2017.06/10(Sat)

Op.391 ブラームス:「ワルツ集」 by アルフォンス&アロイス・コンタルスキー

深夜にラジオから流れてきた音楽。
ブラームスワルツ集より第15番とのことでした。
作曲者名も曲名もすっかり忘却の彼方に。
旋律だけが鮮明に心に刻まれていた曲です。

遥か昔、弾くことができないピアノを弾くことができる振りをして
いつも弾いていた懐かしい曲です。
16曲の中での一番のお気に入りの第15番。
云十年経ってもこの曲への親しみは変わらず、大好きな曲。
ブラームスのワルツ全曲に耳を傾けるのは今回が初めてです。
コンタルスキー兄弟のピアノで聴いてみました。

                   ブラームスワルツ集
             ブラームス・コンプリート・エディションより


           391:ブラームス:ワルツ集~ブラームス・コンプリート・エディションより
                        (収録曲)
                  
                     4手用ピアノ連弾曲集
                 ワルツ集 Op.39(全16曲)
                 シューマンの主題による変奏曲 Op.23
                 ハイドンの主題による変奏曲 Op.56b
                 
                   アルフォンソ・コンタルスキー
                          &
                   アイロス・コンタルスキー(P)
               (録音:1980年 ベルリン、イエス・キリスト教会)


作曲されたのは1865年冬。
ブラームス32歳の時にウィーンで書かれそうです。
ピアノ4手用に書かれた16曲のワルツからなるワルツ集
この曲集には本来、4手用をフラベリー姉妹のために2手用に直したもの
また、簡易に編曲した2手用もあるとのことです。

原曲の4手用では第2ピアノ奏者は簡単な伴奏をするようになっているそうです。
各曲の多くは、8小節を繰り返し
同じように続く16小節も繰り返され、前の8小節の旋律が現れるとのことです。
速度、調や様式は決まっていないとのこと。
各曲とも簡潔にまとめられ親しみ易さを感じます。

作曲をしたワルツについてのブラームスの言。
 「シューベルト風な形の無邪気な小さいワルツ」
16曲の中の多くはワルツ以前のワルツとも言える古いレントラーの
名残りがあるとのことです。
このレントラー風のワルツは温もりがあり愛らしく
優しさに満ち溢れているように感じます。

ワルツ集作曲の前後を年表風にメモを。
この曲が書かれる前年、1864年。
2月6日:ワーグナーに会う
4月:ジングアカデミーの指揮者辞任
6月:両親の不和でハンブルクへ帰郷
夏:クララのいるバーデン・バーデンで過ごし
ヨハン・シュトラウス2世他と知り合う。
この年の作品「ピアノ五重奏曲」

曲が書かれた1865年。
2月2日にブラームスの母クリスティーネ死去。
夏:バーデン・バーデンで。
秋からドイツ、スイスを演奏旅行。
生涯の友となる医学者テオドール・ビルロートと知り合う。
この年に作曲された他の作品「弦楽六重奏曲第2番」「チェロ・ソナタ第1番」
「ホルン三重奏曲」。

翌、1866年。
父の再婚。
ドイツ、スイスの演奏旅行。
8月:亡き母への想いを込めた「ドイツ・レクィエム」の作曲。

「ドイツ・レクィエム」を挟み書かれた「ワルツ集」。
「ドイツ・レクィエム」の構想の契機となったシューマンの死。
そしてブラームスの母の死。
勝手な思い入れですが「ワルツ集」には悲痛な心に芽生える
優しさ、慈愛のようなものを感じてしまいます。

初演は1886年3月17日にウィーンのレドゥテンザールに於いて
フラベリー姉妹により行われたそうです。

曲は音楽批評家エドゥアルト・ハンスリックに捧げられたそうです。
ブラームスの良き理解者のハンスリックは
ピアノ4手曲の愛好家でもあったとのことです。
ブラームスからこの曲を捧げられたハンスリックは次のように言ったとのこと。

