2013.05/25(Sat)

Op.194 グルック:歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」 by ディースカウ;ヤノヴィッツ; リヒター&ミュンヘン・バッハ管弦楽団

過日、モーツァルトのファゴット協奏曲を聴いた際に
第2楽章の美しい旋律の虜になりました。
第2楽章がグルックのオペラ「オルフェオとエウリディーチェ」の
オルフェオのアリア≪エウリディーチェを失って≫旋律に類似しているとのことで
これを契機に今迄全曲を聴きたかった「オルフェオとエウリディーチェ」を
やっと聴くことができました。


         グルック:歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」(全3幕)

               (HMV)『オルフェオとエウリディーチェ』 カール・リヒター&ミュンヘン・バッハ管弦楽団

           オルフェオ:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br.)
           エウリディーチェ:グンドラ・ヤノヴィッツ(S.)
           愛の神::エッダ・モーザ(S)

                   カール・リヒター指揮
               ミュンヘン・バッハ管弦楽団&合唱団

           (録音:1967年8月 ミュンヘン、ヘラクレス・ザール)



こちらのオペラはギリシャ神話のオルぺウス(オルフェオ)と
エウリュディケー(エウリディーチェ)の物語を題材にしているそうです。
結末は当時のオペラにならって台本作者であるカルツァピージは
エウリディーチェの死による悲劇的な結末ではなく
愛の神によってエウリディーチェが蘇生するという幸福な結末にしたとのこと。

チェンバロ伴奏のレチタティーヴォを
グルックは「オルフェオとエウディリーチェ」に於いて
歌劇史上で初めて管弦楽伴奏にしたことで革新的なオペラとのことです。


                      カルツァピージ
               (Bingリンク)Ranieri da Calzabigi
          Ranieri Simone Francesco Maria de’ Calzabigi
                (1774年12月23日-1795年7月5日)


                       グルック
              (WIkiドイツ)グルック:C. W. Gluck, lithographiert von F. E. Feller nach einer Physionotrace von Edmé Quenedey, die wiederum posthum nach einer Büste aus dem Jahr 1776
              Christoph Willibald Ritter von Gluck
                (1714年7月2日-1787年11月15日)
     

              (Wikiドイツ)グルック;Glucks Denkmal neben der Karlskirche in Wien
            ウィーン、カールス教会の隣のグルックの記念碑


グルックは1761年にウィーンにいたナポリ生まれの詩人であり
台本作家であったカルツァピージと知り合ったそうです。
二人は意気投合してカルツァピージはグルックのために
「オルフェオとエウディリーチェ」の台本を書いたとのこと。
翌年の1762年夏にオペラが完成。
その際、オペラは2幕構成だったとのことです。
2年後の1764年末には曲の順序などを入れ替えたり加えたりして
3幕構成にして出版されたのがウィーン版になるそうです。
因みにリヒター盤はウィーン版を使用とのことです。

初演は1762年10月5日にウィーンのホーフブルク宮廷劇場にて
グルックの指揮で行われたとのことです。


初演から12年後の1774年にカルツァピージのイタリア語の台本を
ピエール・ルイ・モリーヌの訳によるフランス語の台本の楽譜が出版されたとのことです。
こちらは パリ版 になるそうです。
フランスでの上演ということもあり、音楽もかなり変更されたとのこと。
本来、オルフェオ役はカストラートだったそうですが
当時のフランスでは公的にカストラートの出演が認められなかったとのことで
テノールに書き換えをするなど改訂された由。
こちらのフランス語、パリ版の初演は1774年8月2日に
パリの王立アカデミーにて行われたそうです。

尚、オルフェオ役の声域について
現代はカストラートが存在しないのでオルフェオ役は女性のアルトまたは
メゾ・ソプラノによって歌われることが多いとのこと。
或いは音域を下げてバリトンが起用されることもあるそうです。
最近はカウンター・テノールによる上演や録音も増加しているとも。


【登場人物】
 オルフェオ:歌の名手
 エウリディーチェ:オルフェオの妻
 愛の神

【あらすじ】
  第1幕
  (第1場)
蛇に噛まれて死んだ妻エウリディーチェの墓前でオルフェオが嘆き悲しんでいる。
その周りで羊飼いとニンフたちもエウリディーチェを悼んでいる。
彼らを去らせて、一人残ったオルフェオは アリア≪愛する人をこれほど呼んでも≫を歌う。
嘆きはやがて愛する妻を奪った残酷な神々に対する怒りにまで高まる。
 
  (第2場)
オルフェオの「妻を返せ」という神々への抗議を受けて愛の神アモーレが現れ
同情したジュピターがオルフェオに冥界へエウリディーチェを探しに行くことを
許したと伝える。
しかし、この世に帰ってくる途中オルフェオはエウリディーチェを見てはならず
その重大な禁制をエウリディーチェをに明かすこともできない。
もし禁制が破られればオルフェオは今度こそ永遠にエウリディーチェを失うことになる。
(オルフェオのアリア≪見たくても耐えよ≫)
オルフェオは妻を取り戻すために過酷な試練に立ち向かうことを誓う。


