2017.08/19(Sat)

Op.401 モーツァルト:「ピアノ協奏曲第20番」 リヒテル;ヴィスロッキ&ワルシャワ国立フィルハーモニー交響楽団

すっかりモーツァルトピアノ協奏曲とは疎遠になっている昨今。
モーツァルトピアノ協奏曲では第20番の第2楽章が印象に残っています。
今回は第20番を。
モーツァルトピアノ協奏曲の手持ちのディスクから未聴だったリヒテル
取り出してみました。
リヒテルヴィスロッキの指揮、ワルシャワ国立フィルハーモニー交響楽団
指揮のスタニスラフ・ヴィスロツキは初めて耳にします。


                モーツァルトピアノ協奏曲第20番
            リヒテル~デッカ、フィリップス、DG録音全集より


             (401)モーツァルト ピアノ協奏曲第20番 リヒテル スヴィヤトスラフ・リヒテル デッカ、フィリップス、DG録音全集(51CD
                        (収録曲)

            モーツァルトピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K.466
                 (スタニスラフ・ヴィスロツキ&
                  ワルシャワ国立フィルハーモニー交響楽団
                                   録音:1959年)
            ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 Op.37
                 (クルト・ザンデルリング&ウィーン交響楽団 
                                   録音:1962年)

               第1楽章:Allegro ニ短調 4/4拍子
               第2楽章:Romanze 変ロ長調 2/2拍子
               第3楽章:Allegro assai ニ短調 2/2拍子


曲の完成はモーツァルトの「自作品目録」によると1785年2月10日だそうです。
ウィーン市立集会所、ツア・メールグル―べの予約演奏会のために作曲された
とのことです。

モーツァルトのピアノ協奏曲の内、2曲が短調だそうです。
この第20番が短調による最初の作品で他には第24番ハ短調とのこと。
第20番はモーツァルトのピアノ協奏曲の中でベートーベンが最も熱愛した作品で
ベートーヴェン自らカデンツァを作曲しているとのことです。
モーツァルト自身のカデンツァは残っていないそうです。

モーツァルトのピアノ協奏曲の中で短調で書かれた作品が極端に少ない理由として
当時の協奏曲は独奏者のテクニックを殊更に誇示するために華やかな性格の長調が
好まれ、暗い感じのする短調はあまり歓迎されなかったそうです。
これは当時の協奏曲としての絶対条件でもあったとのこと。

この作品が書かれた1785年に作曲された3曲のピアノ協奏曲。
第20番 K.466 そして 第21番K.467 、 第22 番K.482 は大作「フィガロの結婚」の
完成を控えたモーツァルトの創作力が絶頂に向かう時期だったそうです。

モーツァルトのピアノ協奏曲について音楽史家のアルフレート・アインシュタインは
次のように語っているそうです。
「ピアノ協奏曲においてモーツァルトは、いわばコンチェルト的なものとシンフォニー的なものとの融合の決定的な言葉を語った。
この融合は、より高い統一への融合であって、それを越えてゆく進歩は不可能だ。
完全なものは正に完全だからである」

初演は曲が完成した翌日、1785年2月11日にモーツァルト自身のピアノにより
ウィーン市立集会所、ツア・メールグル―べにおける予約演奏会にて行われた
そうです。
モーツァルトの父レーオポルドはこの初演が行われた日にウィーンに到着し
4月25日まで約1ヵ月間に渡りウィーンに滞在したそうです。
レーオポルドは息子の音楽活動のうちで最も輝かしいものとなった2月11日の
演奏会を目の当たりにすることができたとのこと。

この演奏会の翌日、モーツァルトの家でハイドンを主客とした弦楽四重奏の演奏が
行われモーツァルトがハイドンに献呈した6曲の弦楽四重奏曲「ハイドン四重奏曲」の
後半の3曲が演奏され、ハイドンはレーオポルドにモーツァルトを激賞した次の言葉は
有名とのこと。
 「私は誠実な人間として神かけて申しますが、あなたの息子さんは私が個人的に
あるいは名前の上だけで知っている作曲家の内で、もっとも偉大な方です。」