 「真面目で無口なブラームス、純粋のシューマンの弟子で、北ドイツ風で
  プロテスタントで、シューマンのように非世俗的な男がワルツを書いた」


コンタルスキー兄弟のピアノで聴くブラームスの「ワルツ集」

第1曲は弾むように明るい軽快さと愛らしさに親しみを感じます。

第2曲は柔らかなレントラー風とのこと。
優しい感じで軽快さの中にも心に沁みる旋律。
いかにもブラームスらしい調べのように感じます。

第3曲もレントラー風でシューベルトを想わせるところがあり
広く知られている曲だそうです。
寂寥感が漂う旋律。明るさよりも抒情的で落ち着いた雰囲気です。
お気に入りの一曲になりました。

第4曲。微妙に感じられる情熱的(荒々しさ?)な趣と溌剌とした力強さ。

第5曲。柔らかなレントラー的なところがあるそうです。
第2曲に似て、優しく柔和な旋律。明るい希望、憧れのようなものも感じます。
お気に入りになりました。

第6曲。速く軽快に奏され、高音域からは茶目っ気が感じられるよう。
悪戯っぽい子供をイメージしていしまいます。

第7曲。憂愁の雰囲気が漂う優しい調べ。
途中で情熱的な高揚と穏やかな旋律が交互に現れ、ゆっくりと終わりに。
この曲も心に残ります。

第8曲もレントラー風とのこと。
軽快で無邪気に飛翔をする音符たち。軽やかな雰囲気。

第9曲は独特なリズムと朴訥な雰囲気が印象的です。

第10曲は軽快なワルツ。16曲の中では影の薄い感じもしてしまいます。

第11曲。ジプシー風なところがありこの曲もよく知られているとのことです。
弾む軽快さ。個人的には印象が薄い曲です。

第12曲。穏やかな速度で優雅にも感じられる旋律。
低音域が主になっていて落ち着いた雰囲気でしょうか。

第13曲。前曲の落ち着いた雰囲気から強音での始まり。
力強い躍動感のある旋律。生き生きとしたピアニズム。

第14曲。速くて軽快。溌剌として自由な雰囲気が漂っているようです。
軽快さとともに力強さも印象的。

第15曲。16曲中では最も知られているものだそうです。
歌詞を付けて歌われることもあるとのこと。
静かな優しさ。慈しみ感じさせる柔和さ。
純粋無垢な調べ。
自分の「心の歌」にしたいほど惹かれ、心に染み入る曲。
16曲中では一番、好きな曲。

第16曲。レントラー風で、二重対位法もありブラームスらしい技巧もあるとのことです。
味わいのある旋律。じっくりと耳を傾けたくなる曲です。

一曲一曲の感想を綴っていたら長くなってしまいました。


16曲、各曲とも1分前後の短い曲で、うっかりしていると次曲に。
「ワルツ集」とのことで華麗で軽快なものと想い聴き始めたのですが・・・。
聴いていると、どの曲にも魅力が散りばめられています。
優しく、温もりがあり愛らしくて・・・。
1曲の時間の短さに反比例をして曲の中に多くの「言葉」が
込められているようにも感じます。

このワルツ集は某音楽評論家の解説によると「通俗的」と評されていますが
ブラームスのワルツ集の一曲一曲が「通俗的」の文字を完全否定。

アルフォンス&アイロス・コンタルスキー兄弟の演奏。
明るく生き生きとした息吹で奏され
また、心が寛ぐような演奏を聴かせてくれるようです。
華麗さとは程遠いブラームスのワルツ。
素朴で可憐さが漂うワルツの数々。
演奏の「上手」「下手」などという評価とは一線を引いているように思います。
ブラームスのワルツは心を込めて無心になり演奏をすれば
それが一番素晴らしい演奏かも・・・と思います。
それが例え素人であったとしても。
このワルツ集の魅力はそのようなところにもあるようにも思います。

                  
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タグ : ブラームス ワルツ集 ピアノ2手用 アルフォンソ・コンタルスキー アロイス・コンタルスキー

