♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.233 シューベルト:歌劇「アルフォンソとエストレッラ」(2) by スイトナー&シュターツカペレ・ベルリン;プライ、マティス、ディ-スカウ、シュライアー

前回に引き続きシューベルトのオペラ「アルフォンソとエストレッラ」です。


         シューベルト歌劇アルフォンソとエストレッラ」全曲

                『アルフォンソとエストレッラ』全曲 スイトナー&シュターツカペレ・ベルリン

                  Alfonso und Estrella D.732
 
                マウレガート:ヘルマン・プライ(Br)
                エストレッラ:エディト・マティス(S)
                レオン王の軍司令官:テオ・アダム(B.Br)
                フロイラ:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)
                アルフォンソ:ペーター・シュライアー(T)
                乙女:マグダレーナ・ファレヴィッチ(S)
                若者:エーベルハルト・ビュヒナー(T) 他
               
                  オトマール・スイトナー(指揮)
                  シュターツカペレ・ベルリン
                  ベルリン放送合唱団
 
             (録音:1978年1月、2月 旧東ドイツ、キリスト教会)


シューベルトのオペラは完成されたものが9曲
他に未完成の作品や紛失したものが9曲あるそうです。
最初のオペラ作品はシューベルト14歳の「鏡の騎士」D.11 とのことですが
残されているのは断片だけだそうです。
以後もシューベルトは死の前年までオペラの創作は
機会ある毎に続けていたとのことです。

アルフォンソとエストレッラ」のオペラの舞台については
ショーバーのリブレットは紛失し、シューベルトも細かい指示をスコアに記入を
しなかったために場面設定など不明な点が多いとのことです。
内容から中世のレオン・アストゥリアス王国と考えられるそうです。
アストゥリアスはスペイン北西部のビスケー湾に面した平野の少ない
山岳地帯とのことです。

アストゥリアスには紀元前10-5世紀の間にケルト人が入植し
ローマ帝国の支配にも屈することなく独自の文化を築いていたそうで
416年から西ゴートの支配下、711年からはイスラムの支配下に入ったとのこと。
前回の記述と重複しますが
アルフォンソとエストレッラ」の台本を書いたショーバーは
レオン・アストゥリアス王国樹立の歴史的背景を基に
正義と愛の勝利のドラマを描こうしたのだそうです。

シューベルトは「アルフォンソとエストレッラ」の作曲中に
友人への手紙にシューベルト自身とショーバーは
「この歌劇に大きな期待を賭けている」と綴っているそうです。

ショーバーとシューベルトはこのオペラに
当時ウィーンで大きな人気があったイタリア・オペラの多くの要素を
取り入れているそうです。

「アルフォンソとエストレッラ」が完成はしたものの上演に至るまでには
紆余曲折があったようです。
シューベルトはこのオペラの創作に力を注ぎ期待をしていたにも関わらず
シューベルトの存命中に上演されることがなかったとのことです。

作品の完成後にシューベルトは友人で当時の有名なオペラ歌手フォーグル他
数人に上演を働きかけたそうですが実現はしなかったようです。

次にシューベルトはこの歌劇をドレスデンで上演するために
ウェーバーにスコアを送ったそうです。
ウェーバーからは上演への好意的な返事があったとのことです。
「オイリアンテ」を指揮するためにウィーンを訪れたウェーバーから
この歌劇の感想を聞かれた時にシューベルトは次のように答えたとのこと。
 
 「いくつか気に入った部分がありました。
  しかし、私には旋律的な個所が少ないように思われます。
  私は『魔弾の射手』の方がはるかに好きです」

シューベルトのこの答にウェーバーは気分を害してしまったとか。
以後「アルフォンソとエストレッラ」の話は経ち消えになってしまったそうです。
上演が実現したのが1854年。
シューベルトの死後  になって
リストが指揮して上演するまで陽の目を見ることがなかったそうです。




          シューベルト:アルフォンソとエストレッラ
            1854年 リスト指揮ワイマール宮廷劇場の広告


リストが「アルフォンソとエストレッラ」の美点と欠点についての記述の引用を。
1854年9月日付「新音楽雑誌」に掲載されたそうです。

「この歌劇の一連の歌曲は軽やかで美しく、幅広い旋律をもっている。
 これらすべにシューベルトの抒情性を読み取ることができる。
 また、彼が愛用した音程、終止法、フレーズの処理方法が多様されている。
 然し、至るところに情景描写や劇把握の点で欠点が目に付く。
 これらの欠点を補うために、交響楽の利点が生かされることはなく、
 音楽が効果的に使われる個所は何処にも見いだせない。
 管弦楽法は極めて控え目な役割を演じるだけで、
 実際はピアノ伴奏のオーケストラ用編曲にすぎない。(略)
 劇場はシューベルトの視野にはあまりに広すぎ
 突如として湧き上がる彼の霊感にとっては舞台が要求する織物は
 あまりに複雑すぎた」

さて「アルフォンソとエストレッラ」は全3幕で演奏時間は約3時間ですが
時間の長さを感じさせません。
特にドラマティックな展開ではないのですが
オペラの随所に散りばめられている美しさの虜になってしまいました。
シューベルトのオペラ(ジングシュピール)を聴いてきた中では
力強さやスケールの大きさが感じられます。
シューベルトのオペラはどの作品も聴き終えた後に爽やかさが心に残ります。
この作品も同様に爽やかさが心に中に余韻として残りました。
全幕を聴き通すことをせずに部分的に聴いても
物語や音楽が途切れることなく心の中で繋がり耳に届くようです。

