♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.336 シューマン:「子供の情景」 by エッシェンバッハ

昔々、初めてシューベルトのピアノ五重奏曲「ます」を聴いたのは
エッシェンバッハ&ケッケルト四重奏団でした。
彼らの名前に懐かしさを感じて過日求めたディスクからです。
お目当てはシューベルトでシューマンの「子供の情景」はオマケ的に
思っていました。
が、第1曲の「見知らぬ国」が流れてきた瞬間から耳を奪われてしまいました。
子供の情景」にじっくりと耳を傾けるのは初めてです。
この曲集で知っているのは有名な「トロイメライ」だけでしたが
13曲には多種多様な趣があり一曲一曲に耳を奪われてしまいました。


                  シューマン:「子供の情景
                         by
                     エッシェンバッハ


            336シューマン「子供の情景」エッシェンバッハ(シューベルト「ます」)
                        (収録曲)

           シューベルト:ピアノ五重奏曲 イ長調 D.667「ます」
                   ノットゥルノ 変ホ長調 D.897
           シューマン子供の情景 Op.15
                   アベック変奏曲 Op.1

                クリストフ・エッシェンバッハ(P)
            (録音:「子供の情景」1966年4月
                  ハノーファー ベートーヴェン・ザール)


この曲集は13曲からなり、各曲に標題が付けられているそうです。

              336シューマン:(wikiドイツ)Schumann Kinderszenen Op15 Score 1st page
               「子供の情景」初版のタイトルページ


              第1曲:見知らぬ国から ト長調 2/4拍子 
              第2曲:珍しいお話 ニ長調 3/4拍子 
              第3曲:鬼ごっこ ロ短調 2/4拍子 
              第4曲:おねだり ニ長調 2/4拍子 
              第5曲:幸せいっぱい ニ長調 2/4拍子 
              第6曲:重大なでき事 イ長調 3/4拍子 
              第7曲:トロイメライ ヘ長調 4/4拍子 
              第8曲:炉辺にて ヘ長調 2/4拍子 
              第9曲:木馬の騎士 ハ長調 3/4拍子 
              第10曲:むきになって 嬰ト短調2/8拍子 
              第11曲:怖がらせ ト長調 2/4拍子 
              第12曲:子供は眠る ホ短調 2/4拍子 
              第13曲:詩人は語る ト長調 4/4拍子


童心に帰り子どもの世界を幻想的にピアノで描き出したこのピアノ曲集は
1838年に書き上げられたそうです。
全13曲からなり各曲には標題が付けられているとのことです。
標題についてシューマンの言は次のように。
「各曲ができあがってから付けられたもので、演奏や理解がし易いように
与えた指示にほかならない」

クララ宛の書簡の日付により1838年3月18日には曲の30点ほどのスケッチから
12点が選び出され、4月には曲集に入念な手入れがされたそうです。
尚、13番目に書かれた曲はどの曲であるかは不明とのこと。

この曲集はシューマンの最も充実した創作力の時期に作曲されたそうです。
K.H.ヴェルナーはこの曲集について次のように表現しているとのこと。
「『子供の情景』は、若い心を保った大人たちのための曲集である」
シューマン自身は「子供の情景」や「クライスレリアーナ」を自分の最高傑作の
中に入れていたそうです。

クララとまだ結婚をする前の1838年3月18日付けクララ宛の書簡で
シューマンは次のように綴っているそうです。

「今、僕は音楽一杯で張り裂けそうな気がすることがよくあります。何を作曲したのか
忘れないうちに書いておきますと――いつか君は僕に書いたでしょう、『時々あなたは子供のように思えます』って。
この言葉の余韻の中で作曲したのです。つまり、これがまるで魔法の筆のような働き
をして、30ものちっちゃな可愛いやつが書けました。そこから13曲選び出して、『子供の情景』と名付けた訳です。
ピアノの大家からみると大して面白くはないかも知れませんが、あなたはきっと興味を持ってくれるでしょう。
私はこの曲集を誇りに思っていますし、私がこれを演奏すると、特に私自身に大きな感銘を与えられるのです」

この「子供の情景」や「クライスレリアーナ」においてシューマンが
子どもの世界を取り上げたのは当時のドイツのロマン主義の文学からの
強い影響を受けたことが考えられるそうです。
当時のドイツ文学界では子供の世界に目を向けた作品が多く現れ
始めていたとのことです。
それと関連して18世紀から19世紀にかけての作曲家たちには
子どもの世界を扱ったサロン向きの小品も好まれていたそうです。


