♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.248 モーツァルト:「ホルン協奏曲第3番」と小塩節著「ザルツブルクの小径」 by ブレイン;カラヤン&フィルハーモニア管弦楽団

音楽関係書籍ではなくても記述をされた作品に関心を抱き
聴いてみたくなることが往々にしてあります。
小塩節著の随筆集「ザルツブルクの小径」を読んでいて
モーツァルトホルン協奏曲第3番を聴きたくなりました。


            モーツァルトホルン協奏曲第3番 変ホ長調 K.447

                 モーツァルト:ホルン協奏曲
            
                         (収録曲)

             モーツァルトホルン協奏曲第1番ニ長調K412
                               第2番変ホ長調K417
                               第3番変ホ長調K447
                               第4番変ホ長調K495
                     ピアノと管楽のための五重奏曲
                                   変ホ長調 K.452

                    デニス・ブレイン(hrn)
                    ヘルベルト・フォン・カラヤン
                    フィルハーモニア管弦楽団
 
                    ( 録音:1953年11月12-13、23日
                     モノラル セッション録音)


          第1楽章:アレグロ 変ホ長調 4分の4拍子
          第2楽章:ロマンツェ ラルゲット 変イ長調 2分の2拍子
          第3楽章:アレグロ 変ホ長調 8分の6拍子


モーツァルトの4曲のホルン協奏曲はお気に入りで
4年ほど前に、デニス・ブレインのホルン独奏
カラヤンフィルハーモニア管弦楽団のディスクを聴き綴っておりました。
当時は第1番を中心に書いていました。
当時と同じディスクから今回は小塩氏の文章に触発され
無性に聴き直したくなった第3番を改めてじっくりと耳を傾けてみることにしました。

ドイツ文学者でもある小塩節氏のエッセイ「ザルツブルクの小径」(2005年初版発行)。
モーツァルトホルン協奏曲第3番が出てくる文章で
氏が信州の大学に講義に行く予定になったことから始まる序文を
引用させていただきます。

  「一日の厳しい勉強が終わると松の木陰に椅子を持ち出し、
   西の山々のかなたに日が沈んでいくのを見やりながら、
   私は何枚かのCDを取り出して聴くだろう。
   松の梢にときたま風の音がする以外は、いっさいの人工的な物音のしない
   大自然の中で音楽に静かに耳を傾けるのは
   何にも代え難いぜいたくそのものである。
   そのためには、空中に拡散して駄目になってしまうような、
   ふつうの音楽ではいけない。
   狭い部屋の中でなくて、大自然の中でそっと小さい音量に絞っても、
   確かな存在を確立しうる音楽。
   石造りの会堂やコンクリートの建物の中に逃げ込まなくては聴くに耐えぬ、
   そんなものではなくて大自然の中でそっと奏でても、
   びくともしない強さと優しさを持った音楽。
   わめきたてるようなものではない。そういう音楽がありうるのだ。
   私にとって、そういう優しくて強靭な音楽といえば、先ず何よりも
   モーツァルトのホルン協奏曲4曲だ。
   特に昔「3番」と呼ばれていた変ホ長調K、447。
   ホルンという楽器は手に取ることも叶わぬ音痴の私だけれども、
   この曲の静かな豊さと言おうか、つややかな音色と微妙な転調、
   青く澄んだ大空や深く静まり返った湖面を渡る風のような、
   力みを知らぬ朗々たるメロディ。それらが一気に私の心を捉える・・・」


嘗て綴ったことと重複することがありますが
ホルン協奏曲は4曲とも1780年代に作曲されたそうです。
第1番、第3番に関してはは完成の時期は不明だそうですが
一般の定説としては1783年に曲が成立しているとのこと。

4曲のホルン協奏曲はザルツブルク宮廷楽団の有能な
ホルン奏者であったロイトゲープ(Joseph Iganz Leitgeb 1732年10月6日-1811年2月27日)のために作曲されたそうです。
ロイトゲープとモーツァルト一家とはかなり親しい関係であったことが
1767年から1797年のモーツァルト一家の手紙からも伺うことができるとのことです。

この曲が書かれた定説となっている1783年の前年
1782年8月に26歳のモーツァルトはコンスタンツェと結婚。
ブルク劇場で初演されたオペラ「後宮からの誘拐」の大成功。
そして迎える1783年。
1月にはモーツァルトのオペラの台本を書いた詩人兼台本作家の
ダ・ポンテと知り合い。
6月に長男が誕生したものの8月に死去。
10月にはザルツブルクの聖ペトロ教会に於いての「ハ短調ミサ曲」の初演。

