♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.167 シューベルト:「野ばら」D.257 by プライ;ディースカウ;ボ二―

シューベルト歌曲の中であまりにも有名すぎ
耳に馴染み過ぎている「野ばら」。
なにも今更・・・と思うのですが。

大昔、学校の音楽の時間に習い
初めて歌ったシューベルトの歌曲が「野ばら」。
シューベルトとともにウェルナーの「野ばら」も習ったものでした。
気に入ったのがウェルナーの方でした。
シューベルトの歌曲に魅了されつつも
「野ばら」は現在に至るまでウェルナーの方がお気に入りになっています。


当時の級友を思い出しつつ、近藤朔風の訳詞「野ばら」を。


  童は見たり 野中のばら
  清らに咲ける その色愛でつ
  あかず眺むる
  紅におう 野中のばら

  手折りて行かん 野中のばら
  手折らば手折れ 思い出ぐさに
  君を刺さん
  紅におう 野中のばら

  童は折りぬ 野中のばら
  手折りてあわれ 清らの色香
  永久にあせぬ
  紅におう 野中のばら


この「野ばら」には150曲近くあると知りビックリしています。
有名なシューベルト、ウェルナーからベートーヴェン、ブラームス、シューマンetc.
だそうです。


詩はゲーテ。
1771年の夏の作。
伝承されたドイツ民謡「荒れ野のばら」をもとに
ゲーテが民謡風に創作したものだそうです。

1770年、21歳のゲーテはゼーゼンハイム(現フランス北東部)の牧師の娘で
フリーデリーケ・ブリオンと知り合いになったそうです。
「野ばら」はフリーデリケに対するゲーテの愛
また、フリーデリケに対しての裏切りを比喩的に描いているとのこと。
二人は恋に落ち、一年に渡る交際の後に
大学を卒業したゲーテは彼女に何も言わないまま去って行ったとか。
ゲーテが去った後もフリーデリケは終生独身で過ごしたそうですが。

少年の手で無残に折られてしまう野ばら
フリーデリケの美しい心に傷心の痛みを味わわせてしまったゲーテの
自責の念が詩に込められているとのことです。
昔々、習った時には
明るく、愛らしく、屈託のない歌が「野ばら」と思っていました。
ですが、今頃になり詩の中に込められた心の闇を垣間見る思いがしています。


シューベルトの付曲は1815年8月19日。
18歳の時。
初版は1821年5月29日
3節の有節形式
「愛らしく」との指定。
ト長調 2/4拍子

この年、1815年には
D.125-330までの200曲余りが書かれたそうです。
シューベルトの全生涯の中で最も多作の年で
その7割以上の145曲が歌曲だったとのこと。

この年の歌曲の特徴の一つが
ゲーテの詩に付曲をした歌曲の充実だそうです。
代表的な作品が「野ばら」「魔王」を始め
「やすみなき恋」「恋人の近くに」「さすらい人の夜の歌」。



             ディースカウ:ベスト・オブ・シューベルト
             ディスカウ:The Best of Schubert

昔から「野ばら」に抱いているイメージそのものです。
明るく、愛らしく、親しみ易く。
強 と 弱 の見事な歌唱で歌全体が活き活きとしているようです。
ゲーテの詩に秘められた悔恨の念は微塵も影を落とすことがないように感じられます。



               ヘルマン・プライ:「愛の歌」
              プライ:「愛の歌」

ゆったりとした趣を感じさせる歌唱で
描写的に歌い上げ抒情的な情景が目に浮かびます。
明朗さよりも翳りのある「野ばら」でしょうか。
シューベルトの指定では「愛らしく」とのことですが
残念ながら 愛らしさ が前面に出ることはなく
ゲーテがこの詩に託した想いはひしひしと感じられるようです。
お気に入りの「野ばら」です。


             バーバラ・ボ二―~シューベルト歌曲集
               バーバラ・ボ二―~シューベルト歌曲集

                   バーバラ・ボ二―(S)
                   ジェフリー・パーソンズ(P)

           (録音:1994年4月 ベルリン、テルデック・スタジオ)


ボ二―の声質にピッタリでしょうか。
可愛らしさ、この上なしです。
野原を通り過ぎる微風をのように爽やかで、軽やか。
情感も豊かに歌いあげられた愛らしい「野ばら」。



