♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.176 ヴェルディ:歌劇「エルナー二」全曲 by ボ二ング&ウェールズ・ナショナル・オペラOr. ;パヴァロッティ、ヌッチ、サザーランド 

先月よりヴェルディオペラを聴くことが多くなっています。
「トロヴァトーレ」「リゴレット」に続いて今日は「エルナー二」を。
ヴェルディ30歳頃の熱情的な第5作目のオペラだそうです。
また、この作品においてヴェルディが主役に初めてドラマティックなテノールを使い
男声の性格表現が明確になった傑作だとのことです。

いつものヴェルディ・エディションからです。
過日の「トロヴァトーレ」「リゴレット」に引き続き
パヴァロッティとレオ・ヌッチの共演です。

「リゴレット」と同じく
原作はヴィクトル・ユーゴー
台本がフランチェスコ・マリア・ピアーヴェ。
私が勝手にヴェルディに抱いているイメージから遠いものを感じつつも
聴き始めたら惹き込まれてしまいます。
どの部分から聴いても耳を奪われ
惹き込まれてしまうほど魅力的な作品との思いを強くしました。
全4幕がとても短く感じられます。
繰り返し続けて聴いてしまうオペラの一つになりました。   

特にカルロのアリアはどれも気に入っています。
「トロヴァトーレ」「リゴレット」では存在感が薄かったレオ・ヌッチでしたが
エルナー二」では圧倒的な存在感を抱かせられました。
また、エルヴィーラ役のサザーランドの声質、歌唱にも魅せられ虜になりました。

             ヴェルディ・エディションより

             ヴェルディ・エディション

           エルナー二:ルチアーノ・パヴァロッティ
           ドンナ・エルヴィーラ:ジョン・サザーランド
           ドン・カルロ:レオ・ヌッチ
           ディ・シルヴァ:パータ・ブルチュラーゼ (他)

           リチャード・ボ二ング指揮
           ウェールズ・ナショナル・オペラ管弦楽団&合唱団

               (録音:1987年5月 ロンドン)


フィニーチェ座からの新作の依頼で作曲されたそうです。
他の台本を考えていたヴェルディにフィニーチェ座の支配人から
ヴィクトル・ユーゴーの「エルナー二」はどうかと勧められ
ヴェルディは喜んで取り上げることを承諾。
台本は詩人でフィニーチェ座の舞台監督兼台本作家のピアーヴェが受け持つ。
ピアーヴェが舞台上の劇的効果や作劇法などに精通していたとのことで
ヴェルディは彼の台本が気に入るようになり
この「エルナー二」の以後、ヴェルディとピアーヴェのコンビは長く続くことになったそうです。

初演に漕ぎつけるまでのは多くの障害があったとのことです。
急進的な自由主義者として有名なユーゴーの原作に加えて
内容が君主に対する陰謀事件であるだけに警察の嫌疑を引き起こし
リブレットに手を加えざるを得なかったそうです。

次の障害は、遠くから響く角笛の効果を出すため
舞台にホルン奏者を登場させるというヴェルディの前代未聞のアイデアだったそうで。
これはヴェルディが強引に支配人の反対を押し切り解決をしたとか。

三つ目の最大の難関はプリマ・ドンナのレーヴェだったとのこと。
彼女は最後の三重唱を自分のためのアリアに書き換えてくれるように
ピアーヴェに頼み込んだそうです。
これは当時のプリマ・ドンナ・オペラの時代には当然の要求だったそうですが
ヴェルディは激怒して断り一時は上演が危ぶまれたとか。
彼女は折れてヴェルディと和解し上演に漕ぎ付くことができたものの
和解したとは言え初演時に主役のレーヴェの不満は収まらずに
少々調子っぱずれ、テノールのグアスコは声がお粗末で
お世辞にも褒められたものではなかったそうです。
しかし他の部分は人々の称賛を受け特に第3幕の陰謀の合唱は
人々の愛国心を煽り興奮を巻き起こしたそうです。
エルナー二」は国内での人気を高めたばかりでなく
国際的な名声をもヴェルディにもたらしたとのことです。


              「エルナー二」
              「エルナー二」:1890年のドイツのテキスト


【作曲】1843-44年
【初演】1844年3月9日 ヴェネツィア、フィニーチェ座
【原作】ヴィクトル・ユゴーの同名の戯曲:“Hernani”(1830年初演)
【台本】フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ
【時と場所】1519年 スペイン
【構成】4幕  約2時間10分

【主な登場人物】 
エルナー二:山賊の首領、アラゴンの貴族
ドンナ・エルヴィーラ:デ・シルヴァの姪で婚約者
ドン・カルロ:スペイン国王
ドン・ルイ・ゴメス・デ・シルヴァ:スペイン大公

