♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

Entries

Op.94 シューベルト:「竪琴弾きの歌」Ⅰ-Ⅲ D.478-480 by シュライアー 

シューベルト歌曲を聴いていますと
いろいろな花々が思い浮かびます。
質素で控えめな姿を見せてくれる花です。

例外はシューベルトの「竪琴弾きの歌」の三曲でしょうか。
花を想わせる心の余裕を与えてはくれないようです。


            シューベルト:「ゲーテの詩による歌曲集」より
                  「竪琴弾き」Ⅰ D.478
                  「竪琴弾き」Ⅱ D.479
                  「竪琴弾き」Ⅲ D.480
                       by
               シュライアー&オルべルツ(P)

         シューベルト・ゲーテの詩による歌曲集by ペーター・シュライアー

この三曲の「竪琴弾きの歌」を初めの間はディスカウで聴いておりました。
特に共感を抱く作品でもなく
単にシューベルト歌曲の中の一つに過ぎませんでした。
ですが、シュライアーの「ゲーテの作品による歌曲集」に収録されている
竪琴弾きの歌」Ⅲを聴きまして、やっと心の扉を叩かれるものを感じました。

竪琴弾きの歌」Ⅱは聴いておりまして手こずっておりました。
何気なくピアノ前奏に耳を傾けた時に吉田秀和氏の文章が思い起こされました。
 
 「彼の歌は、言葉の上での不完全さを我慢しさえすれば、
  必ずしもドイツ語でなく翻訳語で歌ってもよし、歌詞を忘れてしまってもよし、
  或いは、歌詞が解からなくても、音楽は通じるという大切な面を持っている。
  その点で、彼の歌曲はロマンティックどころか、自由な散文でさえなく
  極めて古典的な韻文に通じる形式をもっている。
  勿論、彼はドイツ語のテキストによって作曲した。
  歌うのもドイツ語が正しいのは当然である。
  だが、たとえ、その言葉が完全に分かったって、通じないものには通ぜず、
  解からなくとも、音楽として分かる者には解かる。
  そういう芸術なのである。」
     (吉田秀和作曲家論集:「シューベルト」より引用)
 

シュライアーで三曲の「竪琴弾きの歌」を繰り返し聴き
次にディスカウでも聴き込む内に、
次第に惹かれる作品になりました。
シューベルトの歌曲作品を聴きつつ
詩と旋律のお気に入りが増えるに従い
人生に潤いを与えてくれ、豊かになるような気がしております。
一つ一つの歌曲が心の糧になるようです。

さて、肝心のゲーテの「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」は
名作でありながら読んだことがありませんでした。
この作品の中には「竪琴弾きの歌」の他に
有名な「君よ知るや南の国」や「ただ憧れを知るものだけが」
も含まれているそうですので、いつの日にか読んでみたいものと・・・。

改めて記す必要もないかも知れませんが
「竪琴弾きの歌」の3曲は「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」に
登場する老竪琴師の歌だそうです。
この老竪琴師は貴族の生まれであり不倫の恋に陥り
運命に弄ばれて狂気の中に旅を続け
我が子とも知らずにミニョンに出合う・・・そのような内容とのことです。

ゲーテの「ヴィルヘルム・マイスター」の中での詩の順序は
「涙と共にパンを食べたことのない者は」:(シューベルト「竪琴弾きの歌」Ⅱ)
「孤独に身をゆだねる人は」:(シューベルト「竪琴弾きの歌」Ⅰ)
「門ごとに私は忍び寄り」:(シューベルト「竪琴弾きの歌」Ⅲ)
シューベルトは「孤独に身をゆだねる人は」を始めに持ってきているとのことです。

「竪琴弾きの歌」Ⅱ:ヴィルヘルムが屋根裏の悲惨な住処に老竪琴師を訪れると、
             部屋の中から苦しみに満ちた声が聴こえてくる。その時の歌。
「竪琴弾きの歌」Ⅰ:その後に老人がヴィルヘルムに歌って聞かせるのが、この歌。
「竪琴弾きの歌」Ⅲ:夜のあずまやの中でヴィルヘルムが聴く寂しい老竪琴師の歌。

三つの詩を読みまして共鳴するのは次の2編です。
「竪琴弾きの歌」Ⅰの「孤独に身をゆだねる人は」と
「竪琴弾きの歌」Ⅲの「門ごとに私は忍び寄り」です。

詩、及び旋律がお気に入りになりましたのは
「竪琴弾き」Ⅲの「門ごとに私は忍び寄り」。
三曲中では詩の内容の寂寥感をあまり感じさせない旋律で
一番ホッとするものを感じさせてくれます。
人生の艱難辛苦、苦悩も寂寥感をも超越した安らぎのようなものすらが
シューベルトの旋律から感じられるようです。
それとも「安らぎ」ではなく諦観なのでしょうか。