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Comment

●Re: 私も第15曲(小さなワルツ)弾きました

龍さま、こんばんは。
いつもコメントをお寄せ下さいましてありがとうございます。
寄り道・・・大歓迎です。ブログを続けていた(時々、止めたくなったりしますが)甲斐があったように思います。

ブラームスのワルツ第15番、本当に愛らしい曲ですね。
作品39の16曲の中では一番のお気に入りです。
龍さまはピアノを習われていらっしゃったのですね。
4手用の作品とのことですので、お嬢様とご一緒に連弾も夢ではないですね。
私はピアノを習ったこともなく、自己流で自己満足、だけです。
お書きくださいました「ブルグミュラー練習曲」というものも知らなくて・・・。
自宅にピアノもなく当時勤務をしていた職場のホールに設置されていたグランドピアノ(調律が必要でな古びたピアノ)で昼休みの時間になると足を運ぶのが楽しい日課になっていました。
この第15番を聴いていると懐かしい古い古い想い出が昨日のように脳裏に浮かびます。

> 当時は、ブラームスといえば気難しいと思っていて、こんなに愛らしい曲もあったのだとハッとしたものです。

私も龍さまと同じように、ブラームスは気難しい、と思っていました。
また世間一般に言われているようにブラームスの作品に対する形容で「晩秋」などの言葉で敬遠をしていた時期が長くありました。
ですがいろいろとブラームスの室内楽を聴くうちに、イメージが一変しました。
この第15番も良い例ですよね。

龍さまがお寄せくださるコメントを拝読させていただき、最近この曲を聴いていませんでしたのでディスクを取り出してきました。
久し振りに大好きな曲に耳を傾けるキッカケになりました。ありがとうございます。
lumino | 2018.03.18(日) 20:14 | URL | コメント編集

●私も第15曲(小さなワルツ)弾きました

 こんばんは

また寄り道です。
ブラームスをクリックしましたら最初に「ワルツ集」に出会いました。
第15曲とても可愛らしい曲ですね。
luminoさんも弾かれたとのことですが、私も昔、弾きましたよ。
勿論、ブルグミュラー練習曲程度に変イ長調からハ長調に移調されていて、
小さなワルツとしてピアノ小品集に入っていた曲です。
当時は、ブラームスといえば気難しいと思っていて、こんなに愛らしい曲もあったのだとハッとしたものです。
ということでブラームスのワルツはこの第15曲しか知りません。
龍 | 2018.03.17(土) 23:18 | URL | コメント編集

●Re: ブラームスのワルツ集は・・・

burleskeさま
いつもコメントをありがとうございます。

コメントを拝読して初めて四重唱「愛の歌」Op.52 を聴いてみました。
ブラームス・コンプリート・エディションにマティス、ファスヴェンダー、ディースカウ、シュライアーの四重唱で収録されていて楽しみにしていたのですが、聴く機会がないままでした。
四重唱の「愛の歌」は、華麗で派手な感じが・・・・。
トスカニーニBoxには合唱版が収録されているのですね。気が付かず、でした。
トスカニーニの合唱版でも聴いてみますね。
Op.52の四重唱の「愛の歌」を聴きOp.39の「ワルツ集」の方が好みに・・・。

追加になりますが。
前回、ブルックナーの交響曲第9番でburleskeさまがコメントに「レーヴェ版」とお書きくださいましたね。
第9番を初演した、あのフェルディナント・レーヴェが勝手に改ざん(?)し初演の際に使用をしていた版だったのですね?
かなり違っているとのことで、興味もありますが・・・ブルックナーは天国で怒っているかも、ですね。
lumino | 2017.06.12(月) 20:18 | URL | コメント編集

●ブラームスのワルツ集は・・・

ブラームスの4手用のワルツ集op.39は聴いたことがありません。
ちなみに、四重唱の18曲のワルツ集「愛の歌」op.52の合唱版がトスカニーニのBOXに収録されていたので聴いてみましたが、わかりやすいメロディーで寛いで聴くことができました。
op.39のワルツ集も似たような感じでしょうか?
一度聴いてみたいですね。
burleske | 2017.06.11(日) 20:50 | URL | コメント編集

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