2017.04/29(Sat)

Op.385 フォーレ:「ヴァイオリン・ソナタ第1番」 by フェラス&バルビゼ

フォーレのヴァイオリン・ソナタを聴いたことがないと思っていたのですが
ソナタ第2番は一年ほど前に既に聴いていたようです。
聴いた曲も忘れてしまったりetc.・・・年齢的に憂慮すべき兆候でしょうか。

昨年の春、第1番、2番を聴き気に入った第2番を拙ブログで云々していました。
第1番の方は当時、1回聴いただけで今日に至ってしまいました。
第1番を聴きつつ、一年ほどの時の経過とともに
フォーレの音楽に対する感じ方に変化が起きてきたように感じます。
本来の自分に戻ったと言うべきかも知れませんが。

昔々のLP時代に聴いたクリスティアン・フェラス。
懐かしさで求めた廉価盤Box から聴いてみました。

                フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番
                クリスティアン・フェラス名演集より


                385:フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 フェラス&バルビゼ
                         (収録曲)
            フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番 イ長調 Op.13
                  ヴァイオリン・ソナタ第2番 ホ短調 Op.108

                    クリスティアン・フェラス(Vn)
                    ピエール・バルビゼ(P)
                (録音:第1番 1957年;第2番 1953年)


               第1楽章:Allegro molto イ長調 2/2拍子
               第2楽章:Andante ニ短調 9/8拍子
               第3楽章:Allegro vivo イ長調 2/8拍子
               第4楽章:Allegro quasi presto 6/8拍子


作曲されたのは1876年
フォーレの作品では最初期に属するそうです。
このソナタが作曲される年までにフォーレは「夢のあとに」などの歌曲を
33曲、作品番号にして13、合唱曲を3曲、ピアノ曲を14曲、作曲出版を
していたそうです.
声楽とピアノ以外の領域での作曲はこの曲が最初だったとのことです。
曲が書かれたのはサン=トレノの教会オルガ二ストとして在職中の31歳頃に。
この第1番の作曲の後、40年を経て第2番が作曲されたとのこと。

初演は1877年1月27日、国民音楽協会の演奏会において
マリー・タヨーのヴァイオリン、フォーレ自身のピアノにより行われたそうです。

フェラス&バルビゼで聴くフォーレのヴァイオリン・ソナタ第1番

ピアノが奏する美しい第1主題で始まる第1楽章。
旋律を繰り返すヴァイオリン。
優しく美しい調べです。
次にヴァイオリンで奏し始められる第2主題。
夢見るように、そして憧れを感じさせるようです。
ヴァイオリンに呼応するピアノ。
ピアノはヴァイオリンにしっかりと寄り添うように。
フェラスとバルビゼの温もり、柔らかさを感じさせるように奏される旋律。
ヴァイオリンとピアノが流麗な調べを奏しつつ閉じられる第1楽章。

低音でゆっくりと奏されるピアノで始まる第2楽章。
すぐにヴァイオリンの主奏に。
ピアノが奏するリズムを伴奏に歌うヴァイオリン。
甘美な歌です。
気が付くと第2主題に。
ヴァイオリンの歌に加わるピアノは積極的な趣で。
中間部で第1主題をゆったりと歌うヴァイオリン。
ピアノは呟きのような伴奏を。
第1主題から第2主題へと奏される旋律。
ヴァイオリンとピアノが名残惜しそうに奏され終わる第2楽章。
前楽章と同じように美しく、憧れ、夢を感じる楽章でしょうか。 

ヴァイオリンとピアノ、2つの楽器の目まぐるしい動きで始まる第3楽章。
ピアノの駆け抜けるような伴奏に
ピッツィカートを織り交ぜつつ奏されるヴァイオリン。
2つの楽器からはユーモラスな雰囲気も感じられるようです。
トリオでは落ち着きを感じさせるもの
再び目まぐるしく駆け巡りつつ奏され閉じられる楽章。

ヴァイオリンが軽やかに奏され始まる第4楽章。
ピアノが軽快に伴奏を。
軽やかで美しいこの主題。
音力が強くなり熱情的な雰囲気へと変化する2つの楽器。
活気のあるヴァイオリンとピアノは力強く応酬をしているかのよう。
華麗に力強く迎える曲の終わり。