            
             233
              自筆ピアノ譜:アドルフォのアリア

印象的なアリア、重唱が多くあります。
全幕でフロイラのアリアが一番多いのでしょうか。
シューベルトはフロイラ役では当時有名だった友人のオペラ歌手のォーグルのために
書いたとのことです。

特に印象的だったアリア、重唱になります。

第1幕では、やはりフロイラのアリアです。
敵対するマウレガート王に追われて隠遁している元レオン王のフロイラが
現在の境遇への感謝と息子アルフォンソのことを歌うアリアです。
荘重なオーケストラの響きで始まり力強く盛り上がり・・・。
穏やかにじっくりと歌い上げるディースカウの歌唱に惹き込まれます。
オペラ・アリアというよりバラードのようです。
私の耳には歌曲のように響いてきます。
約8分の長いアリアですが時間を忘れさせる魅力的なアリアに思われます。

同じく第1幕、アルフォンソのアリア「すでに夜が明け始めた」
フロイラは人々が渓谷から出ることを禁ずる掟を定めているが
その掟に不満なアルフォンソがその気持ちを歌うアリア。
抒情的に始まるオーケストラの伴奏で歌うアルフォンソ役のシュライアー
清明でのびのびとした美しい声、時には囁きかけるような歌唱。
シュライアーがお気に入りの私にとっては聴き惚れてしまうアリアです。
とても美しいアリアのように感じます。
外界に対するアルフォンソの憧れが歌に満ちているようです。
お気に入りのアリアになりました。

続くエストレッラのアリア「黄金の広間は虚飾に満ちている」そして女性合唱。
エストレッラ役のマティスの楚々とした歌声と女声合唱の美しさ。
軽やかな旋律に乗りマティスの清々しい歌声と女声合唱に魅了されます。

第1幕ばかりが続きますが。
アドルフォのアリア「戦いの混乱の中で」。
戦いの混乱と恐怖の中で見たエストレッラの姿を歌うアリア。
初めて聴いた時には印象に残ることなく聴き過ごしてしまいました。
改めて聴くと聴き過ごしたことが訝られてしまうような魅力があります。
このオペラの中では特異なアリアでしょうか。
最も活気があり勇壮かつ軽快なアリアのように感じます。
アドルフォ役のテオ・アダムで歌われるこのアリア。
何かコミカルな趣も漂っているような気がするのですが。
親しみが感じられるアリアとして心に刻まれました。

やっと、第2幕に。
フロイラのアリア:「狩人がのんびりと休んでいた」
フロイラは息子アルフォンソに山中の乙女とそれを虚しく追う若者の話を
歌って聴かせるアリア。
このアリア中「彼は彼女の呼ぶ声を追いかけ~」の部分に
5年前に作曲された歌曲集「冬の旅」の第19番「幻」とまったく同じ旋律と伴奏が
用いられているそうです。
オーケストラとハープの伴奏が印象的に始まるアリア。
じっくり聴かせてくれるディースカウの歌唱です。
舞踏風な軽やかなリズムも現れたり。
折に触れて現れるハープの音色が印象的なアリアです。

第3幕では重唱が印象的でした。
最も印象に残るのは第3幕第2場でのフロイラとマウレガートの二重唱です。
謀反の兵から逃れ意気消沈しているマウレガート。
そこに現れたフロイラを亡霊と見誤り恐怖に捕らわれたマウレガートは
かつて強奪した冠をフロイラに返そうして差し出すと
フロイラは優しく「あなたを許すために来たのだ」と言って歌われる二重唱です。
穏やかに奏されるオーケストラの調べに乗り
ディースカウプライも穏やかに歌い語っているようです。
二人の二重唱には心を動かされるものがあります。
優しく柔和なディースカウの歌声。
互いに許し合い喜びあう部分からは明るさの漂う二重唱に。
感動的なニ重唱です。

続いてのフロイラ、マウレガート、エストレッラの三重唱「お父様、ご無事で!」
フロイラの歌声で始まり力強く応答するマウレガート。
加わるエストレッラの三者が互いの幸福を軽やかに喜び歌い
オーケストラも喜びの旋律を明るく響かせ
聴いていて楽しくなります。
素晴らしい三重唱として心に響いてきます。

最後は全員、そして合唱で迎える終幕。
凱旋したアルフォンソを称える兵士と狩人の力強い合唱とオーケストラ。
全員がフロイラを王と認め
エストレッラとの結婚を許され王の冠を受けるアルフォンソ。
独唱と合唱のもたらす感動。
素晴らしいオペラ、との印象を強く抱く終幕です。
音だけでもまるで映像を見ているかのように場面が想起されます。
歌手陣の一人一人の存在が大きく伝わります。
喜びを奏でるオーケストラ、歌手陣、合唱のうちに幕。

シューベルトのオペラでは最も感動を与えられた「アルフォンソとエストレッラ」。
期待をして聴いたオペラですが期待の何倍も素晴らしく感じました。
充実した歌手陣も素晴らしさに貢献しているかと思います。
聴き終えても感動収まらず、の心境でした。


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