2014.06/07(Sat)

Op.245 シューベルト:「ヴァイオリンとピアノのための幻想曲」D.934 by メニューイン&ケントナー

当地も梅雨の時候を迎えました。
今年も半分が経過し早いものです。
梅雨とはまったく縁のないような曲が今日の主人公です。

シューベルトの「ヴァイオリンピアノのための幻想曲」。
この曲の存在すら知りませんでした。
メニューインのグレートEMIレコーディングスのブックレットの収録曲を見ていて
こちらの曲に出合いました。
早速、聴いてみました。

初めて耳にする曲の筈なのですが
シューベルトの作品を聴いていて感じる
いつか、どこかで、聴いたことのある懐かしさ、を
この曲からも強く受けました。
即、お気に入りになった作品です。

             メニューイン:グレートEMIレコーディングスより
           シューベルトヴァイオリンピアノのための幻想曲
                                   ハ長調 D.934


                 245メニューイン/グレートEMIレコーディングス

                          (収録曲)

                 ピアノ三重奏曲第1番 D.898
                 ノットゥルノ D.897
                 ヴァイオリンピアノのための幻想曲 ハ長調 D.934                 

                     ユーディ・メニューイン(Vn)
                     ルイ・ケントナー(P)

                 (録音:1958年4月22-23日 
                      ロンドン アビー・ロード・スタジオ)

曲はシューベルトが亡くなった年の1828年(1827年との説も)に完成したそうです。
前年の1827年12月28日にピアノ三重奏曲がウィーンで初演された際に
ヴァイオリンピアノの二重奏曲を書く意図を持ったと言われているとのこと。
それがこの曲になるそうです。
この曲はヴァイオリン・ソナタの第5番目にあたるもので
シューベルトはこの曲に「ソナタ」という名称を用いず「幻想曲」という名を与えたのは
全体が途切れることなく演奏されることや
構成的にも伝統的から離れた自由なものである故とのことです。

この作品はボヘミア生まれのヨーゼフ・スラヴィークのために書かれたそうです。

              245シューベルト:ヨーゼフ・スラヴィーク
                       Josef Slavík
               (1806年3月26日-1833年5月30日)

スラヴィークはショパンやパガニーニも賛辞を送った
巨匠的なヴァイオリニストだったとのこと。
この巨匠的なスラヴィーク 及び ボックレトのために書かれた当作品は
ヴァイオリン、ピアノともに当時としてはかなり巨匠的な書法もあるとのことです。

ボへミヤ的な色彩を好んだシューベルトが
この二人のボへミヤの音楽家のために書いたこの曲には
ボへミヤ的、またスラブ的な色彩が強いとのことです。

初演は1828年2月7日にウィーンに於いて
ボックレトのピアノ、スラヴィークのヴァイオリンで行われたとのことです。
この初演はかなり不評だったそうで拍手もまばらだったとか。

幻想曲としては長大なものになっており
初演当時には途中で帰った批評家や
「常識以上の長大さ」と批評した人もいたそうです。
現在はシューベルトの二重奏曲の傑作に数えられているとのことです。


曲は7つの部分から成り
ブックレットに記された速度記号を以下、メモとして。
①アンダンテ・モルト ハ長調8分の6拍子
②アレグレット イ短調4分の2拍子
③アンダンティーノ 変イ長調4分の3拍子
④アンダンテ・モルト ハ長調4分の4拍子
⑤アレグロ・ヴィヴァーチェ ハ長調2分の2拍子
⑥アレグレット 変イ長調4分の3拍子
⑦プレスト ハ長調2分の2拍子

門馬直美氏によると
曲全体は途切れることがないが
全体は3つの楽章から成ると考えられるとのことです。
変奏曲のアンダンティーノ以下を第2楽章
冒頭の部分の再現以下を第3楽章とするとのことです。

