2016.10/29(Sat)

Op359 ベートーヴェン:「ピアノ協奏曲第2番」 by カッチェン;ガンバ&ロンドン交響楽団

ショップ・サイトの欲しい物リストにCDは蓄積するばかりの年月。
そのリストの中にジュリアス・カッチェンのデッカ録音全集がありました。
カッチェンの演奏を聴いたこともなく求めることを躊躇していた折に
いつもお邪魔をさせていただいているブログでカッチェンの全集からの演奏を
お取り挙げになられていた記事を拝読しました。
やっと決心がつき求めたカッチェンの全集。
聴いてみたい作品が多い収録曲の中でのお目当ては
ベートーヴェンピアノ協奏曲と合唱幻想曲。

先ずはベートーヴェンピアノ協奏曲の中で耳に馴染みの深い第5番から聴き始め
協奏曲5曲を聴き終えどの演奏も印象に残るものです。
その中で繰り返し聴いていたのが第2番です。

                ベートーヴェンピアノ協奏曲第2番
              ジュリアス・カッチェン・デッカ録音全集より


          (HMV)359ベートーヴェン ピアノ協奏曲第2番ジュリアス・カッチェン・デッカ録音全集
                         (収録曲)

      ベートーヴェンピアノ協奏曲第1番 ハ長調 Op.15
                ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 Op.19
                ピアノ管弦楽のためのロンド 変ロ長調 WoO.6

                     ピエロ・ガンバ(指揮)
                     ロンドン交響楽団
               ( 録音: 第2番 1963年6月17-19日 ロンドン)

          第1楽章Allegro con brio 変ロ長調4 /4拍子
          第2楽章Adagio 変ホ長調3 /4拍子
          第3楽章Rondo, allegro molto 変ロ長調 6/8拍子


作曲に着手されたのはピアノ協奏曲第1番より前の1786年或いは
翌1787年になるそうです。
曲の完成は1795年3月。これが第1稿とのことです。
この曲の第1稿の自筆草稿は紛失してしまっているそうです。
作曲順としてはピアノ協奏曲第0番変ホ長調WoO.4 、ピアノ協奏曲第2番
そして第1番になるそうです。
この第2番は現在ではベートーヴェンの他の協奏曲の中では
最も影の薄い存在とのこと。

この作品についてベートーヴェンは書簡の中で次のように記しているそうです。
「この曲を自分の作品の最良のものとは考えない」と。

ベートーヴェンはハ長調のピアノ協奏曲(第1番)をほぼ完成するにつれ
変ロ長調の協奏曲(第2番)の第1稿に不満を感じるようになったそうです。
そして1798年の第3回プラハ旅行中、或いはそれ以前にこの曲の
補筆改訂を行ったそうです。
改訂をした方をベートーヴェンはプラハで演奏しているそうです。
これが改訂稿の初演であると推測されるとのこと。

更に楽譜を印刷する際の1801年4月にベートーヴェンは独奏ピアノのパートを
終局的に初めて楽譜に記載したそうです。
この曲の楽譜は1801年12月に初めて出版されたそうですが
ピアノ独奏パートを4月に書き記したことからピアノ協奏曲ハ長調(第1番)を
作品15として先に出版したとのことです。
第1番の方が「大協奏曲」とされているのに対し第2番は単に「協奏曲」とされて
いるとのことです。

初演は1795年3月29日、ウィーンのブルク劇場に於いて
ベートーヴェン自身のピアノ独奏で行われたそうです。
この初演がベートーヴェンにとって初のウィーンでのデビューだったとのこと。
この演奏会でベートーヴェンが演奏したのは第1稿とされているとのことです。
同年12月18日の演奏会でもベートーヴェンはこの曲を演奏した他
第1稿で何回か演奏をしているそうです。

曲の献呈はウィーンの宮廷の顧問管、カール・ニクラス・フォン・ニケルスベルクに。
ベートーヴェンがニケルスベルク(1805年3月死去)に献呈した正確な理由は
不明とのことです。


