♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.170 ヴェルディ:歌劇「トロヴァトーレ」全曲 by メータ&フィレンツェ五月祭管弦楽団;パヴァロッティ;バナウディ他   

すっかりオペラを聴く機会がないままに月日が過ぎてしまいました。
聴きたいオペラは多々ある中から馴染み深いヴェルディを。
ヴェルディ・エディションのBOXセットから「トロヴァトーレ」です。

トロヴァトーレとは吟遊詩人のことだそうでタイトルに惹かれます。
勿論、作品も気に入っているものです。
云十年前に求めたLP(カラヤン&ベルリン・フィル;カプチルリ、プライス)のみが
久しい間、唯一所有しているものでした。
このカラヤンの全曲盤に出合って以来「トロヴァトーレ」はお気に入りのオペラです。
すっかり鑑賞することにご無沙汰をしてしまっている作品。
今回はカラヤン盤ではなくメータ盤ですが久々振りに聴いてみて
初めてこのオペラに出合った当時を思い出し懐かしさに浸ってしまいました。


              ヴェルディ・エディションより
             歌劇:『トロヴァトーレ』全曲

             ヴェルディ・エディション

          マンリーコ:ルチアーノ・パヴァロッティ(T)
          レオノーラ:アントネッラ・バナウディ(S)
          ルーナ伯爵:レオ・ヌッチ(Br)
          アズチェーナ:シャーリー・ヴァーレット(Ms)
          フェルナンド:フランチェスコ・エレロ・ダルテーニャ(B)他
        
             ズービン・メータ指揮
             フィレンツェ五月祭管弦楽団&合唱団

            (録音:1990年6-7月 フィレンツェ市立劇場)


オペラの内容を要約すると
中世のアラゴン王国(スペインの東北部だそうです)を舞台にして
男女3人の三角関係に一人のジプシー女の復讐が絡み合い
4人の立場の違う人物がそれぞれに愛憎の情念も持って対峙する
という、まさに愛の不条理を得に描いたようなドラマとのことです。

いつもの解説書、虎の巻を参考にして。

【作曲】1852年
【初演】1853年1月9日 ローマ・アポロ劇場
【原作】スペインの詩人アントニオ・ガルシア・グティエレスの戯曲
    「エル・トロヴァトーレ」(吟遊詩人)
【台本】サルヴァトーレ・カンマラーノ
    その死後、レオ―ネ・アマヌエーレ・バールダレにより補作完成
【時と場所】15世紀初頭。アラゴン王国(スペイン東北部)
【構成】全4幕 上演時間:約2時間10分
【主な登場人物】
 レオノーラ(S):アラゴン侯爵夫人付きの女官
 マンリーコ(T):トロヴァトーレ(吟遊詩人)
 ルーナ伯爵(Br):アラゴン地方の貴族
 アズチェーナ(Ms):ビスカイヤ生まれのジプシーの老女(マンリーコの母)

【あらすじ】
   第1幕:「決闘」 
 
 ルーナ伯爵の従卒フェルランドが衛兵たちに主家にまつわる忌まわしい話をする。
 あるジプシーの老婆が先代伯爵の二人の息子のうち弟を呪い殺そうとして
 伯爵に火焙りにされ、その晩に弟の方が行方不明になり老婆を焼いた灰の中から
 幼児の骨が発見された。
 先代は弟の生存を信じ、兄のルーナ伯爵は今も犯人とされる老婆の娘を探している
 という恐ろしい話だった。
 女官のレオノーラはトロヴァトーレ(吟遊詩人)となった騎士マンリーコを慕っている。
 一方、ルーナ伯爵はレオノーラへの想いを抱いている。
 伯爵はマンリーコへの嫉妬でマンリーコと決闘になる。

 
   第2幕:「ジプシー」

 ジプシーの老女は伯爵の子供を奪い炎の中へ夢中で投げ込んだが
 気が付くと過って自分の子を投げ入れてしまったという。
 それを聞いた息子マンリーコは自分の出生を疑う。
 そこにレオノーラが修道院に入るという知らせが届き
 マンリーコは彼女のもとへ急ぐ。
 レオノーラが修道院に入ろうとすると伯爵が出てきて連れ去ろうとする。
 伯爵を阻止しレオノーラを奪うマンリーコに伯爵は復讐を誓う。
 ところが、アズチェーナが伯爵に捕まる。

