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2017.10/07(Sat)

Op.408 ドヴォルザーク:「交響曲第9番≪新世界より≫」 by カイルベルト&バンベルク交響楽団

いろいろな意味で記憶に残るドヴォルザーク交響曲第9番新世界より」。
お気に入りの交響曲です。
好きな割合には、お気に入りの演奏が想い付きません。
と言うか、どの演奏を聴いてもこの曲には惹かれるものがあります。
特に第4楽章。

初めて求めたCDが「新世界」。カプリングはシューベルトの「未完成」でした。
カラヤン&ベルリン・フィルの演奏です。
LPからCD時代に変わる頃から多々の事情にて音楽を聴く時間、心の余裕もなく
今想うと人生の暗黒時代(?)のようなドタバタ生活。
やっと1990年代初頭に初めてCDを購入するという音楽愛好家の一人としては
10年近く遅れて初めてのCD購入の幕開けになった「新世界より」でした。

最近、良く聴いているカイルベルトのBoxに「「新世界より」が収録されており
聴く前から演奏を想像して期待満々で耳を傾けてみました。
カイルベルトバンベルク交響楽団の演奏です。
期待以上の演奏でした。

              ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界」
                 カイルベルト・コレクションより

           392ブルックナー:交響曲第6番カイルベルト&ベルリン・フィル ヨーゼフ・カイルベルト・コレクション
                        (収録曲)

                     ドヴォルザーク
             交響曲第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より
             序曲「謝肉祭」 Op.92
                     レーガー
             バレエ組曲 Op.130

                 ヨーゼフ・カイルベルト指揮
                 バンベルク交響楽団
                     (録音:1961年)

            第1楽章:Adagio – Allegro molto ホ短調 4/8拍子
            第2楽章:Largo 変ニ長調 4/4拍子
            第3楽章:Scherzo. Molto vivace ホ短調 3/4拍子
            第4楽章:Allegro con fuoco ホ短調 4 /4拍子


作曲は1893年1月10日に着手し5月24日に完成したそうです。
副題の「新世界より」は、曲の初演を指揮したアントン・ザイドルの示唆により
ドヴォルザークが与えた、と言われているとのことです。
曲の中で使われている黒人霊歌やアメリカ・インディアンの民謡を想わせる旋律は
ドヴォルザークがそれらを自分流に充分に咀嚼して用いたとのこと。

ドボルザークは次のように語っているそうです。
「わたしがこの曲にアメリカ・インディアンや黒人霊歌の旋律を原曲のまま用いているというのはナンセンスである。
わたしはこうした旋律の精神を生かして、国民的なものを書こうとしただけである。」
曲の材料はアメリカから得たものの、曲の支柱となっているのはあくまでもボヘミアの精神。
ドヴォルザークはこの曲をアメリカから故郷のボヘミアに送る音楽による望郷の手紙のようなもの、として作曲されたそうです。

         (wikiドイツ)408ドヴォルザーク:交響曲第9番 Titelblatt der Partitur von Dvořáks 9. Sinfonie
         ドヴォルザーク 交響曲第9番 自筆譜のタイトルページ

アメリカ滞在中のドヴォルザークの大作が交響曲「新世界より」。
その後に弦楽四重奏曲作品96「アメリカ」、弦楽五重奏曲作品97
そしてチェロ協奏曲が続くそうです。
チェロ協奏曲はチェコに戻ってから完成したとのこと。

作曲をする前年、1892年9月15日にドヴォルザークは故国チェコを旅立ち
9月26日にニューヨークに到着したそうです。
ニューヨークのジャネット・サーバー夫人から彼女が1885年以来経営してきた
ナショナル音楽院の院長になって欲しいと丁重な依頼状が1891年春にドヴォルザークの元に届いたそうです。
ドヴォルザークは当時プラハ音楽院の作曲家の教授として就任したばかりの折りであり郷里ボヘミアの自然を深く愛していたドヴォルザークは2年間半も祖国を離れて暮らすという気にはなれなかったそうです。
が、再三のサーバー夫人からの要請にて故国を暫くの間、後にする決心をしたとのことです。
ドヴォルザークは2年間の休暇を取り、愛妻と6人の子供ののうちの2人、長女のオティリエと長男のアントンを伴いアメリカへと旅立ったそうです。
因みに長女オティリエは後にドヴォルザークの弟子のスークと結婚をし、チェコのヴァイオリニスト、ヨーゼフ・スークはオティリエの孫になるとのこと。

