♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

Entries

Op.261 ベートーヴェン:「合唱幻想曲」 by ゼルキン;バーンスタイン&ニューヨーク・フィル

手持ちのディスクの何枚かに収録されている「合唱幻想曲」。
初めて聴いたのは、だいぶ昔のことになります。
幾度となく耳にしていながらまったく印象に残らなかった曲。
ですから、この曲を目当てにディスクを求めることもなく年月が経ちました。
先日、たまたま耳にして別の作品でもあるかのように
新鮮に、そして感動とともに初めて心に響いてきました。

オンライン・ショップばかりの利用で
すっかりショップに足を向けてディスクを購入することがなくなった昨今。
一生、忘れられない想い出を大切に心に抱きつつ
数年振りに店舗にて求めたディスクたち。
廉価盤BOXで Rudolf Serkin Plays Beethoven  からの一枚です。
ピアノ協奏曲第5番の次曲として収録されてありましたので
そのまま続けて耳に入ってきた「合唱幻想曲」。
ベートーヴェンの作品にこのようなな素晴らしい曲があった!と開眼。
心を揺り動かされるものがありました。

                     ベートーヴェン
            ピアノ、合唱、オーケストラのための幻想曲

           Rudolf Serkin Plays Beethoven Concertos,
           Sonatas & Variations  より
                         

                  261ベートーヴェン:合唱幻想曲Rudolf Serkin Plays Beethoven

                        (収録曲)
                      ベートーヴェン

            ①ピアノ協奏曲第5番変ホ長調 Op.73『皇帝』
            ② 合唱幻想曲 ハ短調 Op.80
                  (バーンスタインニューヨーク・フィル 
                   ウェストミンスター合唱団
                          1962年5月、セッション録音)
            ③  合唱幻想曲 ハ短調 Op.80
                  (ピーター・ゼルキン
                   マールボロ・フェスティバル・オーケストラ
                          1981年9月19日 ライヴ)

合唱幻想曲」はこのディスクに2種の録音が収録されていました。
初めてこの曲に感銘を受けたのはバーンスタイン&ウィーン・フィルの演奏。
ピーター・ゼルキン&マールボロ・フェスティバル・オーケストラの方は
ライヴの気迫、緊張を感じさせる切れ味の鋭い演奏のように感じました。
バーンスタイン盤と双璧の素晴らしい演奏かと思います。
感想はバーンスタイン&ウィーン・フィルで。

通称「合唱幻想曲」と呼ばれるこの曲
「ピアノ、合唱、オーケストラのための幻想曲」。
作曲されたのは1808年の12月に一気に書かれたそうです。

初演は1808年12月22日、アン・デア・ウィーン劇場に於いての
ベートーヴェンの自主公演で行われたそうです。
ウィーン新聞に掲載された当日のプログラムは次のようだったそうです。
興味深いものでしたので一部引用を。

「12月22日木曜日に・・・・。すべて彼の未公開の作品である。
第1部
  1 ≪田舎の生活の思い出≫ヘ長調(第5番)
  2 アリア
  3 ラテン語による賛歌、合唱と独唱を伴う教会様式で作曲
  4 ピアノ協奏曲(当人独奏)
第2部
  1 大交響曲ハ短調(第6番)
  2 ラテン語による聖歌、合唱と独唱を伴う教会様式で作曲
  3 ピアノのための幻想曲
  4 ピアノのための幻想曲、次第に全管弦楽が導入され、終曲には合唱が加わる」

第1部の1のカッコ内の5番と第2部の1のカッコ内第6番は
番号が逆ですよね?
さて、この演奏会は4時間に及ぶ真冬の夜の大演奏会だったとのことです。
因みに、この演奏会には混乱や失敗があったそうです。
演奏会失敗の原因になったのが新作「合唱幻想曲」だったとか。


曲に戻り。
ピアノ導入部については
1808年12月22日の初演ではベートーヴェンが即興で演奏したそうです。
翌年の1809年に今日の形として作曲されたとのこと。

              261:ベートーヴェン「合唱幻想曲」Christoph Kuffner
                     Christoph Kuffner
               (1780年6月28日-1846年11月7日)