 
   第3幕:「ジプシーの子」

 ルーナ伯爵の野営地で、兵士たちが援軍を迎え明日の総攻撃の勝利を確信して
 勇ましい合唱「兵士のラッパは高鳴り」を歌う。
 兵士たちが去り、伯爵が一人陣営の中から出てくる。
 そこへフェルナンドらが怪しいジプシーの老婆を見つけたと
 アズチェーナを伯爵の前に引き立ててくる。
 伯爵はアズチェーナに、昔城から先代の伯爵の息子が盗まれた話をし
 その消息を知らないかと尋ねる。
 伯爵は誘拐された子供の兄だと答える。
 伯爵は恋敵マンリーコの母であることを知り弟の仇をとれると喜ぶ。
 マンリーコはアズチェーナが伯爵に捕えられ処刑されるとの知らせを受け
 激怒し、母の救出のために急いで出てゆく。


   第4幕:「処刑」

 マンリーコは敗れ、アズチェーナとともに城内の塔に幽閉されている。
 塔のそばにレオノーラが現れ、マンリーコへの想いを切々と歌う。
 (アリア≪恋はバラ色の翼に乗って>)
 ルーナ伯爵が出てきて家来にマンリーコとアズチェーナの処刑を命じる。
 レオノーラが現れ伯爵に自分を捧げてマンリーコの助命を嘆願する。
 その時レオノーラは毒を飲む。
 捕らわれているアズチェーナとマンリーコのもとへレオノーラが現れるが
 彼女は毒がまわり倒れる。
 マンリーコの腕の中でレオノーラは息絶える。
 そこへ登場した伯爵はレオノーラの裏切りに怒り
 取りすがるアズチェーナの制止を振り切りマンリーコを処刑する。
 アズチェーナは「マンリーコこそ、お前の弟、母さん復讐を果たした」
 と叫んで息絶える。
 一人残される伯爵。   (幕)
   


この作品は
「リゴレット」「椿姫」と並びヴェルディ中期を代表する傑作だそうです。
イタリア・オペラの中で最も声楽的に充実した作品とのこと。
聴いていても「次はどうなる?その次は?・・・」と
まるで推理小説を読む楽しさ、面白さを感じつつ耳を奪われます。
特に第3,4幕では全神経を集中させられ虜になってしまいます。

聴き始めは声楽陣にばかり気を取られていましたが
オーケストラのダイナミックな演奏にも惹き込まれてしまいます。
スケールの大きさを感じさせる作品、演奏でしょうか。

ヴェルディのこのようなオペラを聴いていると
台本に関係なく、人間がとても愛おしく感じられてきます。
愛おしい、と言っても「愛」(或る宗教が説く愛のように不確実、偽善的なもの)ではなく
人間の中に潜む邪悪さのようなものは幻想であるかのように昇華され
真に純粋な人間を感じるのです。
私にとってのヴェルディ・オペラの不思議さであり魅力です。


以下、印象的だった部分だけの感想になりますが。

●序曲
開始のティンパ二が轟きのような響き緊張感を抱きます。
この響きを耳にしつつ連想をしたのは、日本の怪談話です。
トロヴァトーレに怪談話を連想するのも可笑しいのですが。
怪談話の始まりに ドロドロドロ~ と連続をして太鼓(?)が不気味に鳴りますよね。
そのような、不気味な太鼓を連想してしまいました。
緊張感から始まり、活気漲る、高揚する旋律も馴染み深いもので親しみを抱きます。
ヴェルディのオペラの中でも印象的な序曲のように感じられます。


●第3幕第1場の合唱<兵士のラッパは高鳴り>
ルーナ伯爵の野営地で兵士たちが援軍を迎えて
翌日の総攻撃の勝利を確信して歌う有名な<兵士のラッパは高鳴り>。
力強く、覇気に満ち、また明るさも漂う勇壮な合唱でお気に入りです。
人生の紆余曲折にも耐えられるかのような力を与えられるようです。

  
●第3幕でマンリーコが歌う<見よ、恐ろしい炎を>

  
     (You Tubeより拝借。1988年メトロポリタン・オペラの映像のようです)

有名なこの曲ですが、マンリーコのシェーナ、アリア、カバレッタから成るそうで
カバレッタの部分に当たるものとのことです。

マンリーコが愛するレオノーラと結ばれようとした時
捕えられた母アズチェーナをルーナ伯爵は火刑にしようとするのを知って
駆け出して行く時のマンリーコの歌。

  あの火刑台の恐ろしい火が
  俺の五体を焼き焦がす。
  消せ、悪党め、消さないとすぐ
  こちらがお前らの血で消してやる。
  貴女への愛より先に彼女の息子。
  彼女に身を捧げてもこれは止めようがない。
  不幸な母上、助けに飛んで行きます。
  せめて一緒に死ぬためにでも。

