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2014.04/05(Sat)

Op.236 ブラームス:「セレナード第第1番」 by マズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

ゆっくり、のんびり、歩みつつ・・・と、始めたブログ。
すっかり、ゆっくり、のんびり、し過ぎてブログの更新が滞ってしまいました。
のんびりしている間に3月が過ぎ去り早くも4月。
新たな旅立ち、希望に胸を膨らませる門出の4月。
人生の新しい門出に相応しい音楽・・・何があるのでしょうか?
私にとってはブラームスセレナード、第1番と2番かも知れません。
マズア指揮、お気に入りのゲヴァントハウス管弦楽団の演奏です。
第1番、第2番ともにお気に入りですが今日はセレナード第1番を中心に。


                ブラームスセレナード第1番
                         by
                マズアゲヴァントハウス管弦楽団


                237:ブラームス:セレナード第1番、第2番 マズア&ゲヴァントハウス管弦楽団

                        (収録曲)
              
              ブラームスセレナード第1番 ニ長調 作品11
                      セレナード第2番 イ長調 作品16

                クルト・マズア指揮
                ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

                      (録音:1981年9月)    


        第1楽章 アレグロ・モルト ニ長調 2分の2拍子 
        第2楽章 スケルツォ アレグロ・ノン・トロッポ 二短調 4分の3拍子
        第3楽章 アダージョ・ノン・トロッポ 変ロ長調 4分の2拍子
        第4楽章 メヌエット第1(ト長調);第2(ト短調) 4分の3拍子
        第5楽章 スケルツォ アレグロ ニ長調4分の3拍子         
        第6楽章 ロンド アレグロ ニ長調 4分の2拍子


ブラームスにとって最初の管弦楽曲の一つになるそうです。
作曲されたのは25、6歳の頃だそうですので1858年、59年でしょうか。

1856年にシューマンが亡くなった後の翌年にクララはベルリンに移り住み
一方、ブラームスは同年の年9月から12月までの3ヶ月間の契約で
デトモルトの宮廷に勤めることになったそうです。
宮廷ではピアノを教え合唱の指揮をするのが任務だったとのことです。
3ヵ月の給料で1年分の生活費を賄うことができ
また、勤務時間以外はハンブルクに戻り創作活動に専念することができたそうです。
翌年、ブラームスはケルンの音楽院の教授に招聘されたそうですが
大都市での束縛された生活よりもトイトブルクの美しい森にある宮廷での生活を選び
3年間宮廷での仕事を続けたとのことです。
2曲のセレナードはこの宮廷に勤めることになった年に書き始められたそうです。


ちょっと寄り道を・・・デトモルト近くのトイトブルクの森

デトモルト、トイトブルクの森
現在のトイトブルクの森の写真を拝借。
ハノーファー、ゲッティンゲンとオスナブリュックの間にある森で
トイトブルクの森の中心都市の一つがデトモルトだそうです。


また、作品に戻り。
元来、この曲は室内楽風の構成だったそうです。
アルトマンによると弦楽器と管楽器のための八重奏曲または九重奏曲だったとのこと。
楽章は3楽章、現在の第1,3,6楽章の構成だったそうです。
翌年、1858年の秋に2つのスケルツォとメヌエットを加えて6楽章構成になったとのことです。
同年に出来上がった作品が友人のヨアヒムと
同じく友人でドイツの作曲家、指揮者であったオットー・グリムに
元来の編成のまま贈られたそうです。

                ブラームス「セレナード」オットー・グリム
                     Julius Otto Grimm
                      (1827年-1903年)


楽器編成について、1859年頃には小管弦楽用に直すことを考えていたそうです。
ブラームスがデトモルトの職務を辞して1860年にハンブルクに行った当時に
現在の管弦楽用のものに直したとのこと。

初演は1858年夏に初めに書かれた3楽章構成で室内楽編成の曲が
ゲッティンゲンのグリムの家で演奏されたと推測されるようです。
翌年、1月23日にハノーヴァーにおいてヨアヒムが第1楽章を演奏したとのこと。
全曲の初演は1859年3月28日に
ハンブルク、ヴェルマー・ホーフでの特別音楽会において
元来の室内楽編成で行われたそうです。
管弦楽用の初演としては、1860年3月3日に国王の要求により
ハノーヴァーに於いてヨアヒムの指揮で王室劇場に於いて行われたとのことです。



第1楽章はこの曲の全6楽章の中で最も長大な楽章だそうです。
曲の開始から惹かれる楽章です。
楽章の始まりはチェロとヴィオラの数小節の短い旋律。
すぐにホルンが現れ田園を彷彿とさせる長閑な調べに魅了されます。
第1主題ではシンフォニックで勇壮な趣も感じられるようです。
楽しさも融合された第1主題。
転じて第2主題の穏やかさ。
そして悠として流れるような美しさ。
曲が進行し歓喜に満ちた活き活きとした旋律。
再現部ではフルートの愛らしく軽快な調べ。
聴いていてとても楽しい楽章です。
心にも活気が吹き込まれるようです。
祝祭的で晴れがましい趣も随所に感じられるようです。
新しい門出を祝福するかのようです。
聴いていて幸福感を与えてくれる楽章でしょうか。

