2012.07/21(Sat)

Op.152 ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第1・2番 by カザルス&ホルショフスキー

過日に続き再びカザルスの「コンプリートEMIレコーディングス」からです。

ベートーヴェンのチェロ・ソナタ5曲は過去に聴いてきた演奏の中で
特に好きな演奏というものがありませんでした。
と言うと、如何にも多くの演奏を聴き
作品を把握しているようですが、ほとんど忘れてしまっております。
今回、久々ぶりに5曲を聴いてみて
「そう、そう、このような旋律だった」などと思い出しては懐かしく感じる有様です。

5曲をお気に入りのカザルスで聴くとどのような印象を受けるのか
興味津々で聴いてみることにしました。
先ずは初期の作品5の2曲、第1番と第2番を。
第3番以降の作品も魅力がありますので、いつか機会があれば・・・。
 
           カザルス:コンプリートEMIレコーディングスより
              ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第1・2番

               カザルス.コンプリートEMIレコーディングス

                 パブロ・カザルス(P)
                 ミィチスラフ・ホルショフスキー(P)
                
                (録音:1939年4月19-20日 パリ)


ベートーヴェン26歳の1796年の2月から7月頃にかけて
プラハからドレスデン、ライプツィヒ、ベルリンと旅行をしたとのことです。
リヒノフスキー侯爵と共に1796年2月にウィーンを出発。
リヒノフスキー侯爵と別れた後に
4月まで滞在したプラハでは音楽愛好家の貴族たちと過ごしたそうです。
その後、4月23日から8日間ほど滞在したドレスデンに於けるベートーヴェンの演奏は
ザクセン選帝侯や多くの人々を魅了したとのこと。
次に訪れたライプツィヒ。
そして旅行の最後はベルリン。
ベルリンには5月下旬から7月初旬滞在し
プロイセン国王フリードリヒ・ヴィルヘルム二世の宮廷に於いて
数回に渡り演奏をしたそうです。


この旅行の間に作品5の2曲のチェロ・ソナタの作曲に着手し
同年にベルリンで完成したそうです。

初演の正確な日時は不明だそうですが
ヴィルヘルム二世、お抱えの楽団の首席チェロ奏者であった
ジャン=ピエール・デュポールとベートーヴェンの演奏での初演。
作品はプロイセン国王フリートリヒ・ヴィルヘルム二世に献呈。
ヴィルヘルム二世は献呈されたチェロ・ソナタに深く感動した由です。


●第1番 ヘ長調 Op.5-1
第1楽章:アダージョ・ソステヌート~アレグロ ヘ長調 3/4拍子
      厳かな序奏に続いて現れる第1主題の馴染みのある旋律は親しみ易く
    初めて聴いた時から心に残るものがありました。
    チェロが奏でる軽やかさ、そしてピアノの何と愛らしいこと。
    今迄になく、ピアノにも耳を奪われてしまいました。

第2楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ ヘ長調 6/8拍子
    活気のあるチェロ。
    カザルスのチェロの低声部は、まるでコントラバスでしょうか。
    咆哮するチェロ・・・とでも表現したくなります。
    チェロの深々とした重厚な響きはピアノの低声部を
    かき消してしまうかのようです。
    

●第2番 ト短調 Op.5-2
第1楽章:アダージョ・ソステヌート・エデスプレッシーヴォ ~
       アレグロ・モルト・ピウ・トスト・プレスト
     もの想いに耽りつつ散策でもしているかのような
     感傷的で悲し気な旋律を奏でるチェロとピアノに暫し耳を奪われます。
     
第2楽章:アレグロ ト長調 2/4拍子
     ピアノの軽快な明るさ、美しい旋律で始まり
     ピアノに呼応して優しく歌うかのようなチェロも魅力です。
     この楽章もまた耳に馴染み深く懐かしい想いに浸ってしまいました。


1939年の録音とのことですが
まったく古い録音とは感じられません。
音像も鮮明です。
カザルスの自在なチェロ演奏には改めて魅了されるばかりです。
ホルショフスキーのピアノは初めて耳にしましたが心を掴むものがあります。
過去、この作品のを他の演奏で聴いていながら
ベートーヴェンのチェロ・ソナタが、これほど「流」として
聴いていてチェロ・ソナタというものの楽しさ等を初めて知ったように思います。

過日、カザルスの演奏の記事に
「ホルショフスキとゼルキンとの2種類のベートーヴェンのチェロ・ソナタも名演」
とのコメントをいただきました。
今回、初めてカザルスで聴き、名演とのことが初めて分かったように思います。
 

いつもの余談になります。

作曲の動機ですが
一つは、ベートーヴェンがボン時代に親しくしていた
チェロ演奏家(作曲家でもあったようです)のベルンハルト・ロンベルクの存在。
ベートーヴェンは彼のチェロの表情豊かな美しい音色に魅了されたそうです。
ロンベルクはチェロについて、その性能、演奏技巧などを教えたとのこと。


                ベルンハルト・ロンベルク
            Bernhard Heinrich Romberg
                 Bernhard Heinrich Romberg
          (1767年11月11日または12日-1841年8月13日)



あと一つの作曲動機としては
当時のプロイセン国王のフリートリヒ・ヴィルヘルム二世が音楽愛好家だったそうです。
チェロ演奏の腕前も優れていたそうで自ら室内楽の演奏を好んでいたとのこと。
ハイドン、モーツァルトからも作品の献呈を受けており
ベートーヴェンも2曲のチェロ・ソナタ作品5を国王に献呈することで
チャンスを狙ったことなどが推定されるようです。


5曲のベートーヴェンのチェロ・ソナタは
特定のチェロ演奏家などのために作曲されているとのことです。


門馬直美氏の記述からの引用になります。
 
 「チェロ・ソナタはベートーヴェンに至って、
  音楽的に重要な意味を持つようになり、
  チェロの音域を拡大し、チェロの機能や性格を活用したものとして
  登場してくるのである。
  室内楽曲に於いてもベートーヴェンでは、
  チェロは著しく重要な役割を与えられるようになった。」

また

 「チェロ・ソナタの歴史の上で貴重な文献。
  バッハの無伴奏の6曲の組曲を チェロ音楽の『旧約聖書」というならば
  ベートーヴェンの5つのチェロ・ソナタは新約聖書と呼ばれるべきだろう。」



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Comment

●Re: ベートーヴェンのチェロ・ソナタは第1番と第3番がお気に入りです

burleskeさま、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

ベートーヴェンのチェロ・ソナタを聴いてみて本当によかったです。
ありがとうございました。
第3番も同じくお気に入りです、良いですよね。
ゼルキンとの演奏も機会がありましたら聴いてみたく思います。
他には、今日のコメントを拝読しフルニエ&グルダも機会がありましたら、と思います。
lumino | 2012.07.22(日) 19:27 | URL | コメント編集

●ベートーヴェンのチェロ・ソナタは第1番と第3番がお気に入りです

ベートーヴェンのチェロ・ソナタ第1番はお気に入りの作品です。
自分で薦めておいていまさらですが、やっぱりカザルスは名演ですね。
なんというか、格調高く、深い精神性を感じさせてくれますね。
ゼルキン盤はもう少し落ち着いた雰囲気で、表情豊かな演奏です。

他の演奏では、初期のベートーヴェンらしい新鮮な歌心を軽やかに聴かせてくれるフルニエ&グルダ盤、詩情豊かなデュ・プレ&バレンボイム盤も印象的ですが、新鮮で古楽器の響きが美しい鈴木秀美&小島芳子盤が気に入っています。
burleske | 2012.07.22(日) 12:36 | URL | コメント編集

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