2012.07/28(Sat)

Op.153 ベートーヴェン:「アデライーデ」 by プライ;ディスカウ

歌曲は好きなのですが
ベートーヴェンの歌曲でブログに登場したのは 唯の一曲だけです。
「優しき愛」でした。(当時の記事です→ベートーヴェン:「優しき愛」

「優しき愛」の次に今のところお気に入りなのが「アデライーデ」になりそうです。
歌曲では、ひたすらに大のお気に入りのシューベルトばかりを聴いて
ベートーヴェンの歌曲はあまり耳を傾けることがありませんでした。

過日、ヘルマン・プライでブラームスの「愛の歌」を聴きましたが
そのCDにベートーヴェンの「アデライーデ」が収録されていました。
プライの歌声で聴いているうちに少しづつ好感を抱くようになりました。



作曲は1794-95年頃だそうです。
ベートーヴェンがアルブレヒツベルガーのもとで学んでいた時期に
作曲されたとのこと。
アルブレヒツベルガーは1772年にウィーンに招かれ
1793年に聖シュテファン大聖堂楽長に就任そうです。
ハイドン、モーツァルトなどと親交があり優れた対位法の教師であった由。



                    ヨハン・アルブレヒベルガー
              Johann Georg Albrechtsberger
                 Johann Georg Albrechtsberger
                (1736年2月3日-1809年3月7日)


詩はフリードリヒ・マティソン。
4節から成る詩で
 第1節:変ロ長調 ラルゲット
 第2節:ヘ長調 ラルゲット
 第3節:変ト短調に転調 ラルゲット
 第4楽章:変ロ長調 アレグロ・モルト  とのことです。


献呈は作詩のマティソンに。
1797年2月に出版された際には「カンタータ」と記されていたそうです。


                  フリードリヒ・マティソン
               Friedrich von Matthisson
                   Friedrich von Matthisson
               (1761年1月23日-1831年3月12日)


「アデライーデ」をヘルマン・プライでは3種の録音で聴くことができました。
録音年代の古い順からになります。


                 ヘルマン・プライ:EMI録音集

                ヘルマン・プライEMI録音集

                   ヘルマン・プライ(Br)
                   ジェラルド・ムーア(P)
           
                (録音:1961年4月17-19日 ベルリン)
 
こちらのBOXは廃盤になってしまってるようです。
プライは32歳頃の録音でしょうか。
次に紹介させていただく1985-86年録音を聴き
「アデライーデ」に好感を抱いたのですが
その録音以上にこちらの1961年のムーアとの録音では魅了されました。
歌唱の技術的なことは解りませんが
後年の歌唱に比べて、とても素朴で自然な印象を受けます。
お気に入りの「アデライーデ」です。


              ヘルマン・プライ:ベートーヴェン歌曲集

                ヘルマン・プライ:ベートーヴェン歌曲集

                  ヘルマン・プライ(Br)
                  ヴォルフガング・サヴァリッシュ(P)

                 (録音:1980年12月-1981年1月
                    トゥッツィング、福音アカデミー)


プライの歌唱も、さることながら
サヴァリッシュのピアノの時として重々しい響きと
そのピアニズムはまるで 声楽付きのピアノ・ソナタを聴いているような。
ピアノに心の中で独り言を・・・「もう少し、お控えを・・・」と。



                プライ:「愛の歌」

                   ヘルマン・プライ(Br)
                   レナード・ホカンソン(P)
                  
                     (録音:1985-86年)


先日聴きましたブラームスの歌曲「愛の歌」と共に収録されていました。
「アデライーデ」に開眼をさせてくれたプライの録音です。
じっくりと聴かせてくれる詩の第1-3節。
琴線に触れるものがあります。
第4節になり感情の迸りは抑制されながらも見事に伝わってくるようです。
ホカンソンのピアノは響きを抑えているようで
プライの歌唱を地味?ながらもしっかりと支えているように思いわれます。
私にとってはプライの3種の録音の中では最も安心をして
ホッとした気持ちで耳を傾けられる「アデライーデ」です。


ちょっぴり ひとりごと。
プライの誕生は7月11日(1912年)
逝去されたのが7月22日(1998年)、69歳だったそうで。
今、7月・・・。
昔々、初めてプライのLPを求めたのは
ベートーヴェンの歌曲「自然における神の栄光」が収録されていたLP。
当時を懐かしく思い出します。
あれから云十年、プライはやはり一番気になる存在のバリトン。




       ディースカウ:ベートーヴェン歌曲集≪遥かな恋人に寄す≫

                ディースカウ:ベートーヴェン歌曲集≪遥かな恋人に寄せ≫

               ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)
               イェルク・デムス(P)
                     
                (録音:1966年4月14-18日 ベルリン)



穏やかなディスカウの歌唱。
各節最後の Adelaide! は自然な高揚の気持ちとして伝わります。
特に第4節の詩は心に染み入るようです。
鷹揚とした歌唱で
じっくりと噛みしめて聴きたくなる「アデライーデ」でしょうか。



             わんぱぐさん:ライン、ブルーの鳥


             アデライーデ: Adelaide  Op.46    
                  (詩: フリードリヒ・フォン・マティソン)


     あなたの恋人は 寂しく春の庭を彷徨う
     美しき魅惑の光に優しく包まれて。
     その光は揺れ動く花の枝におののく。
     アデライーデ!

     煌めく小川に アルプスの雪に
     沈み行く陽の金色の雲に
     星煌めく夜空にほほえむ君が姿。
     アデライーデ!  

     緑の木陰に夕べの風は囁き
     すずらんの花は銀の鈴のようにさざめき
     水面はざわめき うぐいすは歌う。
     アデライーデ!

     いつか わが墓の上にも
     わが胸の灰の花が咲く そしてその
     すべての紫の花びらに光がほのめく
     アデライーデ!

                 (訳:渡辺護 引用)

        
    (原詩引用)
     
     Einsam wandelt dein Freund im Frühlingsgarten,
     Mild vom lieblichen Zauberlicht umflossen,
     Das durch wankende Blütenzweige zittert,
     Adelaide!

     In der spiegelnden Flut,im Schnee der Alpen,
     In des sinkenden Tages Goldgewölken,
     Im Gefilde der Sterne strahlt dein Bildnis,
     Adelaide!

     Abendlüfte im zarten Laube flüstern,
     Silberglöckchen des Mais im Grase säuseln,
     Wellen rauschen und Nachtigallen flöten:
     Adelaide!

     Einst,o Wunder! entblüht auf meinem Grabe
     Eine Blume der Asche meines Herzens;
     Deutlich schimmert auf jedem Purpurblättchen:
     Adelaide!



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