美しい曲。
フォーレのヴァイオリン・ソナタ第2番を聴いてから1年程が経ち
当時は旋律の美しさに魅了をされ感銘を受けたものでした。
この作品でもフォーレの音楽の美しさを堪能をさせてくれるようです。
美しい・・・ですが、その美しさがシャボン玉のように想うようになりました。
耳には快いのですが、残ることなく消え去ってしまうような美しさ。
少なくとも個人的には心を打つ美しさではないように感じられてしまいます。

フェラスのヴァイオリンが素直な雰囲気で耳に伝わってくるようです。
昔々、耳にしたフェラスの演奏に懐かしさを感じつつ耳を傾けておりました。
フェラスの共演者として名高いバルビゼのピアノは初めて聴くものです。
第2楽章でのバルビゼのピアノが奏するリズムが印象的です。
ヴァイオリンとのバランスを保ち良きパートナー的存在のように感じられます。
ショップ・サイトの解説で知ったのですが
バルビゼは1963年から亡くなるまでマルセイユ音楽院の院長も務めたとのことです。
この曲の録音当時、フェラスェは華々しく活躍し
バルビゼはマルセイユ音楽院院長として駆け出した頃でしょうか。

前途洋々な若い日のフェラスとバルビゼの
美しくも生き生きとしたフォーレのように感じられました。

                  

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2016.04/23(Sat)

Op.332:フォーレ:「弦楽四重奏曲」 by エベーヌ四重奏団

フォーレの室内楽作品全集5枚組が届いた時
最初に聴いたのが弦楽四重奏曲でした。
この全集に愛着を感じさせてくれる作品でした。
その日より2ケ月が過ぎ去りました。
この2ケ月間を振り返り、今では想い出深く、思い入れのあるフォーレの作品になった弦楽四重奏曲
今回はこの弦楽四重奏曲を。
演奏はエベーヌ四重奏団です。

                   フォーレ弦楽四重奏曲
           エベーヌ四重奏団フォーレ室内楽作品全集より


            324フォーレ室内楽作品全集 カプソン兄弟、ダルベルトエベーヌ四重奏団etc.
                        (収録曲)

                 ピアノ三重奏曲 ニ短調 Op.120
                 弦楽四重奏曲 ホ短調 Op.121

                     (エベーヌ四重奏団
                   ピエール・コロンブ(Vn)
                   ガブリエル・ル・マガドゥア(Vn)
                   マチュー・エルツォグ(Vla)
                   ラファエル・メルラン(Vc)
                      (録音:2008年7月)


            第1楽章:アレグロ・モデラート ホ短調 2/2拍子
            第2楽章:アンダンテ イ短調 4/4拍子
            第3楽章:アレグロ ホ短調 4/4拍子


曲は1923年8月から1924年9月にかけて
フォーレ78歳の時に書かれたそうです。
フォーレの最後の室内楽作品であり、また最後の作品とのことです。
この曲の完成の約2ケ月後、1924年11月4日、フォーレ永眠。

曲で最初に書かれたのは第2楽章で9月12日に完成し
次に第1楽章が秋にパリの自宅で書かれたそうです。
終楽章は1924年6月から約1ヶ月間、ディボンヌのホテルに滞在していた時に
着手されたとのことです。
ホテルは静かな環境でテラスからの眺望はアルプスの景色に囲まれていたそうです。

初演はフォーレの死後、1925年6月12日に国民音楽協会の演奏会において
ヴァイオリン、ジャック・ティボーとロベール・クレットリー
ヴィオラ、モーリス・ヴィユー、チェロ、アンドレ・エッキングにより行われたそうです。

フォーレは曲の演奏と出版について友人たちに遺言をしていたそうです。

               (332)フォーレ弦楽四重奏曲 デュカスJean Roger Ducasse
              Jean Jules Aimable Roger-Ducasse
               (1873年4月18日-1954年7月19日)

死期が迫ったフォーレはマルグリート・アッセルマンに
「時間がなかったために記すことのできなかった速度、ニュアンス、その他の記号を
ロジェ=デュカスに頼んでくれるように」
と最後の口述をしたそうです。

