2017.05/27(Sat)

Op.389 ベートーヴェン:「弦楽四重奏曲第16番」 by ハンガリー四重奏団

年々、ベートーヴェン弦楽四重奏曲に惹かれつつある昨今。
ハンガリー四重奏団ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集が目に付き
求めて聴いてみました。
今日は第16番を。

               ベートーヴェン弦楽四重奏曲第16番
       ハンガリー四重奏団ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集より

                 
            389:ベートーヴェン弦楽四重奏曲第16番ハンガリー四重奏団(1953)全集
                        (収録曲)
     
              弦楽四重奏曲第15番 イ短調 Op.132
               弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 Op.135

                    ハンガリー四重奏団
                  ゾルターン・セーケイ(Vn)
                  アレクサンドル・モシュコフスキ(Vn)
                  デーネシュ・コロムサイ(Vla)
                  ヴィルモシュ・パロタイ(Vc
                    (録音:1953年 モノラル)

 第1楽章:Allegretto ヘ長調 2/4拍子
 第2楽章:Vivace ヘ長調 3/4拍子
 第3楽章:Lento assai, cantante e tranquillo 変ニ長調 6/8拍子
 第4楽章:(標題)Der schwer gefasste Entschluss
     (序奏)Grave, ma non troppo tratto(Muss es sein?) ヘ短調 3/2拍子
     (主部)Allegro(Es muss sein!)ヘ長調 2/2拍子(主部)
       

作曲は1826年10月、ベートーヴェンの死の5ヶ月前に
弟ヨハンの家で完成したそうです。
まとまった作品としてはベートーヴェンの最後の作品になるとのことです。
曲が書き上げられたグナイクセンドルフの弟のヨハンの家に
ベートーヴェンは深い心痛と蝕まれた肉体を抱えこの年の秋に
自殺未遂事件を起こした甥のカールを連れ赴いたそうです。
この作品を書き上げた後にベートーヴェンの絶筆となった
弦楽四重奏曲第13番作品130の終楽章が完成されたとのこと。

カールはベートーヴェンの愛情を受け、治癒をしてからは軍人になりたいと
言い出したそうです。
カールの希望を叶えるためにベートーヴェンが奔走をしたお陰で
カールは希望通りに軍隊勤務に就くことになったとのこと。
ベートーヴェンとカールは12月末にヨハネの家からウィーンに帰ったそうですが
帰途の寒さも影響しベートーヴェンの健康は悪化したとのことです。
カールが軍籍に入るために出発した翌日、1月3日付けのベートーヴェンが
弁護士バッハ宛てに綴った書簡には死を覚悟したと受け取られる文字が
連ねられていたそうです。
このような状態、状況の中でこの弦楽四重奏曲第16番は作曲されたとのことです。

初演はベートーヴェンの死後1年目の1828年3月、ウィーンで
シュパンツィヒ弦楽四重奏団により行われたそうです。
献呈は友人のJ.K.ヴォルフマイアーに。


ハンガリー四重奏団で聴くベートーヴェン、弦楽四重奏曲第16番

リズミカルな中にも厳しさを感じるような第1主題で始まる第1楽章。
間もなく現れる新しい旋律は明るく軽やかに会話をする楽器たち。
第2主題も軽やかなスタッカートで楽器たちは楽しげな語らいを。
展開部で悠然と奏されるチェロの重々しさ。
すぐに元の軽快なリズミカルに。
生き生きとした会話を始める楽器たち。
コーダで第1主題が奏されつつ終わる第1楽章。

前楽章に続き4つの楽器たちが奏する主題で始まる第2楽章。
楽器たちが奏する異なるリズム、躍動感に溢れる主題。
中間部でヴィオラとチェロが奏する主題は波打つような雄大さで
弾き進められるパートは圧巻。
突如として終わるこの楽章。

第3楽章は主題と自由な4つの変奏で構成されているそうですが
各変奏に主題の姿がほとんど見られず即興的な幻想曲とも言えるとのこと。
尚、変奏には変奏番号は付いていないそうです。

静かに幻想的な雰囲気で始まる第3楽章。
第1の変奏は第1ヴァイオリンが奏する瞑想するように奏される主題。
次の第2の変奏も静かに奏され前変奏のような主題は見られないような。
第3の変奏でチェロが美しさをともない思索するように奏され
第4の変奏では第1ヴァイオリンンの美しい旋律を交えて
他の楽器たちとの静かな語らい。
第1ヴァイオリンが歌いつつ静かに閉じられる第3楽章。
幻想的、瞑想的な雰囲気の楽章でしょうか。

第4楽章には「Der schwer gefasste Entschluss(ようやく付いた決心)」との標題が付いているそうです。
重々しい序奏で始まる第4楽章。
強音で荒々しさを感じさせる和音には不安感を覚えるようです。
主部に入り一転して明朗な第1主題。
そして第2主題ではチェロが茶目っ気を感じさせる明るさで奏されるのが印象的。
懐かしさ、親しみを感じる第2主題。
コーダでの全楽器によるピッツィカートで奏される第2主題が印象に残ります。
明朗で戯れるかのような明るさ。
力強く迎える曲の終わり。


ハンガリー四重奏団はあまり耳にすることがなかった四重奏団です。
ショップ・サイトの解説よりメモを。
1935年にシャーンドル・べ―グによってブダペストで結成。
2年後にゾルターン・セーケイが加わり、1940年にヴェーグが退団し
ヴェーグ四重奏団を結成して活動。
セーケイをリーダーとするハンガリー四重奏団は戦後、アメリカに拠点を移し
1972年まで活躍。

ハンガリー四重奏団とヴェーグ四重奏団の繋がり(?)を初めて知りました。
昨年頃、ヴェーグ四重奏団でベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲を聴き
大らかな演奏だったような記憶がありますが・・・。
改めてゆっくりと聴き直してみたくなりました。

さて、ハンガリー四重奏団。
しっとり系、さっぱり系・・・化粧品の分別のようになってしまいますが。
ハンガリー四重奏団はの演奏を初めて耳にした時に
さっぱり系 のように感じられました。

繰り返し聴いているうちに演奏に透明感(具体的に?表現できないのですが)を
感じるようになりました。
4人の奏者たちが真摯に作品に対峙し綿密に紡ぎ出される音楽のようにも感じます。
私にとってハンガリー四重奏団の演奏する第16番は
ベートーヴェンの初期の弦楽四重奏曲、特に第4番や5番のように
軽快な明るさが印象に残ります。
また、繰り返し聴く毎に味わい深く感じられる演奏でしょうか。
じっくり、ゆっくり、長く付き合ってゆきたい全集の一つになりました。

                  
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タグ : ベートーヴェン 弦楽四重奏曲 ハンガリー四重奏団

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