♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.71 ヴェルディ:歌劇「椿姫」 by C.クライバー&コトルバス;ドミンゴ

クライバーのDG録音全集の中で重複しましたのが、ヴェルディの「椿姫」でした。
数年前、C.クライバーで初めて求めましたCDが「椿姫」でした。
LP時代から数十年間、お世話になっておりましたレコード店に足を運びました際に、
店頭で目に付きました。
そのレコード店も一昨年、思い出と共に閉店になってしまいました。
現在はネットでのCD購入になりましたが、店頭で欲しいディスクを探しましたり迷いましたり。
懐かしい思い出を沢山残してくださったレコード店でした。

店頭で出合いました「椿姫」、ソリストは他の人を希望していたのですが、
指揮者のクライバーの名前に惹かれて求めたものでした。
椿姫」にて、C.クライバーを初めて聴きまして、
心の中に名前を刻みこまれる指揮者の一人となりました。
初めて心を射止められたソプラノ、コトルバスにも出会うことができました。
色々な意味で、思い出深い「椿姫」です。

   
                      ヴェルディ歌劇椿姫」全曲
                    C.クライバー;DG録音全集より


                C.クライバー:DG録音全集


                 ヴィオレッタ:イレアーナ・コトルバス(S)
                 アルフレード:プラシド・ドミンゴ(T)
                 ジョルジュ・ジェルモン:シェリル・ミルンズ(B)
                 フローラ:ステファニア・マラグー(Ms)

                 カルロス・クライバー
                 バイエルン国立管弦楽団
                 バイエルン国立歌劇場合唱団

                 (録音:1976年5月;1977年5-6月 ステレオ)



「椿姫」については語り尽くされているのですが・・・敢えて、シツコク。
パリの社交界のマリーー・デュプレシーという実在の女性をモデルにして、
痛烈な社会批判を扱ったアレクサンドル・デュマ・フェスの小説「椿姫」。
1848年にこの小説が発表され大反響があったそうです。
そしてヴェルディの手元にも渡った小説「椿姫」。
ヴェルディはこの小説に大いなる共感を抱き、創作意欲を駆り立てられたとのこと。
オペラ台本を「リゴレット」の脚本家であったフランチェスコ・M・ピアーヴェに依頼し、
一ヶ月半で作曲を完成したそうです。
ヴェルディをそれ程までの熱情に駆り立てた「椿姫」。

デュマ・フェスの小説「椿姫」ですが、
語り手である『わたし』が、マルグリット・ゴーチェ(オペラでのヴィオレッタ)の遺産の競売で、特製本の「マノン・レスコー」を高額な金額を出して手に入れるところから始まるそうです。
その本の最初のページには次の献辞が書かれているとのこと。
  
  「マノンをマルグリットに贈る
    慎み深くあれ 
             アルマン・デュヴァル」

数日後に『わたし』の家に、当のアルマン・デュヴァル(オペラでのアルフレード)青年が訪ねて来る。
マルグリットの遺産の競売で手に入れた「マノン・レスコー」を譲って欲しいとの申し出に、『わたし』は快諾する。
アルマンは、自分とマルグリッド・ゴーティエとの関係をすべて話し始め・・・。
アルマンが『わたし』に語った話が小説「椿姫」。

マルグリッドはパリのドミ・モンド。
ドミ・モンドというのは、貴族か富豪をパトロンとして、社交界に出入りをすることができた高級娼婦だそうですね。
ドミ・モンドの中でも特に若く、美しいマルグリッド。
公爵をパトロンに持ち豪勢で贅沢三昧の生活。
だが、純朴な青年アルマンを知り・・・。

デュマ・フェスのこの小説「椿姫」を読んだことがありませんので、
是非、この機会に読んでみたいと思うようになりました。

デュマ・フェスはマルグリット、つまり実在のマリー・デュプレシーを愛していたそうです。
マリーの死の翌年に、彼女をモデルとしてこの悲恋物語を書き上げたとのこと。
小説の中の、マルグリット同様に、マリー・デュプレシーは、
抜群の気品ある美しい女性だったそうです。
社交界の席上で彼女に会った、かのフランツ・リストは心を奪われ賛嘆の声を漏らしたとも。
  「まるで女王のようだ!」と。


           マリー・デュプレシー
            マリー・デュプレシー(本名:アルフォンシーヌ・プレシー
                          1824年1月15日-1847年2月3日)