少し重々しい響きを漂わせる弦とバス―ンが奏でる主題で始まる第2楽章。
バス―ンにクラリネットが加わり旋律は甘美に。
ヴァイオリンは流麗な歌を奏で
楽器たちが、まるでウィンナ・ワルツを踊っているかのような印象を受けます。
楽し気で美しい楽章。

第3楽章の始まりは弦楽器とバス―ンの柔和な調べ。
オーケストラの弦の重厚な響きに魅せられます。
ゆったりと穏やかに奏でられる旋律。
ホルンで始まる第2主題では瞑想的な趣が漂っているようです。
耳を傾けているうちに交響曲でも聴いているような錯覚も。
再現部での美しい調べを経て静かに閉じられるこの楽章。

第4楽章は2つのメヌエットを連続したものだそうです。
第2のメヌエットの次に第1のメヌエットを再び演奏することになっているとのことです。
第1のメヌエットのユーモラスな趣のあるバス―ンと
愛らしさを感じさせるクラリネットの明るい語り合いに楽しさを感じます。
第2のメヌエットでは趣が変わり落ち着いた印象に。
ですが落ち着きの中にも愛嬌を感じさせられるようです。
愛らしさとユーモラスさに心が解されるような楽章でしょうか。

第5楽章の始まりはホルンとチェロの旋律で。
この旋律について門馬直美氏は次のように記述をされています。

 「この部分を聴いてベートーヴェンの交響曲第2番のスケルツォを
  思い出さない人はいないだろう」

とのことなのですが・・・嗚呼、思い出すことができない、のです。
後でベートーヴェンの交響曲第2番を聴いてみなければ・・・。
さて、曲はティンパ二の出現で旋律から壮大な印象を受けます。
壮大さと活気があり元気溌剌でしょうか。
続くトリオでは忙しげなヴィオラとチェロの伴奏でのホルンの調べが印象に残ります。
明るく楽しい楽章。

活気のある主題で始まる第6楽章。
木管楽器が奏でるユーモラスな旋律。
各楽器が奏でる活気に満ちた明るく楽しい旋律。
勇壮さ、楽しさ、活気が融合したような楽章でしょうか。
明るく活き活きと閉じられるこの楽章、この曲。


聴き終えた後に気分が晴々するようです。
明るく楽しい曲。
聴いていて幸せを感じさせてくれる曲。

6つの楽章に耳を傾けつつ
人生を重ね合わせてしまいました。
この曲のように明るく、楽しい人生。
微塵の陰りもない人生。
順風満帆、前途前途洋々・・・この言葉しかない人生。
それは夢のまた夢。
音楽、この曲では「夢」ではなく「現実」であり「真実」。
音楽・・・やはり、素晴らしいなぁ・・・と今更ながらに
この曲を聴き感慨深い想いを抱いてしまいました。

マズアゲヴァントハウス管弦楽団の演奏でしか
この曲を聴いたことがないのですが
オーケストラの音色の豊かさ、響き
どっしりと腰を据えたような重量感のある演奏。
とは言え、明朗な快活さも伝わる演奏で気に入っています。

ブラームスが元来の3楽章構成で室内楽風に書き上げた演奏のディスクがあれば
聴いてみたいものです。


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タグ : ブラームスセレナードマズアゲヴァントハウス管弦楽団

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Comment

●Re: ブラームスのセレナードも良いですね

burleskeさま、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

ブラームスのセレナードは2曲とも気に入っているのですが、やはり1番の方が親しみを感じられ良いですね。
アバド&べルリン・フィルの演奏は名演とのことで・・・。
予定では今週中に聴くことができそうです。
ディスク(ブラームス・エディションの中の一枚です)の到着が待ち遠しくなってきました。
届きましたら早速、聴いてみますね。

第5楽章でのベートーヴェンの交響曲第2番・・・スケルツォを改めて聴いても・・・分からなかった、のですよ。ガックリ。

九重奏の演奏をお聴きになられていらっしゃったのですね。
ショップ・サイトでディスクを探してみました。
burleskeさまがお持ちのサロン・アンサンブル・ベルリン盤は見つからず
テオフィル・アンサンブル・ウィーン演奏の九重奏版がありましたが
廃盤等にて入手不可になっていました。
ディスクが少ないというより、ほとんど無い現状のようですね。
再発売をしてくれることを願うばかりです。
lumino | 2014.04.06(日) 19:48 | URL | コメント編集

●ブラームスのセレナードも良いですね

ブラームスのセレナードは、個人的には第2番より第1番の方が馴染みがあります。
ケルテス&ロンドン響盤とボールト&ロンドン・フィル盤がお気に入りです。
アバド&ベルリン・フィルも名演らしいのですが、こちらは聴いたことがありません。

第5楽章でベートーヴェンの第2番のスケルツォを思い出すというのは、言われてみれば確かにそうかも知れませんが、すぐには思い浮かびませんよねぇ。

オリジナルの九重奏の演奏は、全6楽章版でサロン・アンサンブル・ベルリン盤を持っています。
これも楽しい演奏で、なかなか良いですよ。
burleske | 2014.04.06(日) 12:15 | URL | コメント編集

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