リヒテルヴィスロッキワルシャワ国立フィルハーモニー交響楽団で聴く
モーツァルトのピアノ協奏曲第20番
 
弦楽器が低音域を弱く奏して始まる第1楽章。
この第1主題は暗澹として不安を感じさせるようです。
木管楽器が現れ力強さが加わり微かな明るさが射し込むよう。
シンフォニックに奏されるオーケストラの響きには雄々しい趣が感じられます。
低音で打たれるティンパニも力強く。
第1楽章冒頭からのリズムが印象的です。
やっと独奏ピアノが現れ呟くように奏され。加わるオーケストラ。
この楽章の印象的なリズムを背景にピアノは細やかに奏された後
力強く奏される第1主題。
第2主題が現れピアノは明るい趣で。
ピアノから第2主題を受け継ぐ木管楽器。
軽やかな独奏ピアノと木管の会話には愛らしさ、美しさが漂っているよう。
雄弁になるピアノの独奏がひと際目立つように感じます。
展開部に入り第1主題の冒頭を奏する独奏ピアノ。
合間にはピアノは独り言のように奏され。
後半になりピアノの力強さ、目まぐるしさ。
激しく進み再び第1主題の冒頭が緊張感を。
再現部を経てカデンツァに。
カデンツァの始めの対照的な右手と左手の音色が印象的。
左手のアルぺジョに乗って右手の美しい調べ。
コーダでオーケストラとピアノが力強く奏された後、音力を弱めて閉じられる第1楽章。

呟くようにピアノが奏され始まる第2楽章。
この主題の柔和な優しい歌。強くj印象に残る主題です。
オーケストラに受け継がれる主題。
ピアノに移り暫し歌われる調べ。
オーケストラの優しい響きも印象的です。
弦楽器の伴奏に乗って奏されるピアノ。
弦楽器の穏やかさとピアノの柔和な調べ。
トリオになり柔和な優しさから一転。
独奏ピアノは力強く。木管楽器たちも現れ活気、躍動を感じさせるトリオ。
第1部の再現になりホッとした気分に。
呟くように奏されるピアノにオーケストラは静かに寄り添い閉じられる第2楽章。

8分音符で素早く奏される独奏ピアノで始まる第3楽章。
ピアノの素早い打鍵が終わり現れるオーケストラ。
ここでもシンフォニックな力強さを湛えたオーケストラ。
再びピアノが現れ加わるオーケストラ。
奏される躍動感のある旋律。
第2主題では激しさを感じさせるようです。
新たな旋律が現れ明るい軽やかさで。
この楽章では展開部はなくそのまま再現部、とのこと。
カデンツァのピアノを経て木管が愛らしく奏され
オーケストラ、ピアノで雄々しく力強く閉じられる曲。


耳に馴染み深い第2楽章。
今回ほど繰り返し聴き続けるのは初めてのこと。
美しく、優しく・・・。

リヒテルのピアノから感じられる優しさ。
ヴィスロッキの指揮も穏やかに感じられるオーケストラ。
第1楽章のシンフォニックな力強い趣でさえもが
柔らかいベールで覆われているような優しさ。
第2楽章でのピアノとオーケストラの響きの優しさも印象的。心に残ります。

この曲に対して「デモーニッシュ」との言葉で表現されるようですが
「デモーニッシュ」さを感じないのですが・・・鈍感?なのかも。
至って、優しい美しさだけが曲を聴き終えて心に残ります。
などと綴ると、軟弱な演奏のようですが
フィンフォニックな部分で芯の強さを感じさせつつも
意気込み、力味を感じさず、ピアノとオーケストラの意気投合した一体感。
繊細であり且つ自然な流れの演奏のように感じられます。

