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2018.02/10(Sat)

Op.426:ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第21番≪ワルトシュタイン≫」 by ソロモン

ベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴くシリーズ」。
ベートーヴェンのソナタの初期、中期、後期を一貫して聴くことなく
行きつ戻りつをしています。
今日はベートーヴェンのピアノ・ソナタ中期に属する第21番「ワルトシュタイン」を聴いてみました。
ピアノは前回同様、ソロモンです。
最近、求めるディスクはソロモンばかりになっています。
ソロモンばかり、とは言え取り扱いされているディスクが少なく残念至極なのですが。

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第21番ワルトシュタイン
ソロモン~EMIレコーディングスより

426 ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第21番「ワルトシュタイン」ソロモンEMIレコーディングス(7CD
(収録曲)
ベートーヴェン
ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 Op.13「悲愴」(1951年録音)
ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 Op.27-2「月光」1952年録音)
ピアノ・ソナタ第21番 ハ長調 Op.53「ワルトシュタイン」(1952年録音)
ピアノ・ソナタ第26番 変ホ長調 Op.81a「告別」(1952年録音)


第1楽章:Allegro con brio ハ長調 4/4拍子 ハ長調
第2楽章:(導入部)Introduzione. Adagio molto ヘ長調 6/8拍子
    (主部)Rondo:Allegretto moderato – Prestissimoハ長調2/4拍子



作曲されたのは1803年から。翌1804年夏に完成されたそうです。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴くシリーズが連続していますので
内容も重複する点が多くなりますが、いつもの自分の復習を兼ねて。

この時期のベートーヴェンには素晴らしい飛躍があり、作曲された作品にはヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」、交響曲題3番、ピアノ・ソナタ第23番「熱情」、歌劇では「フィデリオ」などの大作品がひしめいているとのことです。

ベートーヴェンは独自の様式を築き上げ初期とは完全に決別をしたそうです。
この曲では今までの作品に見られなかった壮麗な演奏技巧を盛り大きな演奏効果を創り出したとのこと。

曲の構成は2楽章とのことですが、第2楽章の導入部を一つの楽章として扱い3楽章構成とされることもあるようです。
3楽章構成としているものが多いように感じますが。
ソロモンではブックレットの記載では2楽章構成になっていますので、その前提で綴っています。

楽章構成ですがベートーヴェンの初めの計画では3楽章構成になる予定だったそうです。
初めの計画では、第2楽章にロンド形式の「アンダンテ」 ヘ長調 を入れる筈だったとのことですが、全曲の傾向が冗長になるとの忠告を受けたそうです。
そのために現在、このソナタの第2楽章の初めに置かれている 「アダージョ・モルト」 の導入部が新たに付けられたとのことです。
省略された 「アンダンテ」 は1805年に独立した小曲として出版され、1807年にブライトコプフから出版された時には「アンダンテ・ファボリ」の名称が与えられたそうです。
尚、第2楽章の冒頭に置かれている「アダージョ・モルト」の導入部が他の部分とは異なった時期に書かれたことは、確実な資料によることがセイヤーらにより指摘されているとのことです。

初版は1805年にウィーンの美術工芸社から「大ソナタ」のタイトルを付けて出版されたそうです。
自筆譜はチューリッヒのボドマー・コレクションに保存。

献呈はワルトシュタイン伯爵に。
426 ベートーヴェン.ピアノ.ソナタ第21番 ワルトシュタイン伯爵 Graf Ferdinand Ernst Joseph Gabriel von Waldstein
Graf Ferdinand Ernst Joseph Gabriel von Waldstein und Wartenberg
(1762年3月24日-1823年5月26日)

自分のメモとして以下、長くなりますが。
ベートーヴェンは1788年1月にブロイニング家でウィーン出身のフェルディナント・ワルトシュタイン伯爵と知り合ったそうです。
当時、ベートーヴェンは18歳頃でしょうか。
尚、前年の夏、7月17日にベートーヴェンの母マリア・マグダレーナが死去したとのこと。
ワルトシュタイン伯爵は非常に音楽が好きでベートーヴェンの才能を深く愛し、ベートーヴェンの成長に大きな役割を果たしたそうです。
経済的援助も大きかったそうですが、それ以上に教養ある年長者として精神面に資するところが大きかった、ようです。

1792年にハイドンがボンを訪問し、ベートーヴェンの弟子入りを快諾したのが7月だったそうです。
そして11月2日にベートーヴェンはウィーンに向けボンを発ち、11月10日ウィーンに到着。
ベートーヴェンはハイドンに作曲を師事したとのこと。
尚、その翌12月18日に父ヨーハンの死去。
ベートーヴェンがウィーンへ発つ折りにワルトシュタイン伯爵は1792年10月、記念帳に書き込んだそうです。
「親愛なるベートーヴェンへ!」で始まり「あなたの親友ワルトシュタイン」で終わる伯爵の一筆。
「モーツァルトの精神をハイドンから受け取りなさい」との一文があるそうです。
当時、ベートーヴェン22歳。
ベートーヴェンの未来を祝福したのもワルトシュタイン伯爵だったそうです。

