♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.325 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第30番」 by ブッフビンダー

過日、シュナーベルベートーヴェンピアノ・ソナタを聴き
すっかりベートーヴェンピアノ・ソナタの虜になっている日々が続いています。
目下、一番のお気に入りになっているソナタ第30番。
私にとってベートーヴェンピアノ・ソナタの基準(?)はシュナーベルですが
今日はブッフビンダーです。
兼ねてからベートーヴェンピアノ・ソナタで気になる存在の一人だったのが
ブッフビンダー
演奏を聴くのは今回が初めてです。

                ベートーヴェンピアノ・ソナタ第30番
          ブッフビンダーベートーヴェンピアノ・ソナタ全集より


             325:ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番 ブッフビンダー;ピアノソナタ全集より
                         (収録曲)

            ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第30番 ホ長調 Op.109
                      ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 Op.110
                      ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 Op.111

                   ルドルフ・ブッフビンダー(P)
              
                 (録音:2010-2011 
                      ドレスデン・ゼンバーオパーでのライヴ)


        第1楽章:ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ ホ長調 2/4拍子
        第2楽章:プレスティッシモ ホ短調 6/8拍子
        第3楽章:アンダンテ・モルト・カンタービレ・エド・エスプレッシーヴォ
              ホ長調 3/4拍子



曲の完成は1820年秋、あるいは1821年であるのかは不詳とのことですが
手元の大木正興氏の解説によると1820年の晩夏、との記載になっています。
ベートーヴェン50歳頃でしょうか。

1818年にピアノ・ソナタ「ハンマークラヴィーア」が完成した翌年の
1819年からは「ミサ・ソレムニス」に取り掛かり豊かな創作活動が始まったそうです。
「ミサ・ソレムニス」を作曲中に「ディアヴェり変奏曲」が書かれ
「第9交響曲」にも着手したとのことです。
この間にピアノ・ソナタ作品109から110,111の3曲が完成したそうです。

曲はベートーヴェンと古くから交際があったブレンターノ家の
当時18歳のマクシミリアーネ・ブレンターノに献呈されたそうです。
マクシミリアーネの父親は富裕な商人で詩人としても活躍し
ベートーヴェンを経済的に援助したこともあったそうです。
尚、義妹のべッティーナはベートーヴェンとゲーテの仲介者だったとのこと。
母親のアントニエには「ディアヴェり変奏曲」を贈ったそうです。


各楽章についての感想ですが
ブッフビンダーの演奏は第1楽章の開始から戸惑いを感じてしまい
シュナーベルの演奏を聴きつつ記したものになります。

第1楽章は第1主題での始まり。
この主題の素朴な雰囲気で柔和な調べに曲の開始から惹かれます。
第2主題が現れ重量を感じる主題。
ピアノの低音域が強調され重厚で重々しい旋律。
2つの主題を経てピアノの美しいアルペッジョに耳を奪われます。
愛らしい第1主題の調べが静かに奏されつつ楽章の終わりに。

前楽章からアタッカで第2楽章に。
勢いよく始まる第2楽章。
力が漲るような第1主題。
穏やかな調べの後に一瞬のように現れる第2主題。
その調べはピアノの囁きのようにも。
一転して力強い動的な旋律に。
劇的な趣で迎える楽章の終わり。

第3楽章は変奏曲形式だそうです。
主題と6つの変奏曲から成っているとのこと。
柔和な穏やかさで始まる主題。
ベートーヴェンは “Gesangvoll, mit innigster Empfindung”
「歌うように。心の底からの感動をもって」と記しているとのことです。
主題の美しさ。ゆったりと静かな調べ。簡素で素朴な調べ。
永遠に続いて欲しいと願いたくなる優しい温もりに満ちた調べ。
優しく回顧をするような趣が漂っているように感じられます
耳を傾けていると浄化されるよう気持ちになるようです。
主題に聴き惚れているうちに第1変奏の始まり。
第1変奏で優美な趣を見せるピアノ。
軽やかさと重々しさが融合されたような第2変奏。
第3変奏では鋭角的なスタッカートと動的に刻まれる旋律に漂う漲る力。
第4変奏で趣が一転して幻想的な雰囲気に。
厳粛な趣の第5変奏。
第6変奏での主題は聴き取り易く、次第に速度が上がり激しく力強く。
雪崩のように左手のパッセージが続く中、右手で奏される主題が印象的。
変奏が終わり再び戻る主題。
ピアノが歌うこの優しく美しい調べのうちに迎える曲の終わり。
この楽章の主題は琴線に触れるものがあり強く印象に残ります。


初めてこの曲を聴き魅了されたのはシュナーベルの演奏でした。
第29番とのカプリングでしたので第29番を聴き終え
第30番のこの曲が流れてきた時には緊張が解されホッとするものを感じました。
この曲の第1楽章の第1主題と第3楽章の主題には完全に虜になってしまいました。

初めて聴くブッフビンダー。
ブッフビンダーは1980年代にソナタ全曲録音をしていたそうです。
今回聴いた全集は全曲録音から30年振りのライヴでの再録音になるとのこと。

第1楽章の始まりの第1主題からかなり装飾されているような印象を受けます。
曲が鳴り始めた瞬間に「曲を間違えた?」と戸惑を抱いてしまいました。
即物的な味気なさのようなものも感じられるようです。
ですが聴き進み、幾度が繰り返し聴くうちに演奏に大らかさを感じるようになりました。
華麗で開放的。骨太の演奏のように感じられます。
感情に訴えかける演奏というよりも客観的に楽譜と対峙しているような演奏でしょうか。
この曲に抱いているイメージが多少、変わるような演奏とも感じられますが
ブッフビンダーが弾く他の曲にも関心が湧いてきました。

