♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.341 ベートーヴェン:「ピアノ協奏曲第5番『皇帝』」 by シフ;ハイティンク&ドレスデン・シュターツカペレ

クラシック音楽に傾倒し始めたのは昔々のことです。
ベートーヴェンに惹き込まれた契機となった「三重協奏曲」。
以来、すっかりクラシック音楽の虜になり耳する作品に心ときめいたものでした。
ベートーヴェンを聴いていると遠く過ぎ去った昔を想い出し
過去に帰ることはできないものの、心だけは過去に帰ることができるように
感じられます。
ピアノ協奏曲第5番「皇帝」は想い出深い曲です。
初めて求めたLPがベートーヴェンピアノ協奏曲第5番でした。
LP時代には現在のように○○全集などを安直に求めることができず
一枚一枚、店頭で求めたベートーヴェンピアノ協奏曲のLPたち。
曲の演奏者たちは違いますが自分には宝物のベートーヴェンピアノ協奏曲全集。

想い出深い「皇帝」。
以来、云十年が経ち現在では求めやすくなった○○全集。
印象深い「皇帝」に出合いました。
シフのピアノ、ハイティンクドレスデン・シュターツカペレの演奏です。

               ベートーヴェンピアノ協奏曲第5番「皇帝
         アンドラーシュ・シフ~ベートーヴェン:ピアノ協奏曲全集より


            341:ベートーヴェン:「皇帝」 全集シフ;ハイティンク&ドレスデン・シュターツカペレ
                         (収録曲)
                       ベートーヴェン
               ピアノ協奏曲第4番 ト長調 Op.58
               ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 Op.73「皇帝

                   アンドラーシュ・シフ(P)
                   ベルナルト・ハイティンク指揮
                   ドレスデン・シュターツカペレ
                       (録音:1996年)


                   第1楽章:Allegro
                   第2楽章:Adagio un poco mosso
                   第3楽章:Rondo Allegro


作曲されたのは1809年。
セイヤーによると1809年2月から10月にかけて作曲されたとのことです。
(異説もあるようです)

ベートーヴェンは35歳から40歳の5年間に戦争を2回経験をしているそうです。
1805年と1809年の2回にわたるナポレオン軍との戦い。
2回ともオーストリア軍は惨敗しウィーンはナポレオン軍により占領されたとのことです。
この曲が作曲されたのはこの2回目の戦いでウィーンがナポレオン軍の猛攻に
さらされた時期に当たるそうです。
戦後の混乱は長く続いたとのことでベートーヴェンの生活にも大きな影響があったようです。

さて、「皇帝」として親しまれているこの曲ですがベートーヴェンが付けた呼称ではないとのこと。
この呼称は日本や英語系の国では多く使われているそうですが
皇帝に特別の関係はなく曲そのものが堂々として豪壮であり
偉風に富んでおり、ピアノ協奏曲の中の皇帝のような地位を占めるもので
あるということから付けられた呼称とされているとのことです。


               341ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番シュナイダー
               Johann Christian Friedrich Schneider
               (1786年1月3日-1853年11月3日)

初演は1811年11月28日にライプツィヒのゲヴァントハウスにおいて
ドイツの作曲家でオルガ二ストのヨハン・フリードリヒ・シュナイダーの
ピアノ独奏でライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏で行われたそうです。
ウィーンでの初演は翌年1812年2月15日にチェルニーのピアノ独奏で行われたとのこと。
以降、この曲はベートーヴェンの存命中に演奏されたとの記録はないそうです。
献呈はルドルフ大公に。


第1楽章の始まりはオーケストラに続いてすぐに現れるピアノのカデンツァ。
オーケストラが端正な力強さであるなら、シフのピアノのカデンツァも端正。
未だかつて耳にしたことのないピアニズム。
オーケストラは悠然とした趣で重厚な響きでありつつも漂う爽やかさ。
ピアノはまるでフォルテピアノのような音質で極力抑えられた響き。
旋律線が克明に感じられます。
またピアノの愛らしい響きが印象的。

悠然と穏やかなオーケストラの旋律で始まる第2楽章。
長閑さが漂うような旋律を歌うオーケストラ。
静かに現れるピアノ。
ピアノとオーケストラの夢見るような語りを聴いているようです。
シフのピアノは瞑想でもするかのように伝わってきます。
オーケストラとピアノが奏する静かで美しい旋律。
木管の穏やかな調べに寄り添うピアノの語らいが暫し続き
ピアノが呟くように奏されつつそのまま第3楽章に。

生き生きと弾むピアノの旋律で始まる第3楽章。
オーケストラも生き生きとして。  
華麗な主題を軽やかに奏するピアノとオーケストラ。
シフのピアノは控えた華麗さのように感じられます。
華麗なこの楽章では
殊更にピアノとオーケストラが控え目で、おとなしい印象を受けます。
曲の終わりは力強く大らかに。


この全集を求めてから半年が経ってしまいました。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲の中でやはり聴く機会が最も多いのが第5番です。
耳に馴染みのある第5番から聴き始めてみました。
初めて聴き今まで聴いてきた他の演奏とはかなり違う印象を受けました。
シフの響きを抑えたピアノに始めは戸惑いや物足りなさも感じましたが
聴き直してみると一転して虜になる演奏。

