♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.109 シューベルト:合唱曲「水の上の霊の歌」D. 714

過日、9月6日はパヴァロッティの命日。
そして奇しくも
9月6日に配信されましたテノール歌手、サルヴァトーレ・リチートラ死去のニュース。
                              ↓
    イタリアからの報道によると、同国の世界的テノール歌手で
    日本でも人気の高いサルバトーレ・リチートラさんが5日、
    南部シチリア島カターニアの病院で死去した。43歳。
    同島で8月27日にスクーターを運転中事故を起こし、重体となっていた。
    1968年スイス生まれ。幅広いオペラのレパートリーで高く評価され、
    三大テノールの一人、故パバロッティ氏の後継者とみられていた。
    今月のボローニャ歌劇場の日本公演に出演を予定していた。
                        (時事通信ジュネーブ) 

イタリアのテノール界が寂しくなりそうです。(合掌)


先日に続きましてサヴァリッシュ&バイエルン放送響響楽団、合唱団の
「宗教的、世俗的合唱作品集」より「水の上の霊の歌」を。

タイトルの邦訳には
「水の上の精霊の歌」
「水の上を飛ぶ霊たちの歌」
水の上の霊の歌」などがあるようです。

ゲーテ
1779年10月の作
同年10月9日、スイス旅行中にラウタ―ブルンネンの近くの300m程の断崖から
一挙に落下するシュタウプバッハの滝を見て詠われたとのことです。
イギリスの人ワーズワースもこの滝を作したそうです。


スイス、ラウタ―ブルンネンのシュタウプバッハの滝
      スイス、ラウターブルネンのシュタウプバッハの滝

滝の名前になっている シュタウプ は 埃や塵 を意味するそうです。
霧のような水しぶきがゲーテの目には人間の魂に見えたのでしょうか。
幾度読み返しましても感銘を受けるです。
輪廻転生・・・との言葉が思い浮かびました。
また
シューベルトの旋律も聴く毎に味わい深い「歌」として心に刻まれます。

ゲーテシュタウプバッハの滝を見て
 
  永遠に天と地を往き来する水の姿に人間の魂が変転する様相を見た

とのことです。

シューベルトがこのに与えた旋律からは
初めて耳にするようなシューベルトの一面を感じるようでした。
それは、「厳か」の一言でしょうか。

シューベルトは、この詩を4回取り上げたそうです。
  独唱リート1曲D.484(断片)
  男声四重唱曲2曲:D.538(無伴奏)
              D.705(ピアノ伴奏、未完成)
   男声八重唱曲(弦楽伴奏)


作曲は1820年12月に第1稿に着手し断片のみだそうです。
1821年2月、第2稿が完成。
シューベルト、23歳頃の作曲でしょうか。
1821年3月7日にウィーンのケルントナートーア劇場で初演されたそうです。
テノール4、バス4、ヴィオラ2、チェロ2、コントラバスの男声八重唱。
または、男声合唱と弦楽合奏で演奏されることもあるとのことです。
こちらのサヴァリッシュ盤では男声合唱のように聴こえるのですが。


曲はアダージョ・モルト ハ長調 2/2拍子。
導入はリズムを刻むコントラバスに弦楽、そして歌われる第1節。

 “Des Menschen Seele Gleicht dem Wasser”
  人間の魂は水に似ている

と厳かに歌い出される瞬間には襟を正してしまいます。
あまりにも静かで厳かな旋律に一抹の不安感すら抱いてしまいます。

そして、時には 人生山あり谷あり でしょうか
激流を思わせるように呼応する合唱。
 
終曲に近付き、歌われる次の1節
  
  風は波の
  やさしい恋人
  風はまた泡立つ巨濤を
  その底より湧き返らせる

この節になり旋律に生気が甦り
親しみ馴染んだシューベルトの「歌」を耳にする思いに
ホッとするものを感じます。
「喜び」「希望」にも似た感情を抱いてしまいます。

再び弦楽の伴奏と合唱で迎える終曲の節

  人間の魂
  それはまことに水に似ている!
  人間の運命
  それはまことに風に似ている!

心深く刻み込まれるようです。


この作品を聴き終えました後に
「無」「無我」の心境はこのようなもの?と思いたくなりました。
それとも「無常」でしょうか。
この歌の旋律には「希望の光」も見い出すことが出るようです。
未だ嘗て、どのような音楽からも どのような詩からも 
感じることがなかった感情を抱きました。


   風と樹と空と

     「水の上の霊の歌」:Gesang der Geister über den Wassern
               (詩:ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ)

人間の魂は
水に似ている・・・
天より来
天に登り
また下っては
地に帰る
永遠に変転しながら

そそり立つ岩壁から
ほとばしっては
清冽な滝となって
美しく
雲と飛沫
滑らかな岩上に降り

軽やかに受け止められては
薄紗を翻しつつ
水音もひそかに
谷深く落ちてゆく

岩々に堰かれては
憤然と泡立ちつつ
段 また段と
流下する

草原に流れ入っては
平らかなる河床を
音もなくうねりゆき
鏡なす湖面となっては
月星の影を映す

風は波の
やさしい恋人
風はまた泡立つ巨濤を
その底より湧き返らせる

人間の魂
それはまことに水に似ている!
人間の運命
それはまことに風に似ている!

