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2018.04/07(Sat)

Op.434 ベートーヴェン:「ピアノ・ソナタ第27番」 by イヴ・ナット

ベートーヴェンピアノ・ソナタを聴くシリーズ」。
前回は後期の最初のピアノ・ソナタ第28番でしたので
今回は逆戻りをして、中期の最期のソナタ第27番を。

ブログ仲間の御方がお寄せくださいましたコメントにベートーヴェンピアノ・ソナタで最近のお気に入りになっているのがイヴ・ナットとのことでした。
イヴ・ナットは名前しか知らず、私にとっては未知のピアニスト。
ショップ・サイトで探したところナットの15枚組 Box が目に付きました。
ベートーヴェンピアノ・ソナタ全曲他が収録されておりました。
今まで耳にすることのなかった演奏者によるベートーヴェンピアノ・ソナタ
関心と興味の虜になりつつ耳を傾けている日々です。

今回の第27番をイヴ・ナットで。

ベートーヴェンピアノ・ソナタ第27番
イーヴ・ナット~ザ・フレンチ・ピアノ・レジェンドより

434ベートーヴェン:ピアノソナタ第27番イーヴ・ナット~ザ・フレンチ・ピアノ・レジェンド
(収録曲)

ベートーヴェン
ピアノ・ソナタ第26番 変ホ長調 Op81a 告別」(1954年5月)
ピアノ・ソナタ第27番 ホ短調 Op90(1954年6月)
ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調Op.106「ハンマークラヴィーア」(1954年10月)

イヴ・ナット(P)


第1楽章:Mit Lebhaftigkeit und durchaus mit Empfindung und Ausdruck
      ホ短調3/4拍子  速く、そして終始感情と表情とをもって 
第2楽章:Nicht zu geschwind und sehr singbar vorzutragen
      ホ長調2/4拍子  速過ぎないように、そして十分歌うように演奏すること 



作曲されたのは1814年だそうです。
1813年にライプツィヒでフランス軍が惨敗を喫しヨーロッパは大きな転換期を迎えたそうです。
ベートーヴェンは前年には交響曲第7番や第8番など充実をした大作を作曲していたそうですが、1813年(43歳)このころからベートーヴェンにも大きな変化が起きてきたとのことです。
見せかけの平和とその陰に隠れた反動勢力の中でベートーヴェンは大芸術家として祭り上げられ押しも押されない名士になったそうです。
1814年にウィーン会議が開かれる頃には各国の代表や貴族たちに取り巻かれ、ベートーヴェンの名はヨーロッパの権力者たちの間に深く浸透していったとのこと。
しかし、作曲については社会的光栄に反比例し沈滞をしたそうです。
戦争による多々の意味での打撃、最期の結婚への努力の失敗による絶望的な孤独感をくぐり抜け、もう一度、しかも前よりももっと高い所にと復活をする1816年に至るまでベートーヴェンはスランプとも呼べる時期に入ったとのこと。

このソナタ第27番は丁度その危機の最中に作曲されたそうです。
浄書された原稿には1814年8月16日と記されているとのこと。

シンドラーの伝えるところによると(シンドラーのことですので信憑性については疑問を抱きつつ)、リヒノフスキー伯爵がベートーヴェンにこのソナタの意味について尋ねたそうです。
ベートーヴェンは笑って
第1楽章は「理性と感情の戦い」、第2楽章は「恋人との会話」と答えたとのことです。

曲の出版は1815年、ウィーンのシュタイナーにより。
自筆譜はロンドンの個人が所有。
献呈はモーリツ・フォン・リヒノフスキー伯爵に。
伯爵とベートーヴェンは音楽上の友人であったそうです。
イギリスの摂政ジョージに捧げた「戦争交響曲」の報酬につき、リヒノフスキー伯爵がウィーン会議のイギリス代表に取りなしてくれたお礼として、この第27番のソナタを伯爵に献呈されたとのことです。


イヴ・ナットで聴くベートーヴェンのピアノ・ソナタ第27番

力強く躍動感のあるリズム。生き生きとした第1主題で始まる第1楽章。
穏やかな旋律に転じるのも束の間
オクターブでの上昇では空中を駆け抜けるかのような軽やかさ。そして華麗な趣。
経過句での音階風な下降のパートでは激しさも。
和音の連打に続いて現れる第2主題。
穏やかな趣の主題。
小結尾で現れる短く美しい旋律には耳を奪われてしまいます。
展開部では右手の細やかな16分音符の動きからは華麗さも。
再現部を経てのコーダでは沈み込むような雰囲気。
弱音で消え入るように静かに閉じられる第1楽章。

優美なロンド主題の調べで始まる第2楽章。
歌心に溢れたロンド主題。
第2主題も穏やかな歌。
懐かしさを感じる歌の調べです。
この楽章では終始、歌を聴いている気分に。
歌心に溢れた調べの数々。
コーダでも流れる歌。そして静かに迎える曲の終わりに。


イヴ・ナットは1951年から1956年にかけてベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲を録音したそうです。
第27番も初めて耳にする曲かも知れません。
印象的な第2楽章。
懐かしさのような親しみを感じる素朴な歌の楽章のようにも感じられます。

イヴ・ナットでベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴いている途中ですが
数曲を聴き感じたこと。
感情よりも作品の構築性を重視したような演奏でしょうか。
直截的で見通しの良い演奏。
地道、地味でありながらもタッチの明晰さ。
真摯にわが道を行く、そのようなものを感じます。
耳を傾ける毎に味わい深さが増してくるようにも感じています。

               
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テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

タグ : ベートーヴェン ピアノ・ソナタ イヴ・ナット リヒノフスキー伯爵

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Comment

●Re: 今回は27番ですか

burleskeさま
いつもコメントをありがとうございます。

ソナタ第29番・・・何とか後期に入ったのですから第29番ですよね、本来なら。
ベートーヴェンのソナタを一曲一曲、じっくりと耳を傾けているうちに第29番(嘗ては大の苦手)がお気に入りになってきたこの頃なのですが。

> ナットのピアノはちょっと粋で洒落た雰囲気があり、流麗なところが気に入っています

burleskeさまのコメントを拝読させていただき、私が聴いた感想が的外れみたいな気がしてしまいます。
「はちょっと粋で洒落た雰囲気」というのが、まだまだ実感としては「分からない」感じも・・・。

ナットではシューマンの演奏もお気に入りとのことですね。
ナットのBoxにはシューマンが4枚のディスクに収録されているのですね。
ベートーヴェン以外を聴く余裕がなかったのですが、これからも時間をかけじっくりとシューマン他の演奏に耳を傾けてみたく思います。
lumino | 2018.04.09(月) 20:24 | URL | コメント編集

●今回は27番ですか

luminoさまの、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ・シリーズ、そろそろ第29番「ハンマークラヴィーア」がくるんじゃないかと期待していたのですが、今回は第27番でしたか。
この作品も短いですが、馴染みやすい旋律で、素敵な曲ですよね。
ナットのピアノはちょっと粋で洒落た雰囲気があり、流麗なところが気に入っています
ドイツ風のベートーヴェン演奏とは違いますが、すっかりハマッてしまいました。
ナットはシューマンの演奏も気に入っています。
burleske | 2018.04.08(日) 21:17 | URL | コメント編集

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