死の数日前にフォーレが高い評価と信頼を寄せていた弟子のロジェ=デュカス
ただ一言、次のように言ったとのことです。
「わかるね、あなたにきちんと仕上げてほしい……」

献呈はフォーレがこの曲の演奏、出版の判断を任せた友人たちの一人で
パリ生まれの音楽評論家のカミーユ・ベレーグ(Camille Bellaigue 1858-1930)に。


悠とした趣を漂わせてヴィオラで始まる第1楽章。
ヴィオラとヴァイオリンが奏する旋律には流麗な趣を感じます。
第1、第2主題を歌う第1ヴァイオリンの調べが印象的です。 
多彩に変容をする4つの楽器たち。
朴訥に語り続けているようにも。
静かに消えるように終わる第1楽章。

ヴァイオリンが歌う第1主題で始まる第2楽章。
前楽章と同じように悠然とした趣。
第2主題をヴィオラが奏し、繰り返す第1ヴァイオリン。
印象に残るヴァイオリン。
ヴァイオリンの調べは寂寞とした流れのようにも感じられます。
じっくりと耳を傾けていると4つの楽器たちの語らいが
心の内奥にまで沁み込んでくるような。
切々と長い長い語らいを続けるような楽器たちが奏する調べ。
親しみを感じる旋律がある訳でもないのに妙に心に残るものがあります。
特に第1ヴァイオリンの調べに惹かれます。
尾を引くように終わる第2楽章。

第1、第2楽章とは趣がまったく違う第3楽章。
チェロの調べで始まるこの楽章。
第1主題でチェロのピッツィカートを伴奏に奏されるヴィオラそして第1ヴァイオリン。
第2主題ではヴィオラの速い伴奏に生き生きと奏されるチェロ。
楽章中にしばしば現れるチェロのピッツィカートが刻むリズムは
一つの旋律になっているようにも感じられます。
またユーモアすら感じてしまいます。
この曲の中では特別に印象に残ります。
4つの楽器たちは高揚した気分に。
そして迎えるコーダでは力強さを感じさせつつ曲の終わりに。
光明が射しているような楽章でしょうか。


演奏をしているエベーヌ四重奏団
エベーヌ四重奏団ではこの全集でピアノ五重奏曲を聴いていました。
この弦楽四重奏曲では第1ヴァイオリンのピエール・コロンブの演奏が心に残ります。
特に第2楽章で奏される第2主題でのヴァイオリンは
旋律と相俟って印象深く心に刻まれるようです。

フォーレは最後の口述でこの曲について次のように語ったそうです。
「はじめの2つの楽章は表情豊かで一貫して変わらぬ様式に基づいています。
そして3つ目のものは私のピアノ三重奏曲の終曲を思わせるような
スケルツォ風の軽快で愉しい曲調を持たねばなりません」

第3楽章になり第1、第2楽章の面影を留めないエベーヌ四重奏団の演奏。
フォーレが抱いていた曲想を代弁するかのような演奏のように感じられました。


いつもの蛇足です。井戸端会議のオバサン話。自分のメモとして。
Wikipedia を参照。

死の2日前、1924年11月2日にフォーレは発作を起こして苦しみ
記憶も混乱したそうです。
暫くして話すことができるようになったフォーレはに2人の息子たちに次のような
言葉を残したそうです。

「私がこの世を去ったら、私の作品が言わんとすることに耳を傾けてほしい。
結局、それがすべてだったのだ・・・・。おそらく時間が解決してくれるだろう。
心を悩ましたり、深く悲しんだりしてはいけない。
それはサン=サーンスや他の人々にも訪れた運命なのだから・・・。
忘れられる時は必ず来る。そのようなことは取るに足らない事なのだ。
私はできる限りのことをした・・・あとは神の思し召しに従うまで・・・」

                   

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2016.04/02(Sat)

Op.329 フォーレ:「夢のあとに」 by ジェラール・スゼー

フォーレの室内楽曲が続いていましたが
今日は有名な歌曲夢のあとに」。
シューベルトの歌曲「万霊節のための連祷」をジェラール・スゼーで聴いてみたく
入手したディスクにフォーレ歌曲も収録されていました。