【あらすじ】

    第1幕「山賊」

    第1場:アラゴンの山塞
  
愉快そうに山賊たちが酒を飲み歌っているところに首領のエルナー二がやって来る。
エルナー二の父親がカスティーリアの王ドン・カルロと戦って敗れ殺されたので
彼は山賊の首領となっていた。
彼は恋人エルヴィーラが彼女の後見人であるシルヴァに結婚を迫られていることに悩む。


    第2場:シルヴァ城のエルヴィーラの部屋
 
エルヴィーラはシルヴァに結婚を迫られるがエルナー二を愛しているので悩む。
そのエルヴィーラの部屋に突然、国王ドン・カルロが現れる。
王は国王の愛人となって宮廷に来るようにと口説くがエルヴィーラは断る。
王は強引に彼女を連れて行こうとした時
エルナー二が秘密の扉から現れ彼女を庇う。
恋仇であり、父の仇でもある国王に決闘を挑む。
そこにシルヴァが突然帰って来る。
彼はエルヴィーラの部屋に国王カルロとエルナー二の二人の誘惑者がいるのを見て驚き悲しむ。
シルヴァは二人を外に出して剣で決着をつけようとする。


    第2幕「客人」 シルヴァ城の大広間

シルヴァとエルヴィーラの婚礼の祝宴が催されている。
そこに巡礼の僧に変装をしたエルナー二が現れ
シルヴァは慣習(当時は巡礼の僧を客人として厚くもてなすことは
その家に幸福をもたらすと信じられていたそうです)に
従い丁重に客人として迎える。

エルヴィーラが現れシルヴァが花嫁を紹介すると
巡礼に姿を変えたエルナー二が正体を現す。
シルヴァは客人はすべて兄弟と言い、彼を守るために城の守りを固めるよう命じ退場。
エルナー二は彼女の不実を責める。
彼女は最後には祭壇で自殺するつもりだったと彼に短剣を出して見せ
エルナー二の誤解は解かれる。
そこに戻ってきたシルヴァはエルナー二の裏切りに怒る。
その時国王の来訪が告げられる。
シルヴァは復讐は後だとエルナー二を秘密の扉に匿う。
現れた国王はエルナー二を引き渡せと命じるがシルヴァは応じない。
王は人質にエルヴィーラを連れて立ち去る。

秘密の扉からエルナー二を出して決闘を迫るシルヴァに
エルナー二は自分の角笛を差し出し
この音を聞いた時エルナー二は死ぬと誓い
王に復讐をするまで命を預けてくれるよう頼む。
シルヴァは彼の願いを受け二人は共に王に復讐することを誓う。


    第3幕「慈悲」カルロ大帝の墓廟

反逆者たちが集まり始め、直接王の殺害をする男の選出をする。
くじ引きでエルナー二が指名される。
シルヴァはその権利を譲ってくれれば命の角笛を返すと言うが
エルナー二は父の復讐は是非自分の手でしたいと言って譲らない。

反逆者たちは勇壮な≪陰謀の合唱≫を歌う。
その時、大砲の音が三発して王が現れる。
侍従長いが選帝侯会議でカルロが神聖ローマ帝国皇帝に選ばれたことを告げる。
反逆者たちは捕えられ、首謀者は即、死罪を申し渡される。
この時エルヴィーラが王の足元に身を投げ出し
「皇帝となられた今、皆にお慈悲を」と願う。
王は皆を許し、小さな私欲も捨て、エルヴィーラをエルナー二の花嫁として与える。
名誉を傷つけられ、なお一層復讐を誓うシルヴァを除き
一同の新皇帝カルロ5世を讃える合唱。


     第4幕「仮面」エルナー二の宮殿

婚礼の祝宴が華やかに繰り広げられている。
エルナー二とエルヴィーラはやっと二人が結ばれたことを喜び合う。
その時、遠くから角笛が聞える。
仮面を付けたシルヴァが角笛を示しながら命を要求しに来る。
エルナー二は幼い時から放浪と不幸の中に育ち
やっと恋の幸せを得た自分に一夜の猶予をと願うがシルヴァは許さない。
エルヴィーラも駆け付け命乞いをするが無駄であった。
エルナー二は誓いを守って短剣で胸を刺し
後を追おうとするエルヴィーラを止め
私を愛し続けて生きてくれ、と言い残し息絶える。
                             (幕)


一曲一曲が印象に残るものばかりでしたが
特に印象深かったものを第1幕より順を追って。

●第1幕第1場の初めから惹き込まれる合唱≪さあ、飲もう!飲もう!≫です。
力強くも華麗で軽快な調べの男声合唱で聴いているだけで元気になります。
初めて耳にしたウェールズ・ナショナル・オペラ合唱団ですが好感を抱きました。

