♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.146 シューベルト:「漁師の歌」D.881 by ディースカウ

ディースカウが逝去されて以来
しばらくの間、氏の歌声を聴くことがきませんでした。
訃報に接する前日にも幾度か聴いていたのが
シューベルトの「夕映えに」と「漁師の歌」でした。
この2曲、今になれば思い出の歌に。

心情的には「夕映えに」に惹かれるのですが
今日は「漁師の歌」を。
漁師の明るく、悲しみも苦しみも吹き飛ばしてしまうような
元気溌剌としたこの歌。
ディースカウのリズミカルで明るい歌声・・・やはり好きですこの歌。

5月18日のディースカウの逝去から数日後
5月22日には吉田秀和氏のご逝去。
当拙ブログでもシューベルトの歌曲作品では
吉田氏の書籍を参考にさせていただいたものでした。
まだ読んでいなかった氏の著作があった筈と思い、探してみました。
「永遠の故郷 夜」がありました。

              吉田秀和著:「永遠の故郷 夜」

       吉田秀和著:「永遠の故郷 夜」
雑誌「すばる」に連載された氏のエッセーを全4巻にまとめられたものだそうです。
第1巻が「永遠の故郷 夜」、第2巻「永遠の故郷 薄明」
第3巻「永遠の故郷 真昼」、第4巻「永遠の故郷 夕映」。
氏は、第1巻2008年2月発行)の、あとがき に次のように記述されていました。

  「全4巻にして、すべて本にするつもりです。
   もともと、この全4巻と言うのは、まだ書いてないものも入れての皮算用で、
   神様が許して下さるかどうか。
   あとになってみなければわかりません。(略)」


まだ、第1巻の「永遠の故郷 夜」しか求めていませんので
機会がありましたら 全巻を是非、拝読したいものです。
特に完結編の 吉田秀和著「永遠の故郷 夕映」
はシューベルトの歌曲を
扱っているようですので是非、拝読をしたいと思っています。


前置きがいつまでも続いてしまいますが。

「永遠の故郷 夜」を読むとはなしに あとがき に目を。
ブログを書くことが憚れるような文章が目に留まってしまいました。
引用をさせていただきます。

  「『歌曲とは歌う心である』
   だから歌曲を聴き、歌曲について書くとは
   歌曲を聴く心の働きを述べることが大切だ。
   他に書くことはないと言ってもいい。
   その歌曲を書いた人についての知識をふりまわしたり、
   作曲をめぐるあれこれの状況、事情について多言を弄するのは、
   本当なら、余計なことなのだ。
   『心から出たものなのだから、そのまま、心に通じるように』と
   ベートーヴェンも言ったではないか。」
   けれども、その心に通じたものを、そのまま、書くのはやさしいようで、
   とてもむずかしい。
   シューベルト、シューマン、ブラームス、ヴォルフ、シュトラウス、マーラー、
   ベルクたちの 数少ない歌曲の中に生きている『心』を書くに至っては、
   限りなく不可能に近い。」

この文章を読みつつ、拙当ブログは 余計なこと ばかりですし・・・。
氏に楯突くつもりは毛頭ありませんが
歌曲に限らず、作曲者の人生、生い立ち、或いは作品の成立過程等は
鑑賞する上で或る程度は必要かと考えておりました。
今でもその考えは変わってはおりませんが。

同著にて心を強く惹き付ける吉田氏の印象的な文章にも出合うことができました。

  「歌曲について書く時、私はその構築物を仔細に眺めることを通じて
   歌曲の心に到達する道を選ぶことが多い。
   歌曲を聴くのは、これまた私の心。
   私は歌の中に心を感じ、心を見、心を聴く。
   だがそれを書くのは言葉である。」


前置きが長くなりすぎました。
いつものように解説書を頼りに。
シューベルト「漁師の歌」自分の書き方で、覚書として。

          ディースカウ:ザ・ベスト・オブ・シューベルト

             ディスカウ:The Best of Schubert

                  D.F=ディースカウ(Br)
                  G.ムーア(P)

                   (録音:1965年)



1826年3月の作曲だそうです。 
詩はシューベルトの友人フランツ・フォン・シュレヒタ(1796-1875)で
各4行の7詩節。
シューベルトの曲では2節1組の有節形式となっているとのことで
第5節は省略されているそうです。

第1、2節は漁師の朝早い船出の情景
第3、4節では仕事と歌 水上の楽しい生活
第6、7節 漁師の心得
以上が歌われているとのこと。
ニ長調 2/2拍子 「やや速く」の指定だそうです。


