♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.114 シューベルト:「川のほとりで」D.539 by ディスカウ

溜まった落ち葉を箒で集めていましたら中からピョンと虫が。
コオロギのようでした。
昆虫はすべて大の苦手なのですが
落ち葉の中から飛び出した秋が珍しく、暫し眺めていました。
思いがけずに秋に出会えたような嬉しい瞬間でした。
秋の虫は落ち葉の中に潜って朝晩の寒さを凌いでいたのかと
落ち葉を処分してしまってから心配になってきました。


シューベルトが付曲をしたリート作品の中で
そのに惹かれるのがゲーテであり、シラーそしてマイアホーファーです。

マイアホーファーに依る「川のほとりで」D.539 は今回初めて聴きました。
マイアホーファーに共感するものがあり
シューベルトの付曲をしたものを聴きたくなった、
と表現をした方が適切かもしれません。

シューベルトの付曲は1817年3月のようです。
20歳頃でしょうか。

簡潔な旋律で穏やかな調べの第1節。
第2節では一転してに込められた厳しい趣を感じさせられます。
第3節は第1節と同じような穏やかで牧歌的なな趣があります。
聴いていて、ホッとさせてくれる・・・。
お気に入りのシューベルト歌曲の世界に浸ることができました。

いつものようにディスカウ&ムーア(P)
そしてPhilip Langridge&グレアム・ジョンソン(P)で聴いてみました。

ディスカウは1968年2月の録音のようです。
声にも瑞々しさや透明感があり伸びやかに歌われているようです。
この歌曲には相応しい若き日のディスカウの声。
穏やかに歌いだされる第1節には心和むものが感じられます。
第2節の峻厳とも言える表現力はディスカウならではのものでしょうか。
繰り返し聴いてみたくなる「川のほとりで」になりました。

Philip Langridge・・・初めて聞くお名前のテノールです。
こちらの作品の歌唱を聴きまして惹かれるものを感じました。
シューベルト歌曲全集~60名の歌手たち」の中で15曲を歌われているようですので
他の作品が、どのように歌われるのか楽しみになりました。
純粋に旋律と歌声を楽しめる、そのような感じでしょうか。
ジョンソンのピアノ伴奏はどの作品でも魅了されるものがあります。

シューベルト歌曲を聴くまではマイアホーファーには特に関心を抱くことがありませんでした。
いつしか、マイアホーファのに付曲をしたシューベルト歌曲を聴くうちに
私の中では大きな存在を占めるようになったマイアホーファーです。
マイアホーファの事は殆ど知りませんでした。
川のほとりで」を聴きましてマイアホーファーについて知りたい思いが募ってきました。

喜多尾道冬氏の著作を参照させていただきつつ。

シューベルトがマイアホーファーのへの初めての付曲が
1814年の「湖畔で」D.124 とのことです。
当時、シューベルトはマイアホーファーの詩に目を留め付曲を始めていたそうです。
1815年作曲のオペラ「サマランカの友人たち」の台本がマイアホーファー。

マイアホーファーの詩に合計47曲を付曲したそうで
ゲーテの詩に付曲をした74曲に次ぐのがマイアホーファーとのこと。

「湖畔で」D.124 への初めての付曲が縁となり
マイアホーファーと知り合いだったシュパウンがシューベルトを紹介し
両者は強い友情の絆で結ばれた由。
シューベルトが1797年の誕生
マイアホーファーは1787年の誕生ですから
マイアホーファーの方がちょうど10歳年上でしょうか。
両者を結び付けたのは共にシラー流の理想主義的理念を抱いていたことだったようです。
勿論、マイアホーファーはシューベルトのリートに惚れ込んでいたことも。

マイアホーファーはウィーンの検閲局の役人だったそうで
詩は趣味として書いていたとのこと。
古代ギリシャに憧れるシラー流の理想主義者で
オーストリアの政治的な現実に深い失望感と内面的な苦悩を抱いていたようです。
当時のオーストリアの多くの知識人たちは内面的な苦悩を抱いていたとも。

喜多尾氏の推察では
  「シューベルトはマイアホーファーの硬直化した現実逃避のナルシシズムに
   次第に付いて行かれないものを感じ始めた」
と記述されています。