①のアンダンテ・モルトでピアノの低音のトレモロに乗って
静かに奏されるヴァイオリン。
ヴァイオリンの仄暗さと寂寥感が漂う趣も妙に美しく感じられる調べ。
曲の始まりから虜にさせられます。
いつしかピアノが紡ぎ出す愛らしい旋律。
美しい調べを奏し続けるヴァイオリン。
②のアレグレットで急に快活、軽快に。
魅力的に感じられます。
ヴァイオリンの哀愁を帯びつつも軽やかで美しい歌を聴かせてくれる第1主題。
転じて第2主題での軽快な趣。
次の③のアンダンティーノの主題と変奏は夢見るような趣に溢れているようです。
主題の旋律はシューベルトの歌曲で1822年、リュッケルトの詩への
付曲「わたくしの挨拶を」D.741から取られたとのことです。
「わたくしの挨拶を」は好きなシューベルト歌曲の中の一曲です。
声楽で聴くのも気に入っていますが
この「幻想曲」の中の主題として聴き
改めて美しい旋律であることをしみじみと感じ入ります。
変奏曲ではリズミカルで軽快に。
最後の4つ目の変奏で再び現れる主題に和らぎます。
ピアノとヴァイオリンが歌い紡ぐ旋律は抒情的で美しく
ただただ、心を惹かれます。
④のアンダンテ・モルトではピアノのトレモロに
ヴァイオリンは静かながらも緊張感が漂っているような。
門馬氏の解釈では⑤のアレグロ・ヴィヴァーチェから第3楽章に。
軽快でリズミカルな旋律が颯爽として趣を呈しているようです。
主題が現れ楽しく愛らしく語り合うヴァイオリンとピアノ。
⑥のアレグレットでは静かな旋律に戻り
先の歌曲「わたくしの挨拶を」の旋律が再び現れると和みの気分に。
最後に⑦プレストで力強いピアノと駆け巡るようなヴァイオリンで
曲が盛り上がり迎える終曲。


とにかく、美しく抒情的な作品 の一言でしょうか。
録音は1958年とのことですが音質は良好に感じられます。
曲の持つ魅力は音質を凌駕しているのかとも。
魅了されるメニューインのヴァイオリン。
音を慈しむかのように紡ぎだされる一音一音。
心に染みいるヴァイオリンです。
ピアノのケントナーは響きを抑え気味の演奏でしょうか。
力強さともに音色が優しく伝わってくるようです。
シューベルトの作品では初めて出合った「ヴァイオリンとピアノのための幻想曲」。
この作品に出合えたことは今年の大きな喜びになりそうです。

今年も半分が過ぎ
出合った作品ではお気に入りのトップになったように思います。
残りのあと半年
この曲以上に心惹かれる作品に出合うことができるのか
と思いつつ飽きることなく傾聴しています。

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タグ : シューベルト 幻想曲 ピアノ ヴァイオリン メニューイン

20:05  |  シューベルト  |  TB(0)  |  CM(6)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●Re: お早うございます

rudolfさま、こんばんは~。
コメントをありがとうございます。


「幻想曲」・・・このような素晴らしいシューベルトの作品があったのですね。
rudolfさまのコメントを拝読して、改めてrudolfさまのブログにお邪魔をさせていただきました。
3年前に記事にされていらっしゃたのですね。
当時、拝読をしていた筈なのですが・・・。

まだ、メニューインでしか聴いていませんのでブッシュ&ゼルキンの演奏も聴いてみたくなりました。
HMVではすでに廃盤で、rudolfさまの記事のリンクを辿りAmazonではまだ発売されていました。
マルツィ・・・rudolfさまも最近、マルツィのディスクをお取り挙げになられていらっしゃいましたね。
関心を抱いていましたマルツィですのでディスクが届くのが待ち通しいです。
明日が入荷予定日なのですが。早く、聴いてみたいと思います(^^♪
lumino | 2014.06.17(火) 19:40 | URL | コメント編集