歌詞も歌も勇壮の極みでしょうか。
母を思う気持ちがすべての恐れを吹き飛ばし
自らの命を賭け母を救い出そうとするマンリーコの歌。
この歌に心を動かされずにはいられません。

嘗ては、特にお気に入りの曲ではなかったのですが
パヴァロッティのテノール・リリコ・スピントで聴くこの曲に
魅了されてしまいました。

この曲についての面白い記述がありました。
部分的には否定をしたい個所もありますが引用をさせていただきます。

 「<見よ、恐ろしい炎>は典型的なヴェルディ節の
  ズンラカジャチャで滅法調子が良く、「トロヴァトーレ」では
  一番大向こうに受けて、アレーナ・ディ・ヴェローナのような
  砕けた雰囲気の公演では円錐形の安い席に陣取った地元の人たちが
  アンコールを要求して大騒ぎするところです。」
               (相澤敬三 編著:「オペラ・アリア・ベスト101」より)


●有名なアリアばかりが続いていますが
最後に第4幕第1場のレオノーラのアリア<恋はバラ色の翼に乗って>。

戦いに敗れ、城の塔に幽閉されているマンリーコを慕って
忍んで来たレオノーラがマンリーコへの愛の証として自分の命を代償に
彼の命を救うことを決意し城壁の下で歌うアリアです。

前半は穏やかなカヴァティーナで後半はテンポの速いカバレッタだそうです。
歌唱技巧の難しいものとのことです。
技巧的なことはまったく解りませんが聴き惚れてしまうアリアです。

レオノーラ役のアントネッラ・バナウディは初めて歌唱を耳にしました。
深く落ち着いた声、はっきりとした発音など好感を抱きました。
旋律の美しさ、また劇的な表現においても
感情優先にはならず、声質、歌唱ともに格調の高さを感じさせられます。


全曲を聴き終えて
歌手陣を始め、メータとフィレンツェ五月祭管弦楽団の演奏は
充実感をもたらしてくれました。
ヴェルディのオペラの素晴らしさを改めて認識させられたように思います。

来る年、2013年はヴェルディとワグナーの生誕200年とのことで
楽しみな年になりそうです。

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Comment

Re: 来年はヴェルディ生誕200年ですね

burleskeさま、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

生誕記念ディスクがすでに発売になっているのですか?!
早速、ショップ・サイトに・・・75枚組のヴェルディ全集が見つかりました。
ヴェルディ・エディションとかなり重複しますけれど・・・。
また、欲しくなってしまいました。
LP時代でしたら諦めたと思いますが(価格的に)、安価に入手できるのは
喜ばしいことですが有難味が薄れてきたような気も・・・。

「トロヴァトーレ」はマンリーコ役がドミンゴのカラヤン盤のDVDでご鑑賞されていらっしゃったのですね。
ドミンゴで聴きたく思っていましたら、ヴェルディ全集の中にありました。
ジュリーニの指揮ですけれど・・・ヴェルディ全集、良さそうですね。
パヴァロッティよりもドミンゴの方が繊細に表現されているようで是非聴いてみたくなりました。
生誕200年の来年の楽しみと思っておりましたが
コメントを拝読してヴェルディ全集を初めて知ることができました。
ありがとうございました。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2012.12/02 19:41分
  • [Edit]

来年はヴェルディ生誕200年ですね

ヴェルディとワーグナーの生誕200年は来年のはずなのに、もう既に生誕記念ディスクが発売になってたりして、やっぱりヴェルディとワーグナーは人気があるみたいですね。
《トロヴァトーレ》は昔、第2幕の「アンヴィル・コーラス」とアズチェーチの歌う「炎は燃えて」が好きでよく聴いてました。
全曲盤はカラヤン&ウィーン国立歌劇場の演奏、マンリーコをドミンゴが歌ったDVDを持っています。
映像と録音は若干古いですが、全盛期のカラヤンとドミンゴはやっぱり素晴らしいですね。
ほんとに改めてヴェルディのオペラって素晴らしいと思いますね。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2012.12/02 13:29分
  • [Edit]

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