♪クラシック音楽 さんぽみち♪〜第1楽章:CD&MUSIC BIRD

クラシック・ビギナーのCD及びCS-PCM放送のミュージック・バードを主とした音楽便りです。 敬愛する作曲家はベートーヴェン。 古典派〜ロマン派を中心に聴いています。 時には日常の雑感も。また、時には家族のコザクラインコの話も。ゆっくり、のんびりと。

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Op.374 チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」 by パールマン;アシュケナージ&ハレル

過日、パールマンのワーナー録音全集の Box より
ベートーヴェンのピアノ三重奏曲の記事にお寄せいただいたコメントを拝読し
チャイコフスキーピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」を聴いてみました。
この曲は嘗て他の演奏で聴いたことがありましたが
記憶に残っているのは第1楽章の第1主題の旋律だけで・・・。
聴いていて掴みにくい曲、とのイメージを抱いていました。
以来、数年を経て耳を傾けこの曲との出合いに喜びを感じています。
演奏はまた、パールマンのワーナー録音全集より
アシュケナージパールマンそしてハレルです。

         チャイコフスキーピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」
                 アシュケナージパールマンハレル
                  パールマン、ワーナー録音全集より

              (HMV)374 チャイコフスキー ピアノ三重奏曲『偉大な芸術家の思い出』 パールマン、アシュケナージ、ハレル
                          (収録曲)

     チャイコフスキーピアノ三重奏曲イ短調 Op.50 「偉大な芸術家の思い出に」
 
                 ウラディーミル・アシュケナージ(P)
                 イツァーク・パールマン(Vn)
                 リン・ハレル(Vc)
                      (録音:1980年)


作曲されたのは1882年、チャイコフスキー42歳の時だそうです。
前年の1881年3月23日にパリで急死をしたチャイコフスキーの先輩であり
恩人のような存在であるニコライ・ルビンシュテインの死を悼み書かれた曲とのこと。
ルビンシュテインの死に伴いモスクワ音楽院の初代校長であった
ルビンシュテインの後任とされたチャイコフスキーは辞退をし
同年の11月にローマに旅立だったそうです。
ローマ滞在中にルビンシュテインの死を悼み、その霊に捧げるために
このピアノ三重奏の作曲に着手をしたとのことです。

曲は2楽章構成だそうですが、第2楽章が2つの部分に分かれているので
3楽章構成とみることもできるとのこと。

楽譜には「ある偉大な芸術家を記念して」と記されているそうですが
偉大な芸術家とはニコライ・ルビンシュテインを指しているとのことです。

              374:チャイコフスキー:「偉大な芸術家の思い出に」ルビンシュテイン
               Nikolai Grigorjewitsch Rubinstein
               (1835年6月2日 - 1881年3月23日)

ルビンシュテインはモスクワ音楽院の初代院長で
チャイコフスキーは無名時代からニコライの世話になり
そのお陰で世に出ることができたそうです。
ピアノ協奏曲第1番の作曲をめぐり2人の間には一時不和になった時期も
あったそうですがニコライに対するチャイコフスキーの畏敬の念は
変わることはなかったそうです。

初演は曲が完成した年、1882年ルビンシュテインの一周忌に
非公開で行われたそうです。
ピアノはセルゲイ・タニェエフ、ヴァイオリンはグルジマリーそしてチェロは
ドイツのチェリストでモスクワ管弦楽団のコンサート・マスターであり
モスクワ音楽院の教授を務めたフィッツェンハーゲンの演奏だったそうです。



悲劇的楽章と名付けられている第1楽章は
静かに流れるようなピアノを伴奏にチェロが奏する第1主題の旋律での始まり。
悲痛、沈痛な調べの第1主題。
第2主題になり抒情的に奏される穏やかさ、静けさ。
この主題に漂う調べの優しい美しさは
亡きルビンシュテインへの慰霊の調べのように感じられます。
さて、主題はチェロからヴァイオリンに受け継がれ。
ヴァイオリンとチェロが二重唱のように歌う主題。心に染み入ります。
今まで伴奏に徹していたピアノが奏し始める主題。
力強いピアノ。
アシュケナージのピアノは悲痛な想いを吹き飛ばすかのよう。
ピアノが奏する明るい力強さを感じさせる旋律。
加わるヴァイオリンとチェロ。
次第に情熱的な雰囲気に。
いつしか活発に奏される3つつの楽器たち。
チェロは素早いピッツィカートで、ヴァイオリンは軽快な歌を
そしてピアノは力強く。
3つの楽器たちは躍動するような趣に。
再び戻る静けさ。
静かに閉じられる第1楽章。