第30番の手持ちのディスク数枚を聴いてみました。
シュナーベル以外に印象深く心に刻まれるのはリヒテルです。
特に第3楽章の主題は素朴、朴訥に紡ぎ出される一音一音。
曲全体からも温もり、しみじみとした趣が伝わってくるようです。

第30番に出合い・・・大袈裟な言い方になりますが「生きていて良かった」
との一言です。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴く旅はまだ一歩を踏み出したばかりですが
じっくりと時間をかけて全曲を聴いてみたいと思います。


さて、いつもの蛇足です。井戸端会議のオバサン話。自分のメモとして。
ショップ・サイトにブッフビンダーの言葉が記載されていましたので引用を。
この記述の中で「ソナタには18以上の印刷譜が存在」とのこと。
シュナーベルも自身でソナタを校訂して演奏、印刷をしたそうですし
ブッフビンダーもまた・・・校訂しての演奏で。
となると・・・ベートーヴェン本来の曲は・・・??? が。
以下、ブッフビンダー。
「これまで40回以上のベートーヴェンのソナタ全曲演奏をしてきました。毎回の自分の研究によって、演奏は進化しています。
毎回違った弾き方になってしまうほど、アイデアが楽譜に刻まれています。
ソナタには18以上の印刷譜が存在していますが、自筆譜は意外と残っていません。
リストは最高のピアニスト&作曲家でありベートーヴェンを崇拝しベートーヴェンの楽譜を校訂しましたが、彼なりの楽譜への大がかりな書き込みによってフィンガリングなどベートーヴェンの全てのものが流されてしまいました。
これが現代通常に演奏される楽譜の元になっているのです。
私はできる限りそれ以前にロールバックし、歴史的楽器の仕組みを探求し(実際にシュタインなどの楽器を所有)、現代ピアノ演奏解釈に取り入れました。
ベートーヴェンの32曲の中に彼の生活の全てが内包されています。そこには、女性への報われない恋心も、パトロンへの感謝の気持ちも見て取れることができます。」

                 
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Comment

Re: ベートーベンのピアノソナタ第30番

たつさま、こんにちは。
コメントをありがとうございます。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第30番はとてもお好きなのですね。
私はつい最近、聴き大好きになりました。本当に良い曲ですね。

アシュケナージは美しい表現で素晴らしい演奏とのことですので是非、聴きたくなりました。
ショップ・サイトで探しましたらアシュケナージはソナタ全曲も録音しているようですね。
アシュケナージの演奏で第30番は是非とも聴きたくなりました。できればソナタ全曲を。
近日中に全集を求めて聴いてみたいと思います。
アシュケナージで第30番を聴くことができる日を楽しみにしつつ。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2016.03/11 16:34分
  • [Edit]

ベートーベンのピアノソナタ第30番

 こんにちわ
ベートーヴェンのピアノソナタでは30番が最高に好きです。
手持ちの録音はアシュケナージの演奏ですが、素晴らしい演奏と感じています。
他のピアニストの演奏はユーチューブで聴いてみましたが、第1楽章冒頭のアルペジオ風のテーマはアシュケナージがすっごく美しい表現をしていると思いました。
ブッフビンダーという名前さえも知らない私ですが、彼の演奏で30番を聴いてみたいですね。
大好きなこの作品を取り上げてくださり、ありがとうございます。
  • posted by たつ
  • URL
  • 2016.03/10 21:27分
  • [Edit]

Re: シュナーベルは僕もお気に入りです

burleskeさま、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

ソナタ第30番、シュナーベルとリヒテルはburleskeさまもお気に入りなのですね。
良いですよね、曲も演奏も。
ゼルキンは私もお気に入りで前述の二人の演奏とともによく聴くようになりました。
ケンプはまだ・・・なのです。できれば全集をと・・・迷っている最中です。
ブッフビンダーはピアノ協奏曲全集の方をお持ちなのですね。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集は気になるピア二スト、好きなピアニストのものはできるだけ求めて聴くようにしているのでブッフビンダーのピアノ協奏曲全集に食指が動いてきました。

>ベートーヴェンの作品の校訂はピアノ・ソナタだけじゃなく、交響曲にもいろいろあるみたいで
校訂版・・・とか、本当にややこしいのですね。
だいぶ以前にベートーヴェンの交響曲第5番。
スィトナーはギュルケ版で演奏していると教えてくださったことを思い出しました。
早速、ディスクを求めて聴いたものでした。
burleskeさまのギュルケ版とのご指摘を念頭にしていなければ私などは気付かずのままで・・・。
あまり校訂について拘ることはないのかもしれませんね。

>これが決定版というのはないみたいです。
それがまた、面白さ なのかも・・・と思うようになりました。

いつもありがとうございますm(__)m
  • posted by lumino
  • URL
  • 2016.03/07 19:47分
  • [Edit]

シュナーベルは僕もお気に入りです

シュナーベルとリヒテルのベートーヴェンのピアノ・ソナタ第30番の演奏は僕もお気に入りです。
他にはケンプとゼルキンの演奏も好きです。
ブッフビンダーのベートーヴェンのソナタは聴いたことありませんが、ベートーヴェンのビアノ協奏曲の全集なら持っています。ウィーン情緒の感じられる演奏で、なかなか良いですよ。

ベートーヴェンの作品の校訂はピアノ・ソナタだけじゃなく、交響曲にもいろいろあるみたいで、これが決定版というのはないみたいです。
なんかややこしいですね。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2016.03/06 17:49分
  • [Edit]

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