♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.210 シューベルト:「弦楽四重奏曲第15番」 by ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団

過日、シューベルト弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」を聴き
後期の弦楽四重奏曲に関心が湧いてきました。
次には第13番、第15番を聴いてみては、とのコメントをお寄せいただきました。
第13番「ロザムンデ」は嘗て、シネ・ノミネ弦楽四重奏団の
シューベルト弦楽四重奏曲全集を求めました際に最初に聴き
当拙ブログにも綴っておりました。
聴いたのは第13番だけでそのまま冬眠状態に・・・。

今回は第15番を。
演奏は、いつものウェストミンスター・レガシーの室内楽コレクションより
ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団です。
カプリングは同じくシューベルト弦楽四重奏曲第12番です。

          シューベルト弦楽四重奏曲第15番 ト長調 D.887
                        by
             ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団


                210シューベルト:弦楽四重奏曲第15番

               弦楽四重奏曲第15番ト長調D.887 Op161
               弦楽四重奏曲第12番ハ短調D.703「四重奏断章」

                ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団

                (録音:第15番1950年;第12番1952年)


          第1楽章 アレグロ・モルト・モデラート ト長調 4分の3拍子
          第2楽章 アンダンテ・ウン・ポーコ・モート ホ短調 4分の4拍子
          第3楽章 スケルツォ アレグロ・ヴィヴァーチェ ロ短調 4分の3拍子
          第4楽章 アレグロ・アッサイ ト長調 8分の6拍子



作曲はウィーン国立図書館所蔵の自筆譜に書かれた日付によると
シューベルト29歳の1826年6月20日にウィーン郊外のヴェーリングで着手。
10日後の6月30日に完成したそうです。
この作品を以って弦楽四重奏曲の創作が閉じられたとのことです。
シューベルトの3大弦楽四重奏曲、第13番「ロザムンデ」、第14番「死と乙女」の
最後を飾る作品。
シューベルトはこの3つの作品を『大きな交響曲への道』と
位置付けていたとのことです。


              210クーペルヴィーザー
                      Leopold Kupelwieser
                (1796年10月17日-1862年11月17日)



以前、弦楽四重奏曲第13番を聴いた際に綴ったものと一部重複しますが。
シューベルトが友人のグーべルヴィーザーに1824年3月31日に
宛てた書簡からの引用になります。

 「僕はこの世で最も不幸で、哀れな人間だと感じている。
  考えてみてほしい、健康が回復する見込みが最早なく、 
  その絶望から物事を良い方にではなく、
  どんどん悪い方向へ持っていくような、そんな人間のことを。
  考えてほしい、輝いていた希望が無に帰し、
  愛と友情の幸福がこの上ない苦痛しかもたらさず、
  美に対する熱狂も消えゆこうとしているような人間のことを。
  ・・・歌曲は新しいものをほとんど作らなかったが、器楽曲は幾つか試みた。
  弦楽四重奏曲を2曲と八重奏曲を1曲作曲したが
  もう1曲弦楽四重奏曲を書くつもりだ。
  このようにして大きな交響曲への道を開いていこうと思っている。」

この書簡中に記述がある「もう1曲の弦楽四重奏曲」が
弦楽四重奏曲第15番として結実したのは
クーペルヴィーザーに手紙を書いた時より2年が経過していたそうです。


初演は1828年3月26日にウィーン学友協会所有の「赤いはりねずみ館」にて
シューベルト主催の自作発表会で第1楽章のみが演奏されたとのことです。
全曲初演は1850年12月8日にヨーゼフ・ヘルメスベルガー四重奏団の演奏会で
行われたそうです。

出版は1851年11月にウィーン、ディアベッリ社。
全曲初演や出版までにかなりの年月がかかったことについて
寺西基之氏によると
 「この作品の独創的な作風が当時の常識を超えていた」
とのことです。


初めて聴くシューベルトの弦楽四重奏曲第15番。
聴き始めた時には手強い作品との印象を抱いてしまいました。
ブログを書いていなかった頃にこの曲を聴いていたら
途中で鑑賞を投げ出していたかも。

また、いつもの寄り道に。
以前はディスクの解説書を読むことなく曲に漠然と耳を傾けていました。
ブログを書くようになってからは解説を読みましたり
多々湧きあがってくる好奇心からいろいろと調べたりしては
拙ブログにいつもグダグダと長ったらしく綴りましたり。
作品の成立過程や作曲家の当時を少しでも知ることができると
作品が身近なものとして感じられるようになってきたように思います。
この作品に限らずそのような過程を通して曲に接するようになったのも
ブログのお陰であると思っています。

この曲も以上のような過程を経て 無事 というのも可笑しい言い方ですが
最後まで聴くことができました。

また、お寄せいただくコメントが作品の鑑賞の契機となることが多々あります。
コメントがなければ出合えなかった作品にも出合うことができるようになり
コメントにも感謝をしております。


さて、この作品。
初めに聴いた時には強い緊張を強いられるような曲として耳に届きました。
感性が鈍感なのでしょうか、一度聴いて即、曲を把握できず
繰り返し聴くうちに次第に緊張感も緩和されて
或る種の親しみも感じてきました。

第1楽章の曲の最初から緊張感です。
そのうち第2主題の美しく親しみを感じさせる旋律にはホッと和みの気分。
全体に力強さを感じさせられます。
トレモロが多用されているとのことで聴いていても
その都度、緊張感や緊迫感を煽られるようです。
トレモロはこの作品ではスパイスのようにも・・・。