第2楽章は
「主題と変奏」、「変奏フィナーレとコーダ」の2つの部分から構成されているそうです。
ピアノが奏する主題で始まる第2楽章。
ルビンシュテインはロシアの民謡の歌や踊りが好きだったそうです。
チャイコフスキーがルビンシュテインやモスクワ音楽院教授たちと
郊外に出かけた折りにルビンシュテインの望みで農夫たちが演じた踊りや
歌から考えついたもの、と言われているそうです。
ルビンシュテインの死を悼む曲とは感じられないくらいに明るさを感じる主題。
歌謡風で親しみやすく軽やかさも感じる旋律。
主題に続く11の変奏も変化に富み耳を奪われるようです。
印象い深いのは第6と第7変奏でしょうか。

「変奏フィナーレとコーダ」になり力強く活発なピアノの旋律での始まり。
繰り返すヴァイオリンの明るさ。
躍動的に奏される3つの楽器たち。
第1楽章の第1主題が現れピアノとヴァイオリン、チェロが壮大な趣で。
楽器たちの掛け合いの活発さはエネルギッシュ。
重々しく響き渡るピアノ。
第1主題を奏するヴァイオリンから明るさは消え暗澹とした趣に。
耳を引くピアノのアルぺッジョの美しさ。
再び静けさが戻り第1主題を歌うヴァイオリンそしてチェロ。
ピアノで静かに迎える曲の終わり。


チャイコフスキーは室内楽を得意としていなかったそうで
また性格の違う3つの楽器を組み合わせたピアノ三重奏という形式は
嫌悪感をすら抱かせるものだったとか。
専門家ではない私にはそのようなことは微塵も感じられません。
今更ながら、とにかく素晴らしい三重奏曲。

1980年の録音とのことですので
アシュケナージ43歳、パールマン35歳、ハレルが36歳頃の演奏でしょうか。
こちらの3人による「偉大な芸術家の思い出に」は
悲痛さを殊更濃厚に強調する演奏ではなく
哀悼の意とともに回想する明るい気分を感じられるようです。
死を悼み悲痛な想いを込めて作曲した曲とは感じられないような明るさに
初めは戸惑いも感じてしまいました。
感情移入よりも明るく爽やかな心情で故人を回想をしているような演奏でしょうか。

アシュケナージのピアノの力強い、エネルギーを感じさせるピアノ・タッチが
印象的です。
主人公のピアノを支えるパールマンとハレルの控え目な演奏。
この曲自体の主人公がピアニストでもあるルビンシュテインであることを想うと
アシュケナージのピアノに耳を傾けつつルビンシュテインの化身のような
存在に感じられてしまいます。

志鳥栄八郎氏はこの曲を一言で、次のように記述されています。
 「ニコライとチャイコフスキーとの麗しい友情の記念碑」

                 
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Comment

Re: 「偉大な芸術家の思い出に」、お聴きになられましたか

burleskeさま
いつもコメントをありがとうございます。

過日、burleskeさまがお寄せくださったコメントのお陰で聴き、やっと「偉大な芸術家の思い出に」の素晴らしさに目覚めました。
burleskeさまが嘗てこの曲を記事になさっていらっしゃった記憶がありましたので探してみました。
2012年の記事だったのですね。5年も過ぎ去ってしまったのですね。
改めで読み返させていただきました。
アシュケナージ、パールマン&ハレルの演奏のご感想も読み返させていただきました。
当時、記事を拝読しルーヴィンシュタイン、ハイフェッツ&ピアティゴルスキーで聴いてみたのですが・・・掴みきれない曲との印象で・・・。楽曲の構成が馴染めなかったのかも、と今回聴いてみて思ったりしましたが。
ルーヴィンシュタイン盤を改めて聴いてみたくなりました。

アシュケナージ盤で聴き、すっかりお気に入りになり、早速手持ちのディスクがないかと未だ探している有様です。
ボザール・トリオの2種の演奏のディスクが見つかりました。
これから聴くのを楽しみにしつつ・・・。
コメントを拝読させていただき、スーク・トリオも聴いてみたくなりました。

「偉大な芸術家の思い出に」もまた、burleskeさまのコメントのお陰です。
いつも、本当にありがとうございます。
  • posted by lumino
  • URL
  • 2017.02/13 19:56分
  • [Edit]

「偉大な芸術家の思い出に」、お聴きになられましたか

アシュケナージ、パールマン&ハレルの「偉大な芸術家の思い出に」、お聴きになられたのですね。
やはりアシュケナージのピアノが印象的で、演奏に引き込まれてしまいますね。
「偉大な芸術家の思い出に」では他に、ルービンシュタイン、ハイフェッツ&ピアティゴルスキー盤とスーク・トリオ盤も良いですよ。
  • posted by burleske
  • URL
  • 2017.02/12 19:40分
  • [Edit]

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