●お早うございます

luminoさま
お早うございます〜

シュベルト「幻想曲」 本当に良い曲ですね、私は、ブログにコメントくださる方からこの曲を教えてもらいました
ブッシュとゼルキン師のSP録音です

コメントで挙げられている方がおられますが、マルツィの演奏も素晴らしいですよ
メニューインの演奏は聴いたことがないのですよ
他にも色々と聴いてきましたが、上の2つが良いのではないかなと思っています

もっと色々と聴きたいのですが、なかなかですね〜
ミ(`w´彡)
rudolf2006 | 2014.06.17(火) 05:39 | URL | コメント編集

●Re: すいません、またお邪魔します

マルツィも「幻想曲」を演奏されているのですか!
先のコメントの続きみたいですが
ブラームスのヴァイオリン協奏曲では是非マルツィでも聴きたかったのです。
が、ディスクがなかなか入手できず、目下諦め状態でした。
マルツィ&アンテェッティは素敵な演奏とのことですね。
マルツィのヴァイオリンは聴いたことがなかったのですが、批評を読みとても惹かれていました。
やっぱり、素敵な演奏を聴かせてくれるのですね。
早速、ショップで「幻想曲」のディスク探しをしてみます。
私の方こそ、ありがとうございました!
lumino | 2014.06.09(月) 20:43 | URL | コメント編集

●すいません、またお邪魔します

すいません、またお邪魔します。
『幻想曲』のディスクでもう一枚素敵な演奏がありました。
マルツィ&アンテェッティ盤なんですが、久しぶりに聴き直してみて、すっかり気に入ってしまいました。
美しい歌心溢れる演奏で、作品の魅力を存分に引き出してるように思えます。
このディスク、購入してから一回くらいしか聴いておらず、すっかり忘れていたのですが、luminoさまのお陰で、思わぬ再発見ができました。
ありがとうございます。
burleske | 2014.06.09(月) 20:28 | URL | コメント編集

●Re: シューベルトの『幻想曲』は僕もお気に入りです

burleskeさま、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

このメニューインのBOXをやはりお持ちだったのですね。
本当にメニューインのヴァイオリン、良いですよね。
ブラームスのヴァイオリン協奏曲のCDをいろいろ集めて聴いて
一番心に響いたのがメニューイン(ケンぺ&BPO)でした。
以来、すっかりメニューインに惹かれています。

「幻想曲」のピアノがburleskeさまには物足りないようにお感じになられたとのことですね。
この演奏でしか聴いていないのですが、もう少し活き(?)の良いピアノでしたら曲の印象も変わるかもしれませんね。
とても気に入った作品ですので、お挙げくださったお気に入りの演奏で
できるだけ多くを聴いてみたいと思っています。

私もこのBOXではごく一部(3枚位)しか聴いていないのですが
シューベルトのピアノ三重奏曲は私もとても気に入りました。
ブラームスも、そしてほかの演奏もこれから楽しみに聴いてみますね。
lumino | 2014.06.09(月) 20:18 | URL | コメント編集

●シューベルトの『幻想曲』は僕もお気に入りです

メニューインのEMIレコーディングスは僕も持っていますが、良いですねぇ。
まだまだ一部しか聴いていませんが、味わい深くて聴き惚れてしまいますね。
シューベルトの『幻想曲』は僕もお気に入りの作品です。
メニューイン盤はヴァイオリンは味があって良いですが、ピアノが少し物足りないような気がします。
僕のお気に入りは、ファウスト&メルニコフ盤、ゴールドベルク&ルプー盤、塩川&シフ盤ですが、中でも塩川&シフ盤が一番の愛聴盤です。

ちなみに、このメニューインEMIレコーディングスでは、シューベルトのピアノ三重奏曲やブラームスの六重奏曲など、室内楽の演奏もけっこう良くて気に入っています。
burleske | 2014.06.08(日) 19:38 | URL | コメント編集

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