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2017.12/02(Sat)

Op.416 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第10番」 by アラウ

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第30番を聴き虜になったのが昨年の春頃だったようです。
そのままベートーヴェンピアノ・ソナタとはまた疎遠になってしまった月日。
つい先日、いつもお邪魔をさせていただいているブログでソナタ第26番の記事を拝読しました。
ピアノはゼルキン。
ベートーヴェンピアノ・ソナタ第26番・・・どのような曲だった?と、未だに曲番と旋律が一致しません。
早速、ゼルキンのディスクを取り出し聴いてみました。
第2楽章から受けた印象が強く、ベートーヴェンピアノ・ソナタの世界を散策をしてみたくなりました。
たまたま目に付いたアシュケナージのベートーヴェンのソナタ全集から昔からお気に入りだった第8番を聴き・・・同じディスクに第10番が収録されていました。
「気に入った」ということで、今回は第10番を。
お気に入りのピアニストの一人、アラウの演奏です。

            ベートーヴェンピアノ・ソナタ第10番
          アラウ~ベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全集より

         416ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第10番 アラウピアノ・ソナタ全集(1962~66)
                  (収録曲)
                ベートーヴェン

         ピアノ・ソナタ 第10番 ト長調 Op.14-2
         ピアノ・ソナタ 第11番 変ロ長調 Op.22
         ピアノ・ソナタ 第12番 変イ長調 Op.26「葬送」
         ピアノ・ソナタ第25番 ト長調 Op.79
              (録音:1962-66年)

         第1楽章:Allegro ト長調 2/4拍子
         第2楽章:Andante ハ長調 2/2拍子
         第3楽章:Scherzo, Allegro assai ト長調 3/8拍子


ベートーヴェンのピアノ・ソナタ作品14の2つの曲、第9番作品14-1 と 第10番作品14-2 の正確な作曲時期は自筆譜の紛失により不明だそうですが、1797年から翌1798年にかけての作曲と推定されるそうです。
ドイツのピアニスト、作曲家、教育家でベートーヴェン研究者でもあるノッテポームによると、1795年に完成されたピアノ協奏曲変ロ長調(第2番)のスケッチと並び、このソナタ第10番のスケッチが現れているとのこと。
曲の着想は完成よりもかなり以前と考えられるようです。

ソナタ第10番はベートーヴェンのピアノ・ソナタの中でも最も簡易なものの一つだそうです。
初心者の勉強用に選ばれることも多いとのこと。

ソナタ第9番の弦楽合奏版を聴いた時に綴った内容と重複しますが、いつものように自分のメモとして。
当時のベートーヴェンは大型のソナタを作曲する一方、この作品のように簡潔で形式感のある作品を書き、作曲のいろいろな工夫を試みていた時期とのこと。
作品14の2曲のソナタとほぼ同時時に作曲されたのがソナタ第8番「悲愴」。

ベートーヴェンの秘書で身の回りの世話をしていたアントン・シンドラーはこのソナタ第10番について次のように記述しているそうです。
因みに悪名(?)高いシンドラー。ベートーヴェンに関しての捏造等で信憑性は低いのですが、一応以下に。

「作品14の2曲のソナタには2つの主義の争いがあり、男女の対話が認められる。
特に第2番目の曲にはこの対話は一層明瞭に示されていて、2つの声部の対立は第9番に比べ、より明白である」
シンドラーのこの記述により、第10番は日本では「夫婦喧嘩」と呼ばれることがあったそうです。
特に第1楽章の第1主題に対する比喩的な言葉に夫婦を結びつけ、親しみの感じを表したものと思われるとのことです。

献呈は作品14-1のピアノ・ソナタ第9番、及びその弦楽四重奏編曲版とともにブラウン男爵夫人のヨゼフィーネ・フォン・ブラウンに。
夫のペーター・フォン・ブラウン男爵は1794年から1806年までウィーンで劇場の副支配人をしていたとのこと。


アラウのピアノで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第10番

美しさが漂う旋律で始まる第1楽章。
軽やかな右手の調べに左手が応答するかのような第1主題。
第2主題では軽やかで優雅な趣も趣も漂い、口づさみたくなるような親しみを感じる「歌」のようにも。
右手と左手が対話をするように奏される小結尾。
展開部に入り現れる冒頭の第1主題。第2主題も顔を出し、耳を傾けていると「歌」そのものに聴こえてくるようです。
音力が強くなり右手と左手の対話も高揚するかのように。
静かに閉じられる第1楽章。

第2楽章はベートーヴェンの作品番号のあるピアノ・ソナタでは初めて変奏曲が用いられた楽章だそうです。

スタッカートで始まる第2楽章。
この主題には愛嬌をもって歩を進める雰囲気が感じられるようです。
第1変奏は左手が奏する主題と右手でのスタッカートで。
第2変奏では主題と同じようにスタッカートと休符が、ぎこちない歩みをしているかのよう。
続いて楽章冒頭の主題の後と同じく穏やかな旋律が。
歩みを緩め散策をしているかのような雰囲気を醸し出しているよう。
第3変奏、細やかな動き。
変奏される主題からはコミカルで愉しげも雰囲気も。 
コーダになり主題が音力を落とし静かに奏された後に一瞬の強い打鍵で閉じられる第2楽章。

