2010.08/31(Tue)

Op.61 モーツァルト:「フィガロの結婚」全曲 by E.クライバー

8月も今日で終わり。
本当に日が経つのが早いです。

「今日は何の日」を見てみますと、8月31日。
8・3・1 野菜の日だそうです。ヴェジタブル・ディ。
初めて知りました。


               モーツァルトオペラ名曲集より
             「フィガロの結婚」 by E.クライバー


              モーツァルト:「フィガロの結婚」E.クライバー

 
             アルマヴィーヴァ伯爵:アルフレード・ペル(Br)
             伯爵夫人:リーザ・デラ・カーザ(S)
             スザンナ:ヒルデ・ギューデン(S)
             ケルビーノ:スザンヌ・ダンコ(S)
             フィガロ:チェーザレ・シエピ(Bs)他
 
 
             エーリヒ・クライバー
             ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
             ウィーン国立歌劇場合唱団
          
             (録音:1955年6月 ウィーン ステレオ)



モーツァルトオペラ4作品が収録されている10CDセットです。
「コシ・ファン・トゥッテ」ベーム&ウィーン・フィル
「ドン・ジョヴァン二」クリップスウィーン・フィル 
「魔笛」フリッチャイ&ベルリンRIAS
そして当ディスク「フィガロの結婚」です。
いつもの廉価盤。
著作権が切れた演奏が次々と廉価盤として登場する昨今で、
多くの作品に触れる機会ができ、嬉しい限りです。

フィガロの結婚」を最初に聴いてみました。
序曲が奏でられた瞬間に、今まで「フィガロ」に抱いておりました印象が一変しました。
生気があり、聴いていまして高揚感も抱きました。

フィガロの結婚」との初めての出合いは、昔、昔のことです。
テレビで放映されていました。
ドタバタ騒ぎ、喧噪のオペラとしか伝わらず、「フィガロ」は懲り懲り・・・と思ってしまったものです。
ですが、やはり無視ができない作品でもあります。
2年程前にC.ディヴィス&BBCの「フィガロ」を求めてみました。
やはり・・・「フィガロ」に面白さを感じることが出来ず、特にスザンナ役の某ソプラには完全拒絶反応を起こし、最後まで聴き通しますのが苦痛という有様でした。
またもや、この時点で「フィガロ」は、もう本当に懲り懲り・・・と思いました。

改めて、他のCDを買い直しを考えつつも・・・入手する気になりませんでした。
そのような折に目に付きましたのが、こちらのBoxセットでした。
指揮者に先ず惹かれました。
「フィガロ」の声楽陣にはまったく期待をせずに。
ですが、声楽陣も私にはとても素晴らしく感じられました。
これ以上の「フィガロ」はないのでは?と思いました。

このBoxセットに期待をしましたのは、
モーツァルトオペラで一番のお気に入りの「魔笛」でした。
フリッチャイ&RIAS
タミーノ役が、エルンスト・へフリガー。
パパゲーノがディスカウ。
一番のお気に入りは最後に・・・まだ「魔笛」は聴いていないのですが。
早く聴きたいものです。

E.クライバーは以前から関心がありながら、CDを求め損なって今日に至りました。
初めてE.クライバー体験が「フィガロ」。

聞き慣れた序曲。
ですが、今まで聴いてきました序曲とは明らかに違います。耳を奪われました。
とても、キビキビとした演奏で聴いていまして心が高揚感に満たされました。
18世紀オペラ・ブッファの代表的な序曲とのことで、
この序曲をモーツァルトは、当時の伝統的なナポリ派のオペラ序曲のスタイルであった「急ー緩ー急】で書き始めたそうです。
現存する自筆楽譜には、シチリアーノの冒頭が書かれていたそうですが、抹消されているとか。
何らかの理由により取り止めてしまったとか。
ナポリ派のスタイルの序曲が誕生していましたら…と、関心のあるところです。