  第2幕
  (第1場)
冥界と現世を隔てる川の向こう岸には恐ろしい光景が広がり
復讐の女神と死霊立ちが不気味に踊っている。
彼らは生きたままの人間の身でやってきたオルフェオに驚きその行く手を塞いで脅かす。
しかし、オルフェオが自分の悲しみを切々と歌って聴かせると
亡霊たちの怒りは和らぎ、オルフェオは通行を許される。

  (第2場)
オルフェオは静かで美しい光景が広がる楽園に到着した。
幸福な精霊たちが静謐な舞を舞っている。
「何と澄みきった空」とオルフェオは歌い
エウリディーチェの居場所を精霊たちに尋ねる。
精霊たちはオルフェオの英雄的行為を讃え
女性の霊たちがエウリディーチェを連れてくる。
オルフェオは妻の姿を見ずにその手を取り急いで地上へと向かう。


  第3幕
  (第1場)
冥界から地上へと通じる洞窟をオルフェオがエウリディーチェの手を引いて進んでいる。
再会の喜びも束の間、エウリディーチェは自分の姿を見ようとしない夫の態度に
疑念を抱く。
神々に与えられた禁制の秘密を明かせないオルフェオは懸命に妻をなだめるが
エウリディーチェはアリア≪何と辛いひと時≫で、夫に顧みられない悲しみを爆発させる。
オルフェオは必死の思いで試練に耐えるが、愛する妻の更なる懇願に
とうとう振り向いて彼女の姿を見る。
その途端、エウリディーチェは倒れて死んでしまう。
絶望したオルフェオは後悔に苛まれながら悲しみのアリア≪エウリディーチェを失って≫を歌い妻の後を追って自殺しようとする。

  (第2場)
そこへ愛の神アモーレが現れオルフェオから武器を取り上げて自殺を止める。
アモーレは自分の栄光のために大いなる試練を受けたオルフェオの真心を認め
エウリディーチェを甦らせる。
オルフェオとエウリディーチェは抱き合って歓喜に浸りながらアモーレの慈愛に感謝する。 
  (第3場)
愛の神アモーレを祭った神殿で羊飼いたちが明るく優雅に踊っている。
オルフェオとエウリディーチェが登場しアモーレに愛の勝利と偉大さを讃える歌を捧げる。
羊飼いたちの合唱が加わる。
                      (幕)



お気に入りの第3幕でのオルフェオのアリア≪エウリディーチェを失って≫は
テノールばかりで聴いてきました。
バリトンのオルフェオにも興味が。
リヒター盤でのディースカウにはとても関心を抱きました。

序曲が耳に届いた瞬間から惹かれるものがあります。
久しく聴いてみたかった全曲盤だからでしょうか
それとも指揮者とオーケストラの為せる技でしょうか。

オペラの内容は悲劇なのですが
序曲から活き活きとした明るさが感じられます。
終始、オーケストラからは明朗、明快な響きが感じられ惹かれます。
声楽陣の3人も好感を抱くことのできる歌唱を聴かせてくれました。

オルフェオ役のディースカウ。
アリアなどはオペラ・アリアとは感じられないような印象を抱きます。
あたかも歌曲を聴いているような気分に。
特に有名なアリア≪エウリディーチェを失って≫は
今迄耳にしてきた歌手たちの歌唱に比べ
感情過多になることなく心情を豊かに歌いあげているように感じられます。
悲しみの感情を露わに出さないが故に
エウリディーチェと名を呼ぶ箇所で一回だけ声を詰まらせるような歌唱に
限りなく深いオルフェオの悲哀に胸を突き刺される思いがしました。

エウリディーチェのヤノヴィッツに関しても
ディースカウの歌唱から受けるのと同様の印象を抱きました。
ドラマティックさを前面に出さないディスカウであり、ヤノヴィッツでしょうか。

終曲のオルフェオ、エウリディーチェ、愛の神 の三重唱と合唱。
三重唱ではディースカウの歌唱にも力が戻り
ヤノヴィッツ、モーザともに落ち着いた歌唱を聴かせてくれました。
合唱は美しく明るく軽快。楽し気に響き渡るようです。

このオペラを聴いていてシューベルトのオペラと同質の印象を受けてしまいました。
親しみやすい旋律、美しい旋律 そして心惹かれる合唱。

リヒター盤で「オルフェオとエウリディーチェ」を聴き
素敵なオペラとの出合いがまた一つ増えました。
いつもと同じパターンでお気に入りになったオペラとの出合に
グルックの他のオペラも聴きたくなってまいりました。



                    にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ

テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : グルック 歌劇 オルフェオ エウリディーチェ ディースカウ ヤノヴィッツ リヒター ミュンヘン・バッハ管弦楽団

19:33  |  グルック  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑
 | BLOGTOP |  NEXT