♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.273 チャイコフスキー:「交響曲第6番 悲愴」 by オーマンディ&フィラデルフィアO.

長い間、敬遠していたチャイコフスキーの交響曲。
先月中旬に聴いた交響曲第5番が突破口となって以来
後期の3曲の交響曲を聴いている日々になりました。
第5番の第4楽章に惹かれいろいろな演奏のディスクを求めているうちに
第4番、第6番も数種のディスクが集まり(集まってしまった?)ました。
今日は後期3大交響曲の最後の作品
チャイコフスキーの白鳥の歌ともなった第6番を。

耳にする機会が最も多い第6番ですが
「聞く」ことはあっても「聴く」ことのなかった曲です。
じっくりと耳を傾けていると後期の他の2交響曲と同様に
惹かれる曲になりました。

手元に集まってしまった(?)後期の3つの交響曲は次のディスクたちです。
カラヤン&ベルリン・フィル(1976年録音)
カラヤン&フィルハーモニアO.(1955年録音)
ムラヴィンスキー&レニングラード・フィル
オーマンディ&フィラデルフィア・フィル
ザンデルリンク&ベルリン交響楽団
そして第6番だけを聴きたくて求めたアバド&ウィーン・フィル です。

どの演奏も心に響くものがありましたが
ザンデルリンク、アバドも気に入りました。
最も心に残ったのはオーマンディ&フィラデルフィアO.です。
録音は1968年5月27,28日 フィラデルフィア、スコティッシュ・ライト・カテドラル。
今日は繰り返し聴いているオーマンディ盤を念頭に置いて。

      チャイコフスキー交響曲第6番悲愴」ロ短調 Op.74

   第1楽章 アダージョ ―― アレグロ・ノン・トロッポ ロ短調 4分の4拍子
   第2楽章 アレグロ・コン・グラツィア ニ長調 4分の5拍子
   第3楽章 アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ ト長調 4分の4拍子
   第4楽章 アダージョ・ラメントーソ ロ短調 4分の3拍子


作曲は1893年の2月頃に着手し9月に完成したとのことです。
甥のウラディミール・ダヴィドフに捧げられたそうです。

初演は同年10月28日にチャイコフスキー自身の指揮により
ペテルブルクで行われたとのことです。
この初演から9日後の11月6日にチャイコフスキーは急逝。
チャイコフスキーは絶対の自信をもっていたそうですが
初演は聴衆にも評論家にも好評ではなかったとのこと。
チャイコフスキーの死から13日後にエドゥアルト・ナプラヴニークによって
再演された時に聴衆は初めてこの曲の真価を認め感動をし
また作曲者の死を悼みすすり泣きをする声もあったそうです。

当時のチャイコフスキーを襲った出来事を一応メモとして。
曲が完成する3年前、1890年の9月にフォン・メック夫人との13年間続いた文通が
打ち切られそうです。
また、チャイコフスキーの全収入の約三分の一を占めていた夫人からの送金も
途絶えてしまったとのこと。
チャイコフスキーには経済的打撃よりも精神的痛手の方が大きかったとのことです。
この痛手から立ち直っていなかったことに追い打ちをかけるように
翌1891年の4月には最愛の妹アレクサンドラが死去したそうです。
アレクサンドラの死後、同じ春にチャイコフスキーはニューヨークの
カーネギー・ホールのこけら落としに招待され初めてアメリカの土を踏み
各地のオーケストラを指揮して熱狂的な歓迎を受けたとのことです。
しかし、チャイコフスキーの心の傷はまったく癒えることがなかったそうで
ホテルで一人になると、よく涙を流していたとのことです。

この交響曲が本格的に書かれたのはロンドン旅行以後の1893年で
旅行中チャイコフスキーは友人あての手紙に
「頭の中で作曲し、何度も泣いた」と書いているそうです。

いつもの寄り道になります。
過日、チャイコフスキーの交響曲第5番との出合いとほぼ同時期に
一冊の書籍に出合いました。
志鳥栄八郎著「憂愁の作曲家 チャイコフスキー」。
1993年、チャイコフスキーの没後100年を記念して出版されたとのことです。

こちらの書籍より印象的だった個所をメモ的に。

「芸術家はその時代のこどもである」
これはシラーがエッセイの中に綴っている言葉とのことです。
また、チャイコフスキーが生きた時代1840年から1893年
この53年の生涯はロシアの暗黒の時代、不安の時代だったそうです。
「哀愁は、わが国の詩」というのはべリンスキーの言葉だそうです。
ロシア的哀愁を文学のうえで表現したのがプーシキンであるなら
音楽のうえで表現したのがチャイコフスキーと、氏は書かれていました。

また、チャイコフスキーは次のような記述を残しているとのことです。
「芸術家であるということは、なんと幸福なことであろう。われわれが、毎日、身をもって体験しているところの、この陰惨な時代には、ただ、芸術だけが重苦しい現実から注意をそらしてくれるからだ・・・・」
志鳥氏はチャイコフスキーの音楽の持つ暗さや寂しさをについて
「彼の音楽の暗さや寂しさは、暗黒のどん底で、いまにも窒息寸前の状態に置かれていた当時のロシア人全体の、暗さであり、寂しさであったということを忘れてはならないだろう」
とも記述された文章が心に残っています。