こちらのCDの音質もとても良いです。
もちろん、今まで耳にしておりました耳触りなソリストは皆無です。
スザンナ役のヒルデ・ギューデン
ケルビーノ役、スザンヌ・ダンコ
そして、フィガロ役のチェーザレ・シエピ
共に好感が持てる「声質」と歌唱です。
質実剛健さを感じさせらました。

「フィガロ」の初演の時のポスターには、
「イタリア語のジングシュピール」と題されていたそうです。
初演時と二回目の演奏では、モーツァルト自身がチェンバロ弾きながら指揮をしたとも。
作品としては成功だったそうです。

この作品の作曲のキッカケとして、ダ・ポンテの手記には次のように記述されているそうです。
台本作者のダ・ポンテが或る日、モーツァルトと話していた時のこと。
モーツァルトがポーーマルシェの喜劇「フィガロの結婚」を、
簡単にドラマにすることができるか。
ダ・ポンテに尋ねたそうです。
ダ・ポンテはモーツァルトの申し出が気に入り、受諾したとのこと。
その際、弊害となる大きな困難があったそうです。
それは皇帝がドイツ人の劇団が、この喜劇を上演するのを禁じたため。
理由は、観客にとってあまりにも気ままに書かれている、ということだったそうです。

原作には体制批判の趣があったそうですが、台本では、ありきたりのブッファになったとか。

備忘録的に以下を、いつものように虎の巻を参考に。

【作曲】1785-6年(特定は難しいそうですが)
【初演】1786年5月1日、ウィーン、ブルク劇場
【原作】ポーマルシェの喜劇三部作、
「セヴィリャの理髪師」「フィガロの結婚、または、狂った一日」
「罪ある母」の第2部にあたるもの。
【台本】ロレンツォ・ダ・ポンテ
【時と場所】17世紀中頃、セヴィリャ近郊の伯爵邸
【構成】4幕
【主な登場人物】
  アルマヴィーヴァ伯爵:セビリア郊外の領主
  アルマヴィーヴァ伯爵夫人
  スザンナ:伯爵の小間使い、フィガロの婚約者
  ケルビーノ:伯爵家の小姓頭
  フィガロ:伯爵家の従僕(本来は理髪師)
【物語】

第1幕:アルマヴィーヴァ伯爵の館
 伯爵の従僕フィガロは伯爵夫人の侍女のスザンナとの結婚を控え胸躍らせている。
しかし、伯爵が廃止されたはずの初夜権を復活させようと企んでいることを知る。
スザンナの元に小姓のケルビーノがやってきて、伯爵夫人への思いを歌う。
(ケルビーノのアリア「自分で自分が分からない」)。
そこに伯爵がスザンナを口説きにやってきたのでケルビーノは隠れる。
更に、バジーリオが来たため伯爵も身を隠す。
何も知らずにバジーリオが始めたケルビーノと伯爵夫人との噂話。
話を耳にし、逆上して飛び出してくる伯爵。
ケルビーノも見つかってしまい、騒動が起こりかけたところに、フィガロが農民たちを連れて初夜権廃止の確認にやって来る。
伯爵は、フィガロとスザンナの結婚は承諾するが、ケルビーノには軍隊入りを命じる。
フィガロがからかい半分に、しょ気ているケルビーノを励まして歌う。
(フィガロのアリア「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」)

第2幕:伯爵夫人の部屋
 伯爵夫人が、夫の愛が覚めたことを嘆いて歌う。
(伯爵夫人のカヴァティーナ「愛の神よ、手を差し伸べ給え」)
フィガロは、夫人、スザンナと三人で浮気な伯爵を懲らしめる計画を立てる。
ケルビーノが歌う「恋とはどんなものかしら」。
ケルビーノを女装させたところに伯爵が来てしまう。
スザンナの機転で切り抜けるが、伯爵は怪しむ。
そこに女中頭マルチェリーナが現れ、借金を返さないなら結婚せよ、とフィガロに迫る。