初演は1893年12月158日にカーネギー・ホールに於いてアントン・ザイドル指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック協会演奏会に於いて行われたそうです。
この初演はドヴォルザークがこれまで経験したことのないほどの
また、カーネギー・ホールでも類例を見ないほどの大成功を収めたとのことです。
因みに指揮のザイドルはドイツでワーグナーの助手を務めていたことがあるとのこと。

出版は1894年にベルリンの出版商ジムロックから初めて出版。
楽譜の出版ではドヴォルザークがアメリカに滞在していたためブラームスが校正を
引き受けるという友情物語も生まれたそうです。

少々長い寄り道になりますが、第2楽章と第3楽章についてのメモを。
この2つの楽章の元になっているのはアメリカ合衆国の詩人
ヘンリー・ワーズワース・ロングフェロー(1807-1882年)が1855年に
発表した叙事詩「ハイアワサの歌」だそうです。
この叙事詩はインディアンの英雄を謳った英雄譚とのこと。

             408:ドヴォルザーク「新世界より」ハイアワサの歌
                  ハイワサとミネハハの彫刻
             (ミネソタ州 ミネアポリス ミネハハ滝近く)

ミネハハ(Minnehaha)は架空のネイティブアメリカンで、ロングフェローの「ハイアワサの歌」の中にも書かれているそうです。
ミネハハは主役のハイアワサ(Hiawatha)の恋人で悲惨な終末を迎えるとのことです。
彼女の姿は、絵画、彫刻、音楽などの芸術作品に影響を与えたそうです。
このミネハハの死のシーンをドヴォルザークは「新世界より」の第2楽章に。
第3楽章には「ハイアワサの歌」の結婚の祭典でインディアンたちが踊っているシーン
が元になっているそうです。


カイルベルト&バンベルク交響楽団で聴くドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」

静かに荘重な趣で奏されるチェロの序奏で始まる第1楽章。
木管楽器も加わり盛り上がる旋律。
低弦の重厚な響きに加わるティンパニの力強さ。
ホルンが吹奏し始まる第1主題
耳に馴染んだ力強いシンコペーション・リズムの躍動感のある印象的な主題。 
第2主題になり木管が奏する哀愁の調べ。
第1主題の活躍の影になるかのように楽章中に時々現れ印象的です。
力強い気迫が弱まることなく閉じられる第1楽章。

第2楽章、前述したことと重複しますが「ハイワサの歌」のミネハハの死の
シーンから受けた暗示により書かれたそうです。。
また主題にはドヴォルザークの弟子フィッシャーが“Goin'home” という
英語の歌詞を付け1922年に歌曲として発表したものが「家路」として日本にも伝播し
誰もが知る有名な旋律ですね。

管楽器が静かに吹奏される序奏で始まる第2楽章。
続いて馴染み深い有名な旋律を奏するイングリッシュ・ホルン。
イングリッシュ・ホルンの素朴な響き、調べにも魅了されます。
情感を込めて奏されるイングリッシュ・ホルンが歌うこの調べは
万人の心に染み入るような不思議な力を持つ旋律でしょうか。
木管たちが紡ぎ出す新しい旋律も郷愁の趣で。
弦の小刻みな伴奏に歌うオーボエ、木管たちに歌い紡がれ。
ゆったりと長閑に、郷愁の調べに心惹かれていると楽章は中間部に。
中間部で速度が少し上がり愛らしく、茶目っ気を感じさせるようなクラリネットの響きは
一抹の光明のようにも。
トゥッティになり盛り上がった後、再びイングリッシュ・ホルンが奏する冒頭の旋律。
オーケストラも一体となり静かに奏され、名残惜しむかのように閉じられる第2楽章。