この1783年という年はモーツァルトにとって転換期に当たっているとのことです。
前述と重複しますが、この年には「ハ短調大ミサ曲」が作られ
オペラの分野では「後宮からの誘拐」の作曲。
協奏曲の分野にいおいては社交的な楽しさやサロン的な美しさの枠を脱し
より深い協奏曲の概念を生み出そうとされていた時期とのこと。
サロン的な楽しい協奏曲であったホルン協奏曲は
後期のピアノ協奏曲の輝かしい系列へとバトンを渡すことになったそうです。

いろいろ脱線をしていますが、曲に戻ることに。
第3番の成立時期についての前田昭雄氏の解説を参考に。

第3番の成立についてはサン=フォアという人が
1788年以前とは考えられず1786年に書き上げられた第4番よりも
後の作品として位置付けをしているとのことです。
顕著な特徴としてオーボエの代わりにクラリネットが用いられていること。
主題の展開がモーツァルトの充実期に属する洗練された様式を持つこと。
これらの第3番の優越性をサン=フォアは重視しているとのことです。


第1楽章の始まりはヴァイオリンの奏でる流麗な第1主題。
伸びやかに優雅に歌うホルン。
オーケストラの伴奏も優雅な歌のよう。
ほのぼのととした気分にさせてくれる旋律です。
第2主題も流麗な調べ。
この第2主題は2つの要素に分かれているそうで
楽章全体を通じて重要な役割を果たしているとのこと。
ゆったりとホルンが独りごとのように奏された後に迎える楽章の終わり。

ホルンの穏やかな調べに始まる第2楽章。
前田昭雄氏はこの楽章を
「4つのホルン協奏曲中最も美しい緩徐楽章であると思われる」と
記述されていますが、まったく同じ想いを抱きます。
この主題の牧歌的で和やかな調べには心が解されます。
楽器たちはゆったりと豊な自然の中を散策をしているような趣でしょうか。
そのような趣からふと我に帰るように弦のリズムが現実を呼び覚ますようです。
それも束の間、再び楽器たちは和みの散策を。
ゆったりとした足取りでの散策を終えるかのようにコーダへ。
前回、聴いた時には感じることがなかったこの楽章の
美しく和やかな調べの魅力の虜になっています。

第3楽章でロンドの構成は正主題を3度反復し
その間に2つの美しい副主題を挿入しているそうです。
4つの主要主題に共通する明澄さはこのロンドが持つ優れた特徴とのことです。

歯切れのよいホルンとオーケストラのリズミカルで明快な調べで始まる第3楽章。
明快さに楽しい気分が呼び覚まされるようです。
楽し気に語り合うホルンとオーケストラ。
ロンドの第2部に移りホルンの流麗な趣を湛えた歌。
ロンド第3部での生き生きとした調べ。
ホルンとオーケストラの応答に耳をそばだてているうちに迎える曲の終わり。

聴き終えて穏やかさと爽やかな気分に満たされるようです。
今回、聴き直さなければ気付くことがなかった第2楽章の美しい調べ。
また、ホルンの表現の豊かさ。

ブレインのホルンはとても滑らか(?)で美しい歌を歌いあげ
時には弾むように楽しく愛らしい歌を聴かせてくれるようです。
カラヤン&フィルハーモニーは主人公のホルンを引き立てるかのように
慎ましい(?)演奏のように感じられました。

4年前にこの曲を聴いていながら
今回、一冊の書籍に出合うことがなければ聴き逃してしまっていた曲の魅力。
時を経て聴き直してみると
曲の中にも、演奏にも新たな息吹が感じられるものですね。

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Comment

Re: 昔のディスクを聴きなおすと・・・

burleskeさま、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

嘗て聴いた時よりもブレインのホルンが「別物」のように感じられてしまいました。
ブレインに耳を傾けつつ「こんなに良かった?」などと・・・。

> 忘れた頃に聴きなおして、改めてその魅力に気付かされるディスクってありますよね。
本当にその通りですよね。
こうしたことも時の経過がもたらす面白い(?)プレゼントでしょうか。
私の場合、新譜は滅多に求めること(求められない)がないのですが
それでもCDラック等にディスクを収めてしまうと・・・忘れてしまったり、です。
「このCD、持っていたっけ?」ということが、しばしばの有様です。
何かの折に、再び聴いてみると新発見があったりして本当に楽しいものなのですね。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2014.06/30 19:38分
  • [Edit]

昔のディスクを聴きなおすと・・・

ブレインのモーツァルトは良いですねぇ。
聴き惚れてしまいますね。

忘れた頃に聴きなおして、改めてその魅力に気付かされるディスクってありますよね。
これがあるから、益々クラシック音楽の虜になってしまうのですよね。
一回くらいしか聴いてなくて、ほったらかしのディスク、けっこうあるんですけど、でも、ついつい新譜に手が出てしまうんですよねぇ。
たまには僕も昔のディスクを引っ張り出して、改めて聴き直してみようと思います。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2014.06/29 20:46分
  • [Edit]

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