第7曲目の有名な「トロイメライ」しか記憶にないのですが
もっと早くこの曲集に耳を傾けていればよかった、との後悔の念も。
暖かな温もりが伝わってくるような曲集。

13曲のなかで特にお気に入りは第1、4、8、10、12、13曲です。
抜粋になりますが各曲の感想を。

第1曲の「見知らぬ国から」
穏やかな曲で初めて耳にしたのですが親しみを感じます。
嘗て聴いたことがあるような懐かしさも。

第2曲「珍しいお話」は弾むような軽快で楽しげな旋律。

第4曲「おねだり」では夢見るような甘い感じが漂っているようです。
この曲について前田昭雄氏は次のように記述されています。
「おねだりする子供は可愛い。そういう可愛い子供のポートレートを、ロベルトお兄さんは慈しんで描いている。一つには子供好きなので、一つには彼自身子供のようなところがあったから。ロマンティカーとして、このお兄さんん自身、可愛く甘えるところがあったから」

第5曲「幸せいっぱい」、伸びやかな歌のようです。
再び前田氏の記述によると「幸せいっぱいの子供を見るお兄さんの喜びでもあるのだが、ここにシューマン自身の喜びの時を投影させてもいる」

第7曲は有名な「トロイメライ」。2月24日に作曲されているそうです。
可愛い夢というような意味だそうです。
いつもこの旋律が耳に入ると悲しい気分になってしまうのですが。

第8曲「炉辺にて」
自筆譜からこの曲は「トロイメライ」の翌日に作曲されたそうです。
第7曲の「トロイメライ」とは変奏関係にあるとのこと。
柔和で穏やかな調べで心が解されるようです。

第10曲「むきになって」。原題の直訳は「ほとんど真面目すぎるくらい」とのこと。
静かに淡々と紡がれる調べ。ホッと寛ぎを感じる調べです。

第11曲「嫌がらせ」は茶目っ気を感じさせる曲。
前田昭雄氏は次のような一つのエピソードを挙げています。
「若いシューマンはピアノを弾きながら子供に話しを聞かせるのが好きだったそうです。クララの少女時代に大学生のお兄さんロベルトは、お化けの話をしてクララを怖がらせたこともよくあった」とか。

第12曲「子どもは眠る」
眠っている子供ではなく、うつらうつらとまどろむ子供の状態を表しているそうです。
ゆったりと穏やかな調べで曲集では一番のお気に入りです。

第13曲「詩人は語る」
夢幻的な趣が漂う静かな曲。


曲集の一曲一曲に魅力が溢れているようです。
温かく包みこんでくれるような曲集。
エッシェンバッハのピアノからも子供の世界を垣間見る想いがするようです。
エッシェンバッハは1940年生まれだそうですのでこの曲集を録音した時は
26歳頃でしょうか。
現在76歳。
録音当時から50年が経ち、もし今エッシェンバッハがこの曲集を録音するとしたら
どのような演奏になるのでしょうか。

自分にとっては遠い遠い子供時代。
この曲集を聴きつつ過ぎ去った子供時代への回顧の想いが懐かしく
心に浮かぶとともに
シューマンの心の温もりが伝わってくるようで共鳴し感慨深く耳を傾けていました。

最後もまた、前田昭雄氏で。
この曲集についての氏の記述で心に残った一言です。
「シューマンは夢を音楽する詩人だった」

                  
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Comment

Re: 「子供の情景」、良いですね

burleskeさま
コメントをありがとうございます。

「子供の情景」全曲を聴かなければシューマンのピアノ曲の素晴らしさに気付くことがなかったように思います。
全曲をじっくり聴くと、本当に良いですね。
「謝肉祭」「クライスレリアーナ」はまだ聴いたことがないのです。
是非、聴いてみたくなりました。
これを機会にシューマンの他のピアノ曲も聴いてみたいと思うようになりました。

「子供の情景」のお気に入りはホロヴィッツとケンプだそうですね。
エッシェンバッハのこちらの演奏しか手持ちのディスクがなくて・・・。

エッシェンバッハはもうピアノ曲の録音をなさらならないのでしょうかね。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2016.05/23 19:37分
  • [Edit]

「子供の情景」、良いですね

「子供の情景」というと「トロイメライ」を思い浮かべますが、全曲じっくりと聴くと良いですよねぇ。
シューマンのピアノ曲は「謝肉祭」や「クライスレリアーナ」など小品集みたいな感じの作品が多いですが、馴染むとどれも素敵な作品で、聴き惚れてしまいますね。
「子供の情景」ではホロヴィッツとケンプがお気に入りです。

ちなみに、エッシェンバッハは若いころはピアニストとして活躍していましたが、最近はもっぱら指揮者として活動しているみたいですよ。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2016.05/22 19:31分
  • [Edit]

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