426ベートーヴェン ピアノ.ソナタ第21番ワルトシュタイン 伯爵からベートーヴェンの記念帳に(1792年ベートーヴェン、ウィーンへ旅立ちに寄せて)
(1792年10月、記念帳に綴られたワルトシュタイン伯爵の言葉)

ドイツ語は解りませんが記念帳への伯爵の言葉、ベートーヴェンに寄せる伯爵の想いに感銘を受けつつ、このソナタに耳を傾けていました。


ソロモンで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」

左手で小刻み奏される和音で闊達な趣で始まる第1楽章。
第1主題が現れ高音域で光り輝くように。
フォルテッィシモで高揚する雰囲気、ドラマティックな第1主題。
次に現れる第2主題の穏やかさ。
漂う抒情的で味わい深い雰囲気。
この曲の中での安息を想わせるような調べでしょうか。
新しい楽想の出現で右手は早いパッセージを奏し続け
恰も降り注ぐ光のよう。
再び華麗な雰囲が戻り、劇的な力強さも。
展開部では右手で光り輝くように奏される第1主題の展開。
活気に溢れ、現れる第2主題の変容からは長閑な雰囲気が。
再び第1主題が力強く奏され再現部に。
固唾を呑むような展開部でもソロモンのピアニズムはあくまで爽やかに響くのが印象的。
コーダは長いようです。
現れる第1主題。次に第2主題。
再び現れる第1主題の左手の強く弾むような打鍵。
右手は第1主題の変容を劇的に醸し出しているようにも。
第2主題の穏やかな調べ静けさを挟み、闊達に力強く閉じられる第1楽章。

第2楽章の導入部は28小節の短いものだそうです。
寂しげな深い心情が込められた導入部に対してのエルターラインの言葉。
「天使の微笑みが俄かに雲に覆われたよう」

導入部の途切れ途切れに、たどたどしく奏される主題でで始まる第2楽章。
左手と右手のポツリポツリとした語り合い。
左手の伴奏に右手は歌うように。
静かで、寂しげな雰囲気。素朴な美しさとして心に染み入るようです。
導入部を経て主部に入り現れるロンド主題。
抒情的な趣のこのロンド主題の旋律はベートーヴェンの生地であるボン地方の民謡から取られたとの説もあるそうです。
平和な佇まいを見せる調べ。
親しみを感じる旋律。
この平穏な趣から経過部では激しく高揚するように現れるロンド主題の冒頭。
華々しく、力強い趣からは前進をする勇士の姿を連想してしまいます。
コーダではロンド主題の華麗な変容のように。
音力が次第に強くなりつつ長いトリルに。
華麗に燦然とした輝きを放しつつ迎える曲の終わり。


ソロモンのピアノの明るい軽やかさ。
混濁することのない清明さを感じる音色。
優しさと明るさ。そして滑るような軽妙さ。
第1楽章のドラマティックさを感じさせる第1主題でも、打鍵はあくまでも自然体に感じられます。
第2楽章の導入部では瞑想的な雰囲気すら感じます。
心の琴線に触れるソロモンのピアニズムで最も印象的なのが、この導入部です。

ソロモンの演奏でベートーヴェンのソナタ以外の作品を聴いても
五月晴れの空気の中をそっと通り過ぎて行くような、そよ風を連想してしまいます。
そのピアニズムもまた、そよ風のように清明に感じられます。

久し振りに聴いた「ワルトシュタイン・ソナタ」。
嘗て聴いた時には活発な曲、との印象しか残っていませんでした。
第2楽章は記憶から抜け落ちていました。
今回、聴いてみて第2楽章が心に残ります。
導入部とロンド主題に惹かれている自分がいました。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタの中でお気に入りのソナタの仲間入りをしたようです。

                
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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第21番 ワルトシュタイン ソロモン ワルトシュタイン伯爵

20:22  |  ベートーヴェン  |  TB(0)  |  CM(6)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●Re: お早うございます

rudolfさま、こんばんは。
いつもコメントをありがとうございます。

第21番のソナタはLP時代からお聴きだったのですね。
LP時代にはバックハウス(しか持っていませんでした)で聴いていたかと思います。
その後もしばしば耳にする曲にも拘らず、あまり印象に残ることなく今日に至ってしまいました。