第2楽章の初めのチェロの調べは物静かで悲哀を感じさせる調べ。
聴いたことがあるような旋律です。
この楽章を聴きつつ妄想(?)の世界に入り込んでしまいました。
侘し気に、うつむき加減で散策をしている情景を想像。
不安感を掻き立てるようなチェロのトレモロの出現に
ハッとして散策をする足が止まるような。
緩徐楽章でありながら激しさも感じさせられます。
激しさ、と言ってもウィーン・コンツェルトハウス四重奏団の演奏は
あくまでも優しく受け止められる激しさのようなものでしょうか。

力強く始まる第3楽章も早々に穏やかな調べに。
優しい唄を聴かせてくれるヴァイオリンの調べに心が解されるようです。
ですが、この曲を聴いていると次にどのような旋律が現れるのかと
ハラハラドキドキ感を抱いてしまいますが。
穏和から一転して忙しげに対話をしているような各楽器群。
忙しのまま終結を迎えるこの楽章。

軽快に始まる第4楽章。
軽やかなリズムで優雅さも感じます。
ナポリの舞曲のタランテラ風とのことで
この曲の中では最も明快な印象を受けます。
第1楽章から3楽章までのような緊張感を抱くことなく
聴いていて楽しさを感じることができる楽章です。


第15番とのカプリング曲の12番も気に入りましたので追記を。
1820年12月に作られた未完の第12番「四重奏断章」。
よく耳にする曲のような・・・気がします。
昔々、この曲は聴いたことがあるのですが特に印象に残るものもなく
すっかり忘れていた作品です。

第11番の作曲後はしばらく弦楽四重奏曲を作曲することがなかったとのこと。
4年後に作曲された第12番。
平野昭氏の記述によると第12番では
 「古典的な作品の影響は見られず、前作までの自作とさえも隔絶している」
とのことです。
空白の4年間はシューベルトの弦楽四重奏曲に大きな成長を与えたそうです。

この第12番もまたシューベルトに抱いていたイメージを変えるものでした。
後期の3曲同様にスケールの大きさを感じますが
親しみも感じられ好みの曲になりました。

シューベルトの後期の弦楽四重奏曲の第13番、第14番そして今回第15番を聴き
シューベルトの作品に抱いていた概念が大きく変わったように思います。
これがシューベルトの曲?・・・革新性、斬新的なものを感じ
耳を疑う個所もありました。
シューベルトが、もし31歳で生涯を閉じることがなかったのなら・・・。
後期3曲の弦楽四重奏曲を通して馴染み深いシューベルトとは
別人のシューベルトに出会ったような気分です。


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Comment

Re: シューベルトがもっと長生きだったら・・・

burleskeさま、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

確かにシューベルトの後期弦楽四重奏曲は取っ付きにくかったです。
でも、途中で投げ出さずに最後まで聴いて本当に良かったと思いました。
シューベルトの凄さに初めて気が付いたのですから。

この弦楽四重奏曲の交響曲版があったら・・・などと、想像しつつ
耳を傾けたりもしていました。
素晴らしい交響曲作品になるような気がして、そのような演奏がありましたら是非聴きたくなりました。

ベートーヴェンの交響曲第1番は30歳の時の作品だったのですね。
30歳前にシューベルトはすでに8曲の交響曲を書き上げていたのですよね。
シューベルトよりもほぼ26年長生きをしたベートーヴェン・・・。
そうですよね、シューベルトがもっと長生きをしていたら・・・。
本当にどのような作品が誕生していたのでしょうね、興味津々ですが。
『楽聖』が2人になっていたかも、などとは飛躍しすぎでしょうか。
後期のシューベルトの弦楽四重奏曲を聴いて、そのように思ってしまいました。

シューベルトのピアノ・ソナタ第19、20、21番を聴いてみますね。
シューベルトのピアノ・ソナタは今年になってやっとディスクを求めました。
ワルター・クリーンの演奏で聴きたく、3分売になっていましたので
第1集と第2集を求め第3集は後日に、とのんびりしていましたら第3集が入手困難みたいなのです。
ピアノソナタ第21番が第3集に入っているので・・・残念ですが、他のピアニストで聴いてみることにしますね。
いつもコメントや記事を拝読させていただきまして、いろいろな作品に出合うキッカケになっています。
ありがとうございます!
  • posted by lumino
  • URL
  • 2013.09/22 20:01分
  • [Edit]

シューベルトがもっと長生きだったら・・・

シューベルトの後期の三曲の弦楽四重奏曲と弦楽五重奏曲はちょっと取っ付きにくいかも知れませんが、聴き応えがありますよね。
第19,20,21番の最後のピアノ・ソナタ三曲も深い内容の作品です。
シューベルトが亡くなったのは31歳ですが、ベートーヴェンが交響曲第1番を完成したのは30歳なんですよね。
シューベルトがベートーヴェンくらい長生きしていたら、どんな作品を書いたんでしょうね?
聴きたいような、聴くのが怖いような・・・
  • posted by burleske
  • URL
  • 2013.09/21 20:13分
  • [Edit]

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特に音楽知識のないクラシック・ビギナーに等しいのですが、「ただ、ひたすらに」をモットーに鑑賞をしています。
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