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2018.02/24(Sat)

Op.428 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第15番≪田園≫」 by バレンボイム;アラウ&バックハウス

ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」。
相変わらず初期、中期、後期のソナタを行きつ戻りつしています。
何気なくソナタ全曲の目次を見ていて目に付いたのが第15番。
副題に「田園」との文字。
ピアノ・ソナタにも「田園」があることを知り、副題に釣られ聴いてみました。
嘗て聴いたことがあったのか、この曲もまた記憶が定かではありません。
穏やかな曲かと想像をして・・・副題とは程遠い印象の曲に感じられました。
今回は第15番を。
アラウバックハウスバレンボイムで聴いてみました。
3つの演奏でバレンボイムを代表で。

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第15番「田園
バレンボイムベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集より


417 :ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第8番 全集 バレンボイム
(収録曲)
ベートーヴェン
ピアノ・ソナタ第15番ニ長調Op.28「田園
ピアノ・ソナタ第21番ハ長調Op.53「ワルトシュタイン}
ピアノ・ソナタ第19番ト短調Op.49-1
ピアノ・ソナタ第20番ト長調Op.49-2
(録音:1966-69年 1回目の全集)

第1楽章:Allegro ニ長調 3/4拍子
第2楽章:Andante ニ短調 2/4拍子
第3楽章:Scherzo/Trio: Allegro vivace ニ長調 3/4拍子
第4楽章:Rondo:Allegro ma non troppo ニ長調 6/8拍子

作曲されたのは作品27の2曲と同じ1801年。
ベートーヴェンの自筆譜に書き込まれているそうです。
曲の着想については不明とのこと。

田園」との呼称はベートーヴェン自身が付けた標題ではないそうです。
1883年にハンブルクの出版業者オーガスト・クランツがこの曲を “Sonate pastorale” として出版。
以来、この呼称になったものと推測できるとのことです。
当時は田園情緒のある音楽が流行していたそうで、クランツは商策として “Sonate pastorale” と名付けたとも考えられるようです。

第12番から第13番、14番にかけての3曲ではベートーヴェンは新しい大胆なソナタを書き上げ、この第15番では形式は古いスタイルの4楽章構成に戻り、内容も穏やかになっているとのことです。
「主観性の強い激しい世界と、客観的な平穏な世界を同じ時期に別々の作品に形成してゆくやり方は、ベートーヴェンの作曲における著しい特色」とのこと。
確かにこのソナタ第15番は前作品、第14番「月光」の主観性の強い激しい世界とは対照的。

出版は1802年8月、ウィーンの美術工芸社から初版が出されたそうです。

248 ベートーヴェン ピアノソナタ第15番「田園」ゾンネンフェルス
Joseph Freiherr von Sonnenfels
(1732、或いは1733年-1816年4月25日)

献呈は当時のウィーンの名士であったヨゼフ・フォン・ゾンネンフェルスに。
オーストリアの啓蒙主義者で劇作等を通し啓蒙運動を行い、政治学の教授でもあったとのこと。
晩年は美術学校の校長も務めたそうです。
ベートーヴェンとの関係は不明とのこと。
ベートーヴェンに出版元を紹介したのが献呈の動機との説もあるそうです。

自筆譜はボンのベートーヴェン・ハウスに保存。


バレンボイムで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第15番「田園」

穏やかで美しい調べの第1主題で始まる第1楽章。
この主題ののどかで美しい歌のような調べはこの曲の中で最も印象に残ります。
副題の「田園」を連想させるのはこの主題だけのようにも感じられますが。
闊歩するような左手の伴奏を経て、再び第1主題になり、ホッとします。
第2主題も伸びやかな趣。
華やかな調べと第2主題が交互に歌われ、平和な佇まいを感じます。
バレンボイムの演奏では特に印象に残ります。
展開部で左手の規則正しく弾かれる8分音符は、右手の旋律に軽快な趣を添え
生き生きとした息吹を注ぎ込んでいるかのよう。
再現部を経てコーダで現れる第1主題。
和やかな雰囲気を漂わせ静かに閉じられる第1楽章。

第2楽章はベートーヴェンの弟子カール・ツェル二ーが次のように表現しているそうです。
「素朴な物語 過ぎし時のバラード」
ツェル二ーによるとベートーヴェンはこの第2楽章を特に気に入り飽きることなく弾いていたとのこと。

