♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.243 シューベルト:「アルペジョーネ・ソナタ」 by シュトルク&コンタルスキー

昔々から大好きな曲、シューベルトの「アルペジョーネソナタ」。
いつもチェロとピアノの演奏ばかりで聴いてきましたが
今回は本来のアルペジョーネの演奏で聴いてみました。
アルペジョーネはクラウス・シュトルク
フォルテ・ピアノがアルフォンソ・コンタルスキーです。

          シューベルトアルペジョーネソナタ イ短調 D.821

                 243:シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ

                         (収録曲)

                 アルペジョーネソナタ イ短調 D.821
                 「しぼめる花」の主題による変奏曲 ホ短調 D.802
 
                  クラウス・シュトルク(アルペジョーネ)
                  アルフォンス・コンタルスキー(フォルテ・ピアノ)        

                   (録音:1974年1月 ベルリン)


              第1楽章アレグロ・モデラートイ短調4分の4拍子
              第2楽章アダージョホ長調4分の3拍子
              第3楽章アレグレットイ長調4分の2拍子


1824年11月、シューベルト27歳の時の作品とのことです。
エステルハージ公爵家の音楽教師をしていたシューベルト
この同じ年、1824年の夏にエステルハージ一家とともに
ハンガリーの公爵の館、ツェレスで2度目の夏を過ごしたそうです。
ディスクの収録曲の「<しぼめる花>の主題と変奏曲」D802 も
この夏の作品とのことです。

当時のシューベルトは精神的、肉体的にも健康を取り戻したそうですが
手紙や日記には苦悩と葛藤が記されているとのことです。
かつての記事と重複しますが、シューベルトの日記からの引用になります。

この作品が書かれた27歳当時の日記に
シューベルトは次のように書いているそうです。

 「3月25日。 
  苦しみは理性を研ぎ澄まし、心を強くする。
  しかし喜びは、理性などに構いはしない。
  また心を女々しくし、つまらないものにしてしまう。」

 「3月27日。 
  他人の苦しみを理解し、他人の喜びを理解する者など誰もいない。
  人は互いに求めあうと信じながら、実はたがいにすれ違っているのだ。
  おお、このことを思い知ったものには悩みがある。
  僕が生み出す作品は、音楽への能力と、僕の苦しみとから生まれてくる。
  それも苦しみから生まれた作品の方は、一向に世の中を喜ばせないようだ」

 「3月29日。
  おお、想像力よ!
  人類最高の魔法の杖、芸術家も学者もそこから汲む尽きざる泉よ!
  おお、願わくば我らと共にあり給え、たとえ御身を認め、
  尊ぶものの数が僅かであっても、そして我らを守り給え、あの肉も血もない、
  醜い骸骨なる、かの啓蒙主義から我らを守り給え!」

当時のシューベルトの様子について
友人の画家であるモーリッツ・フォン・シュヴィントは
2月13日付けでシューベルト仲間の一人、ショーバーに宛てに
ユーモアをこめて書き送っているそうです。

  「シューベルトは目下家にこもっている。2週間の断食を決行中だ。
  ずっと元気になったし、また実に朗らかだ。でも妙にお腹が空くと言っては、
  クァルテットやドイツ舞曲や変奏曲をどんどん作っている・・・」


さて、アルペジョーネについてのメモとして。
1823年にウィーンのヨハン・ゲオルグ・シュタウアー(1778-1853年)が
発明した楽器だそうです。
シュタウアーの弟子アントン・ミッタイスが制作をしたものと言われているそうです。
アルペジョーネはギター・チェロとも呼ばれているとのこと。
当時はギタール・ダムールというフランス名が普通に用いられていたそうです。
アルペジョーネの名前が定着したのはシューベルトがこの楽器を用いて
この曲「アルペジョーネとピアノのためのソナタ」を書いた故とのこと。
シューベルト研究者の間ではこの作品の評判は良くなかったそうですが。

                   
                  243アルペジョーネ

ほとんど使用されることなく、いつしかその楽器名さえ歴史から忘れられて
しまったとのことです。
この楽器のために書かれた曲は
シューベルトのこの作品だけであろうとのこと。

