♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.246 シューベルト:「ピアノ三重奏曲 ≪ノットゥルノ≫」D.897 by メニューイン、ジャンドロン&H.メニューイン

前回と同じくメニューインのグレート・EMI・レコーディングスからです。
シューベルトの「ヴァイオリンとピアノのための幻想曲」D.934と
同じディスクに収録されている曲で
同じくシューベルトピアノ三重奏曲 D.897 「ノットゥルノ」です。

「幻想曲」には魅力の虜になり
これ以上の曲に出合うことがあるのか・・・と思っていました。
ノットゥルノ」の魅力も「幻想曲」に勝るとも劣らないものを感じます。
演奏時間は8分少々。
ピアノ三重奏曲の編成で書かれた第1楽章だけのとてもとても短い曲。
ピアノ、ヴァイオリンとチェロが奏でる美しい歌。

「幻想曲」に続いて聴く「ノットゥルノ」。
この2曲に出合えたことは
シューベルトからの最高のプレゼントとして心に響いてきます。


            シューベルトピアノ三重奏曲 変ホ長調 D.897 
                       ≪ノットゥルノ


                245メニューイン/グレートEMIレコーディングス

                        (収録曲)

                 ピアノ三重奏曲第1番 D.898
                 ノットゥルノ D.897
                 ヴァイオリンとピアノのための幻想曲 ハ長調 D.934                 

                   ユーディ・メニューイン(Vn)
                   モーリス・ジャンドロン(Vc)
                   ヘプツィバ・メニューイン(P)

             (録音:1968年 ロンドン アビー・ロード・スタジオ)


作曲は1827年の秋以降とのことです。
1827年で思い出すのは同年3月26日のベートーヴェンの死。
その年の3月頃にシューベルトは病床のベートーヴェンを見舞ったそうです。
そして3月29日のベートーヴェンの葬儀にも参加をしたシューベルト
ベートーヴェンの死から8か月しか経たない
翌年の11月にはシューベルト自身が迎える己の死。
春にベートーヴェンが亡くなり
その秋に作曲された曲になるのでしょうか。
ノットゥルノ」に耳を傾けつつ多々の想いが脳裏を横切ります。

「ノットゥルノ」という通称はシューベルト自身が付けたものではなく
1846年にディアベッリ社から出版される際に付けられたとのことです。
美しく抒情的で甘い調べ。
夜想曲=ノクターン=ノットゥルノ そのものでしょうか。
ですがこの夜奏曲の底流には寂寥が美しさに紛れ込んでいるように感じられます。
シューベルト特有の、あの寂寥感が。
今迄、耳にしてきた夜想曲の中では最も美しく、心の琴線に触れる曲。

曲の自筆譜の冒頭には「アダージョ」とだけ記されており日付も署名もないそうです。
このことから独立した楽曲でないことが伺える、とのこと。
寺西基之に依ると
この曲に対しての一般的な見解は
ピアノ三重奏曲変ロ長調 D.898 の緩徐楽章として作曲されたものの
取り入れられなかったのではないか、とのことです。

作曲された1827年のシューベルトに関しては
18回もの公的演奏会に作品を連ね
新聞には作品広告が掲載されたりしたそうです。
尚、この頃のシューベルティアーデは高い水準だったとのことです。
ヒラーという人物(シューべルティアーデの一員でしょうか?)は
当時のシューベルティアーデについて次のように記述しているそうです。
 
   「部屋には深い、真の貴族的な静けさが満ちていた。
    シューベルトは技巧がなく、フォーグルも声が出なかったが、
    演奏は完全だった。
    人々はピアノのことも歌のことも考えなかった。
    音楽には物理的な音響など必要ないかのように、
    旋律は霊化した耳に霊のごとく現れた」