有名なフォーレ歌曲でありながらチェロ版では聴いていましたが
歌曲としてこの曲を聴くのは初めてです。
初めて聴くフォーレ歌曲
フランス歌曲を聴くのも初めて。
スゼーの歌唱を聴くのも初めて。
初めてづくし・・・の「夢のあとに」です。
こちらのディスクで初めてスゼーが歌うシューベルト歌曲を聴き
お気に入りのバリトンの仲間入りをしました。
Membran の4枚組、超廉価盤です。

                    フォーレ:「夢のあとに
           ジェラール・スゼー~歌曲集、バロック・アリア集より


             329フォーレ「夢のあとに」スゼー
                         (収録曲)

            フォーレ:悲しみ op.6-2
                  夢のあとに op.7-1
                  川のほとりで op.8-1
                  月の光 op.46-2
                  5つのヴェネチアの歌 op.58~『ひそやかに』
                                   (他、デュバルク 10曲)    
                以上、 ジャクリーヌ・ボノー(P)
                   ( 録音:1950年、1953年)
                      
            フォーレ:憂うつ op.51-3
                  5つのヴェネチアの歌 op.58~『マンドリン』
                  5つのヴェネチアの歌 op.58~『やるせない夢心地』
                  牢獄 op.83-1
                    
                 以上、 ダルトン・ボールドウィン(P)
                     ( 録音:1955年)


フォーレは生涯に99曲の歌曲を書いたそうです。
99曲と言う曲数には連作歌曲などの構成数をそのまま数えているとのこと。
フォーレは生涯のすべての時期に書き続けていたのが歌曲だそうです。
ピアノ独奏曲は55曲、室内楽曲は19曲とのことでフォーレにとって
歌曲は最も身近で最良の領域だったとのことです。

歌曲の作曲時期により4つに区別されるそうです。
(1)最初期が1861年から1868年の「夢のあとに」までの20曲
(2)1878年から1887年
(3)1887年から1906年。この時期は一般に習作期と呼ばれているそうです。
この時期に書かれた歌曲の大部分が3冊の歌曲集として出版されているとのこと。
(4)晩年、1906年から1921年。最後の歌曲となった連作歌曲「幻想の地平線」まで。
以上のように区分されるそうです。


さて「夢のあとに」。
詩はイタリア、トスカーナ地方の伝承詩が基になっているとのことで
フランスの詩人でパリ音楽院声楽科教授のロマン・ビュシーヌ(1830年 - 1899年)の作だそうです。
ビュシーヌはパリ音楽院でフォーレの同僚だったとのこと。
フォーレはビュシーヌの幾つかの詩に付曲をしているそうです。

スゼーの声質、歌唱には強く惹かれます。
フランス語は(もまた、チンプンカンプンです)訳詞のお陰で助かりました。
第3節の詩は心に突き刺さるようです。
3行目の “Reviens, reviens・・・” の言葉が悲痛に伝わってきます。
この曲を歌い上げるスゼーの声には陰影が漂い
ゆっくり言葉を紡ぎ歌い上げる歌唱からは
悲哀と悲痛な想いがひしひしと心に伝わります。
詩を読む時には常に私情が入り込んでしまい
この曲に関しては殊更に感情移入をして聴いてしまっているような気がしています。

同じディスクに収録されている「5つのヴェネツィアの歌」からの
『マンドリン』では一転してスゼーの歌声も明るく軽やかで
愉しい雰囲気の曲。

フォーレの歌曲に難解というイメージを勝手に抱いていましたが
実際に聴いてみるととても親しみを感じました。
シューベルトの歌曲から感じるような親しみに似ているようにも。
こちらの4枚組ディスクに収録されているフォーレの歌曲は13曲ほどでしょうか。
フォーレ最後の歌曲となった連作歌曲「幻想の地平線」も収録されているので
これから聴いてみたいと思います。

今までスゼーの名前はしばしば耳にする機会がありましたが
ほとんど関心を抱くことがないまま懐かしい歌手名として記憶に留まっている存在でした。
こちらのディスクのお目当てだったシューベルトの「万霊節のための連祷」他を
聴きすっかりスゼーの声質と歌唱に強く惹かれてしまいました。
滑らかで艶やかな声。
情感が手に取るように伝わってくるようです。
人間味溢れる表現で好感を抱きました。
シューベルトの歌曲ではドイツ語にも拘らず母国語のような発音。
単語が克明に聴き取れます。
フランスのディースカウ・・・・そのような感じがしてしまいます。
フォーレからシューベルトに話が逸れてしまったような・・・。
今後、スゼーでいろいろな歌曲を聴きたいと思っています。