●同じく第1幕第1場のエルナー二のアリア
≪ありがとう 愛する友だち≫~≪萎れた花の枝葉に≫
エルナー二のアリアが全幕を通じ多くはない中で
エルナー二役のパヴァロッティの歌声を満喫できる魅力的なアリアかと思います。

●同じく第1幕のシルヴァのアリア
≪何たることだ!≫…≪不幸なお前!この美しくて無垢な百合を≫
シルヴァ役のパータ・ブルチュラーゼは今迄、聴く機会がありませんでした。
ブルチュラーゼがゆっくりとしたテンポで朗々と歌い上げるこのアリアも
彼の声質ともに魅力溢れるものとして心に伝わります。

●第2幕での合唱≪歓喜の声を上げよう!≫
シルヴァとエルヴィーラの婚礼の祝宴の情景を彷彿とさせられる合唱。
活気漲るオーケストラと明快な混声合唱が歓びの歌声を聴かせてくれるようです。

●第3幕では先ず、カルロのアリア≪若き日々よ≫
反逆者たちが集まって陰謀が企てられていることを察知した国王が
先回りをしてやって来て祖先の墓の前で歌うこの曲。
回想を呼ぶ静かな調べに乗せてカルロ役のヌッチが想いを込めて歌われ
全幕中でもお気に入りの曲です。

●そして続く有名な合唱で反逆者たちが歌う≪陰謀の合唱≫。
1844年のフィニーチェ座での初演時にこの合唱は
人々の愛国心を煽り、興奮を巻き起こしたとのこと。
荘重さが漂う男声合唱に力強さも加わり高揚する気分。
この合唱も印象深いものがあります。

●第3幕、カルロのアリア≪ああ、至高のカルロ、私は貴方の名より≫
静かなハープの伴奏に美しくも荘重、抒情的な旋律のアリアで
この曲もお気に入りです。

●第4幕の合唱≪ああ、新郎新婦は何と幸せに酔っていることか≫
オーケストラは躍るような喜びを奏で
合唱は軽快で楽しい気分に満ち溢れ聴いていてもウキウキするようです。

●最後のエルヴィーラ、エルナー二、シルヴァの三重唱で
≪止めて、何とむごい人、どうして≫。
サザーランドの声の素晴らしさ、そして明瞭な発音のお陰で
このオペラを心ゆくまで堪能できるようにも思います。
この三重唱で「何故?何故?」と歌い始めるエルヴィーラ。
胸を打たれるものがあります。

シルヴァにエルナー二の命乞いをするエルヴィーラ。
エルナー二が自決をする前にエルヴィーラに歌いかけ
それに応えるエルヴィーラの悲愴な歌声。
「エルヴィーラ、アディオ」とエルナー二の最後の言葉に
ティンパ二が止めを刺すかのように鳴り響き、終幕。


全幕が終了した時には素晴らしいオペラを聴いたとの思いに満たされました。
ヴェルディのオペラには聴いたことがあるか否かを問わず
耳にする作品一つ一つに新しい発見があるようです。


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Comment

Re: 《エルナーニ》はまだ聴いたことがありません

burleskeさま、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

スカラ座のヴェルディ・ボックス全曲制覇達成の暁には
「エルナー二」を是非、お聴きくださいね。
ヴェルディの中後期の覇気には乏しいかも知れませんが
心を捉えられる美しい歌が次から次ですので、とてもお気に入りのオペラになりました。

「ドン・カルロ」についてなのですが
「エルナー二」のドン・カルロとは別人なのですか。
同一人物だとばかり思い込んでいました。
ありがとうございました。調べてみなくては・・・苦手な歴史の勉強も兼ねて。
本当にややこしいですね。
「シモン・ボッカネグラ」は未聴なのですが、こちらも聴いてみたく思います。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2013.01/13 20:11分
  • [Edit]

《エルナーニ》はまだ聴いたことがありません

スカラ座/ヴェルディ・ボックス、残念ながら《エルナーニ》は収録されてないんですねぇ。
luminoさまの記事を拝読したら、《エルナーニ》も聴いてみたくなりました。
でも、まずはスカラ座/ヴェルディ・ボックスを全曲制覇したいと思います。
次は《ドン・カルロ》か《シモン・ボッカネグラ》を聴こうと思ってます。
ところで、この《エルナーニ》に登場するスペイン国王のドン・カルロと《ドン・カルロ》に登場するドン・カルロ王子はどうも別人みたいですね。
なんかややこしいですね。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2013.01/12 20:40分
  • [Edit]

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特に音楽知識のないクラシック・ビギナーに等しいのですが、「ただ、ひたすらに」をモットーに鑑賞をしています。
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