モーツァルトの室内楽はお気に入りでしたが
ピアノ協奏曲もまた良いものですね。


いつもの蛇足。オバサンの井戸端会議。自分のメモとして。
今回聴いたモーツァルトのピアノ協奏曲第20番。
指揮者のスタニスラフ・ヴィスロツキ(Stanislaw Wisłocki)について知りたくなりました。
Wikipedia を参照しつつ。
ヴィスロッキ(1921年7月7日-1998年5月31日)はポーランドの指揮者とのこと。
パリのスコラ・カントルムで作曲と指揮、ルーマニアのティミショアラ音楽院でピアノを学んだそうです。
ジョルジュ・エネスクの薫陶も受けたとのこと。
1945年、ポーランド室内管弦楽団を組織
1947年-1958年、ポズナニ・ナショナル交響楽団の首席指揮者
1961年-1967年、ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団の常人指揮者を歴任
1978年-1984年、ポーランド放送交響楽団の首席指揮者を務める

1948年に指揮法の指導者としてボズナニ音楽院の講師に。
1955年、ワルシャワ音楽院の講師に転出。
1958年、ワルシャワ音楽院の指揮法の主任教授として後進の指導に当たる。
主な弟子にヤツェク・カスプシクなど。

今回聴いた作品が録音された1959年にリヒテルとの共演で録音をした一連の
演奏は良く知られ、特にラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は名高いとのこと。

1998年5月31日にワルシャワで死去。
                  (以上です)

                   
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タグ : モーツァルト ピアノ協奏曲 リヒテル ヴィスロッキ ワルシャワ国立フィルハーモニー交響楽団

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Comment

●Re: モーツァルトのピアノ協奏曲は・・・

burleskeさま
いつもコメントをありがとうございます。

リヒテル、ヴィスロッキのラフマニノフのピアノ協奏曲第2番はお持ちで
お気に入りの演奏だそうですね。
こちらのリヒテルのBoxにも探したところ収録されていましたので聴いてみますね。

モーツァルトのピアノ協奏曲は未だに旋律と曲番がなかなか一致しないのです。
burleskeさまがお好きな第23番の第2楽章・・・・やはり旋律が想い出せませんでした。
聴いてみて想い出しました。
モーツァルトのピアノ協奏曲の第2楽章では最初にお気に入りになった曲でしたが、曲番が想い出せずでした。


モーツァルトの第20番に戻りまして、カーゾン&ブリテンがお気に入りとのことですね。
コメントを拝読してカーゾンのDG録音全集のBoxの収録曲から改めて探してみました。
ブリテン&イギリス室内O. の録音が収録されていました。
カーゾンで第20番を是非、聴きたかったのですが、Boxを求めても聴きたいときに聴きたい作品を収録曲を見て探している有様で今回は完全に見落としていました。
burleskeさまのお陰で改めて収録曲を見て良かったです。ありがとうございます。

burleskeさまがお気好きな第23番(第2楽章)ですが。
カーゾンノBoxに4種の演奏が収録されていました。
セル&ウィーン・フィル、ボイド・二ール&ナショナル交響楽団、クリップス&ロンドン交響楽団そしてケルテス&ロンドン交響楽団。
嬉しくなってしまいました。こちらもこれから聴いてみますね。

コメントをお寄せいただき思わぬ出合いに恵まれました。ありがとうございます。
lumino | 2017.08.20(日) 20:15 | URL | コメント編集

●モーツァルトのピアノ協奏曲は・・・

モーツァルトのピアノ協奏曲はやはり第20番と第21番の第2楽章が馴染み深いですよね。
ちなみに、僕が好きなのは、第23番の第2楽章です。

リヒテル&ヴィスロツキのモーツァルトの20番は聴いたことありませんが、ラフマニノフの第2番なら持っています。
ラフマニノフはお気に入りの演奏なので、モーツァルトも聴いてみたいですね。
モーツァルトの第20番では、カーゾン&ブリテン盤がお気に入りです。
burleske | 2017.08.19(土) 22:17 | URL | コメント編集

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