♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.133 シューベルト:歌劇「双子の兄弟」全曲 by シュぺリング&ダス・ノイエ・オーケストラ

こちらの歌劇についてショップHPに ドタバタ劇 として紹介されていました。
喜劇でドタバタ?
さぞかし喧噪の歌劇かと思ってしまいました。

何と、素晴らしいではありませんか!
内容的にはドタバタ劇かも知れませんが
音楽からは気高さのようなものすら感じられます。
このジングシュピールを一言で表現するなら「舞」でしょうか。
アリアや重唱の歌手の声、そして合唱も 舞い のようです。
音楽全体も滑らかに 舞う 旋律。

内容をドタバタと解釈するか否かは別として
音楽的には紛れもなく魅力溢れるシューベルトのオペラ


             シューベルト歌劇双子の兄弟」(全1幕)
             Die Zwillingsbrüder D.647


               シューベルト:歌劇「双子の兄弟」


            リースヒェン:アガ・ミコライ(S)
                (双子の兄弟、一人二役)            
            フランツ・シュピース(双子の兄弟、兄):シュテファン・ゲンツ(Br)
            フリードリヒ・シュピース(双子の兄弟、弟):シュテファン・ゲンツ
            アントン:アンドレアス・カラシアク(T)

                  クリストフ・シュペリング(指揮) 
                  ダス・ノイエ・オーケストラ
                  コーラス・ムジクス・ケルン

                     (録音:2008年)


歌手陣、指揮者他は先日聴きましたシューベルトの「4年間の歩哨兵勤務」と
同じメンバーです。
アガ・ミコライは「4年間の歩哨兵勤務」でも惹き付ける魅力を持ったソプラノでした。
こちらの「双子の兄弟」を聴き、ますます好感を抱くようになりました。
但し、シューベルトの作品を聴く限りですが。

このオペラの自筆譜にシューベルトは「1幕の笑劇」と記していたそうです。
台本は兄弟が恋敵という当時ドイツの劇場ではありふれたものとのことで
シューベルト自身は台本を好ましくは思ってはいなかったようですが。


【原作】ジャン-フランソワ・レニャール(1656-1710)の5幕の喜劇「双子の兄弟」
【台本】ゲオルク・エルンスト・フォン・ホーフマン(1771-1845)
    ケルントナートーア劇場付き作家
【作曲】1818年末~1819年1月
【初演】1820年6月14日 ウィーン、ケルントナートーア劇場
【場所】ある田舎
【登場人物】
  アントン:リースヒェンの恋人
  リースヒェン:村長の娘
  村長
  フランツ・シュピース:双子の兄弟の兄
  フリードリヒ:シュピース:双子の兄弟の弟
【あらすじ】
      ある田舎

アントンと農夫たちがリースヒェンの部屋の窓辺で、「花嫁よ、早く起きて」と歌っている。
今日はリースヒェンの18歳の誕生日であり、待ちに待ったアントンとの婚約の日。
ようやくリースヒェンが起きてくる。
二人は1日が1年に思われたと歌う。
(二重唱:アントン、リースヒェン~「胸の前で花咲きますように」)

リースヒェンの父親の村長が家から出てきて、18年前にリースヒェンの名付け親を買って出てくれた隣村のシュピースという若者に娘をやると約束をしてしまっていたことを打ち明ける。
リースヒェンはアリアを歌い朝食の用意のために台所に入って行く。
(リースヒェンのアリア:<父さんはいつでも私のことを子ども扱いにする>)

そこに双子の兄弟の兄、フランツ・シュピースが、弟フリードリヒの捜索は無駄だったと疲労困憊の体で戻って来る。
フランツは、村長に波乱万丈の軍隊生活を語り、船が難破して片目を失ったが公開は素晴らしかったと話す。
(フランツのアリア:<嵐がすさび、雷が鳴り>)

フランツは、弟フリードリヒも死んでしまったようなのでシュピース家の家系のためにと、嫌がるリースヒェンを無視し昔の約束を盾に結婚を迫る。
アントンは助けを求め村に行き、リースヒェンは泣きながら父親と家の中に入る。
そこに、フランツが死んだとしていた双子の兄弟の弟フリードリヒ・シュピースが故郷に戻って来る。
彼は亡くなった妻や双子の兄弟に思いを馳せながら愛する故郷に慰めを求めて歌う。
(フリードリヒのアリア:<愛する、貴い母なる大地よ>)

村長はフリードリヒをフランツだとばかり思い、朝食を勧める。
少々、話は噛み合わないが、打って変わって優しくなったシュピースに感激し、リースヒェンを呼びに行く。
家から出てきたリースヒェンはシュピースにアントンとの結婚を許してくれるよう訴える。
フリードリヒは自分には成人した息子もいると言って快くリースヒェンの願いを受け入れ、彼女の味方になることを約束する。
リースヒェンは急いで吉報を知らせに村へ行く。

リースヒェンとアントンが戻って来て喜びに浸っているところにフランツが帰って来る。
何たること、と怒りだすフランツ。
リースヒェンたちはシュピースに自分の言葉を反故にするのかと歌う。
(三重唱:リースヒェン、アントン、フランツ)

アントンは再び村人たちに助けを求めに行き、リースヒェンはフランツの怒りをなだめようとする。
彼女と入れ替わりに父親が家から出てくる。
フランツと村長との言い合いの最中に出納係が現れる。
村長と出納係は、フランツを詐欺師呼ばわりして裁判所に訴えると騒ぐ。