     ライン

              「夢のあとに」 Après un rêve
               (詩:ロマン:ビュシーヌ)

          君の姿に魅了され まどろみの中
          燃え立つ幻のような幸福を私は夢見ていた
          君の瞳はかくも優しく その声は澄み 響き渡る
          君は光っていた あけぼのに輝く空のように

          君は私を呼び 私は地上を離れ
          一緒に光の方へと逃げ去っていった
          空は私たちに雲を開き
          そこにかいま見た未知なる輝き、神の閃光よ

           ああ しかし 悲しき夢の目覚め
          私は呼びかける おお夜よ おまえのいつわりを返しておくれ
          再び戻り来れ 輝きよ
          今一度帰り来れ おお 神秘なる夜よ

            (詩引用)
          Dans un sommeil que charmait ton image
          Je rêvais le bonheur, ardent mirage,
          Tes yeux étaient plus doux, ta voix pure et sonore,
           Tu rayonnais comme un ciel éclairé par l'aurore;

          Tu m'appelais et je quittais la terre
           Pour m'enfuir avec toi vers la lumière,
           Les cieux pour nous entr'ouvraient leurs nues,
           Splendeurs inconnues, lueurs divines entrevues,

          Hélas! Hélas! triste réveil des songes
          Je t'appelle, ô nuit, rends moi tes mensonges,
          Reviens, reviens radieuse,
          Reviens ô nuit mystérieuse!

                  

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2016.03/26(Sat)

Op.328 フォーレ:「ヴァイオリン・ソナタ第2番」 by R.カピュソン&アンゲリッシュ

今日もまたフォーレです。
フォーレの室内楽作品全集を求めたお目当ての曲に
2曲のヴァイオリン・ソナタがありました。
お寄せいただきましたコメントを拝読し改めてヴァイオリン・ソナタを聴いてみました。
第2番が心に響くものを感じましたので今回は第2番を。
ルノー・カピュソンのヴァイオリン、アンゲリッシュのピアノです。

           フォーレヴァイオリン・ソナタ第2番 ホ短調 Op.108
                  フォーレ室内楽作品全集より


             324フォーレ室内楽作品全集 カプソン兄弟、ダルベルトエベーヌ四重奏団etc.
                         (収録曲)

                     
            フォーレヴァイオリン・ソナタ第1番イ長調 Op.13
                  子守歌 Op.16
                  ロマンス Op.28
                  アンダンテOp.75
                  ヴァイオリンとピアノのための初見視奏曲
                  ヴァイオリン・ソナタ第2番ホ短調 Op.108

                     ルノー・カピュソン(Vn)
                     ニコラ・アンゲリッシュ(P)
                        (録音:2010年)


           第1楽章:アレグロ・ノン・トロッポ ホ短調 9/8拍子
           第2楽章:アンダンテ イ長調 3/4拍子
           第3楽章:フィナーレ アレグロ・ノン・トロッポ ホ長調2 /2拍子


作曲されたのは1917年。フォーレは71-2歳頃でしょうか。
1875年にヴァイオリン・ソナタ第1番が作曲されてから42年後に書かれたそうです。
1896年にフォーレはパリ音楽院の作曲家教授に任命され
1905年から1920年までパリ音楽院の校長を務めていたとのことです。
この曲は校長在任中に書かれたそうです。
献呈はベルギー王妃エリザベート・ド・バヴィエールに。
王妃はフォーレと親交のあったウジェーヌ・イザイとも知り合いであり
自身でヴァイオリンを弾いたそうです。
またフォーレの熱心なファンでもあったとのことです。

初演は1917年11月10日、国民音楽協会演奏会に於いて
リュシアン・カぺーのヴァイオリン、アルフレッド・コルトーのピアノにより
行われたそうです。

ヴァイオリン・ソナタ第1番の方が第2番よりも演奏される機会も多く
知名度においても第2番は1番よりも劣るとのこと・・・ですが。
個人的には聴いていて第2番の方が気に入っています。


