっしりとした構え、悠然とした演奏。
トスカニーニは録音が1940年12月14日&1946年3月24日と記載されています。
重厚かつ活力が漲るような印象を受ける演奏です。
第3楽章では気迫も感じられるようです。

この曲を繰り返し聴いているうちに魅了されるものが次第に増幅してくるようです。
親しい友に出会ったような印象を抱く曲になってきました。


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20:15  |  フランク  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

2015.05/02(Sat)

Op.282 フランク:「ヴァイオリン・ソナタ」 by オイストラフ&ヤンポルスキー

フランクの作品に耳を傾けることもなく長い年月が過ぎてしまいました。
以前、ブログ仲間の御方がフランクの作品を記事にされたものを拝読し
初めてフランクの曲を聴いてみたい、との感情が芽生えました。

フランクの作品をお目当てにディスクを求めることもなく過ぎてしまった長い年月。
「ヴァイオリン・ソナタ」も聴いてみたいと・・・。
ヴァイオリン・ソナタはディスクを購入しないと聴くことができない、と思っていた矢先
たまたま、他のディスクを探している最中に「あった!フランクのヴァイオリン・ソナタ」。

何やら、次々とフランクのヴァイオリン・ソナタのディスクが出てきました。
数種のディスクが見つかりましたがすべて未聴のままCDラックで眠り続けていました。
その中の一枚でパールマン&アルゲリッチはお目当てのベートーヴェンの
ヴァイオリン・ソナタ「クロイツェル」を聴き、その際にフランクの曲も聴いていた筈なのですが。
まったく印象に残らないままCDラックに。
他の演奏ではメニューイン&ルイス・ケントナー
そしてオイストラフ&ヤンポルスキー も取り出してみました。
各ディスクに耳を傾けてみて気に入ったのがオイストラフでした。

私にとっては未知の作曲家に等しいフランク。
顏すら知らない有様で・・・。

                 282フランクCésar Auguste Jean Guillaume Hubert Franck
         César Auguste Jean Guillaume Hubert Franck
               (1822年12月10日-1890年11月8日)

          オイストラフ:コンプリートEMIレコーディングスより
                282オイストラフ.コンプリートEMIレコーディングス

             フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 OP.120
              
                ダヴィド・オイストラフ(Vn)
                ウラディミール・ヤンポルスキー(P)

             (録音(モノラル):1954年6月8日 ストックホルム)
        

          第1楽章:アレグレット・ベン・モデラート イ長調 9/8拍子
          第2楽章:アレグロ ニ短調 4/4拍子
          第3楽章:レチタティーヴォ ファンタジア 2/2拍子
          第4楽章:アレグレット・ポーコ・モッソ イ長調 2/2拍子


作曲されたのはフランクが64歳の時、1886年だったそうです。
フランクが唯一残したヴァイオリン・ソナタとのこと。
ヴァイオリン曲の中で最高峰の一つ、人気のある有名曲であるということも
今回、初めて知った有様です。

曲は4楽章構成でフランクが慣用形とする全曲を通じて現れる循環形式で
書かれているとのことです。
この曲では第1楽章の第1主題の最初の上昇下降する旋律形が
全曲を通じての基礎的楽想になっているそうです。

大器晩成だったフランクは1879年の「ピアノ五重奏曲」により
ごく一部の専門家の注意を引き
このヴァイオリン・ソナタによってようやくフランクに対する正しい認識が
芽生え始めたそうです。
ですが、一般大衆には彼の音楽は理解するところとはならなかった、とのことです。
大衆の喝采を博したのはフランク最後の年となった1890年に発表された
「弦楽四重奏曲」だったそうです。
大衆にも受け容れられるようになったこの年、1890年、フランクは逝去。

フランクが当時フランスにおいて顧みられなかった原因として
大木正興氏は次のように記述されています。

「極めて軽いサロン風な音楽あるいは歌劇にしか魅力を感じることのできなかった大衆の前に、ドイツ古典音楽の知的な構成力を持ち、そのうえにフランスの伝統的な感性を極めて純度高く持った抽象的な音楽を提供したためであった。」

フランクは自身の音楽が大衆に容易に受け容れ難いことを知りつつも
当時の時流に黙々と反抗を続け自分の音楽を開拓していった、そうです。
そのようなフランクの人間性にも惹かれるようになりました。

               (wikiアメリカ)イザイEugène Ysaÿe
                    Eugène Auguste Ysaÿe
                (1858年7月16日-1931年5月12日)

この曲は友人でフランクと同郷のリエージュー生まれで
ベルギーの作曲家、大ヴァイオリ二スト、ユジェーヌ・イザイに捧げられたそうです。
1875年に初めてイザイがパリに現れて以来、フランクと親交を結んだとのこと。
この曲はイザイの1886年9月26日の結婚の祝いとして贈られたそうです。

初演は1886年に故国のブリュッセルに於いてイザイのヴァイオリンと
フランスのピアニスト、ボル・デ・ぺーヌ夫人により行われたそうです。


第1楽章はピアノの静かに呟くような序奏での始まり。
ピアノの短い序奏が終わりヴァイオリンが奏でる旋律。
この第1主題は神秘的、また眩惑的とも感じられる趣。
美しい調べです。
時々、耳にしていた旋律のようです。
そしてピアノが歌う第2主題は第1主題に似た趣。
ヴァイオリンとピアノが静かに歌う美しい楽章のように感じられます。

荒々しさを感じさせるようなピアノで始まる第2楽章。
緊張感が漂っているようにも感じられます。
第1主題は基本楽想を用いたものとのことです。
第2主題の旋律は緊張感から解放され美しい調べに。
ヴァイオリンとピアノの静かな応答。
次第に高揚し華麗な雰囲気も漂っているようです。
静かな調べが戻り聴き入ってると
激情するかのよう閉じられる楽章。

第3楽章は従来のヴァイオリン・ソナタでは見られない独創的な形式とのことです。
ピアノの重厚な響きでの始まり。
幻想的な調べで応答するヴァイオリンとピアノ。
ヴァイオリンが奏でる抒情的な歌。
美しく歌い続けるヴァイオリン。
顔を出す第1楽章の第1主題。
時に現れる情熱的な調べ。
楽章の終わりは静けさのうちに。

第1、2、3楽章の主題たちが総出で現れる第4楽章。
ヴァイオリとピアノの奏する親しみを感じさせる和やかな調べ。
優雅な愛らしさが漂うロンド主題も印象的です。
ピアノの愛らしさ、ヴァイオリンの親しみ易さを経て
力強くピアノとヴァイオリンが高揚するかのように奏され
再びロンド主題が現れホッとしていると
ピアノとヴァイオリンが奏する華やかな躍動感のうちに曲の終了。


この曲はヴァイオリンとピアノが対等に扱われているとのこと。
パールマン&アルゲリッチ、メニューイン&ケントナーもスケールの大きな
演奏を聴かせてくれるようです。
が、私にとっては小じんまりとした趣を感じるオイストラフ&ヤンポルスキーが
気に入っています。
他の演奏からは感じられない素朴な美しさ、抒情性に惹かれています。

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タグ : フランク ヴァイオリン・ソナタ オイストラス

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