♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.241 J.S.バッハ「音楽の捧げもの」 by ミュンヒンガー&シュトゥットガルト室内管弦楽団

昔々、耳にした時には退屈な音楽としてしか伝わってこなかったJ.S.バッハ
音楽の捧げもの」。
特にディスクを求めることなく過ぎ去った云十年。
バッハに目覚めてから初めて「音楽の捧げもの」を求めてみました。
演奏はミュンヒンガー&シュトゥットガルト室内管弦楽団です。
現在、聴いてみると飽きることなく耳を傾け、惹かれる作品に。

                 J.S.バッハ:「音楽の捧げもの

                241バッハ;「音楽の捧げもの」ミュンヒンガー

                        (収録曲)

                   フーガの技法 BWV1080
                   音楽の捧げ物 BWV1079

                   カール・ミュンヒンガー指揮
                   シュトゥットガルト室内管弦楽団

                     (録音:1976年)



バッハの次男のカール・フィリップ・エマヌエルが1738年から約30年間
仕えた第3代プロイセン王のフリードリッヒ2世が1747年に
バッハをサンスーシー宮殿に招待したそうです。
その際に誕生したのが「音楽の捧げもの」。

         241バッハ「音楽のささげもの」Flötenkonzert Friedrichs II. in Sanssouci (Gemälde von Adolph Menzel, 1850–52
         (フリードリヒ2世、サンスーシー宮殿でのフルート・コンサート
                アドルフ・メンツェルの絵画)

この年、1747年5月7日に、音楽愛好家のフリードリヒ2世王はいつものように
自らフルートを取り楽師たちに伴奏をさせて協奏曲を楽しんでいたそうです。
そこに老バッハがポツダムに到着したと報告を受けたとのこと。
宮殿に迎え入れられたバッハは旅装のまま
フリードリヒ2世が与えたテーマによってリチェルカーレを即興で作曲演奏して
王を驚かせたとのことです。
翌日、5月8日の夕にもバッハは宮殿に行き6声のフーガを即興演奏して
再び王を驚かせ、やがてライプツィヒに帰ったそうです。

帰着後直ちに、王によって5月7日の夕に与えられたテーマを展開した
3声のりチェルカーレを同じテーマによるカノン5曲、カノン風フーガ1曲を
書き上げたそうです。

5月8日の夕にバッハが即興演をした6声のフーガは
フリードリヒ2世が与えたテーマに依らず自分の選んだテーマを用いたとのこと。
バッハはフリードリヒ2世が与えたテーマを6声のフーガにしたいと望み
幾つかのカノンや、フリードリヒ2世が愛するフルートとヴァイオリンに
クラヴィーア伴奏を付したトリオ・ソナタも加えたとのことです。
音楽の捧げもの」として、これらの曲を献詞を添えて
王に捧げられたそうです。


「音楽の捧げもの」の各曲についてのメモになります。

第1曲:三声のりチェルカーレ
     1747年5月7日の夕、バッハが王によって与えられたテーマの即興演奏を
     記譜したもの。
第2曲:王のテーマの無限カノン
第3曲:無限カノン
     5曲のカノンが収められている
第4曲:カノン風フーガ
第5曲:6声のりリチェルカーレ
     フリードリヒ2世が与えたテーマが前後を通じて11回現れる
第6曲:2声のカノン
    「尋ねよ、さらば見出さん」との聖書の句が注記されている
第7曲:4声のカノン
第8曲:トリオ・ソナタ
     フリードリヒ2世が愛するフルートとヴァイオリンとチェンバロのための
     トリオ・ソナタ
    第1楽章:ラルゴ
    第2楽章:アレグロ
    第3楽章:アンダンテ
    第4楽章:アレグロ
    (バッハ指定の楽器編成フラウト・トラヴェルソ、ヴァイオリン、チェンバロ)
第9曲:無限カノン
     フリードリヒ2世のテーマは変形されている
上記9曲の内、バッハが楽器編成をしたのは第8と第9曲とのことです。


        Konzertzimmers des Schloss Sans-Souci in Potsdam
         (ポツダムにあるサンスーシー宮殿のコンサート・ルーム)


アンナ・マグダレーナ・バッハ著「バッハの思い出」(山下肇訳)に
サンスーシー宮殿に於けるバッハとフリードリヒ2世の記述がありました。
少し(かなり)長くなりますがメモとして引用をさせていただきます。