曲の完成後に付けられた合唱の詩は
チェルニーによるとオーストリアの詩人クリストフ・クフナーとされるそうですが
真相は不明とのことです。
全曲の自筆譜は紛失したとのことですが歌唱声部の総譜は
ボンのベートーヴェン・ハウスに保存されているそうです。

曲はバイエルン国王マクシミリアン・ヨーゼフ1世に献呈されたそうです。

以下、この曲についての石多正男氏の記述を参考に。
この曲は今日高い評価を受けていないそうですが
ベートーヴェンの創作活動の中で占める位置としては
重要な作品であるとのことです。
曲の主題に1796年作曲の歌曲「愛の返答」“Gegenliebe” WoO118 
から取られたものだそうです。
また、1824年完成の交響曲第9番の礎石となっているとのことです。

石多氏によるとこの曲と交響曲第9番との類似点が多く見出されるとのことです。
類似点として以下を挙げられています。
  調性や主題の性格
  主題を変奏によって発展させる作曲技法
  行進曲風の楽句が挿入されている
以上です。

曲の構成については次の3つの部分から成るそうです。
第1部:導入部
第2部:主部と8つの変奏
第3部:合唱


第1部:アダージョ ハ短調 4分の4拍子
この導入部はピアノのみの演奏。
力強い打鍵で始まり間もなく愛らしいさが顔を出し。
自由で伸び伸びとしたピアノの夢想に耳を奪われていると第2部に。

第2部:アレグロ ハ短調 4分の4拍子
フィナーレと記されているとのことですが
主部と8つの変奏で成っているそうです。
弱音でチェロ、コントラバスが行進曲のような趣で登場。
応答するピアノが可憐で幻想的な雰囲気を醸し出しているようです。
そして暫しの間、奏するオーケストラ。
再びピアノの独奏になり呈示される主題。
明朗な主題で親しみを感じます。
ここから8つの変奏が続くとのこと。
第1変奏のフルートとピアノ。フルートの弾むような軽やかさ、愛らしい音色から
小鳥のさえずりを連想してしまいます。
第2変奏でのオーボエとピアノと第1変奏と同じような愛らしい趣。
第3変奏のクラリネットとバス―ンは愛嬌を感じさるような趣で。
弦楽四重奏になる第4変奏ではホッと一息、和みます。
第5変奏でオーケストラの登場。高揚感が漲るようです。
ピアノも生き生きとした旋律を奏した後、移る第6変奏。
盛り上がるオーケストラとピアノ。
第九から受ける高揚感が彷彿とさせられるようです。
ピアノとオーケストラの応答はドラマテッィクに。
そしてピアノのトリルで第7変奏に。
第7変奏の穏やかな調べ。
終始、語り続けるピアノからは素朴な趣も感じられるようです。
長いピアノのトリルと木管の語り合いから急転して
第8変奏では生き生きと覇気を感じさせるティンパ二も印象的。
活気溢れるピアノとオーケストラ。
そして続く第3部。

第3部:アレグロ・マ・ノン・トロッポ ハ長調 4分の2拍子
女声の三重唱で始まり、またもや第九の合唱部分が思い浮かぶようです。
男声の三重唱を経て
合唱とオーケストラの劇的な高揚感。
高らかに歌い上げる合唱が感動的です。
オーケストラとピアノでドラマテッィクに閉じられるこの曲。

演奏が終わった後、感動を受けると出てしまう溜め息。
深い溜め息が出てしまいました。
第九を聴き終えた後のような感激。

ゼルキンの生き生きとしたピアノ
力強いオーケストラ
高らかに歌う合唱の素晴らしさ
そして、詩の素晴らしさ。
ピアノ、オーケストラそして合唱が作りだす生きている音楽でしょうか。
演奏時間は短いものながら
第九から受ける感動と同質のものを受けます。

曲の主題は歌曲「愛の返答」(“Gegenliebe WoO118)から取ったものとのことで
早速、歌曲の方もディスクを探して聴いてみたいと思います。

       わんぱぐさん:鳥のライン
                
           (歌詞引用)
        Schmeichelnd hold und lieblich klingen
        unsers Lebens Harmonien,
        und dem Schönheitssinn entschwingen
        Blumen sich, die ewig blüh'n.