最後にシューベルトと同時代を生きたウェルナーの「野ばら」を。
お気に入りのプライの歌声で聴いてみました。


                   ハインリヒ・ウェルナー
                 Heinrich Werner
                   Heinrich Werner
               (1800年10月2日-1833年3月3日)


                 ヘルマン・プライ:ドイツ民謡集
               プライ:ドイツ民謡集

                   ヴィリー・マッチス(指揮)
                   グランケ交響楽団

                    (録音:1965年10月)


穏やかな田園の叙情が伸びやかに伝わってくるようです。
ゆったりとした旋律の流れに
シューベルトの「野ばら」とは一味も二味も違う魅力を感じます。
プライの歌唱も歌も素朴でお気に入りの「野ばら」です。




           わんぱぐさん:ライン、ブルーの鳥

               野ばら:Heidenröslein D.257
                 (詩:ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ)


      少年が一本のばらを見つけた
      荒れ野に咲くばらの花を
      とても若々しく 朝のように瑞々しかったので
      彼は近くでそれを見ようと駆け寄って
      喜びに溢れてそれを見た
      ばら、ばら、赤いばら
      荒れ野に咲くばらの花。

      少年は言った 「お前を折るぞ
      荒れ野に咲くばらの花よ!」
      ばらは言った 「あなたを刺しましょう
      わたしのことをずっと思っているように
      わたしはそれに耐えられないでしょう」
      ばら、ばら、赤いばら
      荒れ野に咲くばらの花。

      そして 荒っぽい少年は折ってしまった
      荒れ野に咲くばらの花を
      ばらも身を守って刺しはしたが
      嘆きも叫びも役に立たず
      それに耐えなければならなかった。
      ばら、ばら、赤いばら
      荒れ野に咲くばらの花。



     (原詩引用)
      Sah ein Knab ein Röslein stehn,
      Röslein auf der Heiden,
      War so jung und morgenschön,
      Lief er schnell, es nah zu sehn,
      Sah's mit vielen Freuden,
      Röslein, Röslein, Röslein rot,
      Röslein auf der Heiden.

      Knabe sprach: Ich breche dich,
      Röslein auf der Heiden!
      Röslein sprach: Ich steche dich,
      Daß du ewig denkst an mich,
      Und ich will's nicht leiden.
      Röslein, Röslein, Röslein rot,
      Röslein auf der Heiden.

      Und der wilde Knabe brach
      's Röslein auf der Heiden,
      Röslein wehrte sich und stach,
      Half ihr doch kein Weh und Ach,
      Mußt es eben leiden.
      Röslein, Röslein, Röslein rot,
      Röslein auf der Heiden.
                             (訳:若林氏 引用)

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Comment

Re: 《野ばら》はやっぱり名曲ですね

burleskeさま、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

シュライアーも「野ばら」を歌っていらっしゃったのですね。
コメントを拝読してCDの収録曲を見たら・・・ありました。
また、いつもの如くですっかり忘れておりました。
コメントをいただいて気が付く有様です。
早速、シュライアーで聴いてみます。ありがとうございました。

プライの歌唱は素朴さが気に入っています、「野ばら」以外でも。
LP時代からプライはドイツ民謡を積極的に録音されていましたね。
どの曲も、素直な素朴さでLP時代から好感を抱いています。
何となくディースカウと対照的な歌手のように感じています。
ウェルナーはプライしか持っていませんが、私にはプライの歌声で充分という思いです。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2012.11/04 19:59分
  • [Edit]

《野ばら》はやっぱり名曲ですね

《野ばら》、有名すぎる曲ですが、改めて聴くとやっぱり良いですよね。
僕の所有しているディスクはディースカウのDG盤とシュライアー&オルベルツ盤です。
例によって表現力豊かなディースカウ、歌心に満ちた、温かみのあるシュライアー、どちらも素敵ですが、この曲はもう少し素朴な歌で聴いてみたいような気もします。
そういえば、ウェルナーの《野ばら》はディスクを持っていません。
やっぱり一枚くらいは持ってた方が良いですよねぇ。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2012.11/04 10:07分
  • [Edit]

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