「この頃、ゼバスティアンの名声は頂点に達しておりました。(略)
 エマヌエルはベルリンのプロイセン王にお仕えしていましたので、ご自身深く音楽に傾倒しておられた王は、お抱えのピアニストたるエマヌエルに、名声嘖々たるその父ライプツィヒの楽長に逢ってその演奏を聴きたい、というご希望を洩らされました。
エマヌエルは、この尊いご希望を父親に伝えましたので、父はこの王さまが自分をお認めくださったことをありがたくお受けしましたけれども、ベルリンまでわざわざ旅行して面倒臭い公式の礼儀作法に煩わされることが、どうも気が進まないでおりました。
そのうちに王様は、ますますたってのご所望で矢の催促をなさいますものですから、どうしても出かけなければならないことは明らかとなりました。
そこで、彼はある日、とうとう出発いたしまして、途中ハレを横切ってフリーデマンに遭い、日曜の夕方ポツダムに着いてエマヌエルの住居に入りました。
そこに着いて、直ちに王様の御前に伺侯するようご命令がありまして、彼は旅の衣を黒の楽長服に着替える暇さえありませんでした。
平生から大変気短な気質であられた王様は、もう待ちくたびれた末のことでしたので、半刻のご猶予もならない有様でした。(略)
 お城ではいつもの音楽会が始まろうとするところで、王様はすでにフルートをお手に取り、オーケストラは王様の合図を待っておりましたが、その折りも折り、陛下に参内者名簿が奉呈されたのでございます。
陛下はこれに目をお通しになり、少し興奮なさった声で『諸君、老バッハがやって来たよ!』とおしゃいまして、早速人を彼のところへお差し遣いになりました。
旅のために疲れて、かなり興奮していましたゼバスティアンは、このような訳で、ほとんど旅行馬車からそのまま煌びやかな控えの間へ、そして綺羅星のような夜会へと通り、王の御前に伺候しました。
後で彼はその宮殿全体がどんなに豊麗な金色燦爛たるものだったかをわたくしに話してくれました。(略) 
 ゼバスティアンは疎略な服装でまかり出たことのお許しを願いました―――宮廷の男女たちがもう幾人か笑いを抑えることができない様子を見せていたのでございます。
けれども王様は、エマヌエルから聞きましたところでは、直ちに青い眼をきらりと光らせて、この人たちをご制止になり、人一倍丁重にゼバスティアンを遇されたとのことです。
王様はご自身が音楽家でいらっしゃいました。
ですから、ゼバスティアンの偉さもよく分かっておいでで、かれの上衣がひどく流行遅れなことなどは、目もくれないでいてくださったのです。
 その夜の王様のフルート協奏曲はもうやめにして、王様はただの聴き手の役に廻られました。
王様はお城の中の部屋という部屋を案内してまわられ、ジルバーマンの作ったピアノフォルテをゼバスティアンに見せてくださって、これらの楽器を演奏して王と宮廷を喜ばせてくれるようにと、ご所望になりました。
そこで、ゼバスティアンは腰をおろして演奏を致しましたので、まるで二人の王様がお城にいるかのような観であったとのことでございます。
 ゼバスティアンはジルバーマンのピアノフォルテをすっかりみな試奏してしまいますと、即興で王様になにか演奏してお聞かせしたいと存じますから、フーガのテーマを一つお与えください、とお願い申し上げました。
陛下がテーマをくださると、ゼバスティアンはそれを即席にまとめ上げ、真似のできぬほどいきいきとした厳密な方法で弾いてのけ、すっかり王様の舌を巻かせたのでございました。(略)
 翌日、夜に再び彼はポツダムに召し出され、王様は一つの主題をどれほどまで多声に取り扱うことができるものか見たいからと言って、6声のフーガをご所望になりました。
ゼバスティアンも今度はなんでもそうした完全な仕上げに適するという訳にはいかないので、自分から主題を選んで、お耳に入れました。
このフーガに、王様はすっかり心を奪われて、たいへんな関心のされかたで幾度も夢中になられては、『さすがにバッハだ!さすがにバッハだ!』と連発なさったそうでございます。(略)
 帰って参りますと、王様から賜った熱狂的な讃辞のことを彼が話してくれましとき、どんなにわたくしは誇らし思ったことでございましょう。
早速、彼は王様から与えられたフーガの主題を、3声と6声のフーガに作りかえる仕事に取り掛かり彫琢推敲を重ねておりましたが、いずれもみな多かれ少なかれ王様の主題に手を加えたものでした。
この作品を彼は 『音楽の捧げもの』 と名付けて、それをちょっとした気の効いた思い付きで飾るのに、多大の時間と楽しみをかけました。
そこで彼は第4のカノンに次のような言葉を書いております。これは彼の申しますには「本楽譜が勝ちをいや増すごとく、王の幸福もまた弥栄ませんことを」という意味だそうでございます。
第5のカノンには「変調のいや高まるごとく、王の名声もまたいよいよ隆昌ならんことを」と書いております。
この作品を彼は銅板に刻ませ、献詞を添えてフリードリヒ王様に奉納致しました。
 この献上音楽の第1部―――それはいちどきに完成されたわけではありませんでしたので―――は、プロイセン王様への献上書として大変見事に厚紙に翻刻され、革の装丁で金ぴかな飾りの豊富についた立派なものでござました。
この王様からいただいた主題を作曲し、さらに発展させるという仕事は終始ゼバスティアンにとって非常な喜びでありました。
特に立派なフルート奏者であらせられる王様に対するひとしおの尊敬の印として、カノン様式のフーガはフルートとヴァイオリンとクラヴィーアのために作られております。
最初のフーガ2曲はクラヴィーアだけのために、他の曲の若干は弦楽器のために書かれてありました。
この献上音楽はたいへん味のある美しい作品で、ゼバスティアンのような音楽家が、これまた立派な音楽家でもある王様に差し上げるに相応しいものでございました。
この作品に続くものとして、恐らくこれによって刺激されたためでございましょうか。
ゼバスティアンはフーガの特別な大家として、その音楽生活の輝かしい王冠でもある、比類のない『フーガの技法』を書きました。
それはもう、わたくしごときのとやかくあげつらい説明などすることの許されない、深い学問的業績でございます。」