        Fried und Freude gleiten freundlich
        wie der Wellen Wechselspiel;
        was sich drängte rauh und feindlich,
        ordnet sich zu Hochgefühl.

        Wenn der Töne Zauber walten
        und des Wortes Weihe spricht,
        muss sich Herrliches gestalten,
        Nacht und Stürme werden Licht,

        äuß're Ruhe, inn're Wonne,
        herrschen für den Glücklichen
        Doch der Künste Frühlingssonne
        lässt aus beiden Licht entsteh'n.

        Großes, das ins Herz gedrungen,
        blüht dann neu und schön empor,
        hat ein Geist sich aufgeschwungen,
        hallt ihm stets ein Geisterchor.

        Nehmt denn hin, ihr schönen Seelen,
        froh die Gaben schöner Kunst.
        Wenn sich Lieb und Kraft vermählen,
        lohnt dem Menschen Göttergunst.

           (訳詞引用)
        快く優しく愛らしき響き
        我らが生のハーモニー
        美の感性を揺り動かして
        花を咲かせる、永遠の花を
        平和と歓喜、親しげにすべり出す
        寄せては返す波のごと、戯れながら走り出す
        荒々しく敵対しながら寄せ来るもの
        秩序ある高き感情に変わりゆく

        音の不思議、はたらいて
        言葉の神聖、語られしとき
        栄光は形づくられ
        夜と嵐は光とならん
        外なる静寂、内なる至福が
        幸なるものを支配する
        もって芸術の春の太陽は
        その両者から光を生じさせる

        心に迫り来る偉大なるもの
        かくて新たに美しく、高みに向けて花開き
        精神は高揚し
        あらゆる精神の合唱が絶えずそれに唱和する
        受けよ、汝ら美しき魂どもよ
        歓びもて美しき芸術の賜を
        愛と力が結ばれしとき
        人は神の恩寵を受く

                  にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ     
関連記事

Comment

Re: ゼルキン、良いですね

burleskeさま、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

こちらのBOXをお持ちだったのですね。本当に、お持ちでないディスクはない、という感じで私とは反対ですね。
このBOXでは、まだ2-3枚しか聴いていなくて・・・。
これから楽しみに、じくりと聴いていきたいと思っています。

> 「合唱幻想曲」の主題を聴くと、どうしても「第九」を思い出してしまいますね
やはり、そうですよね。
この主題、親しみやすい感じで気に入ってしまいました。
burleskeさまはアンスネス&マーラー・チェンバー・オーケストラの演奏もお気に入りとのことですね。
ゼルキン&バーンスタイン盤のほかに
ピアノがメナハム・プレスラー(初めて耳にしたピアニストでした);マズア&ライプツィヒ・ゲヴァントハス・オーケストラでも聴いてみました。
ゼルキン&バーンスタイン盤とは対照的で「悠」とした趣でこちらも惹かれるものがある演奏でした。
この作品もいろいろと聴いてみたくなってきました。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2014.11/04 19:41分
  • [Edit]

ゼルキン、良いですね

ゼルキンは僕の好きなピアニストの一人です。
このベートーヴェンのBOXは僕も持っていますが、良いですね。
「合唱幻想曲」も良いですが、協奏曲とソナタも素敵な演奏ですね。
「合唱幻想曲」の主題を聴くと、どうしても「第九」を思い出してしまいますね。
「合唱幻想曲」では他にアンスネス&マーラー・チェンバーoの演奏も気に入っています。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2014.11/03 17:49分
  • [Edit]

Comment_form

管理者のみ表示。 | 現在非公開コメント投稿不可です。

左サイドMenu

プロフィール

lumino

Author:lumino
音楽が日々の活力源になっています。
特に音楽知識のないクラシック・ビギナーに等しいのですが、「ただ、ひたすらに」をモットーに鑑賞をしています。
日々の生活に無くてはならないのが音楽と本です。
また2羽の小桜インコの兄弟は大切な家族です。

最新記事

lumino

右サイドメニュー

♪ こんにちは ♪

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

ブログ内検索