第3幕:結婚式の準備が整った館の広間
 計画通り伯爵と逢引きの約束をしたスザンナだが、フィガロに囁いた言葉を伯爵に聞かれてしまう。
伯爵は「もう訴訟に勝ったと言ったな」と、罠にかけられたことに気付き、復讐を決意して出て行く。
伯爵夫人が「楽しい思い出はどこへ」と歌い終わると、
フィガロ、マルチェリーナ、伯爵、バルトロ、裁判官ドン・クルーツィオが登場。
全員に詰め寄られ、フィガロもあわやというところで、マルチェリーナが母、バルトロが父であることが判明し、六重唱になる。
一方、夫人とスザンナは次の計画として伯爵への密会の手紙を書く。
伯爵夫人が話すことをスザンナが書きとめる。
(伯爵夫人とスザンナの小二重唱)
その手紙を伯爵に渡す。

第4幕:深夜の庭
 衣装を交換して伯爵を騙す計画を知らなかったフィガロは、スザンナが裏切ったと思ってしまう。
が、すぐに彼女たちの考えた芝居であることに気付く。
自分はスザンナ(伯爵夫人が変装)に甘い言葉を囁いていながら、フィガロが伯爵夫人(スザンナが変装)を口説くのを見た伯爵は、人を呼び集める。
不実な者たちを罰しようとする。
真実が明らかになれば謝るのは伯爵の方。
伯爵の浮気が露呈し、伯爵は夫人に許しを乞う。
一同はすべてを許し全員の合唱により終幕。



それにしましても伯爵は何と横暴なのかと思ったのですが。
領主である伯爵は、当時では行政権、人事権を掌握し、
司法権の行使にまで関与していたということを知りました。
ここまで権力を握り、一種の独裁者?でしょうか。

まだ、クラシック音楽に縁がなかった頃に、オペラ・アリアで初めて聞きましたのが有名な「もう飛ぶまいぞこの蝶々」でした。
勇ましくも楽し気な歌でお気に入りに。
こちらのCDでのフィガロ役のチェザーレ・シエピ
声質がとても誠意のある落ち着いた感じがしました。
このアリアの初めの farfallone は farfallo(蝶)の拡大辞だそうで、
「浮気者」とか「移り気な人」とのこと。
このイタリア語には「蝶」と「蛾」の区別がないそうです。
ケルビーノが「蝶」としますと、
「蛾」のイメージにはアルマヴィーヴァ伯爵?でしょうか。
ケルビーノ役のスザンヌ・ダンコからは 初々しく、愛らしい少年として伝わります。
    
「フィガロ」の中で最も関心がありましたアリアは、
第2幕での伯爵夫人のカヴァティーナ「愛の神よ、安らぎを与え給え」です。
聴いていますと、アリアとの印象を受けます。
第1幕のドタバタ劇から、第2幕の開始に歌われるこの歌。
伯爵夫人役のりーザ・デラ・カーザ
たった4行の詩でありながら、何と多くの思いが込められているのでしょう。
ラルゲットで、真摯な祈りのように歌われる、デラ・カーザのこのカヴァティーナに、
心が洗われるような気がしました。
今回「フィガロ」を聴き、最も深く心に残りましたのがこのカヴァティーナでした。

私にとりましては因縁付きの「フィガロ」でしたが、
落ち着いて聴くことができ、且つ楽しめます。
演奏、声楽陣も堅実であるように思いました。
久しく喧噪のオペラ・ブッファでした「フィガロ」。
長い月日を経まして、やっと満足のできる「フィガロ」を聴くことができました。
凛とした質実剛健な「フィガロ」かと思います。
このE.クライバーの「フィガロ」が愛聴盤になりました。


                           ぱたぱた:bird2すずめ(左)S
                    にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
関連記事

テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : モーツァルト オペラ フィガロの結婚 E.クライバー ダ・ポンテ チェザーレ・シエピ りーザ・デラ・カーザ フリッチャイ クリップス ウィーン・フィル

20:00  |  モーツァルト  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑
 | BLOGTOP |  NEXT