第3楽章、「ハイアワサの歌」の結婚の祭典のシーンから受けたインスピレーションにより書かれたそうです。

華やかで活気のある短い序奏で始まる第3楽章。
主題を奏する重厚な響きに続き
舞曲を想わせるような雰囲気と躍動的感のある旋律。
木管が奏する哀愁を帯びた旋律も顔を見せ。
第1楽章の力強い旋律が現れ
中間部で活躍する木管たち。
コーダでは再び第1楽章の旋律が現れ、高揚し盛り上がりのうちに
閉じられる第3楽章。

蓄えられたエネルギーが徐々に発散されるような序奏で始まる第4楽章。
先行する序奏が終わり第1主題に。
トランペットが力強く壮大に奏される第1主題。
オーケストラも切れ味良く奏する旋律。
ティンパニも加わり力動的な雰囲気に。
第2主題になりクラリネットが奏する優美な歌。
再びオーケストラの力強い響き。
曲のこの部分に来ると、心を震撼させられます。
展開部では今まで登場した楽章の主題が総出に。
各楽章の主題が次々と現れ、楽想の豊かさに改めて気付かされます。
壮大にオーケストラが奏された後、管楽器が和音を尾を引くよう静かに奏して
迎える曲の終わり。


壮大で気迫を感じさせる演奏のなかにも情感が豊かに漂っているようです。
第4楽章はいつ聴いても感動、感動の渦になってしまいます。

バンベルク交響楽団は第2次大戦後、1949年(或いは50年)にチェコスロヴァキアを
脱出したドイツ・フィルハーモ二ーの団員を主体に結成された楽団とのことで
カイルベルトが首席指揮者として就任したそうです。
カイルベルト&バンベルク交響楽団は来日をしたこともあったそうですが。
今までバンベルク交響楽団はあまり聴くことがありませんでしたが
「新世界より」を聴きカイルベルトの良きパートナー的交響楽団のように感じられ
固唾を呑み演奏に聴き入ってしまいました。

折に触れ、時に触れ耳にしてきた「新世界より」ですが心に残る演奏になりました。
「新世界より」の愛聴盤は特になかったのですが
やっと愛聴盤と呼べるディスク、演奏に出合うことができたように想います。

                   
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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : ドヴォルザーク 交響曲第9番 新世界より カイルベルト バンベルク交響楽団 ロングフェロー ハイアワサの歌 ミネハハ

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Comment

●Re: 「新世界」交響曲は・・・

burleskeさま
いつもコメントをありがとうございます。

有名すぎる作品は逆にあまり聴かない、ということって確かにありますね。
「新世界より」もベートーヴェンの「運命」と同じように、有名すぎですよね。
ドヴォルザークでは第7,8番をよくお聴きになられるそうですね。
第9番とともに第7,8番両もお気に入りです。特に8番は気に入っています。

カイルベルトの「新世界より」をお持ちなのですね。
目下のところ、カイルベルトはお気に入り、関心のある指揮者のうちで3本の指に入るようになってきました。
lumino | 2017.10.09(月) 19:50 | URL | コメント編集

●「新世界」交響曲は・・・

「新世界」交響曲も有名すぎてかえってあまり聴かない作品の一つだったりします。ドヴォルザークの交響曲なら第7番と第8番の方がよく耳にしますね。
でも、改めて聴くと、やっぱり「新世界」交響曲はよいですね。
カイルベルト盤は僕も持っています。チェコ風というよりは、ちょっとドイツのローカルな感じがしますが、そこが魅力的でもありますね。
カイルベルトの他の作品の演奏も改めて聴いてみたいと思います。
burleske | 2017.10.08(日) 21:05 | URL | コメント編集

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