初めて耳を傾けたに等しいチャイコフスキーの交響曲第6番
最も気に入り、繰り返し聴いているオーマンディ&フィラデルフィアO.
演奏を聴きつつ。

第1楽章の暗澹と重々しく始まる序奏。
コントラバスの弱音で始まり加わるバス―ンも
オーケストラもまた重々しい趣で。
悲劇の始まりを告げるかのような序奏でしょうか。
アダージョの序奏から主部に転じてアレグロで出る第1主題。
リズム感が救いのように感じられます。
第2主題の美しさを感じさせる旋律。
この旋律は耳に馴染みの有名な部分のようで。
木管たちの語り合いには明るさも。
この第2主題は心に刻み込まれる旋律。
この主題から展開部に入り突如爆発的な強奏に。
闘争の激しさのような、或いは勇壮さも感じさせられます。
激情の波が襲いかかるようにも感じます。
再現部でも増すばかりの激情。
速度が落ちアンダンテになり再び現れる第2主題。
今までの激情が浄化されるような調べとして耳に届くようです。
コーダでの穏やかに大らかさを感じさせる旋律。
弦のピッツィカートに乗って木管たちの語りかけが印象的です。
ゆったり、何かプッツリと切れてしまうように終わる第1楽章。

優雅な旋律で始まる第2楽章。
この楽章の4分の5拍子はロシアの民謡によく出てくるものだそうです。
チェロが奏する主要旋律も耳に馴染み深いもの。
軽やかで親しみが感じられます。
オーマンディでは明快が趣として伝わってくるようです。
中間部に入りティンパニの弱い刻みの中を
歌い続ける主要旋律が時には情熱的な調べとして感じられるようです。
再び優雅な主要主題に耳を奪われ
気持ちにも光明が射すようです。
木管が代わる代わる呟きつつ静かに閉じられる楽章。

生き生きとした躍動感のある趣で始まる第3楽章。
このスケルツォ主題はタランテラ主題とも呼ばれているとのこと。
チャイコフスキーはイタリア旅行中にイタリア南部地方の
民族舞踏タランテラを見て興味を惹かれたそうです。
惹き付けられる楽章です。
勇壮で心を鼓舞するものを感じます。
立ち向かってゆく勇壮さ、闘争心が漲っているようです。
行進曲の主題では凱旋を連想してしまいます。
勝利の行進曲でもあるかのように。
轟き渡るティンパ二の連打
トランペットは勝利を告げ知らせるかのようにも。
轟きのうちに楽章の終わりに。

弦が奏する静かな調べで始まる第4楽章。
ブックレットには「このフィナーレを聴き手を絶望の底へ引きずり込む」と
解説がされていました。
が・・・。
静かな時の流れの中で繰り広げられる回顧のように感じられます。
多々の想念が沸々と湧き上がってくるようにも。
荒涼とした砂漠の真ん中に置き去りにされたような孤独感と寂寥感。
それらは無限に続くかのように・・・。
気が付くと静かに静かに消えるように終わるこの曲。
私にとっては聴いているうちに感情が解放され
浄化されるようにも感じられる楽章です。

オーマンディ&フィラデルフィアO.の演奏には
救いのように光明を感じさせてくれるものがあるように感じます。
絶望感に塗り固められた演奏ではないように感じられます(鈍感な自分?)。
美しい旋律は限りなく美しく
相反して立ち向かってゆく強靭さと共に情熱的な演奏でもあるように
思います。

後期の3つの交響曲を聴き終えて
どの曲にも前進をしようとする強い意志を感じます。
第6番に限らず少なくとも私にとっては
チャイコフスキーは「憂愁の作曲家」というより
強固な意志を抱きつつ強い足並みで歩き続けようとする人間の姿を見る思いがしてきました。
人間的な自分の弱さを知っている者だけが抱くことのできる真の「強さ」でしょうか。
それとも単なる「憧れの強さ」、「幻想の世界の強さ」?

また、後期の交響曲を聴き続けているうちに
今まで聴いていたピアノ協奏曲第1番や弦楽セレナーデを聴いてみると
以前とは少し姿を変えて心に響いてくるようになりました。

未聴のチャイコフスキーの初期の交響曲にも耳を傾けたく思うようになりました。

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Comment

Re: こんばんは

rudolfさま、こんにちは。
コメントをありがとうございます。
最近、また読み逃げ常習になってしまっておりますm(__)m
天気予報で降雪の予報が出たりして
立春を過ぎた頃の方が寒さが厳しく感じられますね。

チャイコフスキーの交響曲は取りつき難いと感じてしまっていて
長年、耳を傾けることがなかったのですが
第5番の第3楽章が気に入って聴き比べをしたくなり
いまでは、すっかり嵌り込んでしまいました。
第4番以降を演奏されたことがあるのですね。
と言うことは、第5番も演奏されたのですよね。
第5番に限らず、聴いているだけでも高揚感を抱いてしまいますし
音の中に身を置いて演奏をすること・・・想像しただけで、素晴らしい!ですね。