三曲とも繰り返し聴いていましても
その都度、印象が変わって心に届きます。
「竪琴弾きの歌」・・・不思議な魅力を湛えた歌。

情感豊かなディスカウ
感情表現を控えめに歌う(私にはそのように感じられます)シュライアー
シュライアーでの歌がお気に入りになっています。



   風と樹と空と
 

      ●「 竪琴弾きの歌」Ⅰ:「孤独に身をゆだねる人は」

   孤独に身をゆだねる人は    
   ああ、、やがて一人っきりになってしまうだろう。
   人はみな生き、愛するけれど   
   悲しみは孤独なものだ。    
              
    だから私の苦しみにかまってくれるな。  
    私が もしただ一度でも本当に孤独になることができたら  
   その時こそ 私はたった一人ではないのだ。  

   恋する者が忍び寄って 
   恋人が一人でいるかどうかを窺うように   
   夜も昼も孤独な私に    
    苦しみは忍び寄って来るのだ。   

   ああ、いつの日か 
   私が墓に横たわるとき   
   初めて苦しみは私から去るだろう。  


     ●「竪琴弾きの歌」Ⅱ:「涙とともにパンを食べたことのない者は」
   
   涙とともにパンを食べたことのない者は
   悩み多い夜々を寝床の中で泣き明かしたことのない者は
   神よ、あなたを知ることはできない。
   あなたは私達をこの世へと誘い
   哀れな私たちに罪を負わせ
   そして苦悩を知らせた。
   すべての罪はこの地上で償わねばならないのだ。

    
     ●「竪琴弾きの歌」Ⅲ :「門ごとに私は忍び寄り」

   家の門ごとに私はひっそり立ち   
   おとなしく無言のまま待つ。   
   信仰深い人が 食物を恵んでくれれば 
   私は次へと歩みを移す。  

   私の姿を見ると  
   誰もが自分の幸福を思って涙を流すに違いない。  
   何ゆえの涙か 私には分からないけれど。     
                   
        (畑中良輔氏の歌詞大意を引用させていただきました)

                     にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
関連記事

Comment

Re: こんばんは

burleskeさま、こんばんは。
いつもコメントをありがとうございます。

飽きもせず「シューベルト歌曲連載ブログ」?の様相を呈してきました。
シューベルトの歌曲は数が多すぎて、本当に何から聴いて良いのか迷いますね。
ディスカウの全集では400曲以上収録されているのですよね?
好きな詩人の詩に作曲されたものや
詩を読んで気に入ったものから聴くようになりました。
CDの一枚目から順番に聴いていても機械的な鑑賞になってしまい
心に残らなくて・・・。
いつも主観だけの、とりとめのない呟きになっていますが
よろしくお願いいたします。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2011.05/09 20:36分
  • [Edit]

こんばんは

luminoさま、こんばんは。

シューベルトの歌曲、何から聴いてよいやら迷うところですが、luminoさまの記事を大いに参考にさせていただいております。
「竪琴弾きの歌」もこちらの記事を拝読させていただいて、聴いてみました。確かに不思議な魅力がありますね。
これからもシューベルトの歌曲の魅力の紹介、楽しみにしております。

Re: お早うございます~

rudolfさま、こんばんは~。
コメントを嬉しく拝読させていただきました。
ありがとうございます。
読み逃げばかりのこの頃でご無沙汰をしてしまっています。

音楽も聴けない時・・・の状態から
シューベルトの歌曲が救い出してくれたような気がします。
歌曲以外でもシューベルトの作品って
聴く者の思いを汲み取り暖かく包み込んでくれるようで
今は殊更一番、身近に感じられるようになりました。
rudolfさまのシューベルト歌曲のお気に入りは
どの歌でしょう・・・「心の歌」になる作品がいっぱいですね。(^^♪
  • posted by lumino
  • URL
  • 2011.05/09 19:52分
  • [Edit]

お早うございます~

luminoさま お早うございます~

お久しぶりです
色々と厄介なことばかりで、コメントが間遠になってしまいました。

苦しいときには音楽も聴けないときもありますよね~ 
シュベルトの歌曲 この頃聴いていませんでした。また聴いてみたいと思います~。
▼・。・▼
  • posted by rudolf2006
  • URL
  • 2011.05/09 06:49分
  • [Edit]

Comment_form

管理者のみ表示。 | 現在非公開コメント投稿不可です。

左サイドMenu

プロフィール

lumino

Author:lumino
音楽が日々の活力源になっています。
特に音楽知識のないクラシック・ビギナーに等しいのですが、「ただ、ひたすらに」をモットーに鑑賞をしています。
日々の生活に無くてはならないのが音楽と本です。
また2羽の小桜インコの兄弟は大切な家族です。

最新記事

lumino

右サイドメニュー

♪ こんにちは ♪

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

ブログ内検索