2015.07/25(Sat)

Op.294 シューベルト:「ヴァイオリンと弦楽四重奏のためのロンド」 by ヒューブナー&ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団

今日はシューベルトを聴いてみたい気分です。
古里、故郷というものに無縁の自分にとっては
特にシューベルトの旋律の中に古里を感じられるものがあります。
古里・・・無縁な故に憧れる理想郷。

いつか聴いてみたい・・と、たまたま本棚に挟んであったディスクが
目に留まりました。
未だ耳を傾けたことがなかったシューベルト
「ヴァイオリンと弦楽四重奏のためのロンド」D.438です。
酷暑の続く日々に耳にするこの曲は清涼剤のように
聴いていて爽やかな気持ちになるようです。

          ウェストミンスター・レガシー~室内楽コレクションより
          シューベルト:ヴァイオリンと弦楽四重奏のためのロンド


                 294:シューベルト ヴァイオリンと弦楽四重奏のためのロンド

                         (収録曲)

           ヴァイオリンと弦楽四重奏のためのロンド イ長調 D.438
           弦楽三重奏曲第1番 変ロ長調 D.471
           弦楽三重奏曲第2番 変ロ長調 D.581

               ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団
               ヴィルヘルム・ヒューブナー(Vn)

            (録音:1953年 ウィーン
                コンツェルトハウス・モーツァルト・ザール)


作曲は1816年6月だそうです。
シューベルトは19歳でしょうか。

シューベルトはあらゆるジャンルに多くの作品を残しているそうですが
協奏曲だけは作品が欠落しているとのこと。
協奏曲として残されているのは次の3曲のみだそうです。

ヴァイオリンのための小協奏曲D.345
ヴァイオリンと弦楽四重奏のためのロンドD.438(1816年6月)
ヴァイオリンと管弦楽のためのポロネーズD.580(1817年9月)。

これらの曲はヴァイオリンを嗜んだシューベルトの兄、フェルディナントのために
作曲されたと考えられているそうです。
「ポロネーズ」D.580 は1818年にフェルディナントにより初演されたとのことです。
この「ヴァイオリンと弦楽四重奏のためのロンド」も
「ポロネーズ」同様に身近な場で初演されたものと推定されるそうです。

この曲が作曲された年、同月の1816年6月13日のシューベルトの日記には
次のような記述があるそうです。

「ぼくの一生を通じて今日の日は、明るく澄み渡った、美しい日として残るだろう。
まだ僕の耳には、遠くからモーツァルトの音楽が魔法の木霊のような音を微かに伝えてくる。
何と力強く、また優しく、シュレージンガーの弾くヴァイオリンが心に沁みわたったことだろう。
こうして心に押された美しい刻印は、どんな時間も状況も消すことはできない。
それは我々の存在に、いつまでも恵みを及ぼすのだ。
こうして、この世の闇の中に、明るく澄み切った美しい『彼方』が開かれる。
僕たちはそこに希望を託すのだ。
おお、モーツァルト、不滅のモーツァルト、このように明るく、より良い生命の恵みの刻印を、どんなに沢山、限りなく沢山、我々の心に与えてくれたことだろう。・・・」

この日記が綴られた同、6月に15曲ほどの作品が書かれたそうです。
前田昭雄氏は、これらの作品の中でモーツァルトの影響を最もよく示して
いる曲として「ヴァイオリンと管弦楽のためのロンド」D.438 を挙げられていました。
この1816年にはヴァイオリン曲が幾つも生まれ
すべて瑞々しい感覚と情感、そしてモーツァルトの精神に溢れているそうです。


さて、独奏ヴァイオリンと弦楽四重奏で聴いた D.438 。
                
序奏(アダージョ イ長調 4/4拍子)は
弦楽四重奏の響きに厳かな趣が感じられるようです。
独奏ヴァイオリンが現れ奏する主題の穏和な調べ。
早々、虜になってしまう旋律です。

序奏を経て続くロンド部(アレグロ・ジュスト イ長調 2/4拍子)。
独奏ヴァイオリンが奏でる柔和で穏やかな調べ。
またロンド主題では軽快に弾むような独奏ヴァイオリン。
愉しそうに無邪気に飛び跳ねる子どもの姿を連想してしまいます。
趣が変わり華やかさを醸し出す独奏ヴァイオリンの調べ。
独奏ヴァイオリンと四重奏が愉しげに弾む会話をしているようにも。
終始一貫して寛ぎの歌のように感じられます。
また、歌詞のない「歌曲」を聴いているような。


演奏時間は15分ほどの小品ながらも心に刻まれる曲になりました。
この曲を聴いていてシューベルトの作品で大好きな弦楽三重奏曲第2番を
思い出します。
いつも心に寄り添っていてくれる作品です。

天真爛漫、天衣無縫という言葉がぴったりの曲でしょうか。
伸びやかに歌い紡ぐヴァイオリンと四重奏も一体となり
聴かせてくれる明るく軽快な歌。
独奏ヴァイオリンのヒューブナーとウィーン・コンツェルトハウス四重奏団
演奏からは気の合う仲間で奏する愉しげな情景を思い描いてしまいます。

この曲は独奏ヴァイオリンと弦楽合奏やオーケストラの演奏も
あるようですので、機会がありましたら聴いてみたく思います。

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タグ : シューベルト ロンド ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団 モーツァルト

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