シューベルトがこの作品を書いたのは
シュタウファーか演奏者のヴィンツェンツ・シュスターの依頼によるもの
と言われているとのことです。
シュスターはできたばかりの楽器に熱意をもって取り組んだそうです。
「アルペジョーネ・ソナタ」を演奏した翌年にはアルペジョーネの教則本を
出版したそうです。
今日知られているアルペジョーネの教則本はシュスターが書いたものだけ
とのことです。


ピアノの前奏で始まる第1楽章。
アルペジョーネが奏する第1主題の旋律が脳裏に刻まれます。
対照的な明朗な感じの第2主題よりも印象に残ります。
曲の主想は第2主題だそうですが。

第2楽章は今迄聴いた演奏とは受ける印象がとても違い
言葉を失うほどに魅せられている楽章になりました。
ゆったりと優しく始まるピアノの序奏に続くアルペジョーネの旋律。
哀愁を帯びた物悲しさを静かに歌うアルペジョーネ。
寄り添うピアノも限りない優しさでアルペジョーネを包み込むかのよう。
憂愁の旋律が続くこの楽章を耳にしつつも
想い浮かぶのは楽しい日々の思い出。
明るく、楽しく、光り輝いていた日々。
当時は、それが幸せということも気付かずに過ぎてしまったことを
この楽章に耳を傾けつつ気付かされたように思います。
美しく優しいアルペジョーネの歌の楽章の故にでしょうか。
昔は退屈気味なこの楽章でしたが、今では曲の中では一番惹かれます。

前楽章とは打って変わって軽快さを感じさせる第3楽章。
自然に口をついてハミングをしたくなるようです。
アルペジョーネのピッツィカートはハープの音色のような錯覚を。
憂愁を感じさせるコーダが心に響きつつ迎える曲の終わり。


アルペジョーネで聴く初めての演奏。
チェロとピアノの演奏で聴き馴染んできた耳には
アルペジョーネで聴く演奏は物足りなさのようなものを感じてしまいました。
それも初めのうちだけ。
繰り返し聴く毎にアルペジョーネに魅せられ
長年、聴き馴染んでいた曲が新鮮に感じられてきました。
アルペジョーネは表情豊かで幾つかの楽器が奏しているようにも感じられます。
コンタルスキーが使用しているフォルテ・ピアノは
ウィーンの ヨーゼフ・ブロートマンの1810年頃に制作されたものとのことですが
コンタルスキーは愛らしさ、優しさをとても良く伝えてくれるようです。
しっとりとした味わい深い演奏にすっかり虜になっています。
この曲の一番の愛聴盤になってきました。

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Comment

Re: 《アルペジオーネ・ソナタ》は好きですが

burleskeさま、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

「アルペジョーネ・ソナタ」は、やはりお好きとのことで本当に良い曲ですよね。
チェロ・ピッコロという楽器名は初めて知りました。
どのような楽器なのかと興味津々、本来の好奇心から調べてみましたが
チェロよりも高い音の弦が1本多くて5弦とのことですね。
burleskeさまのお陰で未知だった楽器を知ることができました。
ビルスマ&インマゼール盤ではこの楽器を使っているとのことで
是非、聴いてみたくなりディスクを早速カートに保存しました。
アルペジョーネの音色が好みになりました。
機会がありましたらお聴きくださいね。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2014.05/26 19:35分
  • [Edit]

《アルペジオーネ・ソナタ》は好きですが

《アルペジオーネ・ソナタ》は僕も好きですが、アルペジオーネの演奏は聴いたことがありません。
ビルスマ&インマゼールのチェロ・ピッコロとフォルテピアノの演奏なら持っていて、お気に入りの演奏です。
チェロとピアノの演奏では、ロストロポーヴィチ&ブリテン盤とケラス&タロー盤が気に入っています。
アルペジオーネでの演奏も聴いてみたいですね。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2014.05/25 19:37分
  • [Edit]

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