2016.11/26(Sat)

Op.363 ブラームス:「弦楽四重奏曲第3番」 by ジュリアード弦楽四重奏団

ブラームス弦楽四重奏曲3曲のうち第1番から聴き始め
前回は第2番でした。
今回は最後の第3番をジュリアード弦楽四重奏団で聴いてみました。
ブラームス弦楽四重奏曲全集、弦楽五重奏曲全集、クラリネット五重奏曲
シューベルトの弦楽四重奏曲第12,13、14、15番が収録されている5枚組。
この5枚組Box は過日、お寄せ下さいましたコメント、ブログを拝読して
是非聴きたくなり求めたものです。

昔々のLP時代にベートーヴェンの弦楽四重奏曲で初めてレコードを
求めたのがジュリアード弦楽四重奏団の演奏でした。
初期、中期、後期作品、3分割での分売LP。
アルバイトをして求めた懐かしい想い出があります。
今でもジュリアード弦楽四重奏団の名前を目にすると懐かしさが
呼び覚まされます。

          ブラームス弦楽四重奏曲、五重奏曲全集 他
                ジュリアード弦楽四重奏団

        
      363:ブラームス:弦楽四重奏曲第3番 ジュリアードSQ
                       (収録曲)
                      ブラームス
               弦楽四重奏曲第1番ハ短調 Op.51-1
               弦楽四重奏曲第3番変ロ長調 Op.67

                  ジュリアード弦楽四重奏団
                   ロバート・マン(Vn)
                   ジョエル・スミルノフ(Vn)
                   サミュエル・ローズ(Vla)
                   ジョエル・クロスニック(Vc)
                      (録音:1993年)
 

         第1楽章:Vivace 変ロ長調 6/8拍子
         第2楽章:Andante ヘ長調 4/4拍子
         第3楽章:Agitato Allegretto non troppo ニ短調 3/4拍子
         第4楽章:Poco Allegretto con Variazioni 変ロ長調 2/4拍子


弦楽四重奏曲第1、第2番を1873年、40歳の時に書き上げたブラームス
ブラームスの3曲の弦楽四重奏曲のうち最後の第3番は
1875年のツィーゲルハウゼン滞在中に着想され曲の大半が書かれたそうです。
翌1876年の春頃、ウィーン滞在中までにブラームスとヨアヒムとの間で
数回手紙の往復がありいろいろと訂正し手を加えて完全な形のものと
されたとのことです。

クララは同1875年5月23日に日記に次のように記述をしているそうです。
 「ブラームスの新しい弦楽四重奏曲をヨアヒムが演奏して聴かせてくれた。
  ひじょうに驚くべき曲だ。・・・ヨアヒムは、これを密かに持って来たのだった」

1875年にブラームスは3年間勤めた楽友協会の指揮者の地位を辞したそうです。
その年の5月から8月にかけてハイデルベルクの近くのツィーゲルハウゼン
滞在中にこの曲が書かれたとのこと。
曲が書かれている時にブラームスは友人のライライターに次のような
手紙を書いているそうです。
 「私の部屋と私の毎日の生活はきわめて快適です。レヴィーとデッソフが今日ここに来ました。今晩はフランク(指揮者)が来るはずです。明日は、マンハイムから幾人かの美しい女流声楽家がきます。要するに生活は愉しすぎるほどです。」

ツィーゲルハウゼンでブラームスは多くの友人の訪問を受け
愉しく快活な日々を送っていたそうです。
このような日々の中で誕生をした弦楽四重奏曲第3番。
尚、この曲が完成した1876年には「ピアノ四重奏曲第3番」が作曲され
翌、1877年に「交響曲第1番」が書かれたとのこと。

私的初演は1876年、ベルリンのクララのもとでヨアヒム四重奏団で。
公開初演は同年10月30日に同じくヨアヒム四重奏団により行われたとのことです。

献呈は生物学者でユトレヒトの大学教授のテオドール・ヴィルヘルム・エンゲルマン
博士に。
ブラームスは1876年冬に初めてオランダ旅行をしたそうです。
その際にユトレヒトでエンゲルマン博士の家に滞在し世話になり
愉しい生活を送ったとのことです。