1820年にシューベルトはマイアホーファーとの同居を解消。
以来、ほとんど交際を断ってしまったとのことです。
マイアホーファーは自分の矛盾した生き方に生き詰まり
1836年、シューベルトの死後8年目に自ら命を断ったそうです。

マイアホーファーが辿った人生を少し知りまして
彼の詩の中に今迄は見ることができなかったものが
おぼろげながらですが見ること、感じることができるような気がします。
マイアホーファーの詩に付曲をしたシューベルトの歌曲もまた
今まで以上に心に近付いて来てくれるようです。


   風と樹と空と


          川のほとりで:Am Strome D.539
                (詩:ヨハン・バプティスト・マイアホーファー)

  
     まるで僕の人生は
     この美しい川のほとりに 繋ぎとめられているようだ。
     僕はこの川辺で いくつもの喜びと
     いくつもの悲しみを 感じてこなかっただろうか?

     そうだ、おまえは私の魂と同じ。
     時折 緑に よどみなく流れ
     そして 時に嵐に支配され
     怒涛のように 騒然と 波立つ。

     おまえは遥かな海まで流れてゆく
     ここに住み着くことはできないのだ。
     僕ももっと穏やかな地に駆り立てられている
     地上に幸福が見出せないのだ。

                     (若林氏訳引用)


(原詩引用)

Ist mir's doch, als sei mein Leben
An den schönen Strom gebunden;
Hab' ich Frohes nicht an seinem Ufer,
Und Betrübtes hier empfunden?

Ja, du gleichest meiner Seele;
Manchmal grün und glatt gestaltet,
Und zu Zeiten herrschen Stürme
Schäumend, unruhvoll, gefaltet.

Fließest zu dem fernen Meere,
Darfst allda nicht heimisch werden;
Mich drängt's auch in mildre Lande,
Finde nicht das Glück auf Erden.


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Comment

Re: 温かな言葉

colorkoさん、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

大丈夫なんですね、ちゃんと移動して
新しい棲家(?)を見つけるのですね。
ホッとしました。

助けられたコガネムシは恩人が大切にしていらっしゃる
バラの鉢を新しい棲家にしてしまったのですか!
何と幼虫が21匹もの大家族になってしまったとは・・・。
バラもビックリしたでしょうが
手塩にかけて育てている方もビックリしますよね。
枯れてしまわなかったようで良かったです(^。^)
  • posted by lumino
  • URL
  • 2011.10/20 19:51分
  • [Edit]

温かな言葉

>秋の虫は落ち葉の中に潜って朝晩の寒さを凌いでいたのかと
落ち葉を処分してしまってから心配になってきました。

なんかほっこりしちゃいました
そうですよね
そんな風に心配になっちゃいますよね
でも大丈夫です!
ちゃんと他の場所に移動して隠れてます^^
私は雨水のマンホールの中に落ちたコガネ虫を今年2匹
助けてしまいましたが、バラの鉢を地植えしようと思って
開けてみたら1鉢の中からコガネ虫の幼虫が21匹...
バラがどうりで元気ないはずです
クラっと目まいがしました(笑)

Re: すっかり秋ですね

burleskeさま、こんばんは。
コメントをいつもありがとうございます。

秋の虫の音は本当に良いですね。
嘗ては緑が多かったので大合唱でしたが
現在住んでいるところは殆んど土がないので数匹だけの声ですけれど
気持ちが和むようです。

> 秋の夜長にシューベルト、良いですねぇ。
今まであまり感じなかったのですが
シューベルトは秋に相応しいみたいですね、それと春。
シューベルトの「憧れ」からシューベルトの歌曲に心に火が点きましたのが昨年11月。
「憧れ」には D.516 マイアホーファーの詩もあると教えていただきましたり
もう一年近くが経ってしまうことも懐かしく思い出します。
今思いますと、ディスカウのシューベルト歌曲全集は
大袈裟な言い方になるかも知れませんが運命的な出合いのCDでした。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2011.10/19 19:45分
  • [Edit]

すっかり秋ですね

luminoさま、こんばんは。
すっかり秋になりましたね。虫の声が心地よいです。

「川のほとりで」、例によってディースカウで聴いてみました。
表情付けが見事で、じっくりと聴かせてくれますね。
秋の夜長にシューベルト、良いですねぇ。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2011.10/18 22:18分
  • [Edit]

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