軽快で躍動的なロンド主題で始まる第3楽章。
跳躍でもするかのような活気を感じさせるロンド主題。
第2主題は強音、弱音の変化が忙しげな雰囲気も。
第3主題が現れ漂う優雅さ抒情的な美しさに惹かれます。
この第3主題に耳を奪われているうちにコーダに。
束の間、顔を出すロンド主題が奏され閉じられる曲。


じっくりと耳を傾けたのはアラウの演奏です。
初めてこの作品を耳にした時に抱いた感想と、数回繰り返し聴いた後での印象に違いを感じています。
この作品に限らずですが。
初めて聴いた時には作品14-1、第9番と同様に屈託のない明朗、軽快な曲、というのが第一印象でした。
また、簡潔で聴き易い曲、とも感じていました。
繰り返し聴き、次第に曲に惹かれるように。
軽快な明朗さととともに漂う美しい抒情性に惹かれます。

第1楽章の美しい歌のように感じられる調べ。
第2楽章の変奏の一つ一つも印象的。
第3楽章の第3主題も聴き応えがあります。
この曲を一言で・・・美しい曲。
そのように感じさせるアラウの演奏。

曲想の明朗さやコミカルな感じはアラウのピアノでは生真面目な雰囲気のようにも。
それが説得力のようにもなり好感を抱きます。
ピアノの音色も手持ちの他のピアニストとは異なり
輝かしい明るさは感じられず重さを感じさせ、それが至ってこの作品を聴き応えのあるものにしているようにも感じられます。

こちらの全集は1960年代に録音されたアラウの第1回目のベートーヴェンのソナタ・全集とのことです。
80年代にも全集の録音があるそうで関心が湧いてきます。

ゆっくり、じっくり、ベートーヴェンのピアノ・ソナタの一曲一曲を味わいつつ
耳を傾けてみたいとの想いが強くなりました。

              
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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : ベートーヴェン ピアノ・ソナタ アラウ

20:21  |  ベートーヴェン  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●Re: お早うございます

rudolfさま、こんばんは。
いつもコメントを戴きありがとうございます。

> この記事を見て、10番のソナタ どんなのだったかな…と 爆
> 覚えられないですね

ruodlfさまでさえ覚えられない、とのことで何かホッと安心をしました。

> アラウの演奏も聴いたことがあるはずなのですが、まったく記憶にありませんです、爆

聴いたことがある筈。記憶になし。・・・音楽鑑賞での独り言ではトップのように、いつも口に出てしまいます。
この演奏を聴いて「ピアニストは誰?」と尋ねられたら、アラウとは答えられず「分からない」という自分です。

最近はrudolfさまがベートーヴェンのピアノ・ソナタをお取り挙げになられる時はコワセヴィッチかグードのどちらかですよね。
この御二方のピアニストの演奏は聴いたことがないのです。
コワセヴィッチを聴いてみたい、と想いつつ・・・ディスクを注文するか迷っている日々です。

rudolfさまのように敬愛をするピアニスト、ゼルキンがいるのは一つの幸せのように思います。
お気に入りのピアニスト、気になるピアニストはいても、「この人!」と心を掴むピアニストに未だ出会うことがなくて・・・。
ゼルキンは第10番を録音していなかったのですね。
ゼルキンもベートーヴェン、ピアノ・ソナタ全集を遺してくれていたら・・・(^^♪ ですね。
lumino | 2017.12.08(金) 19:42 | URL | コメント編集

●お早うございます

luminoさま お早うございます…
お久しぶりです

この記事を見て、10番のソナタ どんなのだったかな…と 爆
覚えられないですね
アラウの演奏も聴いたことがあるはずなのですが、まったく記憶にありませんです、爆

今朝はluminoさんの記事を参考にしながら グードとコワセヴィチの演奏を聴いてみました、1楽章は覚えていたのですが…他はまったく記憶に有りませんでした…
あまり聴いていないからでしょうか、ゼルキン師の録音が遺っていないからかもしれません…爆

ミ(`w´彡)
rudolf2006 | 2017.12.08(金) 08:49 | URL | コメント編集

●Re: ピアノ・ソナタ第10番は・・・

burleskeさま
コメントをいつもありがとうございます。

ベートーヴェンは一番好きな作曲家なのですが、ピアノ・ソナタは疎遠なジャンルで、第10番も初めて聴いたように思います。
burleskeさまもアラウの全集(第1回目録音)をお持ちで、お気に入りになっているのですね。
2回目の録音の全集を聴きたいと思いショップで探しても見当たりませんでした。
長い間「入手困難」になっているのですね。残念。
聴いてみたいですね、80年代のアラウの演奏。
lumino | 2017.12.04(月) 20:15 | URL | コメント編集

●ピアノ・ソナタ第10番は・・・

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第10番は滅多に聴くことがない作品ですが、改めてじっくりと耳を傾けてみると、親しみやすくて良いですね。
アラウの一回目の全集は僕も持っていて、お気に入りの演奏の一つです。
でも、80年代の2回目の全集は持っていません。長らく入手困難になっているみたいですが、そろそろ再発売して欲しいですよね。
burleske | 2017.12.03(日) 20:54 | URL | コメント編集

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