この曲の成立事情 及び 初演については不詳だそうです。


アダージョ 変ホ長調 2分の2拍子の主題で始まる「ノットゥルノ」。
清流を連想させるような曲の始めのピアノの優しい趣のアルぺッジョ。
ヴァイオリンとチェロが奏でる主題の静かで優しい調べ。
曲の開始から前回の「幻想曲」の時と同様に耳を奪われ、虜状態です。
3つの楽器の調べに心酔するばかり。
主題がピアノと交代。
ピアノの優しく柔らかな響き。
ヴァイオリンとチェロがピアノを包み込みようなピッツィカートも美しく。
抒情性豊かで温もりが感じられる調べの後に現れる第2主題。
力強さが加わるようです。
第2主題は ホ長調 4分の3拍子とのこと。
活気を感じさせるピアノ。
ヴァイオリンもチェロも力強さを伴って歌い上げる旋律。
第2主題の旋律について
民族学者カール・マリア・クリエルの指摘によると
上部オーストリアの杭打ち夫の労働歌に酷似しているそうです。
この労働歌は杭打ち夫たちが第2拍ごとにハンマーを振り下ろしながら
ユニゾンで歌うものとのことです。
シューベルトは1825年にグムンデンに滞在した折に
この労働歌を知ったとも考えられるとのこと。
労働歌を知る由もないのですが聴いてみたい関心が募ります。
この第2主題には力強さ、親しみも感じる旋律です。
高揚感を経て戻る第1主題がヴァイオリンとチェロで。
力強さが消え失せ優しい静けさが戻るようです。
ピアノ、ヴァイオリンそしてチェロが美しく哀愁を帯びた調べを歌い上げる
3つの楽器の 三重唱 には強く惹かれます。
交互に現れる第1主題、第2主題を聴き続けるうちに感動の極みに。
第1主題のピアノのトリルと弦楽器の静かな調べでの終曲。

ピアノの強さを秘めた柔和な優しさ。
メニューインのヴァイオリンとジャンドロンのチェロも呼吸が一致し
三者一体となり素敵な演奏を聴かせてくれるように感じます。

8分少々の短い時間ながら
感動、感銘は時間を超越し
深い味わいを感じさせられる調べの連続です。
静かな美しさ、抒情性、哀愁 等々の文字が浮かびます。
この曲の底流に漂う寂寥感は
シューベルトが尊敬していたベートーヴェンの死が心に去来していたのでしょうか。
それとも私が勝手に作りだした寂寥感なのでしょうか。
心の中で云々・・・耳を傾けつつ・・・ふと気付くと
憧れ に似た心情が芽生えていたり。
多くの素晴らしい要素が散りばめられた「ノットゥルノ」のように感じられました。

前回のシューベルト「幻想曲」とまったく同様に今回もこの言葉で締めくくりを。

今年も半分が過ぎ
出合った作品ではお気に入りのトップになったように思います。
残りのあと半年
この曲以上に心惹かれる作品に出合うことができるのか
との思いつつ飽きることなく傾聴しています。

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Comment

Re: 『ノットゥルノ』良いですね

burleskeさま、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

ピアノ三重奏曲のオマケ・・・私も最初はそう思ってしまいました。
収録曲でこの「ノットゥルノ」が始まると、ハッとするものが。
本当に良い曲だと・・・。
他の演奏でも、いろいろとお聴きになられていらっしゃるのですね。
前回の「幻想曲」と同様にこの曲もいろいろな演奏で聴いてみたくなりました。
お挙げくださいましたディスクを参考にさせていただきたく思います。
シューベルト、良いですよね。湧き出る美の泉みたいで。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2014.06/15 20:05分
  • [Edit]

『ノットゥルノ』良いですね

シューベルトの『ノットゥルノ』は、ピアノ三重奏曲のオマケくらいにしか思っていなかったのですが、改めて聴いてみると良いですね。
メニューイン盤は味わいがあって素敵な演奏ですね。
他に、インマゼール、ビルスマ&ベス盤と、シフ、ペレーニ&塩川盤も持っていますが、どちらも素敵な演奏でした。
やっぱりシューベルトは良いですね。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2014.06/15 17:53分
  • [Edit]

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