アントンが農夫たちを連れてやってくる。
(五重唱:リースヒェン、アントン、フランツ、村長、出納係、農民たちの合唱~
 <奴を捕まえろ、裁判にかけろ>

フランツは力づくで連れ去られ、農夫たちも立ち去る。
これで娘をアントンと結婚させることができると父娘が喜んでいると
フリードリヒが現れる。
ここで、村長はやっと2人のシュピースがいることに気付く。
そこにアントンが、シュピース(フランツ)が法廷でリースヒェンとの結婚を諦めたと朗報をもたらす。
しかし、目の前にもシュピース(フリードリヒ)がいるので驚く。
そこにフランツも戻って来て双子の兄弟は再会を喜び
アントンとリースヒェンは目出度く結ばれる。
                             (幕)



このオペラはシューベルトにとって初めての作曲依頼をされたものだそうです。
ウィーン宮廷歌劇場の専属歌手フォーグルの斡旋により
ケルントナートーア劇場から「双子の兄弟」の作曲依頼を受けたとのこと。
にも拘らず初演は予定の1818年末よりかなり遅れ1820年6月。

初演が遅れた理由として
当時のウィーンオペラ界にはロッシーニ旋風が吹き荒れていたそうです。
また、まだまだモーツァルトのオペラの人気が高く
上演される作品はシーズンで41回のトップだったそうで。
次にロッシーニのオペラ。
外国の作曲家のオペラを上演する傾向が強く
ドイツオペラの上演の需要はあまりなかったとのこと。
ウィーンの作曲家は人気がなかったそうで劇場側では取り上げたがらなかったとも。
このような状況下で、シューベルトは劇場経験によってオペラ作曲の感性が
育てられるという機会に恵まれなかったようです。

シューベルトは、この作品以降、未完の舞台作品が多くなったそうです。
「双子の兄弟」に対しての賛否が分かれた批評や
上演した時の反応の恐ろしさを味わったからなのではないかとのこと。


さて「双子の兄弟」を聴きまして

軽やかに始まる序曲。
続く導入の合唱は清々しさを感じさせてくれるもので
いつものことながらシューベルトのオペラの合唱には魅せられるものがあります。

このオペラで印象に残るのはミコライが歌うリースヒェンのアリアで
<父さんはいつも私のことを子ども扱いにする> です。
6分を越す長いアリアです。
このアリアの歌詞全体をシューベルトは3部分構成として捉えているそうです。
第1部分:不満を訴える「父さんはいつも私のことを子ども扱いにする」
第2部分:嘆きでもある「かつては小鳥のように歌っていたけれど今は溜息ばかり」
第3部分:鳩のつがいの仲睦まじさを見て憧れに捕らわれる
聴いていて第2部分では、愛らしく軽やかな旋律に転じ
リースヒェンの心情の変化が豊かに表現されているように思います。

双子の兄弟のである
フランツのアリア<嵐がすさび、雷が鳴り>と
フリードリヒのアリア<愛する、貴い母なる大地よ>
一人二役のシュテファン・ゲンツのバリトン。

フランツのアリア<嵐がすさび、雷が鳴り>では
傍若無人、横暴、意地悪で威張り散らすという
フランツの性格が良く表現されているように思います。
戦闘的な旋律を奏でるオーケストラと、ゲンツの声色。

フリードリヒのアリア<愛する、貴い母なる大地よ>では
温和で寛容な性格のフリードリヒ。
穏やかで牧歌的な調べに乗り歌うゲンツ。
こちらのアリアはお気に入りになりました。

フランツとフリードリヒの対照的な性格を巧みに歌い分けているように感じました。

アリア、重唱、合唱、どれ一つをとっても魅力溢れるものを感じます。
他のオペラ同様に、このオペラからもシューベルト特有の
 「溌剌さ」「清々しさ」そして「爽やかさ」を感じます。
 

シューベルトのオペラ」の著者である井形ちづる氏の文章を引用させていただきます。

  「シューベルトは死の間際までオペラを作曲し続けていた。
   当時のウィーンの社会状況や劇場事情から、彼のオペラが生前に
   上演されるチャンスは極めて少なかったにもかかわらず、
   作曲し続けたのである。
   その飽くなき執念には驚かされる。
   オペラの作曲はシューベルトにとって何か特別なことだったのだろうか?」

                 
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Comment

Re: シューベルトの歌劇はまだ聴いたことありませんが・・・

burleskeさま、こんにちは。
コメントをいつもありがとうございます。

そうですよね、「舞う」との表現ですと舞曲的な旋律を連想してしまいますね。
私の表現が的確でなく、発想が音楽から離れてしまっていて
紛らわしい書き方になってしまいました。すみません。
羽とか花びらが空中に舞うような・・・そのような感じなのです。
ふわりと楚々として舞っているような・・・。

ロッシーニと言えば、この作品にシューベルトは
ロッシーニの軽快な手法を取り入れているようなことが書かれていました。
まだ、ロッシーニのオペラは序曲しか聴いたことがなく
この機会に聴いてみたくなりました。

確かにシューベルトのオペラの人気、評価ともに、まだまだ なのですね。
寂しい限りです。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2012.03/03 16:45分
  • [Edit]

シューベルトの歌劇はまだ聴いたことありませんが・・・

luminoさま、こんばんは。
相変わらずシューベルトの歌劇とは縁遠いのですが、旋律が「舞う」となると聴いてみたいですね。
ウィーン舞曲的な感じでしょうか?
ロッシーニの歌劇は最近再評価されているみたいですが、シューベルトの歌劇はまだまだみたいですね。
日本語字幕付きのDVDでもあれば購入してみようと思います。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2012.03/02 22:08分
  • [Edit]

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特に音楽知識のないクラシック・ビギナーに等しいのですが、「ただ、ひたすらに」をモットーに鑑賞をしています。
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