明るい優しさを感じさせる主題で始まる第2楽章。
左手のスタッカートの伴奏で始まるこの主題は印象的です。
歩みのように刻まれる旋律。
中間部は明るく愛らしい主題。軽快なリズム。
右手が奏する高音はまるで楽しげな笑い声でもあるかのように響いてきます。
こぼれる笑みを連想させるような愛らしいリズムの主題。
第3部は第1部の変奏による再現とのこと。
明るい雰囲気で右手の雄弁なお喋りに相槌を打つ左手の伴奏も姿を現し。
微笑ましく翳りのない楽想。
コーダで楽しい夢うつつのような趣で静かに閉じられる第2楽章。

音が下降する動機の主題で始まる第3楽章。
1オクターブづつ下降しているとのこと。
溌剌とした動的な趣を感じる印象的な主題。
トリオもまた活発な雰囲気。
勢いを感じさせつつ閉じられる第3楽章。

第4楽章は古くからいろいろな人により文学的に形容されているそうです。
ライネッケは「遠くから響く鐘の音、または森の囁き」
エルターラインは「跳ねまわって遊び、騒がしく健康な田舎の子供たち」
グローヴは「牧童の音楽」  

軽快なロンド主題で始まる第4楽章。
経過部でのアルペッジョを経て現れる第2主題。
ロンド主題による展開部では茶目っ気な雰囲気も漂っているようです。
この楽章では最後の第3の主題が印象的。
この主題は第2主題によるものとのこと。
高潮し華麗な雰囲気に。
テンポが落ち、右手の活発な動きには華麗な趣も。
クレッシェンドでの低音の響きの力強さ。
華々しく豪壮に迎える曲の終わり。


副題を見て穏やかな田園風景などを連想していましたが、
「田園」の趣を感じたのは第1楽章の第1主題だけのように想います。

初めにアラウの演奏から聴き、次にバックハウスで聴いていました。
ふと目に付いたバレンボイムは予定外でしたが聴いてみました。
3人の演奏を聴き「田園」のイメージに近かったのが、バレンボイム。
聴く前にはアラウに抱いているイメージから理想的な演奏かと思っていたのですが。
演奏が立派すぎるようで・・・。

因みに録音時間を。
アラウ      9分34秒/7分53秒/2分03秒/5分04秒 
バックハウス  6分46f秒/6分27秒/1分53秒/4分18秒
バレンボイム  12分22秒/9分07秒/2分52秒/5分57秒

第1楽章でバレンボイムはバックハウスの約2倍の遅さであることに興味をそそられます。

アラウでは明るい、リズム感。第4楽章のコーダで重厚に響くピアノが印象的でした。
満開のひまわりの花の佇まい。時には風になびく姿を連想していました。
もし副題を付けるとしたら「ひまわり」とでも。
バックハウスでは闊達で豊かなリズム感。第3楽章にが印象に残る演奏。
キビキビとした推進力。リフレッシュ効果抜群でしょうか。
副題は「若者」とでも名付けたくなります。

バレンボイムはベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を4回録音しているそうですが、この第1回目の録音しか持っていません。
この第1回目の全集は20代の録音になるのでしょうか。
のどかで抒情的な雰囲気が漂う演奏。
呼称の「田園」を想起させるに相応しい演奏に感じられます。
バレンボイムで特に印象的だったのは第1楽章の第1主題。
のどかで、素朴な美しさを湛え聴き入ってしまいました。
全楽章を通して弱音、強音の微妙な変化での細やかな表情付けにも惹かれます。
4回録音をした全集、各々を聴きたいところですが・・・当分は見果てぬ夢になりそうです。

三者三様とは言え、かなり趣の違いを感じさせられる第15番。
3人の演奏を聴き、第1楽章の第1主題だけでもソロモンで聴きたい・・・これもまた見果てぬ夢。

最後にお願があります。
ソロモンのベートーヴェン、ピアノ・ソナタ集(1集~5集)としてショップから発売されている曲目や手持ちのディスクの曲目をメモしてみました。
第15番は見当たりません。
未収録だったのでしょうか。ご教示いただけると幸いです。

                
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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 田園 バレンボイム アラウ バックハウス ゾンネンフェルス

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