力強いオーケストラで始まる第1楽章。
第1主題の切れの良い旋律。
呈示部でのオーケストラは弾むように。時には、うねるように。多様な姿を。
オーケストラの呈示部が終わり登場する独奏ピアノ。
明るい軽やかな第2主題を流麗として奏するピアノ。
カデンツァでは飛翔をするようなピアノ。
このカデンツァはルドルフ大公のために書かれたものとされているそうです。
カデンツァを経て歯切れ味良く楽章の終わりに。

第2楽章は自由な変奏曲になっているそうです。
音を引き伸ばすようなオーケストラでの始まり。
独奏ピアノが現れ悠とした趣で紡がれる歌。
美しく抒情的な調べ。
オーケストラも叙情的な趣でピアノに呼応を。
ピアノのアルペッジョと弦の規則的なピッツィカートが印象的。
歌い続けるピアノの歌は呟きのようになり。
ゆっくりゆっくりとしたピアノの呟きに寄り添うオーケストラ。
静かに閉じられる第2楽章。
抒情性が漂う美しい楽章で気に入っています。

軽快に奏されるピアノで始まる第3楽章。
主題の軽快な明るさ。
オーケストラには覇気が漂っているよう。
軽快明快なピアノとオーケストラの対話。
主要主題は伸びやかで明るく、力強さも感じられ爽快。
第2副主題は戯れのような愉しさも。
明るく閉じられる曲。


初めて聴くカッチェンのピアノ。
明瞭なピアニズム。華麗という言葉は似合わないような・・・。
「美」として響く調べにも、表面的な美しさとは無縁なものを感じます。
第1楽章の優しく柔和なタッチ、その滑らかさからは
鍵盤と指とが同化しているかのように感じられるほど。
第3楽章の主要主題は昔、初めて聴いた時から印象に残っている旋律。
今回、久し振りに聴き懐かしさすら感じます。
この第3楽章ではカッチェンの指は軽やかに鍵盤上を踊るかのようです。
何よりも真摯さを感じさせるような演奏に想われます。
指揮のガンバロンドン交響楽団は大らかな深い響きで
独奏ピアノに寄り添っているように感じられます。

前述に重複しますが、この第2番はベートーヴェンのピアノ協奏曲の中では
最も影の薄い存在とのこと。
こうしてカッチェン;ガンバ&ロンドン交響楽団の演奏で聴き
影の薄い存在どころか魅力を感じる曲です。

カッチェンはモーツァルトのピアノ協奏曲第20番でデビューしたそうですが
この全集の第1枚目のディスク、第1曲目がデビュー曲のモーツァルトの
第20番でした。
早速、聴いてみたくなりました。
収録されているブラームス、シューベルトに耳を傾けるの楽しみ。
じっくりと長く付き合ってゆきたい全集になりました。


蛇足。井戸端会議のオバサン話。メモとして。
演奏を聴きカッチェンについて知りたくなりました。
Wikipedia と ショップ・サイトの紹介記事を参照しつつのメモ。
Julius Katchen(1926年8月15日 - 1969年4月29日)
アメリカ合衆国のピアニスト。
ショップ・サイトによると周知の逸話として。
カッチェンは11歳の時にラジオ番組に出演しシューマンを弾いたそうです。
その放送を聴いていたオーマンディに招かれモーツァルトのピアノ協奏曲第20番でデビューしたとのこと。

1946年にカレッジを卒業後にパリに行く。
1947年、ヨーロッパ各地で演奏活動。その後はパリに永住することを決意。
カッチェン曰く「アメリカのピアノ界は、音楽学生同士のもたれ合いや馴れ合いが根底にある。それが嫌だ」。
1968年12月12日。カッチェン最後の公開演奏。ロンドン交響楽団とラヴェル「左手のための協奏曲」の共演。
1969年、4月29日。肺がんにて逝去。42歳。

                  
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タグ : ベートーヴェン ピアノ協奏曲 カッチェン ロンドン交響楽団

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