          ぱたぱたアニメ館:ライン音符


小説「椿姫」の話が長くなりました。
やっと、本題のヴェルディの「椿姫」に。

【作曲】1853年
【初演】1853年3月6日、ヴェネツィア、フィニーチェ劇場
【原作】アレクサンドル・デュマ・フィスの小説「椿姫」(「椿を持つ女」)に依る同名の戯曲
【台本】フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ
【時と場所】1850年代、初演当時のパリ、及びその近郊
【構成】全3幕
【主な登場人物】
   ヴィオレッタ・ヴァレリー:主人公の高級娼婦
   アルフレード・ジェルモン:南フランス出身の青年、ヴィオレッタの恋人
   ジョルジュ・ジェルモン:アルフレードの父親
   フローラ・べルヴォア:ヴィオレッタの友人でライバル
   ドゥフォール男爵:ヴィオレッタのパトロンの一人
   アン二ーナ:ヴィオレッタの忠実な女中
【物語】
   (第1幕)ヴィオレッタのサロン(1850年10月)
 今夜も華やかな宴が開かれている。
地方の素封家の息子であるアルフレードはヴィオッレッたに恋い焦がれ、
友人に頼んでこのサロンに連れてきてもらう。
サロンの客たちが、アルフレードに即興詩を所望する。
アルフレードはワイン片手に<乾杯の歌>を歌い、客たちが唱和する。
宴たけなわの時、ヴィオレッタは発作に見舞われる。
アルフレードは彼女の身体を心配し、二人きりになると愛を告白し、
二重唱<幸福なひと時>を歌う。
ヴィオレッタはアルフレードの純真な愛に心惹かれる。
客たちが帰った後、彼女は<ああ、そは彼の人か>と有名なアリアを歌う。
これが持ち望んでいた恋かも知れない、と胸をときめかせるが、
次の瞬間には<花から花へ>と飛び回って快楽に浸るのよ、とその想いを打ち消す。

  (第2幕:第1場)パリ郊外のブージヴァールの田舎家(1851年1月)
 ヴィオレッタはパリでの華やかな生活を捨て、郊外の村でアルフレードと二人だけの穏やかな日々を過ごしている。
幕が開くとすぐ、アルフレードは<燃える心を>と、今の幸せを噛みしめるアリアを歌う。
しかし召使のアン二ーナから、ヴィオレッタが生活のために宝石箱を売ったと聞き、
パリに金策に出かける。
ヴィオレッタの元に、アルフレードの父ジェルモンが訪ねてくる。
彼は娘の結婚の障害になるからと、ヴィオレッタに別れて欲しいと頼みに来たのだ。
最初は拒絶していたヴィオレッタだが、愛するアルフレードのために別れることを決意。
彼女はアルフレードに別れの手紙を書き、パリに戻る。
それを見たアルフレードは逆上し、ジェルモンが<プロヴァンスの海と陸>を歌って、
故郷を思い出して欲しいと訴えても耳を貸さず、その場を飛び出してパリに向かう。
 
  (第2幕:第2場)パリのフローラの邸宅の豪華な広間
 ヴィオレッタがいなくなったパリの社交界はフローラの手に握られていた。
悪趣味だが活気に満ちた夜会で、今夜は仮装舞踏会。
アルフレードとヴィオレッタが別々にやって来る。
ヴィオレッタはドゥフォール男爵の腕に凭れて現れる。
彼女はアルフレードがいることを知り、来たことを後悔する。
アルフレードは男爵に決闘を申し込む。
アルフレードは賭けに勝って大金を手に入れるが満場の客の前で、
その札束をヴィオレッタに投げつけ侮辱する。

  (第3幕)パリのヴィオレッタの粗末な寝室。(1851年2月、謝肉祭の当日)
 ヴィオレッタの胸の病は重くなる。
アン二ーナに助けられ起き上がるがすぐに倒れてしまう。
医師グランヴィルは「すぐに良くなる」とヴィオレッタを励ます。
帰り際に医師はアン二ーナに「明日をも知れない」と告げて去る。
一人になったヴィオレッタは、立ち上がるが熱に冒されていて倒れてしまう。
そこに事情を知ったアルフレードが駆け付ける。
彼は今までのことを詫び、郊外でまた一緒に暮らそうと、
二重唱<パリを離れて>を歌う。
遅れてジェルモンも駆け付けるが、ヴィオレッタは力尽き短い生涯を終える。
                               (終幕)


