♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.140 シューベルト:「独りずまい」D.800 by ディスカウ

シューベルト歌曲を聴いていると
住み慣れた土地に再び足を踏み入れたような
古巣に帰って来たような気分になります。

今日は、カール・ゴッドリープ・ラッペのへの付曲で
とてもお気に入りになった「独りずまい」です。
ラッペのは味わい深く、読むほどに共感の想いを強く抱くようになりました。


             D.F.-ディスカウ:ベスト・オブ・シューベルト

            ディスカウ:The Best of Schubert

               1. 憩いなき恋 D.138
               2. 野ばら D.257
               3. 魔王 D.328
               4. 連祷 D.343
               5. 幸福 D.433
               6. さすらい人 D.493
               7. 死と少女 作品7-3 D.531
               8. 楽に寄す 作品88-4 D.547
               9. ます D.550
               10. 春のおもい D.686
               11. 水の上で歌う D.774
               12. 君はわがやすらい D.776
               13. 笑いと涙 D.777
               14. 夕映えのなかに D.799
               15. 独りずまい D.800
               16. 漁師のくらし D.881
               17. 春に D.882
               18. きけ、きけ、ひばり D.889
               19. シルヴィアに D.891
               20. 菩提樹 D.911-5
               21. 緑野の歌 D.917
               22. セレナーデ D.957-4 ~歌曲集≪白鳥の歌≫

                    D.F.=ディスカウ(Br)
                    ジェラルド・ムーア(P)

                    (録音:1955年~1965年)



今日はこのCDのタイトルそのもののシューベルトのベスト歌曲を集めた一枚からです。
とは言え、「独りずまい」は初めて聴く作品でした。
この曲は1955年5月12-13日、アビー・ロード・スタジオでの録音とのことです。

作曲は1825年初頭。
初版は1825年3月にウィーンの雑誌に付録として掲載され
1827年に一部を改訂し改めてディアベッリから作品41として出版されたとのことです。
以上の2種の版が残されているそうですが
一般的にはディアベッリ社版で演奏されることが多いようです。


はカール・ゴッドリープ・ラッペ
 
           Karl Lappe (1773–1843)
            Karl Gottlieb Lappe  (1773.4.24-1843.10.28)


タイトルの邦訳は「孤独な人」「孤独な男」「独りずまい」などがあるようですが
こちらのディスカウ盤では「独りずまい」。
「中庸に、静かに」との指定で。 
ト長調 4/4拍子。

ピアノの右手が一貫して8分音符のリズムは
平穏無事に流れてゆく人生を表しているとのこと。
左手のモティーフは炉端の陰で鳴くコオロギを表しているそうです。


タイトルから物寂し気な旋律を想像していたのですが
聴いていると、楽しい気分になります。
親しみ易い旋律で、と同様に素朴な趣があります。
第1節の歌詞が流れ出た瞬間にとても懐かしい調べに再会したような
感慨深いさに浸ってしまいました。
また一曲、シューベルトのお気に入り歌曲が増えました。

魂の休息を静かな田舎生活に見出したように思われるラッペの
ディスカウの歌唱からは、穏やかに過ぎ去る時への充足感
満ち足りた時への屈託のない魂の喜びが伝わってくるようです。
改めてディスカウの素晴らしさを痛感する「独りずまい」です。

の最終節での
  深夜に静かな小さい部屋で一人でいても炉端で鳴くコオロギの声を耳にすることで
  独りぼっちではないとの思いを抱く。
それが、とても印象的でした。

幾度もこの歌を聴いていると
疲弊した一人の人間の心を垣間見るような気分になることも
無きにしも非ず、というところでしょうか。
とも有れ 
静かな田舎での 独りずまい から味わうことのできる心の楽しみ。
穏やかで日々を慈しむかのような風情が目に浮かぶようです。

このラッペの詩の世界に憧れを抱いてしまいます。


            わんぱぐさん:ライン、ブルーの鳥


              孤独な男 :Der Einsame D.800
              (詩:カール・ゴットリープ・ラッペ)


     わたしのコオロギたちが
     夜 まだ暖かいかまどの側で鳴いている時
     わたしは満ち足りた気分で
     火元に座ってくつろいでいる
     とても呑気に まったく悩むことなく。

