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2018.04/28(Sat)

Op.437 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第19番」 by アラウ(1960年代、1980年代 2種の録音で)

ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」。
中期のピアノ・ソナタ、作品21-90、第12番から第27番。
中期のソナタでは作品49の2曲のソナタのうち作品49-1、第19番が残ってしまったようです。
第19番にじっくりと耳を傾けるのは初めてかも知れません。

前置きが長くなりますが。
作品49の2、第20番の方は「ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」を始める以前、約2年程前の当拙ブログに登場しておりました。
ベートーヴェンの作品でお気に入りの一つ「七重奏曲」の旋律が使用されているとのことで聴きたくなった第20番でした。
当時はまだまだベートーヴェンピアノ・ソナタは私にとっては遥か遠い存在。
ディスクも全集ではシュナーベルとアルフレート・Bしか手持ちになかった頃です。
いつかアラウの演奏で聴きたいと願っていた当時。
アラウベートーヴェンの全集を入手したいと望んでいた当時。
そして現在、アラウで新旧の2種の録音で聴くことができる日が訪れ
念願の夢が実現したような嬉しさです。
第20番の方は当時シュナーベルのピアノで聴き好印象を抱いたものでした。

第19番を念願のアラウのピアノで。
脳裏から離れることのないソロモン。
ソロモンのピアノで第19番を探してみました。
作品49の2つのソナタ、第19番と第20番ともに未録音だったようです。
未練を残しつつソロモンで聴くのは諦めました。

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第19番 
アラウ~デッカ録音全集よりベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集

437ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第19番クラウディオ・アラウ~デッカ録音全集

クラウディオ・アラウ(P)
(録音:旧録音 1966年; 新録音 1989年)

第1楽章:Andante ト短調 2/4拍子
第2楽章:Rondo: Allegro ト長調 6/8拍子


第20番について綴った2年程前と重複すると思いますが。

作品49の2つのソナタは1795年から1797年にかけて作曲されたそうです。
ベートーヴェン、25歳頃から27歳頃でしょうか。
ベートーヴェンのスケッチ・ブックにより、曲が着想されたのは1795年から翌年にかけてと推定されるとのことです。
曲の完成は1796年に作品49-2、第20番が先に書き上げられ
作品49-1、第19番は遅れて1797年に完成、と推定されるとのことです。
2つのソナタの献呈はないとのこと。

ベートーヴェン研究者のセイヤーなどは、曲が簡素なことや演奏の容易な点から見て
弟子の練習曲として作曲されたものと考えられているそうです。
今日でも、作品49の2つのソナタは初心者の練習用として用いられているとのこと。
練習用とは言え、大木正興氏は次のように記述しています。
「音楽としての美しさは並々ならぬもので、芸術的な馥郁とした香りを持つ佳作である」。

作品49の2つのソナタの出版は1805年1月にウィーンの美術工芸社より。
初版のタイトルは「2つのやさしいソナタ Deux Sonates faciles」とのこと。
自筆譜は紛失。

作品49の2つのソナタを作曲した前後年のベートーヴェンの状況。自分のメモとして。
1794年 24歳 J.G.アルブレヒツベルガーに作曲を師事(1月)。
         ヴァイオリンをシュパンツィヒに師事。
         エステルハージ侯やリヒノフスキー侯爵との親交が深まり
         貴族サークルにベートーヴェンの名が拡がる。
1795年 25歳 ブルク劇場の慈善音楽会でピアノ協奏曲第2番等で公開デヴュー(3月) 
         ハイドンの前で3つのピアノ・ソナタ作品2を演奏(8月)
         ハイドン主催演奏会でピアノ協奏曲第1番を演奏(12月)
         第1回プラハ旅行、リヒノフスキー候と(年末)
1796年 26歳 第2回プラハ旅行(2月)。プラハからはリヒノフスキーと別れ単独で
         ドレスデン、ライプツィヒ、ベルリンへ足を延ばし約半年に渡る大旅行。
         3つのピアノ・ソナタ作品2の出版



アラウで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第19番

親しみを感じる第1主題で始まる第1楽章。
この主題に耳を傾けていると翳りを感じるよう。
寂しげな雰囲気を奏するピアノの歌のように感じられます。
妙に親しみを抱く旋律。
第2主題も同じような趣。
展開部は第2主題で形作られているとのこと。
再現部を経てのコーダで落ち着いた趣で静かに終わる楽章。

お茶目で愛らしいロンド主題で始まる第2楽章。
第2主題も愛らしさに華やかさが加わったよう。
ロンド主題が軽やかに奏されて切れ味のよい打鍵で迎える曲の終わりに。


作品49の2つのソナタともに演奏時間は約8分程の短いものですが
印象深い調べが心に刻まれるソナタのように感じています。

アラウは旧録音時の1966年は63歳頃、新録音時は87歳頃でしょうか。
演奏時間。ブックレットより。
旧録音:1966年  4分36秒/3分42秒
新録音:1989年  4分36秒/3分52秒

新旧2種の演奏を聴きつつ
その瞬間、瞬間に演奏家は最善を尽くしていることを想い、聴き比べ的に感想を綴ることに対し自分の僭越さ、アラウに対する失礼な気持ちを拭いきれません。
が、敢えて綴らせていただくことに。

新録音では旧録音に比べ
第1楽章では表情付けがさらに豊かになっているように感じられます。
寂寥感と明るさの対比が大きく、フォルテとピアノの差も拡がり、思索をするような雰囲気を感じます。
第2楽章ではロンド主題の愛らしさに力強さが加味されたように感じられます。
第2主題は旧録音よりも優雅な雰囲気が強く漂っているようにも。
楽章全体が活き活きとしているようです。
新旧ともに大きな違いを感じたのは
新録音では低音域が強く響きに重厚感が出ているように感じます。
そして第2楽章のコーダでしょうか。
旧録音では切れ味が鋭い終わり方。新録音では力強い打鍵での終わり。

前回、ソナタ第25番を聴いた時には新旧の演奏の相違はほとんど分かりませんでした。
この第19番では新録音では愛らしくも風格のある堂々としたアラウのピアニズムのように感じられました。

有名作品の陰になり陽の当らないような作品49の2つのソナタ。
今回、2種の演奏による第19番に耳を傾けつつ
新旧の演奏はともに有名な作品、無名(?)な作品を問うことなく
一つの作品に対するアラウの真摯さ、誠実さ。
作曲家とその音楽に対する畏敬の念を強く感じました。

               
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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : ベートーヴェン ピアノ・ソナタ アラウ 1960年代 1980年代

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