この曲は演奏するのには難曲なのですね。
技巧的なことはまったく分からないので(分からないながらも終楽章のコーダは運指を想像し「凄い!」と感じるくらいですが)、聴いていると難なく軽々と弾いているように思ってしまいました。
ソロモンの演奏は鮮やかとのことですね。
rudolfさまのコメントを拝読して改めて稀有で素晴らしいピアニストだったのだと認識を新たにしました。
アラウのような重厚さはないものの、キー・タッチへの共通する細やかな心配りを感じたり、ソロモンとアラウが紡ぎ出す音楽には似通った趣を感じているのですが・・・。

> luminoさんに触発されて 注文してしまいました…爆

rudolfさまのお言葉に思わずニコリとしてしまいました。
お求めになられたソナタ第7番をお聴きになられ「素晴らしい」とのお言葉を目に・・・ホッとしました。
そうなのですよね、7番だけがステレオ録音ですね。

また話が戻り、ソロモンとの出会いはrudolfさまの一言でした。
「ソロモンも良いですよ」との一言に触発されました。
初めてソロモンのディスクを求めて聴きすっかり虜になってしまいました。
まさか、これほどまでにソロモンに嵌り込むことになるとは思ってもいませんでした。
嬉しい誤算、嬉しい想定外のこと♪
感謝!です(^^♪
lumino | 2018.02.12(月) 20:55 | URL | コメント編集

●Re: 「ワルトシュタイン」は僕のお気に入りのソナタです

burleskeさま
いつもコメントをありがとうございます。

「ワルトシュタイン」はburleskeさまのお気に入りのソナタの一つだそうですね。
今まで聴いても余り印象に残らなかったのですが、今回聴いてみて私も好きなソナタの一つになりました。

> 久しぶりにソロモンの演奏で聴いてみましたが、良いですね。演奏に引き込まれてしまいました。

そうなんですよね。とにかくソロモンには惹き込まれ通しです。
ベートーヴェンに限らず・・・手元にあるディスクのどの作曲家の作品でも惹かれて耳を傾けています。

ピアノ協奏曲もソロモンの演奏がお気に入りになってきました。
ベートーヴェンの「皇帝」を聴き、「優しい皇帝」・・・他の演奏からは感じられないものがあるようで。
ピアニズムの優しさ、柔和さを感じるのですが・・・。
他の協奏曲ではシューマン、ブラームスの第1番を聴いてみました。
印象深いのがブラームスでした。
グリーグの協奏曲はまだ聴いていないのですが、こちらも楽しみに耳を傾けてみますね。
lumino | 2018.02.12(月) 19:54 | URL | コメント編集

●お早うございます

luminoさま お早うございます

ソロモンの「ヴァルトシュタイン」ですね
これはLP時代から聴いていたものです
このソナタは ものすごく難しい曲のようです
ピアニストの方に聴きました
これほど鮮やかな演奏は そうはないようです

7番のCD 届きました
今朝 聴きました、これも素晴らしいですね
これはステレオだったんですね 

luminoさんに触発されて 注文してしまいました…爆
(ミ`w´)彡━━┛~~ ' ぷっくぷく~~~
rudolf2006 | 2018.02.12(月) 09:14 | URL | コメント編集

●「ワルトシュタイン」は僕のお気に入りのソナタです

「ワルトシュタイン」は僕のお気に入りのベートーヴェンのソナタの一つです。
久しぶりにソロモンの演奏で聴いてみましたが、良いですね。演奏に引き込まれてしまいました。
ソロモンの録音はベートーヴェンのソナタと協奏曲以外はグリーグとシューマンの協奏曲くらいしか持っていませんが、改めてじっくりと耳を傾けたいと思います。
burleske | 2018.02.11(日) 21:16 | URL | コメント編集

●Re: タイトルなし

龍さま、こんばんは。
いつもコメントをありがとうございます。

ベートーヴェンの「ワルトシュタイン」を聴くのは私も久し振りでした。
三大ピアノソナタは音楽が流れる機会も多い所為か、自然に耳に入ってくるようです。
本当に親しみ易さを感じますね。

この拙ブログを通し曲をお聴きくださっていらっしゃるとのことで嬉しいです。
私自身も他の御方のブログを拝読させていただき、それが契機になり曲や演奏家に関心を抱き聴くことが多いのです。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタもその一つです。
拙いブログながらも楽しみにしてくださり嬉しく想っています。
更新の励みにもなります。ありがとうございます。
lumino | 2018.02.11(日) 20:06 | URL | コメント編集

 こんにちは

 久し振りに聴きましたが、愛称名がついているだけあって親しみ易いですね。
ブログで話題としてあげていただくと、どうしても聴きますので、良い機会を与えていただいたと感謝しています。
いつも次はなにかなと、楽しみにしています。
龍 | 2018.02.11(日) 12:20 | URL | コメント編集

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