ヴェルディはオペラ「椿姫」の初演を間近に控えた1853年1月1日に次のように述べているそうです。

 「私は新しい大きな変化に富んだ大胆な素材が欲しい。
  内容は素晴らしく大胆で、形式は斬新で、その上作曲できるもの。
  私はヴェネツィアで『椿姫』を上演するつもりだ。
  『椿姫』、或いは『道に迷える女』という題になるかも知れない。
  これは私達、同時代の出来事から取った素材、言ってみれば現代劇である。
  私達と同じ衣装を着るということ、同時代の事件を扱っていること、
  その他多くの馬鹿げた因襲に依って避けて通ってきたものに、
  私は今、真正面から取り組まざるを得ない。
  この題材は恐らく他の作曲家なら敬遠してしまうだろう。
  しかし、私はむしろ喜んでこれらの因襲と戦い、主題に心を弾ませてこの作品を創る。」

さて、1853年3月6日のフェニーチェ劇場での初演は失敗したものの・・・。
人々から愛され親しまれるようになり、人気作品へと変貌をした「椿姫」。
ですが、次のような記述に目を引かれます。

  「人気とは裏腹に、ヴェルディが最初に目論んだ現実を直視し、
   音楽と劇が激しくぶつかり合い一つになって人間の本質を描くこの清新なオペラは、
   美しい旋律のみを強調した薄っぺらな絵空事の、
   単なる美男美女の悲恋物となって因襲の塵に埋もれてしまった。(略)
   『椿姫』は美しい旋律に満ち溢れている。
   しかし、その美しさに酔って背後にある針を、毒を忘れてはならない。
   それを忘れた時、ヴェルディはヴェルディでなくなる。
   針とは、毒とは、人間の真実であり、人間の苦悩である。」
                  (寺崎裕則氏;引用)


寺崎氏に依りますと、
ヴェルディは私生活における苦い体験と、生一本な正義心で、
人間の心というもの、
人間社会の裏面に目を開かせ、
公権を剥奪された人間、損ばかりしている人間に対して同情以上の強い連帯感を抱いた、と述べていられます。
最盛期のオペラの主人公達を見れば一目瞭然と。
その主人公達は、人間の顔をしながら、当時の芝居やオペラには顔を出せない、
登場し得ない主役たちだった、と。
彼らこそが、
人間の尊厳への限りない憧れをもった、
貧しく名もない苦しめられた人達で、
彼らこそがヴェルディ・オペラでは主役であった。
とも述べられていられます。
そして「椿姫」も例外ではない、と。


有名なアリアが目白押しの「椿姫」。

第1幕では、アルフレードとヴィオレッタの<乾杯の歌>
そして、ヴィオレッタの<ああ、そはかの人か~花から花へ>
第2幕、ジェルモンの<プロヴァンスの海と陸>
第3幕、ヴィオレッタの感動的で美しいアリア<さらば過ぎし日よ>
そして、ヴィオレッタとアルフレードの二重唱<パリを離れて>

全曲を聴き、特に心に深く刻まれましたのは後者の2曲です。

先ず、第3幕のヴィオレッタの<さらば過ぎし日よ>です。
明日をも知れぬ命のヴィオレッタは、大事そうにジェルモンからの手紙を取り出して読む場面です。
手紙には「きっと倅(アルフレード)はあなたの元へ戻るでしょう」、
と綴られているのを読んだヴィオレッタの口を衝いて出る言葉は、
「遅い!」と怒りの言葉。
ヴィオレッタは手鏡を取り痩せ衰えた自分の顔を見て、
思い出の宝石を一つ、一つと取り外して歌うこのアリア<さらば過ぎし日よ>。
   
   「さようなら、過ぎ去った日の美しく楽しかった夢よ。
    薔薇色の顔もすっかり蒼白くなり
    アルフレードの愛さえも今の私にはない。
    (略)
    もう何もかもおしまいです。
    喜びも悲しみも間もなく終わりを告げ
    お墓は人間にとって一切からの境目なのに
    わたしの墓穴には涙も花も添えられず
    わたしの遺骸を覆う名を刻んだ墓標もないでしょう。」

道に迷う女の許しを神に乞いつつ歌うヴィオレッタ。
ヴィオレッタ役のイレアーナ・コトルバス。がこのヴィオレッタ役を聴きまして、完全にコトルバスに魅了されました。
先ず何よりも、発音がはっきりと聞き取れます。
清楚な声、気品のある声、感情表現も見事ですし・・・。
高域音は透明で美しく、低域音は落ち着いた声の響き。
今でもお気に入りのソプラノのトップです。
私には最高のヴィオレッタ役として心に刻まれています。
オーケストラもヴィオレッタの心情に寄り添うかの如くに・・・。

