♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.357ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第5番」 by シュナーベル

過日、シュナーベルベートーヴェンピアノ・ソナタ全集(WARNER CLASSICS)
を求めたショップからディスクに音不良がありメーカーでの交換を、との趣旨の
メールが届きました。
問題のディスクは2枚目、ソナタ第5番第2楽章とのこと。

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第5番は未だ聴いたことがなかったような・・・。
不良個所の確認を兼ねて聴いてみることにしました。
問題の個所は1音が飛ぶ程度。
アナログ・レコードの針飛びのような。針飛びに比べればまったく良好。
今までシュナーベルでは 手元のDocuments の廉価盤を愛聴しており
敢えて手間、時間をかけて交換をする必要もないような。

さて、今回はヒョンなことから聴いた第5番を。
このソナタも魅力を感じます。

                 ベートーヴェンピアノ・ソナタ第5番
           シュナーベルベートーヴェンピアノ・ソナタ全集より


                357:ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第5番 シュナーベル
                          (収録曲)

                ベートーヴェンピアノ・ソナタ第2番Op.2-2
                          ピアノ・ソナタ第5番Op.10-1
                          ピアノ・ソナタ第6番Op.10-2
                          ピアノ・ソナタ第7番Op.10-3

                    アルトゥール・シュナーベル(P)
                       (録音:1932-37年)

           第1楽章:Allegro molto e con brio ハ短調 3/4拍子
           第2楽章:Adagio molto 変イ長調 2/4拍子
           第3楽章:Prestissimo ハ短調 2/2拍子


作曲時期について自筆譜は紛失しており
作品10の3曲、第5、6、7番の明確な年代は分からないそうです。
ソナタのスケッチから判断してノッテポームは1796年から98年の夏までの間に
3曲が完成との推定をしているとのことです。

各3曲は明確な特徴を持ち
作品10-1の第5番、作品10-2の第6番はベートーヴェンしては初めての3楽章構成
作品10-3の第6番は4楽章に戻り大きな音楽になっているとのことです。

各曲、内容的には
第4、5番はきびきびとした楽想
第3番は劇的でロマンティックなものだそうです。 
ここにベートーヴェンがいろいろなソナタを古典的簡潔さと内容の充実を
考え合わせながら規制の様式を抜け出していこうとする姿勢が
現れているとのことです。

作品10の3曲はブラウン伯爵夫人アンナ・マルガレーテに献呈されているそうです。
夫人は夫のヨハン・ゲオルク・ブラウン伯爵とともに
若いベートーヴェンの熱心な支持者だったとのことです。
因みにベートーヴェンは伯爵に弦楽三重奏曲(作品9の3曲)を献呈しているとのこと。
伯爵夫人は1803年5月13日にウィーンで他界。
ベートーヴェンはその死を悼み歌曲集「ゲレルトによる6つの歌」を作曲し
伯爵に贈ったそうです。


力強く始まる第1楽章。
活気のある第1主題での始まり。
経過部になり現れる第2主題は柔和な美しさ。
曲想は激しく高揚。
この楽章にはコーダは置かれていないそうです。
躍動する力強さのうちに終わる楽章。

前楽章とは一転して静かな美しい旋律で始まる第2楽章。
この第1主題の美しい旋律に聴き惚れてしまいます。
呟くかのように美しい調べを歌うピアノ。
第2主題も優しい美しさ。
第2楽章では展開部は省略されているとのことです。
再現部での詩情豊かな調べ。
心の内奥に語りかけるような調べ。
消え入るように静かに終わるこの楽章。

第3楽章は122小節の小さな楽章で演奏時間もごく短いそうです。
シュナーベルの演奏では3分49秒との表記。

気ぜわしげに始まる第3楽章。
第1主題の忙しげな動き。
ひと段落して現れる第2主題。
スタッカートで奏される第2主題は軽快に。
また華麗な趣も。
激情のような趣を経て音力が弱くなり迎える曲の終わり。


シュナーベルのピアニズムには硬質な印象を抱いていました。
この第5番の第2楽章を聴き演奏に抱いていた印象が少し変わりました。
繊細で柔和なタッチ。優しく語りかけるような演奏。
聴いていて美しく優しい調べに包みこまれるようです。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタは全集を求めても一気に聴き通すことがなく
思い出したかのように聴く年月。
この第5番も手持ちの他の演奏でも聴いてみたくなりました。


いつもの蛇足。井戸端会議のオバサン話。メモとして。
「20世紀の10大ピアニスト」(中川右介著)を参照、引用しつつ。

シュナーべルによる史上初のベートーヴェン、ピアノ・ソナタ全集は1932年から37年にかけて録音された、とのこと。
エンジニアとの間で試行錯誤が続き、シュナーベルは後に録音当時を「苦悩を経験し、絶望的な状態」「苦しみのために死んでしまうのではないか」と思うほどだった、と語っているどうです。
気楽にレコーディングに臨んでいるホロヴィッツやルービンシュタインとは大違いだったとか。
ソナタ32曲に続き、協奏曲も5曲すべてが録音され、さらに何曲かの変奏曲などベートーヴェンの主要ピアノ曲がほぼすべて録音されたとのことです。
量的に前代未聞なだけでなく、それまでのロマン派奏法ではピア二ストが勝手に楽譜から逸脱して思うままに演奏するのが普通だったそうですが、シュナーベルは楽譜に忠実な演奏という点でも画期的なものだったそうです。
シュナーベルは「ベートーヴェンを創出した男」とまで讃えられることになったとのこと。
「ベートーヴェン弾き」として知られるシュナーベルの名声は1920年代に確立されたそうです。
1927年、ベートーヴェンの没後100年の年にベルリンの民衆劇場における連続7回のリサイタルで、ベートーヴェンのソナタ32曲全曲を弾いたそうです。
そしてシュナーベルはこの32曲の楽譜の校訂もして出版されたとのことです。