この曲もまた初めて聴くものです。

ピアノの低音の切迫感が漂う響きで始まる第1楽章。
すぐに加わり第1主題を歌い始めるヴァイオリン。
流麗な趣が漂うヴァイオリンの調べ。
ピアノは華麗に、そしてアルペッジョは
煌めくような美しさでヴァイオリンに呼応。
第2主題ではヴァイオリンとピアノは自由を満悦しているかのようです。
素朴な抒情性を湛えているようで心に残る調べです。
ヴァイオリンとピアノが激しさを感じさせる掛合いも現れ
激情が噴出しているようにも感じられます。
この激しさのうちに迎える楽章の終わり。

ピアノが語るかのように始まる第2楽章。
続くヴァイオリンの調べ。
優しさ、美しさを感じさせる主題です。
この主題は交響曲ニ短調Op.40の緩徐楽章から転用されたとのこと。
中間部でのヴァイオリンとピアノの語り合い。
優しい歌を歌い続けるヴァイオリン。
ピアノは時折、低い響きでヴァイオリンに強く応答するかのように。
この楽章の美しい旋律を耳にしつつ
天空から音符たちが五線紙の上に舞い降りてきたかのような情景を
想い描いてしまいます。
楽章中、歌い続けるヴァイオリン。
常にヴァイオリンに寄り添うピアノ。
ヴァイオリンとピアノの一体感。
2つの楽器の響きは低音になり静かな調べを奏しつつ終わる第2楽章。

軽やかなヴァイオリンとピアノの旋律で始まる第3楽章。
歌うヴァイオリンとピアノ。
時に歌はヴァイオリンとピアノの呟きのようにも。
一抹の寂寥感が漂う悲歌のようにも感じられるようです。
第1楽章で耳にした動機が現れ、ふと懐かしい気分に。
経過句でのヴァイオリンとピアノの上昇する響きから伝わる力強さ。
高揚感が漂っているようです。
再び続くヴァオリンとピアノの流麗な歌。
力強く締め括られ曲の終わりに。


この曲の第2楽章に耳を傾けつつ・・・どうも、フォーレの曲を聴いていると
ついつい「美しさ」というものに想いを馳せてしまいます
柄にもなく、「美とは何ぞや?」の世界に入り込んでしまうようで。
フォーレの音楽に漂う美しさ。

第2楽章に思い浮かぶ言葉は
幻の美しさ。
綺麗な花を見つけ摘もうとすると花は消え虚空を掴むだけの自分の手。
花は蜃気楼。
フォーレの曲を聴くと曲ごとに美しさに対する概念が変わってしまいます。
初めて感じたのは、透明な美しさ。
そして今は、幻の美しさ・・・その旋律美には言葉を寄せ付けないものを
感じるばかりです。

花冷えのこの数日来です。
このような日には殊更にフォーレの曲は合っているような気がしています。

第2楽章の主題についての大宮真琴氏の記述に心を打たれました。
 「歌に溢れ、歌に生きていきた72歳のフォーレが生涯の想いを賭けたかと
  思われるばかりの、無比の歌と言ったらよいであろうか」

このソナタを聴きつつルノー・カピュソンのヴァイオリンの音色に惹かれました。
温もりを感じさせる音色。柔和、ふくよかな音色。
清楚で克明な輪郭の旋律を紡ぎ出しているように感じられます。
ヴィブラートをまったく掛けない、ように聴こえるのですが
ノン・ヴィブラート奏法が曲想を生き生きと、また虚飾なく伝えているように感じます。
アンゲリッシュのピアノはチェロ・ソナタ第2番でも聴いていましたが
好感を抱くピアニズムです。


いつもの蛇足です。井戸端会議のオバサン話。自分のメモとして。
ルノー・カピュソンが使用しているヴァイオリンに好奇心が沸々と湧いてきました。
カピュソンは1737年製のグァルネリ・デル・ジェス「パネット」(「Vicomte de Panette」パネット子爵の意味?)を使用しているそうです。
この「パネット」はアイザック・スターンが使用し、ほぼすべての録音で使用したヴァイオリンとのことです。
カピュソンは「パネット」の前には1721年製のストラディヴァリウスを使用していたとのこと。
スイス・イタリア銀行が2005年12月にカピュソンのために、この「パネット」を購入したそうです。
フォーレのこの曲の録音は2010年とのことですのでカピュソンが使用しているヴァイオリンは「パネット」・・・だと思うのですが?