     心地良い 静かなひと時には
     火の側で起きていたいものだ
     火の勢いが落ちてきたら 掻き立てて
     火花を起こし じっと物思いに耽る
     「また一日が終わった!」

     嬉しいことも嫌なことも
     この身を通り過ぎて行ったが
     それが今一度 頭の中に浮かんでくる。
     しかし 嫌なことは忘れてしまい
     夜を掻き乱すこともない。

     楽しい夢を見るために
     ゆっくりと支度をし
     優しい面影が 不安を掻き立てることなく
     穏やかな歓びで魂を満たす時に
     この身を憩いにゆだねる。

     おお 何と居心地の良いことか
     この静かな田舎暮らしは!
     騒々しい世間の浮かれぶりに
     落ち着かない心を縛りつけるものが
     平安をもたらすことはない。

     リンリンと鳴き続けるがいい 可愛いコオロギよ
     この狭く小さな庵の中で。
     喜んで我慢しよう おまえたちは邪魔ではない
     おまえたちの歌が静寂を破るとき
     わたしは本当の独りぼっちではないのだ。

                 (若林氏訳引用)

    (原詩引用)

     Wann meine Grillen schwirren,
     Bei Nacht, am spät erwärmten Herd,
     Dann sitz ich mit vergnügtem Sinn
     Vertraulich zu der Flamme hin,
     So leicht, so unbeschwert.

     Ein trautes, stilles Stündchen
     Bleibt man noch gern am Feuer wach,
     Man schürt, wann sich die Lohe senkt,
     Die Funken auf und sinnt und denkt:
     "Nun abermal ein Tag!"

     Was Liebes oder Leides
     Sein Lauf für uns dahergebracht,
     Es geht noch einmal durch den Sinn;
     Allein das Böse wirft man hin,
     Es störe nicht die Nacht.

     Zu einem frohen Traume,
     Bereitet man gemach sich zu,
     Wann sorgenlos ein holdes Bild
     Mit sanfter Lust die Seele füllt,
     Ergibt man sich der Ruh.

     O wie ich mir gefalle
     In meiner stillen Ländlichkeit!
     Was in dem Schwarm der lauten Welt
     Das irre Herz gefesselt hält,
     Gibt nicht Zufriedenheit.

     Zirpt immer, liebe Heimchen,
     In meiner Klause eng und klein.
     Ich duld’ euch gern: ihr stört mich nicht,
     Wann euer Lied das Schweigen bricht,
     Bin ich nicht ganz allein.


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Comment

Re: やっぱりシューベルトは良いですね

burleskeさま、こんにちは。
いつもコメントをありがとうございます。

最近、シューベルトの歌曲を聴く機会がなかったのですが
「独りずまい」を聴いて、まだまだシューベルト歌曲には心を強く惹き付ける作品があることを再認識しました。
コオロギの鳴き声を模倣するピアノ、本当にリズミカルで良いですよね。
この曲に花を添えているようで印象的でした。
DG盤とEMI盤のご指摘をありがとうございました。
DG盤の方を早速、聴いてみました。
1955年のEMIレコーディグよりも1969年録音のDG盤は落ち着いた雰囲気ですね。
EMI盤は躍動感もありディスカウの歌唱からも溌剌としたものが感じられるようです。
ディスカウの2種の「独りずまい」、趣がかなり異なるように感じました。
ラッペの詩の心に近いのはDG盤の方でしょうか。
EMI盤の方も機会がありましたら是非!
  • posted by lumino
  • URL
  • 2012.04/28 16:45分
  • [Edit]

やっぱりシューベルトは良いですね

luminoさま、こんばんは。
《独りずまい》は初めて聴きましたが良いですね。
コオロギのなき声を模したリズミカルなピアノが耳に心地よいですね。
例によってディースカウ&ムーアのDG盤で聴きましたが、こういう作品を歌わすと、本当にディースカウは上手いですね。
luminoさまはEMI盤でお聴きになられたみたいですが、聴き比べてみるのも面白そうですね。
ディースカウのEMI盤も聴いてみたくなりました。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2012.04/27 22:09分
  • [Edit]

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特に音楽知識のないクラシック・ビギナーに等しいのですが、「ただ、ひたすらに」をモットーに鑑賞をしています。
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