喜ばしさを感じさせるような明朗で軽快な第1主題で始まる第1楽章。
親しみ易い旋律で耳に届いた瞬間に惹かれる主題です。
第2ヴァイオリンとヴィオラが奏する第2主題に。
流れるように奏される旋律にもまた快さが。
第1主題と第2主題が交互に現れ愉しげな会話をしているよう。
展開部で奏される穏やかで柔らかな調べ。
静かに柔和な趣で奏される調べはヒソヒソ話でもしているかのよう。
第1主題が現れてリズミカルに明るく閉じられる第1楽章。

静かで瞑想的な旋律で始まる第2楽章。
牧歌的で美しい抒情性を感じさせる調べです。
第1ヴァイオリンの美しい歌には郷愁をそそる趣も。
心に沁みる調べです。 
3部形式とのことで第2部に入ると熱情的な激しさのような。
3部では再び穏やかな雰囲気に。
歌い続けるヴァイオリンに寄り添うチェロの響きが印象的。
楽器たちが静かに歌いつつ消え入るように終わる第2楽章。
抒情的な美しい歌を聴いているかのような楽章のように感じられます。

ヴィオラが奏する調べで始まる第3楽章。
ヴィオラと第1ヴァイオリンが対話をしているような。
色彩的な雰囲気が漂っているかのように感じられます。
姿を見せるヴィオラが印象的。
トリオで軽やさと優美さが融合されたような趣が。
静かに終わる第3楽章。
言葉での表現に難しさを感じつつも心に残る楽章です。

第4楽章は主題と8つの変奏で構成されているそうです。
楽章の始まりは穏やかさを感じさせる調べで。
この主題は ラ・ラ・ラン・ラン・ラン・・・と口ずさみたくなるような
親しみを感じる旋律です。
第1変奏で穏やかに奏される主題。  
第2変奏になり生き生きとした感じが加わりチェロのピッツィカートにのり
ヴィオラが奏する主題が印象的です。
主導はヴィオラから第1ヴァイオリンに。    
第3変奏では第1ヴァイオリンが軽やかに愛らしさを感じさせつつ。 
第4変奏になると主題の面影は薄れるようです。
第1ヴァイオリンが奏されつつ力度を増すチェロ。
力強さを感じさせる変奏。
第5変奏では落ち着いた趣に。
第6変奏は暗く寂しげな雰囲気。
呟きのように奏されるヴァイオリン。
チェロのピッツィカートの呟きはこの変奏のスパイスのような。
第7変奏で一転して明朗に。
第1楽章のあの明朗で軽快な第1主題が現れ
繰り返し奏され喜ばしい気分に満ち溢れているようです。
この楽章の主題も現れて凛とした趣も。
喜ばしい気分が奏されつつ力強く迎える曲の終わり。


ブラームスがツィーゲルハウゼン滞在中の愉しい日々の中で
着想し曲の大半が書かれたとのことで
その愉しさ、快活さが第1楽章の第1主題に凝縮されているようです。
喜ばしさ、愉しさを感じさせる明るい旋律。親しみ易さ。
曲の開始とともに耳を奪われてしまいます。

ジュリアード弦楽四重奏団で聴くブラームスの弦楽四重奏曲は
この第3番が初めてです。
初めて聴くとは思えないような親しみを感じる演奏。
楽器たちの動きが克明に感じられるようです。
聴いていて安堵感のようなものも抱きます。
「激しく」と指定された第3楽章、「激しさ」をよりも活発で生き生きと
感じられます。
弛緩のない演奏、かと言って堅苦しさはなく
曲想の明るさが生き生きと軽快に伝わってくるようです。
お気に入りの演奏になりました。
また、この第3番が3曲の弦楽四重奏曲のなかで
一番のお気に入りになりました。

じっくりと耳を傾けたくなるジュリアード弦楽四重奏団の5枚組。
ブラームス、シューベルト・・・聴くのが楽しみなディスクたちです。

                  
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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : ブラームス 弦楽四重奏曲 ジュリアード弦楽四重奏団 ヨアヒム

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