長い引用になってしまいました。


ミュンヒンガ―&シュトゥットガルト室内管弦楽団が演奏する「音楽の捧げもの」は
とても気に入りました。
殊に印象に残るのは第1曲、第8曲のトリオソナタ、そして第9曲。
第1楽章のラルゴでの穏やかで落ち着いた調べ。
フルートとヴァイオリンの対話がとても印象的です。
親しみを感じる旋律で印象深いものがあります。
フルートもヴァイオリンも華麗な音色ではなくチェンバロは微かに。
第2楽章の軽やかに歌い紡ぐフルートとヴァイオリン。
ここではチェンバロの存在も大きく感じられ楽器が歌う三重唱に
耳を離すことができなくなってしまうようです。
第3楽章でゆったりと歌い出すフルートとヴァイオリン。
第4楽章のフルートとヴァイオリンの軽やかさ。
じっくりと耳を傾けたくなるトリオ・ソナタです。
最後の第9曲も印象に残るものです。

ゆったりとした荘重な旋律。
カノンの面白さ、楽しさを心ゆくまで堪能させてくれるようです。
演奏にも悠然とした風格が漂っているようです。

時間がゆったりと流れてゆくような・・・このようなバッハの調べには魅了されます。



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Comment

Re: 音楽の捧げ物、久しぶりに聴きました

burleskeさま、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

「音楽の捧げもの」も、本当に落ち着きますよね。
burleskeさまがお持ちのリヒター盤も聴いてみたくなりました。
ミュンヒンガーと似た傾向の演奏かも知れませんね。
オリジナル楽器で聴くのも確かに興味のあるところですね。

「フーガの技法」の方はディスクを求めていながら途中で他の音楽に・・・「音楽の捧げもの」に続いて次は「フーガの技法」になるかも、です。
改めて聴き直してみて「フーガの技法」も楽しく耳を傾けることができるようになった気がしています。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2014.05/12 19:45分
  • [Edit]

音楽の捧げ物、久しぶりに聴きました

《音楽の捧げ物》は久しぶりに聴きましたが、なんか落ち着きますねぇ。
僕が持っているのはリヒター盤とクイケン盤ですが、ミュンヒンガーも良さそうですね。
《フーガの技法》は新しい録音にも面白いものがあってそれなりに聴くのですが、《音楽の捧げ物》の方は最近あまり耳にしないように思います。
リヒターの落ち着いた風格のある演奏も良いですが、オリジナル楽器の生きの良い演奏も聴いてみたいですね。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2014.05/11 21:11分
  • [Edit]

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