           (山口四朗訳)
     

 (原詩引用)

Des Menschen Seele
Gleicht dem Wasser:
Vom Himmel kommt es,
Zum Himmel steigt es,
Und wieder nieder
Zur Erde mus es,
Ewig wechselnd.

Stromt von der hohen,
Steilen Felswand
Der reine Strahl, 、
Dann staubt er lieblich
In Wolkenwellen
Zum glatten Fels,
Und leicht empfangen,
Wallt er verschleiernd,
Leisrauschend
Zur Tiefe nieder.

Ragen Klippen
Dem Sturz entgegen,
Schaumt er unmutig
Stufenweise
Zum Abgrund.

Im flachen Bette
Schleicht er das Wiesental hin,
Und in dem glatten See
Weiden ihr Antlitz
Alle Gestirne.

Wind ist der Welle
Lieblicher Buhler;
Wind mischt vom Grund aus
Schaumende Wogen.

Seele des Menschen,
Wie gleichst du dem Wasser!
Schicksal des Menschen,
Wie gleichst du dem Wind!

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Comment

Re: NoTitle

旅人さん、こんにちは。
コメントを誠にありがとうございます。

今迄、シューベルトの歌曲ばかりを聴いていたのですが
サヴァリッシュ盤との出合いのお陰で
重唱曲や合唱曲にも惹きつけられるものを感じるこの頃です。

合唱につきまして(合唱に限らずなのですが)旅人さんのように詳しい知識がなく、
コメントを拝読しまして学ばさせていただいております。
作品に一歩、近付くことができるようで自分が感じていた以上に
作品の素晴らしさに改めて気付かされています。

旅人さんがお持ちのウィーン男声合唱団のCDで
「小さな村」ではギター伴奏、こちらの「水の上の霊の歌」は無伴奏とのことで
ウィーン男声合唱団で聴いてみたくなりました。
探してみたのですが、やはり廃盤?になってしまっているようで・・・。

> シューベルトの曲には、まだまだ「宝物」がいっぱい隠されているようです。
そうなのですね。
「宝物」・・・初めて耳にします重唱曲や合唱曲の一つ一つに
「宝物」探しの楽しみと喜びを感じつつ。
サヴァリッシュ盤に辿り着くことになりました大きな存在の「ドイツ・ミサ曲」をやっと聴き始めました。
これ程までにも、美しく、素朴で親しみやすい作品だったのですね。
静かな感銘に包み込まれています。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2011.09/11 14:09分
  • [Edit]

NoTitle

luminoさん、こんばんは。
luminoさんの記事を読んでから、手持ちのCDで何度も「水の上の霊の歌」を聴いています。(ウィーン男声合唱団)
luminoさんのCDは記事の記述から弦楽の伴奏がついているようですが、私のCDは無伴奏で演奏しています。そのため若干の印象の違いはあるかもしれませんが、男声合唱特有の響き、声の響きの幅が広い為和音が共鳴しやすいという男声合唱特有の響きの中に安心して浸ることの出来る曲でした。
テノールが同じ音を持続しながら歌うときに、中声部と低声部で音を動かして和音を変化させる、曲冒頭と曲終結の厳かな雰囲気に、その後の語りかけるような親密さに、激しい部分でも力任せにならないハーモニーに、「男声合唱曲作曲家」シューベルトの素晴らしさに浸ることができました。
シューベルトの曲には、まだまだ「宝物」がいっぱい隠されているようです。
  • posted by 旅人
  • URL
  • 2011.09/10 22:27分
  • [Edit]

Re: シューベルトの合唱曲も良いですね

burleskeさま、こんばんは。
コメントをありがとうございました。

ミサ曲の方は未だ一曲も聴いていないのですが
雰囲気が似ているとのこと・・・早く聴いてみたいと思います。

>リチートラ氏死去以外にも、来日予定のテノール歌手がトラブルで軒並みキャンセル
そうなのですか!?リチートラ以外にはまったく知りませんでした。
以前は3.11の原発事故で来日音楽家たちのキャンセルのラッシュでしたね。
風評被害の続きということはないでしょうね?
  • posted by lumino
  • URL
  • 2011.09/09 20:11分
  • [Edit]

シューベルトの合唱曲も良いですね

「水上の精霊の歌」、「小さい村」と同じセットに収録されていました。
ミサ曲と雰囲気が似てますね。
確かに歌曲のイメージとは違うようです。
こういう厳粛なシューベルトも良いですね。

それにしてもリチートラ氏死去以外にも、来日予定のテノール歌手がトラブルで軒並みキャンセルしているみたいですよ。なんか気持ち悪いですよね。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2011.09/09 17:12分
  • [Edit]

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