蛇足の蛇足メモ。
グァルネリ「デル・ジェス」についても好奇心が湧いてきてしまいました。
無知故にグァルネリについてのお勉強を・・・・。
グァルネリ一族の中では高名な三代目のバルトロメオ・ジュゼッペ・アントーニオ・グァルネリ
彼が制作したヴァイオリンには聖ベルナルディーノが掲げた徴「IHS」(イエス・キリストを表す)の3文字の略語が胴の中に貼るラベル記されていることから「デル・ジェス」(del Gesu :イエスの)と呼ばれているそうです。
製作された「デル・ジェス」の本数は200程度と言われているとのこと。
「デル・ジェス」を使用しているヴァイオリニストの一覧とニラメッコを。
お気に入りのヴァイオリニストの名前を見つけてはニコッとしています。
 ユーディ・メニューインは1742年製デル・ジェス「ロード・ウィルトン」
 ヨゼフ・スークは1744年製デル・ジェス「オレンジ公(Prince of Orange)」
他のヴァイオリニストでは。
 アイザック・スターン:1737年製デル・ジェス「Vicomte de Panette」
              (前述のカピュソンが使用しているヴァイオリン)
 レオニード・コーガン:1726年製デル・ジェス「エクス・コラン」と
              1733年製デル・ジェス「エクス・ブルメスター」
 ナイジェル・ケネディ:1735年製デル・ジェス「ラフォン」
 ヤッシャ・ハイフェッツ:1740年製デル・ジェス「Ex.David/Heifetz」
 フリッツ・クライスラー:1740年製デル・ジェス
 ウジェーヌ・イザイ:1741年製デル・ジェス「イザイYsaye」
 ヘンリク・シェリング:1743年製デル・ジェス「ル・デューク」
 ニコロ・パガニーニ:1742年製デル・ジェス「カノン」
 サルヴァトーレ・アッカルド:1734年製デル・ジェス
 ピンカス・ズッカーマン:1734年製デル・ジェス
 チョン・キョンファ:1734年製デル・ジェス
 五嶋みどり:1734年製デル・ジェス「エクス・フーベルマン」 他、略。
現存する「デル・ジェス」は著名な演奏家の大部分に使用されている、とのこと。

                 

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2016.03/19(Sat)

Op.327 フォーレ:「チェロ・ソナタ第2番」 by G.カピュソン&アンゲリッシュ

フォーレの室内楽作品全集より一枚づつディスクを聴く日々になっています。
初めて聴く曲がほとんどですので期待と好奇心で耳を傾けています。
少しづつディスクを聴き進む中、惹かれたのは
CD2枚目の最後に収録されているチェロ・ソナタ第2番。
今日はこの曲を。

            フォーレチェロ・ソナタ第2番 ト短調 Op.117
                 フォーレ室内楽作品全集より


            324フォーレ室内楽作品全集.
                        (収録曲)

               チェロ・ソナタ第1番ニ短調 Op.109
               エレジー Op.24
               チェロのための小品より「蝶々」 Op.77
               ロマンス Op.69
               セレナード Op.98
               シシリエンヌ Op.78
               チェロ・ソナタ第2番ト短調 Op.117

                  ゴーティエ・カピュソン(Vc)
                  ニコラ・アンゲリッシュ(P)
                     (録音:2010年)

             第1楽章:アレグロ ト短調 3/4拍子
             第2楽章:アンダンテハ短調 4/4拍子
             第3楽章:アレグロ・ヴィーヴォ ト短調 2/4拍子


フォーレは2曲のチェロ・ソナタを作曲したそうです。
第2番のチェロ・ソナタは第1番が作曲された1917年の4年後
1921年2月から11月にかけてフォーレ77歳の時に書かれたとのことです。
その2年後にフォーレは他界。
フォーレが作曲した室内楽では最後から3番目の曲になるそうです。
この曲の後に作曲されたのは翌年に書かれたピアノ三重奏曲と
弦楽四重奏曲の2つだけとのこと。