歌の始めから明るいディースカウの声。
第1節、初めの
  「不安も嘆きも苦しみも
   漁師をわずらわせやしないもの」

気骨があり、威勢も良い漁師に成りきっているような
逞しい心意気、軽快で明るいデイースカウの歌唱には
力付けられる思いがします。
ムーアのピアノも活き活きと明朗に力強さを感じさせてくれるようです。

詩にも前向きな強さを感じ惹かれるものがあります。

第2節の「彼は自分の歌でもって 金色の太陽を呼び覚ます」

第3節の「力強さが人生の喜びをもたらす」


他の歌手でも聴いてみたくなりましたので
久し振りに シューベルト:60名の歌手たちの歌曲全集から。
        
 
             シューベルト:歌曲全集~60名の歌手たち            

               シューベルト:歌曲全集~60名の歌手たち

                   Stephen Varcoe(Br)
                   Graham Johnson(P)

Stephen Varcoe という初めて耳にする名前のバリトンです。
先ずはStephen Varcoeの声質。
澄み透るような美しい声です。
客観的に漁師の楽しみを眺めつつ謳っているような印象です。
聴いていて耳には快い歌唱のようです。
グレアム・ジョンソンのピアノは、いつになく勢い付いている感も否めません。
明るく楽しい「漁師の歌」でしょうか。


            わんぱぐさん:ライン、ブルーの鳥

               漁師の歌:Fischerweise D.881
           (詩:フランツ・クサフェール・フライヘル・フォン・シュレヒタ )

        不安も 嘆きも 苦しみも
        漁師を煩わせやしないもの
        彼は朝早くに
        軽やかな気持ちで小舟を出す

        まだ 森や 野や 小川では
        安らぎが周りで寝そべっていても
        彼は自分の歌でもって
        金色の太陽を呼び覚ます

        彼は爽やかな気持ちで胸を満たし
        自分の仕事を歌にする
        労働が彼に力強さを与え
        力強さが人生の喜びをもたらすのだ

        すぐに色とりどりの群れが
        底一面で騒ぎ出し
        水一面に映った空を突き抜けて
        バシャバシャ音をたてるだろう

        だが 網を用いる漁師には
        澄んだ良い目が必要で
        波と同じように朗らかで
        流れのように自由でなければならない

        あの橋の上で釣り糸を垂らしているのは
        羊飼いの女 怪しからん奴だ
        その悪だくみを諦めろ
        魚を騙したりするんじゃない

                        (若林氏訳 引用)


       (原詩引用)

        Den Fischer fechten Sorgen
        Und Gram und Leid nicht an;
        Er löst am frühen Morgen
        Mit leichtem Sinn den Kahn.

        Da lagert rings noch Friede
        Auf Wald und Flur und Bach,
        Er ruft mit seinem Liede
        Die gold'ne Sonne wach.

        Er singt zu seinem Werke
        Aus voller frischer Brust,
        Die Arbeit gibt ihm Stärke,
        Die Stärke Lebenslust.

        Bald wird ein bunt Gewimmel
        In allen Tiefen laut
        Und plätschert durch den Himmel,
        Der sich im Wasser baut.

        Doch wer ein Netz will stellen,
        Braucht Augen klar und gut,
        Muß heiter gleich den Wellen,
        Und frei sein wie die Flut.

        Dort angelt auf der Brücke
        Die Hirtin. Schlauer Wicht,
        Gib auf nur deine Tücke,
        Den Fisch betrügst du nicht.


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Comment

Re: 吉田氏も亡くなられてしまいましたね

burleskeさま、こんにちは。
コメントをいつもありがとうございます。

お一人、またお一人と去って行かれてしまい、本当に寂しいですね。
吉田秀和氏はレコ芸にも嘗て連載がありましたね・・・。
当時、飛ばし読みでよく読まなかったのですが。
ブラッドベリは私も面白くて次々と本を買い求めては読んでいました、昔々。
逝去される御方々、お一人お一人が大なり小なり、思い出を残してくださっているようですね。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2012.06/10 16:00分
  • [Edit]

吉田氏も亡くなられてしまいましたね

《漁師の歌》、明るく軽快で、梅雨の鬱陶しさを忘れさせてくれそうですね。

ディースカウ氏に続いて吉田秀和氏も亡くなられてしまいましたね。
吉田氏の著書はそんなに読んだことがないのですが、それでも氏の文章には惹かれるものがありました。
そういえば僕が昔愛読していたSF作家のレイ・ブラッドベリもつい先日亡くなってしまいました。
こうして昔から馴染んでいた方が亡くなっていくと、なんだか20世紀が遠くなっていくようで、寂しいですね。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2012.06/10 11:19分
  • [Edit]

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