今まで聴いてきた演奏は雄大で華麗、覇気を感じさせるものがほとんどだったように
思います。
長年、それがこの曲に対するイメージになっていました。
シフのピアニズムはそのイメージを覆すような演奏に感じられます。
オーケストラは雄大な趣を示しつつも全体に控え目な演奏。
ピアノ、オーケストラともに端正な表現でおとなしい「皇帝」でしょうか。
気負いがなく、楷書を想わせる演奏にも感じられます。
いつものように一音一音を克明に聴き取ることができるシフの
ピアニズムから生まれる明瞭な旋律線。
他の演奏では聴き取ることができなかったピアノの音が耳に入り
新しい発見も幾つか。
初め聴いた時には物足りなさを感じる演奏でしたが
じっくりと聴かせる好感を抱く演奏のように思われてきました。

他の4曲のピアノ協奏曲も聴いてみました。
4曲ともシフの演奏に聴き入るばかり。
第5番の第2楽章の美しさに気付かされたのは近年になってからなのですが
今回、シフの演奏で聴き他の4曲、特に第3番の緩徐楽章の美しさに
初めて触れることができたようにも感じています。
ハイティンク&ドレスデン・シュターツカペレも気負うところがなく
好ましい「皇帝」に出合うことができたようです。


いつもの蛇足です。井戸端会議のオバサン話。メモとして。
この曲、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番が作曲された1809年は
ベートーヴェンにとっても、またオーストリアにとっても大変な年だったそうです。
前述と重複しますが、1809年にナポレオン軍にオーストリア軍は惨敗し5月にはナポレオン軍によって占領されたウィーン。
ナポレオン軍のウィーン進撃によりウィーンの皇族や貴族、金持ちたちは先を争いウィーンを脱出したそうです。
ベートーヴェンの保護者の貴族たちもウィーンを逃れ、ベートーヴェンは財政的援助を受けられなくなったとのことです。
ベートーヴェンの保護者のルドルフ大公もウィーンを去ってしまったとのこと。
親しくしていた貴族たちが次々とウィーンを見捨て出ていく中でベートーヴェンは
住み着いたウィーンから一歩も離れようとはしなかったそうです。
因みにウィーンへの攻撃を終えナポレオンは5月13日に入城を果たし、その18日後の5月31日にハイドンがウィーンで77歳の生涯を閉じたとのことです。
11月にはウィーンを去った人々も戻り始め、ルドルフ大公も9カ月振りにウィーンに戻ってきたそうです。
戦後の混乱が長く続きベートーヴェンにとって切実な問題だったのは毎年夏になると出かけていたウィーン郊外に出かけることができなくなったことだったそうです。
ウィーン郊外での生活はベートーヴェンにとっては創作活動の重要な意義を持ていたとのこと。
この協奏曲を書き上げた後、ベートーヴェンはしばらく創作には積極的ではなかったそうです。

この当時のベートーヴェンのエピソードが目に付きました。
ウィーンは市内各所にフランス軍の兵士たちが我がもの顔にのさばっていたそうです。
熱血漢のベートーヴェンは彼らの横行を苦々しく思い、ある時、怒りが頂点に達したベートーヴェンは拳を振り上げてフランス士官に次のように叫んだそうです。
「わたしが対位法を知っているほどに軍事学を知っていたら、お前らに目にものを見せてやるのだが!」


                   
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Comment

Re: シフのベートヴェン

bulreskeさま
コメントをいつもありがとうございます。

こちらのシフの全集をお持ちだったのですね。
本当に素敵な演奏ですね。
> 最近の「皇帝」は昔のように雄大で華麗な演奏よりも、こういう端正で美しい演奏の方が多いみたいです。
演奏に流行もあるのでしょうか。古楽器のピリオド奏法などの台頭で「皇帝」にも変化が生じてきたのでしょうかね。
コメントを拝読させていただきアンスネス&マーラー・チェンバー・オーケストラの演奏も聴いてみたくなりました。
早速、ショップ・サイトのカートに保存してきました。楽しみです。

シフのベートーヴェンでピアノ・ソナタ全集も素敵な演奏とのことですね。
こちらのピアノ協奏曲の全集に1曲だけピアノ・ソナタ第23番「熱情」が収録されていますね。
聴いてみました。
burleskeさまがおっしゃるように素敵な演奏ですね。
全曲をシフのピアノで聴きたくなってきました。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2016.06/27 20:02分
  • [Edit]

シフのベートヴェン

シフ&ハイティンクのベートーヴェンのピアノ協奏曲全集は僕も持っていますが、端正で美しく素敵な演奏ですよね。
最近の「皇帝」は昔のように雄大で華麗な演奏よりも、こういう端正で美しい演奏の方が多いみたいです。
なかではアンスネス&マーラー・チェンバー・オーケストラが透明感のある美しい演奏で気に入っています。

それから、シフのベートーヴェンではピアノ・ソナタの全集も素敵な演奏で良いですよ。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2016.06/26 19:10分
  • [Edit]

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