曲は1921年5月に行われたナポレオン1世没後100年記念式典のために
その年の初め、フランス政府からの依頼で作曲されたそうです。
フォーレが作曲した「葬送歌」を中心楽章にして
チェロ用に編曲したものだそうです。

初演は1922年5月13日に国民音楽協会の演奏会に於いて
チェロ、ジェラール・エッキング、ピアノがアルフレッド・コルトーにより
行われたそうです。
曲は称賛の的になったとのこと。
この初演の前日はフォーレの76歳の誕生日だったそうです。


第1楽章はピアノの幻想的な趣が漂う旋律での始まり。
すぐに加わるチェロ。
チェロが歌う調べは優雅さの漂う抒情的な美しさ。
第2主題でチェロとピアノの対話も流麗に。
伸びやかに美しく歌うチェロにピアノは自由に戯れるているかのようにも感じられます。
チェロの音量が上がり力強く終わる第1楽章。

ゆったりと歌い出すチェロに寄り添うピアノで始まる第2楽章。
耳を澄ませて聴き入ってしまう抒情性が漂う調べ。
耳を傾けていると夢想の世界に誘われるようです。
静寂の世界に響くようなチェロとピアノの調べ。
荘重な趣を湛えたチェロ。
自身の「葬送歌」を編曲したという先入観からでしょうか
ゆっくりと静かに行進する葬送の列を連想してしまいます。
中間で高揚するようなピアノとチェロ。
高揚感は即座に収まり取り戻される穏やかさ。
チェロとピアノの音色が遠去かるように次第に小さくなり
静かに終わりを迎える第2楽章。
とても印象的で心に残る楽章です。

冒頭から第1主題の旋律での始まる第3楽章。
緊張感を伴ったような力強いピアノ。
すぐに続くチェロ。 
伸びやかさに奏されるチェロにピアノのアルペッジョが花を添え
流麗な雰囲気が漂っているようです。
チェロとピアノが奏する懐かしさを感じさせるような調べが耳に届きます。
チェロとピアノの穏やかな応答を経て
無邪気な趣のピアノにチェロのピッツィカート。
愉しげな雰囲気が感じられるようです。
情熱的な雰囲気すら感じさせるチェロとピアノ。
コーダでの力強い躍動感。
速度も上がり活力を漲らせつつ一気に迎える曲の終わり。


フォーレの曲には幽玄な趣が漂っているようで惹かれるものがあります。
このチェロ・ソナタ第2番では殊更に幽玄な美しさのようなものを感じ
曲の終始、惹かれてしまいます。殊に第1、第2楽章。
印象深く心に残るのはやはり第2楽章になります。
第3楽章はフォーレの音楽の別の一面を見た想いを抱きました。

チェロはカピュソン兄弟の弟のゴーティエ・カピュソン
耳を傾けていて曲想と相俟り吸い込まれるような魅力を感じます。
アンゲリッシュのピアノは繊細、端正に音を紡ぎだしているように感じられます。
しみじみと心に伝わる第2番。
第3楽章ではG.カピュソンアンゲリッシュの演奏に目を見張り
一気呵成の勢いでのコーダには息を呑む思いがするようです。


いつもの蛇足です。井戸端会議のオバサン話。自分のメモとして。
ショップ・サイトでフォーレについての記事が目に留まりました。
敢えて取り上げることもないのかも知れませんが、オバサン話として。
「フォーレの情熱」とのタイトルの記事。

 「 教会オルガニスト出身の敬虔なイメージのあるフォーレですが、実際にはサロンを好み、歳をとってからも多くの恋愛に情熱を 傾けていたというだけあって、その音楽にも繊細な情感表現が色濃く反映され、あこがれや喜び、哀しみ、諦めといった喜怒哀楽 の移ろいが見事に表現されているのも大きな魅力となっています」

あと一つ。
チェロ・ソナタ第2番を聴き曲とともに感銘を受けた第2楽章についての
大宮真琴氏の記述です。また引用を。
 「簡素な、一音の無駄もない、しかし自然な音の動きの、深い感動に満たされている
 音楽である。この境地こそ希なる天才のみが行き着くことの許された至高の音楽と
 言わねばならない」

                  

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タグ : フォーレ チェロ・ソナタ カピュソン アンゲリッシュ

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