チャイコフスキーの交響曲ではオーマンディの録音が数種あることを
先日、コメントをお寄せ下さいましたお方のコメントを拝読し初めて知った次第です。
rudolfさまのコメントを拝読させていただきCBSへの録音もあるとのことを知りました。
CBSへの録音も是非、聴きたく思います。目下、ショップ・サイトで探し中です。
オーマンディの演奏でしたら、チャイコフスキーの交響曲すべての録音を聴いてみたい心境です。

rudolfさまのブログで昨日の記事を拝読させていただき
「クラシックを聴く喜びには・・・、『このような曲だったの』と教えてくれる演奏にもある」と、そのような主旨の文章が心に残っています。
聴くまでは気後れを感じていた第6番ですが私にとっては、まさにオーマンディの演奏は「教えてくれる演奏」でした。
このような演奏に出合うことは確かに、「この演奏は一番」と言うことと共にクラシックを聴く喜び、ですね。(^^♪
  • posted by lumino
  • URL
  • 2015.02/14 15:51分
  • [Edit]

Re: オーマンディ盤、僕も好きです

burleskeさま、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

余談からですが、更新する曜日が変わると曜日の感覚が・・・。
「あれ?今日は何曜日?」になってしまっています。
土曜日を更新日と決めているので習慣になっているんですね。それとも、もう歳?かもですね。

「悲愴」はオーマンディの演奏が好評なのですね。
burleskeさまのコメントを拝読してオーマンディは数種の録音をされていたことを初めて知りました。
60年録音のコロンビア盤の方も良いとのことで、やはり聴きたくなってしまいますね。
ショップ・サイトでディスク探しをしてみます。
チャイコフスキーの後期交響曲3曲を聴いてオーマンディ&フィラデルフィアにかなり関心を抱き始めるようになりました。
モントゥーはディスクを一枚も持っていない指揮者なのですが
先日の第4番もburleske さまのお気に入りの演奏になっていましたね。
モントゥーでも機会があれば後期の交響曲を聴いてみたくなってきました。

初期の交響曲は気持ちばかりが先行してまだ聴いていないのですが
第1、2番が親しみやすいとのことで楽しみにしつつ耳を傾けてみるつもりです。
全集としてはカラヤンしか持っていないので取り敢えずカラヤンで。
第1、2番ではアバド、マルケヴィッチがお気に入りとのことで
アバドは「悲愴」を聴いて気に入った演奏でした。
初期の交響曲もアバドで聴いてみたい気持ちも湧いてきました。
いろいろな演奏を聴きたくなり私の懐事情では厳しいながらも楽しくなってきました。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2015.02/13 20:14分
  • [Edit]

こんばんは

luminoさま こんばんは
お久しぶりです
2月に入ってから、寒さが応えますね;;
お久しぶりです

チャイコフスキーのシンフォニーはあまり聴かないんですよ、4番以降は何度か演奏したことはあるのですが…

このBOXは安くて良いですよね…
オーマンディ師のチャイコフスキーではCBS録音もあって、私はそちらの方が好きなんですよ、機会があったら…是非〜

ミ(`w´彡)
  • posted by rudolf2006
  • URL
  • 2015.02/13 18:53分
  • [Edit]

オーマンディ盤、僕も好きです

オーマンディの「悲愴」、僕も好きな演奏です。68年盤も良いですが、60年録音のコロンビア盤も良いですよ。
他の演奏では、いつものモントゥーとムラヴィンスキーにマルティノンもお気に入りです。
初期の交響曲は第1番と第2番が親しみやすいと思います。
アバドとマルケヴィッチがお気に入りです。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2015.02/12 16:33分
  • [Edit]

Re: NoTitle

芳野さま、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

今まで引いてしまっていた「悲愴」ですが、聴いてみると良い曲だと思うようになりました。
まだ、チャイコフスキーの交響曲では後期の3曲しか聴いていないのですが
第5番とともに第6番もお気に入りになりました。

カラヤン&フィルハーモニアO. のチャイコフスキーは
若いカラヤンの力強いエネルギーを感じたりしました。
フィルハーモニアO. とのチャイコフスキーも魅力がありますね。

ふくよかな響きがとても心地よく手放せない一枚、とお書きくださいましたオーマンディ&フィラデルフィアO. の「悲愴」はとても気に入っています。
ふくよかな響き・・・そうですよね、なにか温もりのようなもの、優しさのようなものも感じています。
木管や金管楽器もよく聴き取れて見通しの良い演奏のようにも思います。
私も同じくオーマンディ&フィラデルフィアO.は手放すことのできない、目下のベスト盤になっています。
いろいろな演奏を聴いてゆくと、他にも素晴らしい演奏にも出合うことができそうですね。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2015.02/11 19:45分
  • [Edit]

NoTitle

こんばんは。
「悲愴」は、好きな曲の5本指に入ります。始めはカラヤンとフィルハーモニア管弦楽団の演奏でした。いまでも好きな演奏です。
オーマンディも素晴らしい。ふくよかな響きがとても心地よい。手放せない1枚です。

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