全集はウォルター・レッグによると全15巻のシリーズとなり、全世界で8万ポンドの売り上げになったとか。
現在ではCDでは10枚に収まるが、当時片面4分程度のSP盤では数十枚となる超大型企画。
当時は現在の貨幣価値で数十万円もしたと思われるそうです。因みに現在は10枚セットで数千円。

この全集誕生の話として。
当時、ロンドンのHMVには、ピアニストとしてコルトー、ルービンシュタイン、バックハウスを擁し、さらにホロヴィッツもいたとのことですが、さらにシュナーベルもそのラインナップに加わったそうです。
当時のレコードは高価だったので、やたらには出せなかったとのことです。
コルトーやルーヴィンシュタインに比べればシュナーベルは地味なピアニストだったので、HMVとしては彼にリスクの大きな仕事をさせる気はなかったとか。
ここに一人の野心的な若いプロデューサー、ロンドンのフィルハーモニア管弦楽団のオーナーでもあった、かのウォルター・レッグの登場でシュナーベルのベートーヴェン、ピアノ・ソナタ全集誕生の糸口に。
レッグがレコード業界で名が知られるようになったのは1920年代後半の「協会」方式の発案だったそうです。
この時代はオーケストラの録音は始まったばかりで、売れ線のものはだいたいレコードになっていたとのこと。
残っているのは芸術的価値は高いが売れるかどうか分からないもので、レコード会社としても録音と発売に二の足を踏んでいたそうです。
レッグは録音する前にその計画を発表して予約を募り、一定数に達してから録音をして発売することを考えたとのことです。
その第1弾として企画されたのがフーゴー・ヴォルフの歌曲で、そのための組織「フーゴー・ヴォルフ・ソサエティ」が作られ会員が500名に達したので1932年4月に6枚組(SP盤)の歌曲集が発売されたそうです。
これと同じ方式で次の企画として立ち上げられたのがシュナーベルによるベートーヴェンのソナタ32曲の全集。
そのために「ベートーヴェン・ソサエティ」が作られたそうです。
そのような経緯を経てこの全集が誕生。

本文よりも長い、蛇足 になってしまいました。

                  
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Comment

Re: お早うございます…

rudolfさま、こんばんは。
お寄せくださるコメントは嬉しく、励みにもなっていますが
どうぞお気になさらないでくださいね。
私などはいつも押しかけコメント、雑談コメントで失礼ばかりで・・・。


> この時代にSPで全曲録音をしたということは凄いことですよね… それに 一つのスタンダードをしたことはシュナーベルの功績ですよね…

今回、シュナーベルとベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲録音について、シュナーベルはこの全集を完成させるのに艱難辛苦の想いをしたことなど多々、初めて知ることがありました。
シュナーベルの功績・・・そうなのですよね。偉大な功績、レコード史上の宝でしょうか。

こちらの全集から以前、rudolfさまは記事になさっていらっしゃいましたね。
私もruodlfさまと同じように古い演奏が好みなのです。
リマスタリングをされてどんどん音も良くなり、現在はリスナーにとっても幸いな時代なのでしょうか。
昔の蓄音器でSP盤を聴くことに憧れても・・・。
恵まれ過ぎる時代に生きる者の未知に対する憧れかも知れませんね(*^_^*)
  • posted by lumino
  • URL
  • 2016.10/20 19:56分
  • [Edit]

お早うございます…

luminoさま お早うございます

いつもコメントをいただきありがとうございます…
コメントをしようと思いながら…
申し訳ありません

シュナーベルのベトベン
この時代にSPで全曲録音をしたということは凄いことですよね… それに 一つのスタンダードをしたことはシュナーベルの功績ですよね…
私はわりと古い演奏が好きなので、この全集も2種類持っています、新しいものの方がかなり音が良くなっているように思います

いつもありがとうございます。
ミ(`w´彡)
  • posted by rudolf2006
  • URL
  • 2016.10/20 09:51分
  • [Edit]

Re: luminoさま、ありがとうございます

burleskeさま
コメントをありがとうございます。

burleskeさまもこちらのディスクをお持ちだったのですね。
今年の8月にディスクを求めていながらソナタの第5番は聴くこともないままで、購入先のショップからのメール連絡にて知りました。
そうなんですよね、第2楽章の終わり頃に。
ショップのメールにはドロップ・アウト(音不良)とのことで、確認のために聴いた次第です。

burleskeさまは交換を依頼されたそうですね。
10月中旬より良品が発送されるとのことですので早く新しいディスクが届くと良いですね。

このような機会がないと私もまだまだ聴くことがなかった第5番だったと思います。
第2楽章には完全に魅了されて聴き入ってしまい不良個所の確認で聴いていることを忘れかけてしまったりでした。
そうですよね、本当に素敵な作品ですね。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2016.10/17 20:01分
  • [Edit]

luminoさま、ありがとうございます

このWARNER CLASSICSのシュナーベルのベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集は僕ももっていますが、第5番の第2楽章で音飛びがあるのは知りませんでした。
早速聴いてみましたが、もう少しで第2楽章が終わるというところで音が飛ぶんですね。僕はこういうのは気になってしまうので、交換を依頼してしまいました。
僕の方にはショップからの通知もなく、luminoさまのこちらの記事を拝読しなければ、当分わからずじまいだったかも?
第5番のソナタとか滅多に聴かないですからね。
でも改めて耳にしてみると素敵な作品ですよね。
僕も他の演奏でも聴いてみようと思います。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2016.10/16 19:58分
  • [Edit]

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