2016.06/11(Sat)

Op.339 シューベルト:歌曲「死と乙女」D.531 by ディースカウ&ムーア;スゼー&ボールドウィン

前回、シューベルトの弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」の編曲版を聴き
歌曲の「死と乙女」に耳を傾けてみました。
シューベルト歌曲は大好きなのですが、苦手な歌曲の中の一つが「死と乙女」。

ディースカウ&ムーア と 最近のお気に入り、ジェラール・スゼー
このお二人の歌で聴いてみました。


             D.F=ディースカウシューベルト歌曲全集より
               シューベルト歌曲全集byディスカウ

                      D.F=ディースカウ(Br)  
                      ジェラルド・ムーア(P)  
                      (録音:1966-68年頃)


        ジェラール・スゼー~Schubert: Favourite Liederより
               330「水車小屋」Schubert: Favourite Lieder

                    ジェラール・スゼー(Br)
                    ダルトン・ボールドウィン(P)
                     (録音:1961-67年頃)


作曲されたのは1812年2月、シューベルト20歳の時だそうです。
詩はマティアス・クラウディウス
クラウディウスはドイツの抒情詩人、新聞記者とのことです。

              338シューベルト「死と乙女」弦楽合奏版Matthias Claudius
                     Matthias Claudius
               (1740年8月15日-1815年1月21日)

シューベルトはクラウディウスの詩のうち約10編に付曲をしているそうです。
死と乙女」の他に知られているのは「ナイチンゲールに寄す」とのこと。

詩は短く、病床の少女と死との対話で書かれているそうです。
通作形式。二短調、2/2拍子 「中庸の速さで」 の指定。

尚、Wkipedia によると
ドイツでは昔から、死は眠りの兄弟である、と言われているそうです。
この曲でも「死」は一つの永遠の安息として描かれているとのことです。

この曲の「死」についての概念は演奏者により異なるようで・・・。
従来はフョードル・シャリアピンに代表されるように「死」を恐るべき死神と捉え
死神の語る言葉は誘惑、脅かしである、とする解釈が一般的だったそうです。
それに対してジェラルド・ムーアなどは最後の美しいコラールは
脅かしではなく、真の安息であると主張しているとのことです。
前回の弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」にも綴ったリストの言葉を思い出します。
第2楽章結びの美しいコラールを聴いたリストは
 「実際、まさにこのようにして乙女は天へ昇っていくのだ」
と讃嘆したとのこと。


2人のバリトンで聴いた「死と乙女」
1925年に生まれ87歳で逝去されたディースカウ
1918年生まれで86歳で逝去されたスゼー
演奏時間は ディースカウ 2分30秒 : スゼー 3分19秒
録音は共に1960年代。
ディースカウは46-8歳頃の録音でしょうか。
一方のスゼーもまた43-49歳頃の録音のようです。

先ずはディースカウが歌う「死と乙女」です。
ピアノの前奏を聴き弦楽四重奏曲の「死と乙女」が脳裏に甦り
懐かしい気持ちに。

始まりの乙女の歌詞、第1節では乙女の悲痛な叫びを想わせるように歌われ
第2節からは死神に対する哀願のような歌唱で。
各節で微妙に変化をする乙女の心理描写が
ディースカウの歌唱では端的に表現されているように感じられます。
死神が乙女に語る4つの節においては
柔和に優しく語りかけるように歌い上げるディースカウ。
死神のイメージである不気味さなどをまったく感じさせない歌い方。
ディースカウのこの歌唱を聴き 死が永遠の安息 ということが
伝わってくるようです。

次に聴いたスゼー&ボールドウィンです。
デイースカウ&ムーアとは対照的に速度をかなり遅く設定し
曲の印象も違うものを感じるようです。
ピアノの前奏から遅いテンポです。
乙女の各4節の歌詞を歌うスゼーからは
死神に対する恐怖に覆い尽くされた乙女の気持ちが伝わるようです。
死神の歌詞では第1節からゆっくりとした不気味な死神の語りかけ。
一貫して死神の不気味な暗さが漂っているように感じられます。
乙女の恐怖心と死神の不気味な雰囲気に緊張を感じてしまうようです。

ディースカウの歌で聴き「死と乙女」に嘗てなく共鳴する点も感じられました。
嘗ては聴き流してしまう曲でしたが
今回、初めてじっくりと耳を傾けつつ曲の味わいを噛みしめることができたように
思います。

     2016 317ライン イラスト

            死と乙女:Der Tod und das Mädchen D.531
                (詩:マティアス・クラウディウス

            (乙女)
              「あっちへ行って!ああ、あっちへ行って!
              来ないで、無法な骸骨の姿をした死神!
              わたしはまだ若いの行ってください、心ある方!
              どうか わたしに触らないで」

            (死)
              「その手をお出し、美しくか弱い娘よ、
              わたしはお前の友、責めに来た訳ではない。
              しっかり落ち着いて!わたしは乱暴はしない、
              わたしの腕の中で穏やかにお眠り」
                         (訳:若林氏 引用)

            (原詩引用)

              Das Mädchen:
              "Vorüber! ach, vorüber!
              Geh, wilder Knochenmann!
              Ich bin noch jung, geh, Lieber!
              Und rühre mich nicht an."

              Der Tod:
              "Gib deine Hand, du söhon und zart Gebild’
              Bin Freund und komme nicht zu strafen.
              Sei gutes Muts! Ich bin nicht wild,
              Sollst sanft in meinen Armen schlafen."

                   
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タグ : シューベルト 歌曲 死と乙女 ディースカウ スゼー クラウディウス

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Comment

●Re: 「死と乙女」は・・・

burleskeさま
コメントをありがとうございます。

burleskeさまは「死と乙女」は歌曲よりも弦楽四重奏曲の方がお好みのようですね。
この歌曲を聴きつつシューベルトの歌曲大好き人間でありながら「弦楽四重奏曲の方が良いなぁ」と内心感じてしまいました。

弦楽四重奏曲の「死と乙女」でburleskeさまがお気に入りの演奏の中の一つにブッシュ四重奏団の名前を拝見し、A.ブッシュ&ブッシュ四重奏団のBOXを出してきました。
お寄せいたいたコメントを拝読して初めて収録されていることに気付いた有様です。
早速、楽しみに聴いてみますね。
lumino | 2016.06.13(月) 19:48 | URL | コメント編集

●「死と乙女」は・・・

「死と乙女」は弦楽四重奏曲の方は僕のお気に入りの曲なのですが、歌曲の方はディースカウ&ムーアくらいしか持っていません。
歌曲もじっくりと耳を傾けると良いのですけどねぇ。
スゼーも聴いてみたいですね。

ちなみに弦楽四重奏曲の「死と乙女」では、ライプツィヒSQ、タカーチQ、メロスQ、ブッシュQがお気に入りです。
burleske | 2016.06.12(日) 19:45 | URL | コメント編集

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