次に、やはり第3幕のヴィオレッタとアルフレードの二重唱<パリを離れて>。
ヴィオレッタは死の迫る病床でアルフレードと再会。
ヴィオレッタとアルフレードの愛の二重唱は、この曲が最初で最後。
アルフレードは再会できた喜びでヴィオレッタの病状の重さに気付く余裕もなく、
「君は元通り健やかになる」と歌えば、
「わたしは元通り健やかになる」とアルフレードに応えるヴィオレッタ。
アルフレードとヴィオレッタの 束の間の幻影、束の間の、幸福。

アルフレード役のドミンゴ。
今まで歌唱力等を認めつつも、好感を抱けなかったドミンゴですが、
コトルバスとドミンゴ、ヴィオレッタ役とアルフレード役のベスト・カップルでしょうか。

オペラのアリア、二重唱を聴きましても感涙とは無縁の筈なのですが、
どうも、上記の<さらば過ぎし日よ>そして<パリを離れて>だけは例外になりました。

いつもですと、アリアばかりに神経が集中してしまうのですが、
今回は第1幕のアダージョ、ロ短調で始まる前奏曲も忘れられないものに。

C.クライバーのオペラは聴き始めますと、一気に最後まで。
こちらのBOXに収録をされていますオペラより、
ヨハン・シュトラウス二世のオペレッタ「こうもり」
ワーグナー、楽劇「トリスタンとイゾルデ」
ウェーバー「魔弾の射手」をブログで取り上げさせていただきました。
そして、最後になってしまいましたのが、ヴェルディの「椿姫」。
いずれものオペラも、一気呵成に聴かせてくれるクライバーでした。



                          ぱたぱた:bird2すずめ(左)S
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Comment

Re: クライバー、いいかも…

ライトさま、こんばんは〜。
コメントをありがとうございます。

> クライバー、どうもピンとこない指揮者なんですよねぇ。
> とか言うと「わかってない」奴だと思われそうですが。
ピンとこない指揮者は、私などとても多いのですよ。
逆にピンとくる指揮者の方は、ほんの一握り程度で・・・。
その中の数少ない一人の指揮者がクライバーですが、
これも自分自身「本当」に分かっているのか、と自問すると自信がないのですが。

> でも、この「椿姫」はよかったです。
やはり、良いですよね。
グイグイと音楽の世界に引き込まれる感じで、それがとっても魅力かも。

> クライバー、ちょっと気になる指揮者になったかもしれません。
ライトさまに同じです。
「ちょっと気になる」から、いつしか「とても気になる指揮者」になってしまいました。(*^_^*)
  • posted by lumino
  • URL
  • 2010.10/20 19:40分
  • [Edit]

クライバー、いいかも…

luminoさま、おはようございます〜〜

クライバー、どうもピンとこない指揮者なんですよねぇ。
とか言うと「わかってない」奴だと思われそうですが。

でも、この「椿姫」はよかったです。
DGの56枚組にちょうど入っていたのでこの機会にと思って聴いてみましたが、オペラが苦手な自分も一気に曲の世界に入っていけました。

クライバー、ちょっと気になる指揮者になったかもしれません。
  • posted by ライト
  • URL
  • 2010.10/20 08:36分
  • [Edit]

Re: クライバーは良いですねぇ

burleskeさま、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

本当にクライバーはどれも良いですね。
と言いいつつ、こちらの全集ではオペラばかりを先に聴いてしまい、
期待をしているブラームスやシューベルトの交響曲は未聴で・・・。
楽しみにして、聴きたいと思っています。

映画版の「椿姫」、良さそうですね〜。
こちらでもアルフレードはドミンゴ?でしたでしょうか。
観る機会があれば、e-442になりそうですね。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2010.10/18 19:47分
  • [Edit]

クライバーは良いですねぇ

luminoさま、こんばんは〜

クライバーの「椿姫」、CD持っているんですが、長らく聴いておりません。久しぶりに聴いてみたくなりました。
クライバーはどれを聴いても良いですねぇ。

「椿姫」では、ゼッフィレッリ監督の映画版が印象に残っています。これは泣かせてくれますよ。

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音楽が日々の活力源になっています。
特に音楽知識のないクラシック・ビギナーに等しいのですが、「ただ、ひたすらに」をモットーに鑑賞をしています。
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また2羽の小桜インコの兄弟は大切な家族です。

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